JP4587750B2 - 転写活性化タンパク質をコードするキャンディダユティリス由来の遺伝子 - Google Patents

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本発明は、キャンディダ・ユティリス(Candida utilis)に外来遺伝子を導入して形質転換する際に利用される、キャンディダ・ユティリス由来のAP−1様転写活性化タンパク質(以下、「YAP1」とも略称する。)をコードする遺伝子に関する。
キャンディダ・ユティリスは、炭素資化域が広く、好気的条件下での培養でエタノールを生成せず、その増殖阻害も受けないことから、高濃度での連続培養による菌体製造が可能であり、食飼料用のタンパク質源等として広く使用されているのみならず、グルタチオン等の生産株として広く工業的に利用されてきた。
組み換えDNA技術の発展によって、遺伝子を自在に改変しあるいは加工し、これを細胞に導入して遺伝子を組み換え、例えばその発酵特性の改良、工業的有用性の増大、などが行われており、種々の酵母で可能となってきた。
酵母の遺伝子操作、特に形質転換には、目的の遺伝子が挿入された酵母を選択するための選択マーカーが必要である。選択マーカーの一つとして、栄養要求性変異を付加しその相捕を基本にした栄養要求性マーカーがある。倍数性が低く栄養要求性変異株を取得しやすい実験室酵母サッカロミセス・セレビシェでは、主としてこのマーカーが使用されている。キャンディダ・ユティリスにおいても、二倍体細胞を用いてウラシル要求性を基にした形質転換系が報告されている(FEMS Microbiol Lett 1998 165 335)。しかし、実用酵母はそれ以上の高次倍数体の場合もあり、これら酵母に遺伝的変異により栄養要求性を付与することは困難である。また、変異の導入によって優良形質が失われる危険性も否定できない。従って、実用酵母の選択マーカーとしては、ドミナントで、かつ宿主細胞を選ばない薬剤耐性マーカーが望ましい。
酵母の形質転換に用いられる薬剤耐性マーカーとしては、バクテリア由来のG418耐性遺伝子(kanMX)(Yeast 1994 10 1793)やハイグロマイシン耐性遺伝子(hph)(Gene 1983 25 179)を始め、酵母由来のAureobasidinA(AUR−1)(Mol Gene Genet 1996 251 236)、亜硫酸耐性遺伝子(FZF1−4)(Curr Genet 1999 36 339)、シクロヘキシミド耐性遺伝子(cyh2)(Curr Genet 1991 19 353)、ホルムアルデヒド耐性遺伝子(SFA1)(Yeast 1997 13 551)など諸種の遺伝子が知られている。
安全性の高いセルフクローニングのベクターを構築する上では、宿主となる酵母細胞由来のマーカーが望まれているが、キャンディダ・ユティリスでは、リボゾームタンパク質であるL41タンパク質を部分特異的変異法によりシクロヘキシミド耐性型に変換した薬剤耐性マーカーが知られているのみである(特許文献1)。
YAP1は、酵母におけるAP−1様タンパク質で、細胞毒性のある各種薬剤や酸化ストレスに応答して、細胞の保護や耐性獲得に関連する遺伝子をはじめ各種遺伝子群の発現を活性化する働きを有する。YAP1を酵母細胞内で高発現させると、シクロヘキシミドやsulfometuron、4−nitroso−2−naphtol、4−nitroquinoline、ceruleninなどさまざまな薬剤に耐性となることが知られている(Curr Opinion Genet Dev 1999 9 55)。この性質を利用して、出芽酵母サッカロミセス・セレビシェ(Saccharomyces cerevisiae)ではYAP1をマーカーとした形質転換系が報告されている(非特許文献1)。
YAP1のホモログは、他の酵母、例えばスキゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)(非特許文献2)、クロペロマイセス・ラクティス(Kluyveromyces lactis)(非特許文献3)、キャンディダ・アルビカンス(Candida albicans)(非特許文献4)などで既に取得されているが、キャンディダ・ユティリス(Candida utilis)では未だ報告がない。
