JP2008191457A - 表示媒体、表示装置、及び表示プログラム - Google Patents

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Abstract

【課題】濃度変化を抑制可能な表示媒体、表示装置、及び表示プログラムを提供する。
【解決手段】少なくとも一方が透光性を有すると共に間隙をもって対向して配置された一対の基板と、前記一対の基板間に封入され、前記基板間に形成された電界に応じて移動する粒子群と、前記粒子群を分散するための分散媒と、前記一対の基板間に設けられると共に前記粒子群が移動する移動経路を有し、刺激の付与により前記移動経路が狭まるまたは拡がる第1の部材と、を備えた表示媒体と、この表示媒体を備えた表示装置と、この表示媒体に画像を表示するための表示プログラムである。
【選択図】図1

Description

本発明は表示媒体、表示装置、及び表示プログラムに関する。
従来から、繰り返し書き換えが可能なシート状の表示媒体として粒子の電気泳動を用いた表示技術が提案されている。この技術においては、電気泳動粒子を電気泳動させることによって、表示媒体の観測面側に所望の色の電気泳動粒子を付着させることで、目的とする色の画像の表示を行っている。
電気泳動粒子を用いた技術としては、様々な改良がなされており、例えば、特許文献1には、電界の作用により光学特性が可逆的に変化する表示体として、電気泳動粒子と液体とを含む表示体を層分離状でゲル化マトリクス中に分散した表示層を備えた表示媒体が示されている。この特許文献1の技術によれば、電気泳動粒子を表示体内に含ませることで、泳動粒子の凝集を回避している。
また、特許文献2には、色素及び潤滑性層状粘度鉱物の添加された媒質と、電荷を帯びた電気泳動粒子とを含む電気泳動層について、電気泳動粒子をクーロン力により移動させるときに、交流電圧を印加することで電気泳動粒子を振動させて媒質の粘度を低下させる技術が示されている。また、この媒質に、チキソトロピックな性質を付与する物質を添加している。これにより、電気泳動粒子は、交流電圧が印加されていないときには、媒質内に静止状態となり、交流電圧が印加されると媒質内を移動して、表示内容を長期間に渡って保持するとともに、電気泳動粒子の電気泳動に要する消費電力の低減を図っている。
また、特許文献3には、粘性を有する液体中に粒子群36を浮遊させて構成した表示部を有する識別カードについての技術が記載されている。
特開2003−156769号公報 特開2002−40967号公報 特開2004−12814号公報
本発明は、濃度変化を抑制可能な表示媒体、表示装置、及び表示プログラムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、少なくとも一方が透光性を有すると共に間隙をもって対向して配置された一対の基板と、前記一対の基板間に封入され、前記基板間に形成された電界に応じて移動する粒子群と、前記粒子群を分散するための分散媒と、前記一対の基板間に設けられると共に前記粒子群が移動する移動経路を有し、刺激の付与により前記移動経路の幅が狭まるまたは拡げて変化する第1の部材と、を備えたことを特徴とする表示媒体である。
請求項2に係る発明は、前記第1の部材は、前記分散媒を吸収または放出して体積変化する高分子ゲルから構成されたことを特徴とする請求項1に記載の表示媒体である。
請求項3に係る発明は、前記第1の部材は、球形の部材の集合体であることを特徴とする請求項1に記載の表示媒体である。
請求項4に係る発明は、前記刺激は、電気であることを特徴とする請求項1に記載の表示媒体である。
請求項5に係る発明は、前記刺激は、熱または光であることを特徴とする請求項1に記載の表示媒体である。
請求項6に係る発明は、前記第1の部材は、前記一対の基板間の何れか一方の基板側に偏在して設けられたことを特徴とする請求項1に記載の表示媒体である。
請求項7に係る発明は、前記一対の基板間に配設され、前記粒子群が移動する空隙を有すると共に前記粒子群とは異なる光学的反射特性を有する反射部材を更に備え、前記第1の部材は、前記反射部材と前記一対の基板の少なくとも一方との間に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の表示媒体である。
請求項8に係る発明は、少なくとも一方が透光性を有すると共に間隙をもって対向して配置された一対の基板と、前記一対の基板間に封入され、前記基板間に形成された電界に応じて移動する粒子群と、前記粒子群を分散するための分散媒と、前記一対の基板間に設けられると共に前記粒子群が移動する移動経路を有し、刺激の付与により前記移動経路の幅が狭まるまたは拡げて変化する第1の部材と、を備えた表示媒体と、前記表示媒体の前記第1の部材に刺激を付与するための刺激付与手段と、前記表示媒体に電圧を印加することにより前記一対の基板間に電界を形成する電圧印加手段と、を備えた表示装置である。
請求項9に係る発明は、少なくとも一方が透光性を有すると共に間隙をもって対向して配置された一対の基板と、前記一対の基板間に封入され、前記基板間に形成された電界に応じて移動する粒子群と、前記粒子群を分散するための分散媒と、前記一対の基板間に設けられると共に前記粒子群が移動する移動経路を有し、刺激の付与により前記移動経路の幅を狭まるまたは拡げて変化する第1の部材と、を備えた表示媒体と、前記表示媒体の前記第1の部材に刺激を付与するための刺激付与手段と、前記表示媒体に電圧を印加することにより前記一対の基板間に電界を形成する電圧印加手段と、を備えた表示装置を表示駆動する処理をコンピュータに実行させる画像表示プログラムであって、前記第1の部材の移動経路を拡げるための刺激を付与するように前記刺激付与手段を制御する第1のステップと、前記表示媒体の一対の基板間に電界を形成するように前記電圧印加手段を制御する第2のステップと、前記第1の部材の移動経路を狭めるための刺激を付与するように前記刺激付与手段を制御する第3のステップと、をコンピュータに実行させる表示プログラムである。
請求項1に係る発明によれば、濃度変化を抑制できるという効果を奏する。
請求項2に係る発明によれば、簡易な構成で容易に濃度変化を抑制できるという効果を奏する。
請求項3に係る発明によれば、第1の部材を球形の部材の集合体として構成しない場合に比べて、第1の部材の移動経路の幅を変化させる速度を向上させることができるとともに、容易に第1の部材を作製することができるという効果を奏する。
請求項4に係る発明によれば、電気刺激以外の刺激を用いる場合に比べて、表示媒体の構成を簡易化することができるという効果を奏する。
請求項5に係る発明によれば、熱及び光刺激以外の刺激を用いる場合に比べて、容易に第1の部材の移動経路の幅の変化を制御できるという効果を奏する。
請求項6に係る発明によれば、さらに経時的な濃度変化を制御できるという効果を奏する。
請求項7に係る発明によれば、さらに粒子群の移動を段階的に制御できるという効果を奏する。
請求項8に係る発明によれば、濃度変化を抑制できる表示装置を提供することができるという効果を奏する。
請求項9に係る発明によれば、表示媒体の濃度変化を制御できる表示プログラムを提供することができるという効果を奏する。
以下、本発明を詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
図1に示すように、本発明の実施の形態に係る表示装置10は、表示媒体12、電圧印加部14、画像情報取得部17、及び制御部16を含んで構成されている。電圧印加部14、及び画像情報取得部17は、制御部16に信号授受可能に接続されている。
なお、表示媒体12が本発明の表示媒体に相当し、表示装置10が本発明の表示装置に相当し、電圧印加部14が、本発明の表示装置の電圧印加手段及び刺激付与手段に相当する。
−表示媒体−
表示媒体12は、画像表示面とされる表示基板18、表示基板18に間隙をもって対向する背面基板20、これらの基板間を所定間隔に保持すると共に、表示基板18と背面基板20との間を複数のセルに区画する間隙部材34、各セル内に封入された粒子群36、分散媒42、反射部材38、第1の部材としての移動経路幅変動部材40と、を含んで構成されている。
上記セルとは、表示基板18と、背面基板20と、間隙部材34と、によって囲まれた領域を示している。このセル内には、上記分散媒42が封入されている。粒子群36(詳細後述)は、この分散媒42中に分散され、セル内に形成された電界強度に応じて表示基板18と背面基板20との間の分散媒42中を移動する。またこのセル内には、詳細を後述する反射部材38及び移動経路幅変動部材40(詳細後述)が設けられている。
なお、この表示媒体12に画像を表示したときの各画素に対応するように間隙部材34を設け、各画素に対応するようにセルを形成することで、表示媒体12を、画素毎の色表示が可能となるように構成することができる。なお、図1、図4は説明及び図面の簡単化のため、一つのセルに着目して示したものである。なお、後述する第2の実施の形態、第3の実施の形態、及び第4の実施の形態における図5〜図10、図12、図13、図15、及び図17についても同様に、説明及び図面の簡単化のため、一つのセルに着目して示した。
表示基板18は、支持基板22上に、表面電極24及び表面層26を順に積層した構成となっている。背面基板20は、支持基板28上に、背面電極30及び表面層32を順に積層した構成となっている。
上記支持基板22及び支持基板28としては、ガラスや、プラスチック、例えば、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂等が挙げられる。
背面電極30及び表面電極24には、インジウム、スズ、カドミウム、アンチモン等の酸化物、ITO等の複合酸化物、金、銀、銅、ニッケル等の金属、ポリピロールやポリチオフェン等の有機材料等を使用することができる。これらは単層膜、混合膜あるいは複合膜として使用でき、蒸着法、スパッタリング法、塗布法等で形成できる。また、その厚さは、蒸着法、スパッタリング法によれば、通常100〜2000オングストロームである。背面電極30及び表面電極24は、従来の液晶表示装置あるいはプリント基板のエッチング等従来公知の手段により、所望のパターン、例えば、マトリックス状、あるいはパッシブマトリックス駆動を可能とするストライプ状に形成することができる。
また、表面電極24を支持基板22に埋め込んでもよい。同じように、背面電極30を支持基板28に埋め込んでもよい。この場合、支持基板22及び支持基板28の材料が粒子群36の各粒子の帯電特性や流動性に影響を及ぼすことがあるので、粒子群36の各粒子の組成等に応じて選択する。
なお、背面電極30及び表面電極24各々を表示基板18及び背面基板20と分離させて、表示媒体12の外部に配置してもよい。この場合、背面電極30と表面電極24との間に表示媒体12が挟まれた構成となり、背面電極30と表面電極24との間の電極間距離が大きくなって電界強度が小さくなるため、所望の電界強度が得られるように表示媒体12の支持基板22及び支持基板28の厚みや、支持基板22と支持基板28との基板間距離を小さくする等の工夫が必要である。
なお、上記では、表示基板18と背面基板20の双方に電極(表面電極24及び背面電極30)を備える場合を説明したが、何れか一方にだけ設けるようにしてもよい。
また、アクティブマトリックス駆動を可能にするために、支持基板22及び支持基板28は、画素毎にTFT(薄膜トランジスタ)を備えていてもよい。配線の積層化及び部品実装が容易であることから、TFTは表示基板ではなく背面基板20に形成することが好ましい。
なお、表示媒体12を単純マトリクス駆動とすると、表示媒体12を備えた後述する表示装置10の構成を簡易な構成とすることができ、TFTを用いたアクティブマトリックス駆動とすると、単純マトリクス駆動に比べて表示速度を速くすることができる。
上記表面電極24及び背面電極30が、各々支持基板22及び支持基板28上に形成されている場合、表面電極24及び背面電極30の破損や、粒子群36の各粒子の固着を招く電極間のリークの発生を防止するため、必要に応じて表面電極24及び背面電極30各々上に、誘電体膜として表面層26及び表面層32を形成することが好ましい。
この表面層26及び表面層32を形成する材料としては、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスチレン、ポリイミド、エポキシ、ポリイソシアネート、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリブタジエン、ポリメチルメタクリレート、共重合ナイロン、紫外線硬化アクリル樹脂、フッ素樹脂等を用いることができる。
また、上記した絶縁材料の他に、絶縁性(体積低効率が10Ω・cm以上)材料中に電荷輸送物質を含有させたものも使用できる。電荷輸送物質を含有させることにより、粒子への電荷注入による粒子帯電性の向上や、粒子の帯電量が極度に大きくなった場合に粒子の電荷を漏洩させ、粒子の帯電量を安定させる。
電荷輸送物質としては、例えば、正孔輸送物質であるヒドラゾン化合物、スチルベン化合物、ピラゾリン化合物、アリールアミン化合物等が挙げられる。また、電子輸送物質であるフルオレノン化合物、ジフェノキノン誘導体、ピラン化合物、酸化亜鉛等も使用できる。さらに、電荷輸送性を有する自己支持性の樹脂を用いることもできる。
具体的には、ポリビニルカルバゾール、米国特許第4806443号に記載の特定のジヒドロキシアリールアミンとビスクロロホルメートとの重合によるポリカーボネート等が挙げられる。誘電体膜は、粒子の帯電特性や流動性に影響を及ぼすことがあるので、粒子の組成等に応じて選択する。基板の一方である表示基板は光を透過する必要があるので、上記各材料のうち透明のものを使用することが好ましい。
―間隙部材―
表示基板18と背面基板20との間隙を保持するための間隙部材34は、表示基板18の透明性を損なわないように形成され、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電子線硬化樹脂、光硬化樹脂、ゴム、金属等で形成することができる。
間隙部材34には、セル状のものと、粒子状のものがある。セル状のものとしては、例えば、網がある。網は入手が容易で安価であり、厚さも比較的均一であることから、安価な表示媒体12を製造する場合に有益である。網は微細な画像の表示には不向きであり、あまり解像度が必要とされない大型の画像表示装置に使用することが好ましい。また、他のセル状のスペーサとしては、エッチングやレーザー加工等によりマトリックス状に穴を開けたシートが挙げられ、このシートでは、網に比べ、厚さ、穴の形状、穴の大きさなどを容易に調整できる。このため、シートは微細な画像を表示するための画像表示媒体に使用し、コントラストをより向上させる。
間隙部材34は表示基板18及び背面基板20の何れか一方と一体化されてもよく、支持基板22または支持基板28をエッチング処理したり、レーザー加工したり、予め作製した型を使用し、プレス加工、印刷等によって、任意のサイズのセルパターンを有する支持基板22または支持基板28、及び間隙部材34を作製することができる。
この場合、間隙部材34は、表示基板18側、背面基板20側のいずれか、または双方に作製することができる。
間隙部材34は有色でも無色でもよいが、表示媒体12に表示される表示画像に悪影響を及ぼさないように無色透明であることが好ましく、その場合には、例えば、ポリスチレンやポリエステルやアクリルなどの透明樹脂等を使用することができる。
また、粒子状の間隙部材34は、透明であることが好ましく、ポリスチレン、ポリエステル又はアクリル等の透明樹脂粒子の他、ガラス粒子も使用できる。
−粒子群−
本発明の表示媒体12の分散媒42中には、表示基板18と背面基板20との基板間に特定の強度の電界が形成されることで表示基板18と背面基板20との間で分散媒42中を移動する、すなわち電界強度に応じて表示基板18及び背面基板20の何れか一方側に位置した状態から他方側へと移動を開始する電圧の絶対値を有する複数の粒子から構成された粒子群36が分散されている。
この「電界強度」とは、単位距離当りの電位差(V/m)である。
例えば、図2に示すように、表示基板18と背面基板20との間に単位距離当り+mVの電位差が生じたときに、粒子群36が一方の基板側から他方の基板側へと移動する。おなじように、表示基板18と背面基板20との間に単位距離当り−mVの電位差が生じたときに、粒子群36が上記他方の基板側から上記一方の基板側へと移動する。この場合には、粒子群36の基板から移動を開始する電圧は±mVである。
なお、本実施の形態では、電界強度に応じて表示基板18及び背面基板20の何れか一方側に位置した状態から他方側へと移動を開始する電圧の絶対値を有する粒子群36において、プラス極の移動を開始する電圧値とマイナス極の移動を開始する電圧値とは同じであるものとして説明するが、この値は、表示媒体12の構成によって異なり、プラス極とマイナス極との値は同じ値であることに限られない。
なお、本実施の形態では、説明を簡略化するために、電界強度に応じて表示基板18及び背面基板20の何れか一方側に位置した状態から他方側へと移動を開始する電圧の絶対値を有し、プラス極とマイナス極との値は同じ値であり、且つ同色の粒子群36が分散媒42中に分散されている場合を説明するが、分散媒42中には、互いに電界強度に応じて表示基板18及び背面基板20の何れか一方側に位置した状態から他方側へと移動を開始する電圧の絶対値の異なる複数種類の粒子群36が分散されていてもよい。さらに、種類毎に互いに異なる色であってもよい。
ここで、粒子群36の電界強度に応じて表示基板18及び背面基板20の何れか一方側に位置した状態から他方側へと移動を開始する電圧の絶対値は、粒子群36の静電力、粒子群36の磁気力、粒子群36を構成する粒子間の弱い粒子間力による粒子の流動抵抗、粒子間や粒子と表示基板18及び背面基板20間のファンデルワールス力等により定まる。このため、粒子群36を構成する粒子の平均帯電量、粒子表面の分散媒42に対する流動抵抗、平均磁気量(磁化の強さ)、粒子の粒径、及び粒子の形状係数の何れか1つまたは複数を調整することで、粒子群36の電界強度に応じて表示基板18及び背面基板20の何れか一方側に位置した状態から他方側へと移動を開始する電圧の絶対値を調整することができる。
この粒子群36を構成する各粒子としては、ガラスビーズ、アルミナ、酸化チタン等の絶縁性の金属酸化物粒子等、熱可塑性若しくは熱硬化性樹脂粒子、これらの樹脂粒子の表面に着色剤を固定したもの、熱可塑性若しくは熱硬化性樹脂中に絶縁性の着色剤を含有する粒子、及びプラズモン発色機能を有する金属コロイド粒子等が挙げられる。
粒子の製造に使用される熱可塑性樹脂としては、スチレン、クロロスチレン等のスチレン類、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソプレン等のモノオレフィン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ドデシル等のα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテル等のビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類の単独重合体あるいは共重合体を例示することができる。
粒子の製造に使用される熱硬化性樹脂としては、ジビニルベンゼンを主成分とする架橋共重合体や架橋ポリメチルメタクリレート等の架橋樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等を挙げることができる。特に代表的な結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸アルキル共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド、変性ロジン、パラフィンワックス等を挙げることができる。
