JP2000262284A - シゾサッカロミセス・ポンベの形質転換方法 - Google Patents

シゾサッカロミセス・ポンベの形質転換方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】遺伝子工学的手法でシゾサッカロミセス・ポン
ベ(S.ポンベ)に異種蛋白質を安定的かつ効率的に発
現させるため、その染色体に異種蛋白質構造遺伝子を組
込む。 【解決手段】異種蛋白質構造遺伝子とプロモータとを含
む発現カセット、相同的組換えを行わせる遺伝子部位お
よび大腸菌の複製開始領域を有する相同的組換えベクタ
ーを大腸菌を用いて構築し、該ベクターを大腸菌の複製
開始領域を除いてS.ポンベの染色体に組込む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、分裂酵母であるシ
ゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccha
romyces pombe)の形質転換方法、特にそ
の染色体中に相同的組換え法で異種蛋白質構造遺伝子を
導入する方法に関する。また本発明は、その形質転換方
法に使用されるベクター、その方法で形質転換されたシ
ゾサッカロミセス・ポンベ、およびその形質転換された
シゾサッカロミセス・ポンベを用いる異種蛋白質の製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】遺伝子組換え技術を応用した異種蛋白質
の生産は、様々な産業に用いられている。その宿主とし
て主に大腸菌(Escherichia coli)、
出芽酵母(Saccharomyces cerevi
siae)、メタノール資化性酵母(Pichia p
astoris)、昆虫細胞、動物細胞などが広く用い
られている。あらゆる天然・人工の蛋白質を生産の対象
とすることが想定され、しかも近年は精製蛋白質のみな
らず、様々な化学物質の生産も試みられている。
【0003】しかしあらゆる蛋白質または化学物質を効
率良く生産できる「全能性宿主(ゼネラルホスト)」は
いまだ開発されておらず、目的とする蛋白質または化学
物質ごとに生産系を構築するという試行錯誤が続いてい
る。このため、個々の発現系においても、そのさらなる
技術革新が待たれている。
【0004】異種蛋白質、特に真核生物由来の蛋白質を
生産するためには、真核生物である微生物を用いた生産
方法が最も良いと考えられている。酵母は人類史上長い
間、特に食料品として人間の生活に密接に関与している
ためなじみが深く、菌体の大量培養方法も確立してお
り、他の発現系に内在する、人体に悪影響を及ぼす物質
も含まない。これまでに種々の酵母を宿主とした発現系
が開発されてきた(Yeast,8,423(199
2))。
【0005】なかでも、分裂酵母であるシゾサッカロミ
セス・ポンベ(以下、S.ポンベともいう)は出芽酵母
であるサッカロミセス・セレビジエをはじめとする他の
酵母に比べ様々な性質、例えば細胞周期や染色体の構
造、RNAスプライシングなどが動物細胞により類似し
ているといわれ、生産されてくる蛋白質のアセチル化、
リン酸化および糖鎖の付加などの翻訳後修飾も動物細胞
でのそれに近いと考えられている(Cell,45,7
81(1986);Nature,318,78(19
85);J.Cell.Biol.,109,2693
(1989))。
【0006】しかも、S.ポンベは、真核生物でありな
がら遺伝学・分子生物学・細胞生物学分野での応用がき
わめて容易な単細胞生物として広く研究されている(M
olecular biology of the f
ission yeast,Academic Pre
ss(1989))。また、S.ポンベについての組換
えDNA技術の研究もすでに行われている(Exper
iments with Fission Yeas
t,Cold Spring Harbor Labo
ratory Press(1993))。
【0007】このため、動物細胞由来の蛋白質を発現さ
せる宿主としてはS.ポンベが有利であると考えられ
る。S.ポンベを用いることによって、動物細胞の場合
と同様の、より天然体に近い遺伝子産物が得られると予
想される。しかし、S.ポンベを用いた遺伝子発現に関
する研究は、出芽酵母にくらべて遅れており、それを用
いた異種蛋白質の製造に関してはあまり多くの文献はな
い(特開昭61−181397、特開平2−28328
8、特開平4−63596参照)。この原因は強力なプ
ロモータを持ち、菌体内に安定に存在し、かつ遺伝子を
導入するのに最適かつ簡便な発現プラスミドの開発が遅
れていたためである。
【0008】最近になって、nmt1+ 遺伝子のプロモ
ータ領域を用いた誘導発現ベクター(pREP1)や動
物細胞ウイルス由来のプロモータ領域をもつ、非常に発
現能の高い分裂酵母用ベクターが開発されたため、よう
やくS.ポンベを用いての異種蛋白質の大量生産への道
が開かれた(特開平5−15380、特開平7−163
