JP2000257209A - 定着部付鉄筋及びその製造方法 - Google Patents
定着部付鉄筋及びその製造方法Info
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Abstract
に対する定着強度の大きい定着部を備えた定着部付鉄筋
を提供する。 【解決手段】 鉄筋の端部に熱間据込加工を施して拡径
部1bを形成し、その拡径部1bを定着部とする。この
拡径部1bは、鉄筋端部をU字状に曲げて形成した定着
部に比べて外径寸法を小さくしても鉄筋軸線方向に大き
い作用面積を確保でき、コンクリート等に対する大きい
定着強度を発揮できる。
Description
構造、プレキャスト鉄筋コンクリート構造等に用いられ
る定着部付鉄筋及びその製造方法に関する。
筋は、その端部をU字状或いはL字状等に曲げて定着部
としており、この定着部によって他の鉄筋やコンクリー
トに対して定着していた。また、この代わりに、鉄筋と
してねじ鉄筋を用い、それにねじ付定着板をねじ込んで
おき、ねじ鉄筋に対してねじ付定着板を所望位置に位置
決めした後、そのねじ鉄筋とねじ付定着板の間にモルタ
ル等の充填材を注入して固定する構成のものも知られて
いた(例えば、特許第2662150号公報参照)。
の従来の構造にはいずれにも問題があった。すなわち、
端部をU字状或いはL字状等に曲げた構造の鉄筋は、コ
ンクリートに対する定着強度を大きくするためにU字状
或いはL字状等の部分を大きくせざるを得ず、このため
かさばって、狭い場所での施工が困難であり、また、鉄
筋端部の曲げ加工が困難でコスト高となるという問題が
あった。一方、ねじ付定着板を用いたものでは、資材が
高価になり、しかも、ねじ付定着板をねじ付鉄筋に固定
する際、両者の間に確実にモルタル等の充填材を注入す
る作業にコストがかかるという問題もあった。また、ね
じ鉄筋にしか適用できないという問題もあった。
もので、ねじ鉄筋に限らず、任意の鉄筋に適用可能であ
りながら、他の鉄筋やコンクリート等に定着するための
定着部をコンパクトな構造とし、現場での施工を容易と
すると共に低コストで製造可能な且つ定着強度の大きい
定着部付鉄筋及びその製造方法を提供することを目的と
する。
ンクリートに定着させるための定着部として、鉄筋に熱
間据込加工を施して形成した拡径部を用いることを特徴
とする。すなわち、本発明の定着部付鉄筋は、鉄筋の軸
線方向の所望位置に、例えば端部に、熱間据込加工によ
って拡径部を形成して定着部としたものである。鉄筋に
形成した拡径部は、鉄筋の周囲に拡がった形状とできる
ため、従来の鉄筋端部をU字状或いはL字状等に曲げて
構成した定着部に比べて外形寸法(鉄筋の軸線に直角方
向の最大寸法)を小さくしながら大きい作用面積を持た
せ且つ変形しにくくすることができ、このため小さい外
形寸法でも、他の鉄筋やコンクリートに対する大きい定
着強度を具えたものとなる。また、拡径部は鉄筋の一部
として完全な一体構造で形成されるため、鉄筋に定着板
をねじや溶接接合で固定した場合に比べて、鉄筋の直線
状の部分と拡径部との連結強度が大きく且つ品質が安定
しており、鉄筋間のばらつきが小さい。従って、本発明
の定着部付鉄筋を用いることで強度の大きいコンクリー
ト構造体を形成できる。また、拡径部の外形寸法を、従
来の鉄筋端部をU字状或いはL字状等に曲げて構成した
定着部よりも小さくできるため、本発明の定着部付鉄筋
は、輸送、保管等の取り扱いが容易であり、現場での施
工や取り扱いも容易となる。
向の一部領域を塑性変形容易な温度に加熱し、その加熱
領域を軸線方向に圧縮して外径が増大するように塑性変
