JP2000229897A - カルボン酸無水物およびアルデヒド類の製造方法 - Google Patents

カルボン酸無水物およびアルデヒド類の製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】カルボン酸からカルボン酸無水物およびアルデ
ヒド類を工業的に有利に製造する方法を提供する。 【解決手段】反応器上部に蒸留塔を連結した反応装置を
用い、反応器にカルボン酸と無水酢酸を仕込み、発生し
た酢酸を蒸留塔の上部より抜き出すことによりカルボン
酸無水物を製造する。また得られたカルボン酸無水物を
VIII族金属触媒を用いて水素化を行うことによりアルデ
ヒド類を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、カルボン酸からカ
ルボン酸無水物、またはアルデヒド類を製造する方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】アルデヒド類は工業的に有用な化合物で
あるとともに、様々な有機合成の原料として重要な化合
物である。例えばアルデヒド類は炭素−炭素結合生成反
応を容易に起こしたり、容易に還元されアルコールに変
化する。従来、アルデヒド類の合成法としてカルボン酸
およびカルボン酸誘導体を直接水素化する方法が知られ
ている。この中で芳香族カルボン酸を水素で直接水素化
し、芳香族アルデヒドを合成する方法が企業化されてい
る(触媒誌35,2,1993)。この場合、触媒に修飾酸化ジル
コニウムを用い、常圧から3kgf/cm2 の加圧下、350
〜400℃の気相反応が行われている。また芳香族アル
デヒド以外に、カルボン酸およびカルボン酸エステルか
ら脂肪族、脂環式、複素環式アルデヒドの製造にも適用
可能としている。しかしながら、反応が高温で且つ気相
であるため、熱変性を起こしやすい化合物や、常圧付近
で気化しにくい化合物への適用が難しい。
【0003】カルボン酸、カルボン酸エステルまたはカ
ルボン酸無水物の気相水素化としてはRu−Snの2元
触媒による芳香族アルデヒド、脂肪族アルデヒドの製造
法が提案されている(特開平7−178339号)。こ
れは気相で240〜300℃、常圧での反応が行われて
おり、安息香酸や無水安息香酸等の芳香族カルボン酸お
よび芳香族カルボン酸無水物、およびセルシオ酸や酢酸
等の脂肪族カルボン酸から対応するアルデヒドの合成例
が実施例に挙げられている。しかし反応率および選択率
は満足するものではなく、また熱変性を起こしやすい化
合物への適用や、常圧付近で気化しにくい化合物への適
用は難しい。
【0004】カルボン酸無水物を穏和な条件で水素化し
て対応するアルデヒドとカルボン酸を得ることは公知で
ある。すなわち脂肪族カルボン酸無水物を水素化し、対
応するアルデヒドを得る技術は、特公昭64−2091
号や、Bull.Chem.Soc.Jp.44巻28
8頁(1971年)で既に述べられている。これらの文
献では、気相、液相いずれの反応方式でも進行するこ
と、また触媒も硫酸バリウムに担持された金属パラジウ
ムだけでなく、コバルトカルボニル、ロジウム−ホスフ
ィン錯体などの均一系触媒でも進行することが記載され
ている。
【0005】上記文献の他、脂肪族カルボン酸無水物の
中でも無水酢酸から、アセトアルデヒドと酢酸を得る方
法が特開平10−120605号に開示されている。こ
れによればPd金属触媒およびアルカリ土類金属含量を
1重量%以下に抑えたPd担持触媒を用い、150℃以
下の温度で反応を行うことが望ましい。この反応の特徴
は、従来知られているカルボン酸やカルボン酸エステル
の水素化によるアルデヒドの製造法と異なり、カルボン
酸無水物と水素が、常圧付近という低圧で、しかも常温
から100数十度という低温で容易に進行し、アルデヒ
ドがほぼ定量的に得られるという点にある。