373、WO96/23890、特開平10−2343
75参照)。
【0009】これらの技術を用いることにより、多くの
細胞内蛋白質は容易に生産できるようになり、発現シス
テムとしての有用性は高い。実際すでに異種蛋白質遺伝
子発現の宿主として次第に広く用いられるようになり、
特にヒトを含む動物細胞由来の遺伝子の発現に適してい
ることが知られている(Foreign geneex
pression in fission yeast
Schizosaccharomyces pomb
e,R.G.Landes(1997)参照)。またゴ
ルジ体や小胞体を含む膜構造の発達が知られており、こ
のことから膜蛋白質の発現にも用いられ、高い発現量を
示している。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】従来、S.ポンベに発
現ベクターを導入して得られた形質転換体においては、
発現ベクターはS.ポンベの染色体外性遺伝体(プラス
ミド)として存在していた。しかし、染色体外性遺伝体
は時としてS.ポンベの培養中に細胞から脱落などによ
り消失することがあった。このため異種蛋白質構造遺伝
子を有するベクターを細胞中に安定的に存在させるため
には、そのベクターをS.ポンベの染色体中に組込むこ
とが好ましいと考えられる。通常、ベクターを染色体に
組込む方法としては相同的組換え方法が使用される。相
同的組換え方法により染色体に組込むことのできるベク
ターを以下組込み型ベクターという。
【0011】S.ポンベの染色体に組込み型ベクターを
組込むことは公知である(J.Ind.Microbi
ol.,4,409(1989);Appl.Micr
obiol.Biotechnol.,49,45(1
998)参照)。しかし従来の組込み型ベクターを組込
む方法で得られた形質転換S.ポンベでは異種蛋白質の
発現が充分ではなかった。
【0012】本発明者はこの原因について検討した結
果、組込み型ベクターの多くが染色体に組込まれずに
S.ポンベ細胞内にプラスミドとして存在し、そのため
S.ポンベの染色体に組込み型ベクターが組込まれる効
率が低いことがその原因の1つであることを見出した。
また、一般的に組込み型ベクターは染色体の1つの遺伝
子部位に対し複数の組込み型ベクターが組込まれうるこ
とが知られており、1つの遺伝子部位に対して組込まれ
た組込み型ベクターの数が多いほど形質転換の異種蛋白
質の発現量が多くなると考えられている。しかし、本発
明者は、従来の方法で得られた形質転換S.ポンベでは
1つの染色体部位に対して組込まれた組込み型ベクター
の数が少ないことを見出し、これがまた異種蛋白質発現
量が少ない原因であると推測した。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記S.ポ
ンベの染色体に組込み型ベクターを組込む際の組込み効
率が低いこと、および、1つの遺伝子部位に組込まれる
組込み型ベクターの数が少ないことの原因を種々検討し
た結果、組込み型ベクター中に存在する「ベクター構築
の過程において必要とした、S.ポンベ以外の細胞中で
機能する複製開始領域」がその原因となっていることを
見出した。
【0014】組込み型ベクター等のベクター構築にあた
っては、遺伝子工学的に扱いやすい細胞を用いてベクタ
ーの複製を行うことが必須となっている。その細胞の代
表例は大腸菌であり、ほとんどの場合大腸菌を用いてベ
クターの構築が行われている。大腸菌中でベクターの複
製を行わせるためにベクター中に「ori」と呼ばれる
大腸菌の複製開始領域を存在させている。本発明者は、
この複製開始領域の存在がS.ポンベの染色体に組込み
型ベクターを組込む際の組込み効率の低下や組込み数の
減少の原因であることを見出した。
【0015】上記知見に基づき本発明者は、S.ポンベ
の染色体に組込み型ベクターを組込む際に上記複製開始
領域を削除してから組込みを行うことにより上記問題を
解決しうることを見出した。すなわち、上記複製開始領
域を有しない組込み型ベクターを組込むことにより、組
込み効率を向上し、染色体の1つの遺伝子部位に組込ま
れる組込み型ベクターの数を増大させることができた。
【0016】本発明は、以下の形質転換方法、ベクタ
ー、形質転換体、およびその形質転換体を用いた蛋白質
の製造方法である。
【0017】S.ポンベの染色体に、異種蛋白質構造遺
伝子とプロモータとを含む発現カセットおよび染色体に
対して相同的組換えを行わせる遺伝子部位を有するベク
ターであって、かつベクター構築の過程において必要と
した、S.ポンベ以外の細胞中で機能する複製開始領域
を有しないベクターを、相同的組換え法で組込むことを
特徴とする、S.ポンベの形質転換方法。
【0018】異種蛋白質構造遺伝子とプロモータとを含
む発現カセット、S.ポンベの染色体に対して相同的組
換えを行わせる遺伝子部位および大腸菌の複製開始領域
を有する相同的組換えベクターを大腸菌を使用して構築
し、次いでそのベクターを大腸菌の複製開始領域を除い
てS.ポンベの染色体に組込むことを特徴とする、S.