YAP1をマーカーとした場合、シクロヘキシミドの他にもさまざまな薬剤で選択することも可能となるばかりでなく、野生型の遺伝子を用いている為、変異を導入した遺伝子の場合と異なり、相同組み換えにより変異遺伝子が野生型遺伝子へ変換する可能性もなくなることが期待される。
WO95/32289号公報 Yeast 2002 19 17 Genes Dev 1991 5 60 Mol Gen Genet 1997 257 62 J Boil Chem 1997 272 19304
本発明は、かかる従来の問題点を解決することにあり、効率よく目的遺伝子を選択できる、キャンディダ・ユティリス由来のAP−1様転写活性化タンパク質をコードする遺伝子を提供することにある。
本発明者らは、キャンディダ・ユティリス由来のAP−1様転写活性化タンパク質をコードした遺伝子をクローニングするため鋭意研究の結果、キャンディダ・ユティリスのゲノムから該タンパク質をコードする遺伝子断片のクローニングに成功し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、
)配列表配列番号1で表される、キャンディダ・ユティリス(Candida utilis)由来のAP−1様転写活性化タンパク質をコードする遺伝子、
を提供するものである。
本発明が提供するキャンディダ・ユティリス由来の遺伝子は、キャンディダ・ユティリス細胞内において機能を持つAP−1様転写活性化タンパク質に翻訳され、該タンパク質の発現の増強による酸化ストレスや薬剤耐性能力向上を指標とすることにより、特に、キャンディダ・ユティリスを宿主とする形質転換において、効率よく目的遺伝子を選択できる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の、AP−1様転写活性化タンパク質とは、通常は細胞質に散在しているが、酸化ストレスや細胞毒性を示す薬剤等のストレス要因が加わることによって、核内に局在し、これによって酵母の細胞保護のための酵素やタンパク質をコードする遺伝子群の発現を誘導することにより、酵母の生存率を向上させるものをいう。
本発明の、AP−1様転写活性化タンパク質をコードする遺伝子とは、キャンディダ・ユティリス染色体遺伝子からクローニングされた、該タンパク質をするコードするDNA断片、具体的には、配列番号1に示す塩基配列で示されるものである。
染色体遺伝子から目的のDNA断片をクローニングする手順について、以下、説明する。
1.degenerate−PCRによるYAP1部分DNA断片の取得
YAP1クローニングのプローブとして用いるため、degenerate−PCRによるYAP1部分DNA断片を取得した。
degenerate−PCRとはアミノ酸配列で保存されている領域を基にして縮重した配列をもつプライマーを作製し、これらを用いてPCRを行うもので、ファミリー遺伝子の DNA 断片を取得する際によく使われる技術である。
YAP1には、AP−1ファミリーの特徴であるb−ZIP領域に加えてシステイン残基に富むシステインリッチ領域(CRD)が存在し、アミノ酸レベルで良く保存されていることが知られている(Oncogene 2001 20 2336)。それらの高い相同性を示すアミノ酸配列を基に縮重したプライマーを設計し、キャンディダ・ユティリスの染色体DNAを鋳型としたPCRに用いることで、YAP1類似のDNA断片を増幅した。
さらに、続けて一回目で用いたプライマーの数塩基内側に設計したnestedプライマーでPCRを行い、YAP1特異的な部分DNA断片を取得した。
2.YAP1遺伝子のクローニング
キャンディダ・ユティリスIAM4264株のゲノムDNAを適当な制限酵素で消化し、上記PCRで得たYAP1特異的な部分DNA断片をプローブとしたサザンハイブリダイゼーションに供した。プローブとハイブリダイズするサイズのDNAを回収し、クローニングベクターpBluescriptIIに連結し、大腸菌DH5αに形質転換した。得られたアンピシリン耐性を示す形質転換体について、同様のプローブ、すなわちYAP1特異的な部分DNA断片、を用いてコロニーハイブリダイゼーションを行い、YAP1の部分塩基配列を含むDNA断片をクローニングした。
3.DNA塩基配列の決定
DNA塩基配列の決定は、適当な制限酵素を用いたDNA断片の細分化とプライマーウォーキング法を組み合わせて行った。
配列番号1に示される塩基配列から予測されるアミノ酸配列を解析した結果、YAP1に特徴的なb−ZIP領域と2つのCRDと高い相同性を有する配列が認められ、取得したDNA断片がYAP1を含んでいることを確認した。
