JP2000281337A - 酸化インジウム−酸化錫粉末及びその製造方法 - Google Patents
酸化インジウム−酸化錫粉末及びその製造方法Info
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Abstract
焼結性に優れたアルカリ金属等の含有量が少ない、均一
な大きさの一次粒子からなり、かつ一次粒子同士の凝集
が比較的弱いく、高密度のITO焼結体を与える焼結性
に優れたITO粉末を提供する。 【解決手段】インジウム塩の水溶液と錫塩水溶液とアル
カリ水溶液を混合してインジウムと錫を含む沈殿を生成
させた後、固液分離、洗浄して得られた沈殿を乾燥した
後に、焼成することによる酸化インジウム−酸化錫粉末
の製造方法において、アルカリ水溶液が水酸化アルカリ
水溶液であり、乾燥した後の沈殿のアルカリ金属含有量
が200ppm以下であり、該焼成をハロゲン化水素ガ
スまたはハロゲンガスを1体積%以上含有する雰囲気ガ
ス中で600℃以上1300℃以下で行った後に、水で
洗浄することを特徴とするアルカリ金属含有量が10p
pm以下である酸化インジウム−酸化錫粉末の製造方
法。
Description
酸化錫粉末及びその製造方法に関する。さらに詳しく
は、排水中にアンモニア等の窒素負荷を軽減し且つ焼結
性に優れたアルカリ金属等の含有量が少ない高純度の酸
化インジウム−酸化錫粉末及びその製造方法に関する。
インジウム−酸化錫(Indium−Tin−Oxid
e、以下ITOと略す)薄膜は、高い導電性と優れた透
光性を有するために、液晶ディスプレ−用の透明導電性
膜として利用されている。
TO微粒子を基材に塗布する方法や、ITO原料粉末を
成形、焼結して得たITO焼結体ターゲットのスパッタ
リング法によって、基材面にITO膜を形成させる方法
などが挙げら、近年このようなITO焼結体タ−ゲット
は純度99.99%以上で、例えば焼結体の相対密度9
9%以上の高密度品が求められている。
ム塩と錫塩の混合水溶液と沈殿生成剤とを混合し、イン
ジウムと錫を含む沈殿を得て、次いでこれを乾燥して焼
成することにより、酸化錫が均一に分布したITO微粉
末を製造する方法が特開昭62−7627号公報に開示
されている。
TO粉末の前駆体として得られるインジウムと錫を含む
沈殿はゲル状であるために、濾過等による固液分離が難
しく、該沈殿の乾燥物は強固な塊状となり、また該乾燥
物を焼成して得られるITO粉末にも、一次粒子が強固
に固着した粗大な凝集粒子が多く含まれるために、解砕
による微粒子化が容易でない。このようなITO粉末を
用いても前述の相対密度99%以上の高密度焼結体を製
造することは難しい。
としては一般的にアンモニア水、炭酸アンモニウム、尿
素水溶液等のアルカリ水溶液が使用されるが、沈殿生成
剤として水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等の水酸化
アルカリ水溶液を用いた場合にはインジウムと錫を含む
沈殿を洗浄しても多量のアルカリ金属が残存し、かつ該
沈殿を焼成しても最終的に得られるITO粉末中に多量
のアルカリ金属が残留するため、アルカリ金属含有量が
少なく、かつ高純度のITO粉末を得ることは困難であ
る。
まれるアンモニア分の規制が厳しくなり、沈殿生成剤に
アンモニア水を用いることは極めて難しいな状況にあ
る。
合水溶液と沈殿生成剤とを混合して、インジウムと錫を
含む沈殿を得て焼成するITO粉末の製造方法におい
て、排水中にアンモニア等の窒素負荷を軽減し且つ焼結
性に優れたアルカリ金属等の含有量が少ない、均一な大
きさの一次粒子からなり、かつ一次粒子同士の凝集が比
較的弱いく、高密度のITO焼結体を与える焼結性に優
れたITO粉末を提供することにある。
に鋭意検討の結果、インジウム塩の水溶液と錫塩水溶液
とアルカリ水溶液を混合してインジウムと錫を含む沈殿
を生成させた後、固液分離、洗浄して得られた沈殿を乾
燥した後に、焼成することによる酸化インジウム−酸化
錫粉末の製造方法において、アルカリ水溶液として水酸
化ナトリウムや水酸化カリウム等の水酸化アルカリ水溶
液を採用して、乾燥した後の沈殿のアルカリ金属含有量
が200ppm以下として、更に、特定の焼成条件下で
焼成した後に水で洗浄することによって、目的を達成で
きることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわ
ち、本発明は以下の(1)及び(2)を提供する。 (1)インジウム塩の水溶液と錫塩水溶液とアルカリ水
溶液を混合してインジウムと錫を含む沈殿を生成させた
後、固液分離、洗浄して得られた沈殿を乾燥した後に、
焼成することによる酸化インジウム−酸化錫粉末の製造
方法において、アルカリ水溶液が水酸化アルカリ水溶液
であり、乾燥した後の沈殿のアルカリ金属含有量が20
0ppm以下であり、該焼成をハロゲン化水素ガスまた
はハロゲンガスを1体積%以上含有する雰囲気ガス中で
600℃以上1300℃以下で行った後に、水で洗浄す
ることを特徴とするアルカリ金属含有量が10ppm以
下である酸化インジウム−酸化錫粉末の製造方法。 (2)上記(1)記載の方法により製造される、酸化錫
の含有量が2〜20重量%、BET比表面積径が0.0
5μm以上1μm以下、純度99.99重量%以上ある
酸化インジウム−酸化錫粉末。
する。本発明で使用されるインジウム塩の水溶液として
は、例えば、水溶性のインジウム塩[塩化インジウム
(InCl3)、硝酸インジウム(In(NO3)3)、
硫酸インジウム(In2(SO4)3)等]の水溶性のイ
ンジウム塩を水に溶解させたもの、あるいは金属インジ
ウムを塩酸水溶液や硝酸水溶液等に溶解させたもの等を
例示することができるが、これらに限定されるものでは
ない。
は、例えば、塩化錫[SnCl4、SnCl2、硫酸錫
(SnSO4)等]の水溶性の錫塩を水に溶解させたも
の、あるいは金属錫を塩酸水溶液等に溶解させたもの等
を例示することができるが、これらに限定されるもので
はない。
と錫塩の混合水溶液中のインジウム濃度は、特に限定は
されないが、20〜400g/l程度の範囲のものが好
ましい。インジウム濃度が20g/l未満では得られる
ITO粉末の生産性が低下して、工業的な製造方法とし
ては好ましくない。
の錫濃度としては、最終的に得ようとするITO粉末に
含有される酸化錫量に対応して、インジウム濃度との関
係で決定すれば良い。ITOの導電性を考慮して、最終
的に得られるITO粉末中の酸化錫含有量が2〜20重
量%となるように、インジウム塩と錫塩の濃度の比率を
選ぶことが好ましい。
とアルカリ水溶液とを混合してインジウムと錫を含む沈
殿を生成させる。
リ水溶液とを混合してインジウムと錫を含む沈殿を生成
させる方法としては、インジウム塩と錫塩の混合水溶液
及びアルカリ水溶液を、40℃以上100℃未満の水中
に、反応中のpHが4以上7以下、好ましくは5以上6
以下の範囲に維持されるよう供給することが好ましい。
ては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化ア
ルカリ水溶液を使用する。以下、アルカリ水溶液として
水酸化ナトリウム水溶液を用いる方法を主体に説明する
が、水酸化カリウム水溶液を用いる方法も、水酸化ナト
リウム水溶液を用いる方法に準じて採用できる。
化ナトリウムの濃度としては特に限定されないが、10
〜50重量%程度の範囲のものが好ましい。水酸化ナト
リウム濃度が10重量%未満では得られるITO粉末の
生産性が低下して、工業的な製造方法としては好ましく
ない。
定量、所定温度、所定pHの水(蒸留水あるいはイオン
交換水等)を入れて撹拌する。次いで、撹拌を行いなが
ら水中にインジウム塩と錫塩の混合水溶液およに水酸化
ナトリウム水溶液の供給を開始する。インジウム塩と錫
塩の混合水溶液の供給により、反応系のpHが低下する
ので、反応中のpHが4以上7以下の範囲に維持される
よう、必要量の水酸化ナトリウム水溶液を供給する。
ばpHコントローラーと水酸化ナトリウム水溶液を供給
するポンプとを連動させ、所定のpH値を下回った時に
ポンプが作動するようにする方法等で達成できる。
混合水溶液は強酸性を呈するため、該混合水溶液に水酸
化ナトリウムを予め添加して、該水溶液のpHを、イン
ジウムおよび錫の沈殿が生じない程度、例えばpH=0
〜2程度に調整しておくことも、反応中のpHを4以上
7以下の範囲に維持するために好ましい方法の一つとし
て挙げられる。
0℃未満である。水温が40℃未満の場合、得られる沈
殿の濾過性および乾燥後の解砕性が極度に悪化するため
に好ましくない。
度は、工業的に有利な速度で供給することができる。供