ポンベの形質転換方法。
【0019】異種蛋白質構造遺伝子とプロモータとを含
む発現カセットおよびS.ポンベの染色体に対して相同
的組換えを行わせる遺伝子部位を有するベクターであっ
て、かつベクター構築の過程において必要とした、S.
ポンベ以外の細胞中で機能する複製開始領域を有しない
ベクターであることを特徴とする、相同的組換え法で
S.ポンベの染色体に異種蛋白質構造遺伝子を導入する
ためのベクター。上記の方法で得られた形質転換された
S.ポンベ。上記の形質転換されたS.ポンベを培養
し、産生された異種蛋白質を取得することを特徴とする
異種蛋白質の製造方法。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明において「発現カセット」
とは、S.ポンベの染色体に組込まれた場合その異種蛋
白質構造遺伝子がコードする異種蛋白質が発現されるた
めに必要なDNAのセットをいう。この発現カセットは
異種蛋白質構造遺伝子とその遺伝子の発現を促進するプ
ロモータを含む。通常はさらに、ターミネータ、5’−
非翻訳領域、3’−非翻訳領域のいずれか1以上を含
み、好ましくは異種蛋白質構造遺伝子、プロモータ、タ
ーミネータ、5’−非翻訳領域、3’−非翻訳領域のす
べてを含む。また、異種蛋白質構造遺伝子に結合した分
泌シグナル遺伝子を含んでいてもよい。
【0021】なお、「異種蛋白質」とは、S.ポンベが
本来産生しない(その蛋白質をコードする遺伝子を有し
ない)蛋白質をいい、産業的価値から見てそのような蛋
白質としてはヒトや他の哺乳動物が産生する蛋白質が好
ましい。本発明は最終的にはこの異種蛋白質の製造を目
的とする。
【0022】本発明において「S.ポンベの染色体に対
して相同的組換えを行わせる遺伝子部位」とは、S.ポ
ンベの染色体中に存在する遺伝子と相同な遺伝子をい
う。相同的組換えは、S.ポンベの染色体中に存在する
遺伝子とベクター中の相同な遺伝子部位との対合に基づ
く遺伝子交換によって起こる。ベクター中のこの遺伝子
部位がターゲットとするS.ポンベの染色体中の遺伝子
は染色体に1個存在すればよいが、複数個存在していて
もよい。ターゲットとなる遺伝子が多いほど多数のベク
ターが組込まれると考えられるが、1個であっても組込
み効率が高くかつそこに多数のベクターが組込まれるも
のであれば充分である。
【0023】ターゲットとなる遺伝子としては、S.ポ
ンベの栄養要求性マーカーとなる遺伝子が好ましい。そ
のような遺伝子としては、特に限定されないが、例え
ば、S.ポンベの、イソプロピルリンゴ酸デヒドロゲナ
ーゼ遺伝子、オロチジンリン酸デカルボキシラーゼ遺伝
子、ヒスチジノールリン酸アミノトランスフェラーゼ遺
伝子、ホスホリボシルAMPシクロヒドラーゼ遺伝子が
好ましい。ベクターが組込まれるS.ポンベ中のこれら
遺伝子は栄養要求性マーカーとなっていること、すなわ
ちその機能が失われていること、が好ましい。一方、ベ
クター中のこれら遺伝子に対して相同な遺伝子部位の遺
伝子は、S.ポンベの栄養要求性を回復する(機能を回
復する)遺伝子であることが好ましい。
【0024】ベクター中の上記遺伝子部位における遺伝
子としては、特に、S.ポンベの野生型遺伝子である、
イソプロピルリンゴ酸デヒドロゲナーゼ遺伝子(leu
+)、オロチジンリン酸デカルボキシラーゼ遺伝子
(ura4+ )、ヒスチジノールリン酸アミノトランス
フェラーゼ遺伝子(his3+ )、ホスホリボシルAM
Pシクロヒドラーゼ遺伝子(his7+ )が好ましい。
本発明における(および本発明の)ベクターにおけるこ
の遺伝子部位を以下「相同遺伝子部位」ともいう。
【0025】本発明における「ベクター構築の過程にお
いて必要とした、S.ポンベ以外の細胞中で機能する複
製開始領域」とは、前記のような複製開始領域をいう。
すなわち、S.ポンベ以外の細胞とは大腸菌などの遺伝
子工学的に扱いやすい細胞をいい、その細胞中で組込み
型ベクターの構築を行う際に必須である複製開始領域を
いう。ベクター構築のために実際的に遺伝子工学におい
て使用されている細胞としては大腸菌がほぼ唯一であ
り、かつ大腸菌中での複製のためにベクターに存在させ
る複製開始領域は「ori」と呼ばれる複製開始領域が
ほぼ唯一と認められる。以下の説明では、この大腸菌の