形させるという熱間据込加工を施して拡径部を形成する
ものであり、これにより上記した定着部を一体に備えた
定着部付鉄筋を製造できる。特に、大量に使用される直
径10〜20mm程度の鉄筋に対しては、熱間据込加工
に必要な加熱熱量や圧縮力は比較的小さいので、小型の
装置で実施可能であり、本発明方法により、拡径部を備
えた定着部付鉄筋を低コストで製造でき、また、鉄筋を
使用する施工現場においても製造できる。
に、定着部として、熱間据込加工によって拡径部を形成
したことを特徴とする。本発明に使用する鉄筋は、熱間
据込加工可能なものであれば任意であり、従来使用され
ている任意のものを用いることができるが、熱間据込加
工を簡易に実施する上からは直径が10〜20mm程度
のものが本発明の好ましい適用対象となる。鉄筋の周面
は平滑なものでも、ねじ等を形成したものでもよい。
筋端部であるが、必要に応じ、鉄筋軸線方向の中間位置
に設けても良い。また、1本の鉄筋に形成する拡径部の
個数は任意であり、1個でも複数個でもよい。更に、本
発明における拡径部からなる定着部は、従来の定着部と
併用することもでき、例えば、鉄筋の一端に拡径部を形
成して定着部とし、他端は従来と同様にU字状或いはL
字状に湾曲させて定着部としてもよく、この態様は施工
現場での寸法合わせに有用である。
部は、他の鉄筋やコンクリート等に対して定着部として
作用するものであれば、その形状や寸法は任意であり、
使用場所に応じて適宜設定すればよい。拡径部を鉄筋の
軸線方向に見た形状としては、製造が容易なことから円
状が推奨されるが、必要に応じ、楕円状、長円状、矩形
状等としてもよい。拡径部の寸法の目安としては、外形
寸法(拡径部が円形の場合は外径、その他の場合は最大
寸法)は、鉄筋の通常部分(熱間据込加工を施していな
い部分)の径(以下鉄筋径という)dに対して2〜5倍
程度に設定することが好ましく、厚さは鉄筋径dに対し
て0.5〜2倍程度に設定することが好ましい。
態で形成してもよいが、拡径部につながる鉄筋の根元部
分に、鉄筋の通常部分よりも外径を大きくした補強部を
設けることが好ましい。この補強部を設けることで、拡
径部と通常部分との連結部の強度を大きくでき、拡径部
に移行する部分での急激な形状変化によってその部分に
過大な応力が生じてもそれに耐えることが可能となる。
の通常部分につながる側の面)には、その周縁部に、該
拡径部に交叉する他の鉄筋を捕捉するための係止突起を
設けることが好ましい。この係止突起を設けると、拡径
部に他の鉄筋を定着させた際に、他の鉄筋が拡径部から
外れにくくなり、定着強度を大きくできる。また、拡径
部につながる鉄筋の根元部分に補強部を設けた場合に
は、前記係止突起に向き合う補強部の表面を平面状に形
成することが好ましい。この構成とすると、拡径部に他
の鉄筋を係止させた際に他の鉄筋を補強部の平面状の表
面と係止突起との間に安定して保持することができる。
の軸線方向の一部領域を塑性変形容易な温度に加熱し、
その加熱領域を軸線方向に圧縮して半径方向外方に塑性
変形させる熱間据込加工を施して拡径部を形成すること
を特徴とする。ここで、加熱領域を軸線方向に圧縮する
には、鉄筋の加熱領域に隣接した部分を加熱領域に向か
って押し込めばよい。
は、鉄筋の端部を塑性変形容易な温度に加熱し、その加
熱領域の鉄筋の端面を、形成すべき拡径部の外側端面を
成形するための成形面を備えた型に押し付けると共に加
熱領域に鉄筋軸線方向の圧縮力を作用させ、外径が増大
するように塑性変形させて拡径部を形成する構成とすれ
ばよく、この構成により、鉄筋端部に前記型によって定
まる形状の外側端面を持った拡径部を形成できる。
