JP2000264976A - 難燃性塩化ビニル系樹脂成形体 - Google Patents

難燃性塩化ビニル系樹脂成形体

Info

Publication number
JP2000264976A
JP2000264976A JP6794599A JP6794599A JP2000264976A JP 2000264976 A JP2000264976 A JP 2000264976A JP 6794599 A JP6794599 A JP 6794599A JP 6794599 A JP6794599 A JP 6794599A JP 2000264976 A JP2000264976 A JP 2000264976A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
vinyl chloride
weight
parts
chloride resin
titanium oxide
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP6794599A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3558915B2 (ja
Inventor
Kenji Watanabe
健治 渡辺
Munehiko Oritani
宗彦 折谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Takiron Co Ltd
Original Assignee
Takiron Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Takiron Co Ltd filed Critical Takiron Co Ltd
Priority to JP6794599A priority Critical patent/JP3558915B2/ja
Priority to US09/304,983 priority patent/US6316118B1/en
Publication of JP2000264976A publication Critical patent/JP2000264976A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3558915B2 publication Critical patent/JP3558915B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Cleaning Or Drying Semiconductors (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 クリーンルーム材料のFM規格を満足する難
燃性塩化ビニル樹脂成形体であって、充分な強度、耐薬
品性、曲げ加工性等を備えた成形体を提供する。 【解決手段】 塩化ビニル系樹脂100重量部に対し
て、酸化チタンを4〜30重量部、難燃助剤として亜鉛
化合物、モリブデン化合物、リン化合物のいずれか一種
又は二種以上を1〜10重量部含有させて難燃性塩化ビ
ニル系樹脂成形体を構成する。酸化チタンの熱遮断作用
と炭化促進作用によって難燃性が高められ、更に難燃助
剤によって相乗的に炭化促進作用が高められるので、酸
化チタンの含有量を4〜30重量部、難燃助剤の含有量
を1〜10重量部とそれぞれ少なくしても、FM規格を
充分に満足する難燃性に優れた成形体となる。酸化チタ
ンの含有量が0〜20重量部、難燃助剤の含有量が0〜
8重量部の表面層を少なくとも片面に積層して耐薬品性
などを併せて向上させるのがよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、FM規格(ファク
トリー・ミューチアル・リサーチ・コーポレーションの
定める難燃性の評価基準)を満足する難燃性塩化ビニル
系樹脂成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】塩化ビニル樹脂は成形性が良く、機械的
強度が高く、安価であって、耐薬品性が良好であるた
め、工業用材料、特に耐食工業用材料として半導体製造
装置をはじめ、あらゆる分野に広く利用されている。
【0003】しかし、塩化ビニル樹脂は塩素を多量に含
むので、難燃性を有する反面、耐熱性が悪く、そのた
め、塩化ビニル樹脂の成形体を半導体製造装置等に用い
ると、火災が発生したときに該樹脂が高熱により分解し
て煙や腐食性ガスを出し、製造施設内の空気清浄度が低
下して、製造装置類、機器類、半導体部品などが汚染さ
れたり侵されたりする恐れがあった。
【0004】かかる事情から、一般に難燃性を有すると
言われている塩化ビニル樹脂であっても、近年、火災時
の難燃性と発煙の抑制と腐食性ガス発生の抑制が要求さ
れるようになり、この要求は保険組織で特に強く、北米
を根拠地とする産業相互保険組織であるファクトリー・
ミューチアル・システムを構成している、ファクトリー
・ミューチアル・リサーチ・コーポレーション(Fac
tory Mutual Research Corp
oration)の定める評価基準が有効に利用されて
いる。
【0005】この評価基準は、Class Numbe
r 4910として挙げられているクリーンルーム材料
の難燃性テスト(FMRC Clean Room M
aterials Flammability Tes
t Protocol)(以下、FM規格という)に基
づく難燃性を示す難燃指数FPIが6以下、発煙性を示
す発煙指数SDIが0.4以下、腐食性ガス発生を示す
腐食指数CDIが1.1以下というものであり、これら
を同時に満足することが要求されている。
【0006】本発明者らは、上記のFM規格によるFP
I、SDI、CDIの各基準を同時に満足する難燃性塩
化ビニル樹脂成形体を開発すべく研究を重ねた結果、塩
化ビニル樹脂100重量部に対して、炭酸カルシウムと
タルクと無機質の塩素捕獲化合物を、その合計量が26
〜60重量部の範囲内となるように特定の割合で含有さ
せた塩化ビニル樹脂成形体は、上記の各基準を同時に満
足する優れた難燃性を備えていることを見出し、この難
燃性塩化ビニル樹脂成形体を既に出願した。
【0007】また、塩化ビニル樹脂100重量部に対し
て、酸化チタンを5〜50重量部の範囲内で含有させた
塩化ビニル樹脂成形体も、上記の各基準を同時に満足す
る優れた難燃性を備えていることを見出し、この成形体
も既に出願した。
【0008】これらの塩化ビニル樹脂成形体は、いずれ
も優れた難燃性を有するものであるが、その反面、次の
ような問題があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】即ち、前者の難燃性塩
化ビニル樹脂成形体は、塩化ビニル樹脂100重量部に
対して、炭酸カルシウム、タルク、塩素捕獲化合物など
