JP4671394B2 - キャンディダ・ユティリス由来のプロモーターdna - Google Patents

キャンディダ・ユティリス由来のプロモーターdna Download PDF

Info

Publication number
JP4671394B2
JP4671394B2 JP2004264952A JP2004264952A JP4671394B2 JP 4671394 B2 JP4671394 B2 JP 4671394B2 JP 2004264952 A JP2004264952 A JP 2004264952A JP 2004264952 A JP2004264952 A JP 2004264952A JP 4671394 B2 JP4671394 B2 JP 4671394B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
promoter
gene
dna
candida utilis
cycloheximide
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2004264952A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2006075123A (ja
Inventor
亮 岩切
幸司 依田
博之 足立
陽一 野田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kohjin Holdings Co Ltd
Original Assignee
Kohjin Holdings Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kohjin Holdings Co Ltd filed Critical Kohjin Holdings Co Ltd
Priority to JP2004264952A priority Critical patent/JP4671394B2/ja
Publication of JP2006075123A publication Critical patent/JP2006075123A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4671394B2 publication Critical patent/JP4671394B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、キャンディダ・ユティリス(Candida utilis)に同種または異種遺伝子を導入して形質転換する際に利用される、選択圧下で発現が誘導されるキャンディダ・ユティリス由来の新規なプロモーターDNAに関する。ベクターに挿入された本発明のプロモーターDNAは、宿主で同種又は異種遺伝子、好ましくは薬剤耐性マーカー遺伝子、の発現に使用される。
キャンディダ・ユティリスは、炭素資化域が広く、好気的条件下での培養でエタノールを生成せず、その増殖阻害も受けないことから、高濃度での連続培養による菌体製造が可能であり、食飼料用のタンパク質源等として広く使用されているのみならず、グルタチオン、核酸等の生産株として広く工業的に利用されてきた。
組み換えDNA技術の発展によって、遺伝子を自在に改変しあるいは加工し、これを細胞に導入して遺伝子を組み換え、例えばその発酵特性の改良、工業的有用性の増大、などが行われており、種々の酵母で可能となってきた。中でも、キャンディダ・ユティリスは安全性に優れ、効率的な菌体製造が出来ることから、有用物質生産の宿主生物としての利用が期待されている。
遺伝子導入の際に有効な酵母の薬剤耐性マーカーには、大腸菌由来のG418耐性遺伝子(kanMX)(Yeast 1994 10 1793)やハイグロマイシン耐性遺伝子(hph)(Gene 1983 25 179)をはじめ、酵母由来の亜硫酸耐性遺伝子(FZF1−4)(Curr Genet 1999 36 339)、ホルムアルデヒド耐性遺伝子(SFA1)(Yeast 1997 13 551)などが知られており、これらの耐性遺伝子の発現には、同種・異種に関わらず一般的に宿主由来のプロモーターが使われる。
用いるプロモーターの強度に依存して形質転換効率が向上するという報告もあり(Yeast 1997 13 551 )、前記の耐性遺伝子を含めてマーカー遺伝子の発現には、GAP(グリセルアルデヒド3−リン酸デヒドロゲナーゼ)、PGK(ホスホグリセリン酸キナーゼ)、CYC1(チトクロームC)、ADH(アルコールデヒドロゲナーゼ)などの強力なプロモーターがよく用いられている。