鉄筋の加熱温度は、塑性変形抵抗がきわめて小さくなる
赤熱状態となる温度以上とすることが好ましいが、物性
変化を抑制する上からは低いことが好ましく、これらを
勘案して、800〜1000°C程度に設定することが
好ましい。鉄筋の加熱領域の温度は全体がほぼ一定とな
るようにしてもよいし、塑性変形量の大きい部分(例え
ば、鉄筋端部に熱間据込加工を施す場合には先端部分)
が高くなるような、適当な温度分布を設けてもよい。鉄
筋の加熱手段としては、特に限定されるものではないが
誘導加熱が好ましい。誘導加熱を利用すると、鉄筋を局
部的に急速加熱することができ、処理時間を短くでき
る。
際、その拡径部の形状を適当な型を使用して規制するこ
とが好ましく、例えば、拡径部の外周面を規制する成形
面を備えた型を用いることが推奨される。この型を用い
ると、拡径部の外周面の形状及び寸法を所望のようにす
ることができるのみならず、鉄筋の据込量を調整するこ
とにより拡径部の厚みを調整することもできる。
常、1回の熱間据込加工で形成できるが、特に大きい拡
径部を要求される場合などには1回の熱間据込加工では
困難な場合がある。そのような場合には、熱間据込加工
を複数回繰り返せばよい。
起を備えた拡径部を形成するには、熱間据込加工時に係
止突起を形成可能な型を用いることで1度に拡径部と係
止突起を形成することも可能であるが、材料の流れが悪
い場合などには係止突起の形状が不安定となる恐れがあ
る。そこで、熱間据込加工によって鉄筋に係止突起のな
い拡径部を形成した後、その拡径部を型押し成形して、
拡径部の端面の周縁部に係止突起を形成する方法を採る
ことが、確実に係止突起を形成できるので推奨される。
また、この型押しの際に使用する型の選定によって、係
止突起を作るのみならず、拡径部の形状を所望のように
整形することもできる。
製造するには、熱間据込加工時に拡径部と補強部を形成
可能な型を用いればよく、これにより一度に拡径部と補
強部を形成することができる。また、拡径部と補強部の
形成を二度に分けてそれぞれ熱間据込加工で形成するこ
ともできる。例えば、鉄筋端部に熱間据込加工を施して
一定外径の長い補強部を形成し、次いでその補強部の先
端に再度熱間据込加工を施して拡径部を形成することが
できる。拡径部に形成した係止突起に向き合う補強部の
表面を平面状に形成するには、補強部を熱間据込加工で
形成する際に補強部の表面を平面状にする型を用いる方
法でもよいし、補強部を熱間据込加工で形成した後、そ
の補強部を型押し成形或いはしごき成形を行う方法を採
用してもよい。
る。図1(a)は本発明の一実施例による定着部付鉄筋
1Aの概略側面図、(b)はその鉄筋1Aの端部の概略
断面図、(c)は図1(a)のA−A矢視断面図であ
る。この定着部付鉄筋1Aは、一定径の鉄筋部分即ち通
常部分1aの両側の端部にそれぞれ、定着部として、熱
間据込加工によって円板状の拡径部1bを形成したもの
である。この拡径部1bは、鉄筋端部をU字状或いはL
字状に曲げた通常の定着部に比べて、外寸を小さくして
も大きい作用面積を確保できるので、他の鉄筋やコンク
リートに対する定着強度を大きくできる。しかも、拡径
部1bは通常部分1aと完全に一体構造として(継ぎ目
のない形態で)作られているので、拡径部1bと通常部
分1aとの連結強度が大きく且つその強度は安定してお
り、例えば、拡径部1bに相当する円板を溶接等によっ
て鉄筋に接合する場合に比べて強度が大きく且つ鉄筋間
における品質のばらつきがない。このため、この定着部
付鉄筋1Aを用いた鉄筋コンクリート構造では、強度の
大きい構造体を形成できる。
用例を示す概略断面図であり、3は鉄筋コンクリートの
