JP2002240610A - 車両用シート - Google Patents

車両用シート

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JP2002240610A
JP2002240610A JP2001038119A JP2001038119A JP2002240610A JP 2002240610 A JP2002240610 A JP 2002240610A JP 2001038119 A JP2001038119 A JP 2001038119A JP 2001038119 A JP2001038119 A JP 2001038119A JP 2002240610 A JP2002240610 A JP 2002240610A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 重量やコストの増加をすることなく、前後位
置調整可能な幅広のシート本体にチャイルドシートを取
り付けても要求強度を満たすことができる車両用シート
を提供すること。 【解決手段】 シート本体1の左右方向中間部に設けた
補強部材12の前端に、衝撃荷重によりシート本体1が
前方へ移動したときに、車両床面40と当接する保持ブ
ラケット122を設け、補強部材12の後方下面に、シ
ート本体1を前後位置調整範囲の最後部位置に調整した
ときに、車両床面40に取り付けた鳶のくちばし状の床
面側係合部材25と対峙するように、係合ヒメール21
7を有するシート側係合部材21を設けて、車両への衝
撃力によりシート本体1が前方へ移動したときに、シー
ト側係合部材21の係合ヒメール217が床面側係合部
材25の突出部253の後角部254と係合して、シー
ト本体1のそれ以上の移動を阻止するようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複数の乗員が着座
可能な車両用の幅広のシートに関し、特に、このシート
本体が前後位置調整可能であり、このシート本体にチャ
イルドシートを取り付けて、車両に前方への衝撃荷重が
掛かったときに、シート本体の一定以上の変形を防止す
る車両用シートに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、幼児を車両に乗車させる場合、シ
ートベルト等での拘束は困難なため、シートにチャイル
ドシートを取り付けて、このチャイルドシートに幼児を
着座させることが義務づけられた。そして、このチャイ
ルドシートで幼児を確実に拘束するために、チャイルド
シートに掛かる荷重を想定して、該荷重に対してチャイ
ルドシートを保持するシート自体が変形して幼児にダメ
ージが発生しないように、シートが一定以上の強度を有
するように要求されている。
【0003】すなわち、現時点でのチャイルドシートを
取り付けるシートのアンカー(緊締装置)に対する要求
強度は、図7に示すように、シート510にダミーのチ
ャイルドシート530を取り付けて、幼児の胸部に相当
する点Pに前方へ8KNの荷重をかけたときの点Pの変
位量を代替値として規定している。現在のISO(Inte
rnational Organization for Standardizaition;国
際標準化機構)ではこの変位量は125mm以下とされ
ている。
【0004】ところで、例えば、図示はしないが、一人
掛けの幅の狭いシートにチャイルドシート30を取り付
ける場合は、該一人掛けシートは左右の脚部あるいはス
ライド装置の間隔が狭いため、チャイルドシート30の
左右両側のアタッチメント33と一人掛けシートの左右
の脚部あるいはスライド装置との距離が近い状態で車両
床面に保持されるので、上記要求強度を満たすことは容
易である。しかし、複数の乗員が着座できる幅広のシー
ト510では、図8に示すように、そのシート510の
幅が広いため左右両端の脚部間の距離が大きいので、こ
のシート510にチャイルドシート30を取り付ける
と、上記の要求強度を満足できない場合がある。
【0005】上記要求強度を満たすためには、シート5
10の構成部材の寸法や板厚を増して強度増加を図った
り、シート510の幅方向の中間部に床面と接続する脚
部を追加して構成部材の寸法や板厚を増加することなく
強度を増加させること等が行われている。具体的には、
図8に示すように、シート510のシートクッション5
11のフレーム5111の左右両端に、側面視でハット
形に形成したシートレッグ516の前後の脚部516
1、5162で車両床面540に取り付けるとともに、
さらにシート510の左右方向の中間部において、側面
視でハット形に形成したシートレッグ616の前後の脚
部6161、6162で車両床面540に取り付けたも
のがある。
