JP2013532641A - 2−シアノ酢酸無水物およびそのさらなる反応生成物の製造方法 - Google Patents

2−シアノ酢酸無水物およびそのさらなる反応生成物の製造方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、2−シアノ酢酸無水物の製造方法であって、(a)反応物質として2−シアノ酢酸と、少なくとも1種の有機溶媒中に存在する少なくとも1つのC4〜20カルボン酸無水物を含み、該反応混合物中の2−シアノ酢酸とC4〜20カルボン酸無水物のモル比が1.5:1を超える反応混合物を調製する工程;および(b)反応混合物を0〜100℃の温度にさらして2−シアノ酢酸無水物を生成する工程を含んでなる方法に関する。また、本発明は、2−シアノ酢酸無水物から、2−シアノ酢酸エステル、2−シアノ酢酸アミドおよび/または2−シアノ酢酸チオエステルを製造する方法に関する。

Description

本発明は、2−シアノ酢酸無水物の製造方法に関する。さらに、本発明は、2−シアノ酢酸無水物からの、2−シアノ酢酸エステル、2−シアノ酢酸アミドおよび/または2−シアノ酢酸チオエステルの製造方法に関する。
シアノアクリレート接着剤は、その高速接着性および種々の基材に対する接着力で知られている。シアノアクリレート接着剤は、「スーパーグルー」型接着剤として市販されている。シアノアクリレート接着剤は、一成分接着剤であり、ほんのわずかな量で接着し得るため非常に経済的であり、通常、硬化させるためにいかなる設備も必要としないため、万能接着剤として有用である。
従来、シアノアクリレートモノマーは、ホルムアルデヒド前駆体(例えば、パラホルムアルデヒド)と2−シアノ酢酸エステル間の塩基性触媒によるクネーフェナーゲル縮合により製造されてきた。反応の間、シアノアクリレートモノマーが生じ、インサイチューにおいてプレポリマーまで重合する。このプレポリマーは、その後、熱的に分解または解重合され、シアノアクリレートモノマーを生成する。この方法に様々な改善および変更が取り入れられたが、この方法は基本的には変わっていない。
2−シアノ酢酸エステルの様々な製造方法が公知である。そのいくつかを下記に記載する。
例えば、WO1992/01296A1には、触媒(例えば、塩化鉄または塩化パラジウムなど)の存在下、酸素または他の酸化剤により部分的に酸化されるプロピオニトリルの酸化(例えば、シアノ−アセトアルデヒドまたはそのアセタール)が記載されている。この方法では、シアノ酢酸などを最初に形成した後、適当なアルコールによる酸触媒エステル化によりシアノ酢酸エステルに変換しなければならない。
US6,700,010B1には、鉛または1つの遷移金属に基づく触媒の存在下、酸素または酸素形成反応物質を用いて、アルコキシプロピオニトリルを酸化する工程を含むシアノ酢酸エステルの製造方法が開示されている。
他の方法は、2−シアノ酢酸のエステル交換反応に依存している。例えば、US5,756,807は、水性媒体中でシアノ酢酸とR(OH)のアルコールを反応させ、エステル化を水以外の不活性添加溶剤の存在下で行い、反応中、大気圧下または減圧下で水および添加溶剤を留去することによる2−シアノ酢酸アルキルの製造方法を教示する。この文献に記載された方法は、通常、高い反応温度と長い反応時間を必要とし、マロン酸ジアルキルなどの望ましくない副生成物を形成することが多い。
国際公開1992/01296号パンフレット 米国特許第6,700,010号明細書 米国特許第5,756,807号明細書
先端技術であるにもかかわらず、2−シアノ酢酸エステルおよびその誘導体、例えば2−シアノ酢酸アミドまたは2−シアノ酢酸チオエステルなどの代替製造方法を提供することが求められている。特に、費用効率が高く、安価な出発原料を使用し、穏やかな条件で優れた収率を達成することのできる、前記化合物の選択的製造方法を提供することが求められている。
本発明は、有機溶媒中での2−シアノ酢酸無水物の選択的生成に基づく、2−シアノ酢酸 エステルおよびその誘導体の選択的製造方法を提供する。
したがって、本発明の一態様は、(a)反応物質として2−シアノ酢酸と、少なくとも1種の有機溶媒中に存在する少なくとも1つのC4〜20カルボン酸無水物を含み、該反応混合物中の2−シアノ酢酸とC4〜20カルボン酸無水物のモル比が1.5:1を超える反応混合物を調製する工程;および(b)反応混合物を0〜100℃の温度にさらして2−シアノ酢酸無水物を生成する工程を含んでなる、2−シアノ酢酸無水物の製造方法(第1方法)である。
安価な出発原料として、2−シアノ酢酸と少なくとも1つのC4〜20カルボン酸無水物を1.5:1を超えるモル比で使用することにより、2−シアノ酢酸無水物を穏やかな条件下、高い費用効率で製造することができる。
本発明の別の態様は、(i)前記第1方法を実施して、有機溶媒中に存在する2−シアノ酢酸無水物を含有する反応混合物を調製する工程;(ii)反応混合物に、ヒドロキシル含有化合物、アミン含有化合物、およびチオール含有化合物からなる群から選択される少なくとも1つの反応物質を加える工程;および(iii)反応混合物を−20〜80℃の温度にさらして2−シアノ酢酸エステル、2−シアノ酢酸アミドおよび/または2−シアノ酢酸チオエステルを生成する工程を含んでなる、2−シアノ酢酸エステル、2−シアノ酢酸アミドおよび/または2−シアノ酢酸チオエステルの製造方法(第2方法)である。