給速度としては、インジウムと錫を含む沈殿を析出させ
るスケールにより異なるが、インジウム塩と錫塩の混合
水溶液の全量を供給する時間として、好ましくは10分
以上300分以下、より好ましくは20分以上200分
以下である。インジウム塩と錫塩の混合水溶液の供給速
度が300分を超えると、最終的に得られるITO粉末
中の一次粒子同士の凝集が強くなる場合がある。
溶液の供給速度は、反応中のpHが4以上7以下に維持
できるように供給すれば良く特に限定されない。
5以上6以下の範囲で一定に維持することが好ましい。
このpH範囲でpHを一定に維持して反応させること
で、均一な粒径で、かつ濾過性および乾燥後の解砕性が
良好なインジウムと錫を含む沈殿を得ることができる。
反応させた場合、微細なインジウムと錫を含む沈殿が得
られるために、濾過が困難となるばかりでなく、乾燥後
には強固な塊状となるために解砕性が悪化する。また、
4未満の範囲に維持して反応させた場合、沈殿とならず
に溶液中に溶解しているインジウム量が多くなり、最終
的な収率が低下する。
囲において、好ましくは±1.0以内、さらに好ましく
は±0.5以内におさまるように制御する。
以上7以下の範囲外に振れる場合がある。特にインジウ
ム塩と錫塩の混合水溶液の供給を開始した直後の急激な
pH低下と、その後の水酸化ナトリウム水溶液の供給に
よる急激なpHの上昇を生じる場合もあるが、この現象
が反応の初期のみであれば、得られるインジウムと錫を
含む沈殿の濾過性や乾燥後の解砕性および焼成により得
られるITO粉末の特性に支障をきたすことはない。
pH変動は許容できるものである。反応初期段階におけ
る急激なpH変動は、好ましくは全反応時間の10%以
内の時間、さらに好ましくは5%以内の時間になるよう
に反応させる。また、反応系において、局所的にあるい
は瞬間的に上記範囲外にpHが振れる場合もありうる
が、本発明の主旨を逸脱せず、本願発明の目的を達成で
きるかぎりにおいては、多少の振れは許容できるもので
ある。
終了した後は、生成したインジウムと錫を含む沈殿を熟
成することが好ましい。熟成の方法としては、生成した
インジウムと錫を含む沈殿を含有する懸濁液を撹拌また
は静置する方法等が採用できる。熟成の温度としては、
反応温度と同じ40℃以上100℃未満が好ましい。こ
の熟成を行うことによって、粒子径の均一化が生じて、
沈殿の濾過性や該沈殿の乾燥物の解砕性が一層向上す
る。
熟成後のインジウムと錫を含む沈殿を採取する。濾過の
方法は特に限定されず、吸引濾過、遠心分離、フィルタ
ープレス等の方法が挙げられる。
と錫を含む沈殿には、インジウムおよび錫塩が水酸化ナ
トリウム水溶液と反応して副生成した塩化ナトリウム、
硝酸ナトリウム等の塩類が付着しているため、該沈殿を
洗浄してこれら塩類をある程度除去することが必要であ
る。
の水、あるいはアンモニア水等を用いることができる。
洗浄液にアンモニア水を用いた場合、洗浄時間の短縮効
果がる等から好ましい。この場合、アンモニア水のpH
としては、好ましくは8以上12以下、より好ましくは
pH9.5以上10.5以下である。pHが12を超え
るアンモニア水を用いて洗浄を行った場合、インジウム
と錫を含む沈殿が再溶解する傾向があるのみならず、洗
浄排水中のアンモニア濃度が高くなり、環境問題上好ま
しくない。
イオン濃度が好ましくは200mg/L以下、より好ま
しくは100mg/L以下、更に好ましくは50mg/
Lとなるまで洗浄する。これによって後述するインジウ
ムと錫を含む沈殿のナトリウム含有量が200ppm以
下、好ましくは100ppm以下となる。
錫を含む沈殿を乾燥する。乾燥温度は特に限定されず、
沈殿物に付着した水分を除去できる程度の温度、例えば
90〜200℃程度で行えば良い。
含む沈殿の乾燥物は、凝集が非常に弱いものであって解
砕は容易である。また、まったく解砕を行わなくても、
最終的に得られるITO粉末の凝集の程度には、ほとん
ど影響しない。
の乾燥物のナトリウム含有量を200ppm以下、好ま
しくは100ppm以下とすることが必要である。イン
ジウムと錫を含む沈殿の乾燥物のナトリウム含有量が2
00ppmを超える場合、後述の焼成によって得られる
ITO粉末中の一次粒子同士は強固に凝集した構造とな
り、一次粒子同士のの凝集が弱く、焼結性に優れたIT
O粉末が得られない。
