JP2953553B2 - N−アルコキシカルボニルアミノ酸エステルの製造方法 - Google Patents
N−アルコキシカルボニルアミノ酸エステルの製造方法Info
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Description
ニルアミノ酸エステルを容易に製造する方法に関する。
シカルボニル化し、N−アルコキシカルボニルアミノ酸
エステルを合成する方法は知られている。例えば、アミ
ノ酸エステル塩酸塩を、有機溶媒中で化学量論量のトリ
エチルアミンやジイソプロピルエチルアミン等の有機塩
基の存在下にジ−t−ブチルジカーボネートと反応させ
る方法が知られている(ジャーナル・オブ・メディシナ
ル・ケミストリー(J.Med.Chem.)26巻、
4号、549−54頁、1986年)。
ノ酸エステル塩酸塩は、アミノ酸にアルコール及び強酸
または塩化チオニルを反応させることにより得ている。
なお、その際、上記反応により得られた反応液には、強
酸の未反応物或いは副生した塩化水素及び二酸化イオウ
が含まれるので、反応終了後、該反応液には、生成した
アミノ酸エステル塩酸塩を単離精製する操作が施されて
いる。この精製操作としては、例えば反応液から未反応
アルコールを留去することにより、上記共存物をアルコ
ールと共に共沸させて取り除く等の処理が行われてい
る。
り、アミノ酸を原料として、まず、アミノ酸エステルの
酸との塩を製造し、次いで、該アミノ酸エステルの塩か
らN−アルコキシカルボニルアミノ酸エステルを製造す
るに際し、アミノ酸に対するこのN−アルコキシカルボ
ニルアミノ酸エステルの収率の向上が望まれていた。
との塩を製造した場合に施される該アミノ酸エステルの
塩の精製処理は、例えば前記アルコールの留去による方
法であれば、アルコールを何度か反応液に補充して繰り
返して行わなければならない等の煩雑な処理を要するも
のである。従って、こうしたアミノ酸を原料にしてN−
アルコキシカルボニルアミノ酸エステルを製造する場合
においても、アミノ酸のエステル化反応の終了時に、こ
の残留する強酸等の共存物を除去しようとすれば、反応
操作が煩雑になる問題があった。
−アルコキシカルボニルアミノ酸エステルを製造するに
際し、簡便な操作で収率良く該化合物を得る方法の開発
が望まれていた。
鑑み、N−アルコキシカルボニルアミノ酸エステルを簡
便な操作で収率良く製造するために鋭意検討した。その
結果、アミノ酸、アルコール、及び強酸または塩化チオ
ニルを反応させた反応液を、塩基で中和し、次いで、生
成したアミノ酸エステルを含む反応液と特定の一般式で
示されるジカーボネートとを混合してN−アルコキシカ
ルボニルアミノ酸エステルを含む反応液を得、該N−ア
ルコキシカルボニルアミノ酸エステルを水の存在下で単
離することにより、上記の課題が解決できることを見い
だし本発明を完成させるに至った。
及び強酸または塩化チオニルを反応させた反応液を、塩
基で中和し、次いで、生成したアミノ酸エステルを含む
反応液と一般式(1)
示されるジカーボネートとを混合してN−アルコキシカ
ルボニルアミノ酸エステルを含む反応液を得、このN−
アルコキシカルボニルアミノ酸エステルを含む反応液か
らのN−アルコキシカルボニルアミノ酸エステルの単離
を水の存在下で行うことを特徴とするN−アルコキシカ
ルボニルアミノ酸エステルの製造方法である。
用されるアルコールは、特に制限されないが、好適に
は、炭素数1〜10のものが好ましい。具体的には、メ
タノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパ
ノール、n−ブタノール、i−ブタノール、n−ヘキサ
ノール、シクロヘキサノール等が挙げられる。
