JP2001172018A - 酸化インジウム−酸化錫粉末の製造方法 - Google Patents

酸化インジウム−酸化錫粉末の製造方法

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JP2001172018A
JP2001172018A JP35734299A JP35734299A JP2001172018A JP 2001172018 A JP2001172018 A JP 2001172018A JP 35734299 A JP35734299 A JP 35734299A JP 35734299 A JP35734299 A JP 35734299A JP 2001172018 A JP2001172018 A JP 2001172018A
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tin
tin oxide
aqueous solution
ito
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Keiji Ono
慶司 大野
Shinji Fujiwara
進治 藤原
Kunio Saegusa
邦夫 三枝
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Sumitomo Chemical Co Ltd
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Sumitomo Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】酸化錫の分散状態が良好で、高密度のITO焼
結体を与える焼結性に優れたITO粉末を容易に製造可
能な方法を提供する。 【解決手段】(1)金属錫と硝酸水溶液を反応させて得
られるβ−錫酸と、インジウム塩水溶液とを混合してβ
−錫酸が分散したインジウム塩水溶液を調製後、β−錫
酸が分散したインジウム塩水溶液をアルカリ水溶液にて
中和して、得られるインジウム−錫含有沈殿を焼成する
ことを特徴とする酸化インジウム−酸化錫粉末の製造方
法。 (2)焼成をハロゲン化水素ガスまたはハロゲンガスを
1体積%以上含有する雰囲気ガス中で行うことを特徴と
する上記(1)記載の酸化インジウム−酸化錫粉末の製
造方法。 (3)上記(1)または(2)記載の製造方法により得
られる累積粒度分布の50%径が1μm以下である酸化
インジウム−酸化錫粉末。 (4)上記(3)記載の酸化インジウム−酸化錫粉末を
焼結して得られる酸化インジウム−酸化錫焼結体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、酸化インジウム−
酸化錫粉末の製造方法に関する。さらに詳しくは、酸化
錫の分散性に優れ、焼結性に優れた酸化インジウム−酸
化錫粉末の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】酸化錫を2〜20重量%含有する酸化イ
ンジウム−酸化錫(Indium−Tin−Oxid
e:以下、ITOと略すことがある)薄膜は、高い導電
性と優れた透光性を有するために、液晶ディスプレー用
の透明導電膜として利用されている。ITO薄膜を形成
させる方法としては、ITO微粉末を含んだペーストを
基材に塗布する方法や、ITO粉末を成形、焼結して得
たITO焼結体ターゲットのスパッタリングによって基
材面にITO薄膜を形成させる方法などがあげられる。
【0003】ITO粉末の製造方法としては、例えば、
インジウム塩と錫塩の混合水溶液とアンモニア等の沈殿
生成剤とを混合し、インジウム−錫含有沈殿を得て、次
いでこれを乾燥して焼成することにより、酸化錫が均一
に分布したITO粉末を製造する方法が、例えば、特開
昭62−7627号公報に開示されている。この方法
は、従来より共沈法として知られている方法である。
【0004】しかしながら、従来の共沈法による製造に
おいては、ITO粉末の前駆体として得られるインジウ
ムと錫を含む沈殿はゲル状であるために、濾過等による
固液分離が難しく、また該沈殿の乾燥物は強固な塊状と
なり、該乾燥物を焼成して得られるITO粉末には、一
次粒子が強固に固着した凝集粒子が多く含まれるため