上述したように、本発明の一態様は、(a)反応物質として2−シアノ酢酸と、少なくとも1種の有機溶媒中に存在する少なくとも1つのC4〜20カルボン酸無水物を含み、該反応混合物中の2−シアノ酢酸とC4〜20カルボン酸無水物のモル比が1.5:1を超える反応混合物を調製する工程;および(b)反応混合物を0〜100℃の温度にさらして2−シアノ酢酸無水物を生成する工程を含んでなる、2−シアノ酢酸無水物の第1製造方法である。
1.5:1を超える2−シアノ酢酸とC4〜20カルボン酸無水物のモル比は、本発明の第1方法における2−シアノ酢酸無水物の選択的形成のために極めて重要である。1.5:1を超えるモル比で2−シアノ酢酸とC4〜20カルボン酸無水物を用いることにより、2−シアノ酢酸無水物を高収率で製造することができ、2−シアノ酢酸とC4〜20カルボン酸の混合無水物などの望ましくない副生成物の生成を抑えることができる。
特に、本発明の方法で使用される反応混合物における2−シアノ酢酸とC4〜20カルボン酸無水物のモル比は2:1〜3:1であることが好ましい。2:1〜3:1のモル比でこれらの反応物質を含む反応混合物を調製することにより、本発明の第1方法における2−シアノ酢酸無水物の生成の選択率は著しく高くなる。これは、本発明のいくつかの実施態様において、所望する主生成物である2−シアノ酢酸無水を、本発明における望ましくない副生成物である2−シアノ酢酸とC4〜20カルボン酸の混合無水物に対して、5:1を超える、より好ましくは7:1を超える、最も好ましくは9:1を超えるモル過剰で得ることができることを意味する。
過剰の2−シアノ酢酸を除去することは難しく、本発明の第2方法において少なくとも1つの反応物質を添加する前に除去が不完全であると、望ましくない副生成物の生成を引き起こすため、通常、2−シアノ酢酸とC4〜20カルボン酸無水物を3:1を超えるモル比で使用すると理解されたい。
本発明の2−シアノ酢酸無水物の製造方法において、高い選択率を達成するために、本発明の反応混合物における2−シアノ酢酸とC4〜20カルボン酸無水物のモル比は、2:1〜2.5:1の範囲であることが好ましく、好ましくは2:1〜2.4:1の範囲であり、より好ましくは2.1:1〜2.3:1の範囲である。
本発明において使用される用語「C4〜20カルボン酸無水物」は、対称カルボン酸無水物または混合カルボン酸無水物を意味し、前記無水物は総数で4〜20個の炭素原子を含む。
本発明において使用される用語「対称無水物」は、式R−C(O)O−C(O)−R’〔式中、基RおよびR’は同一である〕で示される無水物を意味し、用語「混合無水物」は、式R−C(O)O−C(O)−R’〔式中、基RおよびR’は異なる〕で示される無水物を意味する。
本発明の好ましい実施態様において、C4〜20カルボン酸無水物は対称C4〜20カルボン酸無水物である。前記無水物の対称構造は、第1方法の過程で生成し得る可能性のある副生成物の数、例えば2−シアノ酢酸とC4〜20カルボン酸の混合無水物の数を制限するため、本発明の第1方法における反応物質としての対称C4〜20カルボン酸無水物の使用は有利である。
好適なC4〜20カルボン酸無水物は、式(I):
Figure 2013532641
〔式中、RはC1〜9のハロゲン化アルキル基を表し、または、フッ素、塩素、臭素、シアノおよび/またはニトロから選択される少なくとも1つの置換基で置換されたフェニル基を表す〕
で示される対称カルボン酸無水物から選択することができる。
本明細書で使用する用語「C1〜9ハロゲン化アルキル基」は、1つ以上のハロゲン原子で置換されたC1〜9アルキル基を意味し、用語「C1〜9アルキル基」は、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソアミル基、ネオペンチル基、1−エチルプロピル基、3−メチルペンチル基、2,2−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、へキシル基、オクチル基などの1〜9個の炭素原子を有する直鎖または分枝脂肪族炭化水素基を意味する。ハロゲン化アルキル基としては、とりわけ、式C2n+1〔式中、nは1〜9の整数である〕で示されるパーフルオロアルキル基などのパーハロゲン化アルキル基が挙げられる。好ましいハロゲン化アルキル基の例としては、トリフルオロメチル基(CF)が挙げられる。
式(I)の対称C4〜20カルボン酸無水物の反応性は、基Rの立体的かさ高および電気的性質を変えることにより容易に制御することができる。基Rとしてパーハロゲン化アルキル基を使用することにより、本発明の方法を50℃未満の、好ましくは10〜40℃、例えば15〜35℃の比較的低い温度で実施することができる。
パーハロゲン化アルキル基を含む好適な式(I)のC4〜20カルボン酸無水物は、式(III):
Figure 2013532641
で示される化合物から選択される。式中、nは、それぞれ独立して、1〜10、好ましくは1〜9または1〜5の整数であり、より好ましくは1〜3の整数である。
本発明の好ましい実施態様において、C4〜20カルボン酸無水物はトリフルオロ酢酸無水物(n=1)である。トリフルオロ酢酸無水物は、市販品を容易に入手でき、第1方法における望ましくない副生成物である2−シアノ酢酸とトリフルオロ酢酸の混合無水物に対して、6:1を超える、より好ましくは7:1を超える、最も好ましくは9:1を超えるモル過剰で、所望する生成物2−シアノ酢酸無水の選択的製造を可能にする。
