JP4237367B2 - アミノ酸エステルと酸との塩の製造方法 - Google Patents

アミノ酸エステルと酸との塩の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、甘味料あるいは医薬中間体として有用なアミノ酸エステル酸性塩を高純度で製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
アミノ酸エステル塩酸塩等のアミノ酸エステルと酸との塩は、甘味料、HIVプロテアーゼ阻害剤、およびその他の生理活性物質の中間体として極めて重要な化合物である。
【0003】
上記のような「アミノ酸エステルと酸との塩」の製造方法としては、アミノ酸をアルコールに懸濁させた懸濁液中に塩化水素ガスを化学量論量吹き込む方法(特開平7−101928号公報)、或いはアミノ酸をアルコールに懸濁させた懸濁液中に塩化チオニルを化学量論量滴下する方法{ジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリー(J.Med.Chem.)26巻、4号、549−554頁、1986年}が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来方法では、0.1〜0.3モル%と比較的少ない量ではあるが、不純物となる副生物の生成が避けられないという問題があった。すなわち、例えばアミノ酸エステル塩酸塩の場合、その用途によっては原料以外の不純物含有量が0.1モル%以下のものが望まれており、この様な用途に上記従来法で得られたアミノ酸エステル塩酸塩を使用するためには、再結晶法、再沈法、カラムクロマトグラフィー法等による精製を行わなければならなかった。この様な精製工程を組み込むことは、操作が煩雑になったり、製造に要する時間が長くなるばかりでなく、目的物の単離収率が低下するという問題を引き起こすため、副生物の生成量がより少ない製造方法が望まれている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決すべく、まず、不純物の同定及び該不純物が副生する原因について検討を行った。その結果、上記不純物は、原料として使用するアルコールのアルキル基が置換したN−アルキルアミノ酸エステルと酸との塩であること、及び該不純物が生成するのは、例えば塩化水素ガスを吹き込んで反応させた場合には、ガス導入管先端部近傍領域の反応温度が局部的に高くなっており、しかも該領域における塩化水素ガス濃度が高いため、塩化水素とアルコールとが反応してアルキルクロライドが生成し、これが原料アミノ酸と反応するのが原因であることをつきとめた。
【0006】
そして、本発明者らは上記知見に基づき、N−アルキルアミノ酸エステルと酸との塩の副生を抑制する方法について鋭意検討を行った。その結果、まずアミノ酸を酸と接触させて一旦アミノ酸塩を得、次いで得られた該アミノ酸塩とアルコールとを酸の存在下に反応させた場合には上記副生物の生成量が著しく低下することを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0007】
即ち、本発明は、アミノ酸と酸とを接触させてアミノ酸と酸との塩(以下、アミノ酸・酸塩ともいう。)を得、次いで得られた該塩とアルコールとを酸の存在下に反応させることを特徴とするアミノ酸エステルと酸との塩(以下、アミノ酸エステル・酸塩ともいう。)の製造方法である。
【0008】
上記の本発明の製造方法では、実質的に全ての原料アミノ酸がアミノ酸・酸塩に転化してからアルコール及び酸と接触するため、アルコールと酸とが反応してアルキルクロライドのようなエステルが生成したとしても、該エステルとアミノ酸・酸塩との反応性は低いので、前記副生物は生成しない。
【0009】
上記本発明の製造方法の中でも、アミノ酸と接触させる酸として酸水溶液を用い、アミノ酸と該酸水溶液との接触を水と共沸混合物を形成する有機溶媒の存在下で行ってアミノ酸と酸との塩を得た後、又はアミノ酸と酸水溶液の接触を行って得られたアミノ酸と酸との塩を含む水性溶液と、水と共沸混合物を形成する有機溶媒とを混合した後、共沸蒸留を行うことにより水を除去し、次いで残留物中の前記塩とアルコールとを酸の存在下に反応させることによりアミノ酸エステルと酸との塩を製造する方法は、取扱いが容易で安価な酸水溶液が使用でき、しかも前記副生物の生成が低減されるという特長がある。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の製造方法では、先ずアミノ酸と酸とを接触させてアミノ酸・酸塩を形成させる(以下、この工程をアミノ酸・酸塩生成工程とも言う。)。
【0011】
ここで使用するアミノ酸としては、分子内にアミノ基、及びカルボキシル基又はカルボキシル基から誘導される基をそれぞれ少なくとも1個有する公知の化合物が何等制限なく使用できる。ここでアミノ基とは1級または2級のアミノ基を意味し、例えばアルキル基、またはアラルキル基などの炭化水素基で置換されたモノ置換アミノ基、ピロリジル基等の窒素原子に少なくとも1個の水素原子が結合している基を意味する。
【0012】
また、カルボキシル基から誘導される基とは、カルボキシル基(−COOH基)のプロトンが他の陽イオンで置換されて塩の形となった基、エステル化したアルコキシカルボニル基等のカルボキシル基から誘導される基であって、エステル化反応又はエステル交換反応が可能な基を意味する。
【0013】
