JP2000086576A - 脂肪酸無水物の製造方法 - Google Patents
脂肪酸無水物の製造方法Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 できるだけ少ない過剰量の低級脂肪酸無水物
で、共沸溶媒などを用いず、工業的に容易かつ安価な脂
肪酸無水物の製造法を提供する。 【解決手段】 一般式(1) R1CO2H (1) で表される脂肪酸(具体的例示:オクタン酸)と、一般
式(2) R2CO−O−COR2 (2) で表される低級脂肪酸無水物(具体的例示:無水酢酸)
とを反応させ、一般式(3) R1CO−O−COR1 (3) で表される脂肪酸無水物(具体的例示:オクタン酸無水
物)を製造する方法において、副生する一般式(4) R2CO2H (4) で表される低級脂肪酸(具体的例示:酢酸)を複数段の
分縮操作により反応系外に除去しながら反応させること
を特徴とする前記一般式(3)で表される脂肪酸無水物
の製造方法。
で、共沸溶媒などを用いず、工業的に容易かつ安価な脂
肪酸無水物の製造法を提供する。 【解決手段】 一般式(1) R1CO2H (1) で表される脂肪酸(具体的例示:オクタン酸)と、一般
式(2) R2CO−O−COR2 (2) で表される低級脂肪酸無水物(具体的例示:無水酢酸)
とを反応させ、一般式(3) R1CO−O−COR1 (3) で表される脂肪酸無水物(具体的例示:オクタン酸無水
物)を製造する方法において、副生する一般式(4) R2CO2H (4) で表される低級脂肪酸(具体的例示:酢酸)を複数段の
分縮操作により反応系外に除去しながら反応させること
を特徴とする前記一般式(3)で表される脂肪酸無水物
の製造方法。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アミド化やエステ
ル化、ペプチド合成などに有用なアシル化剤である脂肪
酸無水物の製造法に関する。
ル化、ペプチド合成などに有用なアシル化剤である脂肪
酸無水物の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】脂肪酸と低級脂肪酸無水物から脂肪酸無
水物を得るための製造方法は、すでに公知である。J. A
m. Chem. Soc., 63, 699(1941)には、無水酢酸を用い、
脂肪酸から脂肪酸無水物を得る反応の記載がある。しか
しながら、脂肪酸に対して理論量の3倍量の無水酢酸を
用いており、工業的に安価に製造するには問題であっ
た。米国特許2,411,567号明細書には、無水酢
酸を留出させずに副生する酢酸のみを除去する目的で、
酢酸と共沸する溶媒を用いて脂肪酸無水物を得ている
が、トルエンなどの共沸溶媒を用いねばならず、安価に
製造するには問題があった。特表平5−502903号
公報には中鎖脂肪酸無水物の製造法について記載があ
る。しかし、無水酢酸の使用量が1.5〜2.0当量の
場合、脂肪酸無水物の収率は85〜95%どまりであ
り、十分満足できるものではなかった。
水物を得るための製造方法は、すでに公知である。J. A
m. Chem. Soc., 63, 699(1941)には、無水酢酸を用い、
脂肪酸から脂肪酸無水物を得る反応の記載がある。しか
しながら、脂肪酸に対して理論量の3倍量の無水酢酸を
用いており、工業的に安価に製造するには問題であっ
た。米国特許2,411,567号明細書には、無水酢
酸を留出させずに副生する酢酸のみを除去する目的で、
酢酸と共沸する溶媒を用いて脂肪酸無水物を得ている
が、トルエンなどの共沸溶媒を用いねばならず、安価に
製造するには問題があった。特表平5−502903号
公報には中鎖脂肪酸無水物の製造法について記載があ
る。しかし、無水酢酸の使用量が1.5〜2.0当量の
場合、脂肪酸無水物の収率は85〜95%どまりであ
り、十分満足できるものではなかった。
【0003】それゆえ、高収率で高純度かつ安価に工業
的規模で脂肪酸無水物を容易に製造する方法の開発が望
まれていた。
的規模で脂肪酸無水物を容易に製造する方法の開発が望
まれていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、従来方法の上記問題点を解決し、できるだ
け少ない過剰量の低級脂肪酸無水物で、共沸溶媒などを
用いず、工業的に容易かつ安価な脂肪酸無水物の製造法
を提供しようとするものである。
する課題は、従来方法の上記問題点を解決し、できるだ
け少ない過剰量の低級脂肪酸無水物で、共沸溶媒などを
用いず、工業的に容易かつ安価な脂肪酸無水物の製造法
を提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記問題点
の解決のために鋭意検討を行った結果、低級脂肪酸を除
去する際、数段の分縮塔を用いると、使用する低級脂肪
酸無水物が理論量の1.5倍量以下でも、脂肪酸無水物
の収率が95%以上となり、それに伴い脂肪酸無水物の
純度も向上し、特別な精製工程を必要としない品質のも
のが得られることを見いだし、本発明を完成するに至っ
た。
の解決のために鋭意検討を行った結果、低級脂肪酸を除
去する際、数段の分縮塔を用いると、使用する低級脂肪
酸無水物が理論量の1.5倍量以下でも、脂肪酸無水物
の収率が95%以上となり、それに伴い脂肪酸無水物の
純度も向上し、特別な精製工程を必要としない品質のも
のが得られることを見いだし、本発明を完成するに至っ
た。
【0006】すなわち、本発明は、一般式(1) R1CO2H (1) 〔式中、R1は炭素数5〜21のハロゲンで置換されて
いてもよく、エステル基、アミド基、エーテル基、ある
いはフェニレン基が挿入されていてもよい直鎖または分
岐鎖のアルキル基またはアルケニル基、あるいは無置換
もしくは炭素数5から17の、ハロゲンで置換されてい
てもよく、エステル基、アミド基、エーテル基あるいは
フェニレン基が挿入されていてもよい直鎖または分岐鎖
のアルキル基またはアルケニル基、あるいは無置換もし
くはハロゲンで置換されたフェニル基で置換された直鎖
または分岐鎖のアリールアルキル基またはアリールアル
ケニル基を示す。〕で表される脂肪酸と、一般式(2) R2CO−O−COR2 (2) 〔式中、R2は炭素数1〜3のハロゲンで置換されてい
てもよい直鎖または分岐鎖のアルキル基またはアルケニ
ル基を示す。〕で表される低級脂肪酸無水物とを反応さ
せ、一般式(3) R1CO−O−COR1 (3) 〔式中、R1は前記定義に同じ。〕で表される脂肪酸無
水物を製造する方法において、副生する一般式(4) R2CO2H (4) 〔式中、R2は前記定義に同じ。〕で表される低級脂肪
酸を複数段の分縮操作により反応系外に除去しながら反
応させることを特徴とする前記一般式(3)で表される
脂肪酸無水物の製造方法に関するものである。
いてもよく、エステル基、アミド基、エーテル基、ある
いはフェニレン基が挿入されていてもよい直鎖または分
岐鎖のアルキル基またはアルケニル基、あるいは無置換
もしくは炭素数5から17の、ハロゲンで置換されてい
てもよく、エステル基、アミド基、エーテル基あるいは
フェニレン基が挿入されていてもよい直鎖または分岐鎖
のアルキル基またはアルケニル基、あるいは無置換もし
くはハロゲンで置換されたフェニル基で置換された直鎖
または分岐鎖のアリールアルキル基またはアリールアル
ケニル基を示す。〕で表される脂肪酸と、一般式(2) R2CO−O−COR2 (2) 〔式中、R2は炭素数1〜3のハロゲンで置換されてい
てもよい直鎖または分岐鎖のアルキル基またはアルケニ
ル基を示す。〕で表される低級脂肪酸無水物とを反応さ
せ、一般式(3) R1CO−O−COR1 (3) 〔式中、R1は前記定義に同じ。〕で表される脂肪酸無
水物を製造する方法において、副生する一般式(4) R2CO2H (4) 〔式中、R2は前記定義に同じ。〕で表される低級脂肪
酸を複数段の分縮操作により反応系外に除去しながら反
応させることを特徴とする前記一般式(3)で表される
脂肪酸無水物の製造方法に関するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明で用いられる前記一般式
