JP2000185579A - 車両用シートスライド装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【課題】 アッパレールのクッションフレームへの接合
面とアッパレールのロールとの摺接面とが表裏で一致す
ることにより、溶接時接合面でひずみが生じ、そのた
め、摺動動作時に生じるガタをなくす。 【解決手段】 アッパレール２の水平壁２１に形成され
水平壁２１をクッションフレーム５１との接合部分２１
ａと案内部材７５との摺接部分２１ｂとに区画する段部
分２１ｃを有する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、車両用シートスラ
イド装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種のシートスライド装置とし
ては、特公昭５５−２６０１０号公報に示されるものが
知られている。これは、車両フロアに保持されるロアレ
ールと、該ロアレールに転動自在なローラを介して摺動
自在に支持され車両シートが保持されるアッパレールと
を有したものである。

【０００３】この従来装置のアッパレールは、その上壁
の外面で車両シートのクッションフレームに溶接等によ
り接合され、内面でローラと摺接している。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上記した従来
装置であると、アッパレールのクションフレームへの接
合面とアッパレールのローラとの摺接面とが表裏で一致
するため、アッパレールをクッションフレーム固定する
際の接合面でのひずみ（溶接による熱ひずみ等）が摺接
面に影響しやすく、この結果、アッパレールのロアレー
ルに対する摺動動作にガタが生じたり、ローラが転動し
にくくなってアッパレールのロアレールに対する摺動動
作が重くなったりする等、レールとしての性能を悪化さ
せる恐れがあった。

【０００５】故に、本発明は、レール性能を確保するこ
とを、その技術的課題とするものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記技術的課題を解決す
るために本発明において講じた技術的手段は、前記水平
壁に形成され前記水平壁を車両シートのクッションフレ
ームとの接合部分と前記案内部材との摺接部分とに区画
する段部分を有した、ことである。

【０００７】この技術的手段によれば、接合部分と摺動
部分とが段部分により区画されているため、アッパレー
ルをその水平壁でクッションフレームに接合する際、接
合面のひずみが摺動部分に影響しにくくなる。よって、
アッパレールのロアレールの摺動動作は、ガタが発生し
たり重くなったりする等のことがなく、そのレール性能
を十分に確保し得る。

【０００８】より好ましくは、前記摺動部分は、前記ク
ッションフレームとの間に前記段部により形成される所
定のスキマを有する、と良い。

【０００９】

【発明の実施の形態】図１ないし図３に示されるよう
に、車両シートスライド装置７は、車両フロア８に保持
される左右一対のロアレール１と、車両シート４が保持
される左右一対のアッパレール２と、ロアレール１とア
ッパレール２との間に配設されるロックプレート３とか
ら構成されている。

【００１０】車両シート４は、シートクッション５及び
シートクッション５の後部に回動自在に配置されるシー
トバック６から構成されている。以下に、本発明と関係
するシートクッション５のフレーム構造についてのみ詳
しく説明する。

【００１１】クッションフレーム５１は、シートクッシ
ョン５の骨組みとなるものであって、シートクッション
５の前縁及び両側縁に沿う断面矩形の前部フレーム５２
と、シートクッション６の後縁に沿う断面矩形の後部フ
レーム５３とから構成されている。前部フレーム５２の
両端と後部フレーム５３の両端とは、左右一対のロアア
ーム５４により互いに連結されており、このロアアーム
５４によりシートバック６を回動自在に支持している。
このクッションフレーム５１上にクッションパン５５
（図３示）が載置され、クッションパン５５上にクッシ
ョン体（図示せず）が載置され、そして、クッションフ
レーム５に係止された表皮（図示せず）で覆われてい
る。尚、クッションパン５５は着座者の臀部の形状にお
およそにおいて沿うように凹形状を呈している。

【００１２】アッパレール２は、長尺状のもので、クッ
ションフレーム５１の前部フレーム５２のシートクッシ
ョン５の側部に沿う側部分５２ａと略平行に配置され、
その長手方向前端で前部フレーム５２のシークッション
５の前縁に沿う前部分５１ｂに固定されており、その長
手方向後端で後部フレーム５３に固定されている。アッ
パレール２の長手方向後端には、ロアアーム５４と対向
してシートバック６を回動自在に支持する対のロアアー
ム５５が固定されている。これにより、シートバック６
は、一組のロアアーム５４、５５との間及び一組のロア
アーム５４、５５の間でそれぞれ回動自在に支持される
２分割構成となっている。又、ロアレール１は、長尺状
のもので、アッパレール２と平行に配置され、その長手
方向前端で車両フロアに回動自在に保持され且つ長手方
向後端で車両フロアに係脱自在に保持されている。