本発明において好適に使用し得るアミノ酸を具体的に例示すれば、グリシン、フェニルグリシン、N−メチルグリシン、N−エチルグリシン、N−ベンジルグリシン、ヒドロキシフェニルグリシン、アラニン、N−メチルアラニン、N−エチルアラニン、N−ベンジルアラニン、β−アラニン、N−メチル−β−アラニン、N−エチル−β−アラニン、N−ベンジル−β−アラニン、セリン、ホモセリン、イソセリン、O−ベンジルセリン、システイン、S−アセトアミドシステイン、シスチン、ホモシスチン、トレオニン、O−ベンジルトレオニン、メチオニン、ホモメチオニン、バリン、N−メチルバリン、N−エチルバリン、N−ベンジルバリン、ノルバリン、N−メチルノルバリン、N−エチルノルバリン、N−ベンジルノルバリン、ロイシン、N−メチルロイシン、N−エチルロイシン、N−ベンジルロイシン、ノルロイシン、N−メチルノルロイシン、N−エチルノルロイシン、N−ベンジルノルロイシン、イソロイシン、N−メチルイソロイシン、N−エチルイソロイシン、N−ベンジルイソロイシン、フェニルアラニン、N−メチルフェニルアラニン、N−エチルフェニルアラニン、N−ベンジルフェニルアラニン、ヒドロキシフェニルアラニン、O−ベンジルチロシン、チロシン、O−ベンジルチロシン、プロリン、ヒドロキシプロリン、O−ベンジルヒドロキシプロリン、トリプトファン、アスパラギン酸、アスパラギン、グルタミン酸、ホモグルタミン酸、グルタミン、アルギニン、N−トシルアルギニン、N−ベンジルアルギニン、オルニチン、ヒスチジン、α−アミノ酪酸、β−アミノ酪酸、γ−アミノ酪酸、α−アミノイソ酪酸、リジン等を挙げることができる。
【0014】
これらのアミノ酸は、それぞれ置換基を有していてもよく、また、それらが保護されてもよい。さらに、光学活性体でも、光学異性体を含むラセミ混合物であっても、異種のアミノ酸の混合物であってもよい。
【0015】
アミノ酸・酸塩生成工程で使用される酸としては公知のものが何ら制限なく使用できるが、反応性から水溶液中における酸解離指数pKaが2.0以下、特に1.0以下の酸を用いるのが好適である。ここで、上記酸のpKaは、該酸が硫酸のような多塩基酸の場合であれば、その値がもっとも小さくなる第一段の解離での値をいう。尚、こうした小さいpKaを示す酸性基を有する化合物であっても、アミノ酸の如く同時にアミノ基のような塩基性を有する化合物は分子全体としては強酸性を呈さないため、本発明における酸とは区別される。
【0016】
本発明において好適に使用される酸を具体的に示せば塩化水素、硫酸、硝酸、りん酸等の鉱酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸等の有機酸が挙げられる。また、これら酸は水溶液の形で使用することもできる。これらの中でも汎用性から塩化水素、硫酸、又はこれらの水溶液を用いるのが最も好ましい。
【0017】
本発明においては、後述するアルコールとの反応の前に、原料として使用するアミノ酸がアミノ酸・酸塩に転化していることが重要である。アルコールとの反応時に反応系内にアミノ酸が残っていると、その量にもよるが前記副生物が生成するようになる。このため、アミノ酸・酸塩生成工程における酸の使用量は、アミノ酸1グラム当量に対して1グラム当量以上であるのが好適である。なお、該工程に於いて、アミノ酸は塩基として作用し、そのアミノ基と酸とが中和反応を起こす。該工程で塩形成に使用されなかった余剰の酸は、次の工程でそのまま使用することが出来るため、酸の使用量の上限は特に限定されないが、最終的に余った酸は処理する必要があるため、過剰使用の防止の観点から、アミノ酸1グラム当量に対して20グラム当量以下、特に15グラム当量以下であるのが好適である。
【0018】
アミノ酸・酸塩生成工程において、アミノ酸と酸とを接触させる方法は、両者が良好に接触できる方法であれば特に限定されず、アミノ酸の溶液若しくは懸濁液と酸とを攪拌混合する方法等により好適に行うことが出来る。このとき、両者の混合順序や混合方法は特に限定されず、酸の種類などに応じて適宜決定すればよい。例えば、用いる酸が塩化水素等のガス状の酸である場合、アミノ酸の溶液若しくは懸濁液中に酸を吹き込んでもよく、また反応器内の気相部に吹き込んで気液接触させてもよい。また、液状の酸を用いる場合には、アミノ酸の溶液若しくは懸濁液に該酸を添加してもよく、逆に酸にアミノ酸の溶液若しくは懸濁液を添加してもよい。
【0019】
上記のように溶媒又は分散媒を用いてアミノ酸と酸とを接触させる場合、溶媒若しくは分散媒は特に限定されず、次のような点を勘案して、使用する酸の種類や装置の形式等に応じて水または公知の有機溶媒の中から適宜選択して用いればよい。即ち、酸として酸水溶液を用いた場合には、その価格が安価であるため原料コストを低減するができ、しかも取り扱いが容易で、ガス供給装置を用いる必要がないと言ったメリットがある反面、その後のアルコールとの反応の前に脱水操作を行う必要がある。また、それとは逆に、酸としてガス状の酸等、水を含まないものを用いた場合には、価格が高くガス供給ライン等が必要となる反面、脱水操作を行うことなく次の工程に移ることが出来るというメリットがある。したがって、この様なメリット、デメリットを考慮して使用する溶媒又は分散媒を決定すればよい。
【0020】
アミノ酸・酸生成工程で使用する有機溶媒としては、公知の有機溶媒が何ら制限なく使用される。好適に使用できる有機溶媒を具体的に例示するとジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、四塩化炭素、トリクロロエチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸t−ブチル、ギ酸エチル、ギ酸n−プロピル、ギ酸イソブチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸t−ブチル等のエステル類、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン等の芳香族炭化水素、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、p−ジクロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素、ジエチルエーテル、エチルメチルエーテル、ブチルエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、ジメチルカーボネート等のカーボネート類、アセトニトリル等のニトリル類、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、トリメチルペンタン等の脂肪族炭化水素類、シクロヘキサン等の環状脂肪族炭化水素類等が挙げられる。