4.機能の確認
配列から予測されるYAP1構造遺伝子を含むDNA断片を、キャンディダ・ユティリスで機能する自律複製型の強発現ベクターに挿入して、キャンディダ・ユティリスAHU3053に形質転換し、シクロヘキシミド耐性のコロニーを多数得た。
ランダムに単離したシクロヘキシミド耐性コロニーについて、高いシクロヘキシミド耐性能を示すこと、およびサザン解析によりYAP1高発現ベクターを保持していることを各々確認し、耐性コロニーが薬剤耐性をマーカーにした形質転換でまれに生じる自然耐性株ではなく、YAP1高発現プラスミドによる形質転換体であることを確認した。
本発明において提供されるキャンディダ・ユティリス由来のAP−1様転写活性化タンパク質をコードする遺伝子は、キャンディダ・ユティリスIAM4264株から得られたものであるが、当該キャンディダ・ユティリスIAM4264株から誘導される種々の変異株のみならず、キャンディダ・ユティリスに属する他の菌株においても、機能を持つタンパク質に翻訳される。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明する。
実施例1
1.degenerate− PCRによるYAP1部分DNA断片の取得
既に遺伝子配列が明らかとなっている、Saccharomyces cerevisiae、Candida albicans、 Kluyveromyces lactis、Schizosaccharomyces pombe由来の各YAP1のアミノ酸配列について相同性検索を行い、特に保存性の高いbZIP領域とC末側のCRD領域を基に縮重したプライマーを作成した。
基にしたアミノ酸配列は以下に示す通りである。
bZIP−1:Ala Gln Asn Arg Ala Ala Gln
bZIP−2:Ala Gln Arg Ala
cCRD:Lys Ala Lys Cys Ser
以上のアミノ酸配列に対応する塩基配列を持つように、以下のプライマーを作成した。ここでbZIP−2は、bZIP−1の下流に存在するアミノ酸配列である。
(1)bZIP−1
5'-CCCTCGAGGCYCARAAYMGWGCIGCICA-3'
(2)bZIP−2
5'-CCCTCGAGGCICARMGIGC-3'
(3)cCRD
5'-CCCTCGAGISWACAYTTIGCYTT-3'
全てのプライマーの末端にXhoIを付加してある。

(なお、上記配列中、Aはアデニン、Tはチミン、Gはグアニン、Cはシトシン、Iはイノシンを示し、YはTとCを、RはAとG、MはCとA、SはGとC、およびWはTとAをそれぞれ示す。)
PCRは、Ex Taq polymerase(TAKARA製)を用い、94℃、1minの後、95℃、30sec→50℃、1min→72℃、2.5minを30サイクル、最後に72℃、10minの条件で行った。
まず、キャンディダ・ユティリスIAM4264株のゲノムDNAを鋳型として、プライマー(1)と(3)を用いてPCRを行った結果、複数のバンドの増幅が認められた。次いで、このPCR後の反応液を鋳型として、プライマー(2)と(3)を用いて二回目のPCRを行うことで、約1.2kbpの断片が強く増幅された。
このDNA断片をXhoIで消化した後、クローニングベクターpBluescriptIIのXhoIサイトに挿入した。この断片の両端について部分塩基配列を解読したところbZIPとCRD領域とそれぞれ高い相同性を示し、この断片がYAP1の特異的な部分配列であることを確認した。
2.YAP1遺伝子のクローニング
YAP1の特異的な部分配列をプローブとして、キャンディダ・ユティリスIAM4264株のゲノムDNAからYAP1遺伝子全長のクローニングを行った。
キャンディダ・ユティリスIAM4264株のゲノムDNAをさまざまな制限酵素で消化し、上記PCRで得たYAP1特異的な部分DNA断片をプローブとしたサザンハイブリダイゼーションに供した。プローブの標識や検出にはジゴキシゲニンとその抗体を利用するDIGシステム(Roche製)を用いた。その結果、PstI消化したもので約5kbpに、SalI消化したもので約10kbpと1.3kbpにポジティブなシグナルを検出した。SalI消化したものに関しては1.3kbpのみを、以下、使用した。シグナルが検出された箇所のアガロースゲルを切り出し、GENECLEANキット(QIAGEN製)を用いてDNAを回収して、クローニングベクターpBluescriptIIに連結し、DNAライブラリーとした。