柱、4はそれに接合された鉄筋コンクリートの梁であ
る。実施例の定着部付鉄筋1Aは柱3と梁4に埋設され
ており、且つその拡径部1bを柱3に埋設した鉄筋5に
係止させている。この構成により梁4と柱3とのきわめ
て強固な接合構造が得られる。
するための熱間据込加工を行う状態を示すものである。
図3(a)に示すように、まず、一定径に作られている
通常の鉄筋1の端部の適当な長さを誘導コイルからなる
加熱装置7で塑性変形容易な温度、例えば、赤熱温度以
上に加熱する。次に、鉄筋1の加熱領域に隣接した位置
をプレスのクランプ(図示せず)によって把持し、その
鉄筋1の端面を、型8の成形面8aに押し付け、図3
(b)に示すように、プレスによって鉄筋1に軸線方向
の圧縮力Pを加えて加熱領域を圧縮する。これにより、
鉄筋1の加熱領域が外径が増大するように塑性変形し、
円板状の拡径部1bが形成され、通常部分1aの一端に
拡径部1bを形成した定着部付鉄筋1Aが形成される。
なお、図面に示す実施例では型8の成形面8aの中央に
は隆起部8aaを設けているが、この隆起部8aaは、
鉄筋1の加熱領域を塑性変形させる際に半径方向外方へ
の材料の流れを助成するための設けたものであり、これ
がなくても支障なく熱間据込加工可能であれば、隆起部
8aaは省略してもよい。
8aに押し付けて外径が増大するように塑性変形させ拡
径部1bを形成した場合、その拡径部1bは半径方向外
方に行くに従って肉厚が薄くなる傾向がある。このた
め、成形面8aを平坦面とした場合、形成された拡径部
1bの鉄筋軸線と交叉している面のうち、成形面8aと
は反対側にある面即ち内側端面1baは鉄筋1Aの軸線
に対して傾斜した円錐状となる。もし、内側端面1ba
を鉄筋軸線に対して直角としたい場合には、図4に示す
ように、成形面9aが円錐状に凹んだ型9を用いればよ
い。この型9を用いることにより、内側端面1baが鉄
筋軸線に対して直角となった拡径部1bを備えた定着部
付鉄筋1Bを製造できる。
拡径部1bの外側端面のみを規制する成形面8a、9a
を備えている。この構成の型8、9を用いる場合には、
鉄筋1の据込量(軸線方向の押し込み量)によって拡径
部1bの外径及び肉厚が定まるので、外径及び肉厚を所
望のように調整することは困難である。図5は拡径部1
bの外径及び肉厚を調整しうる型10を使用した実施例
を示すものである。この実施例の型10は、拡径部1b
の外側端面を規制する成形面10aと外周面を規制する
ほぼ円筒状の成形面10bを備えている。この型10を
用いて鉄筋の熱間据込加工を行うと、形成される拡径部
1bの外径が成形面10bで規制されるため、鉄筋の押
し込み量を大きくすることで拡径部1bの肉厚を大きく
することができ、所望肉厚の且つ所望外径の拡径部1b
を備えた定着部付鉄筋1Cを製造できる。なお、型10
の成形面10bにはゆるい抜きテーパを付けておくこと
が好ましい。
内側端面は型規制しない状態で熱間据込加工を行ってい
るが、拡径部1bの内側端面を型規制することも可能で
ある。図6はその場合の実施例を示すもので、図6
(a)に示すように、先端に成形面12aを備えたクラ
ンプ12で鉄筋1を把持し、そのクランプ12より突出
した鉄筋部分を赤熱状態に加熱し、クランプ12をプレ
ス(図示せず)で型10に向かって移動させることで、
図6(b)に示すように、鉄筋1の先端の加熱領域を据
込加工する。これにより、型10の成形面10a、10
b及びクランプ12の成形面12aで形状を規制された
拡径部1bが形成され、定着部付鉄筋1Dが製造され
る。この実施例の定着部付鉄筋1Dは、拡径部1bの内
側端面の形状を成形面12aで規制できるので、その成