4〜20カルボン酸無水物の分解および望ましくない副生成物の生成を最小限に抑えるため、本発明の第1方法を不活性ガスおよび/または乾燥雰囲気下で行うことが好ましい。ここで、用語「乾燥雰囲気」は、20℃、1013mbarで、含まれる水が0.1g/m未満である雰囲気(大気)を意味する。
上述したように、本発明の第1方法の反応温度は、0〜100℃の範囲、好ましくは10〜50℃の範囲、より好ましくは15〜35℃の範囲である。本発明の第1方法で用いる反応物質の反応性に応じて、反応時間を変える(例えば30秒〜96時間)ことができ、2時間〜30時間の反応時間、例えば3時間〜10時間の反応時間が好ましい。本発明の第1方法においてトリフルオロ酢酸無水物を使用することにより、非常に穏やかな条件下(例えば、50℃未満の温度で10時間未満の短い反応時間)で前記方法を行うことができる。
原則として、本発明の第1方法は連続方式またはバッチ方式で実施することができる。反応をバッチ方式で行う場合、反応混合物は、好ましくは反応器内で2−シアノ酢酸、少なくとも1種のC4〜20カルボン酸無水物および少なくとも1種の有機溶媒を混合することにより調製する。
反応器を内側からまたは好ましくは外側から冷却若しくは加熱することができ、反応器に撹拌装置を備え付けることができる。適当な撹拌装置としては、アンカー型攪拌機、プロペラ攪拌機、クロスブレード攪拌機およびMig攪拌機またはそれらの組み合わせが挙げられる。
別の実施態様において、本発明の第1方法は流液式反応器で連続的に行われ、この態様においては反応混合物を流液式反応器へ連続的に流す。
ここで「連続的に」とは、通常、反応媒体の流入を中止する前の、少なくとも、反応器自体の内部容積に比べて大きい反応媒体の全量を反応器へ流すことのできるような時間、反応混合物を反応器内へ流す反応形式を意味すると理解される。前記「大きい」は、「少なくとも2倍大きい」ことを意味する。このタイプの連続的に実施される反応にも、もちろん始まりと終わりがある。
この流液式反応器における連続的方法においては、反応器に複数の加熱域または冷却域を設けることができる。異なる加熱域または冷却域は、例えば別々に加熱または冷却することができる。
一実施態様において、本発明の第1方法は、抽出、結晶化、クロマトグラフィー、蒸留および共蒸留ならびにそれらの組み合わせから選択される方法により、生成された2−シアノ酢酸無水物を単離するさらなる工程(c)を含む。
しかしながら、本発明の第1方法は2−シアノ酢酸無水物の安定な有機溶媒溶液を生じるため、通常、生成された2−シアノ酢酸無水物を単離する必要がないことは本発明に特有の一利点である。この安定溶液は、水分が存在しない条件下(20℃、1013mbarで0.1g/m未満の濃度)で1〜30日間、25℃未満の温度で、何ら大きな分解を生じることなく保存することができる。これは、前記の保存期間中に、生成された2−シアノ酢酸無水物の全分子の5%未満がその分解生成物に変換されることを意味する。
有機溶媒中に2−シアノ酢酸無水物を含む、第1方法の反応混合物は、さらなる精製および/または安定化段階を経ることなく別の方法(第2方法)に直接使用することができる。適当なヒドロキシル含有化合物、アミン含有化合物および/またはチオール含有化合物を前記反応混合物に加えることで、さらなる反応生成物、例えば、2−シアノ酢酸エステル、2−シアノ酢酸アミドおよび/または2−シアノ酢酸チオエステルを得ることができる。
したがって、本発明の別の態様は、(i)第1方法を実施して、有機溶媒中に存在する2−シアノ酢酸無水物を含有する反応混合物を調製する工程;(ii)反応混合物に、ヒドロキシル含有化合物、アミン含有化合物、およびチオール含有化合物からなる群から選択される少なくとも1つの反応物質を加える工程;および(iii)反応混合物を−20〜80℃の温度にさらして2−シアノ酢酸エステル、2−シアノ酢酸アミドおよび/または2−シアノ酢酸チオエステルを生成する工程を含んでなる、2−シアノ酢酸エステル、2−シアノ酢酸アミドおよび/または2−シアノ酢酸チオエステルの製造方法(第2方法)である。
上述したように、本発明の第2方法は、工程(i)として、2−シアノ酢酸無水物を製造する本発明の方法(第1方法)を含む。本発明の第2方法の工程(i)として本発明の第1方法を実施した後、2−シアノ酢酸エステル、2−シアノ酢酸アミドおよび/または2−シアノ酢酸チオエステルを生成するために、本発明の第2方法の工程(ii)で少なくとも1つの適当な反応物質を加える。
上述した、本発明の第1方法に対して開示したすべての特徴は本発明の第2方法における工程(i)にも当てはまる。
本発明で使用される用語「ヒドロキシル含有化合物」は、少なくとも1つのヒドロキシル基を含むすべての有機化合物を意味し、この化合物は2−シアノ酢酸無水物と反応することができる。
本発明で使用される用語「アミン含有化合物」は、少なくとも1つの第1級または第2級アミノ基を含むすべての有機化合物を意味し、この化合物は2−シアノ酢酸無水物と反応することができる。
本発明で使用される用語「チオール含有化合物」は、少なくとも1つのチオール基を含むすべての有機化合物を意味し、この化合物は2−シアノ酢酸無水物と反応することができる。
好適なヒドロキシル含有化合物としては、ヒドロキシル含有オリゴマーまたはポリマー、例えばヒドロキシル基含有ポリウレタン、一価アルコールおよび/または多価アルコールが挙げられる。
本発明で使用される用語「一価アルコール」は、1つのヒドロキシル基を有するアルコールを意味する。本発明で使用される用語「多価アルコール」は、少なくとも2つのヒドロキシル基を含むアルコール(例えば、2つ、3つまたは4つのヒドロキシル基を含むアルコール)を意味する。
