JPH08337500A - 酸化スズウィスカおよびその製造方法 - Google Patents

酸化スズウィスカおよびその製造方法

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JPH08337500A
JPH08337500A JP7118796A JP7118796A JPH08337500A JP H08337500 A JPH08337500 A JP H08337500A JP 7118796 A JP7118796 A JP 7118796A JP 7118796 A JP7118796 A JP 7118796A JP H08337500 A JPH08337500 A JP H08337500A
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tin oxide
gas
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JP7118796A
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Kunio Saegusa
邦夫 三枝
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Sumitomo Chemical Co Ltd
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Sumitomo Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】凝集が少なくマトリクスへの分散性の優れた酸
化スズウィスカを提供すること。 【解決手段】C軸方向に成長し、長さ0.1〜100μ
m、太さ0.005〜5μmで、長さと太さの比が5以
上である酸化スズウィスカおよび該酸化スズウィスカに
アンチモンを添加して得られる導電性酸化スズウィス
カ。酸化スズおよび/または酸化スズに転換し得る化合
物を、ハロゲンガスおよび/またはハロゲン化水素ガス
の存在下、600℃以上の温度で加熱することを特徴と
する上記酸化スズウィスカの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酸化スズウイスカ
およびその製造方法に関する。さらに詳しくはフィラー
や顔料等、分散状態で使用され、あるいは単結晶製造用
または溶射用の原料として適した酸化スズウイスカおよ
びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、酸化スズ粉末は水酸化物、炭
酸塩、シュウ酸塩、硝酸塩等の粉末を高温で焼成するこ
とによって製造されていた。酸化スズ粉末は透明または
白色酸化物で耐蝕材や導電材として用いられ、特に導電
性を特に高めるためには2〜20重量%のアンチモン等
をドープすることが行われてきた。
【0003】このようにして得られた酸化スズ粉末は球
状に近い不定形の粒子からなり、一般に凝集が強く、フ
ィラーや顔料として用いる場合、マトリクス成分中への
分散性等に困難があった。
【0004】導電性材料をマトリクス成分中に分散させ
る場合、該導電性材料の形状及び分散性により、得られ
るコンポジットの導電性が左右されること、特に、分散
性が良く、かつ針状の導電性材料が最も効果的な導電性
付与性能を有することが知られている。すなわち分散性
のよい針状材料を用いると、球状材料の半分程度の添加
量で、同等の導電性が得られることがわかっている。
【0005】これは、針状の導電性材料がマトリクス成
分中で絡み合って効率的な導電経路を形成するためと考
えられている。このため、近年は針状の導電性材料、例
えば酸化スズウイスカの開発が注目を集めている。
【0006】従来、酸化スズウイスカの合成法として
は、酸化スズまたはスズを低酸素分圧下で焼成し、一旦
SnOとして気相を経由してSnO2 ウィスカを合成す
る方法が知られていた(例えば、H.Iwanaga
et al,J.Crystal Growth,83
602〜605(1987))。ところがこの方法で
は、厚み0.2〜5μm、長さ1〜2mmのウィスカと
なってしまい、通常のフィラー用途には大き過ぎて使え
ないという難点があった。
【0007】また、この製造方法では、ウィスカ生成過
程が複雑で制御が難しく装置因子の影響が大きい等の問
題点もあった。さらに、原料および装置のコストが高く
工業的な酸化スズウイスカの製造方法としては難点があ
った。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、導電
性フィラーや顔料として好適に使用できる、凝集が少な
くマトリクスへの分散性および導電性の付与効果に優れ
た酸化スズウイスカならびにその製造方法を提供しよう
とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、長さ0.1〜
100μm、太さ0. 005〜5μm、長さと太さの比
が5以上である酸化スズウイスカに係るものである。ま
た、本発明は、長さ0.1〜100μm、太さ0. 00
5〜5μm、長さと太さの比が5以上であり、アンチモ
ンまたはビスマスの含有量が酸化物換算で1〜20重量
%の範囲にある酸化スズウイスカに係るものである。
【0010】また、本発明は、酸化スズおよび/または
酸化スズに転換し得る化合物を、ハロゲンガスおよび/
またはハロゲン化水素ガスの存在下、600℃以上の温
度で加熱することを特徴とする、長さ0.1〜100μ
m、太さ0. 005〜5μm、長さと太さの比が5以上
である酸化スズウイスカの製造方法に係るものである。
【0011】さらに、本発明は、酸化スズおよび/また
は酸化スズに転換し得る化合物と、アンチモンまたはビ
スマスの酸化物および/または該酸化物に転換し得る化
合物を、ハロゲンガスおよび/またはハロゲン化水素ガ
スの存在下、600℃以上の温度で加熱することを特徴
とする、長さ0.1〜100μm、太さ0. 005〜5
μm、長さと太さの比が5以上で、アンチモンまたはビ
スマスの含有量が酸化物換算で1〜20重量%の範囲に
ある酸化スズウイスカの製造方法に係るものである。
【0012】
【発明の実施の形態】以下に本発明について詳しく説明
する。本発明の酸化スズウイスカは、長さ(L)が0.