【0021】
これらの中でも、取り扱い易さという観点からジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化脂肪族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、ギ酸エチル、ギ酸n−プロピル、ギ酸イソブチル、プロピオン酸エチル等のエステル類、ベンゼン、トルエン、m−キシレン等の芳香族炭化水素、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、エチルメチルエーテル、ブチルエチルエーテル等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、ジメチルカーボネート等のカーボネート類、アセトニトリル等のニトリル類、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、シクロヘキサン等の環状脂肪族炭化水素類等を使用するのが好ましい。なお、これらの有機溶媒は2種類以上組み合わせて使用してもよい。特に、酸として酸水溶液を用いる場合には、後述する脱水操作時に別途“水と共沸混合物を形成する有機溶媒”を添加する手間が省けるため、この様な有機溶媒を用いるのが好適である。
【0022】
水又は有機溶媒を使用する場合、その使用量は特に限定されないが、あまり多いと仕込み量が減少するため1バッチ当たりの収量が減少するため、溶液若しくは懸濁液中に加える酸の質量が、全容液若しくは懸濁液の0.1〜99質量%、特には1〜80質量%になるような量を使用するのが好適である。
【0023】
アミノ酸・酸塩生成工程における反応条件は、系に応じて適宜決定すればよいが、反応温度としては、中和時に熱が発生するため、溶媒又は分散媒の凝固点〜100℃の範囲、好ましくは−30℃〜80℃の範囲であることが好適である。また、反応圧力は、大気圧下、減圧下、加圧下のいずれでもよい。さらに、反応は、回分式、連続式のいずれでも実施可能である。
【0024】
本発明の製造方法においては、アミノ酸・酸塩生成工程に引き続いて、該工程で得られたアミノ酸・酸塩とアルコールとを酸の存在下にエステル化反応させて目的物であるアミノ酸エステル・酸塩を生成させる(以下、この工程をエステル化工程ともいう。)。該エステル化工程においては、反応系内に水が存在するとエステル化反応が円滑に進行しなくなるので、該工程を行うに際しては、系内を実質的に無水の状態にしておくことが好ましい。そのため、アミノ酸・酸塩生成工程において酸として酸水溶液を使用したり、溶媒若しくは分散媒として水を含む有機溶媒を用いた場合には、エステル化工程を行う前に脱水処理を行う必要がある。なお、ここでいう実質的に無水とは、エステル化反応に悪影響を与えるような量の水は含まないという意味であり、このような量の目安としては、反応系内の水分量が、2.0質量%以下、好ましくは1.5質量%以下という量が挙げられる。
【0025】
このときの脱水方法は特に限定されないが、脱水効率の高さ及び操作の簡便性といった観点から、アミノ酸・酸塩生成工程終了後に得られた反応液と“水と共沸混合物を形成する有機溶媒(以下、水共沸有機溶媒ともいう。)”とを混合し、共沸蒸留を行うことにより水を除去するのが好適である。なお、アミノ酸・酸塩生成工程における溶媒又は分散媒として水共沸有機溶媒を使用した場合には、改めて水共沸有機溶媒を添加することなく、そのまま共沸蒸留による脱水を行うことも出来る。
【0026】
この時使用できる水共沸有機溶媒を具体的に例示すると、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、cis−1,2−ジクロロエチレン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエタン、1−クロロプロパン等のハロゲン化脂肪族炭化水素類、ぎ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ビニル、プロピオン酸メチル、アクリル酸エチル、イソ酪酸メチル、ぎ酸イソブチル、ぎ酸ブチル、酢酸アリル、酢酸イソプロペニル、酢酸プロピル、硝酸イソペンチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ビニル、メタクリル酸メチル、酪酸メチル、イソ吉草酸メチル、イソ酪酸エチル、ぎ酸イソペンチル、酢酸イソブチル、酢酸エチレン、酢酸ブチル、酪酸エチル、アクリルサンブチル、イソ吉草酸エチル、イソ酪酸イソプロピル、イソ酪酸プロピル、酢酸アミル、酢酸イソペンチル、ヘキサン酸メチル、酪酸プロピル、安息香酸メチル、イソ酪酸イソブチル、酢酸フェニル、フマル酸ジエチル、酪酸イソブチル、安息香酸エチル、イソ酪酸イソペンチル、酢酸ベンジル、酪酸イソペンチル、安息香酸プロピル、けい皮酸メチル、フタル酸ジメチル、マレイン酸ジイソプロピル、安息香酸イソブチル、安息香酸イソペンチル、フタル酸ジエチル、フマル酸ジn−ブチル、マレイン酸ジn−ブチル、リン酸トリn−ブチル等のエステル類、ベンゼン、ナフタレン、トルエン、m−キシレン等の芳香族炭化水素類、クロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素類、アセトニトリル、アクリロニトリル、ブチロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル類、1,4−ジオキサン、1,3,5−トリオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ブチルメチルエーテル、イソプロピルエーテル、イソプロピルプロピルエーテル、エチルイソブチルエーテル、エチルブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソペンチルエーテル、ジブチルエーテル、ジフェニルエーテル等のエーテル類、エチルメチルケトン、アセチルアセトン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、3−ペンテン−2−オン、3−メチル−2−ブタノン、3−メチル−2−ブテン−2−オン、シクロヘキサノン、3−ヘプテン−2−オン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、アセトフェノン、2,6−ジメチル−4−ヘプタノン等のケトン類、炭酸ジエチル等のカーボネート類、ペンタン、ヘキサン、ノナン、オクタン、ヘプタン、ウンデカン、ドデカン等の脂肪族炭化水素類、シクロヘキサン等の環状脂肪族炭化水素類等があげられる。これらの有機溶媒は二種類以上組み合わせて使用しても良い。
【0027】
上記水共沸有機溶媒の中でも、取り扱い簡便さの点から、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化脂肪族炭化水素類、ぎ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ビニル、プロピオン酸メチル、アクリル酸エチル、イソ酪酸メチル、ぎ酸イソブチル、ぎ酸ブチル、酢酸イソプロペニル、酢酸プロピル、硝酸イソペンチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ビニル酢酸イソブチル、酢酸エチレン、酢酸ブチル、酪酸エチル、安息香酸メチル、イソ酪酸イソブチル、酢酸フェニル、フマル酸ジエチル、酪酸イソブチル、安息香酸エチル、酢酸ベンジル、酪酸イソペンチル、安息香酸プロピル、リン酸トリn−ブチル等のエステル類、ベンゼン、トルエン、m−キシレン等の芳香族炭化水素類、クロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素類、アセトニトリル、アクリロニトリル等のニトリル類、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ブチルメチルエーテル、イソプロピルエーテル、イソプロピルプロピルエーテル、エチルイソブチルエーテル、エチルブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジイソペンチルエーテル、ジブチルエーテル等のエーテル類、エチルメチルケトン、アセチルアセトン等のケトン類、炭酸ジエチル等のカーボネート類、ペンタン、ヘキサン、ノナン、オクタン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、シクロヘキサン等の環状脂肪族炭化水素類等を使用するのが特に好適である。
【0028】
脱水処理時における水共沸有機溶媒の使用量は、水共沸有機溶媒の種類、アミノ酸・酸塩生成工程後の反応液の組成によって異なるため一概に規定することは出来ないが、反応液中の水が実質的に全て水共沸溶媒と共沸混合物を形成するのに使用されるのに充分な量使用するのが好ましい。通常、反応系内の水と水共沸有機溶媒の合計質量を100とした場合、水共沸有機溶媒の割合が0.1〜90質量%、好ましくは1〜80質量%となるような量使用するのが好適である。なお、アミノ酸・酸塩生成工程後の反応液に大量の水が存在する場合には、蒸留により水を粗取りしてこくことが、水共沸有機溶媒の使用量を少なくする上で好適である。
【0029】
水共沸有機溶媒と反応液とを混合する場合、その混合方法は特に限定されないが、操作の簡便性からアミノ酸・酸生成工程後に得られた反応液に水共沸有機溶媒を添加するのが好適である。水共沸有機溶媒を添加するタイミングについては、使用するアミノ酸、有機溶媒の種類、系内の水の量によっても異なるが、脱水前に必要量を一度に添加しても良く、最初に少量添加してある程度脱水した後、必要量の残分を一気にあるいは反応液の様子を見ながら逐次的に添加しても良い。
【0030】
水共沸有機溶媒と反応液とを混合後に共沸蒸留する方法は、通常行われる共沸蒸留と特に変わるところはなく、共沸組成等に応じて適宜決定すればよい。一般的には、系の凝固点〜200℃、好ましくは0℃〜150℃の蒸留温度で、常圧もしくは減圧下で行うことができる。また、蒸留は、回分式、連続式のいずれでも実施可能である。
【0031】
共沸蒸留による脱水の終点の見極めはカールフィッシャー法等を用いて残留物の分析を行ない、水分量が2質量%以下、好ましくは1.5質量%以下になったところを終点とすればよい。残留物中の水分量が2質量%以下であれば、エステル化反応にはほとんど支障がない。また、残留物中に水共沸有機溶媒またはアミノ酸・酸塩生成工程で溶媒等として使用された有機溶媒が残ることもあるが、これら有機溶媒は、以後のエステル化反応には悪影響を与えることはない。
【0032】
本発明の製造方法では、アミノ酸・酸塩生成工程に引き続き、該工程で得られた反応液中に水が含まれない場合にはそのまま、また水を含む場合には上記のような脱水処理をした後、それぞれアミノ酸・酸塩生成工程で得られたアミノ酸・酸塩とアルコールとを酸の存在化で反応(エステル化反応)させるエステル化工程を行なう。
