JPH0722857B2 - 自動車用シートスライドの組付方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［発明の目的］ （産業上の利用分野） この発明は自動車用シートスライドの組付方法に関する
ものである。

（従来の技術） 一般に自動車用シートは乗員の身長に合わせて最適なシ
ートポジションが確保できるように前後方向の調節が可
能となっている。

シートポジションの確保を図るシートスライドの概要
は、車体側に取付けられるロアーレールとシート側に取
付けられるアッパーレールとから成ると共にロアーレー
ルとアッパーレールとは相対移動自在に取付けられ、ロ
ック機構によって希望するスライド位置で位置決めされ
る構造となっている。

第12図に代表的なＣ型断面となるアッパーレールと、ロ
アーレールの一般的な組付け状態の断面図を示してい
る。図において、101は車体側に取付けられるロアーレ
ール、103はシート側に取付けられるアッパーレールを
それぞれ示している。ロアーレール101とアッパーレー
ル103の間にはリナーテ109によって保持されたガイドロ
ーラ105とガイドローラ105の両側方にボール107,107が
それぞれ回転自在に配置されており、ロアーレール101
とアッパーレール103はガイドローラ105及びボール107
によって円滑な相対移動が可能となっている。

（発明が解決しようとする課題） 前記した如くシートはシートスライドによって前後にス
ライド可能となるが、シートのスライド時、あるいは、
スライド完了時にシートがガタ付くと品質感が損われる
ところから、ガタ付くことなく円滑にスライドするよう
組付けることが要求される。このためには、ガイドロー
ラ105及びボール107を組付けるためのＡとＢの寸法を正
確に成形管理しなくてはならない。したがって、ロアー
レール101及びアッパーレール103の加工にあたって許さ
れる加工誤差ａ・ｂはできるだけ小さく確保しなければ
ならず加工性の面で望ましくなかった。また、仮りに、
加工誤差ａ・ｂが発生すると、場合によってはガイドロ
ーラ105のボール107が入らなくなりロアーレール101と
アッパーレール103の組付けが困難となる等の虞れがあ
る。

そこで、この発明はガタ付きが起きず、しかも加工性の
面でも好ましい自動車用シートスライドの組付方法を提
供することを目的としている。

［発明の構成］ （課題を解決するための手段） 前記目的を達成するために、この発明は、前後に長いロ
アーレールとアッパーレールのいずれか一方のレール主
体部を、一般部と、一般部から外側へ向けて突出した左
右一対の連続する外側ガイド部とで形成し、他方のレー
ル主体部を、内側へ向けて突出した左右一対の連続する
内側ガイド部と、内側ガイド部と内側ガイド部の間で長
手方向に連続する開放口とを備えた断面ボックス状とし
た後、内側ガイド部と外側ガイド部がそれぞれ対向し、
かつ一般部が、内側ガイド部と内側ガイド部の開放口か
ら外方へ突出するようロアーレールとアッパーレールと
を相対移動自在に組付け、ロアーレール内にアッパーレ
ールを支持する回転体を、また内側ガイド部と外側ガイ
ド部との間に球状の回転体をそれぞれ配置した後、前記
開放口から突出するレール主体部の一般部をスライド自
在に遊ばせた状態で断面ボックス状のレール主体部を矯
正ナラシ装置の受台にセットし、受台にセットされたレ
ール主体部を、押圧部材で指圧しながら開放口から一般
部が突出するレール主体部側を往復動させて、上下に対
向し合う内側ガイド部の内壁面と、外側ガイド部の内壁
面とに、球状の回転体による圧接された長手方向に連続
する案内溝を形成して組立ててある。

（作用） かかる自動車用シートスライドの組付方法によれば、最
終の仕上工程においてインナ側となるレール主体部を遊
ばせた状態でアウタ側となる断面ボックス状のレール主
体部を受台にセットし、そのレール主体部を上から押圧
部材で押圧しながらインナ側となるレール主体部を数回
往復動させて組立てるため、ロアーレール及びアッパー
レールの組付け時に加工誤差が大きくても組付けに支障
が起きずアッパーレール，ロアーレールの成形管理が容
易となる。この場合、一般部を有するレール主体部は受
台に、断面ボックス状のレール主体部は、押圧部材に正
しくセットされ、全体にわたり均等な押圧力が作用する
矯正ナラシが得られるようになる。したがって、内側ガ
イド部と外側ガイド部には球状の回転体によって長手方
向に浅く窪む案内溝が形成されるためにガタ付くことな
く円滑なスライドが確保されるようになる。

