JP3325225B2 - N−炭化水素オキシカルボニルアミノ酸エステルの製造方法 - Google Patents

N−炭化水素オキシカルボニルアミノ酸エステルの製造方法

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JP3325225B2 JP10918298A JP10918298A JP3325225B2 JP 3325225 B2 JP3325225 B2 JP 3325225B2 JP 10918298 A JP10918298 A JP 10918298A JP 10918298 A JP10918298 A JP 10918298A JP 3325225 B2 JP3325225 B2 JP 3325225B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、医薬中間体として有用
なN−炭化水素オキシカルボニルアミノ酸エステルを高
純度で製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】N−炭化水素オキシカルボニルアミノ酸
エステルはHIVプロテアーゼ阻害剤およびその他の生
理活性物質の中間体として極めて重要な化合物である。
【0003】従来のN−炭化水素オキシカルボニルアミ
ノ酸エステルの製造方法としては、例えばアミノ酸エス
テル塩を有機溶媒中で化学量論量のトリエチルアミンや
ジイソプロピルエチルアミン等の有機塩基の存在下にジ
−t−ブチルジカーボネートと反応させる方法が知られ
ている(ジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリ
ー(J.Med.Chem.)26巻、4号、549−
554頁、1986年)。
【0004】また、こうした反応において使用するアミ
ノ酸エステル塩は、アミノ酸にアルコールおよび強酸ま
たは塩化チオニルを反応させることにより得ている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記方
法では、大量に副生するアンモニウム塩の処理を行わな
ければならない上、反応工程がアミノ酸エステル塩の製
造工程とN−炭化水素オキシカルボニル化反応の工程に
分かれているため、アミノ酸エステル塩の単離操作を行
う必要があった。この問題を解決するために、塩基とし
て無機塩基を使用した一段合成方法を以前提案した(特
開平7−101928号公報)。
【0006】かかる方法によって、アミノ酸エステル塩
を単離する工程は省略できたが、無機塩基の添加方法に
幾つかの問題を有していた。即ち、上記方法では、無機
塩基を水溶液として添加するか、或いは有機媒体中に懸
濁させて用いるため、前者の場合副反応としてアミノ酸
エステルの加水分解が起こり、収率の低下を招く原因と
なる。また、後者の方法では加水分解は抑制できるもの
の、中和反応が十分に進行せず比較的大量の無機塩基を
使用することになる他、中和反応の終点の見極めが困難
となる欠点があった。更に、次工程であるN−炭化水素
オキシカルボニル化剤であるジカーボネート化合物と共
に添加すると、中和反応とジカーボネート化合物による
N−炭化水素オキシカルボニル化反応が平行して進行す
るため、中和反応が急激に進行した時、N−炭化水素オ
キシカルボニル化反応も同時に急激に進行し、反応液が
反応容器から噴出するという危険性を有していた。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記実状に
鑑み、加水分解反応が抑制されかつ好適に反応を進行さ
せる製造方法を鋭意検討した。その結果、中和剤として
比表面積が0.8m/g以上の無機炭酸塩基を添加す
ることによって、加水分解反応の抑制が可能で、しかも
無機塩基の水溶液を用いるのと同様にアミノ酸エステル
塩の中和が瞬時に起こるため、中和反応とN−炭化水素
オキシカルボニル化反応を分けて行えることを見い出
し、本発明を完成させるに至った。
【0008】即ち、本発明は強酸或いは塩化チオニルの
存在下にアミノ酸とアルコールとを反応させて得られ
る、該アミノ酸のエステルを含む酸性反応液を中和後、
下記一般式(I)
【0009】
【化2】
【0010】(但し、Rは置換基を有しても良いアル
キル基、アルケニル基またはアラルキル基を示す。)で
表されるジカーボネート化合物と混合しN−炭化水素オ
キシカルボニルアミノ酸エステルを得る一連の反応工程
において、該中和工程に用いる中和剤として、比表面積
0.8m2/g以上の無機炭酸塩基を用いることを特徴
とするN−炭化水素オキシカルボニルアミノ酸エステル
の製造方法である。
【0011】本発明に使用されるアミノ酸は、分子内に
少なくとも1個のアミノ基と少なくとも1個のカルボキ
シル基を有する公知の化合物が何等制限なく使用され
る。ここでアミノ基とは所謂アミノ基(−NH2)およ
びイミノ基(>NH)の総称であり、例えばアルキル基
またはアラルキル基などの炭化水素残基で置換されたモ
ノ置換アミノ基、ピロリジル基、ピペリジル基等、窒素
原子に少なくとも1個の水素原子が結合しているグルー
プである。
【0012】またカルボキシル基とは、所謂カルボキシ
ル基(−COOH)、その塩類およびエステル基類等で
あって、本発明におけるエステル化反応が可能なカルボ
キシル基およびその誘導体基を含むものとする。
【0013】本発明において好適に使用し得るアミノ酸
を具体的に示せば、例えば、グリシン、フェニルグリシ
ン、N−メチルグリシン、N−エチルグリシン、N−ベ
ンジルグリシン、ヒドロキシフェニルグリシン、アラニ
ン、N−メチルアラニン、N−エチルアラニン、N−ベ
ンジルアラニン、β−アラニン、N−メチル−β−アラ
ニ、N−エチル−β−アラニン、N−ベンジル−β−ア