に、解砕による微粒子化が容易でない。さらに上記のよ
うに凝集粒子が多く含まれるITO粉末を用いてITO
焼結体を作製した場合、理論密度の90%以上の高密度
のITO焼結体を得ることは難しい。理論密度の90%
を下回るような低密度のITO焼結体をスパッタリング
ターゲットとして使用してスパッタリングを行った場
合、ターゲット表面でのノジュールの発生や成膜速度が
遅くなる等のスパッタリング効率の低下や、得られるI
TO薄膜の導電性や透光性が劣るなどの問題が発生す
る。
【0005】また、共沈法の原料であるインジウムと錫
塩の混合水溶液としては、通常、塩化物水溶液等が用い
られる。塩化物水溶液を用いる場合、例えば、錫と塩酸
を反応させて塩化錫水溶液を調製するときは、錫の塩酸
に対する溶解速度が遅く、インジウムと錫塩の混合水溶
液を迅速に調製することが困難であり、さらに生産効率
を向上させることが求められている。錫との反応性が高
い酸性水溶液として、例えば、硝酸が挙げられるが、例
えば、錫と硝酸を反応させて硝酸錫水溶液を調製すると
きは、逆に反応性が高すぎるために、迅速にβ−錫酸が
析出し、インジウムと錫塩の混合水溶液を調製すること
が困難であり、共沈法を適用することができない。
【0006】また、特開平4−325415号公報に、
硝酸インジウム水溶液を70〜95℃に加熱して、該水
溶液にアルカリ水溶液を添加した後、濾過、乾燥するこ
とによって得られる針状水酸化インジウムを仮焼するこ
とにより、凝集性の弱い酸化インジウム粉末を製造する
方法、および該酸化インジウム粉末に酸化錫粉末を添
加、混合した粉末を焼結用原料として用いることによ
り、理論密度の70%以上の密度のITO焼結体が製造
できることが開示されている。しかしながら、この方法
で製造されるのは酸化インジウム粉末であって、ITO
焼結体原料とするためには、別途製造した酸化錫粉末を
ボールミル等で混合する工程が必要となるが、この場
合、酸化錫粉末の分散状態を均一にすることが難しく、
酸化錫の分散状態は共沈法に比較して劣る等の問題を有
している。
【0007】また、特開平10−59719号公報に、
酸化錫粉末の表面にインジウム−錫複合水酸化物又はイ
ンジウム−錫複合酸化物の被覆層を形成させることによ
り、焼結性の良いインジウム複合酸化錫粉末を製造する
ことが開示されている。しかしながら、この方法でも、
酸化錫粉末を用いてインジウム−錫複合酸化物粉末を製
造しているために、該粉末を用いて、ITO焼結体を作
製した場合、酸化錫粉末の分散状態を均一にすることが
難しく、酸化錫の分散状態は共沈法に比較して劣る等の
問題を有している。
【0008】酸化錫の分散状態が悪いITOターゲット
をスパッタリングすると、ターゲット表面にノジュール
が多量発生し、ターゲットの寿命が短くなる等の問題が
ある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、酸化
錫の分散状態が良好で、高密度のITO焼結体を与える
焼結性に優れたITO粉末を容易に製造可能な方法を提
供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意検討した結果、金属錫と硝酸を反
応させてβ−錫酸を調製後、インジウム塩水溶液と混合
すると、β−錫酸が分散したインジウム塩水溶液が得ら
れ、これを中和して生成するインジウム−錫含有沈殿を
焼成すると、酸化錫の分散状態が良好な、ITO粉末が
得られること、さらにこのITO粉末を焼結すると、高
密度のITO焼結体が製造できることを見出し、発明を
完成するに至った。
【0011】すなわち、本発明は次の発明(1)〜
(4)を提供する。 (1)金属錫と硝酸水溶液を反応させて得られるβ−錫
酸と、インジウム塩水溶液とを混合してβ−錫酸が分散
したインジウム塩水溶液を調製後、β−錫酸が分散した
インジウム塩水溶液をアルカリ水溶液にて中和して、得
られるインジウム−錫含有沈殿を焼成することを特徴と
する酸化インジウム−酸化錫粉末の製造方法。 (2)焼成をハロゲン化水素ガスまたはハロゲンガスを
1体積%以上含有する雰囲気ガス中で行うことを特徴と
する上記(1)記載の酸化インジウム−酸化錫粉末の製
造方法。 (3)上記(1)または(2)記載の製造方法により得
られる累積粒度分布の50%径が1μm以下である酸化