複製開始領域を例として本発明を説明する。また、この
複製開始領域を以下単に「複製開始領域」ともいう。
【0026】上記発現カセットおよび相同遺伝子部位を
有しかつ複製開始領域を有しない、本発明における(お
よび本発明の)ベクターを以下「本組込み型ベクター」
という。本組込み型ベクターは上記発現カセット、相同
遺伝子部位および複製開始領域を有するベクターから複
製開始領域を除くことにより得られる。以下この複製開
始領域を有するベクターを「本前駆ベクター」という。
本前駆ベクターは染色体組込み型ではない(S.ポンベ
の染色体外に導入する)発現ベクターと同様の方法で構
築しうる。そのような発現ベクターが相同遺伝子部位を
有しないものである場合は発現ベクターの構築過程で相
同遺伝子部位を導入して本前駆ベクターを構築すること
ができる。
【0027】本前駆ベクターの構築に適用しうる発現ベ
クターやその構築方法としては、特に限定されないが、
S.ポンベの形質転換に使用されるものが適当である。
特に、前記特開平5−15380、特開平7−1633
73、WO96/23890、特開平10−23437
5などに記載された発現ベクターやその構築方法を適用
して本前駆ベクターを構築することが好ましい。本前駆
ベクターを構築後そこから通常の遺伝子工学的手法で複
製開始領域を削除することにより本組込み型ベクターを
得ることができる。
【0028】本発明において本組込み型ベクターとは環
状DNA構造または線状DNA構造を有するものをい
う。組込み型ベクターを染色体に組込むためには線状D
NA構造を有するベクターを細胞に導入するする必要が
ある。また、上記構築方法で得られる組込み型ベクター
は通常環状DNA構造を有するベクターである。したが
って、通常は環状の本組込み型ベクターを得た後線状に
切り開き、線状の本組込み型ベクターをS.ポンベの細
胞に導入する。この際、環状の本組込み型ベクターを切
り開く切断箇所は相同遺伝子部位内である必要がある。
すなわち、切り開かれた線状の本組込み型ベクターの一
端には相同遺伝子部位の一部が存在し、他端には相同遺
伝子部位の他の一部が存在する必要がある。線状の本組
込み型ベクターがこのような構造を有するものであるか
ぎり、線状の本組込み型ベクターは環状の本組込み型ベ
クターの切り開き以外の手段で構築することもできる。
【0029】本発明者は上記構造の線状の本組込み型ベ
クターを容易に得る方法も見出した。通常の方法では環
状の本前駆ベクターから複製開始領域を除去して環状の
本組込み型ベクターを製造し、その後環状の本組込み型
ベクターを上記のように切り開く方法が用いられる。し
かし、環状の本前駆ベクターから複製開始領域を除去し
て環状の本組込み型ベクターとする操作は繁雑である。
【0030】本発明者は本前駆ベクターからの複製開始
領域を除去と線状の本組込み型ベクターの製造を1工程
で行う方法を見出した。この方法は、相同遺伝子部位の
切断箇所に(すなわち線状の本組込み型ベクターの両端
となる部分の間に)複製開始領域を存在させた環状の本
前駆ベクターを構築し、この環状の本前駆ベクターから
複製開始領域を切り取ることにより線状の本組込み型ベ
クターを得る方法である。本前駆ベクターの構築の際に
は相同遺伝子部位の遺伝子は通常機能させる必要がない
ことより、このような本前駆ベクターを容易に構築する
ことができる。
【0031】本組込み型ベクターは上記したような発現
カセットと相同遺伝子部位以外にさらに複製開始領域以
外の遺伝子を有していてもよい。例えば、複製開始領域
以外のベクター構築に使用された遺伝子を有していても
よい。そのような遺伝子としては例えばベクター選択マ
ーカーである抗生物質耐性遺伝子(ネオマイシン耐性遺
伝子等)がある。逆に、このようなベクター構築に使用
された遺伝子を染色体組込み前に複製開始領域と同様に
除去してもよい。
【0032】発現カセットにおけるプロモータとして
は、特に限定されない。しかし異種蛋白質構造遺伝子の
発現を促進する活性の高いプロモータが好ましく、その
ようなプロモータとしては前記特開平5−15380、
特開平7−163373、特開平10−234375に
記載されている動物細胞ウイルス由来のプロモータがあ
る。特にCMVプロモータやSV40プロモータが好ま