ラニンン、セリン、ホモセリン、イソセリン、O−ベン
ジル−セリン、システイン、S−アセトアミド−システ
イン、シスチン、ホモシスチン、トレオニン、O−ベン
ジル−トレオニン、メチオニン、ホモメチオニン、バリ
ン、N−メチルバリン、N−エチルバリン、N−ベンジ
ルバリン、ノルバリン、N−メチルノルバリン、N−エ
チルノルバリン、N−ベンジルノルバリン、ロイシン、
N−メチルロイシン、N−エチルロイシン、N−ベンジ
ルロイシン、ノルロイシン、N−メチルノルロイシン、
N−エチルノルロイシン、N−ベンジルノルロイシン、
イソロイシン、N−メチルイソロイシ、N−エチルイソ
ロイシンン、N−ベンジルイソロイシンン、フェニルア
ラニン、N−メチルフェニルアラニン、N−エチルフェ
ニルアラニン、N−ベンジルフェニルアラニン、ヒドロ
キシフェニルアラニン、チロシン、O−ベンジル−チロ
シン、チロニン、O−ベンジル−チロニン、プロリン、
ヒドロキシプロリン、O−ベンジル−ヒドロキシプロリ
ン、トリプトファン、アスパラギン酸、アスパラギン、
グルタミン酸、ホモグルタミン酸、グルタミン、アルギ
ニン、N−トシルアルギニン、N−ベンジルアルギニ
ン、リシン、オルニチン、ヒスチジン、α−アミノ酪
酸、β−アミノ酪酸、γ−アミノ酪酸、α−アミノイソ
酪酸、リジン等を挙げることができる。これらのアミノ
酸は、それぞれ置換基を有していてもよく、それらが保
護されてもよく、光学異性体を含むラセミ混合物であっ
てもよく、更に異種のアミノ酸混合物であってもよい。
【0014】本発明においてアミノ酸のエステル化反応
に使用されるアルコールは特に制限されないが、エステ
ル化反応の反応性から好適には、炭素数が1〜10のも
のが好ましい。具体的に示せば、メチルアルコール、エ
チルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピ
ルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアル
コール、t−ブチルアルコール、n−アミルアルコー
ル、イソアミルアルコール、t−アミルアルコール、n
−ヘキシルアルコール、シクロヘキシルアルコール、ア
リルアルコール、ベンジルアルコール等を挙げることが
できる。中でも、エステルへの転換が容易なメチルアル
コール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、
イソプロピルアルコール、n−ヘキシルアルコール、シ
クロヘキシルアルコール、ベンジルアルコール等が好ま
しい。これらのアルコールは、2種類以上組み合わせて
使用しても良く、目的に応じて選択使用される。
【0015】本発明に用いられるアルコールの使用量と
しては、エステル化反応がアミノ酸とアルコールの当量
反応であるため、アミノ酸のカルボキシル基に対して1
当量以上あれば何等制限はない。一般に溶媒の役割も持
たせるため、過剰量が用いられる。しかし、あまり量が
多いと、一バッチ当たりの収量が低下し経済的ではない
ため、通常アルコール中のアミノ酸の濃度が0.1〜9
0重量%、好ましくは1〜80重量%になるように用い
ると良い。
【0016】本反応では、アルコールだけを溶媒に用い
ても良いが、他の溶媒を混合して用いても差し支えな
い。それらは有機溶媒であって溶質であるアミノ酸やア
ルコールと反応しないものが用いられる。具体的に例示
するとジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロ
ロエタン、四塩化炭素、トリクロロエチレン等のハロゲ
ン化脂肪族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸n−プロピ
ル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチ
ル、酢酸t−ブチル、ギ酸エチル、ギ酸n−プロピル、
ギ酸イソブチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n
−ブチル、プロピオン酸t−ブチル等のエステル類、ベ
ンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−
キシレン等の芳香族炭化水素、クロロベンゼン、o−ジ
クロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、p−ジクロロ
ベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素、ジエチルエー
テル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ブチ
ルエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル等のエーテ
ル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチ
ルケトン等のケトン類、ジメチルカーボネート等のカー
ボネート類、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニ
トリル類、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタ
ン、トリメチルペンタン等の脂肪族炭化水素類、シクロ
ヘキサン等の環状脂肪族炭化水素類、ジメチルホルムア
ミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類、ジメチルス
ルホキシド等である。また、これらの有機溶媒は2種類
以上組み合わせて使用しても良い。
【0017】これらの有機溶媒の使用量としては、アル