子内に少なくとも1つ以上のアミノ基またはイミノ基、
およびカルボキシル基を有する化合物であれば公知の化
合物を何等制限なく用い得る。一分子中に2個以上のア
ミノ基もしくはイミノ基またはそれらがアルキル基等に
より置換された置換アミノ基もしくは置換イミノ基を有
するアミノ酸の場合は、少なくとも1個のアミノ基また
はイミノ基さえ有していれば、他のアミノ基またはイミ
ノ基はアルキル基等により置換されていてもよい。
を具体的に示せば、例えば、グリシン、アラニン、β−
アラニン、バリン、ノルバリン、ロイシン、ノルロイシ
ン、イソロイシン、フェニルアラニン、チロシン、ジヨ
ードチロシン、トレオニン、セリン、ホモセリン、イソ
セリン、プロリン、ヒドロキシプロリン、トリプトファ
ン、チロキシン、メチオニン、ホモメチオニン、シスチ
ン、ホモシスチン、α−アミノ酪酸、γ−アミノ酪酸、
β−アミノ酪酸、α−アミノイソ酪酸、アスパラギン
酸、グルタミン酸、ホモグルタミン酸、アスパラギン、
グルタミン、リジン、オルニチン、ヒドロキシリジン、
アルギニン、ヒスチジン、アンチカプシン、N−イミノ
エチルオルニチン、α−アミノ−β−(2−イミダゾリ
ジニル)プロピオン酸、N−メチルグリシン、タウリ
ン、γ−ホルミル−N−メチルノルバリン、N−トシル
−アルギニン、N−ベンジルオキシカルボニル−アルギ
ニン、アスパラギン酸−β−ベンジルエステル、S−ア
セトアミドメチル−システイン、S−ベンジル−システ
イン、グルタミン酸−γ−ベンジルエステル、N−ベン
ジルオキシカルボニル−ヒスチジン、N−ベンジルオキ
シカルボニル−リジン、N−ベンジルオキシカルボニル
−オルニチン、O−ベンジル−セリン、O−ベンジル−
トレオニン、N−ホルミル−トリプトファン、2−(2
−アミノ−4−チアゾリル)−2−メトキシイミノ酢
酸、2−(2−アミノ−4−チアゾリル)−2−ペンテ
ン酸、ピペコリン酸、trans−4−アミノメチル−
1−シクロヘキサンカルボン酸、γ−アミノ−β−ヒド
ロキシ酪酸、フェニルグリシン、4−ヒドロキシフェニ
ルグリシン等を挙げることができる。これらのアミノ酸
は、側鎖の官能基は保護されてもよく、光学異性体を含
むラセミ混合物であってもよく、異種のアミノ酸の混合
物であってもよい。
テル化反応は、該アミノ酸、前記アルコール、及び強酸
または塩化チオニルを反応させることにより、アミノ酸
エステルの酸との塩を生成させることにより実施され
る。ここで、上記アルコールの使用量は、特に制限され
るものではないがアミノ酸1当量に対して1当量以上で
あれば好適である。通常、このエステル化反応は、大過
剰のアルコール媒体中において該アルコールとアミノ
酸、及び強酸または塩化チオニルを作用させることによ
り行うのが一般的である。
テル化反応に使用される公知のものが何等制限されるこ
となく使用される。好ましくは、水溶液中におけるpK
aが2.0以下好適には1.0以下の酸を用いるのが良
好である。ここで、上記酸のpKaは、該酸が硫酸のよ
うな多塩基酸の場合であれば、その値が最も小さくなる
第1段の解離での値をいう。なお、こうした小さいpK
aである酸性基を有する化合物であっても、アミノ酸の
如く同時にアミノ基のような塩基性基を有する化合物
は、分子全体としては強酸性を呈さないため、本発明に
おける強酸とは区別される。本発明において好適に使用
される強酸を具体的に示せば、塩化水素、硫酸等の鉱酸
やp−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、メタ
ンスルホン酸等の有機酸が挙げられる。本発明において
は、塩化水素または塩化チオニルを、アミノ酸及びアル
コールと反応させるのが最も好ましい。アミノ酸、アル
コールと反応させる強酸または塩化チオニルの使用量
は、特に制限されるものではないが、アミノ酸1当量に
対して1当量以上であるのが好適である。強酸として塩
化水素を使用する場合は、該塩化水素は、通常、反応媒
体となるアルコールに飽和するまで吹き込んで使用され
る。硫酸等の他の強酸や塩化チオニルは、通常、アミノ
酸1当量に対して1〜5当量の範囲で使用するのが好適
である。
は、アミノ酸、アルコール、及び強酸または塩化チオニ
ルの三原料を同時に作用させるのが一般的であるが、塩
化チオニルを使用して該エステル化反応を行う場合に
は、予め、塩化チオニルとアルコールを反応させてお
き、この反応物にアミノ酸を反応させて実施しても良
い。特に、アミノ酸としてセリン等の分子中に水酸基を
有するアミノ酸を使用する場合においては、このように
予め、塩化チオニルとアルコールを反応させる手法を採
用することが、目的とするエステル化反応の収率を向上
させる面から好ましい。
度は、特に制限されないが、通常系の凝固点〜100℃
の範囲、好ましくは−20〜80℃の範囲であることが
好適である。反応に要する時間は反応温度、原料アルコ
ールおよびアミノ酸の種類によっても異なるが、通常は
1〜120時間の範囲である。
液には、目的物であるアミノ酸エステルの酸との塩の
他、未反応の強酸、或いは塩化チオニルを使用した場合
に副生する塩化水素及び二酸化イオウが共存している。
テルの酸との塩を生成させた後、エステル化反応液を、
塩基で中和する。ここで、該塩基による中和は、塩基自
体をそのまま前記エステル化反応液と接触させて行って
も良いが、一般には、該塩基を、水及び/または有機溶
媒により溶液や懸濁液とし、これを上記前記エステル化
反応液と接触させて行うのが好ましい。ここで、塩基と
しては、特に制限されないが、好適に使用しうる塩基を
具体的に例示すると、トリエチルアミン、ジイソプロピ
ルエチルアミン等の有機アミン類、水酸化ナトリウム、
水酸化カリウム等の塩基金属水酸化物、水酸化カルシウ
ム、水酸化マグネシウム等の塩基土類金属水酸化物、炭
酸ナトリウム、炭酸カリウム等の炭酸塩、炭酸水素ナト
リウム、炭酸水素カリウム等の重炭酸塩等を挙げること
ができる。
させて用いる場合、該有機溶媒としては、特に制限され
ないが、具体的には、メタノール、エタノール、イソプ
ロパノール、t−ブタノール、ジクロルメタン、1,2
−ジクロルエタン、酢酸エチル、トルエン、ジイソプロ
ピルエーテル等が用いられる。好適にはメタノール、エ
タノール等から選ばれる前記アミノ酸のエステル化反応
で使用されたアルコールと同じアルコールを用いるのが
好ましい。
反応液中の酸性成分をほぼ中和できるだけの量であれば
十分であり、通常、該反応液中の酸性成分のグラム当量
の0.8〜2.0倍好ましくは1〜1.5倍のグラム当
量であるのが好ましい。例えば、塩基の水溶液により中
和するのであれば、中和によって得た溶液のpHが好ま
しくは4〜13、さらに好ましくは5〜11に至らしめ
る量であるのが好適である。
化に使用されるジカーボネートは、前記式(1)で示さ
れる化合物である。式中、R1で示されるアルキル基
は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピ
ル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基等の
低級アルキル基が好適である。
ネートを具体的に例示すると、ジメチルジカーボネー
ト、ジエチルジカーボネート、ジイソプロピルジカーボ
ネート、ジイソブチルジカーボネート、ジ−t−ブチル
ジカーボネート、ジ−t−アミルジカーボネート等を挙
げることができる。
の使用量は、あまりに過剰に用いると経済的ではないた
め、通常は保護したいアミノ酸エステルのアミノ基また