の無機フィラーを26〜60重量部と多量に含有させる
ため、実用に耐える強度を有するとは言うものの強度が
十分でなく、特に、炭酸カルシウムは無機フィラーの中
では薬品に弱いので、成形体の耐薬品性もあまり良くな
いという問題があった。
【0010】一方、後者の難燃性塩化ビニル樹脂成形体
は、含有させる酸化チタンの量をある程度以上にしない
と、安定してFM規格を満足する成形体を得ることが難
しいという問題があり、また、酸化チタンの量をできる
だけ少なくして塩化ビニル樹脂本来の耐薬品性や物性を
得ることがさらに要求された。
【0011】そこで、本発明者らは、FM規格を満足す
るだけでなく、十分な強度、耐薬品性、曲げ変形性など
を兼ね備えた難燃性塩化ビニル系樹脂成形体の開発を目
的として更に研究を重ねた結果、酸化チタンと特定の難
燃助剤を併用して塩化ビニル系樹脂に含有させる場合に
は、上記の目的を達成できるという事実を見出し、本発
明を完成するに至った。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に係る
難燃性塩化ビニル系樹脂成形体は、塩化ビニル系樹脂1
00重量部に対して、酸化チタンを4〜30重量部、難
燃助剤として亜鉛化合物、モリブデン化合物、リン化合
物のいずれか一種又は二種以上を1〜10重量部含有せ
しめたことを特徴とするものである。
【0013】酸化チタンは、白色度が高く、1200〜
1300℃まで分解しない無機粒子であり、これを上記
の難燃助剤と共に塩化ビニル系樹脂に含有させると、何
故に難燃性が向上し発煙量やガス発生量が減少するの
か、その理由(作用)については明らかでないが、一応
次のように考えられる。
【0014】一般に、塩化ビニル系樹脂成形体に外部か
ら過度の熱が加わると、塩化ビニル系樹脂中の塩素が熱
により離脱して難燃作用を発揮すると共に、塩素の離脱
した樹脂が熱分解して燃焼に至る。この過程において酸
化チタンが存在すると、該酸化チタンは1200〜13
00℃の高温まで分解することなく、その高い白色度に
よって外部からの熱を遮断する働き(熱遮断作用)をす
ると共に、塩素離脱後の樹脂の熱分解及び燃焼の段階で
は高い熱伝導率によって該樹脂をより速く炭化させる働
き(炭化促進作用)をするため、塩化ビニル系樹脂成形
体の難燃性が向上すると考えられる。この酸化チタンの
炭化促進作用は上記の難燃助剤の併用によって相乗的に
高められるため、酸化チタンの含有割合を塩化ビニル系
樹脂100重量部に対して4〜30重量部と少なくして
も、FM規格のFPI、SDI、CDIを全て満足する
難燃性に優れた塩化ビニル系樹脂成形体を得ることがで
きる。このように少量の酸化チタンを僅かな難燃助剤と
併用して含有させた難燃性塩化ビニル系樹脂成形体は、
耐薬品性、強度、曲げ加工性などが良好である。なお、
上記の難燃助剤のうちリン酸エステルなどのリン化合物
は、それ自体で難燃剤としても使用されるものであり、
酸化チタンと併用するとFM規格のCDIを減少させる
のに特に有効である。
【0015】酸化チタンの含有割合は、難燃助剤を併用
すると、上記の如く塩化ビニル系樹脂100重量部に対
して4〜30重量部と少なくすることができ、併用する
難燃助剤の含有割合も1〜10重量部と僅かにすること
ができる。酸化チタンを30重量部より多量に含有さ
せ、難燃助剤を10重量部より多量に含有させると、難
燃性は顕著に向上するが、成形体の耐薬品性、強度、曲
げ加工性などが低下する。一方、酸化チタンを4重量部
より少なく含有させ、難燃助剤を1重量部より少なく含
有させると、外部からの熱遮断作用や炭化促進作用が不
充分になって、FM規格の各基準を全て満足する難燃性
塩化ビニル系樹脂成形体を得ることが困難となる。
【0016】尚、上記請求項1の難燃性塩化ビニル系樹
脂成形体は、単層構造の成形体のみならず積層構造の成
形体まで含むものであり、例えば、積層構造の成形体に
おいて、酸化チタンや難燃助剤の含有割合が上記の範囲
外にある塩化ビニル系樹脂層が含まれているような場合
でも、成形体全体として、酸化チタンや難燃助剤の含有
割合が上記の範囲内にあれば、請求項1の発明に包含さ
れることになる。
【0017】次に、本発明の請求項2に係る難燃性塩化
ビニル系樹脂成形体は、基層の少なくとも片面に表面層
を積層一体化した成形体であって、基層は、塩化ビニル
系樹脂100重量部に対して、酸化チタンを4〜30重
量部、難燃助剤として亜鉛化合物、モリブデン化合物、
リン化合物のいずれか一種又は二種以上を1〜10重量
部含有せしめた層であり、表面層は、酸化チタンの含有
割合及び難燃助剤の含有割合が基層のそれらより少なく
なるように、塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、
酸化チタンを0〜20重量部、難燃助剤として亜鉛化合
物、モリブデン化合物、リン化合物のいずれか一種又は
二種以上を0〜8重量部含有せしめた層であることを特
徴とするものである。
【0018】この難燃性塩化ビニル系樹脂成形体は、表
面層の酸化チタン及び難燃助剤の含有割合が基層のそれ
らよりも少ないので、成形体表面(表面層)が塩化ビニ
ル系樹脂本来の優れた耐薬品性及び耐食性と殆ど変わら
ない耐薬品性及び耐食性を有している。しかも、基層は
前述した請求項1の難燃性塩化ビニル系樹脂成形体と同
じ組成の層であり、上記のように表面層にも酸化チタン
や難燃助剤が含まれているので、この成形体は全体とし
てFM規格の各基準を全て満足する難燃性と優れた耐薬
品性及び耐食性を有し、強度や曲げ加工性なども良好で
ある。
【0019】表面層の酸化チタンの含有割合は上記のよ
うに塩化ビニル系樹脂100重量部に対して20重量部
以下、難燃助剤の含有割合は8重量部以下とすることが
必要であり、酸化チタンや難燃助剤の含有割合がそれぞ
れの上限を越えると、表面層の優れた耐薬品性や耐食性
の低下を招き、実用的でなくなる。
【0020】次に、本発明の請求項3に係る難燃性塩化
ビニル系樹脂成形体は、基層の少なくとも片面に表面層
を積層一体化した成形体であって、基層は、塩化ビニル
系樹脂100重量部に対して、酸化チタンを5〜50重
量部含有せしめた層であり、表面層は、塩化ビニル系樹
脂100重量部に対して、酸化チタンを4〜30重量
部、難燃助剤として亜鉛化合物、モリブデン化合物、リ
ン化合物のいずれか一種又は二種以上を1〜10重量部
含有せしめた層であることを特徴とするものである。
【0021】この成形体の基層は、酸化チタンの含有量
が5〜50重量部と多いため、難燃助剤が含有されてな
くとも優れた難燃性を有しており、しかも、表面層は前
述した請求項1の成形体と同じ組成を有する難燃性に優
れた層で、耐薬品性や曲げ加工性などの良好な層である
から、この成形体は全体としてFM規格の各基準を全て
満足する難燃性を有し、耐薬品性や耐食性が良好で、曲
げや溶接などの二次加工性が良好である。
【0022】基層の酸化チタンの含有割合は、塩化ビニ