【0006】一方、チャイルドシート30は、図9
(A)、(B)に示すように、チャイルドシート30に
設けられた左右一対の固定用のアタッチメント33の先
端部に形成された切欠き331と、チャイルドシート保
持手段としてシート510のフレーム5111に取り付
けられロック部5141がこの切欠き331内に入り込
むフック514と、図示を省略した操作レバーを操作す
ることにより上下方向に揺動して切欠き331に入り込
んだロック部5141をアタッチメント33から外れな
いようにする断面L字状のロックレバー34とにより、
シート510に取り付けられる。
【0007】すなわち、図9(A)に示すロックレバー
34が開いた状態でシート510のフック514のロッ
ク部5141に向けてアタッチメント33の先端部を移
動させると、相対的にシート510のフック514のロ
ック部5141がアタッチメント33の切欠き331に
入り込み、その後、図9(B)に示すようにロックレバ
ー34を閉じて該ロックレバー34の先端の鍵部をフッ
ク514のロック部5141に引っかけて、アタッチメ
ント33の切欠き331とロックレバー34の先端の鍵
部とにより、フック514のロック部5141を挟み込
むように装着することにより、チャイルドシート30を
シート510に保持する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところが、このような
シート510の左右の脚部516の中間で、複数の脚部
616により車両床面540に保持するタイプのシート
510では、該脚部516、616が車両床面540に
強固に取り付けられているため、シート510全体を車
両前後にスライドして位置調整することができず、使い
勝手がよくなかったという問題が生じていた。
【0009】特に、近年、人気のある7、8人乗りのバ
ン型乗用車では、最後部(3列目)の座席への乗降をし
易くするために、あるいは2列目と3列目のシートを折
り畳んで広い空間として利用するために、第2列目のシ
ートを前後に位置調整可能な構成とする必要があり、こ
の第2列目のシートを固定式にすると、上記の利用目的
が達成できず、車両としての商品価値が低下するという
問題が生じていた。
【0010】このため、前後位置調整可能としたシート
にチャイルドシートを取り付けたときの前述した要求強
度を満たすためには、シートのフレームやスライドレー
ルを強固なものにしなければならず、シートの重量やコ
ストの増加をきたしていた。また、前後位置調整可能な
シートにチャイルドシートを使用する場合は、チャイル
ドシートに着座した幼児の安全性を考慮して、前席とチ
ャイルドシートとの間隙を十分確保するために、シート
を前後位置調整範囲の最後端に位置させた状態でチャイ
ルドシートを取り付けて使用するように指導されてい
る。
【0011】そこで、本発明は、かかる課題を解決すべ
く、重量やコストの増加をすることなく、前後位置調整
可能なシートにチャイルドシートを取り付けても要求強
度を満たすことができる車両用シートを提供することを
目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明に係る車両用シー
トは、複数の乗員が着座可能な幅広のシート本体と、該
シート本体の左右両端に設けられ、シート本体を車両の
床面に対して前後位置調整可能に支持するスライドレー
ルと、シート本体に設けられ、前記シート本体に対して
チャイルドシートを保持可能なチャイルドシート保持手
段とを備える車両用シートにおいて、前記シート本体の
幅方向中間部および車両の床面との間に、通常はシート
本体と車両の床面とを互いに分離してシート本体の前後
位置調整を許容し、シート本体を前後位置調整範囲の最
後端に位置させた状態でシート本体に前方への衝撃荷重
が掛かったときはシート本体と車両床面とを互いに結合
し、シート本体の一定以上の変形を阻止する変形阻止手
段を設けたことを特徴とする。
【0013】よって、スライドレールに沿ってシート本
体を前後位置調整範囲の最後端に位置させた状態でチャ
イルドシートをシート本体に取り付け、該チャイルドシ
ートを介して前方への衝撃荷重が掛かってシート本体が
変形したときに、シート本体と車両床面との間に設けた
変形阻止手段により、一定以上の変形を阻止し、市場の
要求する強度を達成する車両用シートを、重量、コスト
の増加をすることなく、提供することができる。
【0014】また、本発明に係る車両用シートは、前記
変形阻止手段が、前記シート本体の下面に設けられたシ
ート側係合部材と、車両の床面上に設けられ、前記シー
ト本体を前後位置調整範囲の最後端に位置させたとき前
記シート側係合部材と係合可能に対峙し、前記衝撃荷重
によりシート本体が所定量変形したときに前記シート側
係合部材と係合してそれ以上の変形を阻止する床面側係