（実施例） 以下、第１図乃至第11図の図面を参照しながらこの発明
の一実施例を詳細に説明する。

図中１は車体側に取付けられるロアーレール,3はシート
側に取付けられるアッパーレールをそれぞれ示してい
る。

ロアーレール１は前後に長い形状で、レール主体部は取
付ブラケット5a,5aが前後両端部に固着された水平部５
の両側縁から両側壁７・７が垂直に立上り、さらに内側
へ向けてほぼ水平に内側ガイド部９・９が突出する断面
ボックス状となっており、内部には長手方向と軸心が直
交するローラ状の回転体11が配置されている。また、内
側ガイド部９・９の先端は下方に短く屈曲され、この屈
曲部13と屈曲部13の間は長手方向に連続する開放口15と
なっている。

アッパーレール３は前後に長い形状で、レール主体部は
前記開放口15から上方に突出すると共にシート側に固着
されるほぼ垂直な一般部17と、一般部17の下端から左右
へ水平に突出し、前記ロアーレール１側の内側ガイド部
９・９とそれぞれ対向し合う外側ガイド部19・19とから
成る断面下向きのＴ字状となっている。外側ガイド部19
・19は前記ローラ状の回転体11に載っており、外側ガイ
ド部19・19の両端は上方へ短く屈曲されている。この屈
曲部21・21は、前記ロアーレール１側の屈曲部13,13と
によって球状の回転体23・23が車幅（第２図左右）方向
への動きが規制されるストッパー壁としての機能を備え
ている。

なお、第10図において25はロアーレール１及びアッパー
レール３の組付け完了後において、後付けされるシート
スライド27のロック機構を示している。

ロック機構25はロアーレール１の一側に設けられた多数
の係合歯29と、アッパーレール３側にブラケット31・31
を介して回転支持された操作レバー33と、操作レバー33
に設けられ前記係合歯29と係脱自在に噛み合う係止体35
と、係止体35が前記係合歯29と常時噛み合うよう操作レ
バー33を付勢する付勢ばね37とから成り、操作レバー33
を矢印方向に付勢ばね37の付勢力に抗して操作すること
で係合歯29と係止体35の噛み合いが解除されるようにな
っている。これによりロアーレール１とアッパーレール
３の相対移動が可能となる。

また、球状の回転体23とローラ状の回転体11は前後２箇
所に設けられると共にリテーナ39によって回転自在に保
持されている。

次に組付け手順について説明する。

ロアーレール１側の内側ガイド部９・９とアッパーレー
ル３側の外側ガイド部19・19がそれぞれ上下に対向する
ようロアーレール１とアッパーレール３とを相対移動自
在に組付ける。次にロアーレール１側に外側ガイド部19
・19が載るようにローラ状の回転体11を配置し、続い
て、外側ガイド部19・19と内側ガイド部９・９との間に
球状の回転体23・23をリテーナ39を介して前後に配置セ
ットする。なお、リテーナ39は、中央部位にローラ５が
係合し合う開口部39aが、また、左右のカール部39b,39b
には球状の回転体23が係合し合う開口部（図示していな
い）が設けられた公知の形状となっている。この場合、
各回転体11・23の組付け順序は前記とは逆でもよく、ま
た、同時に組付けてもよい。

次に第２図に示す如くロアーレール１のアッパーレール
３との上下の関係を逆にして開放口15から一般部17が突
出するインナ側となるレール主体部を遊んだ状態とし、
かつアウタ側となる断面ボックス状のレール主体部を矯
正ナラシ装置44の受台40にセットした後、そのロアーレ
ール１のレール主体部を上方から押圧部材41によって押
圧しながら受台40の前後に設けられたピストンロッド45
によってインナ側となるレール主体部、即ちアッパーレ
ール３を前後（第10図左右）に数回往復する矯正ナラシ
を行なう。矯正ナラシは第11図で示す如く初期荷重最大
27kg時でも約３回で摺動抵抗が軽減安定する結果が得ら
れた。