ル系樹脂100重量部に対して5〜50重量部とするこ
とが必要で、5重量部より少なくなると、基層の難燃性
が低下するため、FM規格の各基準を全て満足する成形
体を得ることが困難となり、50重量部より多くなる
と、基層の成形性、曲げ加工性、強度などが低下するた
め、工業用材料として実用し難い成形体になる。
【0023】次に、本発明の請求項4に係る難燃性塩化
ビニル系樹脂成形体は、上記請求項2又は3の成形体に
おいて、基層の塩化ビニル系樹脂の塩素化度が58%以
上、73%以下であり、表面層の塩化ビニル系樹脂の塩
素化度が50%以上、58%未満であることを特徴とす
るものである。
【0024】酸化チタンによる炭化促進作用は塩化ビニ
ル系樹脂の塩素化度が高くなるほど強くなり、一方、耐
薬品性は塩化ビニル系樹脂の塩素化度が高くなるほど低
下する。従って、上記の成形体のように、基層の塩化ビ
ニル系樹脂の塩素化度が58%以上、73%以下と高
く、表面層の塩化ビニル系樹脂の塩素化度が50%以
上、58%未満と高くないものは、基層が優れた難燃性
を発揮し、表面層が良好な耐薬品性を発揮するので、難
燃性と耐薬品性のバランスがとれた成形体となる。
【0025】基層の塩化ビニル系樹脂の塩素化度が73
%より高くなると、基層の難燃性は更に向上するけれど
も、製造が困難になり、また、熱安定性、成形性、曲げ
加工性などが低下するようになる。一方、58%より低
くなると、基層の難燃性が顕著でなくなる。また、表面
層の塩化ビニル系樹脂の塩素化度が50%より低くなる
と、表面層の難燃性が低下し、58%より高くなると、
表面層の耐薬品性、耐食性等が顕著でなくなる。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明の具体的な実施形態
を説明する。
【0027】本発明の難燃性塩化ビニル系樹脂成形体
は、全体が同じ組成の単層構造の成形体と、組成が層ご
とに異なる積層構造の成形体とに大別される。
【0028】第一の実施形態に係る単層構造の塩化ビニ
ル系樹脂成形体Aは、塩化ビニル系樹脂100重量部に
対して、酸化チタンを4〜30重量部、難燃助剤として
亜鉛化合物、モリブデン化合物、リン化合物のいずれか
一種又は二種以上を1〜10重量部含有せしめたもので
あり、この成形体Aには、成形に必要な鉛系又は錫系の
安定剤、滑剤、加工助剤、着色剤などが適量配合され
る。
【0029】塩化ビニル系樹脂としては、(a)塩素化
度が約56%の一般の塩化ビニル樹脂、(b)塩素化度
が58〜73%の後塩素化塩化ビニル樹脂、(c)これ
らの塩化ビニル樹脂を混合した樹脂、(d)これらの塩
化ビニル樹脂に酢酸ビニル樹脂やアクリル樹脂等を混合
した樹脂、(e)塩化ビニルと酢酸ビニルやエチレン等
との共重合樹脂などが使用される。
【0030】(a)の一般の塩化ビニル樹脂は、耐薬品
性に優れた成形体Aを得る場合に特に有効であり、
(b)の後塩素化塩化ビニル樹脂は、炭化促進作用が大
きいので難燃性に優れた成形体Aを得る場合に特に有効
であり、(c)の混合樹脂は、耐薬品性と難燃性のバラ
ンスが良い成形体Aを得る場合に特に有効であり、
(d)の混合樹脂や(e)の共重合樹脂は、成形性や曲
げ加工性(伸び)などの物性を改善した成形体Aを得る
場合に特に有効である。(c)や(d)や(e)の樹脂
は、その平均塩素化度を50〜73%となるように混合
したり、共重合したりして、難燃性を保つようにしてお
くことが好ましい。
【0031】一方、酸化チタンとしては、0.1〜0.
5μm程度の平均粒径を有する粉体が好ましく使用され
る。このような酸化チタンの粉体は、塩化ビニル系樹脂
との混練性が良く、均一な分散状態で含有させることが
できるからである。特に、表面をアルミナで被覆した酸
化チタンの粉体は好適であり、このような被覆粉体を含
有させると、燃焼時に酸化チタンとアルミナの相乗作用
によって塩化ビニル系樹脂の炭化が更に促進されると共
に、アルミナによって煙やガス等が吸着されるため、燃
焼指数FPI、発煙指数SDI、腐食指数CDIの全て
の数値が小さい成形体Aを得ることが可能となる。
【0032】また、難燃助剤としては、上記の酸化チタ
ンと相乗して炭化促進作用を高めることができる亜鉛化
合物、モリブデン化合物、リン化合物が選択使用され、
これらは単独で又は二種以上混合して塩化ビニル系樹脂
に含有される。亜鉛化合物としては、錫酸亜鉛、ホウ酸
亜鉛、ステアリン酸亜鉛やラウリン酸亜鉛等の亜鉛石鹸
である有機系亜鉛などが用いられる。また、モリブデン
化合物としては、酸化モリブデン、モリブデン酸カルシ
ウム、モリブデン酸亜鉛、モリブデン酸カルシウム亜
鉛、オクタモリブデン酸アンモンなどが用いられ、リン
化合物としては、リン酸エステル、含ハロゲンリン酸エ
ステル、ポリリン酸塩、赤リンなどが用いられる。これ
らの各化合物のうち、錫酸亜鉛は耐熱性、耐薬品性が他
より優れ、モリブデン酸カルシウム亜鉛やモリブデン酸
亜鉛は耐薬品性、取り扱い性が他より優れていて有用で
ある。また、リン酸エステルは、既述したように成形体
Aの腐食指数CDIを低下させるのに有効である。
【0033】上記の酸化チタンと難燃助剤を併用して含
有させた塩化ビニル系樹脂成形体Aは、既述したように
燃焼時に酸化チタンが熱遮断作用と炭化促進作用を発揮
し、難燃助剤が相乗的に炭化促進作用を高める働きをす
るので、酸化チタンや難燃助剤の含有割合が少なくても
難燃性が顕著に向上する。そのため、酸化チタンの含有
割合を塩化ビニル系樹脂100重量部に対して4〜30
重量部と少なくし、難燃助剤の含有割合を1〜10重量
部と僅かにしても、FM規格のFPI、SDI、CDI
を全て満足する難燃性に優れた塩化ビニル系樹脂成形体
Aとなる。このような成形体Aは、酸化チタンや難燃助
剤の含有割合が少ないので、耐薬品性、強度、曲げ加工
性などが良好である。
【0034】酸化チタンの含有割合を塩化ビニル系樹脂
100重量部に対して4〜30重量部の範囲内とした臨
界的意義、及び、難燃助剤の含有割合を1〜10重量部
の範囲内とした臨界的意義は、既に説明した通りである
ので再度の説明は省略する。尚、酸化チタンの好ましい
含有割合は5〜25重量部であり、更に好ましい含有割
合は7〜15重量部である。また、難燃助剤の好ましい
含有割合は3〜7重量部である。
【0035】この成形体Aの厚さは用途などを考慮して
適宜決定すればよいが、通常、3〜15mm程度の厚さ
にすると、十分な実用強度を付与することができる。
【0036】以上のような単層構造の難燃性塩化ビニル
系樹脂成形体Aは、酸化チタンと難燃助剤と他の添加剤
(安定剤、滑剤、加工助剤、着色剤等)を配合した塩化
ビニル系樹脂組成物を、溶融押出成形、カレンダープレ
ス、射出成形、その他の公知の成形手段によって、平板
やパイプや丸棒や溶接棒やアングル等の異形品など所望
の単層形状に成形したものであり、そのまま、或は、二
次加工して、各種の用途、特に半導体製造装置などに好
適に使用される。
