JP2000258742A - 光変調材料 - Google Patents

光変調材料

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JP2000258742A
JP2000258742A JP11062938A JP6293899A JP2000258742A JP 2000258742 A JP2000258742 A JP 2000258742A JP 11062938 A JP11062938 A JP 11062938A JP 6293899 A JP6293899 A JP 6293899A JP 2000258742 A JP2000258742 A JP 2000258742A
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particles
meth
light
polymer
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JP11062938A
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English (en)
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Akimasa Komura
晃雅 小村
Takashi Uematsu
高志 植松
Kazushirou Akashi
量磁郎 明石
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Fujifilm Business Innovation Corp
Original Assignee
Fuji Xerox Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 外部刺激に対する高分子ゲル自体の応答速度
が大きい光変調材料を提供する。 【解決手段】 刺激の付与による液体の吸脱によって膨
潤・収縮し体積が変化する性質をもった高分子ゲル粒子
1からなる光変調材料であって、少なくとも膨潤状態に
おいて、高分子ゲル粒子1の内部にゲル構造3を有しな
い領域(中空領域2)を有する。この中空領域2は、ゲ
ル構造は存在しないが,液体あるいは気体が存在しても
よい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、外部刺激に応じて
可逆的に光透過率、光散乱性および光の吸収量などを制
御できる、いわゆる光変調材料に関する。本発明の光変
調材料は光の透過量を制御する光学素子やセンサー、画
像を表示する表示素子、記録用途の発色材料などに利用
可能な材料である。
【0002】
【従来の技術】従来、pH変化、イオン濃度変化、化学
物質の吸脱着、溶媒組成変化、あるいは熱、光、電気、
磁気刺激などの付与によって可逆的に体積変化(膨潤・
収縮)を起こす高分子ゲル材料(刺激応答性高分子ゲ
ル)を利用して、光の透過量や散乱性を制御することで
調光・発色を行なう技術が知られている。
【0003】例えば、色素を含まない光の透過量や散乱
性を制御する技術としては、特開昭61−151621
号公報および特開昭62−925号公報などで、温度変
化によって液体を吸脱する高分子ゲルの膨潤・収縮によ
る溶媒との屈折率差を変化させることによる光散乱性を
制御して表示を行う素子が提案されている。また、特開
平4−134325号公報では、電気刺激によって液体
を吸脱する高分子ゲルの光散乱性の変化によって表示を
行う素子が、特公平7−95172号公報では、含有さ
れる導電性高分子のイオンドープ・脱ドープによるpH
変化によって、高分子ゲルの光散乱性の変化によって表
示を行う素子が、特開平5−188354号公報では、
電場の作用で液体を吸脱する高分子ゲルの膨潤・収縮に
より、光を遮光・反射・散乱あるいは透過状態を制御し
て、白濁・透明の表示を行う素子が提案されている。
【0004】一方、色素を含む発色状態を制御する技術
としては、特開昭61−149926号公報では、電場
の作用で液体を吸脱する高分子ゲルと顔料を液体中に分
散した着色液体とを組み合わせた組成物からなる光学素
子が提案され、高分子ゲルの形状の変化によって着色液
体を移動させて表示を行う技術が開示されている。ま
た、特開昭61−151625号公報および特開昭62
−927号公報などでは、着色した高分子ゲルを用いて
その膨潤時に光学濃度が低下し、高分子ゲルの収縮時に
は着色することを用いた素子が提案されている。また、
特開平4−274480号公報では、染料を結合した高
分子ゲルを用いて、その体積変化によって光学濃度を変
化させて表示を行う素子が提案されている。さらには、
特開平9−160081号公報では、顔料微粒子または
着色微粒子の表面に吸着させた高分子ゲルの形状変化を
利用して、高分子ゲルの膨潤時にほぼ白色表示とし、高
分子ゲルの収縮時には顔料微粒子または着色微粒子の色
を表示することによって高分子ゲルの体積変化によって
色相を変化させる素子が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】また、本発明者らは、
特願平9−345541号において新規な発色材料の提
案をしている。該発色材料においては、刺激の付与によ
る液体の吸脱により膨潤・収縮する高分子ゲル中に飽和
吸収濃度以上の顔料を含有してなる組成物および発色材
料を提案している。該組成物は、飽和吸収濃度以上の顔
料を含有している高分子ゲルが収縮時には、顔料の局所
的な凝集により光吸収効率が低下し組成物全体として光
透過性となる。 一方、飽和吸収濃度以上の顔料を
含有している高分子ゲルが膨潤時には、顔料が組成物全
体に拡散することで光吸収効率が向上し、該組成物は発
色状態となる。また本発明者らは前記特願平9−345
541号に更に改良を加えた、特願平10−21145
7号を提案している。該出願においては、少なくとも、
熱、光、電気、磁気、pH変化、イオン濃度変化、化学
物質の吸脱着、溶液組成変化のいずれかの外部刺激に応
じて可逆的に体積変化および光散乱性が変化する高分子
ゲル粒子と、該高分子ゲル粒子の刺激応答に用いられる
液体と、繊維質基材とから構成されていることを特徴と
し、前記高分子ゲル粒子が繊維質基材に実質的に固定さ
れていることを特徴とする調光・発色材料および光学素
子を提案している。該調光材料は、膨潤・収縮を繰り返
すことによる調光・発色状態の濃度ムラの増加および、
応答速度の低下などの耐久性を改善しうる、新規な調光
・発色材料および光学素子である。
【0006】しかしながら以上に示した技術は、いずれ
も高分子ゲル自体の応答速度について改善を図ったもの
ではなく、これらの技術を表示材料として利用する場合
などにおいて、応答速度の向上という課題はいまだ十分
に解決されているとはいえない。そこで本発明は、かか
る従来技術の問題点に鑑みなされたものであって、応答
速度が大きい光変調材料を提供することを目的としてい
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的は、以下の本
発明により達成される。即ち本発明は、刺激の付与によ
る液体の吸脱によって膨潤・収縮し体積が変化する性質
をもつ高分子ゲル粒子からなる光調光材料であって、該
高分子ゲル粒子の内部にゲル構造のない領域を有するこ
とを特徴とする。
【0008】本発明者らは、鋭意研究の結果、前記光調
光材料において、高分子ゲル粒子の内部にゲル構造を有
しない中空等の領域を設けることにより、応答速度が向
上することを見出した。刺激応答性高分子ゲルの体積変
化(膨潤・収縮現象)は、粒子全体において均一に起こ
るわけではなく、収縮時は内部から、また膨潤時は外周
から順次進行する。これは、内部の収縮によりゲルから
放出された膨潤液が外周に向かって移動するために、外
周付近では膨潤液の放出と同時に内部からの供給がある
ことに起因する。また膨潤時は、周囲の膨潤液と接して
いる外周および外周付近は、膨潤液の流入が早く短時間
で膨潤できるが、内部は外周付近のゲルの内部を通過し
て膨潤腋が供給されるために遅くなることに起因してい
る。したがって、例えば収縮時には刺激を受けてから粒
子の外周が収縮を始めるまでに、内部が収縮している間
しばらく時間がかかることになる。この時、ゲル粒子の
ゲル密度は外周に近いほど小さくなっており、それ以上