アルコールで誘導されるADH以外は構成的な転写活性を有するプロモーターであるが、薬剤存在下では生育の遅延が起こることから明らかなように、細胞にはかなりの負荷がかかっており、必ずしもそれらのプロモーターが薬剤の選択圧下で十分な転写活性を発揮しているとは限らない。
キャンディダ・ユティリス由来のプロモーターとしては、GAP遺伝子のプロモーター、PGK遺伝子のプロモーター、および原形質膜プロトンATPase(PMA)遺伝子プロモーター等、強力なプロモーターが既に取得されているが、いずれも前述の様に構成的発現を有するものである(特許文献1)。
よって、キャンディダ・ユティリスにおいて効率的形質転換系を構築するために、選択圧下で良好に機能する、薬剤耐性マーカーの発現に適したキャンディダ・ユティリス由来のプロモーターが望まれていた。
特開2003−174879
本発明は、キャンディダ・ユティリス酵母を宿主とする遺伝子発現系で、同種または異種の薬剤耐性マーカー遺伝子の発現において利用できる、選択圧下の発現に適したプロモーターを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、キャンディダ・ユティリス酵母染色体からマーカー遺伝子の発現に適したプロモーターを含むDNAを取得することに成功し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、選択圧下、具体的にはシクロヘキシミド存在下で発現が誘導される、配列表の配列番号1または配列番号2に記載されるリボソームタンパク質遺伝子のプロモーター配列、またはそれらのいずれかの部分配列を含み、プロモーター活性を有するDNAに係るものである。
また、本発明は、それらのDNA配列の下流に同種または異種遺伝子を含むプラスミドに係るものである。
さらに、本発明は、シクロヘキシミドにより誘導されるリボソームタンパク質遺伝子のプロモーター、特にキャンディダ・ユティリス由来のプロモーターを、薬剤耐性遺伝子、たとえばシクロヘキシミド耐性遺伝子の発現に用いるキャンディダ・ユティリスの形質転換系に係るものである。
本発明によるDNAは、薬剤耐性マーカー遺伝子により耐性が付与される該薬剤の存在下で誘導される高活性のプロモーターを含んでいる。従って、本発明によるDNAの下流に異種遺伝子または同種遺伝子を連結したプラスミドを作製し、それを宿主に導入することによって効率よく形質転換体を取得することが可能である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のプロモーター活性を有するDNAは、キャンディダ・ユティリスIAM4264株の染色体遺伝子よりスクリーニングされたもので、リボソームタンパク質遺伝子の上流に位置し、プロモーター領域を含む。プロモーター配列の具体例としては、配列番号1並びに2、およびプロモーター活性を有するそれらの部分配列が挙げられる。
染色体遺伝子から目的のDNA断片をクローニングする手順について、以下、説明する。
1.ゲノムライブラリーの構築
キャンディダ・ユティリスのゲノムDNAを予め選択してある制限酵素で処理し、適当なサイズのDNAを分取して、後述するプロモータースクリーニング用プラスミドYRpΔP−YAPに連結した(図1)。このライゲーション液を用いて大腸菌を形質転換し、薬剤耐性マーカーを利用して得られたコロニーからDNAを回収してゲノムDNAライブラリーとした。
2.プロモーターのスクリーニング
ここで用いたプロモータースクリーニング用のプラスミド(YRpΔP−YAP)は、キャンディダ・ユティリスで機能する自律複製起点と、プロモーター領域を欠いた薬剤耐性遺伝子を含んでなる。このプラスミドは、自律複製起点を持ちキャンディダ・ユティリス細胞内で染色体とは独立して複製可能であるが、プロモーター配列を欠き薬剤耐性遺伝子の転写が行われず、よってこのプラスミドを保有する酵母細胞は該薬剤を含む培地上には生育できない。このプラスミドの薬剤耐性遺伝子の上流にある制限酵素サイトを用いて作成したキャンディダ・ユティリスのゲノムDNAライブラリーを、キャンディダ・ユティリス細胞へ導入し、該薬剤耐性コロニーを選択することで、プロモーター活性を持ったDNA断片を取得することが可能である。
薬剤耐性マーカー遺伝子としてはキャンディダ・ユティリス由来の酵母AP−1様転写因子をコードするYAP1遺伝子を用いた(特許出願中)。シクロヘキシミド耐性の成立には、YAP1遺伝子の高発現が必要であり、この遺伝子をレポーターとして用いることで、マーカー遺伝子の発現に適した高活性のプロモーターが取得できるものと期待される。