1〜100μm、好ましくは0. 5〜50μm、太さ
(D)が0. 005〜5μm、好ましくは0. 01〜1
μm、長さと太さの比(以下、アスペクト比ということ
がある)が5以上、好ましくは10以上で、また好まし
くは結晶がC軸方向に成長した酸化スズウイスカであ
る。長さが0.1μmより短いと導電性の付与に有利で
なく、100μmよりも長いとプラスチックスや塗料等
のマトリクス成分中への分散が難しい。また、アスペク
ト比が5未満の場合、導電性の付与効果が不十分とな
る。
【0013】本発明の酸化スズウイスカの製造方法にお
いて、原料として用いられる酸化スズに転換し得る化合
物は、その種類や製造方法は特に限定されず、また公知
の化合物を用いることができる。例えば、液相法で製造
された酸化スズ粉末あるいは酸化スズ前駆体粉末、また
は気相法や固相法で製造された酸化スズ粉末、酸化スズ
粉末前駆体あるいは金属スズを用いることができる。原
料として用いられる酸化スズに転換し得る化合物は粉末
が好ましい。
【0014】本発明で用いられる酸化スズ前駆体として
は、例えば、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩、酢酸
塩、シュウ酸塩等を挙げることができる。具体的には、
メタスズ酸、炭酸第1スズ、炭酸第2スズ、硝酸第1ス
ズ、硝酸第2スズ、硫酸第1スズ、硫酸第2スズ、酢酸
第1スズ、酢酸第2スズ、シュウ酸第1スズ、シュウ酸
第2スズ、およびこれらを出発物質として、液相法によ
り得られる沈殿物等を挙げることができる。
【0015】本発明で用いられるハロゲンガスとして
は、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素ガスが挙げられ、価
格、取り扱い性等を考慮すると、特に塩素ガスが好まし
い。ハロゲン化水素ガスとしては、フッ化水素、塩化水
素、臭化水素、ヨウ化水素ガスが挙げられ、やはり価格
や取り扱い性の面から、塩化水素ガスが最も好ましい。
【0016】本発明で用いられるハロゲンガスおよび/
またはハロゲン化水素の濃度としては、特に制限はない
が、経済性、反応速度等を考慮すると、好ましくは1体
積%以上80体積%以下、さらに好ましくは10体積%
以上80体積%以下である。ハロゲンガスおよび/また
はハロゲン化水素の濃度が、1体積%未満の場合、反応
の進行が遅く長時間を要する場合がある。ハロゲンガス
および/またはハロゲン化水素の濃度が80体積%を超
えると、酸化スズウイスカの収率が低下する場合があ
る。
【0017】雰囲気ガス中に酸化性酸素含有ガスを含ま
せることが好ましい。酸化性酸素含有ガスとしては、酸
素、空気、水蒸気、酸化窒素などを用いることができ
る。工業的には、酸素、空気、水蒸気が好ましい。雰囲
気ガス中の酸化性酸素含有ガスの濃度は、好ましくは1
体積%以上90体積%以下、より好ましくは5体積%以
上50体積%以下である。酸化性酸素含有ガスの濃度が
1体積%未満の場合、反応の進行が遅く収率が低下する
場合がある。また90体積%を超えると、反応の進行が
遅くなる場合がある。
【0018】本発明における、雰囲気ガスの供給源や供
給方法は特に限定されない。原料化合物が存在する反応
系に雰囲気ガスを導入することができればよい。
【0019】例えば、雰囲気ガスの供給源としては、通
常、ボンベガスを用いることができるが、ハロゲン化ア
ンモニウム等のハロゲン化合物で、ハロゲン化水素やハ
ロゲンを含む雰囲気ガスを調製することもできる。原料
の酸化スズ粉末等と、ハロゲン化合物あるいはハロゲン
含有高分子化合物等を混合したものを焼成炉内で焼成す
ることによって雰囲気ガスを調製してもよい。
【0020】これらハロゲンガスおよび/またはハロゲ
ン化水素は、一般に液化ガスとしてボンベに充填されて
供給されるが、臭素のように液体や、ヨウ素のような固
体で用いられるもの、またフッ化アンモニウム、塩化ア
ンモニウム、臭化アンモニウム、ヨウ化アンモニウムを
熱分解させて対応するハロゲン化水素を発生させて使用
に供しても良い。さらに、フッ化リチウム、フッ化亜
鉛、等の金属フッ化物を、加熱下塩化水素と反応させて
フッ化水素を発生させるて用いる等の方法を採用するこ
ともできる。
【0021】雰囲気ガス中のハロゲンガスおよび/また
はハロゲン化水素の希釈ガスとしては、例えば、窒素、
アルゴン等の不活性ガス、ならびに上記した酸化性酸素