【0006】脂肪族カルボン酸無水物だけでなく、芳香
族カルボン酸無水物も容易に水素化されて対応する芳香
族カルボン酸と芳香族アルデヒドが得られることが知ら
れている。例えば、無水フタル酸は、常温常圧において
Pd/C触媒によって水素化され、2−カルボキシベン
ズアルデヒドを生成することが報告されている〔J.C
hem.Soc.Perkin Trans.2030〜20
36頁 (1977年) 、西村重夫「接触水素化反応」東京化学
同人発行・ 235頁 (1987年)〕。
【0007】また、カルボン酸無水物の水素化によるア
ルデヒドの生成の反応機構が、Chem.Lett. 3
67頁(1995年)において提案されている。これによると
無水酢酸が0価パラジウムに酸化的付加し、生成したア
シルパラジウム化合物と水素が反応した後に還元的脱離
をして、アセトアルデヒドを生成する。更に、このメカ
ニズムを応用して、ピバル酸無水物を共存させることに
より、カルボン酸を水素化してアルデヒドを合成する方
法が報告されている(第43回有機金属討論会予稿集、B
104,214頁(1998年))。ここで提唱されている反応機構
は、水素化を行いたいカルボン酸を無水ピバル酸と反応
させ、混合型酸無水物を発生させると同時に、同一反応
器内で、この酸無水物を均一系パラジウム触媒により水
素化するというものである。この反応の特徴は、原料カ
ルボン酸を基準として高選択的かつ高収率でアルデヒド
が得られる点にある。しかしながら、この反応では反応
溶液中にピバル酸無水物を原料のカルボン酸と等量以上
共存させなければならず、反応器の空間効率が落ちるだ
けでなく、反応後に系中でピバル酸が生成するため精製
操作が煩雑になるという欠点がある。またピバル酸無水
物は無水酢酸に比べて高価であるので経済的に有利な方
法とはいえない。
【0008】酸無水物の合成法として、カルボン酸と無
水酢酸を反応させれば、カルボン酸無水物を容易に得る
ことができることが知られている(特開昭62−181
231号、特開昭62−234086号)。
【0009】この方法では、カルボン酸が脱水してカル
ボン酸無水物を生成する代わりに、次式により無水酢酸
が水和されて酢酸に変化するのが特徴である。 2RCOOH + (CH3 CO)2 O → (RCO)2 O +2CH3 COOH (1) ここでRCOOHは脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン
酸を示す。特に脂肪族カルボン酸として、プロピオン
酸、コハク酸、イタコン酸、モノクロロ酢酸、芳香族カ
ルボン酸としてピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラ
カルボン酸が実施例で用いられている。すなわち当該技
術は、脂肪族カルボン酸と芳香族カルボン酸に広く使用
できる一般的技術である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、カルボ
ン酸の無水物を水素化して対応するアルデヒド類を得る
反応は公知であるが、工業的に安価に収率良くアルデヒ
ド類を選るには満足行く方法が確立しているとは言えな
い。酸無水物の合成法としてはカルボン酸の脱水反応が
あるが、カルボン酸の分子内脱水はともかく、分子間の
脱水は、カルボン酸とアルコールのエステル化とは異な
り、極めて難しい。上記のようにカルボン酸と無水酢酸
を反応させれば、カルボン酸無水物を容易に得ることが
できることが知られているが、この反応では、原料のカ
ルボン酸に対して無水酢酸を大過剰に加えなければ反応
が十分に進行しない。本発明の目的は、以上ような欠点
を克服し、カルボン酸からカルボン酸無水物およびアル
デヒド類を工業的に有利に製造する方法を提供すること
である。
【0011】