はイミノ基1当量に対して1〜5当量、好ましくは1〜
2当量、さらに好ましくは1〜1.5当量の範囲で選べ
ばよい。
反応温度は特に制限されないが、あまり温度が高いと原
料のジカーボネートおよび生成物が分解するため、通
常、系の凝固点〜100℃の範囲、好ましくは、0〜8
0℃の範囲であることが好適である。
反応圧力は、常圧、加圧、減圧のいずれの場合も実施可
能であり、反応に要する時間は、反応温度、原料のアミ
ノ酸の種類によっても異なるが、通常は1〜120時間
の範囲である。反応は回分式、連続式のいずれでも実施
可能である。
液の中和反応を、塩基そのもの、または溶媒成分が該ア
ミノ酸のエステル化反応で原料として用いたアルコール
と同種のアルコールである塩基の溶液や懸濁液を使用し
て実施した場合、上記N−アルコキシカルボニル化反応
の反応媒体は、大部分がこのアミノ酸のエステル化反応
で用いたものと同種のアルコールで占められる。従っ
て、こうした場合には、前記N−アルコキシカルボニル
化反応の開始前や終了後に、この反応媒体のアルコール
の任意の量を減圧留去等により回収し、必要に応じて精
製後、再度、アミノ酸のエステル化反応のアルコール原
料等として用いても良い。使用するアミノ酸がセリン等
の分子中に水酸基を有するアミノ酸である場合において
は、こうした回収は、アミノ酸の2量体エステルの副生
が防止できることから、特にN−アルコキシカルボニル
化反応の終了後に行うのが好適である。
いては、上記アミノ酸のエステル化反応液の中和に用い
る塩基としては、特に、中和により水を発生せず、ま
た、水の吸着能力を有するものを用いるのが好ましい。
こうした塩基を使用すれば、上記アミノ酸のエステル化
反応液の中和時に水が生じず、また、該アミノ酸のエス
テル化反応を強酸を用いて行った場合に若干副生する水
も該塩基に吸着されるため、前記N−アルコキシカルボ
ニル化反応の反応媒体は、実質的に無水で回収され、そ
のままの状態でも上記アミノ酸のエステル化反応のアル
コール原料として再使用することが可能になる。
より、N−アルコキシカルボニルアミノ酸エステルが生
成する。この反応液において溶媒は、エステル化反応の
未反応原料及びN−アルコキシカルボニル化反応で副生
したものに由来するアルコール、或いは前記中和工程で
塩基の水や有機溶媒による溶液や懸濁液を用いた場合に
は、上記アルコールと、この中和液に由来する水及び/
または有機溶媒との混合溶液になっている。また、この
溶液には、上記N−アルコキシカルボニルアミノ酸エス
テルの他に、アミノ酸エステルの酸との塩の中和、及び
アミノ酸のエステル化反応液に共存していた強酸或いは
二酸化イオウ等の中和により生じた塩が共存している。
また、場合によっては未反応原料や中間生成物であるア
ミノ酸、アミノ酸エステルも残留している。
酸エステル等は水に良く溶解し、一方、N−アルコキシ
カルボニルアミノ酸エステルは水には溶解し難いので、
本発明においては、N−アルコキシカルボニル化反応に
より得られた反応液中に水が存在していると、こうした
塩等とN−アルコキシカルボニルアミノ酸エステルの水
への溶解性の違いを利用して、該N−アルコキシカルボ
ニルアミノ酸エステルを反応液から簡単に単離すること
ができる。この単離方法としては、特に制限されるもの
ではないが、具体的には、前記反応液からN−アルコキ
シカルボニルアミノ酸エステルの結晶を晶析させる方法
や、或いは、水と非相溶性であり且つN−アルコキシカ
ルボニルアミノ酸エステルを溶解する有機溶媒を該反応
液に混合し、この有機溶媒層にN−アルコキシカルボニ
ルアミノ酸エステルを抽出する方法等が挙げられる。し
かして、本発明では、このようにして塩とN−アルコキ
シカルボニルアミノ酸エステルの水への溶解性の違いを