【0033】
該エステル化工程で使用するアルコールは特に制限されないが、エステル化反応の反応性から好適には、炭素数が1〜10のものが好ましい。このようなアルコールを具体的に示せば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール、イソアミルアルコール、イソアミルアルコール、t−アミルアルコール、n−ヘキシルアルコール、シクロヘキシルアルコール、アリルアルコール、ベンジルアルコール等を挙げることができる。なお、これらのアルコールは、2種類以上組み合わせて使用しても良く、目的に応じて選択使用される。
【0034】
これら炭素数1〜10のアルコールの中でも、エステルへの転換が容易なメチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ヘキシルアルコール、シクロヘキシルアルコール、ベンジルアルコール等を使用するのが特に好ましい。
【0035】
該エステル化工程におけるエステル化反応ではアミノ酸・酸塩は酸として働き、該塩のカルボキシル基に対してアルコール1分子が反応するため、エステル化工程におけるアルコールの使用量は、該塩1グラム当量に対して1グラム当量以上であれば何等制限はないが、アルコールは、一般に溶媒としての役割も兼ねるため、過剰量用いるのが好適である。しかし、あまり量が多いと、一バッチ当たりの収量が低下し経済的ではないため、通常アルコール中のアミノ酸・酸塩の濃度が0.1〜90質量%、好ましくは1〜80質量%になるように用いると良い。
【0036】
エステル化工程においては溶媒を使用するのが好適である。溶媒としてはアルコールと反応性を有さないものであればよく、過剰量のアルコール、アミノ酸・酸塩生成工程で使用した溶媒あるいは分散媒として使用した有機溶媒、脱水処理時に混合し、残留した水共沸有機溶媒がこの時の溶媒を兼ねることもできるが、その他の有機溶媒を別途加えてもよい。
【0037】
このときに溶媒として好適に使用できる有機溶媒を具体的に例示するとジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、四塩化炭素、トリクロロエチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸t−ブチル、ギ酸エチル、ギ酸n−プロピル、ギ酸イソブチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸t−ブチル等のエステル類、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン等の芳香族炭化水素、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、p−ジクロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ブチルエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、ジメチルカーボネート等のカーボネート類、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、トリメチルペンタン等の脂肪族炭化水素類、シクロヘキサン等の環状脂肪族炭化水素類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。なお、これらの有機溶媒は2種類以上組み合わせて使用しても良い。
【0038】
これら有機溶媒の使用量としては、アルコールの使用量や用いる有機溶媒の種類によっても異なるため、一概には言えないが、通常アミノ酸・酸塩の濃度が0.1〜90質量%、好ましくは1〜80質量%となるように、アルコールと有機溶媒との総量を定めるのが一般的である。
【0039】
アミノ酸・酸塩のエステル化反応は、水によって大きく阻害されるため、本反応に使用されるアルコールおよび有機溶媒の水の含量は、アミノ酸酸性塩に対して1質量%以下、好ましくは0.5質量%以下となるように調製する。アルコールの脱水方法としては、化合物の種類によって大きく異なるため、一概には言えないが、一般的には共沸脱水法、塩化カルシウム、酸化カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、カルシウムハイドライド、ナトリウムハイドライド、ナトリウム、五酸化二リン等の脱水剤を用いる方法が、採用される。
【0040】
アミノ酸・酸塩とアルコールとをエステル化剤としての酸の存在下に接触させるとエステル化反応が進行し、目的物であるアミノ酸エステル・酸塩が得られる。この時、使用されるエステル化剤としての酸としては、塩化水素、硫酸、硝酸、りん酸等の鉱酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸等の有機酸、塩化チオニル等の公知の酸が使用可能であるが、反応性の高さ点から塩化水素、硫酸、塩化チオニルを用いることが好ましい。特に、これら好ましい酸の中で、アミノ酸・酸塩を形成するときに使用した酸と同じ酸を用いてエステル化を行うことが、操作上最も簡便である。
【0041】
エステル化工程におけるエステル化剤としての酸の使用量は特に制限されるものではないが、エステル化反応を完結させるためにはアミノ酸・酸塩中に存在するカルボキシル基の総モル数の0.1倍以上加えることが好ましい。なお、アミノ酸・酸塩生成工程において使用した酸が反応系内に上記量以上残っている場合には、新たに酸を加える必要は特にない。
【0042】
エステル化工程において反応系に酸を加える方法は特に限定されることなく、アミノ酸・酸塩生成工程における場合と同様に用いる酸の種類に応じて好適な方法を適宜選択すればよい。