本発明の一実施態様において、少なくとも1つの反応物質は一価のまたは二価の1級アルコールである。1級アルコールは高い反応性を示し、市販品を容易に入手することができるため、1級アルコールが好ましい。
好適な一価の1級アルコールまたは二価の1級アルコールとしては、一般式(II):
Figure 2013532641
〔式中、nは1または2であり、RはC1〜40のアルキル基(n=1の場合)、C3〜40アルケニル基(n=1の場合)、C3〜40シクロアルキル基(n=1の場合)、C6〜40アリール基(n=1の場合)、C7〜40アラルキル基(n=1の場合)、C2〜40アルコキシアルキル基(n=1の場合)、C1〜40アルキレン基(n=2の場合)、C3〜40シクロアルキレン基(n=2の場合)、またはC6〜40アリーレン基(n=2の場合)を表す〕
で示されるアルコールが挙げられる。
本発明で使用される用語「C1〜40アルキル基」は、1〜40個の炭素原子を有する分枝または非分枝のアルキル基を意味する。1〜12個の炭素原子を有するアルキル基が好ましい。その例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基またはへキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基が挙げられる。プロピル基、ブチル基、ペンチル基、へキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基およびドデシル基の定義には、これらの基の全ての存在し得る異性体が含まれる。したがって、例えば、プロピル基にはn−プロピル基およびイソプロピル基が含まれ、ブチル基にはイソブチル基、sec−ブチル基およびtert−ブチル基などが含まれる。他に記載されない限り、アルキル基は1つ以上の基により置換されていてもよい。
本発明において使用される用語「C3〜40アルケニル基」は、3〜40個の炭素原子を有する分枝または非分枝のアルケニル基を意味する。3〜5個の炭素原子を有するアルケニル基が好ましい。その例としては、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、またはヘキセニル基が挙げられる。他に記載されない限り、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基およびヘキセニル基の定義には、これらの基の全ての存在し得る異性体が含まれる。したがって、例えば、プロペニル基には1−プロペニル基および2−プロペニル基が含まれ、ブテニル基には1−、2−および3−ブテニル基、1−メチル−1−プロペニル基、1−メチル−2−プロペニル基などが含まれる。
本発明において使用される用語「C3〜40シクロアルキル基」は、3〜40個の炭素原子を有する環状のアルキル基を意味する。その例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基またはシクロへキシル基が挙げられる。他に記載されない限り、シクロアルキル基は1つ以上の基、好ましくはメチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ヒドロキシル基、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素から選択される基により置換されていてもよい。
本発明において使用される用語「C6〜40アリール基」は、6〜40個の炭素原子を有する芳香族環系を意味する。その例としては、フェニル基、ナフチル基およびアントラセニル基が挙げられ、好ましいアリール基はフェニル基およびナフチル基である。他に記載されない限り、芳香族基は1つ以上の基、好ましくはヒドロキシル基、アルコキシ基(例えば、メトキシ基またはエトキシ基など)、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素およびニトロ基から選択される基により置換されていてもよい。
本発明において使用される用語「C7〜40アラルキル基」は、6〜10個の炭素原子を有する芳香族環系により置換された1〜30個の炭素原子を有する分枝および非分枝アルキル基を意味する。その例としては、ベンジル基、1−若しくは2−フェニルエチル基が挙げられる。他に記載されない限り、アラルキル基は、好ましくはヒドロキシル基、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素から選択される1つ以上の基により置換されていてもよい。
本発明において使用される用語「C2〜40アルコキシアルキル基」は、アルキル基に共有結合したアルコキシ基であって、アルコキシアルキル基が全体で2〜40個の炭素原子を含む基を意味する。アルコキシ基は1〜12個の炭素原子を含み、好ましくは1〜6個の炭素原子を含む。アルコキシ基は1つ以上のヒドロキシル基または1つ以上のハロゲン原子で置換されていてもよい。アルコキシアルキル基の例としては、エトキシエチル基、ブトキシメチル基、ブトキシブチル基、イソプロポキシ基、ペントキシメチル基およびヘキソキシメチル基が挙げられる。