【課題を解決するための手段】発明者らは上記の如き課
題を有するカルボン酸からカルボン酸無水物およびアル
デヒドを有利に製造する方法について鋭意検討した結
果、(a) 反応器上部に蒸留塔を連結した反応装置を用
い、この反応器にカルボン酸と無水酢酸を仕込み、反応
器を加熱し、発生した酢酸を蒸留塔の上部より抜き出す
ことにより、反応器内の酢酸の量を低く保つことがで
き、大過剰の無水酢酸を用いなくても、反応器内のカル
ボン酸をすべてカルボン酸無水物に変換することができ
ること、および(b)カルボン酸と無水酢酸からカルボン
酸無水物を製造するプロセスとカルボン酸無水物をVIII
族金属触媒により水素化を行うプロセスを組み合わせる
こと、或いは (c)該反応器にカルボン酸と無水酢酸およ
びVIII族金属触媒を仕込み反応させることにより、カル
ボン酸からアルデヒド類が有利に得られることを見出
し、本発明に到達した。
【0012】即ち本発明は、(a) 反応器上部に蒸留塔を
連結した反応装置を用い、該反応器にカルボン酸と無水
酢酸を仕込み、反応により発生した酢酸を蒸留塔の上部
より抜き出すことを特徴とするカルボン酸無水物の製造
方法、(b) カルボン酸と無水酢酸を反応させ、得られた
カルボン酸無水物をVIII族金属触媒により水素化を行う
ことを特徴とするアルデヒド類の製造方法、および (c)
無水酢酸とVIII族金属触媒の存在下、カルボン酸を水素
化することを特徴とするアルデヒド類の製造方法であ
る。
【0013】
【発明の実施の形態】以上の如く本発明は、特殊な反応
装置を用いてカルボン酸からカルボン酸無水物を製造す
る方法と、カルボン酸からアルデヒド類を製造するため
の2つの方法がある。このアルデヒド類の製造法の一つ
は、カルボン酸からカルボン酸無水物を製造する工程
と、発生したカルボン酸無水物をVIII族金属触媒の存在
下に水素化してアルデヒドを生成させる2工程からなる
製造方法。もう一つの方法は、一つの反応器にカルボン
酸と無水酢酸、触媒を入れ、一つの工程でカルボン酸無
水物の発生と水素化を行う方法である。まず、2工程か
らなる製造法にも用いられるカルボン酸無水物を製造す
る方法について説明する。
【0014】本発明に使用される原料のカルボン酸は特
に制限がなく、例えば、炭素数20以下の脂肪族カルボ
ン酸、炭素数20以下の芳香族カルボン酸が用いられ
る。すなわち、酢酸、プロピオン酸、イソノナン酸、イ
ソ酪酸、ピバル酸、オクチル酸、ジフェニル酢酸、ナフ
トエ酸、フェニル酢酸などが挙げられる。また原料のカ
ルボン酸は、グリオキシル酸、グルコン酸、クロトン
酸、シトラコン酸、酒石酸、セバシン酸、メタクリル
酸、α−ヒドロキシイソ酪酸、乳酸、ピルビン酸、イタ
コン酸、メトキシ酢酸、イミノジ酢酸、p−アミノ安息
香酸、サリチル酸、5−ヒドロキシイソフタル酸、p―
ヒドロキシフェニル酢酸、p―ヒドロキシフェニルプロ
ピオン酸、プロトカテキュ酸、ベンジル酸、o−ベンゾ
イル安息香酸、マンデル酸のように分子内に、アルデヒ
ド、2重結合やヒドロキシル基、アミノ基等、カルボン
酸基以外の官能基を有していても構わない。さらに原料
のカルボン酸は、シュウ酸、グルタル酸、アジピン酸、
ドデカン二酸、ブラシル酸、マロン酸、テレフタル酸、
フタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸、ピロメリッ
ト酸、ナフタレンジカルボン酸など、分子内に複数のカ
ルボン酸基を有していても構わない。これらのカルボン
酸は単独で用いても、また2種以上のカルボン酸混合物
を用いても良い。
【0015】本発明においてカルボン酸からカルボン酸
無水物を製造するために次のような反応装置が用いる。
すなわち、反応器上部に蒸留塔を連結した反応装置を用
い、この反応器にカルボン酸と無水酢酸を仕込み、反応
器を加熱し、発生した酢酸を蒸留塔の上部より抜き出す