【0043】
エステル化工程におけるエステル化反応は、酸の存在下にアミノ酸・酸塩とアルコールとを接触させることにより進行する。通常は、アミノ酸・酸塩形成工程後、必要に応じて脱水処理を行ない、その後の反応系にアルコール、必要に応じて溶媒、および酸を加え、攪拌混合することにより好適に行なうことができる。このとき反応は、大気下での実施が可能であるが、その場合大気中の水分によって、反応の進行が阻害される場合もあるため、反応液は塩化カルシウム等の乾燥剤を通して大気に開放させるか、または窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性気体雰囲気下、或いは密閉下で行うのが好ましい。
【0044】
このときの反応の温度は、特に制限されないが、高すぎると使用するアミノ酸酸・酸塩が光学活性体の場合にはアミノ酸・酸塩のラセミ化を生じ、低すぎると著しくエステル化反応速度が低下する。このため、反応温度は、系の凝固点〜反応時の圧力下での沸点、好ましくは−50℃〜100℃の範囲、特に−20〜80℃の範囲で布が行なうのが好適である。また、反応時間は反応温度、使用するアルコールおよびアミノ酸・酸塩の種類によっても異なるが、通常は0.1〜120時間の範囲である。さらに、エステル化工程における反応は回分式、連続式のいずれでも実施可能である。
【0045】
このようにして得られた反応液から、溶媒を留去すれば目的物であるアミノ酸エステル・酸塩を得ることができる。目的物が液体または油状物である場合はそのまま、あるいは、有機溶媒を添加して溶解させ該有機溶媒の溶液として単離可能であるが、結晶として回収する場合は、かかる有機溶媒から再結晶や再沈等の公知の方法により晶析させても良い。
【0046】
ここで、析出したアミノ酸エステル・酸塩の固液分離方法は公知の方法が特に制限されることなく採用され、例えば、自然ろ過、加圧ろ過、減圧ろ過等のろ過方法、デカンテーション、あるいは遠心分離等の方法が挙げられる。
【0047】
さらにアミノ酸エステル・酸塩を他の有機溶媒に置換して、溶解あるいは懸濁させて単離しても良い。
【0048】
また、反応終了後、アミノ酸エステル・酸塩を含む反応液をアミンあるいは無機塩基により中和して、アミノ酸エステルとして取り出し、アミノ基の保護反応、増炭反応、エステル部位の還元反応、ペプチド合成など目的とする次の反応に進んでも良い。
【0049】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例に制限されるものではない。
【0050】
実施例1
撹拌機、温度計を備え付けた2Lの四つ口フラスコにL−フェニルアラニン165.19g(1.00mol)、2N−塩酸水溶液500ml(HCl:1.00mol)を0℃で添加し、1時間攪拌し、L−フェニルアラニン塩酸塩を調製した。その後、反応液から水400gを減圧留去した後、反応液に酢酸ブチル300mlを3回のフラクションに分け逐次添加し水を共沸留去した。反応液の水分量が0.5質量%となったところで留去を終了した。次に、メタノール248g(7.74mol)を加え10℃以下に冷却した。さら塩化水素ガス36.46g(1.00mol)を液相部に供給した。供給終了後、反応液を35℃に昇温させ温度を維持したまま6時間攪拌した。反応終了後、反応液を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で定量したところ、L−フェニルアラニン塩酸塩0.50mol%、L−フェニルアラニンメチルエステル塩酸塩99.50mol%でありN−メチル−L−フェニルアラニンメチルエステル塩酸塩は検出されなかった。
【0051】
実施例2
撹拌機、温度計を備え付けた2Lの四つ口フラスコにL−フェニルアラニン165.19g(1.00mol)、5N−硫酸水溶液100ml(HCl:0.50mol)を0℃で添加し、1時間攪拌し、L−フェニルアラニン塩酸塩を調製した。その後、トルエン500mlを加え減圧下で水を共沸留去した。反応液の水分量が1.4質量%となったところで留去を終了した。さらに撹拌機、温度計を備え付けた2Lのガラス製オートクレーブに反応液を移液し、メタノール248g(7.74mol)を加え10℃以下に冷却した。次に塩化水素ガス36.46g(1.00mol)を密閉で反応容器の内圧が1.0kgf/cm2となるように調整しながら気相部に供給した。気液接触終了後、反応液を35℃に昇温し温度を維持したまま6時間攪拌した。反応終了後、反応液をHPLCで定量したところ、L−フェニルアラニン硫酸塩0.52mol%、L−フェニルアラニンメチルエステル硫酸塩99.48mol%でありN−メチル−L−フェニルアラニンメチルエステル硫酸塩は検出されなかった。
【0052】
実施例3
撹拌機、温度計を備え付けた2Lの四つ口フラスコにD−フェニルアラニン165.19g(1.00mol)、トルエン200mlを0℃で添加した。その後、塩化水素36.46g(1.00mol)を液相部に供給し、1時間攪拌し、D−フェニルアラニン塩酸塩を調製した。さらにメタノール248g(7.74mol)を加え10℃以下に冷却後、塩化水素ガス36.46g(1.00mol)を液相部に供給した。その後、反応液を45℃に昇温し温度を維持したまま7時間攪拌した。反応終了後、反応液をHPLCで定量したところ、D−フェニルアラニン塩酸塩0.48mol%、D−フェニルアラニンメチルエステル塩酸塩99.52mol%であり、N−メチル−D−フェニルアラニンメチルエステル塩酸塩は検出されなかった。
【0053】
実施例4