コールの使用量や有機溶媒の種類によっても異なるた
め、一概には言えないが、通常アミノ酸の濃度が0.1
〜90重量%、好ましくは1〜80重量%となるよう
に、アルコールと有機溶媒との総量を定めるのが一般的
である。
【0018】アミノ酸のエステル化反応は、水によって
大きく阻害されるため、本反応に使用されるアルコール
および有機溶媒中の水の含量は、アミノ酸に対して1重
量%以下、好ましくは0.5重量%以下となるように調
製する。アルコール及び有機溶媒の脱水方法としては、
化合物の種類によって大きく異なるため、一概には言え
ないが、一般的には共沸脱水法、塩化カルシウム、酸化
カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、カル
シウムハイドライド、ナトリウムハイドライド、ナトリ
ウム、五酸化二リン等の脱水剤を用いる方法が、採用さ
れる。
【0019】本発明において前記アミノ酸とアルコール
を強酸または塩化チオニルの存在下に反応させると、ア
ミノ酸エステル塩を含有する反応液を得ることができ
る。
【0020】本反応に用いられる強酸としては、アミノ
酸のエステル化反応に使用される公知のものが何等制限
なく使用される。好ましくは、水溶液中におけるpKa
が2.0以下、好適には1.0以下の酸を用いるのが良
好である。ここで、上記酸のpKaは、該酸が硫酸のよ
うな多塩基酸の場合であれば、その値が最も小さくなる
第1段の解離での値をいう。なお、こうした小さいpK
aである酸性基を有する化合物であっても、アミノ酸の
如く同時にアミノ基のような塩基性基を有する化合物は
分子全体としては強酸性を呈さないため、本発明におけ
る強酸とは区別される。
【0021】本発明において好適に使用される強酸を具
体的に示せば、塩化水素、硫酸、硝酸、りん酸等の鉱
酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、メ
タンスルホン酸等の有機酸が挙げられる。これらの中で
も、高いエステル化率が期待できる塩化水素または硫酸
を用いるのが最も好ましい。
【0022】強酸または塩化チオニルの使用量は特に制
限されるものではないが、アミノ酸が有するアミノ基に
対して当量以上であることが好ましい。強酸として塩化
水素を使用する場合は、反応溶媒として使用する前記ア
ルコールまたはアルコールと有機溶媒中にアミノ基に対
して当量以上吹き込んで使用するのがよい。
【0023】なお、アミノ酸のエステル化反応は、アミ
ノ酸、アルコール、および強酸または塩化チオニルの添
加方法には特に制限はない。しかし、塩化チオニルを使
用して該エステル化反応を行う場合、特にセリン等のよ
うに分子中に水酸基を有するアミノ酸を使用する際に
は、あらかじめ塩化チオニルとアルコールを混合した
後、アミノ酸を添加する方法が目的とするエステル化反
応の収率を向上させる面から好ましい。
【0024】本反応における圧力は、常圧、加圧、減圧
のいずれの場合も実施可能である。
【0025】本反応は、通常、大気下での実施が可能で
あるが、その場合大気中の水分によって、反応の進行が
阻害される場合もあるため、通常、反応液は塩化カルシ
ウム等の乾燥剤を通して大気に開放させるか、または窒
素、アルゴン、ヘリウム等の不活性気体雰囲気下、或い
は密閉下で行うのが好ましい。
【0026】また、用いる酸の種類や量によってはエス
テル化反応が進行するに連れ、副生する水による影響を
受け、反応が止まってしまう場合がある。このような場
合には適宜、副生した水を蒸留等によって除去し、新し
いアルコールまたはアルコールと有機溶媒を添加するこ
とによって反応を進行させることも可能であり、しばし
ば好ましい結果をあたえる。
【0027】本反応の温度は、特に制限されないが、高
すぎるとアミノ酸のラセミ化を生じ、低すぎると著しく
エステル化反応速度が低下するため、通常は系の凝固点
〜反応時の圧力下での沸点、例えば100℃の範囲、好
ましくは−20〜80℃の範囲で選択される。本反応に
要する時間は反応温度、使用するアルコールおよびアミ
ノ酸の種類によっても異なるが、通常は1〜120時間
の範囲である。
【0028】本反応は回分式、連続式のいずれでも実施
可能である。
【0029】以上のエステル化反応により得られた反応
液には、目的物であるアミノ酸エステル塩の他、未反応
の強酸あるいは塩化チオニルを使用した場合に副生する
塩化水素および二酸化イオウが共存し酸性である。
【0030】本発明では、このようにアミノ酸エステル
塩を生成させた後、この酸性反応液を無機炭酸塩基を用
いて中和する。
【0031】本発明に使用される無機炭酸塩基は酸性物
質と反応しこれを中和すると共に二酸化炭素を副生する
ものであれば公知のものが何等制限なく使用される。具
体的には炭酸リチウム、炭酸水素リチウム、炭酸ナトリ
ウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カ
リウム等のアルカリ金属炭酸塩および酸性炭酸塩、炭酸
マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム等のアル
カリ土類金属の炭酸塩および塩基性炭酸塩類が用いられ
る。好適には炭酸リチウム、炭酸水素リチウム、炭酸ナ
トリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水
素カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム等が用
いられる。
【0032】本発明の最大の特徴は、中和工程に用いら
れる無機炭酸塩基としてB.E.T.式による比表面積
が0.8m2/g以上のものを用いる。一般に無機炭酸
塩基の結晶粒子は緻密であり、その比表面積は通常0.