本発明において使用される用語「C1〜40アルキレン基」は、1〜40個の炭素原子を有する分枝および非分枝アルキレン基を意味する。1〜12個の炭素原子を有するアルキレン基が好ましい。その例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、デシレン基、ドデシレン基が挙げられる。他に記載されない限り、アルキレン基は、好ましくはメチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ヒドロキシル基、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素から選択される1つ以上の基により置換されていてもよい。
本発明において使用される用語「C3〜40シクロアルキレン基」は、3〜40個の炭素原子を有する環状アルキレン基を意味する。その例としては、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基またはシクロへキシレン基が挙げられる。他に記載されない限り、シクロアルキレン基は、好ましくはメチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ヒドロキシル基、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素から選択される1つ以上の基により置換されていてもよい。
本発明において使用される用語「C6〜40アリーレン基」は、6〜40個の炭素原子を有する二価の芳香族環系を意味する。その例としては、フェニレン基、ナフチレン基およびアントラセニレン基が挙げられ、好ましいアリーレン基はフェニレン基およびナフチレン基である。他に記載されない限り、アリーレン基は、好ましくはヒドロキシル基、アルコキシ基(例えばメトキシ基またはエトキシ基)、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素およびニトロから選択される1つ以上の基により置換されていてもよい。
好ましい一価の1級アルコールは2〜18個の炭素原子、好ましくは4〜12個の炭素原子を含む。好ましい一価の1級アルコールの例としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、1−ブタノール、2,2−ジメチル−1−プロパノール、2−メチル−1−プロパノール、2,2−ジメチル-−1−プロパノール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、1−ペンタノール、1−ヘキサノール、1−ヘプタノールおよび1−オクタノールが挙げられる。
好ましい二価の1級アルコールは2〜18個の炭素原子、好ましくは6〜12個の炭素原子を含む。好ましい二価の1級アルコールの例としては、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオールおよび1,8−オクタンジオールが挙げられる。
本発明の一実施態様において、少なくとも1つの反応物質は、一般式(IV):
Figure 2013532641
〔式中、mは1または2であり、RはC1〜40アルキル基(n=1の場合)、C3〜40アルケニル基(n=1の場合)、C3〜40シクロアルキル基(n=1の場合)、C6〜40アリール基(n=1の場合)、C7〜40アラルキル基(n=1の場合)、C2〜40アルコキシアルキル基(n=1の場合)、C1〜40アルキレン基(n=2の場合)、C3〜40シクロアルキレン基(n=2の場合)、またはC6〜40アリーレン基(n=2の場合)を表す〕
で示される一価の1級アルコールまたは二価の1級アルコールである。
本発明の別の実施態様において、少なくとも1つの反応物質は、一般式(V):
Figure 2013532641
〔式中、oは1または2であり、RはC1〜40アルキル基(n=1の場合)、C3〜40アルケニル基(n=1の場合)、C3〜40シクロアルキル基(n=1の場合)、C6〜40アリール基(n=1の場合)、C7〜40アラルキル基(n=1の場合)、C2〜40アルコキシアルキル基(n=1の場合)、C1〜40アルキレン基(n=2の場合)、C3〜40シクロアルキレン基(n=2の場合)、またはC6〜40アリーレン基(n=2の場合)を表す〕
で示される一価の1級アルコールまたは二価の1級アルコールである。
用語「C1〜40アルキル」、「C3〜40アルケニル」、「C3〜40シクロアルキル」、「C6〜40アリール」、「C7〜40アラルキル」、「C2〜40アルコキシアルキル」、「C1〜40アルキレン」、「C3〜40シクロアルキレン」および「C6〜40アリーレン」は、前記と同じ定義を有する。
本発明の一実施態様においては、ヒドロキシ含有化合物とアミン含有化合物の混合物、またはヒドロキシ含有化合物とチオール含有化合物の混合物、またはアミン含有化合物とチオール含有化合物の混合物またはヒドロキシ含有化合物とアミン含有化合物とチオール含有化合物の混合物を、本発明の第2方法の工程(ii)における反応物質として使用する。
2−シアノ酢酸エステルは2−シアノアクリレートモノマーを製造するための有用な出発材料であるため、本発明の第2方法において好適に2−シアノ酢酸エステルが生成される。
本発明の第2方法において調製される好適な2−シアノ酢酸エステルは、一般式(VI):
Figure 2013532641
〔式中、Rは、飽和または不飽和の、分枝または直鎖アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基またはアルコキシアルキル基を表す〕