【0037】次に、本発明の積層構造の難燃性塩化ビニ
ル系樹脂成形体は、その基層に酸化チタンと難燃助剤を
併用して含有させた第二の実施形態に係る成形体Bと、
その基層に酸化チタンのみを含有させた第三の実施形態
に係る成形体Cに分かれる。
【0038】即ち、第二の実施形態に係る塩化ビニル系
樹脂成形体Bは、基層の少なくとも片面に表面層を積層
一体化した成形体であって、基層は、塩化ビニル系樹脂
100重量部に対して、酸化チタンを4〜30重量部、
難燃助剤として前述した亜鉛化合物、モリブデン化合
物、リン化合物のいずれか一種又は二種以上を1〜10
重量部含有せしめた層からなり、表面層は、酸化チタン
の含有割合及び難燃助剤の含有割合が基層のそれらより
少なくなるように、塩化ビニル系樹脂100重量部に対
して、酸化チタンを0〜20重量部、難燃助剤として前
述した亜鉛化合物、モリブデン化合物、リン化合物のい
ずれか一種又は二種以上を0〜8重量部含有せしめた層
からなるものである。そして、これらの基層や表面層に
は、鉛系又は錫系の安定剤、滑剤、加工助剤、着色剤な
どが適量配合される。
【0039】この成形体Bの基層は、前述した塩化ビニ
ル系樹脂成形体Aと同じ組成の難燃性に優れた層であ
り、しかも、表面層は酸化チタンや難燃助剤の含有割合
が基層よりも少なく、塩化ビニル系樹脂本来の優れた耐
薬品性及び耐食性が酸化チタン等によって殆ど低下する
ことのない層であるから、この成形体Bは全体としてF
M規格の各基準を全て満足する難燃性と優れた耐薬品性
及び耐食性を併せ持ち、強度や曲げ加工性なども良好で
ある。
【0040】このような積層構造の成形体Bにおいて
は、基層の塩化ビニル系樹脂として、塩素化度が58%
以上、73%以下のものを使用することが好ましく、表
面層の塩化ビニル系樹脂として、塩素化度が50%以
上、58%未満のものを使用することが好ましい。酸化
チタンによる炭化促進作用は塩化ビニル系樹脂の塩素化
度が高くなるほど強くなり、一方、耐薬品性は塩化ビニ
ル系樹脂の塩素化度が高くなるほど低下するので、この
成形体Bのように、基層の塩化ビニル系樹脂の塩素化度
が高く、表面層の塩化ビニル系樹脂の塩素化度が高くな
いものは、基層が更に優れた難燃性を具備し、表面層が
更に良好な耐薬品性を具備することになる。
【0041】塩素化度が73%より高い塩化ビニル系樹
脂は、製造が困難であり、また、熱安定性、成形性、曲
げ加工性なども悪いので、基層の樹脂として不適当であ
る。一方、塩素化度が58%より低い塩化ビニル系樹脂
は、酸化チタンと難燃助剤による難燃性の向上がそれほ
ど顕著ではないので、基層の樹脂としてあまり好ましく
ない。また、塩素化度が58%以上の塩化ビニル系樹脂
は、耐薬品性や伸びがあまり良くなく、曲げ加工がし辛
いので、表面層の樹脂としては好ましくなく、塩素化度
が50%より低い塩化ビニル系の樹脂は、酸化チタンと
難燃助剤の含有割合を多くしなければ難燃性が向上しな
いので、表面層の樹脂としてやはり好ましくない。
【0042】塩素化度が58%以上、73%以下の塩化
ビニル系樹脂としては、既述した塩素化度が58〜73
%の後塩素化塩化ビニル樹脂や、この後塩素化塩化ビニ
ル樹脂に塩素化度が約56%の一般の塩化ビニル樹脂、
酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニ
ル共重合樹脂、塩化ビニル−エチレン共重合樹脂などを
平均の塩素化度が58〜73%の範囲内となるように混
合した樹脂が使用される。
【0043】一方、塩素化度が50%以上、58%未満
の塩化ビニル系樹脂としては、塩素化度が約56%の一
般の塩化ビニル樹脂、塩素化度が50〜56%の塩化ビ
ニル−酢酸ビニル共重合樹脂、塩素化度が50〜56%
の塩化ビニル−エチレン共重合樹脂などが単独で又は二
種以上混合して好適に使用される。このうち、耐薬品性
が最も良好な一般の塩化ビニル樹脂が最も好ましく用い
られる。
【0044】尚、基層の塩化ビニル系樹脂として、塩素
化度が約56%の一般の塩化ビニル樹脂や、この一般の
塩化ビニル樹脂に酢酸ビル樹脂、アクリル樹脂、上記の
共重合樹脂などを混合した樹脂を使用しても良いことは
勿論であり、その場合でも酸化チタンと難燃助剤を前記
の割合で含有させることによって、FM規格の全ての基
準を満足する難燃性を備えた成形体Bが得られることは
言うまでもない。
【0045】上記のように、表面層は成形体Bの耐薬品
性や耐食性を更に改善するためのものであるから、基層
の両面に形成することが望ましいが、基層の片面にのみ
形成してもよい。その場合、基層の厚みは、実用強度が
得られるように2〜12mm程度に設定することが好ま
しく、表面層の厚みは0.2〜1.6mmに設定するの
が好ましい。表面層を0.2mmより薄く形成すると、
初期の耐薬品性や耐食性は良好であるが、長期になると
薬品が表面層を侵して基層にまで達するので好ましくな
く、逆に1.6mmより厚く形成すると、成形体B全体
に対する表面層の体積比率が増加し、その分だけ基層の
体積比率が減少して難燃性が低下するため、FM規格の
各基準を安定して満足する成形体を得ることが難しくな
る。表面層の更に好ましい厚さは0.4〜1.1mmで
ある。
【0046】表面層の酸化チタンの含有割合は、塩化ビ
ニル系樹脂100重量部に対して最大でも20重量部以
下、難燃助剤の含有割合は最大でも8重量部以下とする
必要がある。このように上限を定めた臨界的意義は既に
説明した通りであるので、再度の説明は省略する。尚、
表面層の酸化チタンの好ましい含有割合は塩化ビニル系
樹脂100重量部に対して3〜15重量部の範囲内、難
燃助剤の好ましい含有割合は2〜7重量部の範囲内であ
る。
【0047】以上のような積層構造の難燃性塩化ビニル
系樹脂成形体Bは、酸化チタンや難燃助剤や他の添加剤
を配合した基層成形用の塩化ビニル系樹脂組成物(好ま
しくは塩素化度58%以上、73%以下の塩化ビニル系
樹脂組成物)と、この組成物よりも酸化チタンや難燃助
剤の配合量が少ない表面層成形用の塩化ビニル系樹脂組
成物(好ましくは塩素化度50%以上、58%未満の塩
化ビニル系樹脂組成物)を調製し、これらの組成物を多
層押出成形、カレンダープレス、ラミネート、射出成形
その他の手段により、所望の形状に積層成形して製造さ
れるものであり、かかる成形体BはFM規格のFPI、
SDI、CDIの各基準を満足することに加えて、表面
の耐薬品性及び耐食性が良好であるため、耐薬品性等が
要求される用途、例えば半導体製造装置の一部である洗
浄槽などの材料として好適に用いられる。
【0048】また、第三の実施形態に係る積層構造の塩
化ビニル系樹脂成形体Cは、基層の少なくとも片面に表
面層を積層一体化した成形体であって、基層は、塩化ビ
ニル系樹脂100重量部に対して、酸化チタンを5〜5
0重量部含有せしめた層からなり、表面層は、塩化ビニ
ル系樹脂100重量部に対して、酸化チタンを4〜30
重量部、難燃助剤として前述した亜鉛化合物、モリブデ