形面12aの形状設定により、例えば鉄筋の通常部分1
aから拡径部1bに移行する根元の部分1bbをゆるや
かな湾曲面とすることができ、これによりこの部分に応
力集中が生じて破損するということを防止できる。
いて、型10の代わりに図3、図4に示す型8、9等を
用いてもよい。また、クランプ12を成形用の型として
使用する代わりに、図6(b)に示すクランプ12の位
置に、クランプ12と同様に先端に成形面を備え、且つ
鉄筋を摺動させうる貫通穴を備えた型(内型という)を
位置させ、その内型で規制しながら鉄筋に熱間据込加工
を施す構成としてもよい。この場合には、内型で拡径部
の内側端面の形状を規制することができる他、据込のた
めに押し込まれる鉄筋1の加熱領域を内側型に形成した
貫通穴で案内できるので、この加熱領域が座屈すること
がなく、安定して据込加工を行うことができる。
線方向に見た形状が円形のものであるが、この形状は任
意に変更可能である。例えば、図7(a)、(b)はそ
れぞれ、本発明の他の実施例による定着部付鉄筋1E、
1Fを示す図1(b)と同様な概略断面図であり、定着
部付鉄筋1Eの拡径部1bは楕円形、定着部付鉄筋1F
の拡径部1bは長円形である。これらの形状の拡径部1
bは熱間据込加工の際に拡径部外周面を型規制すること
で容易に形成できる。図7(a)、(b)に示すような
細長い形状の拡径部1bを採用すると、定着部付鉄筋1
E、1F等を鉄筋が密集した部分に配筋する作業を容易
とすることができるとか、積み重ねて保管する際の必要
なスペースを小さくできる等の利点が得られる。また、
細長い拡径部1bを用いる場合において、それらの拡径
部は左右対象に設ける場合に限らず、図7(c)、
(d)に示す定着部付鉄筋1E′、1F′のように、片
側への(図面では右側への)突出量を小さくしてもよ
い。このように突出量を小さくすると、この突出量の小
さい側をコンクリート壁の壁面側とすることで、その壁
面との間のコンクリートのかぶり量を大きくすることが
でき、鉄筋の腐食防止効果を高めることができる。な
お、図7(c)、(d)に示す定着部付鉄筋1E′、1
F′の拡径部1bは、熱間据込加工のみによって形成し
てもよいし、熱間据込加工と曲げ加工を併用してもよ
い。
であり、(a)は定着部付鉄筋1Gの端部の概略断面
図、(b)はそのB−B矢視概略断面図である。この実
施例では、鉄筋端部に形成する拡径部1bの鉄筋軸線に
交叉している面即ち内側端面の周縁部に、この拡径部に
て交叉する他の鉄筋14を捕捉するための係止突起1b
cを設けたものである。この係止突起1bcを設けたこ
とにより、施工時において拡径部1bに係止させた他の
鉄筋14が外れにくく、このため施工が容易となり、且
つコンクリート打設後は拡径部1bに対する鉄筋14の
定着強度が大きくなる。なお、図示実施例では、拡径部
1bに対して縦横のいずれの方向でも鉄筋14を捕捉で
きるように、係止突起1bcを4個設けているが、この
個数は適宜増減可能である。
成する方法の1例を示す概略断面図である。この例で
は、鉄筋先端に予め円板状の拡径部1bを形成してお
き、その拡径部1bを受型16で支持させた状態で、拡
径部1bの内側端面を押し型17によって型押し成形す
るものであり、これによって、拡径部1bの内側端面の
周縁部に係止突起1bcを形成できる。なお、この型押
し成形する場合に、拡径部1b外周面を適当な型で規制
しておくことが好ましい。また、押し型17として、拡
径部1bの内側端面のほぼ全域を型押し成形しうる成形
面を備えたものを用いることで、拡径部1bの内側端面
を所望の形状に整形することも可能である。
ような熱間据込加工で形成した拡径部に型押し加工を施