ことにより、反応器内の酢酸の量を低く保つ。これによ
り、大過剰の無水酢酸を用いなくても、反応器内のカル
ボン酸をすべてカルボン酸無水物に変換することができ
る。これはカルボン酸と無水酢酸の反応において、カル
ボン酸、カルボン酸無水物、酢酸、無水酢酸の間に平衡
関係が存在するが、発生した酢酸を蒸留塔の上部より抜
き出すことにより、この平衡関係カルボン酸無水物が生
成し易くなることに基づくものと見られる。この際、ト
ルエン、ジオキサン等、酢酸と同程度または酢酸より沸
点の高い溶媒を反応器に加えておき、反応器から酢酸と
一緒に留出させ、蒸留塔で酢酸と分離すれば、酢酸の留
去は容易になる。
【0016】カルボン酸からカルボン酸無水物を製造す
るための反応温度は室温以上であれば構わないが、常圧
で酢酸を容易に留去させるため、100℃以上が望まし
い。溶媒を加えた場合は、溶媒を沸騰状態に保つのが望
ましい。反応圧力は常圧でも加圧でも構わない。加圧を
行い、溶媒や酢酸の沸点を上昇させ、反応温度を高くす
ることにより、反応速度を上げることもできる。
【0017】次に、得られたカルボン酸無水物を水素化
してアルデヒド類を製造する方法について述べる。アル
デヒド類を製造するために使用できるカルボン酸無水物
は特に制限されない。カルボン酸無水物生成方法で例示
したカルボン酸の無水物はすべて使用できる。これらの
カルボン酸基は一部またはすべてアルデヒドに変換可能
である。但し、イソ酪酸など2級カルボン酸無水物の反
応は遅く、ピバル酸のような3級カルボン酸無水物の反
応はさらに遅くなる。
【0018】カルボン酸無水物の水素化には通常は水素
が用いられるが、ギ酸を用いることもできる。水素圧は
常圧でも構わないが、加圧して反応速度と空間効率を高
くすることもできる。ただし、生成するアルデヒド類が
水素によってさらに還元されてアルコールに変化してし
まうことがあるので、これを防ぐために最適な圧力、温
度を設定するのがよい。圧力を高くするためには、反応
器の肉厚が必要になり、反応器の制作費が高くなるの
で、おおむね5MPa以下が望ましい。水素は高純度で
ある必要はなく、窒素、一酸化炭素、二酸化炭素、メタ
ン等を含んでいても構わない。水素発生器を用いるのが
不経済なほど少量の生産には、水素ガスの代わりにギ酸
を用いることができる。ギ酸は触媒上で容易に分解し、
水素と二酸化炭素を発生させるからである。ギ酸は、還
元するカルボン酸基と等量あれば良く、過剰には必要と
しない。
【0019】カルボン酸無水物を水素化ための触媒に
は、VIII族金属を用いる。具体的にはパラジウム、ルテ
ニウム、ニッケル、コバルトが挙げられる。これらの金
属の中では、パラジウム、ルテニウムが反応速度、選択
性が高く望ましい。均一系触媒だけでなく、固体金属触
媒でも構わない。担持触媒には、活性炭、アルミナ、シ
リカ、シリカ−アルミナ、チタニア、ジルコニア、ケイ
ソウ土等を用いることができる。均一系触媒は、触媒1
モルあたりの活性が高いのが特長であり、固体金属触媒
は反応後の触媒の分離、回収が容易であることが特長で
ある。溶媒は用いても用いなくても構わないが、ジオキ
サン、トルエン、ジメチルホルムアミド等を用いること
ができる。先に示した酸無水物の発生工程で用いた溶媒
と同じものを使えば操作は容易である。
【0020】水素化反応は気相、液相いずれでも可能で
ある。気相で反応を実施する場合、カルボン酸無水物を
気化させて、水素と共に固体金属触媒を詰めた反応装置
に流して反応を行うことができる。この場合、生成物と
触媒の分離が容易であるが、原料、生成物が気化可能な
化合物に限られる。沸点が高く、気化が難しい化合物
は、液相中で反応を行う。液相反応では、原料である酸
無水物、副生するカルボン酸はいずれも生成物であるア
ルデヒド類と反応したり、水素化が進みすぎてアルコー