利用して、該N−アルコキシカルボニルアミノ酸エステ
ルを単離した場合、該化合物は、上記反応液に共存する
塩の塩析効果により効率的に反応液から晶析したり、該
塩の溶解濃度の高さからこの反応液中より有機溶媒層へ
効率的に抽出されたりする。従って、本発明の製造方法
では、以上の如くN−アルコキシカルボニル化反応液か
らのN−アルコキシカルボニルアミノ酸エステルの単離
を、水の存在下で行うことにより、該化合物を高収率で
得ることが可能になる。
ル化反応液中に水を存在させる方法は特に制限されるも
のではない。例えば、前記アミノ酸のエステル化反応液
の中和を塩基の水溶液を用いて行った場合には、上記N
−アルコキシカルボニル化反応液中には該水溶液に由来
して既に多量の水が含有されているため、特に留意しな
くても、前記単離操作を行うことができる。他方、前記
アミノ酸のエステル化反応液の中和を塩基そのもの、或
いは塩基の有機溶媒による溶液や懸濁液を用いて行った
場合等の、前記反応液がそのままでは実質的に無水の状
態で得られる際には、かかる単離操作時等において該反
応液に水を混合すれば良い。ここで、該反応液中での水
の含有量は、特に制限されるものではないが、上記N−
アルコキシカルボニルアミノ酸エステルの単離効率を勘
案すれば、結晶の析出時或いは化合物の抽出時において
40重量%以上好ましくは60重量%以上であるのが好
ましい。
応液からのN−アルコキシカルボニルアミノ酸エステル
の単離を、前記した晶析により行う場合、その操作は、
該反応液をそのままの溶媒組成で冷却等して実施しても
良いし、必要であれば減圧留去等の方法により、アルコ
ール等の有機溶媒を除いて実施しても良い。晶析時の液
の量は、少なすぎると攪はんおよび液移送が困難である
ため、N−アルコキシカルボニルアミノ酸エステルのス
ラリー濃度が30%以下、さらには20%以下にいたら
しめる量であることが好ましい。また、晶析を効率良く
行うためには、液中の塩濃度が3wt%以上、さらには
5wt%〜25wt%であることが好ましい。晶析温度
は、通常系の凝固点〜40℃、さらには0〜30℃の範
囲から採用することが好ましい。析出した結晶は、公知
の方法、例えばろ過、遠心分離等により分離できる。必
要であれば、これらの分離操作中にさらに水洗を行うこ
ともできる。
ノ酸エステルの単離を、前記した水と非相溶性であり且
つN−アルコキシカルボニルアミノ酸エステルを溶解す
る有機溶媒による抽出操作により行う場合、該有機溶媒
は、上記性状にあるものが特に制限されることなく使用
される。具体的には、ジクロロメタン、1,2−ジクロ
ロエタン、クロロホルム、トルエン、酢酸エチル、ジイ
ソプロピルエーテル等を挙げることができる。こうした
有機溶媒を混合するに際しては、上記反応液は、必要に
応じて予め減圧留去等の方法によりアルコール等の既に
含有されている有機溶媒を留去させておいても良い。そ
の場合、有機溶媒を混合する前の液量は、少なすぎると
攪はんが困難であるため、N−アルコキシカルボニルア
ミノ酸エステルのスラリー濃度が30%以下、さらには
20%以下にいたらしめる量であることが好ましい。ま
た、抽出を効率良く行うためには、液中の塩濃度が3w
t%以上、さらには5wt%〜25wt%であることが
好ましい。なお、抽出液は、必要であればさらに水洗す
ることができる。このようにして得られた抽出液から有
機溶媒を留去すれば、N−アルコキシカルボニルアミノ
酸エステルを得ることができる。また、かかる抽出液中
から公知の方法により、N−アルコキシカルボニルアミ
ノ酸エステルを晶析させても良い。
ル、及び強酸または塩化チオニルを反応させた反応液を
直接塩基で中和した後、生成したアミノ酸エステルを含
む反応液とジカーボネートとを反応させる簡単な操作に