法においては、ナトリウム含有量が10ppm以下のI
TO粉末を製造するために、インジウムと錫を含む沈殿
のナトリウム含有量も、少なくとも10ppm未満にま
で低減させておくことが必要であったが、本願発明にお
いてはインジウムと錫を含む沈殿のナトリウム含有量を
200ppm程度に低減しておけば、後述の焼成と水洗
を組み合わせることによって、ナトリウム含有量が10
ppm以下の高純度のITO粉末を得ることが可能とな
る。
を含む沈殿の乾燥物を焼成することによってITO粉末
とする。
あることが必要である。好ましくは800℃以上120
0℃以下である。焼成温度が600℃未満では、結晶化
が十分でない。また焼成温度が1300℃を越える場合
には、一次粒子が結晶成長し一部が凝集して、焼結性が
良好なITO粉末が得られない場合がある。
窒素あるいは塩化水素、臭化水素、沃化水素等のハロゲ
ン化水素ガス、または塩素、臭素、要素等のハロゲンガ
ス等を用いることができるが、ハロゲンら水素ガスまた
はハロゲンガスを含有する雰囲気中での焼成が好まし
く、塩化水素ガスを含有する雰囲気ガス中での焼成によ
って、最も凝集性の弱く、高純度なITO粉末を得るこ
とができる。
ス、特に塩化水素ガスを含有する雰囲気中で焼成する場
合、雰囲気ガスの全体積に対して、該ガスを好ましくは
1体積%以上、より好ましくは5体積%、さらに好まし
くは10体積%以上含有する雰囲気ガス中にて焼成す
る。ハロゲン化水素ガスの濃度の上限は特に限定されな
いが、工業的な生産性の面から、好ましくは70体積%
以下、より好ましくは50体積%以下、さらに好ましく
は40体積%以下である。該ガスの希釈ガスとしてはア
ルゴン等の不活性ガス、窒素、酸素あるいは空気または
これらの混合ガスを用いることができる。
を含有する雰囲気ガス、特に塩化水素ガスを含有する雰
囲気ガスは、600℃以上で導入することが好ましい。
600℃未満の温度から、塩化水素ガスを含有する雰囲
気ガスを導入すると、ITOの揮発損失が多くなり、収
率が低下する等の問題が生ずる場合がある。また、所定
温度で所定時間焼成した後は、塩化水素ガスを含有する
雰囲気ガスの供給を止め、アルゴン等の不活性ガス、窒
素、酸素あるいは空気またはこれらの混合ガスを含有す
る雰囲気ガスを供給し、冷却することが好ましい。
されず、工業的に用いられる範囲において任意に選ぶこ
とができる。
成の温度にも依存するので必ずしも限定されないが、好
ましくは1分以上、より好ましくは10分以上である。
されない。原料であるインジウムと錫を含む原料が存在
する反応系に上記の雰囲気ガスを導入することができれ
ば良い。
焼成炉を用いることができる。特に、ハロゲン化水素ガ
スまたはハロゲンガスを用いる場合、焼成炉はハロゲン
化水素ガスまたはハロゲンガスに腐食されない材質で構
成されていることが好ましい。さらに雰囲気を調製でき
る構造を備えていることが望ましい。また、ハロゲン化
水素ガスまたはハロゲンガスという腐食性ガスを用いる
ので、焼成炉は気密性があることが望ましい。
しく、例えば、トンネル炉等を用いることができる。腐
食性ガス雰囲気中での焼成の場合、焼成工程で用いられ
る装置、坩堝やボ−トは、アルミナ性、石英性、耐酸レ
ンガあるいはグラファイト製であることが好ましい。
末はBET比表面積径(ITO粉末のBET比表面積と
ITOの理論密度から求めた値)が、好ましくは0.0
5μm以下1μm以下、さらに好ましくは0.1μm以上
0.5μm以下の均一な一次粒子から構成される。また
これら一次粒子同士の凝集は比較的弱い。
TO粉末には、原料であるインジウムと錫を含む沈殿の
乾燥物に含まれるナトリウム分が塩化物としてITO粒
子表面に残留している場合があり、焼成後にITO粉末
を水で洗浄することによって、ナトリウム含有量が10
ppm以下で、純度99.99%以上のITO粉末を得
ることができる。また、ナトリウム含有量は1ppm以
下も可能である。なお、ITO粉末のアルカリ金属の含
有量は原子吸光法により測定した場合、ITO粉末が塩
酸、りん酸、硫酸等の分析試薬に溶解し難いことや、こ
れら分析試薬の純度の問題からその定量下限が10pp
mの場合もあるが、グロー放電質量分析法(GDMS
法)を用いてアルカリ金属の含有量を測定すると10p
pm以下も測定可能である。
しては、焼成後のITO粉末を所定量の水に添加して、