着色剤としては、有機若しくは無機の顔料や、油溶性染料等を使用することができ、マグネタイト、フェライト等の磁性粉、カーボンブラック、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、フタロシアニン銅系シアン色材、アゾ系イエロー色材、アゾ系マゼンタ色材、キナクリドン系マゼンタ色材、レッド色材、グリーン色材、ブルー色材等の公知の着色剤を挙げることができる。具体的には、アニリンブルー、カルコイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロリド、フタロシアニンブルー、マラカイトグリーンオキサレート、ランプブラック、ローズベンガル、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・イエロー97、C.ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3、等を代表的なものとして例示することができる。
また、空気を内包した多孔質のスポンジ状粒子や中空粒子は白色粒子として使用できる。
粒子の樹脂には、必要に応じて、帯電制御剤を混合してもよい。帯電制御剤としては、電子写真用トナー材料に使用される公知のものが使用でき、例えば、セチルピリジルクロライド、BONTRON P−51、BONTRON P−53、BONTRON E−84、BONTRON E−81(以上、オリエント化学工業社製)等の第4級アンモニウム塩、サリチル酸系金属錯体、フェノール系縮合物、テトラフェニル系化合物、酸化金属粒子、各種カップリング剤により表面処理された酸化金属粒子を挙げることができる。
粒子の内部や表面には、必要に応じて、磁性材料を混合してもよい。磁性材料は必要に応じてカラーコートした無機磁性材料や有機磁性材料を使用する。また、透明な磁性材料、特に、透明有機磁性材料は着色顔料の発色を阻害せず、比重も無機磁性材料に比べて小さく、より望ましい。
着色した磁性粉として、例えば、特開2003−131420公報記載の小径着色磁性粉を用いることができる。核となる磁性粒子と該磁性粒子表面上に積層された着色層とを備えたものが用いられる。そして、着色層としては、顔料等により磁性粉を不透過に着色する等、選定して差し支えないが、例えば光干渉薄膜を用いるのが好ましい。この光干渉薄膜とは、SiO2やTiO2等の無彩色材料を光の波長と同等な厚みを有する薄膜にしたものであり、薄膜内の光干渉により光を波長選択的に反射するものである。
粒子の表面には、必要に応じて、外添剤を付着させてもよい。外添剤の色は、粒子の色に影響を与えないように、透明であることが好ましい。
外添剤としては、酸化ケイ素(シリカ)、酸化チタン、及びアルミナ等の金属酸化物等の無機粒子が用いられる。粒子の帯電性、流動性、及び環境依存性等を調整するために、これらをカップリング剤やシリコーンオイルで表面処理することができる。
カップリング剤には、アミノシラン系カップリング剤、アミノチタン系カップリング剤、ニトリル系カップリング剤等の正帯電性のものと、窒素原子を含まない(窒素以外の原子で構成される)シラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤、エポキシシランカップリング剤、アクリルシランカップリング剤等の負帯電性のものがある。同じように、シリコーンオイルには、アミノ変性シリコーンオイル等の正帯電性のものと、ジメチルシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、α−メチルスルホン変性シリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル等の負帯電性のものが挙げられる。これらは外添剤の所望の抵抗に応じて選択される。
この外添剤の中では、よく知られている疎水性シリカや疎水性酸化チタンが好ましく、特に特開平10−3177記載のTiO(OH)2と、シランカップリング剤等のシラン化合物との反応で得られるチタン化合物が好適である。シラン化合物としてはクロロシラン、アルコキシシラン、シラザン、特殊シリル化剤のいずれのタイプを使用することも可能である。このチタン化合物は、湿式工程の中で作製されるTiO(OH)2にシラン化合物あるいはシリコーンオイルを反応、乾燥させて作製される。数百度という焼成工程を通らないため、Ti同士の強い結合が形成されず、凝集が全くなく、粒子は一次粒子の状態である。さらに、TiO(OH)2にシラン化合物あるいはシリコーンオイルを直接反応させるため、シラン化合物やシリコーンオイルの処理量を多くすることができて、シラン化合物の処理量等を調整することにより帯電特性を制御でき、且つ付与できる帯電能も従来の酸化チタンのそれより顕著に改善することができる。
外添剤の一次粒子は、一般的には5〜100nmであり、望ましくは10〜50nmであるが、これに限定されない。
外添剤と粒子の配合比は粒子の粒径と外添剤の粒径の兼ね合いから調整される。外添剤の添加量が多すぎると粒子表面から該外添剤の一部が遊離し、これが他方の粒子の表面に付着して、所望の帯電特性が得られなくなる。一般的には、外添剤の量は、粒子100重量部に対して、0.01〜3重量部、より望ましくは0.05〜1重量部である。
外添剤は、複数種類の粒子の何れか1種にのみ添加してもよいし、複数種または全ての種類の粒子に添加してもよい。全ての粒子の表面に外添剤を添加する場合は、粒子表面に外添剤を衝撃力で打込んだり、粒子表面を加熱して外添剤を粒子表面に強固に固着したりすることが望ましい。これにより、外添剤が粒子から遊離し、異極性の外添剤が強固に凝集して、電界で解離させることが困難な外添剤の凝集体を形成することが防止され、ひいては画質劣化が防止される。
各粒子群を作成する方法としては、従来公知のどの方法を用いてもよい。例えば、特開平7−325434公報記載のように、樹脂、顔料および帯電制御剤を所定の混合比になるように計量し、樹脂を加熱溶融させた後に顔料を添加して混合、分散させ、冷却した後、ジェットミル、ハンマーミル、ターボミル等の粉砕機を用いて粒子を調製し、得られた粒子をその後分散媒に分散する方法が使用できる。また、懸濁重合、乳化重合、分散重合等の重合法やコアセルベーション、メルトディスパージョン、エマルジョン凝集法で帯電制御剤を粒子中に含有させた粒子を調製し、その後分散媒に分散して粒子分散液を作成してもよい。さらにまた、樹脂が可塑化可能で、分散媒が沸騰せず、かつ、樹脂、帯電制御剤および/または着色剤の分解点よりは低い温度で、前記の樹脂、着色剤、帯電制御剤および分散媒の原材料を分散および混錬することができる適当な装置を用いる方法がある。具体的には、流星型ミキサー、ニーダー等で顔料と樹脂、帯電制御剤を分散媒中で加熱溶融し、樹脂の溶媒溶解度の温度依存性を利用して、溶融混合物を撹拌しながら冷却し、凝固/析出させて粒子を作成することができる。
さらにまた、分散および混練のための粒状メデイアを装備した適当な容器、例えばアトライター、加熱したボールミル等の加熱された振動ミル中に上記の原材料を投入し、この容器を好ましい温度範囲、例えば80〜160℃で分散および混練する方法が使用できる。粒状メデイアとしては、ステンレス鋼、炭素鋼等の鋼、アルミナ、ジルコニア、シリカ等が好ましく用いられる。この方法によって粒子を作成するには、あらかじめ充分に流動状態にした原材料をさらに粒状メデイアによって容器内に分散させた後、分散媒を冷却して分散媒から着色剤を含む樹脂を沈殿させる。粒状メデイアは冷却中および冷却後にも引き続き運動状態を保ちながら、剪断および/または、衝撃を発生させ粒子径を小さくする。
本発明の表示媒体12で用いられる粒子群36を構成する各粒子としては、分散状態で種類毎に異なる発色性を呈する粒子として、プラズモン発色機能を有する金属コロイド粒子を用いるようにしてもよい。
前記金属コロイド粒子の金属としては、貴金属又は銅等(以下、合わせて「金属」という。)が挙げられ、前記貴金属としては特に限定されず、例えば、金、銀、銅、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金等を挙げることができる。前記金属の中でも、金、銀、銅、白金が好ましい。
前記金属コロイド粒子は、金属イオンを還元して金属原子、金属クラスターを経てナノ粒子に調製する化学的方法や、バルク金属を不活性ガス中で蒸発させて粒子となった金属をコールドトラップなどで捕捉したり、ポリマー薄膜上に真空蒸着させて金属薄膜を形成した後に加熱して金属薄膜を壊し、固相状態でポリマー中に金属粒子を分散させる物理的方法が知られている。化学的方法は、特殊な装置を使わなくても良く、本発明の金属コロイド粒子調製に有利であるため、一般例を後述するが、これらに限定されるものではない。
前記金属コロイド粒子は、前記金属の化合物から形成される。該金属の化合物としては、前記金属を含むものであれば特に限定されず、例えば、塩化金酸、硝酸銀、酢酸銀、過塩素酸銀、塩化白金酸、塩化白金酸カリウム、塩化銅(II)、酢酸銅(II)、硫酸銅(II)等を挙げることができる。
前記金属コロイド粒子は、前記金属の化合物を溶媒に溶解した後、金属に還元して分散剤で保護された金属コロイド粒子の分散液として得ることができるが、該分散液の溶媒を除去して固体ゾルの形態で得ることもできる。これら以外のいずれの形態であってもよい。
前記金属の化合物を溶解する際、後述の高分子顔料分散剤を用いることも可能である。高分子顔料分散剤を用いることにより前記分散剤で保護された安定な金属コロイド粒子として得ることができる。このとき、高分子顔料分散剤の種類や濃度、撹拌時間を所望の条件にて行う事により、金属コロイド粒子表面に吸着する分散剤濃度を制御する事が可能である。すなわち、高分子顔料分散剤の濃度を濃くしたり、或は、撹拌時間を長くしたりする事により、金属コロイド粒子表面に吸着する高分子顔料分散剤の量を多くする事ができる。これにより、金属コロイド粒子の移動度を制御する事が可能である。
本発明における金属コロイド粒子を用いる場合、前記で得られた金属コロイド粒子の分散液として用いても、また、前記の溶媒を除去した固体ゾルを溶媒に再分散させて使用することもでき、本発明においては特に限定されるものではない。
前記金属コロイド粒子の分散液として用いる場合、前記調製時の溶媒としては、後述の絶縁性液体であることが好ましい。また、前記固体ゾルを再分散して用いる場合、固体ゾル調製時の溶媒としては、いずれの溶媒を用いることができ、特に限定されるものではない。再分散する際の溶媒としては、後述の絶縁性液体であることが好ましい。
また、金属コロイド粒子は、その金属の種類や形状、体積平均一次粒子径により、様々な色に発色させることができる。そのため、金属の種類や、形状、体積平均一次粒子径を制御した粒子を用いることにより、RGB発色を含む様々な色相を得ることができ、本発明の表示媒体12をカラー表示媒体とすることができる。更に、金属及び得られる金属コロイド粒子の形状や粒径制御によりRGBフルカラー方式の表示媒体とすることができる。
RGB方式のR、G、Bそれぞれの色を呈するための金属コロイド粒子の体積平均一次粒子径としては、用いる金属や、粒子の調製条件、形状、粒径等に依存するため、特に限定することができないが、例えば、金コロイド粒子の場合、体積平均一次粒子径は大きくなるに従って、R発色、G発色、B発色を呈する傾向にある。
本発明における体積平均一次粒子径の測定方法としては、粒子群にレーザ光を照射し、そこから発せられる回折、散乱光の強度分布パターンから平均粒径を測定する、レーザ回折散乱法を採用する。
セル中の全質量に対する粒子群36の含有量(質量%)としては、所望の色相が得られる濃度であれば特に限定されるものではなく、セルの厚さにより含有量を調整することが、表示媒体12としては有効である。即ち、所望の色相を得るために、セルが厚い場合には含有量は少なく、セルが薄い場合には含有量を多くすることができる。一般的には、0.01〜50質量%である。
前記金属コロイド粒子の調製は、例えば、文献「金属ナノ粒子の合成・調製、コントロール技術と応用展開」(技術情報協会出版、2004年)に記載されている一般的な調製方法にて金属コロイド粒子を調製することができる。以下に、その一例を説明するが、これに限定されるものではない。
−反射部材−
本発明の表示媒体12においては、各セル中に反射部材38が封入されている。反射部材38は、粒子群36の各粒子各々が通過可能な空隙を有すると共に、粒子群36とは異なる光学的反射特性を有する部材である。
ここで、「粒子群36とは異なる光学的反射特性を有する」とは、粒子群36だけが分散された分散媒42と、反射部材38とを対比して目視で観察した場合に、色相や明度、鮮度などにおいて、両者の差異が識別できる差異があることを意味する。
また、各セルにおける反射部材38の配置位置は、表示基板18の板面方向全体に存在するように配置されることが特に好ましい。すなわち、反射部材38は、表示基板18と背面基板20との間に形成される電界勾配方向に極力直交(表示基板18の板面に沿った方向)する方向に沿って配置されることが好ましい。
また、セル中の厚み方向(表示基板18と背面基板20との対向方向)における配置としては、詳細は後述するが、反射部材38の表示基板18側及び背面基板20側の何れか一方または双方に積層されるように固定化された移動経路幅変動部材40が、表示基板18と背面基板20との何れか一方に偏在して配置されるように、反射部材38を配置する。このため、反射部材38の表示基板18側または背面基板20側に積層されるように固定化された移動経路幅変動部材40は、セル中において、表示基板18側または背面基板20側の何れか側に偏在して配置される。
なお、本実施の形態では、移動経路幅変動部材40は、反射部材38の表示基板18側及び背面基板20側の双方に固定化されることで、反射部材38の表示基板18側及び背面基板20側の双方に移動経路幅変動部材40を積層させる場合を説明するが、反射部材38より背面基板20側に設けられる移動経路幅変動部材40については、背面基板20に固定化した形態であってもよい。
反射部材38の形状は、粒子群36を構成する各粒子が移動する空隙を有する構造であれば特に限定されないが、複数の粒子から構成される粒子状や、スポンジメッシュや繊維網等の膜状であることが好ましい。
反射部材38の形状が膜状である場合、反射部材38には、膜の厚み方向を貫き且つ粒子群36を構成する粒子のサイズよりも大きい径を有する孔が設けられていることが必要である。
一方、反射部材38の形状が粒子状である場合は、セル中には、複数の粒子を、各粒子同士の間を、粒子群36を構成する各粒子がすり抜けられる程度の孔が確保されるように配置することで反射部材38を構成すればよい。
なお、反射部材38の形状は膜状であるよりも複数の粒子から構成される粒子状であることが好ましい。これは、粒子状の反射部材38は、膜状である場合に比べて表面に後述する移動経路幅変動部材40を固定化しやすく、また、セル中への充填率を高めることで反射部材38自体に起因する色濃度(例えば、反射部材38が白色である場合は白色度)を高めることが容易であるので、反射部材38の形状が膜状であるよりも高いコントラストを容易に得られるためである。
なお、反射部材38が膜状である場合には、反射部材38厚みとしては5μm〜500μmの範囲内であることが好ましく、また、反射部材38に設けられる孔の直径としては、同一セル内に分散されている粒子群36を構成する粒子の平均粒径の2倍〜1000倍の範囲内であることが好ましい。
一方、反射部材38が複数の粒子から構成された粒子状である場合には、反射部材38を構成する粒子の粒径(但し、反射部材38を構成する各粒子の形が不定形の場合は、粒径とは体積平均粒径を意味する)は、セルの厚みの1/100〜1/2の範囲内にあることが好ましい。
なお、高い初期コントラストを得るためにはセル中における反射部材38の体積充填率は20vol%以上、70vol%以下であることが好ましく、30vol%以上、60vol%以下であることがより好ましい。
また、反射部材38の色としては、例えば、背景色となるように白色又は黒色を選択することが好ましい。なお、本実施の形態では、反射部材38の色が白色であるものとして説明するが、この色に限られるものではない。
反射部材38としては、具体的には、反射部材38が粒子状である場合には、ベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド縮合物の球状粒子、ベンゾグアナミン・メラミン・ホルムアルデヒド縮合物の球状粒子、メラミン・ホルムアルデヒド縮合物の球状粒子、((株)日本触媒製エポスター)、酸化チタン含有架橋ポリメチルメタクリレートの球状粒子(積水化成品工業(株)製MBX−ホワイト)、架橋ポリメチルメタクリレートの球状粒子(綜研化学製ケミスノーMX)、ポリテトラフルオロエチレンの粒子(ダイキン工業(株)製ルブロンL、 Shamrock TechnologiesInc.製 SST-2 )、フッ化炭素の粒子(日本カーボン製CF-100、ダイキン工業製CFGL,CFGM)、シリコーン樹脂粒子(東芝シリコーン(株)製トスパール)、酸化チタン含有ポリエステルの粒子(日本ペイント製ビリューシア PL1000ホワイトT)、酸化チタン含有ポリエステル・アクリルの粒子(日本油脂製コナックNo181000ホワイト)、シリカの球状粒子(宇部日東化成製ハイプレシカ)等を用いることができる。なお、上記に限定せずに、酸化チタン等の白色顔料を樹脂に混合分散したのち、所望の粒子径に粉砕、分級したものでもよい。
なお、本実施の形態では、反射部材38が複数の粒子から構成された粒子状である場合(図1参照)説明するが、上述のように、粒子状に限られるものではない。
−移動経路幅変動部材−
移動経路幅変動部材40は、粒子群36が移動する移動経路を有し、刺激の付与により移動経路が狭まったり拡がったりする部材である。すなわち、移動経路幅変動部材40に刺激が付与されることによって移動経路が狭まると、粒子群36を構成する各粒子は移動経路を介して移動することは困難となる。また、移動経路幅変動部材40に刺激が付与されることによって移動経路が拡がると、粒子群36を構成する各粒子は移動経路を介して移動可能となる。
この特性を有する移動経路幅変動部材40は、例えば、刺激に応じて機械的に開閉することによって移動経路幅を変動させる部材や、刺激に応じてセル中の厚み方向と極力直交する方向に部材が機械的に出入りすることによって移動経路幅を変動させる部材などが挙げられるが、特に分散媒42を吸収または放出して体積変化する高分子ゲルから構成することが、表示媒体の構成を簡易にでき容易に移動経路幅を変動できる点で望ましい。
なお、本実施の形態においては、刺激として電気刺激の付与によって移動経路が狭まったり拡がったりする移動経路幅変動部材40を用いる場合を説明する。
高分子ゲルから構成される移動経路幅変動部材40としては、電界に応じて液体との相互作用によって体積変化を起こす帯電性高分子が用いられる。ここで、相互作用とは、高分子ゲルの体積変化に伴う液体の吸収・放出を含む作用を意味する。このような帯電性高分子ゲルとは、イオン性高分子ゲル、帯電剤を含有するイオン性高分子ゲル及び帯電剤を含有する非イオン性高分子ゲルと定義する。ここで、イオン性高分子ゲルとは高分子鎖にイオン解離基を持つ高分子ゲルをいい、非イオン性高分子ゲルとは高分子鎖にイオン解離基を持たない高分子ゲルをいう。
また、帯電剤とは、それ自身が帯電している化合物であり、具体的には、有機あるいは無機のイオン性化合物を含む微粒子や、イオン性の界面活性剤、後述の色材などが挙げられる。帯電剤は色材として機能させてもよい。帯電剤は、高分子ゲル内に固定されている。具体的には、イオン性化合物を含む微粒子や色材は、高分子ゲルを構成する高分子鎖のネットワーク中に閉じ込められる、あるいは高分子鎖上に固定されている。イオン性の界面活性剤は、高分子ゲルを構成する高分子鎖に吸着している。