(1)で示される脂肪酸は、炭素数6〜22の直鎖また
は分岐鎖のカルボン酸であり、側鎖はハロゲンで置換さ
れていてもよく、エステル基、アミド基、エーテル基、
あるいはフェニレン基が挿入されていてもよい。または
無置換あるいはハロゲンで置換されたフェニル基で置換
されたアリールアルキル基またはアリールアルケニル基
を有している。
(1)で示される脂肪酸は、炭素数6〜22の直鎖また
は分岐鎖のカルボン酸であり、側鎖はハロゲンで置換さ
れていてもよく、エステル基、アミド基、エーテル基、
あるいはフェニレン基が挿入されていてもよい。または
無置換あるいはハロゲンで置換されたフェニル基で置換
されたアリールアルキル基またはアリールアルケニル基
を有している。
【0008】本発明に使用される一般式(1)で表され
る脂肪酸の具体例としては、n−ヘキサン酸、n−ヘプ
タン酸、i−ヘプタン酸、n−オクタン酸、2−エチル
ヘキサン酸、n−ノナン酸、i−ノナン酸、3,5,5
−トリメチルヘキサン酸、n−デカン酸、i−デカン
酸、n−ウンデカン酸、i−ウンデカン酸、ラウリン
酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソ
ステアリン酸、ベヘン酸等に代表される脂肪酸、クロロ
カプロン酸、ブロモカプロン酸、クロロウンデカン酸等
に代表されるハロゲン化アルキルカルボン酸、フェニル
酢酸、フェニルプロピオン酸等に代表されるアリールア
ルキルカルボン酸等が挙げられる。また、これら列挙し
た脂肪酸の混合物であっても構わない。混合脂肪酸とし
ては、ヤシ油脂肪酸、パーム油脂肪酸、パーム核油脂肪
酸、大豆油脂肪酸、コーン油脂肪酸等が挙げられる。
る脂肪酸の具体例としては、n−ヘキサン酸、n−ヘプ
タン酸、i−ヘプタン酸、n−オクタン酸、2−エチル
ヘキサン酸、n−ノナン酸、i−ノナン酸、3,5,5
−トリメチルヘキサン酸、n−デカン酸、i−デカン
酸、n−ウンデカン酸、i−ウンデカン酸、ラウリン
酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソ
ステアリン酸、ベヘン酸等に代表される脂肪酸、クロロ
カプロン酸、ブロモカプロン酸、クロロウンデカン酸等
に代表されるハロゲン化アルキルカルボン酸、フェニル
酢酸、フェニルプロピオン酸等に代表されるアリールア
ルキルカルボン酸等が挙げられる。また、これら列挙し
た脂肪酸の混合物であっても構わない。混合脂肪酸とし
ては、ヤシ油脂肪酸、パーム油脂肪酸、パーム核油脂肪
酸、大豆油脂肪酸、コーン油脂肪酸等が挙げられる。
【0009】本発明に使用される一般式(2)で表され
る低級脂肪酸無水物は、炭素数2〜4の低級脂肪酸の酸
無水物であり、ハロゲンを含んでいてもよい。具体例と
しては、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸、無水
フルオロ酢酸、無水トリフルオロ酢酸、無水クロル酢
酸、無水トリクロロ酢酸などが挙げられる。
る低級脂肪酸無水物は、炭素数2〜4の低級脂肪酸の酸
無水物であり、ハロゲンを含んでいてもよい。具体例と
しては、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸、無水
フルオロ酢酸、無水トリフルオロ酢酸、無水クロル酢
酸、無水トリクロロ酢酸などが挙げられる。
【0010】低級脂肪酸無水物の使用量は、下記式 2R1CO2H + (R2CO)2O → 2[R1CO
−O−COR2]→ (R1CO)2O + 2R2CO2
H (式中、R1およびR2は前記定義に同じ)によって示さ
れるように、理論的には脂肪酸2モルに対し、1モル必
要であるが、本発明方法では脂肪酸2モルに対し1.1
〜1.6モルが好ましい。1.1モル未満では、反応後
も脂肪酸が残存してしまう。1.6モルを越えて使用し
てもも、反応に関与しない低級脂肪酸無水物が残り、そ
れを除去するための蒸留時間が長くなるだけである。よ
り好ましくは1.2〜1.4当量がよい。
−O−COR2]→ (R1CO)2O + 2R2CO2