攪拌して分散させスラリー化させた後に、濾過等の固液
分離等を行った後、水で洗浄する方法を採用することが
できる。濾過の方法は特に限定されず、吸引濾過、遠心
分離、フィルタープレス等の方法が挙げられる。また、
焼成後のITO粉末を所定量の水に添加して、攪拌して
分散させた後に、該ITOスラリーのpHを好ましくは
6以上9以下、更に好ましくは7以上8以下に調整する
方法により、濾過性が改善され短時間で濾過洗浄が終了
する。またこの際添加するアンモニア水量は極微量であ
るので、濾過洗浄による生ずる排水中のアンモニア濃度
は問題とはならない。
粉末の累積粒度分布の50%径(平均凝集粒子径)は、
インジウムと錫を含む沈殿を析出させる条件によって異
なるが、約1μm以上となり、相対密度95%以上、好
ましくは99%以上の高密度のITO焼結体が得られな
い場合があるが、このような場合にはITO粉末を解砕
することが好ましい。
るものではなく、例えば通常工業的に用いられる、振動
ミル、ボールミルやジェットミル等による解砕方法が挙
げられるが、本願発明のITO粉末の解砕方法として
は、ITO粉末中の一次粒子同士の凝集は弱いため、軽
度の解砕、例えばボールミルやジェットミル等による程
度の解砕を利用し得る。またボールミル解砕に際して
は、乾式解砕または湿式解砕、またはこれらの組み合わ
せのいずれの方法も用いることができる。
ボールとしては、粉砕容器としてはアルミナ製や樹脂製
等のものを用いることができ、粉砕用のボールとしては
アルミナ製、ジルコニア製や樹脂製等のものをもちいる
ことができるが、ボールミル粉砕の際に粉砕容器やボー
ルからの汚染が少ない、粉砕容器としては樹脂製で、粉
砕用ボールとしては耐摩耗性の高いジルコニアボールを
用いることが好ましく、更にボールミル解砕条件、例え
ば回転数、粉砕時間等を最適化することで高純度のIT
O粉末を得ることができる。
明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもので
はない。
にして行った。 1.焼成後のITO粉末の累積粒度分布とBET比表面
積の測定 (1)レーザー散乱法を測定原理とする粒度分布測定装
置(島津製作所社製、SALD−2000A型)を用い
て測定した。
製作所社製)を用いてBET比表面積を測定した。また
次式によってBET比表面積径(DBET)を算出し、一
次粒子径の目安とした。 DBET(μm)=6/(S*ρ) S=BET比表面積(m2/g) ρ=ITO比重(g/cm3)
TO粉末中の不純物含有量の測定 インジウムと錫を含む沈殿の乾燥物のナトリウム含有量
は、該乾燥物を塩酸溶解した後に原子吸光分析により、
ITO粉末のナトリウム含有量はリン酸と硫酸で溶解し
た後に原子吸光法により測定した。これら測定方法にお
ける定量下限が10ppmであったことから、一部のI
TO粉末に関してはグロー放電質量分析法(GDMS
法)によりナトリウムを含めた17元素(ナトリム、マ
グネシウム、アルミニウム、珪素、カルシウム、クロ
ム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、モ
リブデン、カドミウム、アンチモン、鉛、ビスマス)の
含有量を測定し、純度を測定した。
に示す2種類の方法で調整した。 (1)インジウム塩と錫塩の混合水溶液A 金属インジウム(純度99.999%)120g全量を
35重量%塩酸水溶液約402gに溶解した後、別途、
金属錫(純度99.995%)19.05kgを35重
量%塩酸水溶液に溶解して49.00kgとした錫塩水
溶液から57.1gを採取して混合して、インジウム塩
と錫塩の混合水溶液を調整した。インジウム塩と錫塩の
混合水溶液のSnO2/(In2O3+SnO2)=10重
量%とした。次いで20重量%の水酸化ナトリウムを添
加してインジウム塩と錫塩混合水溶液のpHを0.5±
0.1に調整した。
35重量%塩酸水溶液603gに溶解した後、別途、金
属錫(純度99.995%)19.05kgを35重量
%塩酸水溶液に溶解して49.00kgとした錫塩水溶
液から85.6gを採取して混合して、インジウム塩と
錫塩の混合水溶液を調整した。インジウム塩と錫塩の混
合水溶液のSnO2/(In2O3+SnO2)=10重量
%とした。次いで40重量%の水酸化ナトリウムを添加
してインジウム塩と錫塩混合水溶液のpHを0.5±