撹拌機、温度計を備え付けた2Lの四つ口フラスコにD−フェニルアラニン165.19g(1.00mol)、トルエン200mlを0℃で添加した。その後、塩化水素36.46g(1.00mol)を液相部に供給し、1時間攪拌し、D−フェニルアラニン塩酸塩を調製した。さらにメタノール248g(7.74mol)を加え10℃以下に冷却後、99質量%硫酸99.06g(1.00mol)を滴下した。その後、反応液を45℃に昇温し温度を維持したまま7時間攪拌した。反応終了後、反応液をHPLCで定量したところ、D−フェニルアラニン塩酸塩0.48mol%、D−フェニルアラニンメチルエステル塩酸塩99.52mol%でありN−メチル−D−フェニルアラニンメチルエステル塩酸塩は検出されなかった。
【0054】
実施例5
撹拌機、温度計を備え付けた2Lの四つ口フラスコにD−フェニルアラニン165.19g(1.00mol)、トルエン400mlを0℃で添加した。その後、塩化水素72.92g(2.00mol)を液相部に供給し、1時間攪拌しD−フェニルアラニン塩酸塩を調製した。さらにメタノール248g(7.74mol)を加え反応液を45℃に昇温し温度を維持したまま8時間攪拌した。反応終了後、反応液をHPLCで定量したところ、D−フェニルアラニン塩酸塩0.46mol%、D−フェニルアラニンメチルエステル塩酸塩99.54mol%でありN−メチル−D−フェニルアラニンメチルエステル塩酸塩は検出されなかった。
【0055】
比較例1
撹拌機、温度計を備え付けた2Lのガラス製オートクレーブに、L−フェニルアラニン165.19g(1.00mol)、メタノール248g(7.74mol)を加え10℃以下に冷却した。次に塩化水素72.92g(2.00mol)を液相部に供給した。気液接触終了後、反応液を35℃に昇温し温度を維持したまま6時間攪拌した。反応終了後、反応液をHPLCで定量したところ、各生成物のL−フェニルアラニン基準の収率はL−フェニルアラニン塩酸塩0.50mol%、L−フェニルアラニンメチルエステル塩酸塩99.30mol%、N−メチル−L−フェニルアラニンメチルエステル塩酸塩0.20mol%であった。
【0056】
比較例2
撹拌機、温度計を備え付けた2Lのガラス製オートクレーブに、D−フェニルアラニン165.19g(1.00mol)、メタノール248g(7.74mol)を加え10℃以下に冷却した。次に塩化水素72.92g(2.00mol)を液相部に供給した。気液接触終了後、反応液を35℃に昇温し温度を維持したまま6時間攪拌した。反応終了後、反応液をHPLCで定量したところ、D−フェニルアラニン塩酸塩0.50mol%、D−フェニルアラニンメチルエステル塩酸塩99.29mol%、N−メチル−D−フェニルアラニンメチルエステル塩酸塩0.21mol%であった。
【0057】
上記比較例1および2は、アルコール存在下でアミノ酸酸性塩の形成とエステル化反応を同時に行った例である。いずれの場合も不純物であるN−アルキル−アミノ酸エステルと酸との塩が副生している。
【0058】
実施例6〜13
アミノ酸、アルコール、水共沸有機溶媒、エステル化反応の温度、エステル化反応の反応時間を表1に示すように変えた以外は実施例1と同様に操作した。実施例1と同様にして求めた原料アミノ酸基準の各生成物の収率(HPLC分析値)も表1に示した。
【0059】
【表1】
Figure 0004237367
【0060】
実施例14〜24
アミノ酸、エステル化反応の温度、エステル化反応の反応時間を表2に示すように変えた以外は実施例5と同様に操作した。実施例5と同様にして求めた原料アミノ酸基準の各生成物の収率(HPLC分析値)も表2に示した。
【0061】
【表2】
Figure 0004237367
【0062】
実施例25
撹拌機、温度計を備え付けた2Lの四つ口フラスコにグリシン75.07g(1.00mol)、酢酸エチル200mlを0℃で添加した。その後、塩化水素36.46g(1.00mol)を液相部に供給し、1時間攪拌し、グリシンの塩酸塩を調製した。さらにエタノール248g(5.38mol)を加え10℃以下に冷却後、塩化チオニル119g(1.00mol)を滴下した。その後、反応液を45℃に昇温し温度を維持したまま7時間攪拌した。反応終了後、反応液をHPLCで定量したところ、グリシン塩酸塩0.10mol%、グリシンエチルエステル塩酸塩99.90mol%でありN−エチル−グリシンエチルエステル塩酸塩は検出されなかった。
【0063】
【発明の効果】
本発明の製造方法では、従来のアミノ酸エステル・酸塩の製造方法では、その副生を避けることができなかったN−アルキル−アミノ酸エステルと酸との塩の生成を著しく低減することができる。そのため、目的物の生成工程を簡略さすることが可能となる。また、その工程中に水共沸有機溶媒を加えて脱水処理を行なうことにより、安価な酸水溶液を使用することもできる。
【0064】
このように、本発明の製造方法は、操作性、効率性、および経済性の点から興行的に優れたアミノ酸エステル・酸塩の製造方法であるといえる。

Claims (2)

  1. アミノ酸と酸とを接触させてアミノ酸と酸との塩を得、次いで得られた該塩とアルコールとを酸の存在下に反応させて、アミノ酸エステルと酸との塩を製造する方法であって、