DNAライブラリーをキャンディダ・ユティリスに酢酸リチウム法で導入し、シクロヘキシミド耐性コロニーを取得した。その中で高いシクロヘキシミド耐性を示したものについてプラスミドを回収し、インサートサイズやキャンディダ・ユティリスへの形質転換能の有無を調べた。
インサートサイズが小さく良好なシクロヘキシミド耐性を示したP2−1とP2−33についてさらに詳細な解析を行った。
3.プロモーター活性を有するDNA断片の短縮化
適当な制限酵素を用いて、プロモーター活性を有するDNA断片内の上流部位を欠失させた数種の変異体を作成し、それらの形質転換体のシクロヘキシミド耐性能を調べることでプロモーター機能領域の特定を行った。
短縮化したP2−1−2(約500bp)やP2−33−2(約1.4kbp)由来のクローンはいずれも欠失前と同じ75μg/mlの高いシクロヘキシミド耐性を示し、このDNA断片にプロモーターの機能領域が存在することが明らかとなった。またこれらは、比較対照として用いたGAPプロモーター由来のクローンと同等以上の耐性を示した。
4.プロモーター活性を有するDNA断片の塩基配列解析
次に得られたプロモーター活性を示すDNA断片の塩基配列を決定した。塩基配列の解読にはキャピラリーDNAシーケンサー(ABI)を用いた。P2−1は配列番号1に示される1405bp、P2−33−2は配列番号2で示される1415bpの配列から構成されていた。
5.プロモーター遺伝子の特定
inverse−PCRによりプロモーター下流遺伝子の特定を行った。この方法は既に塩基配列が分かっているDNA断片の両端の配列を基に、それぞれ逆向きになるようにプライマーを作成し、これらのプライマーを用いてPCRを行い、既知のDNA断片に隣接する遺伝子断片を取得する方法である。
キャンディダ・ユティリスのゲノムDNAを、P2−1、P2−33の両プロモータ配列内の下流領域を切断しないような制限酵素で消化し、セルフライゲーションにより自己環状化させた。このDNAを鋳型として上記の様なプライマーを用いてPCRを行い、各プロモーター遺伝子を含む遺伝子断片を増幅した。
増幅したDNA断片の部分塩基配列を解読することで、プロモーター遺伝子を含むDNA断片であることを確認するとともに、その遺伝子から推定されるアミノ酸配列を基にデーターベースによるホモロジー検索を行い、遺伝子を同定した。
ともに下流遺伝子はリボソーム大サブユニットを構成するタンパク質の遺伝子であり、P2−1はリボソームタンパク質L31遺伝子、P2−33はリボソームタンパク質L29遺伝子であった。
クローニングしたプロモーターに関して以下の機能解析を行った。
まず、プロモーターの活性測定を行った。対象とするプロモーターの下流にレポーター遺伝子を連結して、その酵素活性を測定することで、プロモーターの転写活性を定量化した。レポーターとしてはβーガラクトシダーゼ遺伝子を用いた。
βーガラクトシダーゼ活性測定用ベクターにはYIplacZを用いた(図5)。このベクターは、主に以下の三つの部分、すなわち(i)開始コドンを含むlacZ遺伝子とGAPターミネーターからなるレポーターセットと、(ii)GAPプロモーターとバクテリア由来のKANMXおよびホスホグリセリン酸キナーゼのターミネーターからなるキメラG418耐性マーカー遺伝子(出願中の特許参照)、および(iii)3−イソプロピルマレートデヒドロゲナーゼ遺伝子(3−IMDH)(J.General Microbiology 1987 133 1089)の部分配列からなる染色体組み込み用のDNAで構成されている。
PCRで取得した各種プロモーターDNA断片を、βーガラクトシダーゼ活性測定用ベクターのlacZ遺伝子直前に挿入した。これらのベクターをキャンディダ・ユティリスへ導入して得たG418耐性を示す形質転換体の中からサザン解析によりβーガラクトシダーゼ発現ベクターが染色体へ1コピー組み込まれたクローンを選択した。
これらのクローンについて通常の条件下と最少阻止濃度以下のシクロヘキシミド存在下でのβーガラクトシダーゼ活性を定量した結果、スクリーニングしたプロモーターでは、シクロヘキシミド存在下において選択圧のない条件に比べ約4〜5倍転写活性が増加することを明らかとした。
さらに、各種プロモーターにより構成されるYAP1発現ベクターをキャンディダ・ユティリスに形質転換して、スクリーニングしたプロモーター由来のベクターはいずれもGAPプロモーター由来のベクターより優れた形質転換効率を示すことを確認した。