H (式中、R1およびR2は前記定義に同じ)によって示さ
れるように、理論的には脂肪酸2モルに対し、1モル必
要であるが、本発明方法では脂肪酸2モルに対し1.1
〜1.6モルが好ましい。1.1モル未満では、反応後
も脂肪酸が残存してしまう。1.6モルを越えて使用し
てもも、反応に関与しない低級脂肪酸無水物が残り、そ
れを除去するための蒸留時間が長くなるだけである。よ
り好ましくは1.2〜1.4当量がよい。
【0011】反応温度は90〜150℃が好ましい。9
0℃以下では、低級脂肪酸無水物が反応に参加する前に
留出してしまい、脂肪酸無水物の収率低下と未反応脂肪
酸が残存することによる純度低下を招く。一方150℃
以上でも反応は可能であるが、着色を招くので窒素雰囲
気下で反応するなどの操作が必要となる。
0℃以下では、低級脂肪酸無水物が反応に参加する前に
留出してしまい、脂肪酸無水物の収率低下と未反応脂肪
酸が残存することによる純度低下を招く。一方150℃
以上でも反応は可能であるが、着色を招くので窒素雰囲
気下で反応するなどの操作が必要となる。
【0012】本発明における複数段の分縮操作として
は、複数段の分縮塔、好ましくは2〜5段の分縮塔が挙
げられる。2段未満では、一般式(5) R1CO−O−COR2 (5) (式中、R1およびR2は前記定義に同じ)で表される低
級脂肪酸と脂肪酸の混合酸無水物が留出してしまい、収
率の低下を招く。5段を越えると、上記一般式(5)で
表される低級脂肪酸と脂肪酸の混合酸無水物の留出によ
る脂肪酸分のロスはなくなるものの、低級脂肪酸留去の
ため反応液の液温を上げなければならないのに加え、留
去に時間を要するため着色などの問題を引き起こす。
は、複数段の分縮塔、好ましくは2〜5段の分縮塔が挙
げられる。2段未満では、一般式(5) R1CO−O−COR2 (5) (式中、R1およびR2は前記定義に同じ)で表される低
級脂肪酸と脂肪酸の混合酸無水物が留出してしまい、収
率の低下を招く。5段を越えると、上記一般式(5)で
表される低級脂肪酸と脂肪酸の混合酸無水物の留出によ
る脂肪酸分のロスはなくなるものの、低級脂肪酸留去の
ため反応液の液温を上げなければならないのに加え、留
去に時間を要するため着色などの問題を引き起こす。
【0013】典型的な反応では、脂肪酸に低級脂肪酸無
水物を加え、常圧で120℃まで加熱したのち、徐々に
減圧にしていく。反応の進行とともに低級脂肪酸が留出
してきて平衡が脂肪酸無水物に傾いていく。低級脂肪酸
無水物として無水酢酸を用いた場合は、120℃、10
0〜200mmHgの減圧度で、0.5〜2時間で所定
量の酢酸が留出する。最終的には、過剰の低級脂肪酸無
水物を系外に除去するため、5〜10mmHg程度の減
圧度で5分から1時間保持することが望ましい。
水物を加え、常圧で120℃まで加熱したのち、徐々に
減圧にしていく。反応の進行とともに低級脂肪酸が留出
してきて平衡が脂肪酸無水物に傾いていく。低級脂肪酸
無水物として無水酢酸を用いた場合は、120℃、10
0〜200mmHgの減圧度で、0.5〜2時間で所定
量の酢酸が留出する。最終的には、過剰の低級脂肪酸無
水物を系外に除去するため、5〜10mmHg程度の減
圧度で5分から1時間保持することが望ましい。
【0014】本発明の製造法によって得られる脂肪酸無
水物は、そのままでも純度が高いので特に精製処理を施
さなくとも、アシル化剤として十分使用可能である。た
だし、更に高純度の脂肪酸無水物を所望の場合は、反応
終了後、精留や再結晶など既知の方法によって精製すれ
ばよい。
水物は、そのままでも純度が高いので特に精製処理を施
さなくとも、アシル化剤として十分使用可能である。た
だし、更に高純度の脂肪酸無水物を所望の場合は、反応
終了後、精留や再結晶など既知の方法によって精製すれ
ばよい。
【0015】なお、脂肪酸としてヤシ油脂肪酸やパーム
核油脂肪酸などの混合脂肪酸を用いた場合は、混合脂肪
酸無水物となる。
核油脂肪酸などの混合脂肪酸を用いた場合は、混合脂肪
酸無水物となる。
【0016】