合部材とを備えることを特徴とする。
【0015】よって、シート本体の下面にシート側係合
部材を設け、シート本体を前後位置調整範囲の最後端位
置に調整したときに前記シート側係合部材と対峙し、シ
ート本体が所定量変形したときに前記シート側係合部材
と係合してそれ以上の変形を阻止する床面側係合部材を
床面に設けて変形阻止手段としたので、チャイルドシー
トに掛かる荷重をシート本体のシート側係合部材と車両
床面の床面側係合部材を介して車両床部材に逃し、シー
ト本体の所定量以上の変形を阻止できるため、シート本
体の全体的な強度アップを必要とせず、軽量化を図りな
がら要求強度を満たすことができる。
【0016】さらに、本発明に係る車両用シートは、前
記シート本体が、前枠、後枠、および左右の側枠で構成
される略長方形のフレーム本体と、シート本体の幅方向
中間部において前記前枠と前記後枠とを橋架する補強部
材とで概ね構成されたシートクッションフレームを備
え、前記チャイルドシート保持手段の一部が前記後枠に
設けられており、前記シート側係合部材が前記補強部材
に設けられていることを特徴とする
【0017】よって、チャイルドシートに前方への衝撃
荷重が掛かると、その衝撃荷重はチャイルドシート保持
手段を介して後枠を前方に引っ張る方向に作用し、さら
に後枠に接続された補強部材とスライドレールに分散さ
れ、補強部材に作用した荷重はシート側係合部材を介し
て車両床部材に逃し、スライドレールに作用した荷重は
スライドロック装置を介して同じく車両床部材に逃され
るので、シートクッションフレームに前枠と後枠とを橋
架する補強部材を設け、この補強部材にシート側係合部
材を設けるだけで荷重が分散でき、前後位置調整可能な
シート本体にチャイルドシートを取り付けて必要な耐荷
重を満たす車両用シートを得ることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】次に、本発明に係る車両用シート
の一の実施の形態について図面を参照して以下に説明す
る。本実施の形態の車両用シートは、バン型自動車の第
2列目のシートに適用したものである。ここで、図1
は、車両用シートのシートクッションフレームの斜視図
であり、図2は、図1のII−II線に沿う断面図である。
図3は、チャイルドシートを取り付けた車両用シートの
部分断面図である。
【0019】(構成)本発明に係る車両用シートの一の
実施の形態の構成について説明する。シート本体1は、
図1、図2に示すように、車両の右側に二人、左側に一
人が着座できる三人掛けのシートになっていて、シート
クッション10と、シートクッション10に下端を回動
可能に支持されたシートバック19とから構成されてい
る。
【0020】シート本体1は、シートクッション10の
左右両端に設け、シート本体1を前後方向にスライドし
て位置を調整可能にするシートスライド装置13を介し
て、シートスライド装置13の前後に設けたシートレッ
グ15の前足151、後脚152により車両床面40に
取り付けられる。シートクッション10のシートクッシ
ョンフレーム11は、シートクッション10の前端の幅
方向に配設したパイプ状の前枠112と、後端の幅方向
に配設したパイプ状の後枠113と、シートクッション
10の左右端で前枠112と後枠113とを前後方向で
連結して左右の側枠として機能するシートスライド装置
15のアッパレール151とにより略長方形に形成され
るフレーム本体111と、フレーム本体111の幅方向
を略2対1に配分する中間部において、前枠112と後
枠113とを車両の前後方向で橋架する下向きに開口す
るハット断面の補強部材12とで構成されている。
【0021】そして、前端で前枠112の上部に、左右
の側部では補強部材12のハット断面のフランジ部とア
ッパレール151の上面に載置して溶接されるシートパ
ネル114と、シートパネル114の後端を補強するコ
字形パイプ115によりシートクッション10の底部を
構成している。
【0022】シートスライド装置13は、前述したよう
にシートクッション10の左右両端下部に前後方向に設
けたアッパレール131と、このアッパレール131に
挿入されてその内部に設けたローラによりアッパレール
131を前後位置調整可能に移動させるロアレール13
2と、図示は省略したがアッパレール131の前後方向
の位置を調整した任意の位置で固定するスライドロック
装置からなっている。
【0023】すなわち、アッパレール131はコ字断面
をその開口を互いに対向させて突き合わせ、下側のフラ
ンジを短くして下方に開口する略凹断面を呈している。
一方、ロアレール132は、上方に開口するコ字断面の
上端の板端を左右に折り曲げてフランジとした略ハット
断面を呈している。そして、このロアレール132の左