ゲル密度が大きくなれないところまで内部が収縮すると
外周の収縮が始まる。したがって、内部にゲル構造のな
い領域を設けた中空粒子では、より速く外周の収縮が開
始することになり、粒子の応答速度が増大することにな
る。また、ゲル構造のない領域が大きいほど、応答速度
の増加量は大きくなる。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の光変調材料の好ましい実
施の形態を示す構成を図1に示した。本発明の光変調材
料は、刺激応答性高分子ゲル粒子の内部にゲル構造のな
い領域を有している。なお、ここで、ゲル構造のない領
域とは、「中空領域」の場合に限らず、高分子ゲルの応
答性に支障のない物質が存在する態様をも包含する。こ
のような物質としては、高分子ゲルが吸脱する液体によ
って溶解可能なポリマー、例えば、水溶性ポリマー類の
ポリマー、ゲルを構成するモノマー類等の液体が挙げら
れる。したがって、前記した中空領域の態様および前記
物質が中空領域に存在する態様を含めた領域について
は、以後、単に「中空領域」という。また、高分子ゲル
の内部に中空領域が形成され、その周囲に形成されるゲ
ル構造部分は実質的に皮膜状のゲル構造あるいは多孔質
状のゲル構造であってもよい。さらに中空領域の形態
は、単なる球状の他に複数の空隙が形成され、これらの
空隙が互い連通されたものであってもよい。高分子ゲル
の応答速度の点から球状の中空領域の周囲に多孔質状の
ゲル構造を有する高分子ゲル粒子が望ましい。
【0010】本発明の光変調材料に使用可能な刺激応答
性高分子ゲルとしては、pH変化、イオン濃度変化、化
学物質の吸脱着、溶媒組成の変化、熱、光、電気、磁気
などのエネルギーの付与のいずれかの刺激によって液体
を吸脱することにより膨潤・収縮することを特徴とする
刺激応答性の高分子ゲルである。
【0011】具体的に説明すると、pH変化によって応
答するものとしては電解質系高分子ゲルが好ましく、ポ
リ(メタ)アクリル酸の架橋体やその金属塩;(メタ)
アクリル酸と(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチ
ル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキル
エステル、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルア
ミドあるいはその4級化物、などとの共重合体の架橋体
やその金属塩;マレイン酸と(メタ)アクリルアミド、
ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アク
リル酸アルキルエステルなどとの共重合体の架橋体やそ
の金属塩;ポリビニルスルホン酸の架橋体やビニルスル
ホン酸と(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル
(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキルエ
ステルなどとの共重合体の架橋体;ポリビニルベンゼン
スルホン酸の架橋体やその金属塩;ビニルベンゼンスル
ホン酸と(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル
(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキルエ
ステルなどとの共重合体の架橋体やその金属塩;ポリア
クリルアミドアルキルスルホン酸の架橋体やその金属
塩;アクリルアミドアルキルスルホン酸と(メタ)アク
リルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、
(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどとの共重合体
の架橋体やその金属塩;ポリジメチルアミノプロピル
(メタ)アクリルアミドの架橋体やその4級塩;ジメチ
ルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドと(メタ)ア
クリル酸、(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル
(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキルエ
ステルなどとの共重合体の架橋体やその金属塩や4級
塩;ポリジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミ
ドとポリビニルアルコールとの複合体の架橋体やその4
級塩;ポリビニルアルコールとポリ(メタ)アクリル酸
との複合体の架橋体やその金属塩;カルボキシアルキル
セルロース金属塩の架橋体;ポリ(メタ)アクリロニト
リルの架橋体の部分加水分解物やその金属塩などが挙げ
られる。なかでも、ポリ(メタ)アクリル酸の金属塩の架
橋体;(メタ)アクリル酸の金属塩と(メタ)アクリルアミ
ドの共重合体の架橋体;マレイン酸と(メタ)アクリル
アミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メ
タ)アクリル酸とジアルキルアミノアルキル(メタ)アク
リルアミドあるいはその4級化物との共重合体の架橋体
やその金属塩;(メタ)アクリル酸アルキルエステルな
どとの共重合体の架橋体やその金属塩;ポリビニルアル
コールとポリ(メタ)アクリル酸との複合体の架橋体や
その金属塩などが好ましく用いられる。
【0012】界面活性剤などの化学物質の吸脱着によっ
て刺激応答するものとしては強イオン性高分子ゲルが好
ましく、ポリビニルスルホン酸の架橋体やビニルスルホ
ン酸と(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メ
タ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステ
ルなどとの共重合体の架橋体;ポリビニルベンゼンスル
ホン酸の架橋体;ビニルベンゼンスルホン酸と(メタ)
アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレー
ト、(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどとの共重
合体の架橋体;ポリ(メタ)アクリルアミドアルキルスル
ホン酸の架橋体;(メタ)アクリルアミドアルキルスルホ
ン酸と(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メ
タ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステ
ルなどとの共重合体の架橋体などが挙げられる。なかで
も、ポリビニルスルホン酸の架橋体;ポリビニルベンゼ
ンスルホン酸の架橋体;ポリ(メタ)アクリルアミドアル
キルスルホン酸の架橋体などが好ましく用いられる。そ
して、これらの高分子ゲルは、n−ドデシルピリジニウ
ムクロライドなどのアルキルピリジニウム塩、アルキル
アンモニウム塩、フェニルアンモニウム塩、テトラフェ
ニルホスホニウムクロライドなどのホスホニウム塩など
カチオン性界面活性剤とを組み合わせて使用される。ま
た、疎水性高分子ゲルに強イオン性界面活性剤が付着す
ることで、親水性ゲルのように振舞い膨潤するものとし
て、ポリN−イソプロピルアクリルアミドなどのポリ
[N−アルキル置換(メタ)アクリルアミド]の架橋体
や、ポリN−エチル−N−ノルマルプロピルアクリルア
ミドなどのポリ[N、N−ジアルキル置換(メタ)アク
リルアミド]の架橋体などが挙げられ、ドデシル硫酸ナ
トリウムなどの界面活性剤と組み合わせて用いられる。
【0013】電気による酸化・還元によって刺激応答す
るものとしては、カチオン性高分子ゲルと電子受容性化
合物とのCT錯体(電荷移動錯体)が好ましく、ポリジ
メチルアミノプロピルアクリルアミドなどポリ[N−ア
ルキル置換アミノアルキル(メタ)アクリルアミド]の架
橋体;ポリジメチルアミノエチルアクリレート、ポリジ
エチルアミノエチルアクリレートなどのポリ(メタ)アク
リル酸N−アルキル置換アルキルエステルの架橋体;ポ
リスチレンの架橋体;ポリビニルピリジンの架橋体;ポリ
ビニルカルバゾールの架橋体;ポリジメチルアミノスチ
レンの架橋体などが挙げられる。なかでも、N-アルキ