5m2/g程度またはそれ以下である。従って本発明に
おいて中和剤として用いる場合には、これを粉砕するこ
とも必要に応じて行われる。このような粉砕は公知の粉
砕機、例えばロッドミル、ロールミル、ボールミル、振
動ミル、タワーミル、コロイドミル、各種のジェット粉
砕機等により行うことができる。中でも、気力を用いる
衝撃粉砕型の粉砕機が好適に使用される。
【0033】勿論、場合によっては無機炭酸塩基の製造
工程において、反応や析出条件等をコントロールする方
法、或いは分級によって本発明の中和剤として適する比
表面積を得ることもできる。
【0034】かくして、比表面積が0.8m2/g以
上、好ましくは1.0m2/g以上の無機炭酸塩基を
得、これを本発明の中和工程に用いることにより無機塩
基水溶液を用いた場合と何等遜色なく、ほぼ瞬時に中和
反応が進行し、しかも水が存在しないために、加水分解
が生じるおそれも少ない。その上二酸化炭素の気泡発生
が止まる時点に基づいて、中和の終点が容易に確認でき
るという利点もある。
【0035】尚、中和剤として比表面積が0.7m2
g以下の無機炭酸塩基を使用すると、中和反応が瞬時に
は進行せず、またその終点の見極めが困難となるため、
往々にして次工程であるN−炭化水素オキシカルボニル
化剤を混合した後も尚、中和反応が継続し、後術する実
施例の図1に示す如く、中和およびN−炭化水素オキシ
カルボニル化工程に長時間を必要とする。更に、中和反
応とN−炭化水素オキシカルボニル化反応が並列に進行
する場合の問題点の一つは中和反応が何らかのきっかけ
により、急激に進行すると無機炭酸塩基の分解による二
酸化炭素の発生に加え、N−炭化水素オキシカルボニル
化で副生する二酸化炭素による二重の発泡が生じ、反応
液面が上昇し反応容器から噴出をする危険性がある。
【0036】また、逆に比表面積が3.0m2/g以上
の無機炭酸塩基を用いても最早技術的利点はなく、粉砕
機等を用いて微紛状にしても、経済的にも有利な中和剤
とは言い難くなる。
【0037】そこで本発明では一般に、比表面積を0.
8〜3.0m2/gの範囲とした無機炭酸塩基により中
和反応を瞬時に進行させ、使用する無機炭酸塩基の分解
によって発生する二酸化炭素の有無を目視することによ
り、中和反応の終点が確認でき、中和反応とN−炭化水
素オキシカルボニル化反応を分割させ、安全に反応を行
うことが可能となる。
【0038】中和工程は無機炭酸塩基自体をそのまま前
記酸性反応液と接触させてもよいが、該無機炭酸塩基を
有機溶媒に懸濁させ前記反応液と接触させても良い。そ
の場合、有機溶媒としては特に制限されないが具体的に
は、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピ
ルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルア
ルコール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコー
ル、n−アミルアルコール、イソアミルアルコール、t
−アミルアルコール、n−ヘキシルアルコール、シクロ
ヘキシルアルコール、ベンジルアルコール等のアルコー
ル類、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロ
ロエタン、四塩化炭素、トリクロロエチレン等のハロゲ
ン化脂肪族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸n−プロピ
ル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチ
ル、酢酸t−ブチル、ギ酸エチル、ギ酸n−プロピル、
ギ酸イソブチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n
−ブチル、プロピオン酸t−ブチル等のエステル類、ベ
ンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−
キシレン等の芳香族炭化水素、クロロベンゼン、o−ジ
クロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、p−ジクロロ
ベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素、ジエチルエー
テル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ブチ
ルエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル等のエーテ
ル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチ
ルケトン等のケトン類、ジメチルカーボネート等のカー
ボネート類、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニ
トリル類、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタ
ン、トリメチルペンタン等の脂肪族炭化水素類、シクロ
ヘキサン等の環状脂肪族炭化水素類、ジメチルホルアミ
ド、ジメチルアセトアミド等のアミド類、ジメチルスル
ホキシド等が用いられる。好適には前記アミノ酸のエス
テル化反応で使用されたアルコールと同じメチルアルコ
ール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イ
ソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブ
チルアルコール、t−ブチルアルコール、n−アミルア
ルコール、n−ヘキシルアルコール、シクロヘキシルア
ルコール、ベンジルアルコールが使用される。また、こ
れらの有機溶媒は単独で使用しても良いが、2種類以上
組み合わせて使用しても良い。
【0039】中和反応に用いる無機炭酸塩基の量は、多
すぎると非経済的であり少なすぎると次工程のN−炭化
水素オキシカルボニル化反応が進行しないため、前記エ
ステル化反応液中の酸性成分の当量に対して0.8〜
2.0倍当量、好ましくは1.0〜1.5倍当量の範囲
から選択すれば良い。
【0040】本発明における中和温度は、特に制限はな
いが、あまり温度が高いと加水分解等の副反応を助長
し、あまり温度が低いと、反応系の粘度が上昇して攪拌
機等に支障をきたすため、通常は−40〜80℃、さら