右のフランジがアッパレール131の凹断面内で包み込
まれるように挿入されるとともに、これらアッパレール
131とロアレール132の互いの底面に当接する複数
のローラを挿入して、アッパレール131から受ける車
両用シートや着座者の重量をこれらのローラで受けなが
らアッパレール131ひいては車両用シートを前後方向
に移動し、その位置を調整できるようになっている。な
お、アッパレール131は前述のように、その前端で前
枠112に、後端で後枠113に溶接されてフレーム本
体111の側枠として機能している。
【0024】後枠113の、シートクッション10の左
右の各一人分の着座位置に対応した位置に、図1、図3
に示すように、チャイルドシート保持手段としての左右
一対のフック14が取り付けられている。フック14
は、丸棒を四角に折り曲げて矩形に形成し、側面視で一
本の棒状に見える一端を半円形に形成して後枠113を
把持するように後枠113に溶接され、他端をロック部
141としてシートクッション10の表皮より若干出っ
張るように後枠113に取り付けられている。なお、フ
ック14の、後枠113との取付は、図1に示すよう
に、該後枠113の上面から半円形に巻き込む場合と、
下面から巻き込む場合があるが、要するにフック14先
端のロック部141の位置が一直線上にあれば、いずれ
でもかまわない。
【0025】補強部材12はハット断面に形成され、そ
のハット断面の開口を下向きにして車両の前後方向に配
設されており、その後方の下面に、ハット断面の開口を
覆うように裏板121が溶接されている。裏板121の
下面に、図2、図3に示すように、車両床面40に向か
って垂下する側面視ハット断面のシート側係合部材21
が取り付けられている。このシート側係合部材21は、
図4の斜視図に示すように、側面視ハット断面の上方前
後の取付部211、212で前記裏板121にボルトに
より締付けられる。取付部211、212からハット断
面の底部215に連続する前後の壁部213、214の
うち、後方の壁部214から底部215に続いて矩形の
窓216がL字状に穿設されている。
【0026】シート側係合部材21の後方の壁部214
の前面に、丸棒を角U字状に折り曲げて、その頂部を前
記窓216のL字の角部を橋渡しするように溶接した係
合ヒメール217が取り付けられている。なお、このシ
ート側係合部材21の前後の壁部213、214と底部
215の左右端には、補強のフランジが設けられてい
る。また、取付部211、212は裏板121の断面に
沿うように、かつボルト1本で締め付けても回らないよ
うにハット断面に絞られている。
【0027】一方、シート本体1が前後位置調整範囲の
最後部に位置したときに、前記シート側係合部材21の
後部の壁部214の窓216から該シート側係合部材2
1のハット断面部に入り込み、前記係合ヒメール217
と対峙する位置に臨むように、車両床面40に厚鋼板製
の床面側係合部材25が取り付けられている。このシー
ト側係合部材21と床面側係合部材25とにより変形阻
止手段20を構成する。
【0028】床面側係合部材25は、図2乃至図4に示
すように、側面視で鳶のくちばしの如く前方へ湾曲して
突出するようにボルトにより車両床面40に取り付けら
れている。すなわち、床面側係合部材25は、車両床面
40へ取り付ける平面部251の左右両端から上方へ折
り曲げられ、その途中から対称的に互いに対向する方向
にZ字状に折り曲げられて、くちばし部252で両側の
板が重合される。くちばし部252の先端は、側面視で
下方に突出した突出部253が形成され、該突出部25
3の後角部254で、シート本体1が変形したときに前
記シート側係合部材21の係合ヒメール217に当接す
るようになっている。
【0029】また、シートクッション10の前方で補強
部材12の前端下部に、図2の断面図に示すように、該
シートクッション10が前下方に変位したときに車両床
面40に当接する菱形の保持ブラケット122が取り付
けられている。
【0030】(作用)次に、上記のように構成した本発
明に係る車両用シートの一の実施の形態の作用について
説明する。まず、チャイルドシート30をシート本体1
に取り付けて使用するために、シート本体1を図2に示
すように、そのシートスライド装置13により前後位置
調整範囲の最後部に位置するように調整して、図示省略
のスライドロック装置を作動させて、シート本体1を前
後位置調整範囲の最後部の位置に固定する。シート本体
1を前後位置調整範囲の最後部の位置に調整すると、シ
ートクッションフレーム11の中間の補強部材12の後
部下面に設けたシート側係合部材21の後面の壁部21
4に設けた窓216から、車両床面40に取り付けられ
た床面側係合部材25のくちばし部252が、シート側
係合部材21の係合ヒメール217と対峙する上方の位