【００１３】図３ないし図６に示されるように、アッパ
レール２は、断面略Ｕ形状を呈しており、水平壁２１及
びこの水平壁２１の両端から下方に延在するシート幅方
向内外の側壁２２、２３を備えている。両側壁２２、２
３の下端には、内方に屈曲され且つ上方に屈曲されたフ
ランジ壁２４がそれぞれ形成されている。水平壁２１に
は、段部分２１ｃが形成されており、内側壁２２から連
続する接合部分２１ａと外側壁２３から連続する摺接部
分２１ｂとに区画されている。接合部分２１ａは、その
外面でクッションフレーム５１の下面に溶接により接合
されている。摺接部分２１ｂは、段部分２１ｃにより接
合部分２１ａより下方に位置してクッションフレーム５
１の下面との間にスキマＡを形成している。このスキマ
Ａは、接合部分２１ａとクッションフレーム５との溶接
作業を容易にすると共に、クッションパン５５の凹形状
に対応してスペース効率を向上させ、シートクッション
６の座面高さを低く抑え得る。

【００１４】ロアレール１は、断面略Ｔ形状を呈するよ
うに、それぞれ水平壁１１ａ、１２ａ及び垂直壁１１
ｂ、１２ｂを備え、断面略Ｌ形状を呈する２枚の板材１
１、１２を垂直壁１１ｂ、１２ｂ同士で溶接等により接
合して成る。垂直壁１１、１２の先端には、斜下方に屈
曲されたフランジ壁１３がそれぞれ形成されている。

【００１５】図２に示されるように、接合された垂直壁
１１、１２の長手方向前端には、前方に突出する腕部１
４が形成されており、この腕部１４に車両フロアにボル
ト等で固定されたヒンジブラケット７１がピン７１ａに
より回動自在に支持されている。これにより、ロアレー
ル１の長手方向前端が車両フロア８に回動自在に支持さ
れる。又、長手方向後端には、下方に突出する脚部１５
が形成されており、この脚部１５にロック機構７２が保
持されている。ロック機構７２は、脚部１５にピン７３
ａ、７４ａによりそれぞれ回転自在に支持されたポール
７３及びラッチ７４より構成された周知の構造で、ポー
ル７３との係合により回転規制されるラッチ７４が、車
両フロア８に設けられ且つ脚部１５のＵ字溝１５ａに嵌
挿するストライカ８１と係合し、これにより、ロアレー
ル１の長手方向後端が車両フロア８に係脱自在に支持さ
れる。尚、ポール７３には、解除用の操作ハンドル（図
示せず）が連係されている。

【００１６】このように構成されたロアレール１とアッ
パレール２は、図３ないし図６に示されるように、ロア
レール１の水平壁１１ａ、１２ａ及びフランジ部１３が
アッパレール２の断面形状内に収められ、ロアレール１
の水平壁１１ａ、１２ａがアッパレール２の水平壁２１
とが略平行に対向し且つロアレール１のフランジ壁１３
とアッパレール２のフランジ壁２４と側壁２３との間の
コーナ部位とが対向するように配置されている。そし
て、対向し合うロアレール１の水平壁１２ａとアッパレ
ール２１の摺接部分２１ｂとの間に摺接部分２１ｂの内
面及び水平壁１２ａの上面と摺接するローラ７５が配置
され、対向し合うロアレール１のフランジ壁１３とアッ
パレール２のコーナ部位との間にボール７６が配置され
る。これにより、アッパレール２は、ロアレール１に対
して摺動自在に支持される。尚、ローラ７５及びボール
７６は、それぞれを転動自在に支持するプレート７７に
よりユニット化されている。