0.1に調整した。
ベ塩化水素(純度99.9%)を用いた。焼成手順は以
下のとおり行った。原料であるインジウムと錫を含む沈
殿物を乾燥して、石英製のボートに充填した。充填量は
約100g、充填深さは約15mm程度とした。焼成は
石英製炉芯管(直径58mm、長さ1200mm)を用
いた管状炉(株式会社モトヤマ製、MS電気炉)で行っ
た。昇温速度は800℃までは10℃/分、1100℃
までは5℃/分とした。
までは空気のみを流し、それ以降は所定濃度の塩化水素
ガ スを流した。雰囲気ガス濃度の調整は、流量計によ
りガス流量の調整により行った。雰囲気ガスである塩化
水素ガスの希釈ガスとしては、空気を使用した。
の時間保持した。所定の保持時間の経過後、空気のみを
流して冷却し、目的とするITO粉末を、最初に原料と
してのインジウムと錫を含む沈殿の乾燥物を充填した石
英ボート中に得た。
燥した。水洗方法は、焼成後のITO粉末約80gをイ
オン交換水約80gに投入し、30分撹拌の後に、アン
モニア水を添加してpH=8に調整した後、吸引濾過
し、洗浄後の排水中の塩素イオン濃度が1mg/L以下
となるまでイオン交換水にて洗浄し、130℃にて乾燥
した。
については、湿式解砕を行った。湿式解砕は、ITO粉
末25gと、エタノール100gと、直径5mmジルコ
ニアボール1000gをポリエチレン製500mlポッ
トに入れ、回転数100rpmにて6時間ボールミル解
砕した後、減圧下にて乾燥し、解砕ITO粉末を得た。
後、焼結を行った。成形は、100kg/cm2にて一
軸加圧成形後、2.5ton/cm2の圧力にてCIP
成形をおこなった。焼結は常圧の酸素雰囲気中、160
0℃にて10時間焼結してITO焼結体を得た。得られ
た焼結体は、アルキメデス法にて焼結体の密度測定を行
った。
入れて55℃に保持した。この55℃のイオン交換水を
撹拌しながら、インジウム塩と錫塩の混合水溶液A(イ
ンジウム濃度=297.8g/L、錫濃度=31.6g
/L)と20%水酸化ナトリウム水溶液を、反応中のp
Hを5.5に維持するように、104分かけて同時に供
給した。反応終了後、55℃にて30分撹拌の後に、2
0%水酸化ナトリウム水溶液にてpH=8に調整した。
次に、得られた沈澱を吸引濾過後、アンモニア水にてp
H=10に調整したイオン交換水約570mlにて5回
洗浄した。洗浄5回目の洗浄排水のナトリウムイオン濃
度は2mg/Lであった。次いで、この沈殿を130℃
にて乾燥した。乾燥した沈殿のナトリウム含有量は18
ppmであった。次に、上記乾燥物を1000℃から2
0体積%の塩化水素ガスを流しながら、1100℃で4
0分間焼成した後に水洗してITO粉末を得た。得られ
たITO粉末のナトリウム含有量は10ppm以下であ
った。またGDMS分析の結果、ナトリウム含有量は
0.5ppm、珪素含有量は9ppm、鉄含有量は2p
pmで、その他元素の含有量はすべて2ppm未満であ
り、ITO粉末の純度としては99.99%以上であっ
た。更に、該粉末はBET比表面積が3.7m2/gで
BET比表面積径が0.23μm、累積粒度分布の50
%径が4.2μm、であった。また該ITO粉末を走査
型電子顕微鏡(日本電子株式会社製:JSM−T220
型)で観察したところ、一次粒子が約0.1〜0.2μ
mで、一次粒子同士の凝集が弱いITO粉末であった。
また、該ITO粉末を湿式解砕することによって、、B
ET比表面積が6.0m2/gでBET比表面積径が
0.14μm、累積粒度分布の50%径が0.9μmの
ITO粉末となった。
250.0g/L、錫濃度=26.6g/L)と20%
水酸化ナトリウム水溶液を、反応中のpHを5.5に維
持するように、115分かけて同時に供給し、インジウ
ムと錫を含んだ沈殿を吸引濾過後、アンモニア水にてp
H=10に調整したイオン交換水570gにて3回洗浄
した以外は、実施例1と同様な方法でITO粉末を得
た。洗浄3回目の洗浄排水のナトリウムイオン濃度は5
4mg/Lであり、この沈殿を130℃にて乾燥した。
乾燥した沈殿のナトリウム含有量は104ppmであっ
た。得られたITO粉末のナトリウム含有量は10pp
m以下であり、BET比表面積が4.1m2/gでBE
T比表面積径が0.20μm、累積粒度分布の50%径
が5.2μm、であった。また該ITO粉末を走査型電
子顕微鏡で観察したところ、一次粒子が約0.1〜0.