ル置換アルキル(メタ)アクリルアミドの架橋体が好ま
しく用いられる。これらの高分子ゲルは、ベンゾキノ
ン、7,7,8,8,−テトラシアノキノジメタン(T
CNQ)、テトラシアノエチレン、クロラニル、トリニ
トロベンゼン、無水マレイン酸やヨウ素などの電子受容
性化合物と組み合わせて使用される。
【0014】熱の付与によって刺激応答するものとして
は、LCST(下限臨界溶液温度)をもつ高分子の架橋
体や互いに水素結合する2成分の高分子ゲルのIPN体
(相互侵入網目構造体)などが好ましい。前者は、高温
において収縮し、後者は逆に高温で膨潤する特性をもっ
ている。前者の具体的な化合物としては、ポリN−イソ
プロピルアクリルアミドなどのポリ[N−アルキル置換
(メタ)アクリルアミド]の架橋体や、N−アルキル置
換(メタ)アクリルアミドと(メタ)アクリル酸および
その金属塩、又は(メタ)アクリルアミド、又は(メ
タ)アクリル酸アルキルエステルなどとの2成分以上の
共重合体の架橋体、ポリビニルメチルエーテルの架橋
体、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシ
プロピルセルロースなどのアルキル置換セルロース誘導
体の架橋体などが挙げられる。一方、後者の化合物とし
ては、ポリ(メタ)アクリルアミドの架橋体とポリ(メ
タ)アクリル酸の架橋体からなるIPN体およびその部
分的中和体(アクリル酸単位を部分的に金属塩化したも
の)、ポリ(メタ)アクリルアミドを主成分とする共重
合体の架橋体とポリ(メタ)アクリル酸の架橋体からな
るIPN体およびその部分的中和体などが挙げられる。
なかでも、ポリ[N−アルキル置換(メタ)アクリルアミ
ド]の架橋体、ポリ(メタ)アクリルアミドの架橋体とポ
リ(メタ)アクリル酸の架橋体とのIPN体およびその部
分中和体などが好ましく用いられる。
【0015】光の付与によって刺激応答するものとして
はトリアリールメタン誘導体やスピロベンゾピラン誘導
体などの光によってイオン解離する官能基を有する親水
性高分子化合物の架橋体が好ましく、ビニル置換トリア
リールメタンロイコ誘導体とアクリルアミドとの共重合
体の架橋体などが挙げられる。なかでも、ビニル置換ト
リアリールメタンロイコ誘導体とアクリルアミドとの共
重合体の架橋体が好ましく用いられる。
【0016】磁気の付与によって刺激応答する高分子ゲ
ルとしては、強磁性体粒子や磁性流体等を含有するポリ
ビニルアルコールの架橋物等が挙げられる。ただし、含
有される高分子ゲルは、高分子ゲルの範疇であるもので
あれば限定されることなく適用できる。
【0017】溶液の組成変化やイオン強度の変化によっ
て応答するものとしては、特に大きな体積変化が得られ
るものとして好ましいものには、前記した電解質系高分
子ゲルが挙げられる。
【0018】また、刺激応答性高分子ゲル粒子中に分散
含有せしめられるべき色材は、多くの公知な顔料及び染
料を使用することができる。色材として用いられる適当
な顔料及び染料としては、例えば、黒色顔料の各種カー
ボンブラック(チャネルブラック、ファーネスブラック
等)や黒色染料のニグロシン系化合物、そしてカラー顔
料、例えば、ベンジジン系のイエロー顔料、キナクリド
ン系、ローダミン系のマゼンタ顔料、フタロシアニン系
のシアン顔料などを挙げることができる。
【0019】より詳しくは、イエロー顔料としては、縮
合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アンスラキノ
ン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、アリルアミド
化合物に代表される化合物が用いられる。具体的には、
例えば顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1
2、13、14、15、17、62、74、83、9
3、94、95、109、110、111、128、1
29、147、168等が好適に用いられる。
【0020】マゼンタ顔料としては、縮合アゾ化合物、
ジケトピロロピロール化合物、アンスラキノン、キナク
リドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合
物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、
ペリレン化合物が用いられる。具体的には、例えば顔料
としては、C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、
7、23、48;2、48;3、48;4、57;1、
81;1、144、146、166、169、177、
184、185、202、206、220、221、2
54が特に好ましい。
【0021】シアン顔料としては、銅フタロシアニン化
合物及びその誘導体、アンスラキノン化合物、塩基染料
レーキ化合物等が利用できる。具体的には、例えば顔料
としては、C.I.ピグメントブルー1、7、15、1
5:1、15:2、15;3、15:4、60、62、
66等が特に好適に利用できる。
【0022】また、染料としては、例えば、C.I.ダ
イレクトイエロー1、8、11、12、24、26、2
7、28、33、39、44、50、58、85、8
6、87、88、89、98、157、C.I.アシッ
ドイエロー1、3、7、11、17、19、23、2
5、29、38、44、79、127、144、24
5、C.I.ベイシックイエロー1、2、11、34、
C.I.フードイエロー4、C.I.リアクティブイエ
ロー37、C.I.ソルベントイエロー6、9、17、
31、35、100、102、103、105、C.
I.ダイレクトレッド1、2、4、9、11、13、1
7、20、23、24、28、31、33、37、3
9、44、46、62、63、75、79、80、8
1、83、84、89、95、99、113、197、
201、218、220、224、225、226、2
27、228、229、230、231、C.I.アシ
ッドレッド1、6、8、9、13、14、18、26、
27、35、37、42、52、82、85、87、8
9、92、97、106、111、114、115、1
18、134、158、186、249、254、28
9、C.I.ベイシックレッド1、2、9、12、1
4、17、18、37、C.I.フードレッド14、
C.I.リアクティブレッド23、180、C.I.ソ
ルベントレッド5、16、17、18、19、22、2
3、143、145、146、149、150、15
1、157、158、C.I.ダイレクトブルー1、
2、6、15、22、25、41、71、76、78、
86、87、90、98、163、165、199、2
02、C.I.アシッドブルー1、7、9、22、2
3、25、29、40、41、43、45、78、8
0、82、92、93、127、249、C.I.ベイ
シックブルー1、3、5、7、9、22、24、25、
26、28、29、C.I.フードブルー2、C.I.
ソルベントブルー22、63、78、83〜86、19
1、194、195、104、C.I.ダイレクトブラ
ック2、7、19、22、24、32、38、51、5
6、63、71、74、75、77、108、154、
168、171、C.I.アシッドブラック1、2、
7、24、26、29、31、44、48、50、5
2、94、C.I.ベイシックブラック2、8、C.
I.フードブラック1、2、C.I.リアクティブブラ
ック31、C.I.フードバイオレット2、C.I.ソ
ルベントバイオレット31、33、37、C.I.ソル
ベントグリーン24、25、C.I.ソルベントブラウ
ン3、9等が挙げられる。これらの顔料及び染料は、単
独で使用してもよく、さもなければ所望とする色を得る
ために混合して使用してもよい。
【0023】また、使用する顔料の粒径は、1次粒子の
平均粒径で0.01μm〜1μmのものが好ましく、特
に0.05μm〜0.5μmのものが好ましい。これは
用いる高分子ケ゛ルの物性によっては粒径が0.01μm
以下では高分子ゲルからの流出が起こりやすく、また、
1μm以上では発色特性が悪くなる恐れを生じることが
あるためである。
【0024】高分子ゲルに含有させる色材濃度は、色材
の吸光係数にも依存するが、一般に3重量%〜90重量
%の範囲が好ましく、より好ましくは5重量%〜80重
量%の範囲である。色材の濃度が3重量%以下である