す場合に限らず、拡径部を形成するための熱間据込加工
と同時に行うこともできる。例えば、図6に示したよう
に、鉄筋1をクランプ12で把持して熱間据込加工を施
す場合において、そのクランプ12の先端の成形面12
aを、係止突起を形成しうる形状としておき、このクラ
ンプ12の押し込み量を大きくして拡径部の形成と同時
に係止突起を形成することもできる。
のであり、(a)は定着部付鉄筋1Hの端部の概略断面
図、(b)はそのC−C矢視概略断面図である。この実
施例では、拡径部1bにつながる鉄筋の根元部分に、鉄
筋の通常部分1aよりも外径を大きくした補強部1cを
設けており、この補強部1cを設けたことにより、拡径
部1bと通常部分1aとの連結部の強度を大きくできる
という利点が得られる。補強部1cを有する定着部付鉄
筋1Hを製造するには、まず一定径の鉄筋の端部に熱間
据込加工を施して、補強部1cとほぼ同一径で且つ補強
部1cよりも長い円筒部を形成し、次いで、その円筒部
の端部に熱間据込加工を施して拡径部1bを形成する方
法を採ることができる。なお、円筒部を形成するための
熱間据込加工は公知の任意の方法を用いればよい。ま
た、一定径の鉄筋端部にまず、熱間据込加工を施して拡
径部1bを形成し、次いで、その拡径部1bの根元の鉄
筋部分に熱間据込加工を施して補強部1cを形成する方
法を採用することも可能である。
拡径部1bと補強部1cを同時に形成することも可能で
ある。図11はその場合の熱間据込加工中の状態を示す
概略断面図である。この例では、拡径部1bの外側端面
及び外周面を規制する成形面20a、20bを備えた外
型20と、拡径部1bの内側端面及び補強部1cの外周
面を規制する成形面22a、22bを備えた内型22
を、図11に示す位置関係にセットしておき、先端を赤
熱状態に加熱した鉄筋1を内型22を通して押し込むこ
とで拡径部1bと補強部1cを同時に形成できる。
のであり、(a)は定着部付鉄筋1Jの端部の概略断面
図、(b)はそのD−D矢視概略断面図である。この実
施例は拡径部1bの根元に補強部1cを備えたものにお
いて、その拡径部1bの内側端面の周縁部に、この拡径
部に交叉する他の鉄筋14を捕捉するための係止突起1
bcを設けたものであり、補強部1cによる効果と係止
突起1bcによる効果を享受することができる。
変形した定着部付鉄筋1Kを示すものである。この実施
例では、図12のものと同様に、拡径部1bの内側端面
の周縁部に係止突起1bcを設けると共にその拡径部1
bの根元に補強部1cを備えたものであるが、その補強
部1cの、係止突起1bcに向き合う表面を平面状に形
成して平坦面1caとしている。このような平坦面1c
aを形成しておくと、拡径部1bに他の鉄筋14を係止
した際にその鉄筋14を補強部1bの平坦面1caと係
止突起1bcとの間に安定して保持することができる利
点が得られる。なお、この平坦面1caは円筒状に形成
した補強部1cを型押し成形或いはしごき成形して形成
するとか、補強部1cを熱間据込加工で形成する際に平
坦面1caを持った補強部1cを形成することによって
形成すればよい。
付鉄筋は、鉄筋に、熱間据込加工によって拡径部を形成
して定着部としたものであるので、従来用いられていた
端部をU字状或いはL字状等に曲げた鉄筋構造よりもコ
ンパクトとしながら、コンクリートや他の鉄筋に対する
定着強度を大きくでき、現場での施工や取り扱いを容易
とすることができるばかりでなく、強度の大きい鉄筋コ
ンクリート構造を形成できるという効果を有している。
また、製造が容易で大量生産に適しており、低コストで
製造できるという効果も有している。
方向の一部領域を塑性変形容易な温度に加熱し、その加