より、N−アルコキシカルボニルアミノ酸エステルを高
収率で得ることができる。従って、本発明は、N−アル
コキシカルボニルアミノ酸エステルの製造方法として、
工業的に極めて有用である。
本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
7.5g(0.5モル)、エタノール400mlをい
れ、攪はん下10℃で乾燥塩化水素を飽和するまで吹き
込んだ。密栓して室温で2日間放置した。得られた反応
液を、予め4つ口フラスコに入れておいた1N水酸化ナ
トリウム水溶液1L中に、氷冷攪拌下滴下した。 滴下
中pHが7〜9になるように、2N水酸化ナトリウム水
溶液を適宜滴下した。滴下終了後、氷冷下ジ−t−ブチ
ルジカーボネート98.1g(0.45モル)を滴下
し、室温で12時間反応させた。その後エタノールおよ
び生成したt−ブタノールを、反応液の水含有量が96
重量%となるように減圧留去し、ジクロルメタン400
mlを用いて抽出操作を行った。ジクロルメタン層を水
100mlで水洗し、ジクロルメタンを減圧留去して、
油状のN−t−ブトキシカルボニルグリシンエチルエス
テル82.2gを得た。収率は81.0%であった。
7.5g(0.5モル)、エタノール400mlをい
れ、攪はん下10℃で乾燥塩化水素を飽和するまで吹き
込んだ。密栓して室温で2日間放置した。この反応液か
ら溶媒を減圧留去し、エタノール50mlを加えて減圧
留去する操作を4回繰り返し、残査をエタノール/エー
テルで結晶化させた。得られた結晶を、予め4つ口フラ
スコに入れておいた0.5N水酸化ナトリウム水溶液1
L中に、氷冷攪拌下添加した。さらに、氷冷下ジ−t−
ブチルジカーボネート98.1g(0.45モル)を滴
下し、室温で12時間反応させた。反応液の水含有量は
96重量%であった。この反応液に対してジクロルメタ
ン400mlを用いて抽出操作を行った。ジクロルメタ
ン層を水100mlで水洗し、ジクロルメタンを減圧留
去して、油状のN−t−ブトキシカルボニルグリシンエ
チルエステル73.4gを得た。収率は72.3%であ
った。
シプロリン66.0g(0.5モル)、メタノール25
0mlを入れ、攪拌下10℃以下で塩化チオニル62.
5g(0.53モル)を加え、室温で12時間反応させ
た。得られた反応液を、予め4つ口フラスコに入れてお
いた1.2Mの炭酸ナトリウム水溶液1L中に、攪拌下
10℃以下で滴下した。滴下終了時の溶液のpHは9.
6であった。さらに、氷冷下ジ−t−ブチルジカーボネ
ート109g(0.5モル)を滴下し、室温で12時間
反応させた。その後メタノールおよび生成したt−ブタ
ノールを、反応液の水含有量が96重量%となるように
減圧留去し、析出した結晶をろ取した。
せてN−t−ブトキシカルボニル−L−ヒドロキシプロ
リンメチルエステルの結晶107gを得た。収率は8
7.3%であった。
シプロリン66.0g(0.5モル)、メタノール25
0mlを入れ、攪拌下10℃以下で塩化チオニル62.
5g(0.53モル)を加え、室温で12時間反応させ
た。この反応液から溶媒を減圧留去し、メタノール10
0mlを加えて減圧留去する操作を4回繰り返し、残査
をメタノール/エーテルで結晶化させた。得られた結晶
を、予め4つ口フラスコに入れておいた0.28M炭酸
ナトリウム水溶液1L中に、氷冷攪拌下添加した。滴下
終了時の溶液のpHは9.6であった。さらに、氷冷下
ジ−t−ブチルジカーボネート109g(0.5モル)
を滴下し、室温で12時間反応させた。反応液の水含有
量は、96重量%であり、該反応液に析出した結晶をろ
取した。ろうと上200mlの水で洗浄し、乾燥させて
N−t−ブトキシカルボニル−L−ヒドロキシプロリン
メチルエステルの結晶96.8gを得た。収率は79.