この濃縮されたDNAライブラリーを大腸菌DH5αに形質転換し、得られたアンピシリン耐性を示す形質転換体について、同様のプローブ、すなわちYAPI特異的な部分DNA断片、を用いてコロニーハイブリダイゼーションを行った。PstI 断片を組み込んだ1368個の形質転換コロニーから7つ、SacI断片を組み込んだ1575 個の形質転換コロニーからは1つのポジディブのシグナルを得た。
シグナルの得られたクローンについては、マスタープレートからシングルコロニーを分離した後、プラスミドを回収した。これらのプラスミドを組み込みに使用した制限酵素、PstIまたはSacI、でそれぞれ消化し、再度前記プローブを用いたサザンハイブリダイゼーションに供した結果、PstIでは2つ、SacIでは1つにポジディブのシグナルを得た。PstI断片に関しては各種制限酵素で消化して得られるフラグメントパターンから同一のクローンであることを確認した。
陽性のシグナルを得た5kbpのPstI断片を適当な制限酵素で消化し、得られる細分化されたDNA断片について、同様のサザン解析を行い、PstIとEcoRVで切り出される約0.9kbpのDNA断片にポジディブのシグナルが得られ、この断片を中心にYAPI遺伝子が含まれると推察された。
3.DNA塩基配列の決定
得られたPstIの5kbp、SacIの1.3kbpのDNA断片について塩基配列の決定を行った。PstIに関してはPstIとEcoRVで切り出される約0.9kbpのDNA断片をメインに解析を進めた。
DNA塩基配列の決定は、ジデオキシ法によりキャピラリーシーケンサーABI prism310を用いて行った。YAPI全長の塩基配列は、適当な制限酵素を用いたDNA断片の細分化とプライマーウォーキング法を組み合わせて解読した。
その結果、PstI、SacI断片単独ではYAPI遺伝子全長をカバーできておらず、SacI 断片にはYAP1遺伝子の5’側が、PstI断片には同3’側が含まれることが明らかとなった(図1)。
このSacI断片とPstI断片より得られるYAP1を含むDNA断片の塩基配列中には439アミノ酸をコードする配列番号1で示される1317bpのDNAより構成されるオープンリーディングフレームが存在していた。このオープンリーディングフレームにコードされるアミノ酸配列を、既に配列が分かっているSaccharomyces cerevisiae、Candida albicans、 Kluyveromyces lactis、Schizosaccharomyces pombe由来の 各YAP1のアミノ酸配列と比較した結果、YAP1の保存領域である、b−ZIP領域と2つのCRD領域に極めて高い相同性が認められた。全長では、Candida albicansのYAP1と最も高い相同性を示し、22.3%であった(図2)。
以上から、キャンディダ・ユティリスのYAP1は、439アミノ酸をコードする配列番号1で示される1317bpのDNAで構成されることが明らかとなり、SacI断片とPstI断片より得られるDNA断片中にYAP1遺伝子の全長が含まれることを確認した。
4.機能の確認
YAP1遺伝子をキャンディダ・ユティリス細胞内で高発現させることでシクロヘキシミド耐性を付与できるか、また、その耐性がYAP1遺伝子に依存するかを確認した。
(1)発現ベクターの構築
YAP1構造遺伝子は、アミノ酸配列から推定された開始コドンATGの上流3bpから、終止コドンTGAの6bp下流までをPCRにより増幅して用いた。
強発現のための遺伝子調節領域には、解糖系を構成する酵素で強い発現が知られているキャンディダ・ユティリス由来のグリセルアルデヒド3リン酸デヒドロゲナーゼ(GAP)のプロモーター、ターミネーターを用いた(特許文献1)。これらの遺伝子領域は以下のプライマーを用いてキャンディダ・ユティリスIAM4264のゲノムDNAを鋳型としたPCRにより取得した。
自律複製起点には、本発明者らが取得しているキャンディダ・ユティリス由来の2.7kbpのARS4−2を用いた(特許出願中)。
プライマー
(1)YAP−F
5'-GGCCCGGGAGATCTGAGATGACTGAATACGCA-3'
(2)YAP−R
5'-GGTCTAGAAATAGATCATTTCCTAAT-3'