含有ガス、例えば、水蒸気、酸素あるいは空気を用いる
ことができる。ハロゲンガスおよび/またはハロゲン化
水素を含有する雰囲気ガスの圧力は特に限定されず、工
業的に用いられる範囲において任意に選ぶことができ
る。
【0022】ハロゲン化アンモニウム等の分解ガスを用
いる場合は、焼成炉内に固体物質が析出することによる
操業上の問題を生じることがあるので、ハロゲン化水素
ガス等は、ボンベ等から直接焼成炉内に供給することが
好ましい。雰囲気ガスの供給方法としては、連続方式ま
たは回分方式のいずれでも用いることができる。
【0023】本発明の方法によれば、上記の原料を、上
記の雰囲気ガス中で焼成することにより、この原料と雰
囲気ガスとの作用によって、原料の存在していた場所
に、酸化スズウイスカが成長する。したがって、例え
ば、原料を容器等に充填して、雰囲気ガス中で焼成を行
うだけで、目的とする酸化スズウイスカを得ることがで
きる。
【0024】適切な焼成温度は、目的とする酸化スズウ
イスカの大きさ、雰囲気ガス中のハロゲン化水素または
ハロゲンガスの濃度及び焼成時間にも依存するので、必
ずしも限定されないが、600℃以上、好ましくは90
0℃以上1500℃以下の範囲で選ばれる。焼成温度が
600℃未満の場合は、目的とする酸化スズウイスカを
得ることが困難となり、あるいは焼成に時間を要し、焼
成温度が1500℃を越えると収率が低下する場合があ
る。
【0025】適切な焼成時間は、目的とする酸化スズウ
イスカの大きさ、雰囲気ガス中のハロゲン化水素または
ハロゲンガスの濃度および焼成温度にも依存するので、
必ずしも限定されないが、好ましくは1分以上、より好
ましくは10分以上で、目的とする酸化スズウイスカが
得られる時間の範囲で選ばれる。焼成温度が高いほど焼
成時間は短くてよい。
【0026】原料化合物に種晶を添加して焼成すること
ができる。種晶を添加して焼成する場合、酸化スズウイ
スカは該種晶を核としてそのまわりに成長するので、種
晶を用いない場合と比べて焼成温度を下げたり、収率を
上げたり、また焼成時間を短くすることができる。
【0027】焼成装置は必ずしも限定されず、いわゆる
焼成炉を用いることができる。焼成炉はハロゲン化水素
ガスやハロゲンガスに腐食されない材質で構成されてい
ることが望ましく、さらには雰囲気ガスの濃度を調整で
きる機構を備えていることが望ましい。
【0028】また、ハロゲン化水素ガスやハロゲンガス
等の酸性ガスを用いるので、焼成炉には気密性があるこ
とが好ましい。工業的には連続方式で焼成することが好
ましく、例えば、トンネル炉、ロータリーキルン或いは
プッシャー炉等を用いることができる。
【0029】焼成工程の中で用いられる原料粉末を充填
する容器の材質としては、酸性の雰囲気中で反応が進行
するので、アルミナ製、石英製、耐酸レンガ、グラファ
イト或いは白金等の貴金属製のルツボやボート等の容器
を用いることが望ましい。
【0030】導電性が特に優れた酸化スズウイスカを製
造するためには、アンチモン、ビスマスなどの元素の酸
化物を添加することが好ましい。それらの添加量は酸化
物換算で好ましくは1〜20重量%、より好ましくは2
〜15重量%である。該元素としてはアンチモンが特に
好ましい。このようにして、抵抗率が10-2Ωcm以下
の導電性材料を得ることができる。
【0031】該元素の酸化物の添加する方法としては、
原料の酸化スズおよび/または酸化スズに転換し得る化
合物に、該元素の酸化物および/または該酸化物に転換
し得る化合物を混合して、上記した製造方法で酸化スズ
ウイスカを製造する方法を用いる。また、一旦上記した
製造方法で酸化スズウイスカを合成した後に、該元素の
酸化物および/または該酸化物に転換し得る化合物を加
えて再焼成する方法を用いることもできる。該元素の酸
化物および/または該酸化物に転換し得る化合物として
は、酸化アンチモンおよび/または酸化アンチモンに転
換し得る化合物が特に好ましい。
【0032】上記の製造方法によって、本発明の酸化ス
ズウイスカを得ることができる。用いる原料化合物ある
いは製造条件によっては焼成物が凝集していることもあ
るが、その場合においても凝集は軽度なものであり、簡
単な解砕を行うことによって容易に凝集していない酸化
スズウイスカを製造することができる。
【0033】また、用いる原料あるいは製造条件によっ