しい。また、異種蛋白質構造遺伝子の上流側にはS.ポ
ンベにおいて機能する分泌シグナル遺伝子を存在させる
こともできる。そのような分泌シグナル遺伝子として
は、前記WO96/23890に記載された分泌シグナ
ル遺伝子が好ましい。
【0033】本発明において、本組込み型ベクター中の
発現カセットの数は2個以上であってもよい。S.ポン
ベ染色体中の本組込み型ベクターが組込まれる部位が1
箇所であっても、その位置に2個以上の本組込み型ベク
ターが組込まれることがある。したがって、この場合本
組込み型ベクターが発現カセットを1個有していても染
色体に複数の発現カセットが組込まれる。本組込み型ベ
クターが発現カセットを複数有している場合はさらに多
数の発現カセットが組込まれる。また、染色体中に2以
上のベクター組込み位置がある場合にはさらに多数の発
現カセットが組込まれる。染色体中の発現カセットの数
が多いほど異種蛋白質の発現はより効率的である。
【0034】本組込み型ベクター中の発現カセットの数
は、特に限定されない。しかし、あまりに多数の場合は
本組込み型ベクターが大きくなりすぎて組込み効率が低
下するおそれが予想され、本組込み型ベクター中の発現
カセットの数は20個以下が好ましく10個以下が特に
好ましい。また、S.ポンベ染色体中に組込まれる全発
現カセットの数も特に限定されない。しかしあまりに多
すぎると発現効率の低下も予想されることより、50個
以下が好ましく、特に30個以下が好ましい。
【0035】相同遺伝子部位の遺伝子としては、特に
S.ポンベの野生型遺伝子である、イソプロピルリンゴ
酸デヒドロゲナーゼ遺伝子(leu1+ )と相同の遺伝
子が好ましい。このイソプロピルリンゴ酸デヒドロゲナ
ーゼ遺伝子はS.ポンベの染色体中に1箇所存在する。
しかし、本組込み型ベクターはこの部位に多数組込まれ
得るため、異種蛋白質の発現効率の高い形質転換S.ポ
ンベを得ることができる。形質転換されるS.ポンベと
しては形質転換体選択のために栄養要求性マーカーを有
するS.ポンベが好ましい。例えば、イソプロピルリン
ゴ酸デヒドロゲナーゼ遺伝子の機能が失われたロイシン
要求性のS.ポンベ株(例えばleu1−32変異株)
に上記野生型イソプロピルリンゴ酸デヒドロゲナーゼ遺
伝子(leu1+ )を相同遺伝子部位とする組込み型ベ
クターを導入することによりロイシン要求性が消失する
ことから、この栄養要求性の変化を利用して形質転換体
を選択することができる。
【0036】以下に後述の例に記載した本発明の実施例
等の概略を説明する。まず、公知のleu1+ 遺伝子を
入手し、既存の発現ベクター(前記複製開始領域「or
i」を有するベクター)に組込んだ。得られた組込み型
ベクターを用い、S.ポンベのleu1−32変異株
(ロイシン要求性株)を形質転換し、ロイシン非要求性
の株をスクリーニングすることによって目的異種蛋白質
構造遺伝子を含む発現カセットを組込んだ形質転換体を
取得した。その結果、安定な組込み体が得られたが、目
的異種蛋白質の生産レベルは低かった。同時に、導入し
た組込み型ベクターがプラスミドの形で存在する株が多
数得られ、染色体に多くの発現カセットを持った株の取
得は比較的困難であった(例1、例2参照)。
【0037】次に、大腸菌の複製開始領域を含まない組
込み型ベクターを構築した。すなわち、leu1+ 遺伝
子内の制限酵素SplI消化部位に複製開始領域を移動
させた組込み型ベクターを作製した。得られた組込み型
ベクターを用い、その複製開始領域を切り取って線状の
組込み型ベクターを製造し、そのベクターでS.ポンベ
のleu1−32変異株を形質転換し、ロイシン非要求
性の株をスクリーニングすることによって目的異種蛋白
質構造遺伝子の発現カセットを組込んだ形質転換体を取
得した。その結果、安定な組込み体でありかつ、目的異
種蛋白質の生産レベルが高い株、すなわち染色体外型発
現ベクターを用いた生産時のレベルと同等またはそれを
凌駕する生産レベルを示す株が得られた(例3〜6参
照)。
【0038】
【実施例】以下本発明を例をもって具体的に説明する
が、本発明はこれらの例に限定されない。なお、例1、
2は参考例であり、例3〜6は実施例である。また、各
例において、構築したベクターを増幅する段階は大腸菌
DH5株(東洋紡社製)を用いた(例3に具体的に記