(3)Pgap−F
5'-GGGAATTCAAGCTTACAGCGAGCACTCAA-3'
(4)Pgap−R
5'-CCCTGCAGTATGTTGTTTGTAAGTGTGTT-3'
(5)Tgap−F
5'-GGTCTAGAATTGTATGACTTTTATTTATG-3'
(6)Tgap−R
5'-GGGCGGCCGCACGTGTAATACCTCAGGAGTC-3'
YAP1構造遺伝子の増幅には上記プライマーの(1)と(2)を、同様にGAPプロモーターには(3)と(4)を、さらにGAPターミネーターには(5)と(6)を用いた。
PCRで合成したプロモーター0.98kbpとターミネーター0.8kbpを、各断片の両端に付加した制限酵素サイト(EcoRI と PstI、XbaIとNotI)を利用してクローニングベクターpBluescriptIIに連結した。次いで、このベクターのEcoRVサイトにARS4−2を、その両端のEcoRI、SpeIを平滑化して連結し、強発現ベクターYRpGAPを作成した。
この強発現ベクターのBamHI、XbaIサイトに、PCRで取得したBglIIとXbaIを付加したYAP1構造遺伝子を挿入して、YAP1高発現ベクターYRpYAPを作成した(図3)。
(2)YAP1高発現ベクターによるキャンディダ・ユティリスの形質転換
供試菌には酢酸リチウム法でDNA導入効率の良いAHU3053株を用いた。定法である酢酸リチウム法(J Bacteriol 1983 153 163)により、0.2μgのYRpYAPプラスミドDNAをキャンディダ・ユティリスに形質転換した。形質転換処理した細胞をYPD液体培地を用いて一時間振とう培養し、シクロヘキシミドを最少阻止濃度である4μg/mlになるように添加したYPD培地に塗沫して30℃で培養した。
培養3日目において、コントロールとして用いた空のクローニングベクターpBluescriptIIでは全く生育が見られなかったのに対し、YAPI高発現ベクターを導入したものではで752個のコロニーを形成した(表1)。また、DNA濃度依存的にシクロヘキシミド耐性コロニー数の増加が認められた。
シクロヘキシミド耐性コロニーのサイズに差が認められたが、ランダムに12個シングルコロニーを分離してシクロヘキシミド耐性濃度を測定したところ、全てのコロニーで10μg/ml以上の耐性能を獲得していた。
Figure 0004587750
(3)シクロヘキシミド耐性株のサザンハイブリダイゼーションによる確認
YAP1高発現ベクターの導入によりキャンディダ・ユティリスにシクロヘキシミド耐性が付与されていることを確認するため、シクロヘキシミド耐性株についてサザンハイブリダイゼーションを行った。
得られたキャンディダ・ユティリスのシクロヘキシミド耐性コロニーをランダムに7個分離し、ゲノムDNAを抽出した。コントロールとして、AHU3053株のゲノムDNAと、形質転換に用いたプラスミドYRpYAPとを用いた。全てのDNAサンプルは、プラスミドYRpYAPを1箇所切断するXbaIで消化し、YAP1構造遺伝子をプローブに用いたサザンハイブリダイゼーションに供した。
その結果、約15kbpのゲノム上に存在するYAP1に加え、プラスミドに由来する8.7kbpのバンドを確認できた(図4)。以上から得られたシクロヘキシミド耐性コロニーは、自然耐性株ではなくYRpYAPによる形質転換体であることが確認できた。
以上、述べてきた通り、本発明によれば、キャンディダ・ユティリス由来の、DNA結合性転写活性化タンパク質をコードする遺伝子が提供され、特にキャンディダ・ユティリスの形質転換において、薬剤を耐性マーカーとして用いることができ、効率よく目的遺伝子を選択することができる。
キャンディダ・ユティリスのYAP1を含むDNA断片の制限酵素地図である。 キャンディダ・ユティリスのYAP1アミノ酸配列のアライメントを表す図である。 YAP1高発現プラスミドを示す図である。 シクロヘキシミド耐性株のサザンブロッティング解析の結果を表す電気泳動図である。

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  1. 配列表配列番号1で表される、キャンディダ・ユティリス(Candida utilis)由来のAP−1様転写活性化タンパク質をコードする遺伝子。
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