と、高分子ゲル粒子の体積変化により、十分な発色濃度
が得られないという問題が生じる。一方、色材の濃度が
90重量%以上の場合、膨潤収縮時に十分な発色コント
ラストを生じるのに必要な体積変化が得られないという
問題が生じる。
【0025】また、本発明の光調光材料において、高分
子ゲルの光散乱効率を高めるためには、高分子ゲル中に
光散乱部材を含有させることが望ましい。高分子ゲルに
含有される光散乱部材としては、高分子ゲルの体積変化
に用いられる液体の屈折率と異なる屈折率を有する光散
乱性材料が好ましいが、それ以外には特に制限がなく、
各種の無機材料および有機材料が適用できる。好適な無
機材料の具体例として、酸化亜鉛、塩基性炭酸鉛、塩基
性硫酸鉛、硫酸鉛、リトボン、白雲母、硫化亜鉛、酸化
チタン、酸化アンモチモン、鉛白、酸化ジルコニウム、
アルミナ、マイカナイト、マイカレックス、石英、炭酸
カルシウム、石膏、クレー、シリカ、ケイ酸、珪素土、
タルク、塩基性炭酸マグネシウム、アルミナホワイト、
グロスホワイト、サチン白等の無機酸化物や、亜鉛、ア
ルメル、アンチモン、アルミニウム、アルミニウム合
金、イリジウム、インジウム、オスミウム、クロム、ク
ロメル、コバルト、ジルコニウム、ステンレス鋼、金、
銀、洋銀、銅、青銅、すず、タングステン、タングステ
ン鋼、鉄、鉛、ニッケル、ニッケル合金、ニッケリン、
白金、白金ロジウム、タンタル、ジュラルミン、ニクロ
ム、チタン、クルップ・オーステナイト鋼、コンスタン
タン、真鍮、白金イリジウム、パラジウム、パラジウム
合金、モリブデン、モリブデン鋼、マンガン、マンガン
合金、ロジウム、ロジウム金などの金属材料、ITO(イ
ンジウム・スズ酸化物)等の無機導電性材料などが挙げ
られる。
【0026】また、好適な有機材料の具体例として、フ
ェノール樹脂、フラン樹脂、キシレン・ホルムアルデヒ
ド樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、アニリン樹脂、ア
ルキド樹脂、不飽和ポリエステル、エポキシ樹脂、ポリ
エチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ-p-キ
シリレン、ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂、メタクリル
樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、フッ素系
プラスチック、ポリアクリロニトリル、ポリビニルエー
テル、ポリビニルケトン、ポリエーテル、ポリカーボネ
ート、熱可塑性ポリエステル、ポリアミド、ジエン系プ
ラスチック、ポリウレタン系プラスチック、ポリフェニ
レン、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、芳香族
ヘテロ環ポリマー、シリコーン、天然ゴム系プラスチッ
ク、セルロース系プラスチック等やこれら2種類以上の
高分子材料の混合材料(ポリマーブレンド)などの高分
子材料が挙げられる。
【0027】さらに、上記に列挙した光散乱材料を含有
した高分子材料を、光散乱部材として適用できる。この
高分子材料としては特に制限がなく、各種の高分子樹脂
を使用することができる。好ましい高分子樹脂の具体例
としては、光散乱性材料が有機材料である場合に列挙さ
れた具体例が挙げられる。
【0028】高分子ゲル中に含有される光散乱部材の濃
度は、光散乱部材の粒子径、屈折率、導電率や比重等に
も依存するが、一般に2重量%〜95重量%の範囲が好
ましく、より好ましくは5重量〜95重量%の範囲であ
る。光散乱部材の濃度が2重量%未満であると、本光調
光材料の高分子ゲルの体積変化による散乱量変化が現れ
なくなり、さらに十分な調光コントラストを得るために
は、多くの調光層の厚みが厚くなるなどの問題が生じ
る。一方、光散乱部材の濃度が95重量%を超えると、高
分子ゲルの膨潤・収縮が応答よく進行しにくくなり、本
光調光材料の刺激応答特性や体積変化量が低下してしま
う。
【0029】また、上記の光散乱部材の形状には特に制
限がなく、粒子状、ブロック状、フィルム状、不定形
状、繊維状などの種々のものが使用可能である。なかで
も特に、粒子状の形態は光散乱性が高いことや応用範囲
が広いなどの特徴から特に好ましい。粒子状における形
態にも特に制限はないが、球体、立方体、楕円体、多面
体、膨潤多孔質体、星状、針状、中空状、りん片状など
のものが適用できる。また、粒子の場合の好ましい大き
さは、平均粒子径で0.01μm〜1μmの範囲、より好ま
しくは0.05μm〜0.5μmの範囲である。これは、平
均粒子径で0.01μm未満または1μmを超えると、光散
乱部材に求められる光散乱効果が低くなるためである。
さらに、平均粒子径0.01μm未満では、高分子ゲル内部
からの外部への流出が起こりやすい。また、これらの粒
子は、一般的な物理的粉砕方法や化学的粉砕方法によっ
て製造することができる。
【0030】また、これらの光散乱部材において、分子
内にカルボキシル基やスルホン酸基などの酸基、水酸
基、アミノ基、チオール基、ハロゲン基、ニトロ基、カ
ルボニル基など極性基をもち、高分子ゲル内において光
散乱部材の濃度が高い場合に凝集体を形成し易い特性の
ものも好ましく使用される。
【0031】また、色材または光散乱部材は高分子ゲル
に含有され、高分子ゲルから流出しないことが必要であ
る。この色材または光散乱部材の流出を防止するために
は、高分子ゲルの架橋密度を最適化し色材または光散乱
部材を高分子網目中に物理的に閉じ込めること、高分子
ゲルとの電気的、イオン的、その他物理的な相互作用が
高い色材または光散乱部材を用いることが好ましい。例
えば顔料または光散乱部材の場合、表面にビニル基など
の不飽和基や不対電子(ラジカル)など、高分子ゲルと化
学結合する基を導入することや、高分子材料をグラフト
することなどにより表面を化学修飾した顔料または光散
乱部材などが挙げられる。また染料の流出を防止するた
めには、高分子ゲルへの吸着や、例えば分子構造の一部
にビニル基などの不飽和基や不対電子(ラジカル)、孤立
電子対など、高分子ゲルと化学結合する基を導入するこ
となどにより化学修飾した染料を使用することなどが挙
げられる。
【0032】このような色材または光散乱部材を含む高
分子ゲルは、重合時に高分子前駆体モノマ組成物に色材
または光散乱部材を添加して重合する方法や、架橋前の
高分子に色材または光散乱部材を均一に分散、混合した
後に架橋する方法などによって製造することができる。
重合時において色材または光散乱部材を添加する場合に
は前記したように重合性基や不対電子(ラジカル)をもつ
色材または光散乱部材を使用し、化学結合することも好
ましい。また、色材または光散乱部材は本光変調材料中
に極力均一に分散されていることが好ましい。特に、高
分子への分散に際して、機械的混練法、攪拌法やあるい
は分散剤などを利用して均一に分散させることが望まし
い。
【0033】また、該高分子ゲルの形状は少なくとも内
部がゲル構造を有しない中空構造がある限り、特に制限
はないが、特に粒子状であることが好ましく、さらに内
部は中空状でその外周が多孔質に形成されているものが
好ましい。
【0034】中空粒子の作製は、主に乳化重合法、懸濁
重合法、分散重合法などの一般的な粒子化重合法、ある
いは高分子溶液を分散液を滴化した後に架橋させるいわ
ゆる造粒法などによって製造することができる。具体的
な粒子化重合操作は、例えば水溶性モノマーの場合、対
象のモノマー水溶液をW/O型乳化剤の存在下、疎水性
溶媒中、必要に応じて架橋剤の存在下、水溶性ラジカル
開始剤を用いて逆相懸濁重合を行う。重合法はモノマー
水溶液を反応器内に最初から一括に仕込んで行う一括重
合方式、或いはモノマー水溶液を疎水性溶媒中に滴下す
る滴下方式などが適用できる。また懸濁方法は、ポリマ
ー微粒子として所望の平均粒径が得られるような分散方
法であれば特に限定されないが、例えば上記のモノマー
水溶液、有機溶媒、分散安定化剤、および架橋剤の混合
液を、強力な水流を利用したホモジナイザー、回転羽根
と機壁あるいは回転羽根同士のギャップにかかる高シェ
アーを利用した連続乳化分散機、超音波分散機等を用い
て分散する方法などが適用できる。
【0035】また、高分子を原材料とする造粒法の一例
としては、対象の高分子水溶液をW/O型乳化剤の存在