ン化合物、リン化合物のいずれか一種又は二種以上を1
〜10重量部含有せしめた層からなるものである。
【0049】この成形体Cの基層には難燃助剤が含有さ
れてなく、酸化チタンのみが含有されているので、基層
の酸化チタンの含有割合は、塩化ビニル系樹脂100重
量部に対して5〜50重量部と多くする必要があり、酸
化チタンが5重量部より少なくなると、基層の難燃性が
低下してFM規格の各基準を全て満足する成形体を得る
ことが困難となる。一方、50重量部より多くなると、
基層の成形性、曲げ加工性、強度などが低下するため、
工業用材料として実用し難い成形体になる。なお、基層
の酸化チタンの好ましい含有割合は、塩化ビニル系樹脂
100重量部に対して8〜30重量部である。
【0050】この成形体Cの場合も、基層の塩化ビニル
系樹脂として前述の塩素化度が58%以上、73%以下
のものを使用し、表面層の塩化ビニル系樹脂として前述
の塩素化度が50%以上、58%未満のものを使用する
ことによって、基層の難燃性を一層向上させると共に、
表面層の耐薬品性や曲げ加工性を一層向上させることが
好ましい。尚、基層の塩化ビニル系樹脂として、塩素化
度が約56%の一般の塩化ビニル樹脂や、この一般の塩
化ビニル樹脂に酢酸ビル樹脂、アクリル樹脂、前記の共
重合樹脂などを混合した樹脂を使用しても良いことは言
うまでもない。
【0051】また、基層や表面層の厚さは、前述の成形
体Bの基層や表面層と同じ厚さに設定するのが好まし
く、表面層は基層の片面に形成しても両面に形成しても
よい。
【0052】このような成形体Cは、基層の酸化チタン
の含有割合が塩化ビニル系樹脂100重量部に対して5
〜50重量部と多いため、難燃助剤が含有されてなくと
も基層が優れた難燃性を有しており、しかも、表面層は
前述した成形体Aと同じ組成を有する難燃性に優れた層
で、耐薬品性や曲げ加工性などが良好な層であるから、
この成形体は全体としてFM規格の各基準を全て満足す
る難燃性を有し、耐薬品性や耐食性が良好で、曲げ加工
も比較的容易に行える。
【0053】尚、この成形体Cも、成形体Bと同様に、
多層押出成形、カレンダープレス、ラミネート、射出成
形などの手段で容易に製造することができる。
【0054】前述した成形体Bや上記の成形体Cはいず
れも、基層の片面又は両面に表面層を積層した2層又は
3層の積層構造の成形体であるが、例えば、基層と同じ
組成の層と、表面層と同じ組成の層を交互に積層して多
層の積層構造の成形体としてもよい。その場合は、各層
の厚さを0.2〜1.5mm程度にし、成形体Cの全体
の厚さが3〜15mm程度となるように積層することが
好ましい。
【0055】また、場合によっては、成形体Aや成形体
Bの基層において、酸化チタン及び難燃助剤と共に、塩
素捕獲化合物(例えば炭酸カルシウム、炭酸リチウム、
炭酸マグネシウム等の炭酸塩)や無機質助剤(例えばシ
リカ、アルミナ、珪酸アルミニウム、タルク等)を、こ
れらの合計含有量が塩化ビニル系樹脂100重量部に対
して60重量部以下となるように含有させたり、或は、
成形体Bの表面層や成形体Cの表面層において、酸化チ
タン及び難燃助剤と共に、塩素捕獲化合物や無機質助剤
を、これらの合計含有量が塩化ビニル系樹100重量部
に対して40重量部以下となるように含有させることに
より、難燃性の更なる改善を図るようにしてもよい。
【0056】次に、本発明の更に具体的な実施例と比較
例を挙げる。
【0057】[実施例1]塩素化度65%の後塩素化塩
化ビニル樹脂100重量部に対し、表面がアルミナで被
覆された酸化チタン(平均粒径:略0.2μm以下)を
15重量部、錫酸亜鉛を5重量部、鉛安定剤を8重量
部、滑剤を2重量部、加工助剤を5重量部の割合で均一
に混合してカレンダーシートを作製した後、これを複数
枚重ねてプレスすることにより、単層構造の難燃性塩化
ビニル系樹脂板(厚さ5mm)を製造した。
【0058】この樹脂板について、FPI、SDI、C
DIを測定すると共に、その機械的強度(アイゾット衝
撃強さ、引張り強度、伸び率)と耐薬品性(97%硫
酸、35%硫酸、28%アンモニア水)を調べ、その結
果を下記の表1に示した。尚、機械的強度は夫々JIS
K6745に基づいて測定したものであり、耐薬品性
は各薬液に23℃で7日間浸漬後の外観変色を観察し、
◎は変色なし、○は僅かに変色あり、△は変色あり、×
は著しい変色あり、として表示したものである。
【0059】[実施例2]塩素化度65%の後塩素化塩
化ビニル樹脂100重量部に代えて、塩素化度56.8
%の一般の塩化ビニル樹脂30重量部と塩素化度65%
の後塩素化塩化ビニル樹脂70重量部をブレンドした平
均塩素化度62.5%の混合樹脂100重量部を使用し
た以外は、実施例1と同様にして、単層構造の難燃性塩
化ビニル系樹脂板(厚さ5mm)を製造した。そして、
この樹脂板について実施例1と同様にFPI、SDI、
CDIを測定し、その結果を下記の表1に示した。
【0060】[実施例3]塩素化度65%の後塩素化塩
化ビニル樹脂100重量部に代えて、塩素化度56.8
%の一般の塩化ビニル樹脂70重量部と塩素化度65%
の後塩素化塩化ビニル樹脂30重量部をブレンドした平
均塩素化度59.3%の混合樹脂100重量部を使用
し、酸化チタンの配合量を15重量部から10重量部に
変更すると共に、鉛安定剤の配合量を8重量部から6重
量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、単層構
造の難燃性塩化ビニル系樹脂板(厚さ5mm)を製造し
た。そして、この樹脂板について実施例1と同様にFP
I、SDI、CDIを測定し、その結果を下記の表1に
示した。
【0061】[実施例4]塩素化度65%の後塩素化塩
化ビニル樹脂100重量部に代えて、塩素化度56.8
%の一般の塩化ビニル樹脂100重量部を使用し、酸化
チタンの配合量を15重量部から10重量部に変更する
と共に、鉛安定剤の配合量を8重量部から4重量部に変
更した以外は、実施例1と同様にして、単層構造の難燃
性塩化ビニル系樹脂板(厚さ5mm)を製造した。そし
て、この樹脂板について実施例1と同様にFPI、SD
I、CDIを測定し、その結果を下記の表1に示した。
【0062】[実施例5]錫酸亜鉛5重量部に代えて、
モリブデン酸カルシウム亜鉛5重量部を使用した以外
は、実施例4と同様にして、単層構造の難燃性塩化ビニ
ル系樹脂板(厚さ5mm)を製造した。そして、この樹
脂板について実施例1と同様にFPI、SDI、CDI
を測定し、その結果を下記の表1に示した。
【0063】[実施例6]塩素化度56.8%の一般の
塩化ビニル樹脂100重量部に代えて、塩素化度54.
0%の塩化ビニル−エチレン共重合樹脂100重量部を
使用した以外は、実施例4と同様にして、単層構造の難
燃性塩化ビニル系樹脂板(厚さ5mm)を製造した。そ
して、この樹脂板について実施例1と同様にFPI、S
DI、CDIを測定し、その結果を下記の表1に示し