インジウム−酸化錫粉末。 (4)上記(3)記載の酸化インジウム−酸化錫粉末を
焼結して得られる酸化インジウム−酸化錫焼結体。
【0012】
【発明の実施の形態】以下に、本発明について詳しく説
明する。まず、錫金属と硝酸水溶液を反応させβ−錫酸
を調製する。硝酸の濃度はいかなる濃度であっても良い
が、β−錫酸が生成する速度が速いため、硝酸の濃度が
8mol/L〜16mol/Lであることが好ましい。
得られるβ−錫酸は乾燥粉末として回収しても良いが、
微粒であり、濾過が困難であるため、反応後の残った硝
酸中に分散したβ−錫酸スラリーとして回収する方が好
ましい。続いて、β−錫酸とインジウム塩水溶液を混合
する。β−錫酸は微粒であるため、インジウム塩水溶液
に容易に分散する。
【0013】本発明で使用されるインジウム塩水溶液と
しては、硝酸インジウム[In(NO33]を水に溶解
させたもの、あるいは金属インジウムを硝酸に溶解させ
たもの等を例示することができるが、金属インジウムを
硝酸に溶解させたものが高純度なインジウム塩の水溶液
となりやすいため好ましい。
【0014】また,インジウム塩水溶液中のインジウム
の濃度とβ−錫酸中の錫の濃度は、最終的に得ようとす
るITO粉末に含有される酸化錫量に対応して決定すれ
ば良い。ITOの導電性を考慮して、最終的に得られる
ITO粉末中の酸化錫含有量が2〜20重量%となるよ
うに、インジウム塩の水溶液中のインジウムの濃度とβ
−錫酸中の錫の濃度を選ぶことが好ましい。
【0015】次いで、β−錫酸を含有するインジウム塩
水溶液とアルカリ水溶液を混合し反応させて、インジウ
ム‐錫含有沈殿を生成させる。β−錫酸を含有するイン
ジウム塩水溶液とアルカリ水溶液を混合し反応させる方
法は、特に限定はされないが、錫含有沈殿を含有する
インジウム塩水溶液に攪拌を行いながらアルカリ水溶液
を供給する方法、アルカリ水溶液に攪拌を行いながら
錫含有沈殿を含有するインジウム塩水溶液を供給する方
法、水に攪拌を行いながら錫含有沈殿を含有するイン
ジウム塩水溶液とアルカリ水溶液を供給する方法、など
が挙げられる。
【0016】用いるアルカリ水溶液は特に限定されるも
のではないが、アンモニア水や水酸化ナトリウム水溶液
等が挙げられる。
【0017】また、反応時の温度は特に限定されるもの
ではないが、40℃以上100℃以下で行うことが、得
られるインジウム−錫含有沈殿の濾過性およびインジウ
ム−錫含有沈殿の乾燥物の解砕性が良好になるため好ま
しい。反応後のpHは4以上であることがインジウム−
錫含有沈殿が収率良く、生成するために好ましい。
【0018】次いで、濾過等による固液分離を行って、
生成したインジウム−錫含有沈殿を採取する。濾過の方
法は特に限定されず、吸引濾過、フィルタープレス等の
方法が挙げられる。また、固液分離後のインジウム−錫
含有沈殿には、反応時に副生成した硝酸アンモニウムな
どのアンモニウム塩、硝酸ナトリウムなどのアルカリ金
属塩などの塩類が付着しているため、該沈殿を洗浄する
ことが必要である。洗浄する液としては、副生成した塩
類を溶解するような、蒸留水やイオン交換水等の水、あ
るいは、アンモニア水等のアルカリ水溶液を用いること
ができる。
【0019】次いで、固液分離後のインジウム−錫含有
沈殿を焼成する。焼成の前工程として、固液分離後のイ
ンジウム−錫含有沈殿を乾燥することが好ましい。乾燥
の方法は特に限定されず従来から知られている方法を用
いることができる。乾燥温度は特に限定されず、インジ
ウム−錫含有沈殿に付着した水分を除去できる程度の温
度、例えば90〜200℃程度の温度範囲で行えば良
い。
【0020】次に、上記の方法で得られたインジウム−
錫含有沈殿の乾燥物を焼成することによってITO粉末
とする。焼成温度の範囲は、600〜1300℃である
ことが必要であり、好ましくは、800〜1200℃で
ある。焼成温度が600℃未満では、結晶化温度が十分
でなかったり、インジウム−錫含有沈殿の乾燥物に付着
した硝酸アンモニウム等の塩の分解が不十分であったり
する。また焼成温度が1300℃を超える場合には、一
次粒子が結晶成長し一部が凝集して、焼結性が良好なI
TO粉末が得られない場合がある。
【0021】焼成の雰囲気ガスとしては、空気、酸素、
窒素あるいは塩化水素、臭化水素、ヨウ化水素等のハロ
ゲン化水素ガス、または、塩素、臭素、ヨウ素等のハロ