下、疎水性溶媒中に分散、造粒後、これに架橋剤を加え
て架橋させる方法がある。これには、高分子水溶液を反
応器内に最初から一括に仕込んで行う方式、或いは高分
子水溶液を疎水性溶媒中に滴下する滴下方式などが適用
できる。また造粒方法は、ポリマー微粒子として所望の
平均粒径が得られるような分散方法であれば特に限定さ
れないが、例えば上記の高分子水溶液、有機溶媒、分散
安定化剤、の混合液を、強力な水流を利用したホモジナ
イザー、回転羽根と機壁あるいは回転羽根同士のギャッ
プにかかる高シェアーを利用した連続乳化分散機、超音
波分散機等を用いて分散する方法などが適用できる。
【0036】なお、好ましい原料(モノマあるいは高分
子)溶液濃度は、およそ5〜50重量%である。これ
は、原料溶液濃度が5重量%以下になると適切な重合反
応や架橋反応が起こらないという問題があり、50重量
%以上なると原料溶液の粘度が高くなり適切な分散状態
が得られないという問題があるからである。
【0037】なお、本発明の中空粒子を作製する際に
は、重合開始剤や架橋剤はモノマ液滴やポリマ液滴とは
別に添加分散することが好ましい。これは、重合反応や
架橋反応をモノマ液滴やポリマ液滴の外側から内部に向
けて進行させ、部分的に重合あるいは架橋させることに
よって中空粒子を作製することができるからである。
【0038】また、重合法の場合の反応温度は、加熱に
よりラジカルを発生させる場合は、50〜85℃が好ま
しい。あまり温度が低すぎると反応が遅くなってしまう
が、必要以上に温度を上げることは、不経済であると同
時に、中空形状を形成するための反応時間の制御が難し
くなる。一方、還元性物質を添加してレドックス系反応
を行う場合は室温で十分である。
【0039】中空構造の形成は、一般的に異層構造粒子
エマルジョン法、複合粒子エマルジョン法、揮発性成分
含有法などが知られている。異層構造粒子エマルジョン
法は、コア・シェル型のシード重合によるものであり、
コア成分として疎水性ポリマーを用い、シェル成分とし
て親水性のモノマーを乳化重合することにより中空構造
を形成する。また、反応時間や重合開始剤の添加方法な
どにより、内部に残る未反応モノマーにより中空構造を
形成する方法や、シード重合の際にアルカリ親和性モノ
マーをコア成分として乳化重合した後、アンモニア水な
どの揮発性塩基を用いて中和し中空化する方法なども知
られている。
【0040】次に、複合粒子エマルジョン法は、水相
(W)と油相(O)を界面活性剤を用いてW/O/Wや
O/W/Oなどのように多層化したものである。この方
法は、これらの水相にモノマーを用いて該水相を重合さ
せる方法や、ポリマーを有機溶媒に溶解したものを水相
や油相に用いる方法などが知られている。多層構造エマ
ルジョンを形成した後は、内部の水や有機溶媒を揮発さ
せることにより中空構造を形成する。また、揮発性成分
含有法は、前記のエマルジョン法の場合よりも大きいエ
マルジョン粒子を懸濁重合により形成する方法であり、
主に油性モノマーを低沸点の揮発性有機溶剤に溶解し重
合することにより、内部に有機溶剤を含有した粒子を形
成し、その後内部の有機溶剤を抽出あるいは蒸発させる
ことで中空構造を形成する方法である。
【0041】重合法において本発明の中空粒子を作製す
る際には、反応時間や重合開始剤の添加量、および添加
方法などを制御することにより、重合反応を途中で止め
ることで内部にモノマー成分を残し、最終的に中空構造
を形成する方法が好ましく用いられる。このとき、反応
時間は0.1〜20時間程度であり、長過ぎると内部に
中空を形成できなくなる。したがって、加熱反応の場
合、反応温度にもよるが好ましくは0.5〜4時間、レ
ドックス系反応の場合、添加する反応促進剤の量にもよ
るが好ましくは0.1〜2時間が目安である。また、反
応の進行を制御する上では、加熱による重合反応の方が
好ましい。一方、ポリマ液滴に架橋剤を加える造粒法で
は、外部から架橋反応が進むことによって体積収縮し、
内部に中空領域を形成することができる。
【0042】中空領域の大きさや形状は特に限定される
ものではないが、大きさは1個の球形領域に換算した場
合に、膨潤状態の粒子径の1/5以上の平均径を有する
ことが好ましい。これは、体積に換算するとおよそ1/
125であり、これ以上中空領域が少ないと十分な応答
速度の向上が望めないことによるものである。また、形
状は球形以外に、不定形であることも可能であり、複数
の中空領域であっても構わない。しかし、本発明の効果
を十分に得るには、中心部にほぼ球形の1領域として形
成された中空領域が最も好ましい。
【0043】本発明の中空粒子を作製する際に使用する
架橋剤としては、分子内に重合性不飽和基、反応性官能
基などを2個以上有する化合物を挙げることができる。
上記重合性不飽和基を2個以上有する化合物としては、
エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチ
ロールプロパン、グリセリンポリオキシエチレングリコ
ール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリグリセリ
ンなどのポリオール類のジまたはトリ(メタ)アクリル
酸エステル類、前記ポリオール類とマレイン酸、フマル
酸などの不飽和酸類とを反応させて得られる不飽和ポリ
エステル類、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリル
アミドなどのビス(メタ)アクリルアミド類、トリレン
ジンイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート
などのポリイソシアネートと(メタ)アクリル酸ヒドロ
キシエチルとを反応させて得られるジ(メタ)アクリル
酸カルバミン酸エステル類、アリル化澱粉、アリル化セ
ルロース、ジアリルフタレート、その他のテトラアリロ
キシエタン、ペンタンエリスリトールトリアリルエーテ
ル、トリメチロールプロパントリアリルエーテル、ジエ
チレングリコールジアリルエーテル、トリアリルトリメ
チルエーテルなどの多価アリル系を挙げることができ
る。これらの中でも本発明には、エチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)
アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)ア
クリレート、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリル
アミドなどが好ましく使用される。
【0044】また、反応性官能基を2個以上有する化合
物としては、ジグリシジルエーテル化合物、ハロエポキ
シ化合物、ジおよびトリイソシアネート化合物などを挙
げることができる。ジグリシジルエーテル化合物の具体
例としては、エチレングリコールジグリシジルエーテ
ル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プ
ロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピ
レングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグ
リシジルエーテル、ポリグリセリンジグリシジルエーテ
ルなどを挙げることができる。その他、ハロエポキシ化
合物の具体例としては、エピクロロヒドリン、エピブロ
モヒドリン、β−メチルエピクロロヒドリンなどを挙げ
ることができる。また、ジイソシアネート化合物の具体
例としては、2,4−トリレンジイソシアネート、ヘキ
サメチレンジイソシアネートなどを挙げることができ
る。これらの中でも本発明には、特にエチレングリコー
ルジグリシジルエーテル、ヘキサメチレンジイソシアネ
ートなどが好ましく使用される。
【0045】このうち特に好ましいのはN,N′‐メチ
レンビス(メタ)アクリルアミドである。架橋剤の使用
量は、前記モノマーの仕込み量に対して一般に0.00
1〜10重量%、好ましくは0.01〜5重量%であ
る。
【0046】本発明で用いられる重合開始剤は、過硫酸
カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の
過硫酸塩、過酸化水素、t‐ブチルハイドロパーオキシ
ドやクメンハイドロパーオキシド等のパーオキシド類、
アゾイソブチロニトリル、2,2′‐アゾビス(2‐ア