以下、各高分子ゲルの好適な具体例を列挙する。なお、これら具体例の表記において、「(メタ)アクリレート」等の記述は、「アクリレート」及び「メタクリレート」等のいずれをも含む表現である。
〈1〉イオン性高分子ゲル
イオン性高分子ゲルの具体例としては、ポリ(メタ)アクリル酸の架橋物やその塩;(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステル等との共重合体の架橋物やその塩;ポリマレイン酸の架橋物やその塩;マレイン酸と(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステル等との共重合体の架橋物やその塩;ポリビニルスルホン酸の架橋物やビニルスルホン酸と(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステル等との共重合体の架橋物;ポリビニルベンゼンスルホン酸の架橋物やその塩;ビニルベンゼンスルホン酸と(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステル等との共重合体の架橋物やその塩;ポリアクリルアミドアルキルスルホン酸の架橋物やその塩;アクリルアミドアルキルスルホン酸と(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステル等との共重合体の架橋物やその塩;ポリジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドの架橋物やその塩酸塩;ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドと(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステル等との共重合体の架橋物やその4級化物や塩;ポリジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドとポリビニルアルコールとの複合体の架橋物やその4級化物や塩;ポリビニルアルコールとポリ(メタ)アクリル酸との複合体の架橋物やその塩;カルボキシアルキルセルロース塩の架橋物;ポリ(メタ)アクリロニトリルの架橋物の部分加水分解物やその塩などが挙げられる。
これらのイオン性高分子ゲルは、架橋剤の添加、あるいは高分子に電子線、γ線などの放射線を照射する、加熱する、さらには過酸化物を添加することによって三次元架橋することで作製することができる。
〈2〉帯電剤を含有するイオン性高分子ゲル
帯電剤を含有させたイオン性高分子ゲルとしては、前記〈1〉において、イオン性高分子ゲルの具体例として記載したものと同様なイオン性高分子ゲルが挙げられる。一方、前記イオン性高分子ゲル中に含有させる帯電剤としては、各種両親媒性(高)分子、ニグロシン系化合物、アルコキシ化アミン類、第四級アンモニウム塩、アルキルアミド、リン及びタングステンの単体及び化合物、モリブデンキレート顔料、疎水性シリカ、ホウ素類、ハロゲン化合物、モノアゾ染料の金属錯塩、サリチル酸、アルキルサリチル酸、ジアルキルサリチル酸、ナフトエ酸の金属錯塩、塩素化ポリオレフィン、塩素化ポリエステル、酸基過剰のポリエステル、銅フタロシアニンのスルホニルアミン、オイルブラック、ナフテン酸金属塩、脂肪酸金属塩、樹脂酸石けんなどが挙げられる。
イオン性高分子ゲル中に含有させる帯電剤の添加量は、2〜70質量%の範囲が好ましい。また、帯電剤が後で述べる色材であっても構わない。
〈3〉帯電剤を含有する非イオン性高分子ゲル
帯電剤を含有する非イオン性高分子ゲルとしては、下記に列挙するモノマー群から選択される1種以上のモノマーからなる単独重合体の架橋体や2種以上のモノマーからなる共重合体の架橋体が好適に挙げられる。
−モノマー群−
(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸ジアルキルアミノアルキルエステル、(メタ)アクリルアミド、エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン、イソブチレン、N−ジアルキル置換(メタ)アクリルアミド、N−アルキル置換(メタ)アクリルアミド、ビニルピリジン、ビニルアミン、アリルアミン、スチレン、ビニルカルバゾール、ビニルピロリドン、スチレン、スチレン誘導体、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、塩化ビニル、塩化ビニリデン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、メチレンビスアクリルアミド、イソプレン、ブタジエン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート。
非イオン性高分子ゲルとしては、前記モノマー群からなる(共)重合体の架橋体の他にも、ポリエステル系高分子の架橋体、ポリビニルアセタール誘導体の架橋体、ポリウレタン系高分子の架橋体、ポリウレア系高分子の架橋体、ポリエーテル系高分子の架橋体、ポリアミド系高分子の架橋体、ポリカーボネート系高分子の架橋体などが好ましく使用できる。
非イオン性高分子ゲルは、架橋剤の添加、あるいは高分子に電子線、γ線などの放射線を照射する、加熱する、さらには過酸化物を添加することによって三次元架橋することで作製することができる。
一方、非イオン性高分子ゲル中に含有させる帯電剤としては、前記〈2〉において、イオン性高分子ゲルに含有させる帯電剤と同様のものが挙げられる。
また、非イオン性高分子ゲル中に含有させる帯電剤の添加量は、2〜70質量%の範囲が好ましい。また、帯電剤が後で述べる色材であっても構わない。このとき非イオン性高分子ゲル中に含有させる色材の好ましい濃度は、2〜70質量%の範囲であり、特に好ましくは5〜50質量%の範囲である。
更に、非イオン性高分子ゲルの電界に対する応答性を向上させるために、色材以外の帯電剤を、別途非イオン性高分子ゲル中に含有させても構わない。
移動経路幅変動部材40を構成する高分子ゲルの体積変化量は特に限定されないが、高いほど好ましく、膨潤時及び収縮時の体積比が5以上、特に10以上のものが好ましい。また、本発明の刺激応答性高分子ゲルの体積変化は、可逆的なものであることが好ましい。
移動経路幅変動部材40の形状は特に限定されないが、刺激応答特性を考慮すると、複数の粒子の集合体として構成されていることが特に好ましい。
この粒子の形態も特に限定されないが、球体、楕円体、柵状、棒状、粉砕した多形(多面体)、多孔質体、繊維状、星状、針状、中空状、板状等のものを使用することができる。これらの中でも、粒子群36の移動を抑制する観点からは、柵状、棒状、粉砕した多形であることが好ましく、刺激付与により移動経路が狭まるまたは拡がるときの応答速度の観点からは、球体であることが好ましい。これは、高分子ゲルが体積変化をする際、溶媒を吸収放出する。収縮挙動は、表面から始まるため表面近傍の密度が高くなり、溶媒を放出しにくくなる。収縮は、固定点へ向かって起こることから、伸縮体積当たりの表面積が大きいほど、溶媒放出(収縮)速度が高くなる。球形の場合、どの点をとっても伸縮体積当たりの表面積が他の形状に比べて均一であるため、有利であるためである。
球形の場合、最大の収縮距離が直径になるが、同じ体積の多角形とか棒状等の場合、最大の収縮距離が直径より長くなる部分がある可能性が高く、球形に比べて収縮速度が遅くなる。
移動経路幅変動部材40を、複数の粒子状の高分子ゲルの集合体で構成する場合には、この移動経路幅変動部材40構成する高分子ゲルの粒子の大きさは、高分子ゲルの反応速度(膨潤・収縮速度)の観点から小さい程好ましく、乾燥状態で10μm以下であり、且つ粒子群36を構成する粒子の平均粒径の等倍以上(例えば0.1μm以上)であることが好ましい。
なお、移動経路幅変動部材40の形状は、本実施の形態では、複数の粒子の集合体である場合を説明するが、シート状で且つ粒子群36を構成する粒子が通り抜ける事が可能な細かい孔を有した網状の構造であってもよい。
移動経路幅変動部材40をシート状に構成した形態とする場合には、該移動経路幅変動部材40に設けられた孔が粒子群36を構成する粒子の平均粒径に対して2倍以上であることが好ましい。
高分子ゲルの粒子は、高分子ゲルを物理的粉砕法等で粒子化する方法、架橋前の高分子を化学的粉砕法等によって粒子化した後に架橋して高分子ゲル粒子を得る方法、あるいは乳化重合法、懸濁重合法、分散重合法などの粒子化重合法などの一般的な粒子化方法によって製造することができる。また、架橋前の高分子をノズル口金等によって押し出して繊維化し、これを架橋した後に粉砕する方法、あるいは前記繊維を粉砕して粒子化した後に架橋する方法によって高分子ゲル粒子を製造することも可能である。
高分子ゲルの色は、高分子ゲルの位置によって好ましい色調が異なり、反射部材38と表示基板の間にある場合には、透明あるいは白色が好ましく、反射部材38と背面基板の間にある場合には、いずれの色でも良いが白色、黒色、無彩色または透明が好ましい。
高分子ゲルに添加する色材としては、染料、顔料や光散乱材などが挙げられる。また色材は高分子ゲルに物理的あるいは化学的に固定化されることが好ましい。
染料の好適な具体例としては、例えば、黒色のニグロシン系染料や赤、緑、青、シアン、マゼンタ、イエローなどのカラー染料であるアゾ染料、アントラキノン系染料、インジゴ系染料、フタロシアニン系染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、キノリン染料、ニトロ染料、ベンゾキノン染料、ナフトキノン染料、ナフタルイミド染料、ベリノン染料などが挙げられ、特に光吸収係数が高いものが望ましい。例えば、C.I.ダイレクトイエロー1、8、11、12、24、26、27、28、33、39、44、50、58、85、86、87、88、89、98、157、C.I.アシッドイエロー1、3、7、11、17、19、23、25、29、38、44、79、127、144、245、C.I.ベイシックイエロー1、2、11、34、C.I.フードイエロー4、C.I.リアクティブイエロー37、C.I.ソルベントイエロー6、9、17、31、35、100、102、103、105、C.I.ダイレクトレッド1、2、4、9、11、13、17、20、23、24、28、31、33、37、39、44、46、62、63、75、79、80、81、83、84、89、95、99、113、197、201、218、220、224、225、226、227、228、229、230、231、C.I.アシッドレッド1、6、8、9、13、14、18、26、27、35、37、42、52、82、85、87、89、92、97、106、111、114、115、118、134、158、186、249、254、289、C.I.ベイシックレッド1、2、9、12、14、17、18、37、C.I.フードレッド14、C.I.リアクティブレッド23、180、C.I.ソルベントレッド5、16、17、18、19、22、23、143、145、146、149、150、151、157、158、C.I.ダイレクトブルー1、2、6、15、22、25、41、71、76、78、86、87、90、98、163、165、199、202、C.I.アシッドブルー1、7、9、22、23、25、29、40、41、43、45、78、80、82、92、93、127、249、C.I.ベイシックブルー1、3、5、7、9、22、24、25、26、28、29、C.I.フードブルー2、C.I.ソルベントブルー22、63、78、83〜86、191、194、195、104、C.I.ダイレクトブラック2、7、19、22、24、32、38、51、56、63、71、74、75、77、108、154、168、171、C.I.アシッドブラック1、2、7、24、26、29、31、44、48、50、52、94、C.I.ベイシックブラック2、8、C.I.フードブラック1、2、C.I.リアクティブブラック31、C.I.フードバイオレット2、C.I.ソルベントバイオレット31、33、37、C.I.ソルベントグリーン24、25、C.I.ソルベントブラウン3、9等が挙げられる。これらの染料は、単独で使用してもよく、さもなければ所望とする色を得るために混合して使用してもよい。
また、染料を高分子ゲルに固定化するために、不飽和二重結合基などの重合可能な基を有した構造の染料や高分子ゲルと反応可能ないわゆる反応性染料などが好ましく使用される。また、高分子ゲル中に含有させる染料の好ましい濃度は、3重量%から50重量%の範囲であり、特に望ましくは5重量%から30重量%の範囲である。このように染料濃度は少なくとも高分子ゲルの乾燥あるいは収縮状態において飽和吸収濃度以上であることが望ましい。ここで、飽和吸収濃度以上とは、特定の光路長のもとにおける染料濃度と光学濃度(あるいは光吸収量)の関係が一次直線の関係から大きく乖離する程度に高い染料濃度の領域を示す。
一方、顔料及び光散乱材の好適な具体例としては、黒色顔料であるブロンズ粉、チタンブラック、各種カーボンブラック(チャネルブラック、ファーネスブラック等)、白色顔料である酸化チタン、シリカなどの金属酸化物、炭酸カルシウムや金属紛などの光散乱材やカラー顔料である例えば、フタロシアニン系のシアン顔料、ベンジジン系のイエロー顔料、ローダミン系のマゼンタ顔料、あるいはこの他にもアントラキノン系、アゾ系、アゾ金属錯体、フタロシアニン系、キナクリドン系、ペリレン系、インジゴ系、イソインドリノン系、キナクリドン系、アリルアミド系などの各種顔料や光散乱材を挙げることができる。
例えば、イエロー系顔料としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アンスラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、アリルアミド化合物に代表される化合物が用いられる。より詳細には、C.I.ピグメントイエロー12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、109、110、111、128、129、147、168等が好適に用いられる。
例えば、マゼンタ系顔料としては、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アンスラキノン、キナクリドン化合物、レーキ顔料、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物が用いられる。より詳細には、C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48;2、48;3、48;4、57;1、81;1、144、146、166、169、177、184、185、202、206、220、221、254が特に好ましい。
例えば、シアン系顔料としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アンスラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物等が利用できる。具体的には、例えば顔料としては、C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15;3、15:4、60、62、66等が特に好適に利用できる。
また、使用する顔料や光散乱材の粒径は、1次粒子の平均粒径で0.001μm〜1μmのものが好ましく、特に0.01μm〜0.5μmのものが好ましい。これは粒径が0.01μm以下では高分子ゲルからの流出が起こりやすく、また、0.5μm以上では発色特性が悪くなる恐れを生じるためである。
また、前記したように顔料や光散乱材は高分子ゲル中に含有され、高分子ゲルから流出しないことが必要である。そのためには高分子ゲルの架橋密度を最適化して顔料や光散乱材を高分子網目中に物理的に閉じ込めること、高分子ゲルとの電気的、イオン的、その他物理的な相互作用をする顔料や光散乱材を用いること、表面を化学修飾した顔料や光散乱材を用いることなどが好ましい。例えば、表面を化学修飾した顔料や光散乱材としては、表面にビニル基などの不飽和基や不対電子(ラジカル)などの高分子ゲルと化学結合する基を導入したものや、高分子材料をグラフト結合したものなどが挙げられる。
高分子ゲル中に含有される顔料や光散乱材の量は、染料と同じように少なくとも液体を含まない状態の高分子ゲル中において飽和吸収濃度以上(あるいは飽和光散乱濃度以上)の濃度が好ましい。
飽和吸収濃度以上(あるいは飽和光散乱濃度以上)にするためには、顔料や光散乱材の光吸収係数や光散乱係数にも依存するが、一般的には3重量%〜95重量%の範囲が好ましく、より望ましくは5重量%〜80重量%の範囲である。顔料(あるいは光散乱材)の濃度が3重量%以下であると、飽和吸収濃度以上(あるいは飽和光散乱濃度以上)とはならず高分子ゲルの体積変化にともなう調光特性が得られない。一方、濃度が95重量%以上の場合は高分子ゲルの応答速度や体積変化量が低下してしまう恐れがある。
この色材を含む高分子ゲルは、架橋前の高分子に色材をほぼ均一に分散、混合した後に架橋する方法や重合時に高分子前駆体モノマ組成物に色材を添加して重合する方法によって製造することができる。重合時において顔料や光散乱材を添加する場合には前記したように重合性基や不対電子(ラジカル)をもつ顔料や光散乱材を使用し、高分子ゲルに化学結合することも好ましく実施される。
また、色材は高分子ゲル中に極力均一に分散されていることが好ましい。特に、高分子への分散に際して、機械的混練法、攪拌法やあるいは分散剤などを利用して極力均一に分散させることが望ましい。
また、これらの色材として、分子内に酸基、水酸基、アミノ基、チオール基、ハロゲン、ニトロ基、カルボニル基などの極性基を有し、高分子ゲル内において色材濃度が高い場合に凝集体を形成しやすい特性のものも好ましく使用することができる。この色材の例としては、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、スルホン酸基を有するフタロシアニン系顔料、アゾ系顔料等を挙げることができる。さらに、高分子ゲルに共有結合するための付加反応性基や重合性基を有する色材や、高分子ゲルとイオン結合などの相互作用する基を有する色材などの各種の化学修飾した色材を用いることも好ましい。
この移動経路幅変動部材40の表示媒体12における配置位置は、表示基板18の板面方向全体に存在するように配置されることが特に望ましい。すなわち、移動経路幅変動部材40は、表示基板18と背面基板20との間に形成される電界勾配方向に極力直交する方向に沿って配置されることが望ましい。
また、この移動経路幅変動部材40は、表示媒体12のセル中の厚み方向(表示基板18と背面基板20との対向方向)において、表示基板18側及び背面基板20側の何れか一方側に偏在し配置されていることが望ましい。移動経路幅変動部材40が表示基板18側及び背面基板20側の何れか一方側に偏在し配置されていると、より表示媒体の濃度変化を抑制しやすいためである。
この移動経路幅変動部材40は、本実施の形態では、上記説明した反射部材38の表示基板18側及び背面基板20側の何れか一方側または双方側に固定化されることで、表示基板18と背面基板20との間に形成される電界勾配方向に極力直交する方向に沿って配置される。なお、移動経路幅変動部材40は、背面基板20上に固定化してもよい。
この移動経路幅変動部材40の固定化は、種々の二官能性化合物や接着剤を利用したり、あるいは物理的な手段を用いたりすることで行うことができる。例えば、反応性シランカップリング剤により、反射部材38上をあらかじめ処理することで官能基を導入し、移動経路幅変動部材40を構成する材料(高分子ゲル)の官能基と反応させることにより共有結合等させることで固定化可能である。その他にも、種々の多官能性化合物や接着剤により、化学結合(イオン結合、水素結合)によって移動経路幅変動部材40を固定する方法や、反射部材38表面を加工して移動経路幅変動部材40を物理的に固定化することも可能である。