【実施例】以下実施例により、本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるもの
ではない。
明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるもの
ではない。
【0017】実施例1 理論段数4段の分縮塔を具備する1リットルのフラスコ
に、オクタン酸432g(3mol)、無水酢酸214
g(2.1mol)を仕込み、120℃まで常圧のまま
加熱した。反応液が120℃になった時点で反応系内を
徐々に減圧して、100〜200mmHgの減圧下、生
成してきた酢酸を留去した。1時間で酢酸の留出がほと
んど終了したのち、5mmHgまで減圧し、過剰の無水
酢酸を留去した。留出物の重量は246gであり、これ
は用いた無水酢酸から計算される理論量の102%であ
った。得られたオクタン酸無水物は収量400gで、ガ
スクロマトグラフィーで分析したところ、純度は98%
であった。
に、オクタン酸432g(3mol)、無水酢酸214
g(2.1mol)を仕込み、120℃まで常圧のまま
加熱した。反応液が120℃になった時点で反応系内を
徐々に減圧して、100〜200mmHgの減圧下、生
成してきた酢酸を留去した。1時間で酢酸の留出がほと
んど終了したのち、5mmHgまで減圧し、過剰の無水
酢酸を留去した。留出物の重量は246gであり、これ
は用いた無水酢酸から計算される理論量の102%であ
った。得られたオクタン酸無水物は収量400gで、ガ
スクロマトグラフィーで分析したところ、純度は98%
であった。
【0018】実施例2 2.6段の分縮塔を有する1リットルのフラスコに、ラ
ウリン酸401g(2mol)、無水酢酸123g
(1.2mol)を仕込み、100mmHgの予圧で減
圧しておき、140℃まで加熱還流した。酢酸の発生の
ため、減圧度は200mmHgであった。0.5時間加
熱還流したのち、留出を始めた。徐々に減圧していき、
酢酸を完全に留去した。0.5時間で酢酸の留出がほと
んど終了したのち、さらに10mmHgまで減圧し、過
剰の無水酢酸を留去した。留出物の重量は148gであ
り、これは理論量の105%であった。得られたラウリ
ン酸無水物の収量は380gであった。未反応ラウリン
酸をガスクロマトグラフィーで分析したところ、3%で
あり、それ以外の不純物は認められなかった。
ウリン酸401g(2mol)、無水酢酸123g
(1.2mol)を仕込み、100mmHgの予圧で減
圧しておき、140℃まで加熱還流した。酢酸の発生の
ため、減圧度は200mmHgであった。0.5時間加
熱還流したのち、留出を始めた。徐々に減圧していき、
酢酸を完全に留去した。0.5時間で酢酸の留出がほと
んど終了したのち、さらに10mmHgまで減圧し、過
剰の無水酢酸を留去した。留出物の重量は148gであ
り、これは理論量の105%であった。得られたラウリ
ン酸無水物の収量は380gであった。未反応ラウリン
酸をガスクロマトグラフィーで分析したところ、3%で
あり、それ以外の不純物は認められなかった。
【0019】比較例1 実施例1と同様の仕込みで、分縮塔を使用せず反応を行
った。留出物の重量は265gでありこれは理論量の1
30%であった。得られたオクタン酸無水物の収量は3
81gであり、ガスクロマトグラフィーで分析したとこ
ろ、純度80%であった。したがって、収率は87%と
低かった。
った。留出物の重量は265gでありこれは理論量の1
30%であった。得られたオクタン酸無水物の収量は3
81gであり、ガスクロマトグラフィーで分析したとこ
ろ、純度80%であった。したがって、収率は87%と
低かった。
【0020】
【発明の効果】本発明によれば、高段数の分縮塔を必要
とせず、数段、例えば2〜5段の分縮塔を用いて生成す
る低級脂肪酸を留去することにより、低級脂肪酸無水物
の使用量を減らすことができ、またその他の溶媒を用い
ることなく、工業的に容易かつ安価に高純度の脂肪酸無
水物を収率よく製造することが可能となった。
とせず、数段、例えば2〜5段の分縮塔を用いて生成す
る低級脂肪酸を留去することにより、低級脂肪酸無水物