以上から、スクリーニングしたプロモーターは、シクロヘキシミド存在下で転写活性が誘導され、シクロヘキシミドを選択圧とする形質転換において好適であることが明らかとなった。また、このプロモーターは形質転換時のみ活性が誘導され、通常は発現が抑えられることから、細胞への負担が少ないという利点がある。具体的には、このプロモーターはYAP1遺伝子をマーカーとするシクロヘキシミド選択圧下でのキャンディダ・ユティリスの形質転換系に適していると言える。
またさらに、スクリーニングしたプロモーター下流に挿入したバクテリア由来のG418耐性遺伝子がキャンディダ・ユティリス内で機能することを確認し、異種遺伝子の発現も可能であることが示された。
本発明において提供されるキャンディダ・ユティリス由来のプロモーター活性を有するDNA断片は、キャンディダ・ユティリスIAM4264株から得られたものであるが、キャンディダ・ユティリスに属する他の菌株においてもプロモーター活性を有する。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明する。
実施例1
1−1.ゲノムライブラリーの構築
プロモーターのスクリーニングに用いるキャンディダ・ユティリスのゲノムDNAライブラリーを作成した。
自律複製型の高発現プラスミドYRpGAP(特許出願中)のGAPプロモーター配列をPstIとEcoRIで消化した後、末端を平滑化して自己会合させることで除去し、次いでGAPターミネーター上流のSmaIとXbaIサイトにYAP1構造遺伝子(特許出願中)を連結して、プロモーターレスのプラスミド(YRpΔP−YAP)を作成した。
キャンディダ・ユティリスIAM4264株のゲノムDNAを、段階的に希釈したSau3AIで部分消化し、アガロースゲル電気泳動に供した。1kbp前後のDNA断片をGENECLEANキット(QIAGENE製)を用いて回収して、YRpΔP−YAPのYAP1構造遺伝子の直前に存在するBglIIサイトに挿入した(図1)。
この反応液をエレクトロポレーションにて大腸菌TOP10F'に形質転換して、アンピシリン耐性コロニーを取得した。これらのコロニーを掻き集めて得た培養液を基に再度プレート上で菌体を増幅させDNAを回収して、ゲノムDNAライブラリーとした。得られたライブラリーの平均インサートサイズは1.0kbp、組み込み率は87.5%であった。
1−2.プロモーターのスクリーニング
ゲノムライブリーDNA43.4μgを酢酸リチウム法でキャンディダ・ユティリスAHU3053株へ形質転換した。30℃、3日間の培養により、シクロヘキシミドを終濃度が4μg/mlとなるように添加したYPD寒天培地上に57個のコロニーが生育した。DNA無添加のコントロールでもコロニーの生育が認められたので自然耐性株が混入していると予想された。
そこで、得られた耐性株についてシクロヘキシミド添加培地でシングルコロニー化した後、各株のシクロヘキシミド耐性濃度を測定した。コントロールで得られた自然耐性株(10μg/mlまで生育)と比較して明らかに高い耐性(50μg/mlまで生育)を示した14株からプラスミドDNAを回収した。このうち酵母へ再度形質転換し耐性を付与できたものが12株であった。これらについて制限酵素消化によるフラグメント解析や、部分塩基配列の解析の結果、8種類に分類できることが明らかとなった。
このうちサイズが小さく、良好なシクロヘキシミド耐性を示した約1.4kbpのP2−1と約3.6kbpのP2−33についてさらに解析を進めた。
1−3.プロモーター活性を有するDNA断片の短縮化
プロモーター活性を有するP2−1とP2−33のDNA断片について短縮化を行った。
数種のプロモーターの欠失変異体は、YAP1発現ベクターの各プロモーター内部の上流配列を、制限酵素を用いて欠失させ作成した。
P2−1については、プロモーター内部で切断するSmaI、EcoRI、XbaIサイトを利用し、SmaIからEcoRI部分を欠失させた約0.9kbpのDNA断片からなるP2−1−1を、SmaIからXbaI断片を欠失させた約0.5kbpのDNA断片からなるP2−1−2をそれぞれ有するYAP1発現ベクターを作成した。
同様にP2−33については、約1.3kbpのSmaIからEcoRI断片を削った約1.3kbpのDNA断片からなるP2−33−2を持つYAP1発現ベクターを作製した。
これらをAHU3053株に導入してシクロヘキシミド耐性株を取得した。比較としてGAPプロモーターによるYAP1発現ベクターを用いた。得られた形質転換体はシングルコロニー化した後、各種3〜6コロニーについてシクロヘキシミドに対する耐性能 (50,75,100μg/ml)を比較した。培養8日目における結果を図2に示した。