本実施の形態において、セル内に含まれる移動経路幅変動部材40は、球体の高分子ゲルの集合体として構成され、互いに逆極性の電界が形成されたときに膨潤または収縮する球体の高分子ゲル40A及び球体の高分子ゲル40Bの集合体から構成されている。すなわち、移動経路幅変動部材40は、球体の高分子ゲル40A及び球体の高分子ゲル40Bの集合体として構成されることにより、各高分子ゲル40A及び高分子ゲル40Bの何れか一方または双方が膨潤した場合には、粒子群36の表示基板18と背面基板20との間の移動を阻止する。一方、球体の高分子ゲル40A及び球体の高分子ゲル40Bの少なくとも一方が収縮した場合には、粒子群36を構成する各粒子は、球体の高分子ゲル40A及び球体の高分子ゲル40Bの間、すなわち移動経路幅変動部材40の空隙を通って移動することができる。
球体の高分子ゲル40Aは、例えば、表面電極24及び背面電極30を介して電圧が印加されて、表示基板18と背面基板20との間に電界が形成されたときに、表示基板18と背面基板20との間の電位差の中間点を電気力線が実質的に垂直につらぬく平面(同電位の平面(以下では、同電位平面と称して説明する場合がある)より、正極が印加された電極側の領域に位置する場合には分散媒42を吸収して膨潤し、該同電位平面より負極が印加された電極側の領域に位置する場合には分散媒42を放出して収縮する。
一方、球体の高分子ゲル40Bは、表面電極24及び背面電極30を介して電圧が印加されて、表示基板18と背面基板20との間に電界が形成されたときに、上記同電位平面より負極が印加された電極側の領域に位置する場合には分散媒42を放出して収縮し、該同電位平面より正極が印加された電極側の領域に位置する場合には、分散媒42を吸収して膨潤する。
本実施の形態では、粒形の高分子ゲル40Aと粒径の高分子ゲル40Bとを同じ体積量含んで構成された移動経路幅変動部材40として、図1に示すように、移動経路幅変動部材40が、反射部材38の表示基板18側に積層されて固定化されるとともに、移動経路幅変動部材40が反射部材38の背面基板20側に積層されて固定化されている。
このため、例えば、図1に示すように、表示基板18と背面基板20との間に電界が形成されていない状態では、表示媒体12のセル内の移動経路幅変動部材40及び移動経路幅変動部材40各々に含まれる粒径の高分子ゲル40Aと粒径の高分子ゲル40Bは膨潤した状態にある。
そして、図2に示すように、表示基板18側に正極の電圧、背面基板20側に負極の電圧が印加されて表示基板18と背面基板20との間に電界が形成されると、表示基板18と背面基板20との間の電位差の中間点を電気力線が実質的に垂直に貫く同電位平面より正極の表示基板18側に配置された移動経路幅変動部材40中の粒形の高分子ゲル40Bが分散媒42を放出して収縮する。また、表示基板18と背面基板20との間の該同電位平面より負極の背面基板20側に配置された移動経路幅変動部材40中の粒形の高分子ゲル40Aが分散媒42を放出して収縮する。
−分散媒−
分散媒42としては絶縁性液体であることが好ましい。
上記絶縁性液体として具体的には、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、デカン、ヘキサデカン、ケロセン、パラフィン、イソパラフィン、シリコーンオイル、ジククロロエチレン、トリクロロエチレン、パークロロエチレン、高純度石油、エチレングリコール、アルコール類、エーテル類、エステル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、2−ピロリドン、N−メチルホルムアミド、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ベンジン、ジイソプロピルナフタレン、オリーブ油、イソプロパノール、トリクロロトリフルオロエタン、テトラクロロエタン、ジブロモテトラフルオロエタンなどや、それらの混合物が好適に使用できる。
また、下記体積抵抗値となるよう不純物を除去することで、水(所謂、純水)も、分散媒として好適に使用することができる。該体積抵抗値としては、103ΩCM以上であることが好ましく、より好ましくは107ΩCM〜1019ΩCMであり、さらに好ましくは1010〜1019ΩCMである。このような体積抵抗値とすることで、より効果的に、電極反応に起因する液体の電気分解による気泡の発生が抑制され、通電毎に粒子の電気泳動特性が損なわれることがなく、優れた繰り返し安定性を付与することができる。
なお、絶縁性液体には、必要に応じて、酸、アルカリ、塩、分散安定剤、酸化防止や紫外線吸収などを目的とした安定剤、抗菌剤、防腐剤などを添加することができるが、上記で示した特定の体積抵抗値の範囲となるように添加することが好ましい。
また、絶縁性液体には、帯電制御剤として、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、金属石鹸、アルキルリン酸エステル類、コハク酸イミド類等を添加して使用できる。
イオン性、非イオン性の界面活性剤、親油性部と親水性部からなるブロックもしくはグラフト共重合体類、さらにまた環状、星状、樹状高分子(デンドリマー)等の高分子鎖骨格をもった 化合物、さらにはサリチル酸の金属錯体、カテコールの金属錯体、含金属ビスアゾ染料、テトラフェニルボレート誘導体等より選ばれる化合物を用いることができる。
があげられる。
イオン性および非イオン性の界面活性剤としては、より具体的には以下があげられる。ノニオン活性剤としては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸アルキロールアミド等が挙げられる。アニオン界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルフェニルスルホン酸塩、アルキルナフタリンスルホン酸塩、高級脂肪酸塩、高級脂肪酸エステルの硫酸エステル塩、高級脂肪酸エステルのスルホン酸等がある。カチオン界面活性剤としては、第一級ないし第三級のアミン塩、第四級アンモニウム塩等があげられる。これら帯電制御剤は、粒子固形分に対して0.01重量%以上、20重量%以下が好ましく、特に0.05〜10重量%の範囲が好ましい。0.01重量%を下回ると、希望とする帯電制御効果が不充分であり、また20重量%を越えると、現像液の過度な電導度の上昇を引き起こし、使い難くなるからである。
また、分散媒42の粘度は、温度20℃の環境下において、0.1mPa・s〜20mPa・sであることが粒子の移動速度、従って表示速度の観点から必須であり、0.1mPa・s〜5mPa・sであることが好ましく、0.1mPa・s〜2mPa・sであることが更に好ましい。
同一セル内における移動経路幅変動部材40と分散媒42との混合比は、重量比で1/2000〜1/1(移動経路幅変動部材40/分散媒42)の範囲とすることが好ましい。重量比が1/2000を超えると、組成物の機械的強度などの物性低下の恐れがあり、1/1未満になると、刺激応答による体積変化の応答速度が低下する恐れがある
電圧印加部14は、制御部16に信号授受可能に接続されるとともに、表面電極24及び背面電極30に電圧印加可能に接続されている。
画像情報取得部17は、表示装置10の外部から表示媒体12に表示する画像を示す画像情報を取得する、画像情報取得部17としては、例えば、CD−R、FD(フロッピー(登録商標)ディスク)、MD、DVD等の画像記録媒体から該画像記録媒体に記録されている画像情報を読み取るための一般的な読取装置や、無線または有線通信網を介して画像情報を取得するための一般的な通信装置等を用いることができる。
制御部16は、画像情報取得部17が取得した画像情報に応じて電圧印加部14から表示媒体12に印加する電圧を制御する。制御部16は、CPU16A、ROM16B、RAM16C、及び図示を省略するハードディスク等を含むマイクロコンピュータで構成されている。このCPU16Aは、ROM16Bやハードディスク等に記憶されているプログラムに従って表示媒体12への画像表示を行う。
以下に、本実施の形態における表示媒体12を備えた表示装置10の制御部16のCPU16Aで実行される処理を説明する。
制御部16のCPU16Aでは、図3に示す処理ルーチンによって示されるプログラムを制御部16内のROM16Bまたはハードディスク等から読み取ることによって、図3に示す処理を実行する。
なお、本実施の形態では、説明を簡略化するために、画像情報取得部17は、画像情報として、表示媒体12の特定の1つのセルに表示する画像の色を示す情報を取得するものとし、該画像情報に基づいた色を表示媒体12の対応する1つのセルに表示する場合を説明する。
また、図3に示す処理ルーチンの実行前には、図1に示すように、セル内の粒子群36のほぼ全てが表示基板18側に位置するものとして説明する。
なお、「ほぼ全て」とは、粒子群36の特性ばらつきがあるため、一部の粒子の特性が表示特性に寄与しない程度異なるものがあることを表す。
また、セル内の粒子群36の基板から移動を開始する電圧は±mVであり、正極に帯電しているとして説明する。
制御部16のCPU16Aでは、所定時間毎に図3に示す処理ルーチンが実行されてステップ100へ進む。
ステップ100では、画像情報取得部17が画像情報を取得したか否かを判別し、否定されると本ルーチンを終了し、肯定されるとステップ102へ進む。
ステップ102では、ステップ100で取得した画像情報に含まれる色情報を読み取る。
次のステップ104では、上記ステップ102で読み取った色情報の色を表示する対象となるセル内の粒子群36の移動を開始する電圧の絶対値未満の電圧を印加する信号を、電圧印加部14へ出力する。該信号を受け付けるによって、電圧印加部14は、記ステップ102で読み取った色情報の色を表示する対象となるセル内の粒子群36の基板から移動を開始する電圧の絶対値未満の電圧を表面電極24と背面電極30とに印加する。なお、このときの電圧の極性は正極であってもよいし負極であってもよい。
ステップ104の処理において、例えば、粒子群36の基板から移動を開始する電圧の絶対値が、図2に示すようにmVである場合には、制御部16からの信号を受け付ける事によって、電圧印加部14は、mV未満の電圧を表面電極24と背面電極30との何れか一方が正極となり他方が負極となるように、表面電極24と背面電極30とに印加しはじめる。
ステップ104の処理によって移動経路幅変動部材40に含まれる球形の高分子ゲル40A及び球形の高分子ゲル40Bの何れか一方が収縮し、移動経路幅変動部材40に含まれる球形の高分子ゲル40A及び球形の高分子ゲル40Bの他方が収縮する。なお、このとき印加される電圧は基板から移動を開始する電圧の絶対値mV未満の電圧であるため、粒子群36の基板間の移動は生じない。
次のステップ106では、予め制御部16内のROM16Aまたはハードディスク等に記憶されている所定時間を読取り、上記ステップ104の処理において電圧印加が開始されてから該所定時間経過するまで否定判断を繰り返し、肯定されるとステップ108へ進む。
ステップ106の処理における「所定時間」としては、予めセル内の球形の高分子ゲル40A及び高分子ゲル40Bが、分散媒42を吸収して膨潤可能な最大の膨潤した状態から分散媒42を放出して収縮可能な最小の収縮した状態となるまで、または分散媒42を放出して収縮可能な最小の収縮した状態から分散媒42を吸収して膨潤可能な最大の膨潤した状態となるまでの時間の内、長い方の時間を予め設定すればよい。この時間は、予め測定し、予め制御部16内のROMまたはハードディスク内に記憶しておけばよい。
なお、「最大の膨潤した状態」とは膨潤を開始してから、さらに刺激を与えても膨潤せず、体積変化が生じなくなる状態を示している。また、「最小の収縮した状態」とは収縮を開始してから、さらに刺激を与えても収縮せず、体積変化が生じなくなる状態を示している。
上記ステップ104及びステップ106の処理が実行されることによって、移動経路幅変動部材40を構成する球形の高分子ゲル40A及び高分子ゲル40Bの何れか一方、及び移動経路幅変動部材40を構成する球形の高分子ゲル40A及び高分子ゲル40Bの他方が分散媒42を放出して収縮可能な最小の収縮した状態となるため、移動経路幅変動部材40及び移動経路幅変動部材40各々の移動経路は、粒子群36を構成する粒子が移動可能な程度に拡がった状態となる。
次のステップ108では、上記ステップ102で読み取った色情報に応じた極性で、且つ粒子群36の基板から移動を開始する電圧±mVの絶対値以上の電圧を、表面電極24と背面電極30との間に印加する事を示す信号を、電圧印加部14に出力する。
該信号を受け付ける事によって、電圧印加部14は、例えば、表面電極24を負極とし、背面電極30を正極として、粒子群36の基板から移動を開始する電圧±mVの絶対値以上の電圧の印加を開始する。
次のステップ110では、予め制御部16内のROM16Bまたはハードディスク等に記憶されている設定時間を読取り、上記ステップ104の処理において電圧印加が開始されてから該設定時間が経過するまで否定判断を繰り返し、肯定されるとステップ112へ進む。
ステップ110の処理における「設定時間」としては、予めセル内の粒子群36が、上記ステップ108で印加した電圧を印加したときに、表示基板18側から背面基板20側、または背面基板20側から表示基板18側への移動に要する時間を予め測定して設定すればよい。この時間は、予め測定し、予め制御部16内のROM16Bまたはハードディスク内に記憶しておけばよい。
ステップ108及びステップ110の処理によって、表示基板18側に位置していた粒子群36(図1参照)は、移動経路幅変動部材40の移動経路、反射部材38の空隙、及び移動経路幅変動部材40の移動経路を介して、背面基板20側に到る(図4参照)。
次のステップ112では、表面電極24及び背面電極30への電圧印加の停止を示す信号を電圧印加部14へ出力する。該信号を受け付けると、電圧印加部14では、表面電極24及び背面電極30への電圧印加を停止した後に本ルーチンを終了する。
ステップ112の処理によって、表面電極24及び背面電極30への電圧印加が停止されると、上記ステップ104からステップ110の処理によって収縮した高分子ゲル40A及び高分子ゲル40Bが膨潤する。このためステップ112の処理によって、移動経路幅変動部材40及び移動経路幅変動部材40の移動経路が狭まり、上記ステップ108の処理によって表示基板18側または背面基板20側に移動した粒子群36は、背面基板20側から表示基板18側への移動が移動経路幅変動部材40によって阻止され、背面基板20側に保持された状態となる。
反対に、粒子群36が背面基板20側に位置する状態から、表示基板18側に位置した状態となるように、上記ステップ100乃至ステップ112の処理が実行された場合についても同じように、背面基板20側から表示基板18側に移動した粒子群36は、移動した表示基板18側に保持される。
具体的には、背面基板20側に位置する粒子群36が、移動経路の拡がった移動経路幅変動部材40の移動経路、反射部材38の空隙、及び移動経路の拡がった移動経路幅変動部材40の移動経路を介して、表示基板18側へと到った後に、移動経路幅変動部材40及び移動経路幅変動部材40を構成する収縮していた高分子ゲル40A及び高分子ゲル40Bが膨潤して移動経路が狭まる。これによって、表示基板18側に移動した粒子群36が、背面基板20側に移動することが阻止されて、表示基板18側に保持される。
本実施形態では電気刺激による刺激を用いた。電気刺激を用いた場合、移動経路幅変動部材と粒子群との刺激付与手段を別々の形態にすることもできるが、本実施形態のように移動経路幅変動部材と粒子群とを同じ刺激付与手段で制御できるため、媒体の構成を簡易化が可能である。
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態では、粒子群36の色に応じた色を表示媒体12に表示する場合を説明したが、本実施の形態では、さらに、同一色において濃度を調整して階調表現を行う場合を説明する。
なお、本実施の形態における表示装置10及び表示媒体12は、上記第1の実施の形態と同様の構成のため、同一部分には同一符号を付与して詳細な説明を省略する。
図5に示すように、本実施の形態の表示装置50は、表示媒体52と、電圧印加部14と、制御部54と、画像情報取得部17と、を含んで構成されている。
表示媒体52は、画像表示面とされる表示基板18、表示基板18に間隙をもって対向する背面基板20、これらの基板間を所定間隔に保持すると共に、表示基板18と背面基板20との間を複数のセルに区画する間隙部材34、各セル内に封入された粒子群36、分散媒42、反射部材38、移動経路幅変動部材40と、を含んで構成されている。
制御部54は、電圧印加部14及び画像情報取得部17と信号授受可能に接続されている。
制御部54は、画像情報取得部17が取得した画像情報に応じて電圧印加部14から表示媒体52に印加する電圧を制御する。制御部54は、CPU54A、ROM54B、RAM54C、及びハードディスク等を含むマイクロコンピュータで構成されている。このCPU54Aは、ROM54Bやハードディスク等に記憶されている図11に示すプログラムに従って表示媒体52への画像表示を行う。
移動経路幅変動部材40は、第1の実施の形態と同様に、球体の高分子ゲルの集合体として構成され、互いに逆極性の電界が形成されたときに膨潤または収縮する球体の高分子ゲル40A及び球体の高分子ゲル40Bの集合体から構成されている。すなわち、移動経路幅変動部材40は、球体の高分子ゲル40A及び球体の高分子ゲル40Bの集合体として構成されることにより、各高分子ゲル40A及び高分子ゲル40Bの何れか一方または双方が膨潤した場合には、移動経路が狭まり、粒子群36の表示基板18と背面基板20との間の移動を阻止する。一方、球体の高分子ゲル40A及び球体の高分子ゲル40Bの少なくとも一方が収縮した場合には、移動経路が拡がり、粒子群36を構成する各粒子は、移動経路幅変動部材40の移動経路を通って移動することができる。
本実施の形態では、粒形の高分子ゲル40Aと粒径の高分子ゲル40Bとを同量含んで構成された移動経路幅変動部材40として、図5に示すように、移動経路幅変動部材40が、反射部材38の背面基板20側に積層されて固定化されている。また、第1の実施の形態とは異なり、移動経路幅変動部材40が、表示媒体52の表示基板18と背面基板20との対向方向中央部より表示基板18側に偏った位置に、表示基板18の板面方向にわたって設けられるように、網状部材56上に固定化されている。
網状部材56とは、メッシュ、フィルター、不織布などの細孔を有するシート状の部材であって、粒子状の高分子ゲルの集合体として構成された移動経路幅変動部材40を、表示媒体52のセル内の、表示基板18と背面基板20との対向方向における任意の位置に固定化するための部材である。
この網状部材56は、具体的には、平織金網、綾織金網、平畳織金網、綾畳織金網、クリンプ織金網、ロッククリンプ織金網、フラットトップ織金網、トンキャップ織金網、タイロッド織金網、ウェッジワイヤー、焼結金網、菱形金網、亀甲金網、パンチングメタルナイロンメッシュ、ポリエステルメッシュ、ポリプロピレンメッシュ、テフロン(登録商標)メッシュ、カーボンメッシュ、MEDIFABメッシュ、ポリエチレンメッシュ、サランスクリーン、サランハニカムメッシュ、新素材Vスクリーン、ハニカムメッシュ、平織ネット、カラミ織ネット、ラッセル編ネット、トリカルネット、テフロン(登録商標)ネット、によって構成することができる。
以下に、本実施の形態における表示媒体52を備えた表示装置50の制御部54のCPU54Aで実行される処理を説明する。