で示される。前記基が置換されている場合、置換基は、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ヒドロキシル基、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素のうちの1つ以上と1つ以上のエーテル酸素原子であることが好ましい。Rがアルキル基である場合、そのアルキル基は好ましくは1〜16個の炭素原子を含み、特に好ましくは1〜8個の炭素原子を含む。Rがシクロアルキル基である場合、そのシクロアルキル基は好ましくは3〜8個の炭素原子を有する。Rは、好ましくは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、へキシル基、ヘプチル基、オクチル基、アリル基、メタリル基、クロチル基、プロパルギル基、シクロへキシル基、ベンジル基、フェニル基、クレシル基、2−クロロエチル基、3−クロロプロピル基、2−クロロブチル基、トリフルオロエチル基、2−メトキシエチル基、3−メトキシブチル基および2−エトキシエチル基またはトリエチレングリコールモノメチルエーテル基である。
本発明の第2方法の工程(i)の選択性は、特に本発明の第2方法の工程(ii)およびそれに続くすべての工程にとって重要であり、特に、2−シアノ酢酸無水物を含む反応混合物を精製することなく本発明の第2方法の工程(ii)で直接用いる場合には重要である。工程(i)において、2−シアノ酢酸無水物を選択的に生成することにより、工程(ii)および工程(iii)で生じ得る副生成物の数を制限し、2−シアノ酢酸エステル、2−シアノ酢酸アミドおよび/または2−シアノ酢酸チオエステルを高い収率および高い純度で得ることができる。
例えば、本発明の第2方法はn−オクチルシアノアセテートを(加えたアルコールの量に基づき)収率96%および純度95%で製造することができ、3−メトキシブチルシアノアセテートを(加えたアルコールの量に基づき)収率95%および純度95%で製造することができる。
除去することが難しい望ましくない副生成物の生成を最小限に抑えるために、本発明の第2方法の工程(ii)において、反応物質と2−シアノ酢酸無水物を0.4:1〜1.8:1のモル比で、好ましくは0.8〜1.4のモル比で、より好ましくは0.9〜1.1のモル比で含む混合物を調製することが好ましい。
本発明の第2方法における所望の生成物の生成を促進するために、工程(ii)において、2−シアノ酢酸エステル、2−シアノ酢酸アミドおよび/または2−シアノ酢酸チオエステルの生成を触媒する能力を有する少なくとも1つの触媒の存在下、少なくとも1つの反応物質を加えることが好ましい。
本発明において、反応混合物中に触媒が存在しない以外同様の条件下の同様の方法と比較して、触媒が2−シアノ酢酸エステル、2−シアノ酢酸アミドおよび/または2−シアノ酢酸チオエステルの生成を促進する場合、触媒が2−シアノ酢酸エステル、2−シアノ酢酸アミドおよび/または2−シアノ酢酸チオエステルの生成を触媒する能力を有するとみなす。
本発明の第2方法に適する触媒としては、強酸(例えば芳香族スルホン酸およびその塩のようなスルホン酸)、酸化物、水素化物、水酸化物、炭酸塩、カルボン酸塩、アルコキシド、アミン(例えばピリジンまたはその誘導体など)、アルカリ金属またはアルカリ土類金属、ならびに塩基性金属酸化物(例えば酸化亜鉛など)、弱酸の塩(例えばステアリン酸リチウム)および有機チタンおよび有機スズ(例えばテトラオクチルチタネート)およびその混合物が挙げられる。他の好ましい触媒としては、例えばポリ(4−ビニルピリジン)が挙げられる。
少なくとも1つの触媒の濃度は、本発明の第2方法の工程(ii)の反応混合物中の2−シアノ酢酸無水物の総量に基づいて、好ましくは0.1〜20重量%、より好ましくは0.5〜10重量%、特に好ましくは0.6〜3重量%である。
上述したように、本発明の第2方法の工程(iii)における反応温度は、−20〜80℃の範囲であり、好ましくは0〜70℃の範囲であり、より好ましくは15〜60℃の範囲である。本発明の第2方法の工程(ii)で使用する少なくとも1つの反応物質の反応性に応じて、反応時間は、例えば30秒〜96時間で変化させてよく、1時間〜10時間の反応時間、例えば1.5時間〜5時間の反応時間が特に好ましい。
第1方法と同様に、本発明の第2方法も連続方式またはバッチ方式で行うことができる。
別の実施態様において、本発明の第2方法は流液式反応器で連続的に行われ、この態様においては第2方法の反応混合物を流液式反応器へ連続的に流す。
費用効率的な理由により、本発明の第2方法の全ての工程を同一のバッチ式反応器または同一の流液式反応器で行うことが特に好ましい。ただ1つのバッチ式反応器または流液式反応器を使用することにより、本発明の第2方法の工程(i)で生成される2−シアノ酢酸無水物を、いかなる追加的な精製工程を経ることなく、工程(ii)および工程(iii)において直接変換することができる。
一実施態様において、本発明の第2方法は、抽出、結晶化、クロマトグラフィー、蒸留および共蒸留ならびにそれらの組み合わせから選択される方法により、生成された2−シアノ酢酸エステル、2−シアノ酢酸アミドおよび/または2−シアノ酢酸チオエステルを単離するさらなる工程(iv)を含む。本発明の第2方法で固体触媒を使用した場合、前記触媒を簡単にろ過除去することができる。
好ましくは、減圧下少なくとも1種の有機溶媒を除去し、残渣を適当な溶媒(例えば、塩化メチレン、酢酸エチルまたはその混合物)に再溶解することにより、第2方法の生成物を単離する。得られた溶液を水および/または炭酸水素ナトリウム水溶液で、好ましくは繰り返し洗浄する。その後、減圧下で有機相を分離、除去して、2−シアノ酢酸エステル、2−シアノ酢酸アミドおよび/または2−シアノ酢酸チオエステルを得ることができる。