ては、目的とする酸化スズウイスカの他に、未反応の原
料酸化物等が残存することがあるが、その場合において
も残存量はわずかなものであり、簡単な洗浄等の分離を
行うことによって容易に目的とする酸化スズウイスカを
製造することができる。
【0034】本発明の方法によって得られる酸化スズウ
イスカは、その長さ(L)は、0.1〜100μm、好
ましくは0. 5〜50μm程度、太さ(D)は0. 00
5〜5μm程度、好ましくは0. 01〜1μm程度、ア
スペクト比(L/D)は5以上、好ましくは10以上の
ものであり、また好ましくはC軸方向に成長したもので
ある。
【0035】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれらに限定されるものではない。な
お、本発明における、各種の測定はつぎのようにして行
った。
【0036】1.酸化スズウイスカの形状(長さ、太
さ) 酸化スズウイスカの走査型電子顕微鏡(日本電子(株)
製、T−300型、日立(株)製、Sー800、Sー9
00型)写真を写し、その写真から長さと太さを求め
た。
【0037】2.酸化スズウイスカの結晶相 酸化スズウイスカの結晶相をX線回折法((株)リガク
製、RAD−C)によって求めた。
【0038】原料化合物の粉末を、アルミナ製或いは白
金製の容器に充填した。充填する深さは5mmとした。
焼成は石英製炉芯管或いはアルミナ製炉芯管を用いた管
状炉((株)モトヤマ製)で行った。空気或いは窒素ガ
スを流通させつつ、300〜600℃/時間の範囲で昇
温し、雰囲気ガスの導入温度に到ったとき雰囲気ガスを
導入した。雰囲気ガス濃度の調整は、流量計によりガス
流量の調整によって行った。雰囲気ガスの全圧はすべて
1気圧であった。
【0039】所定の温度に到った後はその温度にて所定
の時間保持した。これをそれぞれ保持温度(焼成温度)
および保持時間(焼成時間)と称する。所定の保持時間
の経過後、自然放冷して目的とする酸化スズウイスカを
得た。
【0040】実施例1 メタスズ酸粉末(日本化学産業)1gを白金製容器に充
填した。ついで、石英製炉芯管にセットし、450℃/
時間で昇温し、800℃に至ってから、塩化水素および
空気をそれぞれ30ml/分(塩化水素ガス50体積
%、酸素約10体積%、窒素約40体積%)で流通させ
ながら、1100℃で30分間焼成した後自然放冷し
て、酸化スズウイスカを得た。
【0041】得られた酸化スズウイスカのX線回折パタ
ーンを図1に示す。この分析の結果、本実施例で得られ
たウイスカの結晶形はルチル型であり、それ以外のピー
クは見られなかった。また、結晶はC軸方向に発達して
いることがわかった。走査型電子顕微鏡による観察の結
果、ウイスカの平均長さは約5μm、平均太さは約0.
05μmであり、アスペクト比は約100であった。得
られたウイスカの走査電子顕微鏡写真を図2に示す。ま
た、透過電子顕微鏡写真および電子線回折写真を図3に
示す。この図から、ウイスカはC軸方向に伸びているこ
とがわかる。
【0042】実施例2 酸化アンチモン粉末(和光純薬)6g、メタスズ酸粉末
(日本化学産業)100gをエタノール中でボールミル
混合した後、ロータリーエバポレータで乾燥して粉末を
得た。この粉末1gを白金製容器に充填した。ついで、
石英製炉芯管にセットし、塩化水素ガスを30ml/
分、空気を70ml/ 分、室温から流通させながら、6
00℃/時間で昇温し、1000℃で180分間焼成し
た後自然放冷して、酸化アンチモンドープされた高導電
性の酸化スズウイスカを得た。
【0043】得られた酸化スズウイスカのX線回折によ
る分析の結果を図4に示すが、ルチル型であり、それ以
外のピークは見られなかった。走査型電子顕微鏡による
観察の結果、ウイスカの平均長さは約5μm、平均太さ
は約0. 05μmであり、アスペクト比は約100であ
った。
【0044】実施例3 金属スズ粉末(和光純薬)1gを白金製容器に充填し
た。ついで、石英製炉芯管に別のボートに入れた臭化ア
ンモニウム3gと共にセットし、空気を室温から20m
l/分で流通させながら、600℃/時間で昇温し、1
100℃で60分間焼成した後自然放冷して、酸化スズ
ウイスカを得た。得られた酸化スズウイスカは、X線回
折による分析の結果、ルチルであり、それ以外のピーク
は見られなかった。走査型電子顕微鏡による観察の結
果、ウイスカの平均長さは約1μm、平均太さは約0.