熱領域を軸線方向に圧縮して外径が増大するように塑性
変形させる熱間据込加工を施して拡径部を形成するもの
であるので、鉄筋に一体構造の拡径部からなる定着部を
容易に形成でき、上記した本発明の定着部付鉄筋を低コ
ストで製造することができるという効果を有している。
特に、通常に使用される直径10〜20mm程度の鉄筋
に対しては、熱間据込加工に必要な加熱熱量や圧縮力が
比較的小さいので、小型の装置で実施可能であり、本発
明方法により、拡径部を備えた定着部付鉄筋を低コスト
で製造でき、また、鉄筋を使用する施工現場においても
製造できるといった効果が得られる。
の概略側面図、(b)はその鉄筋の端部の概略断面図、
(c)は(a)のA−A矢視断面図
ート構造の1例を示す概略断面図
造するための熱間据込加工の手順を示す概略断面図
状態を示す概略断面図
加工を行う状態を示す概略断面図
手順を示す概略断面図
定着部付鉄筋の変形例を示す図1(c)と同一部分の概
略断面図
付鉄筋の端部の概略断面図、(b)は(a)のB−B矢
視断面図
する状態を示す概略断面図
部付鉄筋の端部の概略断面図、(b)は(a)のC−C
矢視断面図
形成する状態を示す概略断面図
部付鉄筋の端部の概略断面図、(b)は(a)のD−D
矢視断面図
部付鉄筋の端部の概略断面図、(b)は(a)のE−E
矢視断面図
J、1K 定着部付鉄筋 1a 通常部分 1b 拡径部 1bc 係止突起 1c 補強部 8、9、10 型 8a、9a、10a、10b 成形面 12 クランプ 12a 成形面 14 鉄筋 16 受型 17 押し型 20 外型 22 内型
Claims (8)
- 【請求項1】 鉄筋に、定着部として、熱間据込加工に
よって拡径部を形成したことを特徴とする定着部付鉄
筋。 - 【請求項2】 前記拡径部につながる鉄筋の根元部分
に、鉄筋の通常部分よりも外径を大きくした補強部を設
けたことを特徴とする請求項1記載の定着部付鉄筋。 - 【請求項3】 前記拡径部の鉄筋軸線と交叉している面
の周縁部に、該拡径部にて交叉する他の鉄筋を捕捉する
ための係止突起を設けたことを特徴とする請求項1又は
2記載の定着部付鉄筋。 - 【請求項4】 前記拡径部の鉄筋軸線と交叉している面
の周縁部に、該拡径部にて交叉する他の鉄筋を捕捉する
ための係止突起を設け、更に、その係止突起に向き合う
前記補強部の表面を平面状に形成したことを特徴とする
請求項2記載の定着部付鉄筋。 - 【請求項5】 鉄筋に対して、軸線方向の一部領域を塑
性変形容易な温度に加熱し、その加熱領域を軸線方向に
圧縮して外径が増大するように塑性変形させる熱間据込
加工を施して拡径部を形成することを特徴とする定着部
付鉄筋の製造方法。 - 【請求項6】 前記熱間据込加工を鉄筋の端部に施す場
合において、鉄筋の端部を塑性変形容易な温度に加熱
し、その加熱領域の鉄筋の端面を、端面を規制する成形
面を備えた型に押し付けると共に加熱領域に鉄筋軸線方
向の圧縮力を作用させ、外径が増大するように塑性変形
させて拡径部を形成することを特徴とする請求項5記載
の定着部付鉄筋の製造方法。 - 【請求項7】 前記熱間据込加工の際に、形成すべき拡
径部の外周面を規制する成形面を備えた型を用いること
を特徴とする請求項5又は6記載の定着部付鉄筋の製造
方法。 - 【請求項8】 熱間据込加工によって鉄筋に拡径部を形
成した後、その拡径部を型押し成形して、拡径部の端面
の周縁部に係止突起を形成することを特徴とする請求項
5から7のいずれか1項記載の定着部付鉄筋の製造方
法。
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