には−20〜40℃の範囲で行うのが好ましい。
【0041】本反応の特徴として、中和速度が速いた
め、無機炭酸塩基と該反応液を接触させると瞬時に二酸
化炭素が発生する。このため、中和に際しては二酸化炭
素の発泡による液面の上昇に十分注意しながら中和を行
う必要がある。
【0042】このようにして得られた、アミノ酸エステ
ルの溶液が、次のN−炭化水素オキシカルボニル化反応
に供される。この時中和によって副生した塩を固液分離
によって分離しても良いが、一般的にはスラリー溶液の
まま次の反応に用いられる。本発明においてN−炭化水
素オキシカルボニル化反応に使用する反応剤としては、
一般式(I)
【0043】
【化3】
【0044】(但し、R1は置換基を有しても良いアル
キル基、アルケニル基またはアラルキル基を示す。)で
示されるジカーボネート化合物である。
【0045】即ち、本発明に使用される上記ジカーボネ
ート化合物(I)中の2個のR1は互いに同種であって
もまたは異種であってもよく、アルキル基、アルケニル
基、またはアラルキル基であり好ましくは炭素数10以
下の炭化水素残基から選ばれる。これらの炭化水素残基
は、置換基、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子等
のハロゲン原子;メチル基、エチル基、n−プロピル
基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t
−ブチル基、t−アミル基等のアルキル基;シクロヘキ
シル基等のシクロアルキル基;アリル基、グリシジル基
等のアルケニル基;フェニル基等のアリール基;ベンジ
ル基等のアラルキル基;水酸基;アルコキシ基;アシル
基;メトキシカルボニル基、アセトキシ基等のエステル
基;ジアルキルアミノ基;カルバモイル基等を1個また
は2個以上有していても良い。
【0046】R1で示されるアルキル基は、メチル基、
エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチ
ル基、イソブチル基、t−ブチル基、t−アミル基等の
炭素数1〜10の低級アルキル基が好適であり、アルケ
ニル基はアリル基、グリシジル基が好適であり、アラル
キル基はベンジル基が好適である。
【0047】本発明において好適に使用されるジカーボ
ネート化合物を具体的に例示すると、ジメチルジカーボ
ネート、ジエチルジカーボネート、ジイソプロピルジカ
ーボネート、ジ−i−ブチルジカーボネート、ジ−t−
ブチルジカーボネート、ジ−t−アミルジカーボネー
ト、ジアリルジカーボネート、ジベンジルジカーボネー
ト等を挙げることができる。
【0048】N−炭化水素オキシカルボニル化反応に使
用するジカーボネート化合物の使用量は、あまり過剰に
用いると経済的ではないため、通常は保護したいアミノ
酸エステルのアミノ基に対して1.0〜5.0当量、好
ましくは1.0〜2.5当量、更に好ましくは1.0〜
1.5当量の範囲で選べばよい。
【0049】本反応における反応温度は特に制限されな
いが、あまり温度が高いと原料のジカーボネート化合物
および生成物が分解するため、通常は系の凝固点〜10
0℃の範囲、好ましくは0〜80℃の範囲であることが
好適である。
【0050】本反応における反応圧力は、常圧、加圧、
減圧のいずれの場合も実施可能であり、反応に要する時
間は反応温度、原料のアミノ酸の種類によっても異なる
が、通常は1〜120時間の範囲である。反応は回分
式、連続式のいずれでも実施可能である。
【0051】ところで、全反応工程を通して反応に供す
るアルコールを溶媒とし、実質的に他の有機溶媒を用い
ず前記アミノ酸のエステル化反応液の中和反応を、無機
炭酸塩基を粉体のままで反応系に添加するか、または溶
媒成分が該アミノ酸のエステル化反応で原料として用い
たアルコールと同種のアルコールに懸濁させて使用する
場合、上記N−炭化水素オキシカルボニル化反応の反応
媒体は、大部分が該アミノ酸のエステル化反応で用いた
ものと同種のアルコールで占められる。従って、こうし
た場合には、前記N−炭化水素オキシカルボニル化反応
の開始前や終了後に、該反応媒体のアルコールの任意の
量を減圧留去等により回収し、必要に応じて精製後、再
度、アミノ酸のエステル化反応のアルコール原料等とし
て用いることができる。使用するアミノ酸がセリン等の
分子中に水酸基を有するアミノ酸である場合は反応前に
アルコール回収を行うと、アミノ酸の2量体エステルの
副生の危険性があるため、特にN−炭化水素オキシカル
ボニル化反応の終了後に行うのが好ましい。
【0052】このようにして得られたN−炭化水素オキ
シカルボニルアミノ酸エステルの有機溶媒溶液から、N
−炭化水素オキシカルボニルアミノ酸エステルを単離す
る方法としては、公知の方法が何等制限なく使用でき
る。
【0053】それらを具体的に示すと、例えば上記反応
によって副生した塩および過剰の無機炭酸塩基を除去し
た後、N−炭化水素オキシカルボニルアミノ酸エステル
を有機溶媒に抽出することによって単離する方法等を挙
げることができる。
【0054】上記反応によって副生した塩及び過剰の無
機炭酸塩基を除去する方法としては、反応溶液中に析出
している結晶を、自然濾過、遠心濾過、加圧濾過或いは
デカンテーションのような公知の固液分離方法によって
分離した後、可能な限りアルコールを留去し、得られた
溶液に水を加えて、水溶性の塩および無機炭酸塩基を水
相に溶解させる方法、或いは上記反応溶液から可能な限
りアルコールを留去した後、水を加えて全ての塩および
無機炭酸塩基を水に溶解させる方法等を挙げることがで
きる。
【0055】このようにして得られた水溶液から、有機
溶媒で抽出することによってN−炭化水素オキシカルボ
ニルアミノ酸エステルは単離される。
【0056】抽出に使用される有機溶媒としては、N−
炭化水素オキシカルボニルアミノ酸エステルを溶解し、
水と相溶しない有機溶媒であれば何等制限なく使用でき
る。具体的にはジクロロメタン、クロロホルム、1,2
−ジクロロエタン、四塩化炭素、トリクロロエチレン等
のハロゲン化脂肪族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸n−
プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イ
ソブチル、酢酸t−ブチル等のエステル類、ベンゼン、
トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン
等の芳香族炭化水素、クロロベンゼン、o−ジクロロベ
ンゼン、m−ジクロロベンゼン、p−ジクロロベンゼン
等のハロゲン化芳香族炭化水素、ジエチルエーテル、ブ
チルエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル等のエー
テル類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン
等のケトン類、ジメチルカーボネート等のカーボネート
類、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、トリ
メチルペンタン等の脂肪族炭化水素類、シクロヘキサン
等の環状脂肪族炭化水素類等を挙げることができる。中
でも、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロ
ロエタンのハロゲン化脂肪族炭化水素類、酢酸エチル、
酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチ
ル、酢酸イソブチル、酢酸t−ブチル、ギ酸エチル、ギ
酸プロピル、ギ酸イソブチル、プロピオン酸エチル、プ
ロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸t−ブチル等のエ
ステル類、トルエン、m−キシレン等の芳香族炭化水
素、クロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素、ジ
エチルエーテル、ジイソプロピルエーテル等のエーテル
類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等の
ケトン類、ジメチルカーボネート等のカーボネート類、
n−ヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、シ
クロヘキサン等の環状脂肪族炭化水素類等が好適に使用
される。
【0057】抽出の際の温度としては生成するN−炭化
水素オキシカルボニルアミノ酸エステルの種類によって
異なるため一概には言えないが、あまり温度が高いと加
水分解反応を助長し、あまり温度が低いと界面を形成す
るのに時間を要したり、大量のエマルジョンを発生させ
る原因となるため、0℃ないし使用する溶媒の沸点以下
の温度、通常は0〜60℃、好ましくは5〜50℃の範
囲で行うのがよい。
【0058】上記方法によって得られたN−炭化水素オ
キシカルボニルアミノ酸エステルはこのままでも十分産
業上の有用な原料として使用可能であるが、場合によっ
ては原料のアミノ酸或いは中間物であるアミノ酸エステ
ル等の不純物が少量含まれているため、これらを除去し
ても良い。不純物の除去方法としては、公知のものが何
等制限なく用いられる。例えば、上記溶液を酸性水溶液
で洗浄して、アミノ酸およびアミノ酸エステル等の不純
物を水相に取り除いた後、塩基性水溶液で酸を中和し、
最後に水で洗浄して微量に溶解する塩及び塩基を取り除
く方法等を挙げることができる。
【0059】上記酸性水溶液に使用される酸としては塩
酸、硫酸、硝酸、りん酸等の鉱酸が好適に使用され、さ
らに好ましくは塩酸、硫酸、硝酸が使用される。濃度と
しては、あまり高すぎるとN−炭化水素オキシカルボニ
ルアミノ酸エステルが分解し、低すぎると未反応物が除
去できないため、通常は0.0001〜12N、好まし
くは0.001〜10Nの範囲から選択すれば良い。
【0060】上記塩基性水溶液に使用される塩基として
は水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウ
ム、水酸化マグネシウム等のアルカリ金属水酸化物、炭
酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウ
ム等のアルカリ金属重炭酸塩、炭酸ナトリウム、炭酸カ
リウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム等のアルカ
リ金属炭酸塩、アンモニアが使用され、好適には水酸化
ナトリウム、水酸化カリウム、等のアルカリ金属水酸化
物、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素
カリウム等のアルカリ金属重炭酸塩、炭酸ナトリウム、
炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩が使用される。濃
度としては、あまり高すぎるとN−炭化水素オキシカル
ボニルアミノ酸エステルが加水分解され、低すぎると酸
の中和が十分に行われないため、通常は0.0001〜
12N、好ましくは0.001〜10Nの範囲から選択
すれば良い。
【0061】このようにして得られた抽出液から有機溶
媒を留去すれば、N−炭化水素オキシカルボニルアミノ
酸エステルを得ることができる。目的物が液体または油
状物である場合はそのままあるいは、該有機溶媒の溶液
として単離可能であるが、結晶として回収する場合は、
かかる抽出液から再結晶や再沈等の公知の方法により、
N−炭化水素オキシカルボニルアミノ酸エステルを晶析
させても良い。
【0062】ここで、析出したN−炭化水素オキシカル
ボニルアミノ酸エステルの固液分離方法は公知の方法が
特に制限されることなく採用され、例えば、自然濾過、
加圧濾過、減圧濾過等の濾過方法、デカンテーション、
あるいは遠心分離等の方法が挙げられる。
【0063】
【発明の効果】本発明によれば、強酸或いは塩化チオニ
ルの存在下にアミノ酸とアルコールとを反応させて得ら
れる、該アミノ酸のエステルを含む酸性反応液を、比表
面積0.8m2/g以上の無機炭酸塩基で中和を行うこ
とで、加水分解反応を抑制し、しかも無機塩基の水溶液
を用いる場合と同様に中和反応が瞬時に起こるため、中
和反応とN−炭化水素オキシカルボニル化反応を分けて
行え、N−炭化水素オキシカルボニルアミノ酸エステル
を安全に製造できる。従って本発明は、N−炭化水素オ
キシカルボニルアミノ酸エステルの製造方法として工業
的に極めて有用である。
【0064】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、
本発明はこれら実施例に制限されるものではない。
【0065】実施例1 攪拌機、温度計を備え付けた2Lの4つ口フラスコに、
窒素雰囲気下、10℃以下でメタノール248g(7.