ミジノプロパン)二塩酸塩等のアゾ化合物などが用いら
れる。これらの重合開始剤の中でも、特に、過硫酸塩、
ハイドロパーオキシド類等の様な酸化性を示す開始剤
は、例えば亜硫酸水素ナトリウム、L‐アスコルビン
酸、第一鉄塩等の様な還元性物質、あるいはN,N,
N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンなどのアミ
ン類との組合せによるレドックス開始剤としても用いる
ことができる。これらの開始剤の使用量は、一般にはモ
ノマーに対して0.001〜10重量%、好ましくは
0.01〜5重量%である。
【0047】本発明の中空粒子を例えば逆相懸濁重合で
作製する場合、用いられる分散用有機溶媒としては、基
本的に水に溶け難く油中水滴型の分散液を形成すること
ができるものであって、かつ重合に不活性なものであれ
ばいかなるものも使用できる。このような有機溶媒とし
ては、脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素、または芳香族
炭化水素があり、脂肪族炭化水素としては、ノルマルペ
ンタン、ノルマルヘキサン、ノルマルヘプタン、ノルマ
ルオクタン等が、脂環族炭化水素としては、シクロペン
タン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチル
シクロヘキサン等が、芳香族炭化水素としては、ベンゼ
ン、トルエン、キシレン等が適し、これらの二種以上を
混合して用いることもできる。特に、ノルマルヘキサ
ン、ノルマルヘプタン、シクロヘキサンは工業的に品質
が安定していて、入手が容易であり、かつ安価なため好
ましい。一方、純相(O/W型)の重合反応の場合、使
用する分散用水性溶媒としては、水、あるいはメタノー
ル、エタノールなどのアルコール類、あるいはアセトン
などのケトン類、およびこれらの混合物が好ましく用い
られる。これら分散溶媒の使用量は、原料(モノマーあ
るいは高分子)水溶液1重量部に対して1〜10重量
部、好ましくは1〜5重量部である。
【0048】また、分散安定化剤は、モノマーおよび/
またはその塩の水溶液を分散溶媒中に分散安定化させる
ために使用されるものであり、O/W型の系で重合反応
を行う場合、例えばソルビタンモノ(またはジ、トリ)
ステアレート、ソルビタンモノ(またはジ、トリ)パル
ミテートなどのHLB9以下の油溶性界面活性剤が好ま
しく用いられる。また、W/O型の系で重合反応を行う
場合、例えばPOEラウリルエーテル、POEオレイル
エーテル、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼン
スルホン酸ナトリウムなどのHLB14以上の水溶性界
面活性剤が好ましく用いられる。これらの分散安定化剤
の適当な添加量はモノマーに対して、通常0.1〜15
重量%であり、好ましくは1〜5重量%である。少なす
ぎると安定な分散滴を形成せず、多すぎると不経済であ
り、かつ生成したポリマー中に多量の分散安定化剤が混
入するため性能が低下するので好ましくない。
【0049】反応終了後は、例えばW/O型の系(逆相
懸濁重合など)における場合、室温に戻し目的ポリマー
微粒子をそのまま抜き出して乾燥してもよいし、室温に
戻す前に共沸により適当量の脱水を行い、その後室温に
戻して乾燥してもよいし、脱水と溶媒の濃縮を行った後
に室温に戻して乾燥してもよい。また適度に脱水した後
に、更に熟成を行い残存している架橋剤による架橋反応
を更に進める方法をとることもできる。製造の簡便さか
ら考えれば、脱水をせずに、そのまま乾燥することが有
利ではあるが、水によって膨潤したポリマー粒子をその
まま乾燥すると微粒子同士の凝集固着が起こり易い。従
って反応終了後、適当な脱水を行って乾燥することが好
ましい。なお脱水には、水と相溶性のある有機溶媒で洗
浄を繰り返し、ゲル粒子中の水を有機溶媒で置換する方
法を用いることもできる。また、O/W型の反応系にお
いても基本的な操作はW/O型の系と同様であるが、水
性微粒子ほどは粒子同士の凝集固着が起こらないので、
脱有機溶媒の作業を行うことなく乾燥しても構わない。
【0050】なお、膨潤・収縮速度の向上には高分子ゲ
ルを多孔質にすることが好ましい。多孔質の高分子ゲル
を得るためには、種々の方法があるが、例えば、ポリビ
ニルメチルエーテルの水溶液にγ線を照射し、γ線照射
の際の水溶液の温度、γ線の強度、照射時間等を制御す
ることによって多孔質の高分子ゲルを得ることができ
る。また、N−イソプロピルアクリルアミドあるいは
N,N−ジエチルアクリルアミドを主モノマーとし、こ
れら遷移温度以上で合成すると、重合、架橋の過程でミ
クロ相分離が起こり、多孔質の高分子ゲルを得ることが
できる。
【0051】次に本発明の色材を含まない、あるいは色
材を含まず光散乱部材を含有する光調光材料は、これに
吸収可能な液体の存在下において、前記したような刺激
を与えることで不均一構造を形成し、光散乱性を変化さ
せることができる。また、本発明の色材を含む光調光材
料は、これに吸収可能な液体の存在下において、前記し
たような刺激を与えることで体積を種々変化させること
ができる。例えば、熱応答性高分子ゲルを用いる場合
は、光、熱などの放射熱の付与によって、電気応答型高
分子ゲルの場合は電極反応によるpH変化、酸化・還元
や電界によるイオン吸着や静電作用によって、光応答性
高分子ゲルの場合は光の付与による内部構造変化によっ
て液体を吸収、放出させることで、体積を大きく変化さ
せ不均一構造を形成することができる。
【0052】この時利用可能な液体としては、前記した
高分子ゲルが吸収可能な液体すなわち、ゲルを構成する
ポリマー(架橋していない)を溶解可能な液体(ゲルに
対して親和性がよい液体)が好ましい。例えば、水、電
解質水溶液、アルコール、ケトン、ジメチルホルムアミ
ド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホオキシド、
アセトニトリル、プロピレンカーボネートなどやそれら
の混合物が使用できる。なお、高分子ゲルと液体との好
ましい組み合わせがあり、例えば、イオン性の高分子ゲ
ルの場合には、液体としては、水、アルコールまたは、
水とアルコールとの混合物や水系電解質が好ましく、ま
た、高分子ゲルがカチオン性高分子ゲルと電子受容性化
合物とのCT錯体(電荷移動錯体)はゲルが水不溶性で
あり、この場合には、液体としては、非水系の有機溶媒
が好ましい。また、液体には高分子ゲルに吸脱する界面
活性剤、溶液のpH変化を促進するためのビオロゲン誘
導体、酸、アルカリ、塩、および分散安定剤、酸化防止
剤や紫外線などの安定剤などを添加しても構わない。な
お、光調光材料と液体との好ましい混合比の範囲は重量
比で1:2000〜1:1(光調光材料:液体)であ
る。
【0053】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明をさらに具体
的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定される
ものではない。応答速度の評価は、それぞれ次に示す方
法で行った。pH変化による応答速度を評価する場合
は、対象とする高分子ゲル粒子を浸漬している溶液のp
Hを電気的に変化させた。応答速度測定用セルは、IT
O(インジウム−スズ酸化物)電極が片面に設けてある
2枚のガラス板を用意し、この2枚の基板をITO電極
が設けてある面を内側にして厚さ150μmのスペーサ
で間隔を設けて重ね貼りあわせて作製した。また、測定
対象の光調光材料は、0.005Nの水酸化ナトリウム
水溶液に分散した組成物として調整した。この組成物を
前記セル間に注入して封止剤で封止することで応答速度
測定用セルを作製した。この応答速度測定用セルを水平
に配置し、3Vの直流電圧を印加することにより、セル
内部の陽極付近のpHをアルカリ性(pHは約11)か
ら酸性(pHは約2)へと変化させた。このとき起こる
光調光材料の体積変化の様子は、CCDカメラを通して
録画装置に記録し体積変化速度を測定した。
【0054】一方、加熱による応答速度を評価する場合
は、対象とする高分子ゲル粒子を浸漬している溶液の温
度を温度コントローラーを備えた面ヒーターにより変化
させた。応答速度測定用セルは、透明な2枚のガラス板
を厚さ150μmのスペーサで間隔を設けて重ね貼りあ
わせて作製した。また、測定対象の光調光材料は、0.