制御部54のCPU54Aは、制御部54内のROM54Bやハードディスク等から図11に示す処理ルーチンによって示されるプログラムを読み取ることによって、図11に示す処理を実行する。
なお、本実施の形態では、説明を簡略化するために、画像情報取得部17は、画像情報として、表示媒体12の特定の1つのセルに表示する画像の色及び濃度を示す情報を取得するものとし、該画像情報に基づいた色を表示媒体52の対応する1つのセルに表示する場合を説明する。
また、図11に示す処理ルーチンの実行前には、図5に示すように、セル内の粒子群36の全てが表示基板18側に位置するものとして説明する。
また、セル内の粒子群36の基板から移動を開始する電圧は±mVであり、正極に帯電しているとして説明する。
また、本実施の形態では、制御部54のROM54Bには、表示媒体52に表示する色を示す色情報、及び濃度を示す濃度情報に対応して、電圧値である電圧値情報と、該電圧値情報の電圧の電圧印加時間を示す電圧印加時間情報と、該電圧の極性を示す情報と、が予め記憶されているとする。なお、電圧の極性とは、例えば、正極を示す情報は、表面電極24側が正極で背面電極30が負極であることを示し、負極を示す情報は、表面電極24側が負極で背面電極30が正極であることを示している。なお、この電圧値情報は、粒子群36の基板から移動を開始する電圧の絶対値以上の電圧値の情報である。
この電圧値情報、電圧印加時間情報、及び電圧の極性は、対応する色及び濃度を表示媒体52に表示するために表面電極24と背面電極30との間に印加する電圧の電圧値、電圧印加時間、及び電圧の極性を示している。このため、所定の色及び濃度に対応する電圧値情報の電圧値の電圧を、該所定の色及び濃度に対応する電圧印加時間情報の電圧印加時間、対応する極性で印加すると、粒子群36の移動によって該所定の色及び濃度を表示することが可能に構成されている。
制御部16のCPU54Aでは、所定時間毎に図11に示す処理ルーチンが実行されてステップ200へ進む。
ステップ200では、画像情報取得部17が画像情報を取得したか否かを判別し、否定されると本ルーチンを終了し、肯定されるとステップ202へ進む。
ステップ202では、ステップ200で取得した画像情報に含まれる色情報及び濃度情報を読み取る。例えば、シアン色を示す色情報と、20%の濃度を示す濃度情報とを読み取る。
次のステップ204では、上記ステップ202で読み取った色情報及び濃度情報に対応する、電圧値情報と、電圧印加時間情報と、電圧の極性情報と、を制御部54のROM54Bから読み取る。本実施の形態では、シアン色を示す色情報と、20%の濃度情報に対応する電圧値情報としてbV、電圧印加時間情報としてt時間、極性情報として正極を示す情報を読み取るとして説明する。
次のステップ206では、表示する対象となるセル内の粒子群36の基板から移動を開始する電圧の絶対値mV未満の電圧を印加する信号を電圧印加部14へ出力する。該信号を受け付けるによって、電圧印加部14は、記ステップ202で読み取った色情報の色を表示する対象となるセル内の粒子群36の基板から移動を開始する電圧の絶対値mV未満の電圧を表面電極24と背面電極30とに印加する。なお、このときの電圧の極性は正極であってもよいし負極であってもよい。
ステップ206の処理によって移動経路幅変動部材40に含まれる球形の高分子ゲル40A及び球形の高分子ゲル40Bの何れか一方が収縮し、移動経路幅変動部材40に含まれる球形の高分子ゲル40A及び球形の高分子ゲル40Bの他方が収縮する。このとき、印加される電圧は粒子群36の基板から移動を開始する電圧の絶対値未満の電圧であるため、粒子群36の移動は生じない。
次のステップ208では、予め制御部54内のROM54Bまたはハードディスク等に記憶されている所定時間を読取り、上記ステップ206の処理において電圧印加が開始されてから該所定時間経過するまで否定判断を繰り返し、肯定されるとステップ210へ進む。
ステップ210の処理における「所定時間」としては、予めセル内の球形の高分子ゲル40A及び高分子ゲル40Bが、分散媒42を吸収して膨潤可能な最大の膨潤した状態から分散媒42を放出して収縮可能な最小の収縮した状態となるまで、または分散媒42を放出して収縮可能な最小の収縮した状態から分散媒42を吸収して膨潤可能な最大の膨潤した状態となるまでの時間の内、長い方の時間を予め設定すればよい。この時間は、予め測定し、予め制御部54内のROM54Bまたはハードディスク内に記憶しておけばよい。
上記ステップ206及びステップ208の処理が実行されることによって、移動経路幅変動部材40を構成する球形の高分子ゲル40A及び高分子ゲル40Bの何れか一方、及び移動経路幅変動部材40を構成する球形の高分子ゲル40A及び高分子ゲル40Bの他方が分散媒42を放出して収縮可能な最小の収縮した状態となるため、移動経路幅変動部材40及び移動経路幅変動部材40各々の移動経路は、粒子群36を構成する粒子が移動可能な程度に拡がった状態となる。
次のステップ210では、上記ステップ204で読み取った電圧値bVの電圧を、上記ステップ204で読み取った極性で印加することを示す信号を、電圧印加部14に出力する。
該信号の入力によって、電圧印加部14は、例えば、表面電極24を正極とし、背面電極30を負極として、粒子群36の移動を開始する電圧±mVの絶対値以上の電圧であるbVの電圧の印加を開始する。
次のステップ212では、上記ステップ210の処理において電圧印加が開始されていから、上記ステップ204で読み取ったt時間が経過するまで否定判断を繰り返し、肯定されると、ステップ214へ進む。
ステップ204、ステップ210及びステップ212の処理によって、表示基板18側に位置していた粒子群36(図5参照)は、移動経路幅変動部材40の移動経路を介して背面基板20側へ移動する。
このとき、ステップ210及びステップ212の処理は、上記ステップ204で読み取った表示する色及び濃度に対応する電圧値の電圧を、該色及び濃度に応じた印加時間印加する処理であるため、ステップ210及びステップ212の処理によって、表示基板18側に位置していた粒子群36を構成する粒子の内の、表示対象となる色及び濃度に応じた量の粒子が背面基板20側に移動した時点で、ステップ210の処理による電圧印加が停止される(図6参照)。例えば、シアン色で20%の濃度を表現するための粒子群36の移動が生じた時点で、電圧印加が停止される。
次のステップ214では、表面電極24及び背面電極30への電圧印加の停止を示す信号を電圧印加部14へ出力する。該信号が入力されると、電圧印加部14では、表面電極24及び背面電極30への電圧印加を停止した後に本ルーチンを終了する。
ステップ214の処理によって、表面電極24及び背面電極30への電圧印加が停止されると、上記ステップ206からステップ208の処理によって収縮した高分子ゲル40A及び高分子ゲル40Bが膨潤する。このためステップ214の処理によって、移動経路幅変動部材40及び移動経路幅変動部材40の移動経路が狭まり、上記ステップ210及びステップ212の処理によって表示基板18側または背面基板20側に移動した粒子群36は、背面基板20と表示基板18との間の移動が移動経路幅変動部材40及び移動経路幅変動部材40によって阻止された状態となる。
このため、ステップ210及びステップ212の処理によって、図6に示すように粒子群36の内の、表示する色及び濃度に応じた量の粒子群36が表示基板18側から背面基板20側に電圧値及び電圧印加時間に応じた移動量だけ移動した時点で、ステップ214の処理によって、図7に示すように移動経路幅変動部材40及び移動経路幅変動部材40の移動経路が狭まることから、網状部材56より表示基板18側に位置する粒子群36の粒子の量を、表示する濃度に応じて調整することができる。また、色及び濃度に応じた電圧値及び電圧印加時間で電圧が印加された後に移動経路幅変動部材40及び移動経路幅変動部材40の移動経路が狭まることから、移動した粒子群36を、色及び濃度に応じて移動した状態に保持することができ、表示媒体52の色及び濃度を、例えばシアン色及び20%の濃度に保持することができる。
図7に示す状態から、さらに、ほぼ全ての粒子群36を背面基板20側に移動させるように、例えば、白色で濃度0%を示す画像情報を画像情報取得部17が取得した場合には、再度上記ステップ200からステップ214の処理が実行されることによって、図8に示すように、粒子群36のほぼ全てが背面基板20側に移動した後に、図9に示すように、移動経路幅変動部材40及び移動経路幅変動部材40の移動経路が狭まって、背面基板20側に到達した粒子群36は背面基板20側に保持され、例えば、白色及び0%の濃度に保持することができる。
さらに、画像情報取得部17が粒子群36の色で且つ最大濃度を示す画像情報を取得した場合には、図11のステップ200からステップ214の処理が制御部54のCPUにおいて実行されることによって、移動経路幅変動部材40及び移動経路幅変動部材40の移動経路が拡げられた後に、粒子群36のほぼ全てを背面基板20側から表示基板18側に移動させるための電圧値及び電圧印加時間の電圧が表面電極24及び背面電極30に印加されることで、粒子群36のほぼ全てが表示基板18側に移動する(図10参照)。そして、粒子群36のほぼ全てが表示基板18側に移動した後に、電圧印加部14からの電圧印加によって、図5に示すように、移動経路幅変動部材40及び移動経路幅変動部材40の移動経路が狭まって、表示基板18側に到達した粒子群36は、移動経路幅変動部材40によって分散媒42中の移動が抑制されて、表示基板18側に保持され、例えば、シアン色及び100%の濃度に保持することができる。
このように、反射部材38より表示基板18側に移動経路幅変動部材40を設けて、図11に示す処理プログラムが実行されることによって、表示媒体52の濃度を調整することができる。
なお、「最大濃度」とは粒子群36が移動を開始してからさらに電圧及び電圧印加時間を増加させても、表示濃度の変化が生じなくなり表示濃度が飽和する濃度を表す。
表示濃度は、表示面側における色濃度を光学濃度(Optical Density=OD)の反射濃度計X-rite社の反射濃度計で測定しながら、表示面側と背面側との間に電圧を印加して且つこの電圧を測定濃度が増加する方向に除々に変化(印加電圧値を増加または減少)させて、単位電圧あたりの濃度変化が飽和し、且つその状態で電圧及び電圧印加時間を増加させても濃度変化が生じず、濃度が飽和したときの濃度を示している。
本実施形態のように、反射部材38と移動経路幅変動部材40の位置関係を規定することにより、粒子の移動量を制御することで、基板表面近傍の粒子数を制御し、表示媒体52の濃度を制御できる。したがってそれを用いた表示装置は、同一色において濃度を調整して階調表現を行うことができる。
(第3の実施の形態)
上記実施の形態では、移動経路幅変動部材40として、電気の刺激により移動経路が狭まったり拡がったりする部材を用いる場合を説明したが、本実施の形態では、熱の刺激により移動経路が狭まったり拡がったりする部材を用いる場合を説明する。
なお、本実施の形態における表示装置60及び表示媒体62は、上記第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付与して詳細な説明を省略する。
図12に示すように、本実施の形態の表示装置60は、表示媒体62と、電圧印加部14と、制御部68と、画像情報取得部17と、を含んで構成されている。
表示媒体62は、画像表示面とされる表示基板18、表示基板18に間隙をもって対向する背面基板21、これらの基板間を所定間隔に保持すると共に、表示基板18と背面基板21との間を複数のセルに区画する間隙部材34、各セル内に封入された粒子群36、分散媒42、反射部材38、移動経路幅変動部材43と、を含んで構成されている。
背面基板21は、熱刺激付与部材66上に、支持基板28に、背面電極30、及び表面層32を順に積層した構成となっている。
背面電極30、表面電極24、電圧印加部14に電気的に接続されている。制御部68は、電圧印加部14、熱刺激付与部材66、画像情報取得部17に信号授受可能に接続されている。
熱刺激付与部材66は、制御部68から発熱指示を示す信号を受け付けると、該信号に応じた温度に移動経路幅変動部材43に熱を加えるための部材である。
熱刺激付与部材66の具体例には、シリコンラバーヒーター、アルミ箔ヒーター、アルミ箔ラバーヒーター、ソーインクロスヒーター、カーボンヒーター、コードヒーター、ベルトヒーター、シーズヒーター、ストレート型シーズヒーター、ラインヒータ、ホッパーヒーター、コイルヒーター、カートリッジヒーター等が挙げられる。
移動経路幅変動部材43は、第1の実施の形態で説明した移動経路幅変動部材40と同じように、粒子群36が移動する移動経路を有する部材であって、形状、形態、配置位置、体積変化量、粒子化方法、調光材料の添加等は移動経路幅変動部材40と同じであるため詳細な説明を省略するが、移動経路幅変動部材40と異なる点は、刺激として熱刺激が加えられることにより移動経路が狭まったり拡がったりする部材である点である。
この熱による刺激によって移動経路が狭まったり拡がったりする移動経路幅変動部材43は、上記説明した実施の形態と同じように、高分子ゲルによって構成することができる。この高分子ゲルとしては、熱刺激によって分散媒42を吸収・放出して体積変化(膨潤・収縮)する高分子ゲルが好ましい。
この熱刺激(温度変化)によって体積変化する高分子ゲルとしては、ある温度以上で疎水性相互作用によって凝集し水溶液中から析出してくる性質を持つLCST(下限臨界共融温度)をもつ高分子の架橋体、及びUCST(上限臨界共融温度)をもつ高分子の架橋体や、互いに水素結合する高分子鎖を持つ高分子ゲル、または互いに水素結合する2成分の高分子のIPN体(相互侵入網目構造体)、結晶性などの凝集性の側鎖を持つ高分子ゲルなどが好ましい。これらの中でも疎水性相互作用を利用したLCSTゲルは特に好ましい。LCSTゲルは高温において収縮し、UCSTゲルやIPNゲル、結晶性ゲルでは、逆に高温(30℃以上)で膨潤する特性をもっている。
高温において収縮するゲルの具体的な化合物としては、ポリN−イソプロピルアクリルアミドなどのN−アルキル置換(メタ)アクリルアミドの架橋体やN−アルキル置換(メタ)アクリルアミドと(メタ)アクリル酸及びその塩、又は(メタ)アクリルアミド、又は(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどの2成分以上の共重合体の架橋体、ポリビニルメチルエーテルの架橋物、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのアルキル置換セルロース誘導体の架橋体などが挙げられる。これらの中でも、ポリN−イソプロピル(メタ)アクリルアミドは好ましい。
一方、高温において膨潤するゲルの具体的な化合物としては、ポリ(メタ)アクリルアミドの架橋体とポリ(メタ)アクリル酸の架橋体からなるIPN体およびその部分中和体(アクリル酸単位を部分的に塩化したもの)、ポリ(メタ)アクリルアミドを主成分とする共重合体の架橋体とポリ(メタ)アクリル酸の架橋体からなるIPN体およびその部分中和体などが挙げられる。より好ましくは、ポリN−アルキル置換アルキルアミドの架橋体、ポリ(メタ)アクリルアミドの架橋体とポリ(メタ)アクリル酸の架橋体とのIPN体及びその部分中和体などが挙げられる。
また、前記結晶性ゲルとしては、オクチル基、デシル基、ラウリル基、ステアリル基等の長鎖アルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸との共重合体の架橋体やその塩があげられる。この熱応答性高分子ゲルの体積変化を示す温度(相転移温度)は、高分子ゲルの構造、組成により種々の設計が可能である。なお、好ましい相転移温度は溶媒の沸点や凝固点内であることが好ましく、より好ましくは−30〜300℃の範囲であり、さらに好ましくは−10〜150℃の範囲であり、特に好ましくは0〜60℃の範囲である。
熱によって刺激応答する高分子ゲルとしては前記例示した具体例の他に、温度変化に応じて複数の相転移点を示すゲルも好適に使用することができる。具体的に例示すると、ポリN−イソプロピル(メタ)アクリルアミドなどのポリアルキル置換(メタ)アクリルアミドの架橋体とポリ(メタ)アクリル酸の架橋体とのIPN体などがあげられる。これらのゲルは、温度上昇に伴い膨潤−収縮−膨潤という2つの相転移点を示すことが知られている。
また、熱によって刺激応答する高分子ゲルの体積変化量を増大させる目的でイオン性官能基を高分子ゲル中に含有させることも好ましい。イオン性官能基としてはカルボン酸、スルホン酸、アンモニウム基、りん酸基などが挙げられる。イオン性官能基はゲルを調製する際にこれら官能基をもつモノマーを共重合する、合成後の刺激応答性ゲルにモノマーを含浸させて重合しIPN(相互侵入網目構造体)体とする、前記刺激応答性ゲル中の官能基を部分的に加水分解や酸化反応などの化学反応によって変換するなどの方法で含有させることができる。
制御部68は、画像情報取得部17が取得した画像情報に応じて電圧印加部14から表示媒体52に印加する電圧を制御すると共に、熱刺激付与部材66を発熱制御する。制御部68は、CPU68A、ROM68B、RAM68C、及びハードディスク等を含むマイクロコンピュータで構成されている。このCPU68Aは、ROM68Bやハードディスク等に記憶されている図14に示すプログラムに従って表示媒体62への画像表示を行う。
本実施の形態では、移動経路幅変動部材43は、反射部材38の背面基板20側に積層されて固定されている。
なお、本実施の形態では、移動経路幅変動部材43は、反射部材38の背面基板20側だけに積層されて配置されている場合を説明するが、反射部材38の背面基板20側及び表示基板18側の双方、または表示基板18側だけに配置された構成であってもよい。
また、本実施の形態では、移動経路幅変動部材43は、球体の高分子ゲル40Cの集合体として構成され、高分子ゲル40Cの材料に応じて定まる所定温度以上の熱が加えられると分散媒42を吸収して膨潤し、該所定温度未満の熱が加えられた状態においては、分散媒42を放出して収縮する。
以下に、本実施の形態における表示媒体62を備えた表示装置60の制御部68で実行される処理を説明する。
制御部68のCPU68Aでは、制御部68のROM68Bやハードディスク等から図14に示す処理ルーチンによって示されるプログラムを読み取ることによって、図14に示す処理を実行する。
なお、本実施の形態では、説明を簡略化するために、画像情報取得部17は、画像情報として、表示媒体62の特定の1つのセルに表示する画像の色を示す情報を取得するものとし、該画像情報に基づいた色を表示媒体62の対応する1つのセルに表示する場合を説明する。
また、図14に示す処理ルーチンの実行前には、図12に示すように、セル内の粒子群36の全てが表示基板18側に位置しているものとして説明する。
また、セル内の粒子群36の基板から移動を開始する電圧は±mVであり、正極に帯電しているとし、移動経路幅変動部材43を構成する球形の高分子ゲル40Cを膨潤した状態から収縮した状態へと変化させるための温度としての該所定温度は、n℃であるものとして説明する。
制御部68のCPU68Aでは、所定時間毎に図14に示す処理ルーチンが実行されてステップ300へ進む。
ステップ300では、画像情報取得部17が画像情報を取得したか否かを判別し、否定されると本ルーチンを終了し、肯定されるとステップ302へ進む。
ステップ302では、ステップ300で取得した画像情報に含まれる色情報を読み取る。
次のステップ304では、上記ステップ302で読み取った色情報の色を表示する対象となるセル内の移動経路幅変動部材43を上記所定温度n℃以上の温度に加熱することを示す信号を熱刺激付与部材66に出力する。