ルを副生したりするので、反応温度を高くしすぎたり、
反応時間をあまりにも長くすることは好ましくない。水
素化反応はバッチ式、セミバッチ式、連続式、いずれで
も構わない。
【0021】以上、カルボン酸からの酸無水物の発生、
発生したカルボン酸無水物の水素化という2工程からな
るアルデヒド類の製造方法について述べてきたが、カル
ボン酸、無水酢酸、触媒を同時に一つの反応器に入れ、
水素またはギ酸で水素化を行うこともできる。これは、
一つの反応器内で2つの反応を同時に進行させることが
可能なためである。使用できるカルボン酸、溶媒、触
媒、水素、ギ酸は2工程で反応を行った場合と同様であ
る。
【0022】なお、一つの反応器内で2つの反応を同時
に進行させる場合には、反応液中の無水酢酸の一部が水
素化されてアセトアルデヒドと酢酸が生成する。このた
め反応器内には予め多めの無水酢酸を仕込んでおく必要
がある。この無水酢酸の水素化を抑制するために、はじ
めに反応器に水素化すべきカルボン酸をカルボン酸無水
物と、溶媒、触媒を入れ、水素を導入してから、最後に
無水酢酸を少しづつ加える方法を用いることができる。
このセミバッチ法では、無水酢酸は反応器に導入される
と、反応器内のカルボン酸と反応し、カルボン酸無水物
の生成のために消費されるので、アセトアルデヒドに水
素化される量が少なくなる。このように一つの反応器で
カルボン酸からアルデヒド類を直接製造すれば、装置が
簡略化され、アルデヒド類を工業的に有利に製造するこ
とができる。
【0023】
【実施例】以下、実施例によって本発明を詳細に説明す
るが、実施例により本発明が限定されるものではない。
【0024】実施例1 安息香酸4.8g、無水酢酸4.2g、トルエン18.
4gを、なすフラスコに入れた。留出ガスの凝縮器、お
よび受器をなすフラスコ上部に連結した。なすフラスコ
を加熱し、留分18.9gを抜き出した。なすフラスコ
に残った液をガスクロマトグラフィで分析したところ、
安息香酸無水物が収率92mol%であった。
【0025】実施例2 実施例1で得られた安息香酸無水物4.0gと、ジオキ
サン5.0g、1%Pd−C触媒2.0gをオートクレ
ーブに入れ、水素を1MPaで加えた。反応温度50
℃、反応時間4時間で反応させた後、反応溶液をガスク
ロマトグラフィで分析した。ベンズアルデヒドおよび安
息香酸がそれぞれ収率99mol%、99mol%で得
られた。ベンジルアルコールは観測されなかった。
【0026】実施例3 テレフタル酸6.5g、トルエン15.0g、無水酢酸
16.8g、1%Pd−Si触媒2.2gをオートクレ
ーブに入れ、水素を圧力1MPaで加えた。反応温度8
0℃、反応時間1時間で反応させた後、反応溶液をガス
クロマトグラフィで分析した。テレフタルアルデヒド、
4―カルボキシベンズアルデヒドが原料のテレフタル酸
に対して各々68mol%、21mol%で得られた。
この際、アセトアルデヒドが原料の無水酢酸に対して6
3%生成すると共に、該無水酢酸と等量の酢酸が生成し
ていた。
【0027】実施例4 シュウ酸3.5g、トルエン15.0g、無水酢酸1
3.0g、1%Pd−C触媒2.2gをオートクレーブ
に入れ、水素を圧力1MPaで加えた。反応温度50
℃、反応時間1時間で反応させた後、反応溶液をガスク
ロマトグラフィで分析した。グリオキサル酸、グリオキ
サールが、原料のシュウ酸に対して各々21mol%、
70mol%生成していた。この際、アセトアルデヒド
が原料の無水酢酸に対して65%生成すると共に、該無
水酢酸と等量の酢酸が生成していた。
【0028】実施例5 オレイン酸2.8g、ジオキサン15.0g、無水酢酸
1.8g、1%Pd−C触媒0.5gをオートクレーブ
に入れ、水素を圧力1MPaで加えた。反応温度80
℃、反応時間1時間で反応させた後、反応溶液をガスク
ロマトグラフィで分析した。対応するアルデヒドである