スクリーニングしたプロモーターおよびその上流領域を欠失させたプロモーターを持つ株では全て75μg/mlまで生育し、機能領域がP2−1ではP2−1−2に、P2−33ではP2−33−2に含まれると推定された。また、スクリーニングしたプロモーターはGAPプロモーター由来のクローンより生育速度が速くかつ高濃度のシクロヘキシミド耐性を示したことから、シクロヘキシミド存在下ではGAPプロモーターと同等以上の活性を持つことが示唆された。
1−4.プロモーター活性を有するDNA断片の塩基配列解析
次に得られたプロモーター活性を示すDNA断片の塩基配列を決定した。
プロモーター領域を含むP2−1フラグメントは、配列番号1で示される1405bpの塩基配列で構成されていた。一方、P2−33−2フラグメントは配列番号2で示される1415bpの塩基配列で構成されていた。
1−5.プロモーター遺伝子の同定
inverse−PCRによってプロモーター下流DNA断片を取得し、その塩基配列を解読することでプロモーター遺伝子の同定を行った。
さまざまな制限酵素でキャンディダ・ユティリスIAM4264のゲノムDNAを消化し、セルフライゲーションにより自己会合させた。この自己環状化させたゲノムDNA30ngを鋳型として、LA Taq polymerase(TAKARA製)を用いてPCRを行った。P2−1の下流DNA断片の取得には以下に示す、(1)と(2)を、同様にP2−33には(3)と(4)を用いた。
プライマー
(1)P2−1up
5'-TTGCGGCCGCGCCGTTCACATCCTAATGCA-3'
(2)P2−1down
5'-TTGCGGCCGCCCCCATATACTCATCAAAGA-3'
(3)P2−33up
5'-TTGCGGCCGCGCTCCAATTGGCCCAGAAAA-3'
(4)P2−33down
5'-TTGCGGCCGCTAACGAACGCTTCCACACTG-3'
それぞれの末端にNotIサイトを付加してある。
増幅が見られたもののうちサイズの小さい断片、P2−1ではEcoRIで消化し自己会合させた約2.5kbp、同様にP2−33ではEcoRV由来の3.2kbpをクローニングベクターpBluescriptIIのNotIサイトへ挿入した。
これらの塩基配列の一部を解析し、推定されるアミノ酸配列を基にコンピューターを使ったホモロジー検索を行った結果、ともにリボソームの大サブユニットを構成するリボソームタンパク質と高い相同性を示した。P2−1とP2−33の下流遺伝子がコードするタンパク質はリボソームタンパク質L31、L29とそれぞれ極めて高い相同性を確認した(図3,4)。
実施例2
以下、スクリーニングした各種プロモーターの機能を解析した。
2−1.プロモーター転写活性測定
プロモーター活性測定用ベクターを構築した。まずレポーター遺伝子をPCRにより取得した。鋳型には大腸菌のβ-ガラクトシダーゼ遺伝子(LacZ)を保有するpMC1871を用いた。このLacZには開始コドンが存在しないので、BamHIサイトの直前に開始コドン(ATG)を付加した。
(5)lacZ−F
5'-AACTGCAGATGGATCCCGTCGTTTTACAACGTCGTG-3'
(6)lacZ−R
5'-GGTCTAGACGGTTATTATTATTTTTGACACCAGA-3'
上流にはPstIサイトを、下流にはXbaIサイトを付加するようにプライマーを設計した。
上記プライマーを基にPyrobest(TAKARA製)を用いたPCRによりLacZ構造遺伝子−付加したATGからストップコドンTAAの下流9塩基までの3066bp−を増幅した。
このLacZ遺伝子をpBluescriptIIに挿入し、その下流にGAPターミネーターと、相同組み換えのターゲットを有するキメラG418耐性選択マーカー(3−IMDH::Pgap−KANMX−Tpgk)とを順に連結して、LacZ活性測定用ベクターYIplacZを構築した(図5)。各種プロモーターDNAは以下のプライマーを用いたPCRにより増幅した。
(7)P2−1−F
5'-AGGGTCGACCCCGGGAGATCTTGCAATGCTCAG-3'
(8)P2−1−R
5'-AACTGCAGAGATCTGTTAGAAGACATCTTTGA-3'
(9)P2−33−2−F
5'-GAATTCGCGAAACGCTGCTCTGTG-3'
(10)P2−33−2−R
5'-AACTGCAGAGATCCTTTCAATTCAACATTTAA-3'
P2−1の上流にはSalIサイトを、P2−33−2の上流にはEcoRIサイトを、また、両断片の下流にはともにPstIサイトをそれぞれ付加するようにプライマーを設計した。
P2−1の増幅にはプライマー(7)と(8)を、P2−33−2には(9)と(10)をそれぞれ用いた。これらのプライマーを用いたPCRによって増幅されるP2−1とP2−33−2のDNA断片をクローニングベクターpBluescriptIIのSalI−PstIとEcoRI−PstI部位にそれぞれ連結した。