た。
【0064】[実施例7]錫酸亜鉛5重量部に代えて、
リン酸エステル(リン含有率:9%)5重量部を使用し
た以外は、実施例1と同様にして、単層構造の難燃性塩
化ビニル系樹脂板(厚さ5mm)を製造した。そして、
この樹脂板について実施例1と同様にFPI、SDI、
CDIを測定し、その結果を下記の表1に示した。
【0065】[実施例8]難燃助剤として、錫酸亜鉛5
重量部とリン酸エステル(リン含有率:9%)5重量部
を配合した以外は、実施例4と同様にして、単層構造の
難燃性塩化ビニル系樹脂板(厚さ5mm)を製造した。
そして、この樹脂板について実施例1と同様にFPI、
SDI、CDIを測定すると共に、その機械的強度と耐
薬品性を調べ、その結果を下記の表1に示した。
【0066】[実施例9]塩素化度65%の後塩素化塩
化ビニル樹脂100重量部に対し、表面がアルミナで被
覆された酸化チタン(平均粒径:略0.2μm以下)を
15重量部、錫酸亜鉛を5重量部、鉛安定剤を8重量
部、滑剤を2重量部、加工助剤を5重量部の割合で均一
に混合して基層用カレンダーシートを作製した。一方、
塩素化度が56.8%の一般の塩化ビニル樹脂100重
量部に対し、酸化チタンを10重量部、鉛安定剤を4重
量部、滑剤を2重量部、加工助剤を5重量部の割合で均
一に混合して表面層用カレンダーシートを作製した。
【0067】上記の基層用カレンダーシートと表面層用
カレンダーシートを重ねてプレスすることにより、厚さ
4mmの基層の両面に厚さ0.5mmの表面層を有する
三層構造の難燃性塩化ビニル系樹脂板(全体の厚さ5m
m)を製造した。そして、この樹脂板について実施例1
と同様にFPI、SDI、CDIを測定すると共に、そ
の機械的強度と耐薬品性を調べ、その結果を下記の表1
に示した。
【0068】[実施例10]酸化チタンを15重量部か
ら20重量部に変更すると共に、錫酸亜鉛を省略した以
外は実施例9と同様にして、基層用カレンダーシートを
作製し、また、錫酸亜鉛を5重量部更に混合した以外は
実施例9と同様にして、表層用カレンダーシートを作製
した。これらのカレンダーシートを用いて実施例9と同
様にして三層構造の難燃性塩化ビニル系樹脂板(厚さ5
mm)を製造した。そして、この樹脂板について実施例
1と同様にFPI、SDI、CDIを測定すると共に、
その機械的強度と耐薬品性を調べ、その結果を下記の表
1に示した。
【0069】[比較例1]錫酸亜鉛を省略した以外は、
実施例4と同様にして、単層構造の塩化ビニル樹脂板
(厚さ5mm)を作製した。そして、この樹脂板につい
て実施例1と同様にFPI、SDI、CDIを測定し、
その結果を下記の表1に示した。
【0070】[比較例2]酸化チタンと錫酸亜鉛とを省
略し、炭酸カルシウムを40重量部、タルクを40重量
部配合した以外は実施例4と同様にして、単層構造の塩
化ビニル樹脂板(厚さ5mm)を製造した。そして、こ
の樹脂板について実施例1と同様にFPI、SDI、C
DIを測定すると共に、その機械的強度と耐薬品性を調
べ、その結果を下記の表1に示した。
【0071】
【表1】
【0072】この表1を見ると、実施例1〜10の難燃
性塩化ビニル系樹脂板はいずれも、FM規格のFPIが
0.4〜2.1の範囲、SDIが0.02〜0.1の範
囲、CDIが0.4〜1の範囲にあり、余裕をもって各
基準を満足する優れた難燃性を備えていることが判る。
また、比較例1の樹脂板は、難燃助剤を含んでいないに
もかかわらず、FPI,SDI,CDIの各基準を全て
満足しており、このことから、酸化チタンが難燃性の付
与にいかに有効であるかを知ることができる。
【0073】しかし、この比較例1の樹脂板の組成に、
更に難燃助剤として錫酸亜鉛やモリブデン酸カルシウム
亜鉛を含有させた実施例4,5,8の樹脂板は、FP
I,SDI,CDIの各数値が比較例1の樹脂板のそれ
よりも小さくなっており、このことから、難燃助剤を併
用すると酸化チタンと相乗的に作用して難燃性が更に向
上することが判る。
【0074】また、比較例2の樹脂板は、酸化チタンや
難燃助剤を含んでいないが、無機材料を多量に含むため
FPI,SDI,CDIが低下し、難燃性を有したもの
になっている。しかし、強度が弱く、耐薬品性にも劣る
ため、実用性に乏しいことが判る。
【0075】また、実施例1〜4の樹脂板を比較すれ
ば、塩化ビニル系樹脂の塩素化度が低くなるほど、FP
I,SDI,CDIの各数値が漸増して、難燃性が低下
することが判る。
【0076】また、実施例6の樹脂板は、塩化ビニル−
エチレン共重合体を用いてもFPI,SDI,CDIが
小さく、塩素を含む共重合体であっても酸化チタンと難
燃助剤を併用することでFM規格を満足することが判
る。
【0077】また、実施例9の積層構造の樹脂板は、基
層に難燃助剤を含ませて難燃性を向上させているので、
表面層は難燃助剤を含まなくても、充分難燃性を有して
いることが判る。
【0078】また、実施例10の積層構造の樹脂板は、
基層に難燃助剤を含まないものであるが酸化チタンを実
施例4の樹脂板よりも多量に含んでおり、しかも、表面
層が実施例4の樹脂板と同じ組成であるため、実施例4
の樹脂板とあまり変わらない難燃性を有することが判
る。
【0079】
【発明の効果】以上の説明及び実験データから明らかな
ように、本発明の難燃性塩化ビニル系樹脂成形体は、酸
化チタンによる難燃性付与効果が難燃助剤によって相乗
的に増大されるため、少量の酸化チタンを僅かな難燃助
剤と共に含有させるだけで、FM規格に基づくFPI、
SDI、CDIの全てを満足する優れた難燃性を具備す
るものとなり、無機質フィラーを多量に含有させた難燃
性塩化ビニル樹脂成形体に比べると、強度、成形性、曲
げ加工性、伸び等が向上すると共に、耐薬品性や耐食性
も改善されるといった効果を奏する。特に、基層の少な
くとも片面に表面層を形成した積層構造の難燃性塩化ビ
ニル系樹脂成形体は、表面層によって耐薬品性や耐食性
が更に改善されるといった効果を併せて奏する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08K 5/00 C08K 5/00 C08L 27/06 C08L 27/06 Fターム(参考) 4F071 AA24 AB18 AB19 AB25 AB27 AC09 AC15 AE07 AF02 AF14 AF17 AF21 AF47 BC02 4F100 AA19 AA21A AA21B AA21C AA40A AA40B AA40C AK15A AK15B AK15C AT00A BA02 BA03 BA06 BA10B BA10C BA13 CA05 GB08 JB01 JB02 JJ07 YY00A YY00B YY00C 4J002 BD041 BD061 BD081 BD181 BF022 BG002 DA057 DE097 DE136 DE187 DH057 DK007 EG047 EW047 EW057 FD136 FD137 GF00