9−オクタデセナールが収率64mol%で得られた。
この際、アセトアルデヒドが原料の無水酢酸に対して6
5%生成すると共に、該無水酢酸と等量の酢酸が生成し
ていた。
【0029】実施例6 無水酢酸10.2g、プロピオン酸3.7g、ジオキサ
ン15.0g、ギ酸5.0g、1%Pd−C触媒1.0
gをなすフラスコに入れ、反応温度80℃、反応時間1
時間で反応させた後、反応溶液をガスクロマトグラフィ
で分析した。プロピオンアルデヒドが収率67mol%
で得られた。この際、アセトアルデヒドが原料の無水酢
酸に対して67mol%生成すると共に、該無水酢酸と
等量の酢酸が生成していた。
【0030】実施例7 無水酢酸10.2g、プロピオン酸3.7g、ジオキサ
ン15.0g、1%Ru−C触媒1.0gをオートクレ
ーブに入れ、反応温度100℃、反応時間1時間で反応
させた後、反応溶液をガスクロマトグラフィで分析し
た。プロピオンアルデヒド、nプロピルアルコールがそ
れぞれプロピオン酸に対して、42mol%、25mo
l%生成していた。また、アセトアルデヒド、エタノー
ルが無水酢酸に対して、各々44mol%、23mol
%生成すると共に、原料の無水酢酸と等量の酢酸が生成
していた。
【0031】
【発明の効果】以上の実施例からも明らかなように、本
発明の方法によって、反応器上部に蒸留塔を連結した反
応装置を用い、発生した酢酸を蒸留塔の上部より抜き出
すことにより、大過剰の無水酢酸を用いなくてもカルボ
ン酸無水物が高収率で得られ、これと水素化を組み合わ
せることにより、アルデヒド類を効率良く製造すること
ができる。また一つの反応器でカルボン酸からアルデヒ
ド類を直接製造することもでき、これにより装置が簡略
化されるので、アルデヒド類を工業的に極めて有利に製
造することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07C 47/127 C07C 47/127 47/21 47/21 47/54 47/54 51/373 51/373 51/56 51/56 59/153 59/153 63/06 63/06 65/30 65/30 // C07B 61/00 300 C07B 61/00 300

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】反応器上部に蒸留塔を連結した反応器を用
    い、該反応器にカルボン酸と無水酢酸を仕込み、反応に
    より発生した酢酸を蒸留塔の上部より抜き出すことを特
    徴とするカルボン酸無水物の製造方法。
  2. 【請求項2】酢酸と同程度または酢酸より沸点の高い溶
    媒を用い、該溶媒を酢酸と共に留出させる請求項1に記
    載のカルボン酸無水物の製造方法。
  3. 【請求項3】カルボン酸と無水酢酸を反応させ、得られ
    たカルボン酸無水物をVIII族金属触媒の存在下で水素化
    を行うことを特徴とするアルデヒド類の製造方法。
  4. 【請求項4】無水酢酸とVIII族金属触媒の存在下、カル
    ボン酸を水素化することを特徴とするアルデヒド類の製
    造方法。
  5. 【請求項5】VIII族金属がパラジウム、ルテニウム、ニ
    ッケル、コバルトより選ばれた少なくとも1種類の金属
    である請求項3または請求項4に記載のアルデヒド類の
    製造方法。
  6. 【請求項6】水素化にギ酸を用いる請求項3または請求
    項4に記載のアルデヒド類の製造方法。
JP03273799A 1999-02-10 1999-02-10 カルボン酸無水物およびアルデヒド類の製造方法 Expired - Fee Related JP4553077B2 (ja)

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