P2−1−2DNA断片は、クローニングしたP2−1をXbaIとEcoRVで消化し平滑化した後、セルフライゲーションを行うことで作成した。GAPプロモーターに関してはPCRで増幅したEcoRI−PstI断片を使用した(出願中の特許参照)。
以上の様に取得した各種プロモーター断片をYIplacZのLacZ遺伝子直前に挿入することで、各々のLacZ発現プラスミドを作成した。
これらのベクターをキャンディダ・ユティリスの染色体に組み込むため、3−IMDH遺伝子のみを1箇所切断するNspVを用いて消化し、AHU3053株へ酢酸リチウム法により形質転換した。G418耐性を示し、しかもサザン解析によりLacZ発現プラスミドが染色体DNAに1コピー組み込まれたことが確認できたクローンを活性測定に供した。
各種プロモーターを持ったクローンをYPD液体培地(2%グルコース、2%ポリペプトン、1%酵母エキス)で、30℃のもと振とう培養した。OD600が0.8前後に達した時点(約4時間)でサンプリングして、常法であるo−nitrophenyl β−D−galactopyranoside(ONPG)アッセイによりβ−ガラクトシダーゼ活性を測定した。結果を下表1に示した。
Figure 0004671394
選択圧のないYPD液体培地で培養した条件においては、スクリーニングしたプロモーターはいずれもGAPプロモーターの約1/10以下の低調な転写活性を示した。
次いで、各種プロモーターを持ったクローンを、最少阻止濃度以下のシクロヘキシミド(終濃度1μg/ml)を添加したYPD液体培地で同様に培養し、β−ガラクトシダーゼ活性を測定した。その結果を下表2に示した。
Figure 0004671394
シクロヘキシミドの添加により、培養時間の遅延が見られ、OD600が0.8前後に達するまで約21時間を要した。シクロヘキシミド添加によりスクリーニングしたプロモーターはいずれも、選択圧のないYPD液体培地で培養した条件に比べて転写活性が約4〜5倍増大した。一方のGAPプロモーターは3割程度の活性の減少が認められた。
2−2.各種プロモーターを持ったYAP1発現プラスミドによるAHU3053株の形質転換
P2−1−2,P2−33−2,Pgapの3種類のプロモーターを持った各YAP1発現プラスミドのキャンディダ・ユティリスAHU3053株に対する酢酸リチウム法による形質転換効率を調べた。結果を下表3に示した。
Figure 0004671394
GAPプロモーターと比較してスクリーニングしたプロモーターの方が明らかに高い形質転換効率を示した。中でもP2−1−2は、GAPプロモーターの約10倍と極めて良好な効率を示した。
2−3.P2−1−1による異種遺伝子の発現
スクリーニングしたプロモーターが他の遺伝子に対しても転写活性を有するか確認した。P2−1−1の下流にG418耐性遺伝子(KANMX)を挿入した自律複製型のプラスミド(図6)を構築し、キャンディダ・ユティリスAHU3053株へ導入した。約0.2μg−DNAあたり650〜800個のG418耐性(40μg/ml)耐性株が出現した。P2−1−2が異種遺伝子に対しても転写活性を持つことが確認できた。
以上、述べてきた通り、本発明によれば、キャンディダ・ユティリス由来の、薬剤存在下で誘導される活性の高いプロモーター遺伝子DNAが提供され、その下流に異種または同種の該薬剤耐性マーカー遺伝子を連結することにより、効率的にキャンディダ・ユティリスの形質転換体を得ることができる。
プロモータースクリーニング用プラスミドYRpΔP−YAPに、キャンディダ・ユティリスのゲノムDNAを連結した、プロモータースクリーニング用DNAライブラリーの構築図。 各種プロモーター下で発現するYAP1発現プラスミドを導入したキャンディダ・ユティリスのシクロヘキシミド耐性能を比較した図。 P2−1下流遺伝子配列から推定されるアミノ酸配列のホモロジー検索結果を示す。Sc,Sp,Rn,Hsは、それぞれ Saccharomyces cerevisiae,Schizosaccharomyces pombe,Rattus novvegicus,Homo sapiens を示す。 P2−33下流遺伝子配列から推定されるアミノ酸配列のホモロジー検索結果を示す。Sc,Spは、それぞれ Saccharomyces cerevisiae,Schizosaccharomyces pombe を示す。 プロモーター活性測定用プラスミドYIplacZの構成を示した図。 P2−1−1によるG418耐性遺伝子発現プラスミドの構成を示した図。