74mol)に塩化水素72.92g(2.00mo
l)を注入し、L−フェニルアラニン165.19g
(1.00mol)を添加した。その後、反応溶液を3
5℃にして12時間攪拌した。反応終了後、10℃以下
で比表面積0.8m2/gの炭酸ナトリウム222.6
g(2.10mol)を二酸化炭素の発生に伴う反応溶
液の液面上昇に注意しながら、液温を15℃以下にコン
トロールして、30分かけて滴下した。滴下終了後14
分で二酸化炭素の発生は停止した。この時高速液体クロ
マトグラフィー(HPLC)で加水分解物の含有量を定
量したところ、0.3%であった。さらに液温を20℃
以下にコントロールしながら、ジ−t−ブチルジカーボ
ネート216.1g(0.99mol)を添加しN−t
−ブトキシカルボニル−L−フェニルアラニンメチルエ
ステルを得た。滴下終了後35分、HPLCで反応の完
結を確認した。反応終了後、メタノールおよび副生する
t−ブチルアルコールを326g留去した。次に、n−
ヘキサン400mlおよび水1000mlを加え目的物
をn−ヘキサン相に抽出し、さらに、0.4Nの塩酸2
00ml、0.2Nの炭酸ナトリウム水溶液60ml、
水60mlの順でn−ヘキサン相を洗浄し、n−ヘキサ
ンを留去したところN−t−ブトキシカルボニル−L−
フェニルアラニンメチルエステルを収量258.4g
(収率92.5%)で取得することができた。
【0066】比較例1 無機炭酸塩基として、比表面積が0.6m2/gの炭酸
ナトリウムを使用し、炭酸ナトリウムとジ−t−ブチル
ジカーボネートを同時に添加したこと以外、実施例1と
同様に行った。その結果、N−t−ブトキシカルボニル
−L−フェニルアラニンメチルエステルを収量248.
6g(収率89.0%)で取得できたが、中和反応、N
−炭化水素オキシカルボニル化反応に12時間要した。
【0067】比較例2 無機炭酸塩基として、比表面積が0.3m2/gの炭酸
ナトリウムを使用し、炭酸ナトリウムとジ−t−ブチル
ジカーボネートを同時に添加したこと以外、実施例1と
同様に行った。その結果、N−t−ブトキシカルボニル
−L−フェニルアラニンメチルエステルを収量245.
8g(収率88.0%)で取得できたが、中和反応、N
−炭化水素オキシカルボニル化反応に16時間要した。
【0068】実施例2〜7 表1に示したアルコール、および、表1に示した比表面
積の無機炭酸塩基を用いた以外は実施例1と同様に操作
した。その結果を表1に示す。また、実施例1〜7、比
較例1〜2を無機炭酸塩基の比表面積に対する中和時間
とN−炭化水素オキシカルボニル化に要するトータル時
間のプロットを図1に示す。
【0069】
【表1】
【0070】実施例8 攪拌機、温度計を備え付けた2Lの4つ口フラスコに、
窒素雰囲気下、10℃以下でメタノール248g(7.
74mol)、硫酸392.4g(4.00mol)を
注入し、L−フェニルアラニン165.19g(1.0
0mol)を添加した。その後、反応溶液を40℃にし
て12時間攪拌した。反応終了後、10℃以下で比表面
積1.3m2/gの炭酸水素ナトリウム352.8g
(4.20mol)を二酸化炭素の発生に伴う反応溶液
の液面上昇に注意しながら、液温を15℃以下にコント
ロールして、30分かけて滴下した。滴下終了後14分
で二酸化炭素の発生は停止した。この時HPLCで加水
分解物を定量したところ、0.4%であった。さらに液
温を20℃以下にコントロールしながら、ジ−t−ブチ
ルジカーボネート216.1g(0.99mol)を3
0分かけて滴下し、N−t−ブトキシカルボニル−L−
フェニルアラニンメチルエステルを得た。滴下終了後3
0分、HPLCで反応の完結を確認した。その後、メタ
ノールおよび副生するt−ブチルアルコールを329g
留去した。次に、酢酸エチル400mlおよび水600
mlを加え目的物を酢酸エチル相に抽出し、さらに、
0.4Nの塩酸200ml、0.2Nの炭酸ナトリウム
水溶液60ml、水60mlの順で酢酸エチル相を洗浄
し、酢酸エチルを留去したところN−t−ブトキシカル
ボニル−L−フェニルアラニンメチルエステルを収量2
60.6g(収率93.3%)で取得することができ
た。
【0071】実施例9〜17 表2に示したアミノ酸、アルコール、および、表2に示
した比表面積の無機炭酸塩基を用いた以外は実施例8と
同様に操作した。その結果を表2に示す。
【0072】
【表2】
【0073】比較例3 無機炭酸塩基として、比表面積が0.6m2/gの炭酸
水素ナトリウムを使用し、炭酸水素ナトリウムとジ−t
−ブチルジカーボネートを同時に添加したこと以外、実
施例8と同様に行った。その結果、N−t−ブトキシカ
ルボニル−L−フェニルアラニンメチルエステルを収量
250.0g(収率89.5%)で取得できたが、中和
反応、N−炭化水素オキシカルボニル化反応に11時間
要した。
【0074】実施例18 攪拌機、温度計を備え付けた2Lの4つ口フラスコに、
窒素雰囲気下、10℃以下でメタノール248g(7.