2μmで、一次粒子同士の凝集が弱いITO粉末であっ
た。また、該ITO粉末を湿式解砕することによっ
て、、BET比表面積が5.6m2/gでBET比表面
積径が0.15μm、累積粒度分布の50%径が0.5
μmのITO粉末となった。
279.7g/L、錫濃度=29.8g/L)と20%
水酸化ナトリウム水溶液を、反応中のpHを5.0に維
持するように、103分かけて同時に供給した以外は、
実施例1と同様な方法でITO粉末を得た。洗浄5回目
の洗浄排水のナトリウムイオン濃度は12mg/Lであ
り、この沈殿を130℃にて乾燥した。乾燥した沈殿の
ナトリウム含有量は6ppmであった。得られたITO
粉末のナトリウム含有量は10ppm以下であり、BE
T比表面積が4.8m2/gでBET比表面積径が0.
17μm、累積粒度分布の50%径が4.9μm、であ
った。また該ITO粉末を走査型電子顕微鏡で観察した
ところ、一次粒子が約0.1〜0.2μmで、一次粒子
同士の凝集が弱いITO粉末であった。また、該ITO
粉末を湿式解砕することによって、、BET比表面積が
6.6m2/gでBET比表面積径が0.13μm、累
積粒度分布の50%径が0.8μmのITO粉末となっ
た。
入れて55℃に保持した。この55℃のイオン交換水を
撹拌しながら、インジウム塩と錫塩の混合水溶液B(イ
ンジウム濃度=286.6g/L、錫濃度=30.4g
/L )と40%水酸化ナトリウム水溶液を、反応中の
pHを5.5に維持するように、126分かけて同時に
供給した。反応終了後、55℃にて30分撹拌の後に、
40%水酸化ナトリウム水溶液にてpH=8に調整し
た。次に、得られた沈澱を吸引濾過後、アンモニア水に
てpH=10に調整したイオン交換水約850mlにて
5回洗浄した。洗浄5回目の洗浄排水のナトリウムイオ
ン濃度は2mg/L未満であった。次いで、この沈殿を
130℃にて乾燥した。乾燥した沈殿のナトリウム含有
量は29ppmであった。次に、上記乾燥物を1000
℃から20体積%の塩化水素ガスを流しながら、110
0℃で40分間焼成した後に水洗してITO粉末を得
た。得られたITO粉末のナトリウム含有量は10pp
m以下であり、BET比表面積が4.9m2/gでBE
T比表面積径が0.17μm、累積粒度分布の50%径
が4.1μm、であった。また、該ITO粉末を走査型
電子顕微鏡で観察したところ、一次粒子が約0.1〜
0.2μmで、一次粒子同士の凝集が弱いITO粉末で
あった。また、該ITO粉末を湿式解砕することによっ
て、、BET比表面積が6.3m2/gでBET比表面
積径が0.13μm、累積粒度分布の50%径が0.8
μmのITO粉末となった。
0℃に10時間て焼結した結果、焼結体密度7.145
g/cm3で、理論密度の99.8%にまで緻密化した
ITO焼結体が得られた。
0℃に10時間て焼結した結果、焼結体密度7.137
g/cm3で、理論密度の99.7%にまで緻密化した
ITO焼結体が得られた。
0℃に10時間て焼結した結果、焼結体密度7.131
g/cm3で、理論密度の99.6%にまで緻密化した
ITO焼結体が得られた。
0℃に10時間て焼結した結果、焼結体密度7.149
g/cm3で、理論密度の99.8%にまで緻密化した
ITO焼結体が得られた。
水溶液を、反応中のpHを5.0に維持するように、1
50分かけて同時に供給し、得られた沈澱を濾過後、ア
ンモニア水にてpH=10に調整したイオン交換水にて
3回洗浄した以外は、実施例5とほぼ同様な方法でIT
O粉末を得た。130℃にて乾燥した沈殿物のナトリウ
ム含有量は10ppm以下であり、また、得られたIT
O粉末のナトリウム含有量も10ppm以下であり、B
ET比表面積が3.0m2/gでBET比表面積径が
0.28μm、累積粒度分布の50%径が7.6μm、
であった。また該ITO粉末を走査型電子顕微鏡で観察
したところ、一次粒子が約0.2μmで、一次粒子同士
の凝集が弱いITO粉末であった。次いで、この130
℃にて乾燥した沈殿物に塩化ナトリウム水溶液を含浸し
た後に乾燥して、ナトリウム含有量が2.2重量%の沈
殿物とした後に、1000℃から20体積%の塩化水素
ガスを流しながら、1100℃で40分間焼成した後に