本発明の第1方法および第2方法の有機溶媒は、ケトン、エステル、炭化水素、ハロゲン化炭化水素、ニトリル、アミドおよびエーテルから選択することができる。
アセトニトリルは(他の溶媒と比較して)本発明の第1方法および第2方法において反応率を高める能力を有するため、本発明の第1方法および第2方法の1つの好ましい有機溶媒はアセトニトリルである。
別の好適な溶媒としては、トルエン、THF、塩化メチレン、および酢酸エチルの混合物が挙げられる。溶媒の組み合わせは、バレットまたはディーン−スターク蒸留装置において溶媒から水をきちんと分離することができ、ほぼすべての溶媒を反応容器へ回収することができる点でも有利である。他の溶媒、例えばキシレン、シクロヘキサン、ジクロロメタンおよびクロロホルム、またはテトラヒドロフラン、ジオキサン、エタノール若しくはプロパノールなどの水溶性溶媒を使用することもできるが、最終生成物を分離し、水性溶液による洗浄工程により精製する場合には適当でないため、水溶性溶媒はあまり好ましくない。
実施例1
<第1方法>
トリフルオロ酢酸無水物(19.95g、95mmol)のアセトニトリル(30ml)溶液に、2−シアノ酢酸(19.38g、228mmol)を加えた。この混合物を、窒素雰囲気下、22℃で5時間撹拌した。得られた黄色溶液を真空中で低減させて、18.6gの黄色油を得た。NMR分析によりこの黄色油を、2−シアノ酢酸無水物:2−シアノ酢酸トリフルオロ酢酸無水物:2−シアノ酢酸の10:1:6の混合物として同定した。
<第2方法>
第1方法の黄色油を乾燥アセトニトリル(20mL)に溶解し、3−メトキシブタノール(7.6g、73mmol)と、触媒としてのポリ(4−ビニルピリジン)(13g、124mmol)の混合物に50℃で滴下した。得られた混合物を、50℃で2時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、残渣を塩化メチレン(100mL)に溶解して濾過した。ろ過ケーキを、塩化メチレンと酢酸エチルの1:1混合物(50mL)で洗浄し、複合有機相をNaHCOの飽和水溶液と塩水(各50mL)で洗浄した後、MgSOで乾燥させた。減圧下で溶媒と揮発性成分を除去して、11.9g(95%)の3−メトキシブチル2−シアノ酢酸エステル(GCにより測定された純度95%)を得た。
H NMR:4.31(2H,t,J=7,1),3.91(2H,s),3.57(1H,qt,J=6.1,J=3.8),3.4(s,3H),2.0(2H,td,J=7.1,J=3.8),1.133(3H,d,J=6.1)。
実施例2:ワンポットプロセス(本発明の第方法と第2方法を含む)
TFAA(22.4g、107mmol)のアセトニトリル(100mL)溶液に、2−シアノ酢酸(20g、235mmol)を加えた。この混合物を、乾燥雰囲気下、22℃で3時間撹拌した。2−シアノ酢酸無水物の生成をNMR(s,3.85ppm)により確認した。3−メトキシブタノール(10g、96mmol)のアセトニトリル(30mL)溶液を滴下した(10分)。わずかな発熱があった。淡黄色の混合物を22℃で3時間撹拌した。溶媒を真空中で除去し、残った黄色油を100mLの塩化メチレンに取り出した。重炭酸ナトリウムの飽和水溶液の添加により溶液を中和した。水層を分離し、50mLの塩化メチレンにより抽出した。複合有機物をMgSOで乾燥して低減し、GCによる純度98.4%を有する15g(91%)の淡黄色の溶液を得た。
H NMR:4.31(2H,t,J=7,1),3.91(2H,s),3.57(1H,qt,J=6.1,J=3.8),3.4(s,3H),2.0(2H,td,J=7.1,J=3.8),1.133(3H,d,J=6.1)。
比較例1:(トリフルオロ酢酸無水物と2−シアノ酢酸を1:1のモル比で含むジクロロメタン反応混合物)
トリフルオロ酢酸無水物(26g、123mmol)のジクロロメタン(30mL)溶液に、2−シアノ酢酸(10g、118mmol)を加えた。この混合物を、窒素雰囲気下、22℃で15分間撹拌した。NMRは1つのピーク(3.95ppm)を示した。得られた黄色溶液を、6−ヒドロキシ−メチルヘキサノエート(17.1g、117mmol)の酢酸エチル(250mL)溶液に30分間かけて滴下した。混合物を22℃で3時間撹拌した。重炭酸ナトリウムの飽和水溶液で溶液を中和した。水相を分離し、100mLの酢酸エチルで逆抽出した。複合有機物を硫酸マグネシウムで乾燥して低減し、22.8gの透明溶液を得た。この透明溶液を真空下(0.03mbar)で蒸留し、2留分〔6−ヒドロキシ−メチルヘキサノエート(64%)のトリフルオロ酢酸エステル(5.7g)とシアノ酢酸エステル(16g)〕を得た。
6−ヒドロキシ−メチルヘキサノエートのシアノ酢酸エステル:H NMR:4.19(2H,t,J=7,1),3.66(s,3H),3.49(2H,s),2.33(2H,t,J=7.4),1.73(2H,tt,J=7.4,J=7.1),1.55(2H,tt,J=7.5,J=7.4),1.43(2H,tt,J=7.5,J=7.4)。
6−ヒドロキシ−メチルヘキサノエートのトリフルオロ酢酸エステル:H NMR:4.36(2H,t,J=7,1),3.66(s,3H),2.34(2H,t,J=7.4),1.73(2H,tt,J=7.4,J=7.1),1.55(2H,tt,J=7.5,J=7.4),1.43(2H,tt,J=7.5,J=7.4)。