この矯正ナラシ時において、外側ガイド部19と内側ガイ
ド部９には球状の回転体23によって長手方向に連続する
浅く窪んだ案内溝Ｐが形成されると共にローラ状の回転
体11が接する外側ガイド部19と水平部５とは平坦に均さ
れるようになる。

次に押圧部材41の押圧を解除すれば残留応力によってア
ウタ側のロアーレール１は若干外側へ戻るため、ロアー
レール１とアッパーレール３とは適正な組付状態が確保
される。この結果、アッパーレール３はロアーレール１
に対して円滑にスライドするようになる。

したがって、ロアーレール１及びアッパーレール３の組
付け時に加工誤差ｃ・ｄ・ｅ・ｆが起きても組付け時に
支障が起きなくなり、各レール１・３の成形管理が楽に
なる。

なお、ロアーレール１は内側ガイド部９が下向の状態で
矯正ナラシが行なわれ実施例となっているが、内側ガイ
ド部９が上向きの状態で矯正ナラシが行なわれるように
することも可能である。

また、アッパーレールがＣ型断面図であるシートスライ
ドに適応することも可能である。

［発明の効果］ 以上、説明したように、この発明によれば、一般部を有
するレール主体部は受台に、断面ボックス状のレール主
体部は押圧部材を正しくセットすることができるため、
押圧部材によって、全体にわたり均等な押圧力が作用す
る矯正ナラシが得られるようになる。したがって、対向
し合う内側ガイド部と外側ガイド部に形成された長手方
向に連続する案内溝に沿って回転体が転動する結果、ア
ッパーレールとロアーレールはガタ付くことなく円滑な
スライド移動が確保される。

【図面の簡単な説明】

第１図は、この発明のロアーレールとアッパーレールと
を組付けた状態の第10図Ａ−Ａ断面図、第２図は矯正ナ
ラシ時の概要説明図、第３図、第４図、第５図、第６
図、第７図は、第１図と対応する各機能部品を取出して
示したもので、第３図はアッパーレールの断面図、第４
図はロアーレールの断面図、第５図は球状の回転体の正
面図、第６図はローラ状の回転体の正面図、第７図はリ
テーナの断面図、第８図は矯正ナラシ完了後の左半分を
示した第１図と同様に拡大断面図、第９図は矯正ナラシ
装置にロアーレールとアッパーレールをセットした全体
の説明図、第10図はシートスライドの斜視図、第11図は
矯正ナラシと摺動抵抗との関係を示した説明図、第12図
は従来例を示した第１図と同様の説明図である。 １……ロアーレール ３……アッパーレール ９……内側ガイド部 11……ローラ状の回転体 15……開放口 17……一般部 19……外側ガイド部 23……球状の回転体 40……受台 41……押圧部材 44……矯正ナラシ装置

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】前後に長いロアーレールとアッパーレール
   のいずれか一方のレール主体部を、一般部と、一般部か
   ら外側へ向けて突出した左右一対の連続する外側ガイド
   部とで形成し、他方のレール主体部を、内側へ向けて突
   出した左右一対の連続する内側ガイド部と、内側ガイド
   部と内側ガイド部の間で長手方向に連続する開放口とを
   備えた断面ボックス状とした後、内側ガイド部と外側ガ
   イド部がそれぞれ対向し、かつ一般部が、内側ガイド部
   と内側ガイド部の開放口から外方へ突出するようロアー
   レールとアッパーレールとを相対移動自在に組付け、ロ
   アレール内にアッパーレールを支持する回転体を、また
   内側ガイドと外側ガイド部との間に球状の回転体をそれ
   ぞれ配置した後、前記開放口から突出するレール主体部
   の一般部をスライド自在に遊ばせた状態で断面ボックス
   状のレール主体部を矯正ナラシ装置の受台にセットし、
   受台にセットされたレール主体部を、押圧部材で押圧し
   ながら開放口から一般部が突出するレール主体部側を往
   復動させて、上下に対向し合う内側ガイド部の内壁面
   と、外側ガイド部の内壁面とに、球状の回転体による圧
   接された長手方向に接続する案内溝を形成して組立てた
   ことを特徴とする自動車用シートスライドの組付方法。