005Nの水酸化ナトリウム水溶液に分散した組成物と
して調製した。この組成物を前記セル間に注入して封止
剤で封止することで応答速度測定用セルを作製した。こ
の応答速度測定用セルを水平に配置し、背面から加熱す
ることにより、セル内部の溶液温度を変化させた。この
とき起こる光調光材料の体積変化の様子は、CCDカメ
ラを通して録画装置に記録し体積変化速度を測定した。
【0055】(実施例1)色材を内部に含まない刺激応
答性高分子ゲルを以下の要領にて調整した。最初に、ア
クリル酸2.16重量部、メチレンビスアクリルアミド
と記す)0.022重量部を蒸留水4.32重量部に溶
解した後、冷却しながら水酸化ナトリウム0.9重量部
を溶解して、アクリル酸が約75%中和された状態の溶
液を調整し、脱気および窒素置換した。調整したモノマ
溶液を、回転式攪拌羽根、還流管、窒素フロー管が取り
付けられ、ソルビトール系界面活性剤(第一工業製薬
製:ソルゲン50)2.0重量部を溶解して窒素置換し
たシクロヘキサン234重量部が入っているフラスコ内
に添加し、回転式攪拌羽根を用いて600rpmで攪拌
しながら、重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.0
43重量部を添加して、70℃で4時間反応させること
で重合を行った。重合後、生成した着色高分子ゲル粒子
を回収し、純水で繰り返し洗浄を行ない精製した後乾燥
させた。得られた粒子を分級して平均粒径が約10μm
の無色の高分子ゲル粒子を得た。この無色の高分子ゲル
粒子は、pH2の塩酸水溶液中において約12μmであ
るのに対して、pH10の水酸化ナトリウム水溶液中で
は約50μmであり、pHに応答して体積が約70倍変
化をすることを確認した。この乾燥状態の無色の高分子
ゲル粒子を、0.1wt%メチレンブルー水溶液に6時
間浸漬して着色した後、pH10の水酸化ナトリウム水
溶液中における膨潤状態を光学顕微鏡で観察したとこ
ろ、着色濃度の濃淡により中空領域の輪郭が確認でき、
直径約20μm、体積換算では約6%の中空領域がある
ことを確認した。この中空粒子は、膨潤状態から粒径が
約1/3に収縮するのに要する時間が、約0.5秒であ
った。
【0056】(実施例2)反応時間を2時間としたこと
以外は、実施例1と全く同様な方法で無色の中空高分子
ゲル粒子を作製した。また、実施例1と同様に粒子を観
察したところ、この粒子は膨潤状態において約50μm
の粒径であるが、内部に直径約35μm、体積換算では
約34%の中空領域があることを確認した。この中空粒
子は、膨潤状態から粒径が約1/3に収縮するのに要す
る時間が、約0.2秒であった。
【0057】(比較例1)反応時間を10時間としたこ
と以外は、実施例1および2と全く同様な方法で無色の
高分子ゲル粒子を作製した。また、実施例1および2と
同様に粒子を観察したところ、この粒子は膨潤状態にお
いて約50μmの粒径であるが、内部には中空領域が存
在しないことを確認した。この粒子は、膨潤状態から粒
径が約1/3に収縮するのに要する時間が、約1.2秒
であった。以上、実施例1、2および比較例1の結果よ
り明らかなように、高分子ゲル粒子の内部に中空領域が
あると応答時間が短縮できることが明らかになった。ま
た、ゲル粒子内部の中空領域が大きいほど応答時間がよ
り短くなることを確認した。
【0058】(実施例3)顔料を含有したpH応答性高
分子ゲルの粒子を以下に示すように逆相懸濁重合法によ
って製造した。1次粒径約0.1μmのカーボンブラッ
ク(昭和キャボット社製:ショウブラックN762、以
下CBと記す)1.08重量部を界面活性剤としてエマ
ルゲン985(花王製)0.03重量部を添加した蒸留
水4.32重量部に混合し、超音波分散装置を用いてC
Bを均一に分散させ、CB分散液を調製した。また、ア
クリル酸2.16重量部、メチレンビスアクリルアミド
0.02重量部を蒸留水4.32重量部に溶解した後、
冷却しながら水酸化ナトリウム0.9重量部を溶解し
て、アクリル酸が約75%中和された状態の溶液を調整
した。次に、この溶液に先に調整したCB分散液6.5
1重量部を添加混合したものを、脱気および窒素置換し
てCB分散モノマ溶液を調整した。調整したCB分散モ
ノマ溶液を、回転式攪拌羽根、還流管、窒素フロー管が
取り付けられ、ソルビトール系界面活性剤(第一工業製
薬製:ソルゲン50)2.0重量部を溶解して窒素置換
したシクロヘキサン234重量部が入っているフラスコ
内に添加し、回転式攪拌羽根を用いて600rpmで攪
拌しながら、重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.
22重量部を添加して、70℃で4時間反応させること
で重合を行った。重合後、生成した着色高分子ゲル粒子
を回収し、純水で繰り返し洗浄を行ない精製した後乾燥
させた。得られた粒子を分級して平均粒径が約10μm
の黒色高分子ゲル粒子を得た。この黒色高分子ゲル粒子
は、pH2の塩酸水溶液中において約12μmであるの
に対して、pH10の水酸化ナトリウム水溶液中では約
50μmであり、pH変化に応答して体積が約70倍変
化をすることを確認した。この黒色高分子ゲル粒子につ
いて、pH10の水酸化ナトリウム水溶液中における膨
潤状態を、半分に切断して光学顕微鏡で観察したとこ
ろ、内部に中空領域があることを確認でき、直径約15
μm、体積換算では2.7%の中空領域があることを確
認した。この中空粒子は、膨潤状態から粒径が約1/3
に収縮するのに要する時間が、約0.6秒であった。
【0059】(実施例4)反応時間を2時間としたこと
以外は、実施例3と全く同様な方法で黒色中空高分子ゲ
ル粒子を作製した。また、実施例3と同様に粒子を観察
したところ、この粒子は膨潤状態において約50μmの
粒径であるが、内部に直径約30μm、体積換算では2
2%の中空領域があることを確認した。この中空粒子
は、膨潤状態から粒径が約1/3に収縮するのに要する
時間が、約0.3秒であった。
【0060】(比較例2)反応時間を10時間としたこ
と以外は、実施例3と全く同様な方法で黒色の高分子ゲ
ル粒子を作製した。また、実施例3と同様に粒子を観察
したところ、この粒子は膨潤状態において約50μmの
粒径であるが、内部には中空領域が存在しないことを確
認した。この粒子は、膨潤状態から粒径が約1/3に収
縮するのに要する時間が、約1.3秒であった。以上、
実施例3、4および比較例2の結果より明らかなよう
に、顔料を含有する高分子ゲル粒子においても、内部に
中空領域があると応答時間が短縮できることが明らかに
なった。また、ゲル粒子内部の中空領域が大きいほど応
答時間がより短くなることを確認した。
【0061】(実施例5)色材を含有した感熱応答性高
分子ゲルの粒子を以下に示すように逆相懸濁重合法によ
って製造した。N−イソプロピルアクリルアミド9.8
重量部、アクリル酸ナトリウム0.2重量部、メチレン
ビスアクリルアミド0.05重量部を蒸留水50重量部
に溶解し、これに1次粒径約0.1μmの水分散CB溶
液(固形分15%、昭和キャボット社製、CAB−O−
JETTM300)30重量部を添加し、脱気、窒素置換
してCB分散モノマ溶液を調製した。調整したCB分散
モノマ溶液を、回転式攪拌羽根、還流管、窒素フロー管
が取り付けられ、ソルビトール系界面活性剤(第一工業
製薬製:ソルゲン50)20重量部を溶解して窒素置換
したシクロヘキサン2340重量部が入っているフラス
コ内に添加し、回転式攪拌羽根を用いて600rpmで
攪拌しながら、重合開始剤として過硫酸アンモニウム
0.1重量部および重合促進剤としてテトラメチルエチ
レンジアミン0.05重量部を添加して、室温で1時間
反応させることで重合を行った。重合後、生成した黒色
高分子ゲル粒子を回収し、純水で洗浄して精製後、乾燥
させた。粒子を分級することで平均粒径は約10μmの
粒子を得た。この着色高分子ゲル粒子の20℃において
純水中では、約40μmであった。そして、これらの着
色高分子ゲル粒子の水膨潤物を加熱すると約36℃に相
転移点をもって収縮した。つまり、相転移点よりも高温
側では収縮し、低温側では膨潤した。また、膨潤・収縮
によって粒径は約3倍、体積で約30倍程度の変化が得
られることを確認した。この黒色高分子ゲル粒子につい
て、水温20℃における膨潤状態を、半分に切断して光
学顕微鏡で観察したところ、内部に中空領域があること
を確認でき、直径約15μm、体積換算では3%の中空
領域があることを確認した。この中空粒子は、膨潤状態
から粒径が約1/3に収縮するのに要する時間が、約
1.0秒であった。
【0062】(比較例3)重合開始剤である過硫酸アン
モニウムの量を1重量部とし、CB分散溶液調整時に混
合したこと、重合促進剤でなるテトラメチレンジアミン
の量を0.5重量部としたこと、および反応時間を5時
間としたこと以外は、実施例5と全く同様な方法で黒色
の高分子ゲル粒子を作製した。また、実施例5と同様に
粒子を観察したところ、この粒子は膨潤状態において約
50μmの粒径であるが、内部には中空領域が存在しな
いことを確認した。この粒子は、膨潤状態から粒径が約
1/3に収縮するのに要する時間が、約2.4秒であっ
た。以上、実施例5および比較例3の結果より明らかな
ように、顔料を含有する感熱応答性高分子ゲル粒子にお
いても、内部に中空領域があると応答時間が短縮できる
ことが明らかになった。
【0063】(実施例6)光散乱部材を含有したpH応
答性高分子ゲルの粒子を以下に示すように逆相懸濁重合
法によって製造した。主モノマーとしてアクリル酸2.