該信号を受け付けた熱刺激付与部材66は、発熱体が発熱することで、該信号に応じた温度に発熱し、移動経路幅変動部材43を所定温度n℃以上に加熱し始める。
ステップ304の処理によって、移動経路幅変動部材43に含まれる球形の高分子ゲル40Cが収縮し始める。
次のステップ306では、予め制御部68内のROM68Bまたはハードディスク等に記憶されている所定時間を読取り、上記ステップ304の処理において加熱処理が開始されてから該所定時間経過するまで否定判断を繰り返し、肯定されるとステップ308へ進む。
ステップ308の処理における「所定時間」としては、予めセル内の移動経路幅変動部材43を構成する球形の高分子ゲル40Cが、分散媒42を吸収して膨潤可能な最大の膨潤した状態から分散媒42を放出して収縮可能な最小の収縮した状態となるまでの時間を予め設定すればよい。この時間は、予め測定し、予め制御部68内のROM68Bまたはハードディスク内に記憶しておけばよい。
上記ステップ304及びステップ306の処理が実行されることによって、移動経路幅変動部材43を構成する球形の高分子ゲル40Cが分散媒42を放出して収縮可能な最小の収縮した状態となるため、移動経路幅変動部材43の移動経路は、粒子群36を構成する粒子が移動可能な程度に拡がった状態となる。
次のステップ308では、上記ステップ302で読み取った色情報に応じた極性で、且つ粒子群36の基板から移動を開始する電圧±mVの絶対値以上の電圧を、表面電極24と背面電極30との間に印加する事を示す信号を電圧印加部14に出力する。
該信号を受け付ける事によって、電圧印加部14は、例えば、表面電極24を負極とし、背面電極30を正極として、粒子群36の移動を開始する電圧±mVの絶対値以上の電圧の印加を開始する。
次のステップ310では、予め制御部68内のROM68Bまたはハードディスク等に記憶されている設定時間を読取り、上記ステップ308の処理において電圧印加が開始されてから該設定時間が経過するまで否定判断を繰り返し、肯定されるとステップ312へ進む。
ステップ310の処理における「設定時間」としては、予めセル内の粒子群36が、上記ステップ308で印加した電圧を印加したときに、表示基板18側から背面基板20側、または背面基板20側から表示基板18側への移動に要する時間を予め測定して設定すればよい。この時間は、予め測定し、予め制御部68内のROM68Bまたはハードディスク内に記憶しておけばよい。
ステップ308及びステップ310の処理によって、表示基板18側に位置していた粒子群36(図1参照)は、反射部材38の空隙、及び移動経路幅変動部材43の移動経路を介して、背面基板21側に到る(図13参照)。
次のステップ312では、表面電極24及び背面電極30への電圧印加の停止を示す信号を電圧印加部14へ出力する。該信号を受け付けると、電圧印加部14では、表面電極24及び背面電極30への電圧印加を停止する。
次のステップ314では、加熱停止を示す信号を熱刺激付与部材66に出力した後に、本ルーチンを終了する。
ステップ314の処理によって、熱刺激付与部材66による加熱が停止されると、上記ステップ304及びステップ306の処理によって収縮した高分子ゲル40Cが膨潤する。このためステップ314の処理によって、移動経路幅変動部材43の移動経路が狭まり、上記ステップ308の処理によって表示基板18側または背面基板20側に移動した粒子群36は、背面基板20側から表示基板18側への移動が高分子ゲル40Cの膨潤により移動経路が狭められた移動経路幅変動部材43によって阻止され、背面基板20側に保持された状態となる。
反対に、粒子群36が背面基板21側に位置する状態から、表示基板18側に位置した状態となるように、上記ステップ300乃至ステップ314の処理が実行された場合についても同じように、背面基板21側から表示基板18側に移動した粒子群36は、移動した表示基板18側に保持される。
具体的には、背面基板21側に位置する粒子群36が、移動経路の拡がった移動経路幅変動部材43の移動経路、及び反射部材38の空隙を介して、表示基板18側へと到った後に、移動経路幅変動部材43を構成する収縮していた高分子ゲル40Cが膨潤して移動経路が狭まる。これによって、表示基板18側に移動した粒子群36が、背面基板21側に移動することが阻止されて、表示基板18側に保持される。
本実施形態においては、移動経路幅変動部材43の幅を変化させる手段として熱刺激を用いたが、電気による刺激で粒子群と移動経路幅変動部材とを制御する場合と比べて、駆動手段が別なため、制御しやすい。
(第4の実施の形態)
上記実施の形態では、移動経路幅変動部材40として、電気または熱の刺激により移動経路が狭まったり拡がったりする部材を用いる場合を説明したが、本実施の形態では、光の刺激により移動経路が狭まったり拡がったりする部材を用いる場合を説明する。
なお、本実施の形態における表示装置70及び表示媒体72は、上記第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付与して詳細な説明を省略する。
図15に示すように、本実施の形態の表示装置70は、表示媒体72と、電圧印加部14と、制御部78と、画像情報取得部17と、を含んで構成されている。
表示媒体72は、画像表示面とされる表示基板18、表示基板18に間隙をもって対向する背面基板23、これらの基板間を所定間隔に保持すると共に、表示基板18と背面基板23との間を複数のセルに区画する間隙部材34、各セル内に封入された粒子群36、分散媒42、反射部材38、移動経路幅変動部材45と、を含んで構成されている。
背面基板23は、光刺激付与部76上に、支持基板28、背面電極30、及び表面層32を順に積層した構成となっている。
制御部78は、背面電極30、表面電極24、電圧印加部14に電気的に接続されている。制御部78は、電圧印加部14、光刺激付与部76、画像情報取得部17に信号授受可能に接続されている。
光刺激付与部76は、制御部78から発光指示及び光量を示す信号を受け付けると、該信号に応じた光量の光を移動経路幅変動部材45に照射する。
光刺激付与部76の一例には、面発光性のLEDや面発光性の各種ランプ(UV、可視光、赤外含む)面発光性の半導体レーザー、有機EL、無機EL等が挙げられる。
移動経路幅変動部材45は、第1の実施の形態で説明した移動経路幅変動部材40と同じように、粒子群36が移動する移動経路を有する部材であって、形状、形態、配置位置、体積変化量、粒子化方法、調光材料の添加等は移動経路幅変動部材40と同じであるため詳細な説明を省略するが、移動経路幅変動部材40と異なる点は、刺激として光刺激が加えられることにより移動経路が狭まったり拡がったりする部材である。
具体的には、光刺激として、所定の光量以上の光が照射されると、移動経路幅変動部材45の移動経路が狭まり、該所定光量以下の光が照射される環境下では、移動経路が拡がる。
この特性の移動経路幅変動部材45を構成する材料としては、高分子ゲルを用いることができ、この高分子ゲルとしては、光刺激によって、分散媒42を吸収・放出して体積変化(膨潤・収縮)するものが好ましい。
この光の付与によって刺激応答する刺激応答性ゲルとしては、トリアリールメタン誘導体やスピロベンゾピラン誘導体などの光によってイオン解離する基を有する親水性高分子化合物の架橋物が好ましく、その例として、ビニル置換トリアリールメタンロイコ誘導体と(メタ)アクリルアミドとの共重合体の架橋物、アゾ基(特にアゾベンゼン構造)を有する化合物などの光によってシス−トランス異性化を生じる基を有する高分子化合物の架橋物が好ましい。その例としては、(メタ)アクリロイル基含有アゾベンゼンと(メタ)アクリルアミドとの共重合体の架橋物などが挙げられる。
制御部78は、画像情報取得部17が取得した画像情報に応じて電圧印加部14から表示媒体72に印加する電圧を制御すると共に、光刺激付与部76の発光を制御する。制御部78は、CPU78A、ROM78B、RAM78C、及びハードディスク等を含むマイクロコンピュータで構成されている。このCPU78Aは、ROM78Bやハードディスク等に記憶されている図16に示すプログラムに従って表示媒体72への画像表示を行う。
なお、本実施の形態では、移動経路幅変動部材45は、反射部材38の背面基板23側に積層されて固定されている。
なお、本実施の形態では、移動経路幅変動部材45は、反射部材38の背面基板23側だけに積層されて配置されている場合を説明するが、反射部材38の背面基板23側及び表示基板18側の双方に配置されていてもよい。
また、本実施の形態では、移動経路幅変動部材45は、球体の高分子ゲル40Dの集合体として構成され、球体の高分子ゲル40Dの材料に応じて定まる上述した所定光量以上の光量の光が照射されると、分散媒42を吸収して膨潤し、該所定光量未満の光が照射された状態においては、分散媒42を放出して収縮する。
以下に、本実施の形態における表示媒体72を備えた表示装置70の制御部78で実行される処理を説明する。
制御部78のCPU78Aでは、制御部78のROM78Bやハードディスク等から図16に示す処理ルーチンによって示されるプログラムを読み取ることによって、図16に示す処理を実行する。
なお、本実施の形態では、説明を簡略化するために、画像情報取得部17は、画像情報として、表示媒体72の特定の1つのセルに表示する画像の色を示す情報を取得するものとし、該画像情報に基づいた色を表示媒体72の対応する1つのセルに表示する場合を説明する。
また、図16に示す処理ルーチンの実行前には、図15に示すように、セル内の粒子群36のほぼ全てが表示基板18側に位置するものとして説明する。
また、セル内の粒子群36の基板から移動を開始する電圧は±mVであり、正極に帯電しているとし、移動経路幅変動部材45を構成する球形の高分子ゲル40Dを膨潤した状態から収縮した状態へと変化させるための光量として上述した所定光量は、Xluxであるものとして説明する。
制御部78のCPU78Aでは、所定時間毎に図16に示す処理ルーチンが実行されてステップ400へ進む。
ステップ400では、画像情報取得部17が画像情報を取得したか否かを判別し、否定されると本ルーチンを終了し、肯定されるとステップ402へ進む。
ステップ402では、ステップ400で取得した画像情報に含まれる色情報を読み取る。
次のステップ404では、上記ステップ402で読み取った色情報の色を表示する対象となるセル内の移動経路幅変動部材45を該所定光量Xlux以上の光量の光で照射することを示す信号を光刺激付与部76に出力する。
該信号を受け付けた光刺激付与部76は、該信号に応じた光量Xluxの光を移動経路幅変動部材45へ照射し始める。
ステップ404の処理によって、移動経路幅変動部材45に含まれる球形の高分子ゲル40Dが収縮し始める。
次のステップ406では、予め制御部78内のROM78Bまたはハードディスク等に記憶されている所定時間を読取り、上記ステップ404の処理において光照射が開始されてから該所定時間経過するまで否定判断を繰り返し、肯定されるとステップ408へ進む。
ステップ408の処理における「所定時間」としては、予めセル内の移動経路幅変動部材45を構成する球形の高分子ゲル40Dが、光照射によって分散媒42を吸収して膨潤可能な最大の膨潤した状態から分散媒42を放出して収縮可能な最小の収縮した状態となるまでの時間を予め設定すればよい。この時間は、予め測定し、予め制御部78内のROM78Bまたはハードディスク内に記憶しておけばよい。
上記ステップ404及びステップ406の処理が実行されることによって、移動経路幅変動部材45を構成する球形の高分子ゲル40Dが分散媒42を放出して収縮可能な最小の収縮した状態となるため、移動経路幅変動部材45の移動経路は、粒子群36を構成する粒子が移動可能な程度に拡がった状態となる。
次のステップ408では、上記ステップ402で読み取った色情報に応じた極性で、且つ粒子群36の基板から移動を開始する電圧±mVの絶対値以上の電圧を、表面電極24と背面電極30との間に印加する事を示す信号を、電圧印加部14に出力する。
該信号を受け付けた事によって、電圧印加部14は、例えば、表面電極24を負極とし、背面電極30を正極として、粒子群36の基板から移動を開始する電圧±mVの絶対値以上の電圧の印加を開始する。
次のステップ410では、予め制御部78内のROM78Bまたはハードディスク等に記憶されている設定時間を読取り、上記ステップ408の処理において電圧印加が開始されてから該設定時間が経過するまで否定判断を繰り返し、肯定されるとステップ412へ進む。
ステップ410の処理における「設定時間」としては、予めセル内の粒子群36が、上記ステップ408で印加した電圧を印加したときに、表示基板18側から背面基板20側、または背面基板23側から表示基板18側への移動に要する時間を予め測定して設定すればよい。この時間は、予め測定し、予め制御部78内のROM78Bまたはハードディスク内に記憶しておけばよい。
ステップ408及びステップ410の処理によって、表示基板18側に位置していた粒子群36(図15参照)は、反射部材38の空隙、及び移動経路幅変動部材45の移動経路を介して、背面基板23側に到る(図17参照)。
次のステップ412では、表面電極24及び背面電極30への電圧印加の停止を示す信号を電圧印加部14へ出力する。該信号を受け付けると、電圧印加部14では、表面電極24及び背面電極30への電圧印加を停止する。
次のステップ414では、光照射停止を示す信号を光刺激付与部76に出力した後に、本ルーチンを終了する。
ステップ414の処理によって、光刺激付与部76による光照射が停止されると、上記ステップ404及びステップ406の処理によって収縮した高分子ゲル40Dが膨潤する。このためステップ414の処理によって、移動経路幅変動部材45の移動経路が狭まり、上記ステップ408の処理によって表示基板18側または背面基板23側に移動した粒子群36は、背面基板23側から表示基板18側への移動が高分子ゲル40Dの膨潤により移動経路が狭められた移動経路幅変動部材45によって阻止され、背面基板23側に保持された状態となる。
反対に、粒子群36が背面基板23側に位置する状態から、表示基板18側に位置した状態となるように、上記ステップ400乃至ステップ414の処理が実行された場合についても同じように、背面基板23側から表示基板18側に移動した粒子群36は、移動した表示基板18側に保持される。
具体的には、背面基板23側に位置する粒子群36が、移動経路の拡がった移動経路幅変動部材45の移動経路、及び反射部材38の空隙を介して、表示基板18側へと到った後に、移動経路幅変動部材45を構成する収縮していた高分子ゲル40Dが膨潤して移動経路が狭まる。これによって、表示基板18側に移動した粒子群36が、背面基板23側に移動することが阻止されて、表示基板18側に保持される。
本実施形態においては、移動経路幅変動部材43の幅を変化させる手段として光刺激を用いたが、電気による刺激で粒子群と移動経路幅変動部材とを制御する場合と比べて、駆動手段が別なため、制御しやすい。
以下、上記実施の形態を、実施例を挙げて更に具体的に説明する。ただし、これら各実施例は、本発明を制限するものではない。
(実施例1)
下記のようにして、電気刺激により体積変化する高分子ゲルとして、高分子ゲルA、及び高分子ゲルBを作製し、これらの粒子の混合物を移動経路幅変動部材として用いた。
―高分子ゲルAの作製―
モノマーとしてN−イソプロピルアクリルアミド7g、アクリル酸ナトリウム3g、及び架橋剤としてメチレンビスアクリルアミド0.02gを蒸留水25mlに溶解してモノマ水溶液を調製した。このモノマ水溶液をフラスコ中に入れ、脱気、窒素置換した。このモノマ混合物に重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.2gを添加したものを、分散媒であるシクロヘキサン200mlに投入し、これを窒素パージした容器内に加え、ホモジナイザーで高速攪拌して乳化した。さらに、重合促進剤としてテトラメチルエチレンジアミン0.1mlを添加し、30℃で5時間重合を行った。重合により生成した粒子を大量の蒸留水に投入し、これをろ過する操作を繰り返すことで精製を行った。このようにして、粒子状の高分子ゲルAを作製した。
この高分子ゲルAを、分散媒である超純水中で膨潤させたところ、その形は球形であり、体積平均粒径は10μmであった。また、この高分子ゲルAの色は、無色であった。
また、膨潤時の体積は、収縮時の体積に比べて30倍であった。
さらに、この高分子ゲルAを、電極としてのITO付きガラスにITO表面をシランカップリング剤である3−Glycidoxypropyltrimethoxysilaneで処理することにより固定化し、この電極2本を溶液中に浸した状態で一方の電極にプラス極の電圧を印加し、他方の電極にマイナス極の電圧を印加すると、プラス極の電極に固定化された高分子ゲルAは膨潤し、マイナス極の電極に固定化された高分子ゲルAは収縮した。
―高分子ゲルBの作製―
上記高分子ゲルAにおいて、モノマーとして用いたアクリル酸ナトリウム3gを3-(メタクリロイルアミド)プロピルトリメチルアンモニウムクロライド3gに変更した以外は、高分子ゲルAと同じようにして粒子状の高分子ゲルBを作製した。
この高分子ゲルBを、分散媒である超純水中で膨潤させたところ、その形は球形であり、体積平均粒径は10μmであった。また、この高分子ゲルAの色は、無色であった。
また、膨潤時の体積は、収縮時の体積に比べて30倍であった。
さらに、この高分子ゲルBを、電極としてのITO付きガラスにITO表面をシランカップリング剤である3−Glycidoxypropyltrimethoxysilaneで処理することにより固定化し、この電極2本を溶液中に浸した状態で一方の電極にプラス極の電圧を印加し、他方の電極にマイナス極の電圧を印加すると、プラス極の電極に固定化された高分子ゲルBは収縮し、マイナス極の電極に固定化された高分子ゲルBは膨潤し、高分子ゲルAとは反対の挙動を示した。
なお、上記体積平均粒径の測定は、測定する粒子直径が2μm以上の場合、測定装置としてはコールターカウンターTA−II型(ベックマン−コールター社製)を用い、電解液はISOTON−II(ベックマン−コールター社製)を使用して、粒径を測定した。
測定法としては、分散剤として界面活性剤、望ましくはアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムの5%水溶液2ml中に、測定試料を0.5〜50mg加え、これを前記電解液100〜150ml中に添加した。この測定試料を懸濁させた電解液を超音波分散器で1分間分散処理を行い、前記コールターカウンターTA−II型により、アパーチャー径が100μmのアパーチャーを用いて、粒径が2.0〜60μmの範囲の粒子の粒度分布を測定した。測定する粒子数は50,000であった。
測定された粒度分布を、分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、体積、数それぞれについて小径側から累積分布を描き、体積で累積16%となる粒径を体積平均粒子径D16v、数で累積16%となる累積個数粒径をD16pと定義する。同じように、体積で累積50%となる粒径を体積平均粒子径D50v、数で累積50%となる粒径を個数平均粒子径D50pと定義する。また、同じように、体積で累積84%となる粒径を体積平均粒子径D84v、数で累積84%となる累積個数粒径をD84pと定義する。体積平均粒径は該D50vである。
これらを用いて、体積平均粒度分布指標(GSDv)は(D84v/D16v)1/2より算出され、数平均粒度指標(GSDp)は(D84p/D16p)1/2より算出され、小径側個数平均粒度指標(下GSDp)は{(D50p)/(D16p)}により算出される。