比較例2:(トリフルオロ酢酸無水物と2−シアノ酢酸を1:1のモル比で含むアセトニトリル反応混合物)
トリフルオロ酢酸無水物(11.2g、53.2mmol)のアセトニトリル(30mL)溶液に、2−シアノ酢酸(4.5g、53.2mmol)を加えた。乾燥雰囲気下、この混合物を22℃で3時間撹拌した。3−メトキシブタノール(5.0g、48.5mmol)の乾燥アセトニトリル(20mL)溶液を滴下した。混合物を22℃で3時間撹拌した。真空中で溶媒を除去し、残った黄色油を50mLの塩化メチレンに取り出した。重炭酸ナトリウムの飽和溶液の添加により、溶液を中和した。水相を分離し、50mLの塩化メチレンで抽出した。複合有機物を硫酸マグネシウムで乾燥し、真空中で低減し、8.1gの淡黄色溶液を得た。GCMSにより、この溶液が3−メトキシブチルシアノ酢酸と3−メトキシブチルトリフルオロアセテートの78.5/21.5%混合物であることが判明した。

Claims (15)

  1. 2−シアノ酢酸無水物の製造方法であって、
    (a)反応物質として2−シアノ酢酸と、少なくとも1種の有機溶媒中に存在する少なくとも1つのC4〜20カルボン酸無水物を含み、該反応混合物中の2−シアノ酢酸とC4〜20カルボン酸無水物のモル比が1.5:1を超える反応混合物を調製する工程;および
    (b)反応混合物を0〜100℃の温度にさらして2−シアノ酢酸無水物を生成する工程
    を含んでなる方法。
  2. 前記反応混合物中の2−シアノ酢酸とC4〜20カルボン酸無水物のモル比が2:1〜3:1である、請求項1に記載の方法。
  3. 4〜20カルボン酸無水物が対称C4〜20カルボン酸無水物である、請求項1または2に記載の方法。
  4. 4〜20カルボン酸無水物が、式(I):
    Figure 2013532641
    〔式中、RはC1〜9のハロゲン化アルキル基を表し、または、フッ素、塩素、臭素、シアノおよび/またはニトロから選択される少なくとも1つの置換基で置換されたフェニル基を表す〕
    で示される対称カルボン酸無水物から選択される、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 4〜20カルボン酸無水物が、式(III):
    Figure 2013532641
    〔式中、nは、それぞれ独立して、1〜5の整数である〕
    で示される化合物から選択される、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  6. 4〜20カルボン酸無水物がトリフルオロ酢酸無水物である、請求項1〜5に記載の方法。
  7. 工程(b)における温度が10〜40℃である、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
  8. 有機溶媒の少なくとも一部を除去することにより2−シアノ酢酸無水物を濃縮するさらなる工程(c)含んでなる、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
  9. 2−シアノ酢酸エステル、2−シアノ酢酸アミドおよび/または2−シアノ酢酸チオエステルの製造方法であって、
    (i)請求項1〜7に記載の方法を実施して、有機溶媒中に存在する2−シアノ酢酸無水物を含有する反応混合物を調製する工程;
    (ii)反応混合物に、ヒドロキシル含有化合物、アミン含有化合物、およびチオール含有化合物からなる群から選択される少なくとも1つの反応物質を加える工程;および
    (iii)反応混合物を−20〜80℃の温度にさらして2−シアノ酢酸エステル、2−シアノ酢酸アミドおよび/または2−シアノ酢酸チオエステルを生成する工程
    を含んでなる方法。
  10. 反応物質が一価の1級アルコールまたは二価の1級アルコールである、請求項9に記載の方法。
  11. 一価の1級アルコールまたは二価の1級アルコールが一般式(II):
    Figure 2013532641
    〔式中、nは1または2であり、RはC1〜40のアルキル基(n=1の場合)、C3〜40アルケニル基(n=1の場合)、C3〜40シクロアルキル基(n=1の場合)、C6〜40アリール基(n=1の場合)、C7〜40アラルキル基(n=1の場合)、C2〜40アルコキシアルキル基(n=1の場合)、C1〜40アルキレン基(n=2の場合)、C3〜40シクロアルキレン基(n=2の場合)、またはC6〜40アリーレン基(n=2の場合)を表す〕
    で示されるアルコールである、請求項10に記載の方法。
  12. 工程(ii)における反応物質と2−シアノ酢酸無水物のモル比が0.4:1〜1.8:1である、請求項9〜11のいずれかに記載の方法。
  13. 工程(ii)において、少なくとも1つの触媒の存在下、少なくとも1つの反応物質を加え、該触媒が2−シアノ酢酸エステル、2−シアノ酢酸アミドおよび/または2−シアノ酢酸チオエステルの生成を触媒する能力を有する、請求項9〜12のいずれかに記載の方法。
  14. 工程(iii)における温度が0〜40℃である、請求項9〜13のいずれかに記載の方法。
  15. 有機溶媒が、ケトン、エステル、炭化水素、ハロゲン化炭化水素、ニトリル、アミドおよびエーテルから選択される、請求項1〜14のいずれかに記載の方法。
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