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、
    酸化チタンを4〜30重量部、難燃助剤として亜鉛化合
    物、モリブデン化合物、リン化合物のいずれか一種又は
    二種以上を1〜10重量部含有せしめたことを特徴とす
    る難燃性塩化ビニル系樹脂成形体。
  2. 【請求項2】基層の少なくとも片面に表面層を積層一体
    化した成形体であって、基層は、塩化ビニル系樹脂10
    0重量部に対して、酸化チタンを4〜30重量部、難燃
    助剤として亜鉛化合物、モリブデン化合物、リン化合物
    のいずれか一種又は二種以上を1〜10重量部含有せし
    めた層であり、表面層は、酸化チタンの含有割合及び難
    燃助剤の含有割合が基層のそれらより少なくなるよう
    に、塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、酸化チタ
    ンを0〜20重量部、難燃助剤として亜鉛化合物、モリ
    ブデン化合物、リン化合物のいずれか一種又は二種以上
    を0〜8重量部含有せしめた層であることを特徴とする
    難燃性塩化ビニル系樹脂成形体。
  3. 【請求項3】基層の少なくとも片面に表面層を積層一体
    化した成形体であって、基層は、塩化ビニル系樹脂10
    0重量部に対して、酸化チタンを5〜50重量部含有せ
    しめた層であり、表面層は、塩化ビニル系樹脂100重
    量部に対して、酸化チタンを4〜30重量部、難燃助剤
    として亜鉛化合物、モリブデン化合物、リン化合物のい
    ずれか一種又は二種以上を1〜10重量部含有せしめた
    層であることを特徴とする難燃性塩化ビニル系樹脂成形
    体。
  4. 【請求項4】基層の塩化ビニル系樹脂の塩素化度が58
    %以上、73%以下であり、表面層の塩化ビニル系樹脂
    の塩素化度が50%以上、58%未満であることを特徴
    とする請求項2又は請求項3に記載の難燃性塩化ビニル
    系樹脂成形体。
JP6794599A 1998-05-11 1999-03-15 難燃性塩化ビニル系樹脂成形体 Expired - Lifetime JP3558915B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6794599A JP3558915B2 (ja) 1999-03-15 1999-03-15 難燃性塩化ビニル系樹脂成形体
US09/304,983 US6316118B1 (en) 1998-05-11 1999-05-04 Fire-retardant vinyl chloride resin molding