74mol)、D−フェニルアラニン165.19g
(1.00mol)を加え、塩化チオニル124.9g
(1.05mol)を添加した。その後、反応溶液を2
5℃にして10時間攪拌した。反応終了後、10℃以下
で比表面積2.2m2/gの炭酸ナトリウム183.4
g(1.73mol)を二酸化炭素の発生に伴う反応溶
液の液面上昇に注意しながら、液温を15℃以下にコン
トロールして、30分かけて滴下した。滴下終了後14
分で二酸化炭素の発生は停止した。この時HPLCで加
水分解物を定量したところ、0.2%以下であった。さ
らに液温を20℃以下にコントロールしながら、ジ−t
−ブチルジカーボネート210.8g(0.97mo
l)を30分かけて滴下し、N−t−ブトキシカルボニ
ル−D−フェニルアラニンメチルエステルを得た。滴下
終了後35分、HPLCで反応の完結を確認した。さら
に、メタノールおよび副生するt−ブチルアルコールを
330g留去した。次に、ジクロロメタン400mlお
よび水1200mlを加え目的物をジクロロメタン相に
抽出し、さらに、0.4Nの塩酸200ml、0.2N
の炭酸ナトリウム水溶液60ml、水60mlの順でジ
クロロメタン相を洗浄し、ジクロロメタンを留去したと
ころN−t−ブトキシカルボニル−D−フェニルアラニ
ンメチルエステルを収量264.0g(収率94.5
%)で取得することができた。
【0075】実施例19〜22 表3に示したアミノ酸、および、表3に示した比表面積
の炭酸ナトリウムを用いた以外は実施例18と同様に操
作した。その結果を表3に示す。
【0076】
【表3】
【0077】実施例23 攪拌機、温度計を備え付けた2Lの4つ口フラスコに、
窒素雰囲気下、10℃以下でメタノール248g(7.
74mol)に塩化水素72.92g(2.00mo
l)を注入し、L−フェニルアラニン165.19g
(1.00mol)を添加した。その後、反応溶液を3
5℃にして12時間攪拌した。反応終了後、10℃以下
で比表面積1.1m2/gの炭酸ナトリウム222.6
g(2.10mol)を二酸化炭素の発生に伴う反応溶
液の液面上昇に注意しながら、液温を15℃以下にコン
トロールして、30分かけて滴下した。滴下終了後35
分で二酸化炭素の発生は停止した。この時HPLCで加
水分解物の含有量を定量したところ、0.3%であっ
た。さらに液温を20℃以下にコントロールしながら、
ジ−t−ブチルジカーボネート216.1g(0.99
mol)を添加しN−t−ブトキシカルボニル−L−フ
ェニルアラニンメチルエステルを得た。滴下終了後35
分、HPLCで反応の完結を確認した。反応終了後、メ
タノールおよび副生するt−ブチルアルコールを326
g留去した。次に、トルエン400mlおよび水100
0mlを加え目的物をトルエン相に抽出し、さらに、
0.4Nの塩酸200ml、0.2Nの炭酸ナトリウム
水溶液60ml、水60mlの順でトルエン相を洗浄
し、トルエンを留去したところN−t−ブトキシカルボ
ニル−L−フェニルアラニンメチルエステルを収量25
8.4g(収率92.5%)で取得することができた。
【0078】実施例24〜28 表4に示したジカーボネート化合物、アルコール、表4
に示した比表面積の炭酸ナトリウムを用いた以外は実施
例23と同様に操作した。その結果を表4に示す。
【0079】
【表4】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における中和反応に用いる無機炭酸塩基
の比表面積と中和時間およびN−炭化水素オキシカルボ
ニル化時間との関係を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07C 271/22 C07C 269/04 C07C 271/28 C07C 227/18

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】強酸或いは塩化チオニルの存在下にアミノ
    酸とアルコールとを反応させて得られる、該アミノ酸の
    エステルを含む酸性反応液を中和後、下記一般式(I) 【化1】 (但し、R1は置換基を有しても良いアルキル基、アル
    ケニル基またはアラルキル基を示す。)で表されるジカ
    ーボネート化合物と混合しN−炭化水素オキシカルボニ
    ルアミノ酸エステルを得る一連の反応工程において、該
    中和工程に用いる中和剤として、比表面積0.8m2
    g以上の無機炭酸塩基を用いることを特徴とするN−炭
    化水素オキシカルボニルアミノ酸エステルの製造方法。
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