ゲンガス等を用いることが好ましいが、ハロゲン化水素
ガスまたはハロゲンガスを含有する雰囲気中での焼成が
より好ましく、塩化水素ガスを含有する雰囲気ガス中で
の焼成が特に好ましい。塩化水素ガスを含有する雰囲気
ガス中での焼成によって、最も一次粒子の凝集の弱いI
TO粉末を得ることができる。
【0022】ハロゲン化水素ガスあるいはハロゲンガ
ス、特に塩化水素ガスを含有する雰囲気中で焼成する場
合、雰囲気ガスの全体積に対して、該ガスを好ましくは
1体積%以上、より好ましくは5体積%、さらに好まし
くは10体積%以上含有する雰囲気ガス中にて焼成す
る。ハロゲン化水素ガスの濃度の上限は特に限定されな
いが、工業的な生産性の面から、好ましくは70体積%
以下、より好ましくは50体積%以下、さらに好ましく
は40体積%以下である。該ガスの希釈ガスとしては、
例えば、アルゴン等の不活性ガス、窒素、酸素、空気ま
たはこれらの混合ガスを用いることができる。
【0023】ハロゲン化水素ガスあるいはハロゲンガス
を含有する雰囲気ガス、特に塩化水素ガスを含有する雰
囲気ガスは、600℃以上で導入することが好ましい。
600℃未満の温度から、塩化水素ガスを含有する雰囲
気ガスを導入すると、ITO揮発損失が多くなり、収率
が低下する等の問題が生ずる場合がある。また、所定温
度で所定時間焼成した後は、塩化水素ガスを含有する雰
囲気ガスの供給を止めて、アルゴン等の不活性ガス、窒
素、酸素、空気またはこれらの混合ガスを含有する雰囲
気ガスを供給し冷却することが好ましい。
【0024】焼成における雰囲気ガスの圧力は特に限定
されず、工業的に用いられる範囲において任意に選ぶこ
とができる。適切な焼成の時間は雰囲気ガスの濃度や焼
成の温度にも依存するので必ずしも限定されないが、好
ましくは1分以上、より好ましくは10分以上である。
雰囲気ガスの供給源や供給方法は特に限定されない。原
料であるインジウム錫含有沈殿が存在する反応系に上記
の雰囲気ガスを導入することができればいい。
【0025】焼成装置は必ずしも限定されず、いわゆる
焼成炉を用いることができる。特に、ハロゲン化水素ガ
スまたはハロゲンガスを用いる場合、焼成炉はハロゲン
化水素ガスまたはハロゲンガスに腐食されない材質で構
成されていることが好ましい。さらに雰囲気ガスの組成
を調節できる装置を備えていることが望ましい。また、
ハロゲン化水素ガスまたはハロゲンガスという腐食性ガ
スを用いるので、焼成炉は気密性があることが望まし
い。
【0026】工業的には連続法で焼成することが好まし
く、例えば、トンネル炉等に用いることができる。腐食
性ガス雰囲気中での焼成の場合、焼成工程で用いられる
装置、坩堝やボートは、アルミナ製、石英製、耐酸レン
ガ或いはグラファイト製であることが好ましい。また、
焼成後のITO粉末は解砕することが好ましい。ITO
粉末の解砕方法としては特に限定されるものではなく、
例えば通常工業的に用いられる、振動ミル、ボールミル
やジェットミル等による解砕方法が挙げられるが、本発
明のITO粉末の解砕方法としては、ITO粉末中の一
次粒子同士の凝集は弱いため、軽度の解砕、例えば、ボ
ールミルやジェットミル等による程度の解砕を利用し得
る。また、ボールミル解砕に際しては、乾式解砕または
湿式解砕、またはこれらの組み合わせのいずれの方法も
用いることができる。
【0027】ITO粉末の解砕に用いられる粉砕容器や
ボールとしては、粉砕容器としてはアルミナ製や樹脂製
等のものを用いることができ、粉砕用ボールとしてはア
ルミナ製やジルコニア製や樹脂製等のものを用いること
ができるが、ボールミル粉砕の際に粉砕容器やボールか
らの汚染が少ない、粉砕用容器としては樹脂製で、粉砕
用ボールとしては耐摩耗性の高いジルコニアボールを用
いることが好ましい。
【0028】また、焼成の際の雰囲気ガスとして、特に
ハロゲン化水素ガスまたはハロゲンガスを用いた場合、
焼成後のITO粉末には、ハロゲン分が多量に残存する
可能性がある。残存ハロゲン、特に残存塩素量が多い場
合には、相対密度が90%、好ましくは95%を超える
ような高密度の焼結体が得られない場合もあるが、この
ような場合には、焼成後または焼成し解砕した後のIT
O粉末を、水あるいはアルカリ水溶液で洗浄、または、
水蒸気、酸素から選ばれた1種以上のガスを0.1体積
%以上含有する雰囲気中で熱処理して、残存ハロゲン量