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6794599A JP3558915B2 (ja) 1999-03-15 1999-03-15 難燃性塩化ビニル系樹脂成形体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2000264976A true JP2000264976A (ja) 2000-09-26
JP3558915B2 JP3558915B2 (ja) 2004-08-25

Family

ID=13359601

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP6794599A Expired - Lifetime JP3558915B2 (ja) 1998-05-11 1999-03-15 難燃性塩化ビニル系樹脂成形体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3558915B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002172741A (ja) * 2000-09-29 2002-06-18 Takiron Co Ltd 難燃性を有する制電性塩化ビニル系樹脂成形品
KR100341114B1 (ko) * 1999-12-30 2002-06-20 권문구 고난연 시스 재료의 조성물 및 이를 이용한 케이블

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100341114B1 (ko) * 1999-12-30 2002-06-20 권문구 고난연 시스 재료의 조성물 및 이를 이용한 케이블
JP2002172741A (ja) * 2000-09-29 2002-06-18 Takiron Co Ltd 難燃性を有する制電性塩化ビニル系樹脂成形品
JP4693023B2 (ja) * 2000-09-29 2011-06-01 タキロン株式会社 透明性及び難燃性を有する制電性塩化ビニル系樹脂成形品

Also Published As

Publication number Publication date
JP3558915B2 (ja) 2004-08-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2848865B2 (ja) 難燃性樹脂組成物及び電気部品用成形品
US20080161466A1 (en) Composition For Production Flame Retardant Insulating Material of Halogen Free Type Using Nano-Technology
JP3590297B2 (ja) 難燃性塩化ビニル系樹脂成形体
JP2000001927A (ja) 耐火性シ―ト状成形体
US6316118B1 (en) Fire-retardant vinyl chloride resin molding
JP4402936B2 (ja) 押出成形体
JP2002226659A (ja) 難燃性塩化ビニル系樹脂成形体
WO2004041930A1 (ja) 難燃性塩化ビニル系樹脂組成物およびその成形体
JP3558915B2 (ja) 難燃性塩化ビニル系樹脂成形体
JP3477083B2 (ja) 難燃性塩化ビニル樹脂成形体
JP3475079B2 (ja) 難燃性塩化ビニル樹脂成形体
CN111372991B (zh) 阻燃聚(氯乙烯)复合物
JP4488578B2 (ja) 難燃性塩化ビニル系樹脂成形体
EP1452557A1 (en) Non-halogenated flame retardant material
JP2008208250A (ja) 塩化ビニル系樹脂成形体
JP7422612B2 (ja) 耐火積層シート
JPWO2005103203A1 (ja) 難燃剤
JP3777449B2 (ja) 難燃性透明塩化ビニル樹脂成形体
JPH11181204A (ja) 難燃性塩化ビニル樹脂成形体
JP3783095B2 (ja) 難燃性ポリオレフィン成形体
JP4479636B2 (ja) 塩化ビニル系樹脂組成物
JP2002212564A (ja) 難燃剤とその製造方法とそれを含む難燃性樹脂組成物
JP2020097244A (ja) 耐火樹脂成形体およびそれを備えた建具
JP2898865B2 (ja) 難燃性樹脂組成物
JPS5879040A (ja) 難燃性樹脂組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20040113

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040312

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20040420

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20040519

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090528

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090528

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090528

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100528

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100528

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110528

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110528

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120528

Year of fee payment: 8

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120528

Year of fee payment: 8

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120528

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130528

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130528

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140528

Year of fee payment: 10

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term