Claims (6)

  1. 以下の(a)または(b)のDNAからなるシクロヘキシミド存在下で発現が誘導されるキャンディダ・ユティリス由来の遺伝子。
    (a)配列表の配列番号1に記載されるリボソームタンパク質L31遺伝子のプロモーター配列を有するDNA。
    (b)(a)の塩基配列のうち制限酵素SmaIサイトからXbaIサイトを欠失させた塩基配列、または当該塩基配列を含んでなるプロモーター活性を有するDNA。
  2. 以下の(c)または(d)のDNAからなるシクロヘキシミド存在下で発現が誘導されるキャンディダ・ユティリス由来の遺伝子。
    (c)配列表の配列番号2に記載されるリボソームタンパク質L29遺伝子のプロモーター配列を有するDNA。
    (d)(c)の塩基配列を含んでなるプロモーター活性を有するキャンディダ・ユティリス由来のDNA。
  3. 請求項1または2記載のDNAと、その下流に同種または異種遺伝子を含むことを特徴とするプラスミド。
  4. 請求項1または2記載のDNAからなるシクロヘキシミドにより誘導されるリボソームタンパク質遺伝子のプロモーターを、薬剤耐性遺伝子の発現に用いるキャンディダ・ユティリスの形質転換方法。
  5. 薬剤耐性遺伝子がシクロヘキシミド耐性遺伝子である請求項4の形質転換方法。
  6. プロモーターがキャンディダ・ユティリスのリボソームタンパク質遺伝子のプロモーターである請求項4の形質転換方法。
JP2004264952A 2004-09-13 2004-09-13 キャンディダ・ユティリス由来のプロモーターdna Active JP4671394B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004264952A JP4671394B2 (ja) 2004-09-13 2004-09-13 キャンディダ・ユティリス由来のプロモーターdna