0%であった。
250mlを入れ、攪拌下0℃以下で塩化チオニル6
2.5g(0.53モル)を加え、0℃以下で15分間
反応させた。その後表1に示したアミノ酸を0.5モル
加え、室温で12時間反応させた。得られた反応液を予
め4つ口フラスコに入れておいた、1.2Mの炭酸カリ
ウム水溶液1L中に、攪拌下10℃以下で滴下した。さ
らに、氷冷下ジ−t−ブチルジカーボネート109g
(0.5モル)を滴下し、室温で12時間反応させた。
その後メタノールおよび生成したt−ブタノールを、反
応液の水含有量が80重量%となるように減圧留去し、
酢酸エチル500mlを用いて抽出操作を行った。酢酸
エチル層を水100mlで水洗し、酢酸エチルを減圧留
去して、表1に示した各N−アルコキシカルボニルアミ
ノ酸エステルを得た。用いた原料アミノ酸および収率を
表1に示した。
以外は、実施例5と同様に行い、表2に示した各N−ア
ルコキシカルボニルアミノ酸エステルを得た。用いたジ
カーボネートおよび収率を表2に示した。
シプロリン66.0g(0.5モル)、メタノール25
0mlを入れ、攪拌下10℃以下で塩化チオニル62.
5g(0.53モル)を加え、室温で12時間反応させ
た。得られた反応液を、予め4つ口フラスコに入れてお
いた、1.2モルの炭酸ナトリウムをメタノール250
mlに懸濁させた液中に、攪拌下10℃以下で滴下し
た。さらに、氷冷下ジ−t−ブチルジカーボネート10
9g(0.5モル)を滴下し、室温で12時間反応させ
た。その後メタノールおよび生成したt−ブタノールを
減圧留去し、水を反応液の水含有量が87重量%となる
ように加え、析出した結晶をろ取した。
せてN−t−ブトキシカルボニル−L−ヒドロキシプロ
リンメチルエステルの結晶105gを得た。収率は8
5.7%であった。
シプロリン66.0g(0.5モル)、メタノール25
0mlを入れ、攪拌下10℃以下で塩化チオニル62.
5g(0.53モル)を加え、室温で12時間反応させ
た。この反応液から溶媒を減圧留去し、メタノール10
0mlを加えて減圧留去する操作を4回繰り返し、残査
をメタノール/エーテルで結晶化させた。得られた結晶
を、予め4つ口フラスコに入れておいた、0.28モル
の炭酸ナトリウムをメタノール500mlに懸濁させた
溶液中に、氷冷攪拌下添加した。さらに、氷冷下ジ−t
−ブチルジカーボネート109g(0.5モル)を滴下
し、室温で12時間反応させた。その後メタノールおよ
び生成したt−ブタノールを減圧留去し、水を反応液の
水含有量が87重量%となるように加え、析出した結晶
をろ取した。ろうと上200mlの水で洗浄し、乾燥さ
せてN−t−ブトキシカルボニル−L−ヒドロキシプロ
リンメチルエステルの結晶96.0gを得た。収率は7
8.4%であった。
Claims (1)
- 【請求項1】アミノ酸、アルコール、及び強酸または塩
化チオニルを反応させた反応液を、塩基で中和し、次い
で、生成したアミノ酸エステルを含む反応液と一般式
(1) 【化1】 (但し、R1は、アルキル基である。)で示されるジカ
ーボネートとを混合してN−アルコキシカルボニルアミ
ノ酸エステルを含む反応液を得、このN−アルコキシカ
ルボニルアミノ酸エステルを含む反応液からのN−アル
コキシカルボニルアミノ酸エステルの単離を水の存在下
で行うことを特徴とするN−アルコキシカルボニルアミ
ノ酸エステルの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP24076293A JP2953553B2 (ja) | 1993-08-12 | 1993-09-28 | N−アルコキシカルボニルアミノ酸エステルの製造方法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP19985493 | 1993-08-12 | ||
JP5-199854 | 1993-08-12 | ||
JP24076293A JP2953553B2 (ja) | 1993-08-12 | 1993-09-28 | N−アルコキシカルボニルアミノ酸エステルの製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07101928A JPH07101928A (ja) | 1995-04-18 |
JP2953553B2 true JP2953553B2 (ja) | 1999-09-27 |
Family
ID=26511791
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP24076293A Expired - Lifetime JP2953553B2 (ja) | 1993-08-12 | 1993-09-28 | N−アルコキシカルボニルアミノ酸エステルの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2953553B2 (ja) |
-
1993
- 1993-09-28 JP JP24076293A patent/JP2953553B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH07101928A (ja) | 1995-04-18 |
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