水洗してITO粉末を得た。得られたITO粉末を走査
型電子顕微鏡で観察したところ、一次粒子が約0.1μ
m程度であったが、一次粒子同士が強固に凝集したIT
O粉末であった。
用の原料粉末として使用する場合には、高密度のITO
焼結体が得られ、本焼結体をスパッタリングターゲット
として用いた場合、スパッタリング効率等を向上させる
ことが期待できる。また、本発明で得られる微粒子から
なるITO粉末は、透明導電性のフィラー用途としても
適している。
度、具体的にはナトリウム含有量が10ppm以下で、
純度が99.99%以上ので、均一で微細な一次粒子か
らなり、かつ一次粒子同士の凝集が比較的弱く、好まし
くは理論密度の95%以上、さらに好ましくは99%以
上にまで緻密化した高密度の焼結体を与える焼結性に優
れたITO粉末を製造することができる。
Claims (12)
- 【請求項1】インジウム塩の水溶液と錫塩水溶液とアル
カリ水溶液を混合してインジウムと錫を含む沈殿を生成
させた後、固液分離、洗浄して得られた沈殿を乾燥した
後に、焼成することによる酸化インジウム−酸化錫粉末
の製造方法において、アルカリ水溶液が水酸化アルカリ
水溶液であり、乾燥した後の沈殿のアルカリ金属含有量
が200ppm以下であり、該焼成をハロゲン化水素ガ
スまたはハロゲンガスを1体積%以上含有する雰囲気ガ
ス中で600℃以上1300℃以下で行った後に、水で
洗浄することを特徴とするアルカリ金属含有量が10p
pm以下である酸化インジウム−酸化錫粉末の製造方
法。 - 【請求項2】乾燥後の沈殿のアルカリ金属含有量が10
0ppm以下である請求項1記載の製造方法。 - 【請求項3】インジウム塩の水溶液と錫塩水溶液とアル
カリ水溶液を混合する方法が、インジウム塩と錫塩の混
合水溶液及び水酸化アルカリ水溶液を、40℃以上10
0℃未満の水中に、反応中のpHが4以上7以下の範囲
に維持されるよう供給する請求項1または2記載の製造
方法。 - 【請求項4】反応中のpHが5以上6以下の範囲に維持
されるよう供給する請求項3記載の製造方法。 - 【請求項5】800℃以上1200℃以下で焼成する請
求項1〜4記載の製造方法。 - 【請求項6】焼成し、水で洗浄した後に解砕する請求項
1〜5記載の製造方法。 - 【請求項7】アルカリ金属含有量が1ppm以下である
請求項1〜6記載の製造方法。 - 【請求項8】水酸化アルカリ水溶液が水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウムである請求項1〜7記載の製造方
法。 - 【請求項9】請求項1〜8記載の方法により製造され
る、酸化錫の含有量が2〜20重量%、BET比表面積
径が0.05μm以上1μm以下、純度99.99重量
%以上ある酸化インジウム−酸化錫粉末。 - 【請求項10】BET比表面積径が0.1μm以上0.
5μm以下である請求項9記載の酸化インジウム−酸化
錫粉末。 - 【請求項11】請求項6記載の方法により製造される、
酸化錫の含有量が2〜20重量%、BET比表面積径が
0.05μm以上1μm以下、累積粒度分布の50%径
が1μm以下ある酸化インジウム−酸化錫粉末。 - 【請求項12】BET比表面積径が0.1μm以上0.
5μm以下である請求項11記載の酸化インジウム−酸
化錫粉末。
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KR20020096534A (ko) * | 2001-06-20 | 2002-12-31 | 삼성에스디아이 주식회사 | 금속·인듐 주석 산화물 복합체의 제조 방법 및 이방법으로 제조된 금속·인듐 주석 산화물 복합체를포함하는 투명 도전성 조성물 |
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1999
- 1999-03-31 JP JP09299899A patent/JP4253907B2/ja not_active Expired - Fee Related
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