02μmであり、アスペクト比は約50であった。
【0045】比較例1 実施例1で用いたメタスズ酸の粉末1gを白金製容器に
充填した。ついで、石英製炉芯管にセットし、空気を室
温から30ml/分で流通させながら、600℃/時間
で昇温し、1100℃で90分間焼成した後自然放冷し
て、酸化スズ粉末を得た。粉末X線回折分析の結果、得
られた酸化スズ粉末の結晶形はルチルであった。走査型
電子顕微鏡による観察の結果、得られた酸化スズ粉末は
等方的であり、数平均粒径は0.3μmであった。得ら
れた粉末の電子顕微鏡写真を図5に示す。X線回折では
結晶化していたが、走査電子顕微鏡では酸化スズウイス
カは認められなかった。
【0046】本発明により得られる酸化スズウイスカの
応用例としては、帯電防止用フィラーとしてペイントや
プラスチック成形体に混入したり、また透明導電性材料
として透明塗料に配合する等が挙げられる。
【0047】
【発明の効果】本発明の酸化スズウイスカは、凝集が少
なくマトリクスへの分散性に優れているので、特に導電
性を付与する目的のフィラーや顔料など分散状態で使用
される酸化スズとして好適に使用できる。具体的には、
上記した帯電防止用フィラーや透明導電性材料等の用途
に広く用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の酸化スズウイスカのX線回折図を示
す。
【図2】実施例1で観察された酸化スズウイスカの結晶
構造を示す。図面に代わる写真。走査電子顕微鏡写真。
【図3】実施例1で観察された酸化スズウイスカの結晶
構造を示す。図面に代わる写真。透過電子顕微鏡写真お
よび電子線回折写真。
【図4】実施例2の酸化スズウイスカのX線回折図を示
す。
【図5】比較例1で観察された酸化スズ粉末の粒子構造
を示す。図面に代わる写真。走査電子顕微鏡写真。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】長さ0.1〜100μm、太さ0. 005
    〜5μm、長さと太さの比が5以上であることを特徴と
    する酸化スズウイスカ。
  2. 【請求項2】長さ0.1〜100μm、太さ0. 005
    〜5μm、長さと太さの比が5以上であり、アンチモン
    またはビスマスの含有量が酸化物換算で1〜20重量%
    の範囲にあることを特徴とする酸化スズウイスカ。
  3. 【請求項3】C軸方向に成長した結晶であることを特徴
    とする請求項1または2記載の酸化スズウイスカ。
  4. 【請求項4】酸化スズおよび/または酸化スズに転換し
    得る化合物を、ハロゲンガスおよび/またはハロゲン化
    水素ガスの存在下、600℃以上の温度で加熱すること
    を特徴とする、長さ0.1〜100μm、太さ0. 00
    5〜5μm、長さと太さの比が5以上である酸化スズウ
    イスカの製造方法。
  5. 【請求項5】酸化スズおよび/または酸化スズに転換し
    得る化合物と、アンチモンまたはビスマスの酸化物およ
    び/または該酸化物に転換し得る化合物を、ハロゲンガ
    スおよび/またはハロゲン化水素ガスの存在下、600
    ℃以上の温度で加熱することを特徴とする、長さ0.1
    〜100μm、太さ0. 005〜5μm、長さと太さの
    比が5以上で、アンチモンまたはビスマスの含有量が酸
    化物換算で1〜20重量%の範囲にあることを特徴とす
    る酸化スズウイスカの製造方法。
  6. 【請求項6】結晶がC軸方向に成長したものである請求
    項4または5記載の酸化スズウイスカの製造方法。
  7. 【請求項7】ハロゲンガスおよび/またはハロゲン化水
    素ガス並びに酸化性酸素含有ガスの存在下で加熱するこ
    とを特徴とする請求項4または5記載の酸化スズウイス
    カの製造方法。
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