一方、測定する粒子径が2μm未満の場合、レーザー回析式粒度分布測定装置(LA−700:堀場製作所製)を用いて測定した。測定法としては分散液となっている状態の試料を固形分で2gになるように調整し、これにイオン交換水を添加して、40mlにする。これをセルに適当な濃度になるまで投入し、2分待って、セル内の濃度が安定になったところで測定する。得られたチャンネルごとの体積平均粒径を、体積平均粒径の小さい方から累積し、累積50%になったところを体積平均粒径とした。
―反射部材の作製−
反射部材38としては、次のように作成した粒子の集合体を用いた。
メタクリル酸シクロヘキシル:53重量部、酸化チタン:(タイペークCR63:石原産業社製):45重量部、およびシクロヘキサン:5重量部を直径10mmのジルコニアボールを使用し、ボールミル粉砕を20時間実施することにより、分散液Aを作成する。炭酸カルシウム:40重量部および水:60重量部をボールミルにて微粉砕することにより、炭カル分散液Bを作成する。2%セロゲン水溶液:4.3g、炭カル分散液8.5g、および20%食塩水:50gを混合し、超音波機で脱気を10分間行い、乳化機で攪拌することにより、混合液Cを作成する。分散液A35gとジビニルベンゼン1g、重合開始剤AIBN:0.35gを、充分混合し、超音波機で脱気を10分行う。これを混合液Cの中にいれ、乳化機で乳化を実施する。
次にこの乳化液をビンにいれ、シリコン詮をし、注射針を使用し、減圧脱気を充分行い、窒素ガスで封入する。次に60℃で10時間反応させ粒子を作成する。冷却後、この分散液を、凍結乾燥機により−35℃、0.1Paの下で2日間シクロヘキサンを除いた。得られた粒子粉をイオン交換水中に分散させ、塩酸水で炭酸カルシウムを分解させ、ろ過を行う。その後充分な蒸留水で洗浄し、粒度を揃え、これを乾燥させる。なお、この反射部材を構成する粒子の色は、白色であり、体積平均粒子径は、10μmであった。なお、体積平均粒径の測定は、上述の方法を用いて行った。
−粒子群の作製−
まず、下記成分を混合し、10mmΦのジルコニアボールにてボールミル粉砕を20時間実施して分散液CAを調製した。
<組成>
・スチレンモノマ:53質量部
・シアン顔料 (シアニンブルー4933M:大日精化社製):3質量部
・帯電制御剤(SBT−5−0016:オリエント工業社製):2質量部
また、下記成分を混合し、上記と同じようにボールミルにて微粉砕して炭カル分散液CBを調製した。
<組成>
・炭酸カルシウム:40質量部
・水:60質量部
さらに、下記成分を混合し、超音波機で脱気を10分間おこない、ついで乳化機で攪拌して混合液CCを調製した。
<組成>
・2%セロゲン水溶液:4.3g
・炭カル分散液B:8.5g
・20%食塩水:50g
分散液CA35gとジビニルベンゼン1g、重合開始剤AIBN:0.35gをはかりとり、充分混合し、超音波機で脱気を10分おこなった。これを前記混合液CCに加え、乳化機で乳化を実施した。次にこの乳化液をビンにいれ、シリコーン詮をし、注射針を使用し、減圧脱気を充分行い、窒素ガスで封入した。次に60℃で10時間反応させ粒子を調製した。冷却後、この分散液を凍結乾燥機により−35℃、0.1Paの下で、2日間でシクロヘキサンを除去した。得られた粒子粉をイオン交換水中に分散させ、塩酸水で炭酸カルシウムを分解させ、ろ過を行った。その後充分な蒸留水で洗浄し、これを乾燥させた。得られた粒子の体積平均粒子径は0.1μmであり、シアン色を示すと共に、正極に帯電していた。
−分散媒の調整−
表示媒体の分散媒としては、超純水を用いた。
−表示媒体の作製−
大きさ50mm×50mmの酸化錫付き電極基板上に、ポリカーボネート樹脂を厚さ約0.5μmとなるように塗布することによって表面層を形成した後に、この表面層上に2μmの樹脂スペーサ(間隙部材に相当)を電極基板の縁に沿って配置した。これによって、背面基板上に間隙部材を設けた構成を作製した。
なお、この樹脂スペーサは、熱可塑性フィルムを電極基板の表面層上に接着することで形成した。
まず、上記作製した高分子ゲルA及び高分子ゲルBを、背面基板の表面層上の、間隙部材と間隙部材との間の領域に、高分子ゲルA及び高分子ゲルBを固定化するための結合剤層を、シランカップリング剤(3−Glycidoxypropyltrimethoxysilane)溶液を表面層上に塗布加熱反応させた後に洗浄することで形成した。次に、上記高分子ゲルA及び高分子ゲルBを(体積比)1:1の割合で分散液である超純水中に1/100の割合で混合した混合液10mlを、該表面層上に形成された結合剤層上に供給した後に、40℃に加熱することによって背面基板上に高分子ゲルA及び高分子ゲルBを固定化した。
次に、反射部材として作製した上記粒子を分散媒としての超純水に濃度10重量部で分散した分散液を、間隙部材が形成され、高分子ゲルA及び高分子ゲルBが固定化された背面基板上に3ml充填することによって、複数の粒子から構成される反射部材を設けた。
なお、この反射部材は、反射部材として作製した上記粒子を、分散媒としての超純水に対して1対10の割合で混合することによって、表示基板と背面基板との対向方向に極力直交する方向に沿って粒子群の各粒子が通過可能な間隙を持って配列させるとともに、反射部材と表示基板との距離と、反射部材と背面基板との距離と、が極力同一となるようにセル内に配置することができる。
この反射部材上に、高分子ゲルA及び高分子ゲルBを固定化するための結合剤層を、シランカップリング剤(3−Glycidoxypropyltrimethoxysilane)溶液を塗布し、加熱反応させた後に洗浄することで形成した。次に、上記高分子ゲルA及び高分子ゲルBを(体積比)1:1の割合で分散液である超純水中に1/100の割合で混合した混合液10mlを、該反射部材の結合剤層上に供給した後に、40℃に加熱することによって反射部材上に高分子ゲルA及び高分子ゲルBを固定化した。
さらに、上記作製したシアン色の粒子群を分散液としての超純水に、濃度5重量部で分散した分散液を充填した。
さらに、大きさ50mm×50mmの酸化錫付き電極基板を表示基板とし、電極面が間隙部材に対向するように配置した後に、外周部を熱接着剤で封止した。これによって、表示媒体1を作製した。
作製した表示媒体1について原子間顕微鏡で観察したところ、反射部材を構成する粒子が単層状態で表示基板と背面基板との間の略中央部に表示基板の板面方向に渡って配置されており、且つ反射部材の表示基板側と背面基板側の各々に、高分子ゲルA及び高分子ゲルBが表示基板の板面方向に渡って配置されていた。
−評価−
得られた表示媒体1の表示基板側の電極と、背面基板側の電極と、の間に10Vの直流電圧を10秒間印加した後に、表示媒体の高分子ゲルA及び高分子ゲルBの膨潤・収縮状態を、光学顕微鏡を用いて確認したところ、反射部材の背面基板側に固定化された高分子ゲルBの収縮が確認され、また、反射部材の表示基板側に固定化された高分子ゲルAの収縮が確認された。
次に、表示媒体1の表示基板側の電極と、背面基板側の電極と、の間に−10Vの直流電圧を10秒間印加したところ、表示媒体を表示基板側から視認したときの色、すなわち表示色が、シアン色に変化した。このときの濃度を、X−rite社製の反射濃度計X−rite938にて測定したところ、L54.0 a*-37.0 b*-50.0であった。
さらに、該−10Vの直流電圧の印加を停止してから10秒後に、表示媒体の高分子ゲルA及び高分子ゲルBの膨潤・収縮状態を、光学顕微鏡を用いて確認したところ、反射部材の背面基板側及び表示基板側の双方に固定化された高分子ゲルA及び高分子ゲルBの膨潤が確認された。
該10Vの直流電圧の印加を停止してから25℃60%RHの環境下に24時間放置した後に、再度、表示媒体の濃度を上記と同じようにして測定したところ、24時間放置前の濃度と同じであった。
このことから、実施例1で作製した表示媒体1は、濃度変化を抑制可能な表示媒体であるといえる。
(実施例2)
―高分子ゲルA、高分子ゲルBの作製―
モノマーとしてN−イソプロピルアクリルアミド7g、アクリル酸ナトリウム3g、及び架橋剤としてメチレンビスアクリルアミド0.02gを蒸留水25mlに溶解してモノマ水溶液を調製した。このモノマ水溶液をフラスコ中に入れ、脱気、窒素置換した。窒素気流下のグローブボックス中へ移動した。さらに、重合促進剤としてテトラメチルエチレンジアミン0.1mlを添加した。別のフラスコ中に、流動パラフィン300mlを入れ、窒素置換した。ここへ、先に調整しておいたモノマー溶液を、内径25μmの注射針をつけたシリンジを用いて注入した。30℃で5時間重合を行った。重合後、糸状のゲルを取り出し、ホモジナイザーで切断して長さ5mm程度の棒状とした。大量の蒸留水に投入し、これをろ過する操作を繰り返すことで精製を行った。このようにして、棒状の高分子ゲルAを作製した。
棒状の高分子ゲルBも、モノマーが実施例1で作製した高分子ゲルBのモノマー組成である以外は、棒状の高分子ゲルAと同様に作製した。
この棒状の高分子ゲルAを、分散媒である超純水中で膨潤させたところ、その形は棒状であり、長さ5mmであった。また、この高分子ゲルAの色は、無色であった。
また、膨潤時の体積は、収縮時の体積に比べて30倍であった。
さらに、この高分子ゲルAを、電極としてのITO付きガラスにITO表面をシランカップリング剤である3−Glycidoxypropyltrimethoxysilaneで処理することにより固定化し、この電極2本を溶液中に浸した状態で一方の電極にプラス極の電圧を印加し、他方の電極にマイナス極の電圧を印加すると、プラス極の電極に固定化された高分子ゲルAは膨潤し、マイナス極の電極に固定化された高分子ゲルAは収縮した。
実施例1で用いた高分子ゲルA及び高分子ゲルBに換えて、実施例2で作製した高分子ゲルA及び高分子ゲルBを用いた以外は、実施例1と同様にして表示媒体2を作成した。
−評価−
得られた表示媒体2の表示基板側の電極と、背面基板側の電極と、の間に10Vの直流電圧を10秒間印加した後に、表示媒体の高分子ゲルA及び高分子ゲルBの膨潤・収縮状態を、光学顕微鏡を用いて確認したところ、反射部材の背面基板側に固定化された高分子ゲルBの収縮が確認され、また、反射部材の表示基板側に固定化された高分子ゲルAの収縮が確認された。
次に、背面基板側の電極と、の間に-10Vの直流電圧を10秒間印加したところ、表示媒体を表示基板側から視認したときの色、すなわち表示色が、シアン色に変化した。このときの濃度を、X−rite社製の反射濃度計X−rite938にて測定したところ、L54.0 a*-37.0 b*-50.0であった。
さらに、該-10Vの直流電圧の印加を停止してから10秒後に、表示媒体の高分子ゲルA及び高分子ゲルBの膨潤・収縮状態を、光学顕微鏡を用いて確認したところ、反射部材の背面基板側及び表示基板側の双方に固定化された高分子ゲルA及び高分子ゲルBの膨潤が確認された。
該10Vの直流電圧の印加を停止してから25℃60%RHの環境下に24時間放置した後に、再度、表示媒体の濃度を上記と同じようにして測定したところ、24時間放置前の濃度と同じであった。
このことから、実施例2で作製した表示媒体2は、濃度変化を抑制可能な表示媒体であるといえる。
(実施例3)
―高分子ゲルA、高分子ゲルBの作製―
モノマーとしてN−イソプロピルアクリルアミド7g、アクリル酸ナトリウム3g、及び架橋剤としてメチレンビスアクリルアミド0.02gを蒸留水25mlに溶解してモノマ水溶液を調製した。このモノマ水溶液をフラスコ中に入れ、脱気、窒素置換した。さらに、重合促進剤としてテトラメチルエチレンジアミン0.1mlを添加し、30℃で5時間重合を行った。重合後、フラスコ内の塊状のゲルを取り出し、ホモジナイザーで粉砕後、大量の蒸留水に投入し、これをろ過する操作を繰り返すことで精製を行った。このようにして、多角形状の高分子ゲルAを作製した。
多角形状の高分子ゲルBも、モノマーが実施例1で作製した高分子ゲルBのモノマー組成である以外は、多角形状の高分子ゲルAと同様に作製した。
この多角形状の高分子ゲルAを、分散媒である超純水中で膨潤させたところ、その形は多角形状であり、体積平均粒径は10μmであった。また、この高分子ゲルAの色は、無色であった。
また、膨潤時の体積は、収縮時の体積に比べて30倍であった。
さらに、この高分子ゲルAを、電極としてのITO付きガラスにITO表面をシランカップリング剤である3−Glycidoxypropyltrimethoxysilaneで処理することにより固定化し、この電極2本を溶液中に浸した状態で一方の電極にプラス極の電圧を印加し、他方の電極にマイナス極の電圧を印加すると、プラス極の電極に固定化された高分子ゲルAは膨潤し、マイナス極の電極に固定化された高分子ゲルAは収縮した。
実施例1で用いた高分子ゲルA及び高分子ゲルBに換えて、実施例3で作製した高分子ゲルA及び高分子ゲルBを用いた以外は、実施例1と同様にして表示媒体3を作成した。
−評価−
得られた表示媒体の表示基板側の電極と、背面基板側の電極と、の間に10Vの直流電圧を10秒間印加した後に、表示媒体の高分子ゲルA及び高分子ゲルBの膨潤・収縮状態を、光学顕微鏡を用いて確認したところ、反射部材の背面基板側に固定化された高分子ゲルBの収縮が確認され、また、反射部材の表示基板側に固定化された高分子ゲルAの収縮が確認された。
次に、背面基板側の電極と、の間に−10Vの直流電圧を10秒間印加したところ、表示媒体を表示基板側から視認したときの色、すなわち表示色が、シアン色に変化した。このときの濃度を、X−rite社製の反射濃度計X−rite938にて測定したところ、L54.0 a*-37.0 b*-50.0であった。
さらに、該−10Vの直流電圧の印加を停止してから10秒後に、表示媒体の高分子ゲルA及び高分子ゲルBの膨潤・収縮状態を、光学顕微鏡を用いて確認したところ、反射部材の背面基板側及び表示基板側の双方に固定化された高分子ゲルA及び高分子ゲルBの膨潤が確認された。
該10Vの直流電圧の印加を停止してから25℃60%RHの環境下に24時間放置した後に、再度、表示媒体の濃度を上記と同じようにして測定したところ、24時間放置前の濃度と同じであった。
このことから、実施例3で作製した表示媒体3は、濃度変化を抑制可能な表示媒体であるといえる。
(実施例4)
実施例1では、反射部材の表示基板側の高分子ゲルA及び高分子ゲルBから構成される移動経路幅変動部材を反射部材に固定化した場合を説明したが、本実施例4では、網状部材に移動経路幅変動部材を固定化した以外は、実施例1で作製した高分子ゲルA(ただし平均粒径が水中で60μm)、高分子ゲルB(ただし平均粒径が水中で60μm)、反射部材、粒子群、分散媒、表示基板、背面基板、及び間隙部材を用いて表示媒体4を作製した。詳細を下記に示す。
高分子ゲルA(ただし平均粒径が水中で60μm)、高分子ゲルB(ただし平均粒径が水中で60μm)は、ホモジナイザーによる反応分散液調整時の回転数を低下させた以外は実施例1と同様に作製した。
−網状部材−
網状部材として、(株)セミテック製 ナイロンメッシュ「ニッタル(NYTAL)」品 番NY90-HC03 目開き90μm 目開き率49% 厚さ60μmを用いた。
−表示媒体の作製−
大きさ50mm×50mmの酸化錫付き電極基板上に、ポリカーボネート樹脂を厚さ約0.5μmとなるように塗布することによって表面層を形成した後に、この表面層上に2μmの樹脂スペーサ(間隙部材に相当)を電極基板の縁に沿って配置した。これによって、背面基板上に間隙部材を設けた構成を作製した。
なお、この樹脂スペーサは、熱可塑性フィルムを電極基板の表面層上に接着することで形成した。
まず、上記作製した高分子ゲルA及び高分子ゲルBを、背面基板の表面層上の、間隙部材と間隙部材との間の領域に、高分子ゲルA及び高分子ゲルBを固定化するための結合剤層を、シランカップリング剤(3−Glycidoxypropyltrimethoxysilane)溶液を表面層上に塗布加熱反応させた後に洗浄することで形成した。次に、上記高分子ゲルA及び高分子ゲルBを(体積比)1:1の割合で分散液としての超純水中に1/100の割合で混合した混合液10mlを、該表面層上に形成された結合剤層上に供給した後に、40℃に加熱することによって背面基板上に高分子ゲルA及び高分子ゲルBを固定化した。
次に、反射部材として作製した上記粒子を分散媒としての超純水に濃度10重量部で分散した分散液を、間隙部材が形成され、高分子ゲルA及び高分子ゲルBが固定化された背面基板上に3ml充填することによって、複数の粒子から構成される反射部材を設けた。
次に、この網状部材上に、高分子ゲルA及び高分子ゲルBを固定化するための結合剤層を、シランカップリング剤(3−Glycidoxypropyltrimethoxysilane)溶液を塗布し、加熱反応させた後に洗浄することで形成した。次に、上記高分子ゲルA及び高分子ゲルBを(体積比)1:1の割合で分散液としての超純水中に1/100の割合で混合した混合液10mlを、該反射部材の結合剤層上に供給した後に、40℃に加熱することによって網状部材上に高分子ゲルA及び高分子ゲルBを固定化した。
次に、上記作製した網状部材を反射部材上に積層することによって、表示媒体4として構成したときの表示基板と背面基板との間の間隙の、表示基板側に偏った位置に、表示基板の板面方向に渡って平面状に網状部材を配置した。
さらに、上記作製したシアン色の粒子群を分散液としての超純水に濃度5重量部で分散した分散液を充填した。
さらに、大きさ50mm×50mmの酸化錫付き電極基板を表示基板とし、電極面が間隙部材に対向するように配置した後に、外周部を熱接着剤で封止した。これによって、表示媒体4を作製した。
実施例4で作製した表示媒体4について原子間顕微鏡で観察したところ、反射部材を構成する粒子が単層状態で表示基板と背面基板との間の略中央部に表示基板の板面方向に渡って配置されており、且つ反射部材の背面基板側と、網状部材の表示基板側と、の各々に高分子ゲルA及び高分子ゲルBから構成される移動経路幅変動部材が表示基板の板面方向に渡って配置されていた。
−評価−
得られた表示媒体4の表示基板側の電極と、背面基板側の電極と、の間に10Vの直流電圧を10秒間印加した後に、表示媒体の高分子ゲルA及び高分子ゲルBの膨潤・収縮状態を、光学顕微鏡を用いて確認したところ、反射部材の背面基板側に固定化された高分子ゲルBの収縮が確認され、また、反射部材の表示基板側に固定化された高分子ゲルAの収縮が確認された。
次に、表示媒体4の表示基板側の電極と、背面基板側の電極と、の間に−10Vの直流電圧を10秒間印加したところ、表示媒体4を表示基板側から視認したときの色、すなわち表示色が、シアン色に変化した。このときの濃度を、X−rite社製の反射濃度計X−rite938にて測定したところ、L54.0 a*-37.0 b*-50.0であった。
次に、背面基板側の電極と、の間に−5Vの直流電圧を5秒間印加したところ、表示媒体を表示基板側から視認したときの色、すなわち表示色が、薄いシアン色に変化した。このときの濃度を、X−rite社製の反射濃度計X−rite938にて測定したところ、L40.0 a*-22.0 b*-23.0であった。
さらに、該直流電圧の印加を停止してから10秒後に、表示媒体の高分子ゲルA及び高分子ゲルBの膨潤・収縮状態を、光学顕微鏡を用いて確認したところ、反射部材の背面基板側及び表示基板側の双方に固定化された高分子ゲルA及び高分子ゲルBの膨潤が確認された。
該10Vの直流電圧の印加を停止してから25℃60%RHの環境下に24時間放置した後に、再度、表示媒体の濃度を上記と同じようにして測定したところ、24時間放置前の濃度と同じであった。
このことから、実施例4で作製した表示媒体4は、濃度変化を抑制可能な表示媒体であるといえる。また、濃度調整が可能であると言える。
(実施例5)
実施例1では、電気刺激によって膨潤・収縮する高分子ゲルA及び高分子ゲルBを用いて移動経路幅変動部材を構成した場合を説明したが、本実施例5では、熱刺激によって膨潤・収縮する高分子ゲルCを用いて移動経路幅変動部材を構成して表示媒体5を作製した。詳細を下記に示す。
本実施例5では、実施例1で用いた高分子ゲルA及び高分子ゲルBに換えて、下記高分子ゲルCを用いた。
−高分子ゲルCの作製−