    アミノ酸と接触させる酸として酸水溶液を用い、アミノ酸と該酸水溶液との接触を、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、cis−1,2−ジクロロエチレン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエタン、1−クロロプロパン、ぎ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ビニル、プロピオン酸メチル、アクリル酸エチル、イソ酪酸メチル、ぎ酸イソブチル、ぎ酸ブチル、酢酸アリル、酢酸イソプロペニル、酢酸プロピル、硝酸イソペンチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ビニル、メタクリル酸メチル、酪酸メチル、イソ吉草酸メチル、イソ酪酸エチル、ぎ酸イソペンチル、酢酸イソブチル、酢酸エチレン、酢酸ブチル、酪酸エチル、アクリル酸ブチル、イソ吉草酸エチル、イソ酪酸イソプロピル、イソ酪酸プロピル、酢酸アミル、酢酸イソペンチル、ヘキサン酸メチル、酪酸プロピル、安息香酸メチル、イソ酪酸イソブチル、酢酸フェニル、フマル酸ジエチル、酪酸イソブチル、安息香酸エチル、イソ酪酸イソペンチル、酢酸ベンジル、酪酸イソペンチル、安息香酸プロピル、けい皮酸メチル、フタル酸ジメチル、マレイン酸ジイソプロピル、安息香酸イソブチル、安息香酸イソペンチル、フタル酸ジエチル、フマル酸ジn−ブチル、マレイン酸ジn−ブチル、リン酸トリn−ブチル、ベンゼン、ナフタレン、トルエン、m−キシレン、クロロベンゼン、アセトニトリル、アクリロニトリル、ブチロニトリル、メタクリロニトリル、1,4−ジオキサン、1,3,5−トリオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ブチルメチルエーテル、イソプロピルエーテル、イソプロピルプロピルエーテル、エチルイソブチルエーテル、エチルブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソペンチルエーテル、ジブチルエーテル、ジフェニルエーテル、エチルメチルケトン、アセチルアセトン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、3−ペンテン−2−オン、3−メチル−2−ブタノン、3−メチル−2−ブテン−2−オン、シクロヘキサノン、3−ヘプテン−2−オン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、アセトフェノン、2,6−ジメチル−4−ヘプタノン、炭酸ジエチル、ペンタン、ヘキサン、ノナン、オクタン、ヘプタン、ウンデカン、ドデカン、およびシクロヘキサンからなる群より選ばれる少なくとも1種の水と共沸混合物を形成する有機溶媒の存在下で行って、アミノ酸と酸との塩を得た後、共沸蒸留を行うことにより水を除去し、次いで残留物中の前記塩とアルコールとを酸の存在下に反応させることを特徴とするアミノ酸エステルと酸との塩の製造方法。
  2. アミノ酸と酸とを接触させてアミノ酸と酸との塩を得、次いで得られた該塩とアルコールとを酸の存在下に反応させて、アミノ酸エステルと酸との塩を製造する方法であって、
    アミノ酸と接触させる酸として酸水溶液を用い、アミノ酸と該酸水溶液の接触を行って得られたアミノ酸と酸との塩を含む水性溶液と、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、cis−1,2−ジクロロエチレン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエタン、1−クロロプロパン、ぎ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ビニル、プロピオン酸メチル、アクリル酸エチル、イソ酪酸メチル、ぎ酸イソブチル、ぎ酸ブチル、酢酸アリル、酢酸イソプロペニル、酢酸プロピル、硝酸イソペンチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ビニル、メタクリル酸メチル、酪酸メチル、イソ吉草酸メチル、イソ酪酸エチル、ぎ酸イソペンチル、酢酸イソブチル、酢酸エチレン、酢酸ブチル、酪酸エチル、アクリル酸ブチル、イソ吉草酸エチル、イソ酪酸イソプロピル、イソ酪酸プロピル、酢酸アミル、酢酸イソペンチル、ヘキサン酸メチル、酪酸プロピル、安息香酸メチル、イソ酪酸イソブチル、酢酸フェニル、フマル酸ジエチル、酪酸イソブチル、安息香酸エチル、イソ酪酸イソペンチル、酢酸ベンジル、酪酸イソペンチル、安息香酸プロピル、けい皮酸メチル、フタル酸ジメチル、マレイン酸ジイソプロピル、安息香酸イソブチル、安息香酸イソペンチル、フタル酸ジエチル、フマル酸ジn−ブチル、マレイン酸ジn−ブチル、リン酸トリn−ブチル、 ベンゼン、ナフタレン、トルエン、m−キシレン、クロロベンゼン、アセトニトリル、アクリロニトリル、ブチロニトリル、メタクリロニトリル、1,4−ジオキサン、1,3,5−トリオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ブチルメチルエーテル、イソプロピルエーテル、イソプロピルプロピルエーテル、エチルイソブチルエーテル、エチルブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソペンチルエーテル、ジブチルエーテル、ジフェニルエーテル、エチルメチルケトン、アセチルアセトン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、3−ペンテン−2−オン、3−メチル−2−ブタノン、3−メチル−2−ブテン−2−オン、シクロヘキサノン、3−ヘプテン−2−オン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、アセトフェノン、2,6−ジメチル−4−ヘプタノン、炭酸ジエチル、ペンタン、ヘキサン、ノナン、オクタン、ヘプタン、ウンデカン、ドデカン、およびシクロヘキサンからなる群より選ばれる少なくとも1種の水と共沸混合物を形成する有機溶媒とを混合した後、共沸蒸留を行うことにより水を除去し、次いで残留物中の前記塩とアルコールとを酸の存在下に反応させることを特徴とするアミノ酸エステルと酸との塩の製造方法。
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