載、他の例では省略)。
【0039】[例1](プラスミド型生産系の構築) クロンテック社より購入したオワンクラゲ由来緑色蛍光
蛋白質変異体(以下、EGFPという)遺伝子を含むベ
クターpEGFP−1をテンプレートとして、開始コド
ンから終止コドンまでの720bpの領域をPCR増幅
した。得られた断片の末端を5’−末端側のプライマに
付加したNcoI−タグ、3’−末端側のプライマに付
加したHindIII−タグを用いてトリミングし、マ
ルチクローニングベクターpTL2M5(特開平7−1
63373記載のマルチクローニングベクターpTL2
Mから、3’−UTR下流に存在したポリdA配列なら
びにSV40ターミネータ領域を除いたもので、大腸菌
の複製領域を含む。4657bp)のAflIII−H
indIII間に挿入し、組換えベクターpTL2EG
FPを得た。
【0040】得られたpTL2EGFPを用いて特開平
7−163373記載の方法でS.ポンベの形質転換体
ASP170株を作製し、YPD100培地(バクトイ
ーストエキス(ディフコ社製)1wt%、バクトペプト
ン(ディフコ社製)2wt%、グルコース(和光純薬社
製)2wt%をそれぞれ含み、かつ100μg/Lのジ
ェネティシン(ライフテクノロジー社製)を含有する液
体培地)で培養し、EGFPの生産量を調べた。
【0041】その結果、100μL培養物あたり143
CU(コロナユニット、コロナ電気社製マイクロプレー
トリーダーMTP−32で測定した590nm励起光に
よる630nmの蛍光値)の生産量、286CU/gの
生産効率(1mL培養物の示す蛍光値を乾燥菌体重量あ
たりに換算したもの)を示した。この生産量ならびに生
産効率はYPD100培地下では50世代継代後も安定
であったが、YPD培地(バクトイーストエキス(ディ
フコ社製)1wt%、バクトペプトン(ディフコ社製)
2wt%、グルコース(和光純薬社製)2wt%をそれ
ぞれ含む液体培地)下では26CUの生産量、53.2
CU/gの生産効率にとどまった。
【0042】[例2](従来法による組込み型生産系の
構築) 公知のプラスミドpYK320(Curr.Gene
t.,14,375(1988))を制限酵素AccI
(東洋紡社製)で消化し、leu1+ を含む約3.5k
bpの断片をゲルから切り出し、ガラスパウダー法(宝
酒造社製EASYTRAP)で精製した。この断片を組
換えベクターpTL2EGFPの制限酵素Bst110
7I(宝酒造社製)消化断片(約5.0kbp)とライ
ゲーションキット(宝酒造社製)を用いてライゲーショ
ン(連結)した。大腸菌DH5株を形質転換して、目的
の組換えベクターpTL2EGFP−LR(9047b
p)を得た。制限酵素SplI(宝酒造社製)で消化し
た組換えベクターpTL2EGFP−LRの1μgを用
いて特開平7−163373記載の方法でS.ポンベの
形質転換体ASP218株およびASP219株を作製
し、YPD培地で培養した際のEGFPの生産量を調べ
た。
【0043】その結果、11CUの生産量、24.3C
U/gの生産効率を示した。この生産量ならびに生産効
率は50世代継代後も安定であった。さらに生産量の多
いクローンの取得を試みたが、プラスミドとして菌体内
に滞留(パルスフィールドゲル電気泳動法によるゲノム
解析により確認)するベクターを持つ株が優先的に採取
されるため、より高い生産量を示しかつ50世代継代後
も安定な株を取得することはできなかった。
【0044】[例3](組込み型生産系の構築) 例2で構築したpTL2EGFP−LRを制限酵素Sp
lIで消化し、別にPCR増幅によって得た両端にSp
lI- タグを付加したpBR322由来の大腸菌の複製
開始起点とアンピシリン耐性遺伝子を含む領域を挿入
し、大腸菌DH5株を用いて組換えベクターpTL2E
GFP−LR(OAIF)(11.7kbp)を得た。
pTL2EGFP−LR(OAIF)を制限酵素Acc
Iで消化しさらに末端を平滑化(宝酒造社製DNA B
lunting Kit使用)した断片と、pTL2E
GFP−LR(OAIF)を制限酵素HpaI(宝酒造
社製)で部分消化しかつ制限酵素Bst1107Iで完
全消化して得られた断片を連結し、大腸菌DH5株を用
いて組換えベクターpTL2EGFP−XLRF(9.