0重量部、水酸化ナトリウム0.8重量部、架橋剤とし
てN,N'−メチレンビスアクリルアミド0.02重量
部を用い、これに蒸留水4.0重量部、光散乱部材とし
て一次粒子の平均粒子径が約0.2μmの酸化チタン
(屈折率2.7)2.0重量部を添加し、攪拌混合して
モノマー溶液を調整した。次に、調整したモノマー溶液
を回転式攪拌羽根、還流管、窒素フロー管が取り付けら
れ、ソルビトール系界面活性剤(第一工業製薬社製:ソ
ルゲン50)1.0重量部を溶解して窒素置換したシク
ロヘキサン234重量部が入っているフラスコ内に添加
し、回転式攪拌羽根を用いて600rpmで攪拌しなが
ら、重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.2重量部
を添加して70℃で4時間反応させることで重合を行っ
た。重合後、生成した着色高分子ゲル粒子を回収し、純
水で繰り返し洗浄を行い精製後乾燥させた。得られた粒
子を分級して平均粒径が約10μmの光散乱性高分子ゲ
ル粒子を得た。この光散乱性高分子ゲル粒子は、pH2
の塩酸水溶液中において約12μmであるのに対して、
pH10の水酸化ナトリウムを水溶液中では、約50μ
mであり、pH変化に応答して体積が約70倍変化する
ことを確認した。この光散乱性高分子ゲル粒子につい
て、pH10の水酸化ナトリウム水溶液中における膨潤
状態を、半分に切断して光学顕微鏡で観察したところ、
内部に中空領域があることを確認でき、直径約15μ
m、体積換算では2.7%の中空領域が3あることを確
認した。この中空粒子は、膨潤状態から粒径が約1/3
に収縮するのに要する時間が、約0.6秒であった。
【0064】(実施例7)反応時間を2時間としたこと
以外は、実施例7と全く同様な方法で光散乱部材を含有
した高分子ゲル粒子を作製した。また、実施例7と同様
に粒子を観察したところ、この粒子は直径約30μm、
体積換算では22%の中空領域があることを確認した。
この中空粒子は、膨潤状態から粒径が約1/3に収縮す
るのに要する時間が、約0.3秒であった。
【0065】(比較例4)反応時間を10時間としたこ
と以外は、実施例7と全く同様な方法で光散乱部材を含
有する高分子ゲル粒子を作製した。また、実施例7と同
様に粒子を観察したところ、この粒子は膨潤状態におい
て約50μmの粒径であるが、内部には中空領域が存在
しないことを確認した。この粒子は、膨潤状態から粒径
が約1/3に収縮するのに要する時間が、約1.3秒で
あった。以上、実施例6、7および比較例4の結果より
明らかなように、光散乱部材を含有する感熱応答性高分
子ゲル粒子においても、内部に中空領域があると応答時
間が短縮できることが明らかになった。
【0066】
【発明の効果】本発明の光変調材料は、内部にゲル構造
のない領域を設けた中空粒子とすることで、内部に中空
領域のないゲル粒子と比較して、応答速度が増大する。
また、ゲル構造のない領域が大きいほど、応答速度の増
加量は大きくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の光変調材料の好ましい実施の形態を
示す概念図である。
【符号の説明】
1 高分子ゲル粒子 2 中空領域 3 ゲル領域
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 明石 量磁郎 神奈川県南足柄市竹松1600番地 富士ゼロ ックス株式会社内 Fターム(参考) 2H079 AA02 AA03 AA06 AA08 BA01 CA22 CA23 DA07 4J002 AB012 AB031 AC012 BB032 BB122 BC031 BC032 BC101 BD042 BD102 BD122 BE011 BE042 BE052 BF022 BG011 BG041 BG042 BG051 BG052 BG071 BG101 BG102 BG111 BG121 BG131 BH021 BJ001 BJ002 BL002 BQ001 CC032 CC122 CC162 CC182 CD002 CE002 CF002 CF012 CF212 CG002 CH002 CH072 CK022 CL002 CN032 CP032 DA077 DA087 DA097 DA107 DA117 DC007 DE097 DE107 DE127 DE137 DE147 DE237 DE267 DE287 DG027 DG047 DG057 DJ007 DJ017 DJ037 DJ047 DJ057 EE056 EL146 EN136 ES006 ET006 EU046 EV186 EW176 FD090 FD110 FD140 FD150 GP00

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 刺激の付与による液体の吸脱によって膨
    潤・収縮し体積が変化する性質をもつ高分子ゲル粒子か
    らなる光変調材料であって、少なくとも膨潤状態におい
    て該高分子ゲル粒子の内部にゲル構造のない領域を有す
    ることを特徴とする光変調材料。
  2. 【請求項2】 前記高分子ゲルの粒子中に色材または光
    散乱部材を含有することを特徴とする請求項1に記載の
    光変調材料
  3. 【請求項3】 高分子ゲルの体積変化によって光調光材
    料の光吸収効率または光散乱効率が変化することを特徴
    とする請求項1または請求項2に記載の光変調材料。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005537342A (ja) * 2002-06-01 2005-12-08 マグナメディクス ゲーエムベーハー 生化学分析、診断および治療のために変更可能な物理構造を有する、感熱性ポリマーキャリア
JP2006306912A (ja) * 2005-04-26 2006-11-09 Yokohama National Univ 物理的刺激応答非水系組成物
JP2014012793A (ja) * 2012-07-05 2014-01-23 Kao Corp 水不溶性高分子ビルダー

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JP2005537342A (ja) * 2002-06-01 2005-12-08 マグナメディクス ゲーエムベーハー 生化学分析、診断および治療のために変更可能な物理構造を有する、感熱性ポリマーキャリア
JP2006306912A (ja) * 2005-04-26 2006-11-09 Yokohama National Univ 物理的刺激応答非水系組成物
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