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004264952A JP4671394B2 (ja) 2004-09-13 2004-09-13 キャンディダ・ユティリス由来のプロモーターdna

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2006075123A JP2006075123A (ja) 2006-03-23
JP4671394B2 true JP4671394B2 (ja) 2011-04-13

Family

ID=36155094

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004264952A Active JP4671394B2 (ja) 2004-09-13 2004-09-13 キャンディダ・ユティリス由来のプロモーターdna

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4671394B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103348014B (zh) 2010-10-05 2020-11-03 味之素株式会社 含有γ-Glu-Abu的酵母和酵母提取物以及它们的制备方法
WO2015005378A1 (ja) 2013-07-12 2015-01-15 味の素株式会社 Abu、γ-Glu-Abu、及び/又はγ-Glu-Abu-Glyを高含有する酵母

Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1995032289A1 (fr) * 1994-05-25 1995-11-30 Kirin Beer Kabushiki Kaisha Lignee transformee de levure candida utilis et expression d'un heterogene dans cette lignee

Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1995032289A1 (fr) * 1994-05-25 1995-11-30 Kirin Beer Kabushiki Kaisha Lignee transformee de levure candida utilis et expression d'un heterogene dans cette lignee

Also Published As

Publication number Publication date
JP2006075123A (ja) 2006-03-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR102253479B1 (ko) 프로모터 변이체
EP2862933B1 (en) Bidirectional promoter
US20170088845A1 (en) Vectors and methods for fungal genome engineering by crispr-cas9
EP2106447B1 (en) Method for methanol independent induction from methanol inducible promoters in pichia
JPH0515431B2 (ja)
JP2021520835A (ja) 有機酸耐性酵母由来新規プロモーター及びこれを用いた目的遺伝子の発現方法
Choi et al. Optimization of the expression system using galactose-inducible promoter for the production of anticoagulant hirudin in Saccharomyces cerevisiae
WO2016088824A1 (ja) セントロメアdna配列を含むベクター及びその用途
JP2973430B2 (ja) 誘導可能な系を用いた酵母による蛋白質の製造方法、ベクター及びその形質転換株
JP4563228B2 (ja) キャンディダ・ユティリス由来のars遺伝子
JP6880010B2 (ja) 新規エピソームプラスミドベクター
JP4671394B2 (ja) キャンディダ・ユティリス由来のプロモーターdna
EP4008771A1 (en) Synthetic promoter based on gene from acid-resistant yeast
JP2005514001A (ja) 酵母中での異種遺伝子発現のためのアルコールオキシダーゼ1調節ヌクレオチド配列
US20090162897A1 (en) Promoter Sequences
JP4587750B2 (ja) 転写活性化タンパク質をコードするキャンディダユティリス由来の遺伝子
KR20050025180A (ko) 메틸트로픽 효모로부터 유도된 변화된 전사 효율을 갖는프로모터
JP7181865B2 (ja) メタノール資化性酵母内において高効率にベクターをアセンブルする方法
CN112592954B (zh) 基因GliT作为筛选标记基因在抗性筛选中的应用
CN116555269B (zh) 熊蜂生假丝酵母诱导型启动子及其应用
JP3505743B2 (ja) 変異型aox2プロモーター、それを担持するベクター、形質転換体および異種蛋白質の製造方法
JP2018078883A (ja) 新規高温耐性付与遺伝子とその利用法
JP5686974B2 (ja) 新規ターミネーターおよびその利用
CN115247135A (zh) 强化高尔基体至胞外蛋白运输过程提高毕赤酵母胞外葡萄糖氧化酶产量
JPH09135694A (ja) カンジダ・ボイジニイのアクチン遺伝子のプロモーター/ターミネーター

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070508

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100408

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100527

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20101019

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20101217

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110117

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110117

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 4671394

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140128

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140128

Year of fee payment: 3

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313115

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140128

Year of fee payment: 3

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250