1kbp)を得た。pTL2EGFP−XLRFを制限
酵素SpeI(宝酒造社製)およびAccIII(東洋
紡社製)で二重消化して得られた断片と、pTL2EG
FP−LRを制限酵素SpeIおよびAccIIIで二
重消化して得られた断片を連結し、大腸菌DH5株を用
いて組換えベクターpTL2EGFP−XL(9048
bp)を得た。
【0045】制限酵素SplI(宝酒造社製)で消化し
た組換えベクターpTL2EGFP−XLを1μg用い
て特開平7−163373記載の方法でS.ポンベの形
質転換を行い、形質転換体ASP285株5種類を得
た。これらをYPD培地で培養し、EGFPの生産量を
調べた。
【0046】その結果、生産量の少ないものから、生産
量と生産効率の組合わせが、12CUと28.0CU/
g、25CUと51.8CU/g、40CUと78.1
CU/g、59CUと115.7CU/g、81CUと
167.9CU/gであった。これら段階的な生産量な
らびに生産効率はすなわち1コピーの組込みにとどまら
ず、多コピーの組込み体が得られたことを示している。
またこの生産量と生産効率は50世代継代後も安定であ
った。さらに、パルスフィールドゲル電気泳動法による
ゲノム解析によりEGFPは染色体に複数個存在してい
ることを確認した。
【0047】[例4](二重組込み型生産系の構築) 例3に示した組換えベクターpTL2EGFP−XLを
制限酵素PvuI(宝酒造社製)およびSpeIで二重
消化しさらに末端を平滑化した断片と、pTL2EGF
P−XLを制限酵素PvuIおよびAccIで二重消化
しさらに末端を平滑化した断片を連結し、組換えベクタ
ーpTL2EGFP−2XL(10790bp)を得
た。制限酵素SplIで消化した組換えベクターpTL
2EGFP−2XLを1μg用いて特開平7−1633
73記載の方法でS.ポンベの形質転換を行い、形質転
換体ASP356株を得た。この株をYPD培地で培養
し、EGFPの生産量を調べた。
【0048】その結果、59CUの生産量、118.2
CU/gの生産効率を示した。この生産量ならびに生産
効率はすなわち二重に重複した発現カセットが1コピー
の組込みにとどまらず、多コピーの組込み体が得られた
ことを示し、また50世代継代後も安定であった。
【0049】[例5](四重組込み型生産系の構築) 例4に示した組換えベクターpTL2EGFP−2XL
を制限酵素PvuI(宝酒造社製)およびSpeIで二
重消化しさらに末端を平滑化した断片と、pTL2EG
FP−2XLを制限酵素PvuIおよびAccIで二重
消化しさらに末端を平滑化した断片を連結し、組換えベ
クターpTL2EGFP−4XL(1427bp)を得
た。制限酵素SplIで消化した組換えベクターpTL
2EGFP−4XLを1μg用いて特開平7−1633
73記載の方法でS.ポンベの形質転換を行い、形質転
換体ASP357株を得た。この株をYPD培地で培養
し、EGFPの生産量を調べた。
【0050】その結果、103CUの生産量、192.
5CU/gの生産効率を示した。この生産量ならびに生
産効率はすなわち四重に重複した発現カセットが1コピ
ーの組込みにとどまらず、多コピーの組込み体が得られ
たことを示し、また50世代継代後も安定であった。
【0051】[例6](八重組込み型生産系の構築) 例5に示した組換えベクターpTL2EGFP−4XL
を制限酵素PvuI(宝酒造社製)およびSpeIで二
重消化しさらに末端を平滑化した断片と、pTL2EG
FP−4XLを制限酵素PvuIおよびAccIで二重
消化しさらに末端を平滑化した断片を連結し、組換えベ
クターpTL2EGFP−8XL(21242bp)を
得た。制限酵素SplIで消化した組換えベクターpT
L2EGFP−8XLを1μg用いて特開平7−163
373記載の方法でS.ポンベの形質転換を行い、形質
転換体ASP358株2種類得た。これらの株をYPD
培地で培養し、EGFPの生産量を調べた。
【0052】その結果、生産量と生産効率がそれぞれ9
9CUと202.5CU/g、173CUと329.8
CU/gであった。この生産量ならびに生産効率はすな
わち八重に重複した発現カセットが1コピーの組込みに
とどまらず、多コピーの組込み体が得られたことを示
し、例1に示すプラスミド型(染色体型)生産系を凌駕
する値を得た。また50世代継代後もこれらの値は安定
であった。
【0053】
【発明の効果】大腸菌の複製開始領域を有しない組込み
型ベクターをS.ポンベの染色体に組込むことにより、
ベクターが高い効率で染色体に組込まれる。また、発現
カセットを複数有する組込み型ベクターを組込むことに
より、より多数の発現カセットを組込むことができる。
その結果、異種蛋白質の生産量、生産効率を著しく高め