置に窓216を通って入り込む。
【0031】シート本体1が前後位置調整範囲の最後部
の位置に調整された状態で、図3に示すように、従来と
同様に、チャイルドシート30を、該チャイルドシート
30の左右後方に突出する固定用アタッチメント33の
先端部に形成された切欠き331に、シートクッション
10の表皮からわずか突出しているフック14のロック
部141が入り込むようにシート本体1のシートクッシ
ョン10とシートバック19の間に差し込み、ロック部
141がこの切り欠き331内に入り込んだらアタッチ
メント33のロックレバー34を下げてロック部141
がアタッチメント33から外れないようにしてシート本
体1に取り付ける。
【0032】そして、車両に前方への衝撃荷重が加わる
と、その衝撃力によりチャイルドシート30に着座した
幼児の体重とチャイルドシート30の自重とにより、ア
タッチメント33からフック14を介してシート本体1
に前方への引張力が作用する。シート本体1が前方へ引
っ張られると、図示は省略したが、左右のシートスライ
ド装置13やシートレッグ15が変形し、シート本体1
は前方が下方に、後方が上方に移動する。すなわち、図
5において反時計回りに回動する。
【0033】そうすると、図5に示すように、シート本
体1の前方は、シートクッション10の中間の補強部材
12の前端に設けた保持ブラケット122の下面が車両
床面40に当接して、それ以上の下方への移動を阻止さ
れる。一方、シート本体1の後方は、前上方に持ち上げ
られるが、シートクッション10の中間の補強部材12
の後方下部に設けたシート側係合部材21も前上方に持
ち上げられ、シート側係合部材21に設けた係合ヒメー
ル217と対峙している、車両床面40に取り付けられ
た床面側係合部材25のくちばし部252の下方への突
出部253の後側の後角部254に係合ヒメール217
が係合して、シート本体1の後方のそれ以上の上方への
移動が阻止される。
【0034】実際の衝撃力を再現してシート本体1の強
度を確認することは困難なため、上記と同様に図7に示
すようにダミーのチャイルドシート530をシート本体
1に取り付け、このダミーのチャイルドシート530の
点Pに水平方向の8Kの荷重を加えて引っ張る。する
と、この水平方向の8KNの荷重により、前述と同様
に、シートクッション10が図5に示すように反時計回
りに回動して、シート本体1の前方は、シートクッショ
ン10の中間の補強部材12の前端に設けた保持ブラケ
ット122の下面が車両床面40に当接して、それ以上
の下方への移動を阻止され、シート本体1の後方は、前
上方に持ち上げられるが、シートクッション10の中間
の補強部材12の後方下部に設けたシート側係合部材2
1も前上方に持ち上げられ、シート側係合部材21に設
けた係合ヒメール217と対峙している、車両床面40
に取り付けられた床面側係合部材25のくちばし部25
2の下方への突出部253の後側の後角部254に係合
ヒメール217が係合して、シート本体1の後方のそれ
以上の上方への移動が阻止される。したがって、ダミー
のチャイルドシート530に水平方向に8KNの荷重が
掛かったときに、点Pの移動量が125mm以下となる
ように、シート側係合部材21と床面側係合部材25の
位置関係を設定しておけば、実際のチャイルドシート3
0を装着したときのシート本体1に対する要求強度を満
たすことになる。
【0035】このように、シート本体1の中間部に設け
た補強部材12の前端に、衝撃荷重によりシート本体1
が前方へ移動したときに、車両床面40と当接する保持
ブラケット122を設け、補強部材12の後方に、シー
ト本体1を前後位置調整範囲の最後部位置に調整したと
きに、車両床面40に取り付けた鳶のくちばし状の床面
側係合部材25と対峙するように、係合ヒメール217
を有するシート側係合部材21を設けて、衝撃力により
シート本体1が前方へ移動したときに、シート側係合部
材21の係合ヒメール217が床面側係合部材25の突
出部253の後角部254と係合して、シート本体1の
それ以上の移動を阻止するようにしたので、シート本体
を構成する各部材全体を補強することなく、かつ、前後
位置調整可能なシート本体でチャイルドシート取付の要
求強度を満足する幅広のシート本体を得ることが可能と
なった。
【0036】なお、本発明は前記実施の形態のものに限
定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様
々な変更が可能である。例えば、前記実施の形態では、
シート側係合部材や床面側係合部材が鋼板製のもので示
したが、これに限られず、図6に示すように丸棒を折り
曲げて加工したものでも可能である。また、前記実施の
形態では、シート側係合部材がヒメール、床面側係合部