の使用量を減らすことができ、またその他の溶媒を用い
ることなく、工業的に容易かつ安価に高純度の脂肪酸無
水物を収率よく製造することが可能となった。
Claims (2)
- 【請求項1】 一般式(1) R1CO2H (1) 〔式中、R1は炭素数5〜21のハロゲンで置換されて
いてもよく、エステル基、アミド基、エーテル基、ある
いはフェニレン基が挿入されていてもよい直鎖または分
岐鎖のアルキル基またはアルケニル基、あるいは無置換
もしくは炭素数5から17の、ハロゲンで置換されてい
てもよく、エステル基、アミド基、エーテル基あるいは
フェニレン基が挿入されていてもよい直鎖または分岐鎖
のアルキル基またはアルケニル基、あるいは無置換もし
くはハロゲンで置換されたフェニル基で置換された直鎖
または分岐鎖のアリールアルキル基またはアリールアル
ケニル基を示す。〕で表される脂肪酸と、一般式(2) R2CO−O−COR2 (2) 〔式中、R2は炭素数1〜3のハロゲンで置換されてい
てもよい直鎖または分岐鎖のアルキル基またはアルケニ
ル基を示す。〕で表される低級脂肪酸無水物とを反応さ
せ、一般式(3) R1CO−O−COR1 (3) 〔式中、R1は前記定義に同じ。〕で表される脂肪酸無
水物を製造する方法において、副生する一般式(4) R2CO2H (4) 〔式中、R2は前記定義に同じ。〕で表される低級脂肪
酸を複数段の分縮操作により反応系外に除去しながら反
応させることを特徴とする前記一般式(3)で表される
脂肪酸無水物の製造方法。 - 【請求項2】 複数段の分縮操作が、2〜5段の分縮塔
であることを特徴とする請求項1に記載の脂肪酸無水物
の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10250027A JP2000086576A (ja) | 1998-09-03 | 1998-09-03 | 脂肪酸無水物の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10250027A JP2000086576A (ja) | 1998-09-03 | 1998-09-03 | 脂肪酸無水物の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000086576A true JP2000086576A (ja) | 2000-03-28 |
Family
ID=17201757
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10250027A Pending JP2000086576A (ja) | 1998-09-03 | 1998-09-03 | 脂肪酸無水物の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2000086576A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2000229897A (ja) * | 1999-02-10 | 2000-08-22 | Mitsubishi Gas Chem Co Inc | カルボン酸無水物およびアルデヒド類の製造方法 |
JP2013532641A (ja) * | 2010-07-23 | 2013-08-19 | ロックタイト (アール アンド ディー) リミテッド | 2−シアノ酢酸無水物およびそのさらなる反応生成物の製造方法 |
CN114736116A (zh) * | 2021-01-07 | 2022-07-12 | 南京方生和医药科技有限公司 | 一种高纯度棕榈酸酐的制备方法 |
-
1998
- 1998-09-03 JP JP10250027A patent/JP2000086576A/ja active Pending
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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