ることができた。

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】シゾサッカロミセス・ポンベ(Schiz
    osaccharomyces pombe)の染色体
    に、異種蛋白質構造遺伝子とプロモータとを含む発現カ
    セットおよび染色体に対して相同的組換えを行わせる遺
    伝子部位を有するベクターであって、かつベクター構築
    の過程において必要とした、シゾサッカロミセス・ポン
    ベ以外の細胞中で機能する複製開始領域を有しないベク
    ターを、相同的組換え法で組込むことを特徴とする、シ
    ゾサッカロミセス・ポンベの形質転換方法。
  2. 【請求項2】複製開始領域が大腸菌の複製開始領域であ
    る、請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】複製開始領域が、シゾサッカロミセス・ポ
    ンベの染色体に対して相同的組換えを行わせる遺伝子部
    位の中に存在していた、請求項1または2に記載の方
    法。
  4. 【請求項4】異種蛋白質構造遺伝子とプロモータとを含
    む発現カセット、シゾサッカロミセス・ポンベ(Sch
    izosaccharomyces pombe)の染
    色体に対して相同的組換えを行わせる遺伝子部位および
    大腸菌の複製開始領域を有する相同的組換えベクターを
    大腸菌を使用して構築し、次いでそのベクターを大腸菌
    の複製開始領域を除いてシゾサッカロミセス・ポンベの
    染色体に組込むことを特徴とする、シゾサッカロミセス
    ・ポンベの形質転換方法。
  5. 【請求項5】複製開始領域が、シゾサッカロミセス・ポ
    ンベの染色体に対して相同的組換えを行わせる遺伝子部
    位の中に存在する、請求項4に記載の方法。
  6. 【請求項6】染色体に対して相同的組換えを行わせる遺
    伝子部位が、シゾサッカロミセス・ポンベのイソプロピ
    ルリンゴ酸デヒドロゲナーゼ遺伝子、オロチジンリン酸
    デカルボキシラーゼ遺伝子、ヒスチジノールリン酸アミ
    ノトランスフェラーゼ遺伝子またはホスホリボシルAM
    Pシクロヒドラーゼ遺伝子と相同の遺伝子部位である、
    請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
  7. 【請求項7】ベクターが2以上の発現カセットを有す
    る、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
  8. 【請求項8】異種蛋白質構造遺伝子とプロモータとを含
    む発現カセットおよびシゾサッカロミセス・ポンベ(S
    chizosaccharomyces pombe)
    の染色体に対して相同的組換えを行わせる遺伝子部位を
    有するベクターであって、かつベクター構築の過程にお
    いて必要とした、シゾサッカロミセス・ポンベ以外の細
    胞中で機能する複製開始領域を有しないベクターである
    ことを特徴とする、相同的組換え法でシゾサッカロミセ
    ス・ポンベの染色体に異種蛋白質構造遺伝子を導入する
    ためのベクター。
  9. 【請求項9】複製開始領域が大腸菌の複製開始領域であ
    る、請求項8に記載のベクター。
  10. 【請求項10】染色体に対して相同的組換えを行わせる
    遺伝子部位が、シゾサッカロミセス・ポンベのイソプロ
    ピルリンゴ酸デヒドロゲナーゼ遺伝子、オロチジンリン
    酸デカルボキシラーゼ遺伝子、ヒスチジノールリン酸ア
    ミノトランスフェラーゼ遺伝子またはホスホリボシルA
    MPシクロヒドラーゼ遺伝子と相同の遺伝子部位であ
    る、請求項8または9に記載のベクター。
  11. 【請求項11】大腸菌染色体の複製開始領域が、シゾサ
    ッカロミセス・ポンベの染色体に対して相同的組換えを
    行わせる遺伝子部位の中に存在する、請求項8、9また
    は10に記載のベクター。
  12. 【請求項12】ベクターが2以上の発現カセットを有す
    る、請求項8、9、10または11に記載のベクター。
  13. 【請求項13】請求項1〜7のいずれかに記載の方法で
    得られた形質転換されたシゾサッカロミセス・ポンベ。
  14. 【請求項14】請求項13に記載の形質転換されたシゾ
    サッカロミセス・ポンベを培養し、産生された異種蛋白
    質を取得することを特徴とする異種蛋白質の製造方法。
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