を低減することができる。
【0029】上記の製造方法によって得られたITO粉
末はSnの分散性に優れ、相対密度が90%以上、好ま
しくは95%以上の高密度焼結体を得ることを可能とす
る、易焼結性のITO粉末である。
【0030】次に、本発明のITO粉末を用いる焼結体
の製造方法につき説明する。まずITO粉末の成形を行
う。成形の方法としては、いかなる方法によっても良
い。例えば、金型により成形する方法、冷間等方静水圧
プレスにより成形する方法、スリップキャストにより成
形する方法等が挙げられるが、相対密度が90%以上の
高密度焼結体を製造するには、これらの方法を併用する
ことが好ましい。また成形し易いように、ITO粉末に
有機バインダー等を添加したり、スプレイドライ等の造
粒の操作を施すことにより、易焼結性のITO成形体を
製造することができる。次いで得られたITO成形体を
焼結して、ITO焼結体を製造する。焼結の雰囲気とし
ては、酸素雰囲気、大気雰囲気等が挙げられるが、相対
密度が90%以上の焼結体を得るためには、酸素雰囲気
が好ましい。その際の酸素濃度としては90体積%以上
好ましくは95体積%以上である。また焼結温度の範囲
としては1300℃〜1700℃が好ましく、さらに好
ましくは1400℃〜1650℃で、所定時間保持する
ことが好ましい。その保持時間は、焼結体の相対密度が
90%以上になる限り、特に制限はないが、通常1〜4
0時間、好ましくは2〜20時間である。また焼結温度
になる前に900℃〜1250℃で所定時間保持を行う
ことにより、さらに高密度の焼結体を作製することがで
きる。また成形時に有機バインダーを添加した場合は、
脱バインダー等の処理を900℃以下で行うことが好ま
しい。
【0031】このようにして得られる本発明のITO焼
結体は、酸化錫の分散が極めて良好な、相対密度が90
%以上、好ましくは95%以上、さらに好ましくは98
%以上と高密度のITO焼結体であり、高密度のITO
ターゲットとすることができる。本発明のITO焼結体
をITOターゲットにして、スパッタリングを行うと、
ターゲット表面におけるノジュールの発生を抑制するこ
とができ、ターゲットの寿命を長くすることができる。
また本発明のITO焼結体を用いて作製したITOター
ゲットについてスパッタリングを行って、得られるIT
O薄膜は高導電性、高透光性の薄膜であり、液晶ディス
プレイ等の透明導電膜として適している。
【0032】
【実施例】次に、本発明を実施例によりさらに詳しく説
明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもので
はない。
【0033】実施例1 金属インジウム(純度99.99%)750gを硝酸3
Lに溶解して硝酸インジウム水溶液(A)を得た。金属錫
79.4gと硝酸0.3Lとを反応させて、β−錫酸沈
殿(B)を得た。硝酸インジウム水溶液(A)とβ−錫酸
沈殿(B)を混合し、さらに28%アンモニア水900
mlを混合し、pHを0.7に調整したβ−錫酸沈殿がゾ
ル状に分散した硝酸インジウム水溶液を得た。次いで、
40L反応槽の中に純水12Lを入れ、60℃に保持し
た。この60℃の純水12Lを攪拌回転数370r.
p.m.で攪拌しながら、β−錫酸沈殿がゾル状に分散
した硝酸インジウム水溶液と28%アンモニア水を、反
応中のpHを5.0に維持するように73分かけて同時
に供給し、インジウム−錫含有沈殿を生成させた。イン
ジウム−錫含有沈殿を生成後、60℃にて30分攪拌
し、60℃にて2時間静置し、さらに室温で14時間静
置して沈殿を熟成した。次いで、吸引濾過を行い、洗浄
を行い、沈殿を回収した。この沈殿を130℃にて乾燥
した。さらに、乾燥した沈殿を、石英製のボートに充填
し、管状炉にて焼成を行った。焼成温度は1100℃で
40分とし、昇温速度は5℃/分とした。雰囲気ガスと
しては、室温から1000℃までは空気のみを流し、1
000℃から1100℃までは20体積%の塩化水素ガ
ス(空気希釈)を流した。焼成後は空気のみを流して冷
却し、炉から取り出した粉末を水洗、乾燥してITO粉
末を得た。得られたITO粉末を湿式ボールミル解砕し
た。
【0034】湿式ボールミル解砕したITO粉末を直径
20mmの円盤状に成形して、1600℃にて焼結した
結果、焼結体密度7.14g/cm3で理論密度99.