【００１７】図２及び図６に示されるように、ロックプ
レート３は、アッパレール２の内側壁２２と対向して略
平行に配置されたレール長手方向に延びる長尺状のもの
で、アッパレール２の内側壁２２に立設されたピン３１
に回動自在に支持されている。ロックプレート３の長手
方向前端には、操作ハンドル３２が連結されており、他
端には、係合爪部３３が一体に形成されている。係合爪
部３３は、断面略Ｕ字形状を呈しており、アッパレール
２のフランジ部２４の下方を迂回するように配置されて
いる。尚、アッパレール２の内側壁２２から連続するフ
ランジ壁２４には、この係合爪部３３の配置のために切
り欠き２４ａが形成されている。ロアレール１の水平壁
１１ａには、レール長手方向において所定の間隔をおい
て配置された複数の係合孔１４が形成されている。又、
アッパレールの水平壁２１には、係合孔１４と対向する
複数の貫通孔２５が形成されている。係合爪部３３は、
この係合孔１４及び貫通孔２５に挿通され、これによ
り、アッパレール２のロアレール１に対する摺動動作を
規制する。尚、ロックプレート３は、ピン３１周りに配
設されたスプリング３４の付勢力により係合爪部３３が
係合孔１４及び貫通孔２５に挿通される方向（図２示反
時計方向）に常時回動付勢されている。

【００１８】次に作動について説明する。

【００１９】操作ハンドル３２を操作してロックプレー
ト３をスプリング３４の付勢力に抗して図２２時計方向
に回動させると、係合爪部３３が係合孔１４及び貫通孔
２５から抜け出す。これにより、アッパレール２のロア
レール１に対する摺動動作が可能となり、車両シート４
の車両フロア８に対する前後位置調整を行い得る。尚、
操作ハンドル３２の操作を解除すれば、スプリング３４
の付勢力により、ロックプレートの係合爪部３３が係合
孔１４及び貫通孔２５に再び挿通され、アッパレール２
のロアレール１に対する摺動動作が規制される。

【００２０】操作ハンドルを操作してロック機構７２を
作動させるつまりポール７３によるラッチ７４の回転規
制を解除すると、ラッチ７３が回転してストライカ８１
から係合解除される。これにより、ロアレール１をピン
７１ａを中心として回動させ、車両シート４を車両フロ
ア８に対して前起こし状態とし得る。尚、この操作を行
う前に、シートバック６は、シートクッション５に対し
て回動させられ、前倒し状態とされている。

【００２１】

【発明の効果】本発明よれば、アッパレールの水平壁に
段部分を形成してクッションフレームに対する接合部分
と案内部材に対する摺接部分とを区画したので、アッパ
レールのクッションフレームとの接合部分に生じるひず
み等が案内部材との摺接部分に影響することを抑制する
ことができる。これにより、従来のように、アッパレー
ルのロアレールに対する摺動動作にガタが生じたり、ロ
ーラが転動しにくくなってアッパレールのロアレールに
対する摺動動作が重くなったりする等、レールとしての
性能を悪化させることがなくなり、アッパレールをクッ
ションフレームに直に接合することができる。これによ
り、部品点数を削減すると共に車両シートの座面高さも
低く抑えることができる。

【００２２】又、本発明によれば、段部により摺接部分
とクッションフレームとの間にスキマを形成するので、
アッパレールのクッションフレームに対する接合作業を
容易にすることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る車両用シートスライド装置に取り
付けられる車両シートクッションフレームを示す斜視図
である。

【図２】本発明に係る車両用シートスライド装置の正面
図である。

【図３】図１のＢ−Ｂ線断面図である。

【図４】本発明に係る車両用シートスライド装置の前端
での断面図である。

【図５】本発明に係る車両用シートスライド装置の後端
での断面図である。

【図６】本発明に係る車両用シートスライド装置のロッ
クプレートの支持部位での断面図である。

【符号の説明】

１ ロアレール ２ アッパレール ４ 車両シート ８ 車両フロア Ａ スキマ ２１ 水平壁 ５１ クッションフレーム ７５ ローラ（案内部材） ２１ａ 接合部分 ２１ｂ 摺接部分 ２１ｃ 段部分

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 車両フロアに保持されるロアレールと、
   該ロアレールに案内部材を介して摺動自在に支持され車
   両シートが保持されるアッパレールとを有し、該アッパ
   レールが外面で前記車両シートのクッションフレームに
   接合され且つ内面で前記案内部材と摺接する水平壁を備
   えた車両用シートスライド装置において、前記水平壁に
   形成され前記水平壁を前記クッションフレームとの接合
   部分と前記案内部材との摺接部分とに区画する段部分を
   有する車両用シートスライド装置。
2. 【請求項２】 前記摺動部分は、前記クッションフレー
   ムとの間に前記段部により形成される所定のスキマを有
   する、請求項１記載の車両用シートスライド装置。