熱刺激によって膨潤・収縮する高分子ゲルCを、以下に示すように、逆相懸濁重合によって製造した。主モノマーとして、N−イソプロピルアクリルアミド10g、架橋剤として、メチレンビスアクリルアミド0.05gを用い、これに蒸留水20g、過硫酸アンモニウム0.1gを添加し、攪拌混合して水溶液を調製した。ソルビトール系界面活性剤(ソルゲン50:第一工業製薬(株)製)2.0gをシクロヘキサン200mlに溶解した溶液を窒素置換された反応容器に加え、これに、先に調製した水溶液を添加し、回転式攪拌羽根を用いて高速攪拌して乳化させた。乳化後、反応系の温度を20℃に調節し、さらに攪拌しながら、これにテトラメチルエチレンジアミンの50%水溶液を添加し、重合を行なった。重合後、生成した高分子ゲル粒子を回収し、純水で洗浄を行なった。
得られた高分子ゲルCの乾燥時の平均粒径は3μmであった。また、本高分子ゲルCの20℃における純水吸水量は、55g/gであった。本高分子ゲルCは加熱によって収縮する性質をもち、32℃に相転移点を有していた。したがって、本高分子ゲルCは、32℃以上の温度では収縮し、32℃未満の温度では膨潤する。この変化は可逆的であり、膨潤・収縮によって粒子の体積は27倍以上変化するものであった。また、高分子ゲルCは膨潤状態では透明であるが、収縮状態では白濁する性質をもっていた。
−表示媒体の作製−
大きさ50mm×50mmの酸化錫付き電極基板上に、ポリカーボネート樹脂を厚さ約0.5μmとなるように塗布することによって表面層を形成した。さらに、熱刺激付与部材有限会社 トップテクノ製ソーインクロスヒーターを表示装置の裏側(背面基板側)に貼り付け設けた。
この表面層上に、2μmの樹脂スペーサ(間隙部材に相当)を電極基板の縁に沿って配置した。これによって、背面基板上に間隙部材を設けた構成を作製した。
なお、この樹脂スペーサは、熱可塑性フィルムを電極基板の表面層上に接着することで形成した。
次に、上記背面基板の表面層上に、高分子ゲルCを固定化するための結合剤層を、シランカップリング剤(3−Glycidoxypropyltrimethoxysilane)溶液を表面層上に塗布加熱反応させた後に洗浄することで形成した。次に、上記高分子ゲルCを、分散液としての超純水中に1/100の割合で混合した混合液10mlを、該表面層上に形成された結合剤層上に供給した後に、40℃に加熱することによって背面基板上に高分子ゲルを固定化した。
次に、実施例1で反射部材として作製した粒子を分散媒としての超純水に濃度10重量部で分散した分散液を、間隙部材が形成され、高分子ゲルC固定化された背面基板上に3ml充填することによって、複数の粒子から構成される反射部材を設けた。
さらに、実施例1で作製したシアン色の粒子群を分散液としての超純水に濃度5重量部で分散した分散液を充填した。
さらに、大きさ50mm×50mmの酸化錫付き電極基板を表示基板とし、電極面が間隙部材に対向するように配置した後に、外周部を熱接着剤で封止した。これによって、表示媒体5を作製した。
実施例5で作製した表示媒体5について原子間顕微鏡で観察したところ、反射部材を構成する粒子が単層状態で表示基板と背面基板との間の略中央部に表示基板の板面方向に渡って配置されており、且つ反射部材の背面基板側に高分子ゲルCから構成される移動経路幅変動部材が表示基板の板面方向に渡って配置されていた。
−評価−
得られた表示媒体5の熱刺激付与部材ソーインクロスヒーター電気的に接続して、高分子ゲルCの相転移点32℃以上の温度として40℃に発熱させることを示す信号を該熱刺激付与部材に送ってから30秒後に、表示媒体5の高分子ゲルCの膨潤・収縮状態を、光学顕微鏡を用いて確認したところ、高分子ゲルCの収縮が確認された。
次に、表示基板側の電極と、背面基板側の電極と、の間に−10Vの直流電圧を10秒間印加したところ、表示媒体を表示基板側から視認したときの色、すなわち表示色が、白色からシアン色に変化した。このときの濃度を、X−rite社製の反射濃度計X−rite938にて測定したところ、L54.0 a*-37.0 b*-50.0であった。
次に、熱刺激付与部材に発熱停止を示す信号を送信してから、30秒後に、表示媒体5の高分子ゲルCの膨潤・収縮状態を、光学顕微鏡を用いて確認したところ、高分子ゲルCの膨潤が確認された。また、上記発熱停止を示す信号を送信してから25℃60%RHの環境下に24時間放置した後に、再度、表示媒体の濃度を上記と同じようにして測定したところ、24時間放置前の濃度と同じであった。
このことから、実施例5で作製した表示媒体5は、濃度変化を抑制可能な表示媒体であるといえる。
(実施例6)
実施例1では、電気刺激によって膨潤・収縮する高分子ゲルA及び高分子ゲルBを用いて移動経路幅変動部材を構成した場合を説明したが、本実施例6では、光刺激によって膨潤・収縮する高分子ゲルDを用いて移動経路幅変動部材を構成して表示媒体6を作製した。詳細を下記に示す。
本実施例6では、実施例1で用いた高分子ゲルA及び高分子ゲルBに換えて、下記高分子ゲルDを用いた。
−高分子ゲルDの作製−
光刺激によって膨潤・収縮する高分子ゲルDを下記方法で作製した。
窒素ガス雰囲気のフード中、アクリルアミド12g、4−アクロイルアミノアゾベンゼン2g、架橋剤N,N’−メチレンビスアクリルアミド(BIS)(和光純薬工業(株)製)0.02g、開始剤アセトアミノフェノン(和光純薬工業(株)製)0.2gをジオキサン51.7gに溶解し、窒素置換した。この溶液をガラス基板上にコートしUV光を照射し光重合を行い、シート状のゲルCを得た。水で洗浄後、ミキサーで粉砕して、50μm不定形粒子状の高分子ゲルDを得た。高圧水銀ランプとカラーフィルターを用いて366nmの光をスポット照射したところ、ゲルが膨潤した。本高分子ゲルDは光刺激によって膨潤する性質をもち、本高分子ゲルDは、366nm光量の光が照射されるとアゾベンゼン基がトランス→シス転移することで膨潤し、自然緩和して初期状態まで収縮する。この変化は可逆的であり、膨潤・収縮によって粒子の体積は10倍以上変化するものであった。
−表示媒体の作製−
光刺激付与部として、旭化成製の面発光メタクリル樹脂板デラグラスAL995を背面基板裏側に取り付け、カラーフィルターつきの高圧水銀ランプからの光を、面発光メタクリル樹脂板デラグラスAL995を通じて背面基板側から光刺激を与えた。
次に、この光刺激付与部上に2μmの樹脂スペーサ(間隙部材に相当)を電極基板の縁に沿って配置した。これによって、背面基板上に間隙部材を設けた構成を作製した。
なお、この樹脂スペーサは、熱可塑性フィルムを電極基板の表面層上に接着することで形成した。
次に、上記背面基板の表面層上に、高分子ゲルDを固定化するための結合剤層を、シランカップリング剤(3−Glycidoxypropyltrimethoxysilane)溶液を表面層上に塗布加熱反応させた後に洗浄することで形成した。次に、上記高分子ゲルCを、分散液としての超純水中に1/100の割合で混合した混合液10mlを、該表面層上に形成された結合剤層上に供給した後に、40℃に加熱することによって背面基板上に高分子ゲルを固定化した。
次に、実施例1で反射部材として作製した粒子を分散媒としての超純水に濃度10重量部で分散した分散液を、間隙部材が形成され、高分子ゲルDの固定化された背面基板上に3ml充填することによって、複数の粒子から構成される反射部材を設けた。
さらに、実施例1で作製したシアン色の粒子群を分散液としての超純水に濃度5重量部で分散した分散液を充填した。
さらに、大きさ50mm×50mmの酸化錫付き電極基板を表示基板とし、電極面が間隙部材に対向するように配置した後に、外周部を熱接着剤で封止した。これによって、表示媒体6を作製した。
実施例6で作製した表示媒体6について原子間顕微鏡で観察したところ、反射部材を構成する粒子が単層状態で表示基板と背面基板との間の略中央部に表示基板の板面方向に渡って配置されており、且つ反射部材の背面基板側に高分子ゲルDから構成される移動経路幅変動部材が表示基板の板面方向に渡って配置されていた。
−評価−
得られた表示媒体6の光刺激付与部に、高分子ゲルDに光を照射することを示す信号を該光刺激付与部に送ってから10秒後に、表示媒体6の高分子ゲルDの膨潤・収縮状態を、光学顕微鏡を用いて確認したところ、高分子ゲルDの膨潤が確認された。
次に、光刺激付与部に光照射停止を示す信号を送信してから、10秒後に、表示媒体6の高分子ゲルDの膨潤・収縮状態を、光学顕微鏡を用いて確認したところ、高分子ゲルDの収縮が確認された。
次に、表示基板側の電極と背面基板側の電極との間に10Vの直流電圧を1秒間印加したところ、表示媒体を表示基板側から視認したときの色、すなわち表示色が、白色からシアン色に変化した。このときの濃度を、X−rite社製の反射濃度計X−rite938にて測定したところ、L54.0 a*-37.0 b*-50.0であった。
また、上記光照射を示す信号を送信してから25℃60%RHの環境下に24時間放置した後に、再度、表示媒体の濃度を上記と同様にして測定したところ、24時間放置前の濃度と同じであった。
このことから、実施例6で作製した表示媒体は、濃度変化を抑制可能な表示媒体であるといえる。
(実施例7)
実施例7では、実施例1で用いた高分子ゲルA、高分子ゲルBに換えて、下記高分子ゲルC、高分子ゲルD各々を用いると共に、実施例1で用いた分散媒に換えて、下記分散媒を用いた以外は、実施例1と同様にして表示媒体7を作製し、実施例1と同様にして評価を行った。
−分散媒−
分散媒として、プロピレンカーボネートを用いた。
−高分子ゲルCの作製−
モノマー水溶液として、トリエチルアミン0.25gで中和したアクリル酸00.18g、及びAM-90G(メトキシポリエチレングリコール#400アクリレート、新中村化学工業(株)製)1.74g、過硫酸アンモニウム3.1mgを水4.79gに溶解し、窒素置換した。連続層として、ソルビトール系界面活性剤(SO-15R:ニッコーケミカル(株)製)3.9gをシクロヘキサン300mlに溶解した溶液を反応容器に加え窒素置換した。これに、先に調製したモノマー水溶液を添加し、回転式攪拌羽根を用いて1200rpmで30分攪拌して懸濁させた。
続いてテトラメチルエチレンジアミンの50%水溶液0.5gを添加し重合を行った。蒸留水で洗浄後、凍結乾燥法により高分子ゲル中の水分を除去した。これによって、乾燥状態の高分子ゲルCを作製した。この高分子ゲルC1gに、蒸留後モレキュラーシーブを加えて保存しておいた分散媒としてのプロピレンカーボネート1000gを加えてゲル粒子を膨潤させた。
この高分子ゲルCを、分散媒であるプロピレンカーボネート(PC)中で膨潤させたところ、その形は球形であり、体積平均粒径は15μmであった。また、この高分子ゲルCの色は、無色であった。
また、膨潤時の体積は、収縮時の体積に比べて20倍であった。
さらに、この高分子ゲルC、電極としてのITOガラスにシランカップリング剤を塗布処理後、高分子ゲル液を浸漬、加熱することにより固定化し、この電極2本をPC溶液中に浸した状態で一方の電極にプラス極の電圧を印加し、他方の電極にマイナス極の電圧を印加すると、プラス極の電極に固定化された高分子ゲルCは収縮、マイナス極の電極に固定化された高分子ゲルAは膨潤した。
−高分子ゲルDの作製−
上記高分子ゲルCにおいて、モノマーとして用いたアクリル酸のトリメチルアンモニウム塩を3-(メタクリロイルアミド)プロピルトリメチルアンモニウムクロライドに変更した以外は、高分子ゲルCと同様にして高分子ゲルDを作製した。
この高分子ゲルDを、分散媒であるPC中で膨潤させたところ、その形は球形であり、体積平均粒径は15nmであった。また、この高分子ゲルDの色は、無色であった。
また、膨潤時の体積は、収縮時の体積に比べて20倍であった。
さらに、この高分子ゲルDを、電極としてのITOガラスにシランカップリング剤を塗布処理後、高分子ゲル液を浸漬、加熱することにより固定化し、この電極2本をPC溶液中に浸した状態で一方の電極にプラス極の電圧を印加し、他方の電極にマイナス極の電圧を印加すると、プラス極の電極に固定化された高分子ゲルDは膨潤し、マイナス極の電極に固定化された高分子ゲルDは収縮し、高分子ゲルCとは反対の挙動を示した。
−評価−
得られた表示媒体7表示基板側の電極と、背面基板側の電極と、の間に10Vの直流電圧を10秒間印加した後に、表示媒体の高分子ゲルC及び高分子ゲルDの膨潤・収縮状態を、光学顕微鏡を用いて確認したところ、反射部材の背面基板側に固定化された高分子ゲルDの収縮が確認され、また、反射部材の表示基板側に固定化された高分子ゲルCの収縮が確認された。
次に、表示媒体7の表示基板側の電極と、背面基板側の電極と、の間に−10Vの直流電圧を10秒間印加したところ、表示媒体を表示基板側から視認したときの色、すなわち表示色が、シアン色に変化した。このときの濃度を、X−rite社製の反射濃度計X−rite938 にて測定したところ、L54.0 a*-37.0 b*-50.0であった。
さらに、該−10Vの直流電圧の印加を停止してから10秒後に、表示媒体の高分子ゲルC及び高分子ゲルDの膨潤・収縮状態を、光学顕微鏡を用いて確認したところ、反射部材の背面基板側及び表示基板側の双方に固定化された高分子ゲルC及び高分子ゲルDの膨潤が確認された。
該10Vの直流電圧の印加を停止してから25℃60%RHの環境下に24時間放置した後に、再度、表示媒体の濃度を上記と同じようにして測定したところ、24時間放置前の濃度と同じであった。
このことから、実施例7で作製した表示媒体7は、濃度変化を抑制可能な表示媒体であるといえる。
(比較例1)
表示媒体内に高分子ゲル(移動調整部材)が含まれていない以外は、実施例1と同様に表示媒体を作製し、実施例1と同様にして評価を行った。
−評価−
得られた表示媒体の表示基板側の電極と、背面基板側の電極と、の間に10Vの直流電圧を10秒間印加した後に、該10Vの直流電圧の印加を停止してから25℃60%RHの環境下に24時間放置した後に、再度、表示媒体の濃度を上記と同じようにして測定したところ、24時間放置前の濃度より薄くなっていた。
このように、比較例1で作製した表示媒体は、濃度変化が発生した。
第1の実施の形態の表示装置を示す概略構成図である。 粒子群の移動開始するために必要な電圧と移動開始からさらに電圧及び電圧印加時間を増加させても、表示濃度の変化が生じなくなり、表示濃度が飽和するまでの電圧範囲を示す線図であり、単位距離あたりの電位差と粒子移動量との関係を示す線図である。 第1の実施の形態の表示装置の制御部のCPUで実行される処理を示すフローチャートである。 第1の実施の形態の表示装置を示す概略構成図である。 第2の実施の形態の表示装置を示す概略構成図である。 第2の実施の形態の表示装置を示す概略構成図である。 第2の実施の形態の表示装置を示す概略構成図である。 第2の実施の形態の表示装置を示す概略構成図である。 第2の実施の形態の表示装置を示す概略構成図である。 第2の実施の形態の表示装置を示す概略構成図である。 第2の実施の形態の表示装置の制御部のCPUで実行される処理を示すフローチャートである。 第3の実施の形態の表示装置を示す概略構成図である。 第3の実施の形態の表示装置を示す概略構成図である。 第3の実施の形態の表示装置の制御部のCPUで実行される処理を示すフローチャートである。 第4の実施の形態の表示装置を示す概略構成図である。 第4の実施の形態の表示装置の制御部のCPUで実行される処理を示すフローチャートである。 第4の実施の形態の表示装置を示す概略構成図である。
符号の説明
10、50、60、70 表示装置
12、52、62、72 表示媒体
14 電圧印加部
16、54、68、78 制御部
18 表示基板
20、21、23 背面基板
24 表面電極
30 背面電極
38 反射部材
40A、40C、40D 高分子ゲル
42 分散媒
40、43、45 移動経路幅変動部材
66 熱刺激付与部材
76 光刺激付与部

Claims (9)

  1. 少なくとも一方が透光性を有すると共に間隙をもって対向して配置された一対の基板と、
    前記一対の基板間に封入され、前記基板間に形成された電界に応じて移動する粒子群と、
    前記粒子群を分散するための分散媒と、
    前記一対の基板間に設けられると共に前記粒子群が移動する移動経路を有し、刺激の付与により前記移動経路の幅が狭まるまたは拡げて変化する第1の部材と、
    を備えたことを特徴とする表示媒体。
  2. 前記第1の部材は、前記分散媒を吸収または放出して体積変化する高分子ゲルから構成されたことを特徴とする請求項1に記載の表示媒体。
  3. 前記第1の部材は、球形の部材の集合体であることを特徴とする請求項1に記載の表示媒体。
  4. 前記刺激は、電気であることを特徴とする請求項1に記載の表示媒体。
  5. 前記刺激は、熱または光であることを特徴とする請求項1に記載の表示媒体。
  6. 前記第1の部材は、前記一対の基板間の何れか一方の基板側に偏在して設けられたことを特徴とする請求項1に記載の表示媒体。
  7. 前記一対の基板間に配設され、前記粒子群が移動する空隙を有すると共に前記粒子群とは異なる光学的反射特性を有する反射部材を更に備え、前記第1の部材は、前記反射部材と前記一対の基板の少なくとも一方との間に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の表示媒体。
  8. 少なくとも一方が透光性を有すると共に間隙をもって対向して配置された一対の基板と、前記一対の基板間に封入され、前記基板間に形成された電界に応じて移動する粒子群と、前記粒子群を分散するための分散媒と、前記一対の基板間に設けられると共に前記粒子群が移動する移動経路を有し、刺激の付与により前記移動経路の幅が狭まるまたは拡げて変化する第1の部材と、を備えた表示媒体と、
    前記表示媒体の前記第1の部材に刺激を付与するための刺激付与手段と、
    前記表示媒体に電圧を印加することにより前記一対の基板間に電界を形成する電圧印加手段と、
    を備えた表示装置。
  9. 少なくとも一方が透光性を有すると共に間隙をもって対向して配置された一対の基板と、前記一対の基板間に封入され、前記基板間に形成された電界に応じて移動する粒子群と、前記粒子群を分散するための分散媒と、前記一対の基板間に設けられると共に前記粒子群が移動する移動経路を有し、刺激の付与により前記移動経路の幅を狭まるまたは拡げて変化する第1の部材と、を備えた表示媒体と、
    前記表示媒体の前記第1の部材に刺激を付与するための刺激付与手段と、
    前記表示媒体に電圧を印加することにより前記一対の基板間に電界を形成する電圧印加手段と、
    を備えた表示装置を表示駆動する処理をコンピュータに実行させる画像表示プログラムであって、
    前記第1の部材の移動経路を拡げるための刺激を付与するように前記刺激付与手段を制御する第1のステップと、
    前記表示媒体の一対の基板間に電界を形成するように前記電圧印加手段を制御する第2のステップと、
    前記第1の部材の移動経路を狭めるための刺激を付与するように前記刺激付与手段を制御する第3のステップと、
    をコンピュータに実行させる表示プログラム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010139968A (ja) * 2008-12-15 2010-06-24 Fuji Xerox Co Ltd 表示媒体、表示素子、及び表示装置
JP2010191055A (ja) * 2009-02-17 2010-09-02 Fuji Xerox Co Ltd 表示用粒子分散液、表示媒体、及び表示装置
JP2011065084A (ja) * 2009-09-18 2011-03-31 Fuji Xerox Co Ltd 泳動粒子分散液、表示媒体および表示装置

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