材がメールのもので示したが、図6のように、シート側
係合部材がメール、床面側係合部材がヒメールのもので
あってもよい。
【0037】
【発明の効果】本発明は、複数の乗員が着座可能な幅広
のシート本体と、該シート本体の左右両端に設けられ、
シート本体を車両の床面に対して前後位置調整可能に支
持するスライドレールと、シート本体に設けられ、前記
シート本体に対してチャイルドシートを保持可能なチャ
イルドシート保持手段とを備える車両用シートにおい
て、前記シート本体の幅方向中間部および車両の床面と
の間に、通常はシート本体と車両の床面とを互いに分離
してシート本体の前後位置調整を許容し、シート本体を
前後位置調整範囲の最後端に位置させた状態でシート本
体に前方への衝撃荷重が掛かったときはシート本体と車
両床面とを互いに結合し、シート本体の一定以上の変形
を阻止する変形阻止手段を設けたので、シートの重量を
増加することなく、チャイルドシートを取り付けたとき
の要求強度を満足する前後位置調整可能な幅広シートを
提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一の実施の形態に係る車両用シートの
シートクッションフレームの斜視図である。
【図2】図1のII−II線に沿う断面図である。
【図3】本発明の一の実施の形態に係る車両用シートに
チャイルドシートを取り付けた状態の部分側面断面図で
ある。
【図4】本発明の一の実施の形態に係る車両用シートの
変形阻止手段の斜視図である。
【図5】本発明の一の実施の形態に係る車両用シートに
衝撃荷重が掛かったときの図1のII−II線に沿う断面図
である。
【図6】本発明の車両用シートの変形阻止手段の、他の
実施の形態の斜視図である。
【図7】チャイルドシートを取り付けた車両用シートの
強度要件を確認するための試験方法を示す概略図であ
る。
【図8】チャイルドシートを取り付ける従来の幅広シー
トの斜視図である。
【図9】チャイルドシートのアタッチメントの作用説明
図で、(A)は未係合状態、(B)は係合状態を示す。
【符号の説明】
1 シート本体 10 シートクッション 11 シートクッションフレーム 111 フレーム本体 12 補強部材 13 シートスライド装置 14 フック(チャイルドシート保持手段)) 15 シートレッグ 20 変形阻止手段 21 シート側係合部材 25 床面側係合部材 30 チャイルドシート 40 車両床面

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の乗員が着座可能な幅広のシート本
    体と、該シート本体の左右両端に設けられ、シート本体
    を車両の床面に対して前後位置調整可能に支持するスラ
    イドレールと、シート本体に設けられ、前記シート本体
    に対してチャイルドシートを保持可能なチャイルドシー
    ト保持手段とを備える車両用シートにおいて、 前記シート本体の幅方向中間部および車両の床面との間
    に、通常はシート本体と車両の床面とを互いに分離して
    シート本体の前後位置調整を許容し、シート本体を前後
    位置調整範囲の最後端に位置させた状態でシート本体に
    前方への衝撃荷重が掛かったときはシート本体と車両床
    面とを互いに結合し、シート本体の一定以上の変形を阻
    止する変形阻止手段を設けたことを特徴とする車両用シ
    ート。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の車両用シートにおい
    て、 前記変形阻止手段は、 前記シート本体の下面に設けられたシート側係合部材
    と、 車両の床面上に設けられ、前記シート本体を前後位置調
    整範囲の最後端に位置させたとき前記シート側係合部材
    と係合可能に対峙し、前記衝撃荷重によりシート本体が
    所定量変形したときに前記シート側係合部材と係合して
    それ以上の変形を阻止する床面側係合部材とを備えるこ
    とを特徴とする車両用シート。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の車両用シートにおい
    て、 前記シート本体は、前枠、後枠、および左右の側枠で構
    成される略長方形のフレーム本体と、シート本体の幅方
    向中間部において前記前枠と前記後枠とを橋架する補強
    部材とで概ね構成されたシートクッションフレームを備
    え、前記チャイルドシート保持手段の一部が前記後枠に
    設けられており、前記シート側係合部材が前記補強部材
    に設けられていることを特徴とする車両用シート。
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