7%まで緻密化したITO焼結体が得られた。この際に
ITO焼結体の理論密度としては、7.16g/cm3
とした。得られたITO焼結体を研磨し、日本電子製E
PMA(JXA8600M)でSnのマッピング分析を
行った結果、Snの分散性は極めて良好で、共沈法によ
り調製されたITO粉末から作製された焼結体のSnの
分散性と同等であることがわかった。
【0035】実施例2 金属インジウム(純度99.99%)75gを硝酸35
0mlに溶解して硝酸インジウム水溶液(C)を得た。
次いで、焼成すると酸化錫10.1gとなるβ−錫酸沈
殿25.9gと硝酸インジウム水溶液(C)を混合し、
さらに28%アンモニア水74.2gを混合し、pHを
0.6に調整したβ−錫酸沈殿がゾル状に分散した硝酸
インジウム水溶液を得た。次いで、β−スズ酸沈殿がゾ
ル状に分散した硝酸インジウム水溶液を60℃に保持し
た。この60℃のβ−錫酸沈殿がゾル状に分散した硝酸
インジウム水溶液を攪拌回転数200r.p.m.で攪
拌しながら、28%アンモニア水142.1gを10分
かけて供給し、インジウム−錫含有沈殿を生成させた。
インジウム−錫含有沈殿を生成後、60℃にて30分攪
拌し、60℃にて2時間静置し、さらに室温で14時間
静置して沈殿を熟成した。次いで、吸引濾過を行い、洗
浄を行い、沈殿を回収した。この沈殿を130℃にて乾
燥した。さらに、乾燥した沈殿を、石英製のボートに充
填し、管状炉にて焼成を行った。焼成温度は1100℃
で40分とし、昇温速度は5℃/分とした。雰囲気ガス
としては、室温から1000℃までは空気のみを流し、
1000℃から1100℃までは20体積%の塩化水素
ガス(空気希釈)を流した。焼成後は空気のみを流して
冷却し、炉から取り出した粉末を水洗、乾燥してITO
粉末を得た。得られたITO粉末を湿式ボールミル解砕
した。
【0036】湿式ボールミル解砕したITO粉末を直径
20mmの円盤状に成形して、1600℃にて焼結した
結果、焼結体密度7.15g/cm3で理論密度99.9%
まで緻密化したITO焼結体が得られた。
【0037】本発明のITO粉末は、ITO焼結体製造
用の原料粉末として使用する場合には、高密度のITO
焼結体が得られ、その高密度のITO焼結体をスパッタ
リングターゲットとして用いた場合、スパッタリング効
率を向上させることが期待できる。また、本発明の微粒
子からなるITO粉末は、透明導電性のフィラー用途と
しても適している。
【0038】
【発明の効果】本発明によれば、インジウム−錫含有沈
殿を得て、該沈殿を焼成するITO粉末の製造方法にお
いて、Snの分散が良好で易焼結性のITO粉末を容易
に生産することが可能となり、このITO粉末を焼結し
てITO焼結体を製造し、ITOターゲットにして、ス
パッタリングを行うと、ターゲット表面におけるノジュ
ールの発生を抑制することができ、ターゲットの寿命を
長くすることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 三枝 邦夫 茨城県つくば市北原6 住友化学工業株式 会社内 Fターム(参考) 4G030 AA34 AA39 BA02 BA15 GA01

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】金属錫と硝酸水溶液を反応させて得られる
    β−錫酸と、インジウム塩水溶液とを混合してβ−錫酸
    が分散したインジウム塩水溶液を調製後、β−錫酸が分
    散したインジウム塩水溶液をアルカリ水溶液にて中和し
    て、得られるインジウム−錫含有沈殿を焼成することを
    特徴とする酸化インジウム−酸化錫粉末の製造方法。
  2. 【請求項2】焼成をハロゲン化水素ガスまたはハロゲン
    ガスを1体積%以上含有する雰囲気ガス中で行うことを
    特徴とする請求項1記載の酸化インジウム−酸化錫粉末
    の製造方法。
  3. 【請求項3】請求項1または2記載の製造方法により得
    られる累積粒度分布の50%径が1μm以下である酸化
    インジウム−酸化錫粉末。
  4. 【請求項4】請求項3記載の酸化インジウム−酸化錫粉
    末を焼結して得られる酸化インジウム−酸化錫焼結体。
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