JP2000146976A - Sprセンサー用金属薄膜、その製法およびそれを用いた測定方法 - Google Patents

Sprセンサー用金属薄膜、その製法およびそれを用いた測定方法

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JP2000146976A
JP2000146976A JP10318087A JP31808798A JP2000146976A JP 2000146976 A JP2000146976 A JP 2000146976A JP 10318087 A JP10318087 A JP 10318087A JP 31808798 A JP31808798 A JP 31808798A JP 2000146976 A JP2000146976 A JP 2000146976A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、センサー表面を様々な特性や機能
を有する高分子を用いて化学修飾することで、より多く
の生体成分を検出できるセンサーデバイスを提供する。
より具体的には、金属薄膜をセンサー基盤として用い、
デバイスとして表面プラズモン共鳴(Surface Plasmon R
esonance :SPR)装置を使用して、抗原-抗体反応を
利用した高感度免疫センサーを提供する。 【解決手段】 本発明は、自由電子金属表面を有する金
属薄膜の表面が、(1)金属表面に固定され得る官能基
及びポリマーと結合し得る官能基を有する有機リンカ
ー、並びに、(2)検出用試薬に直接結合し得る官能基
若しくは検出用試薬にスペーサーを介して結合し得る官
能基及び前記有機リンカーと結合し得る官能基を有する
ポリマー、で処理されてなる金属薄膜に関する。より詳
細には、本発明は、当該ポリマーが、キトサン又はポリ
エチレンイミンなどのアミノ基を有するポリマーである
前記金属薄膜に関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリマーが結合し
た有機リンカーで表面処理された金属薄膜、それを用い
た表面プラズモン共鳴(SPR)装置、及び、それによ
る試料を検出、同定又は定量する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】今日、感染症の検査や診断の分野におい
て免疫測定法が広く利用されている。一般に、通常の感
染症では体内に多量の抗体が作り出され、この抗体の有
無を見分けることで診断を行っている。また、血清、
尿、唾液など体液中の成分(血糖値、コレステロールな
ど)の値も、患者の病態を把握し治療方針を検討するう
えで大切なパラメータとなっている。診断の際、試料の
採取量には制約があり、頻回の採取は難しいため測定法
には高い精度(再現性)と感度が要求される。しかも目的
成分は、通常生体試料という複雑なマトリックス中に微
量しか含まれていないため、信頼度の高い分析結果を的
確に得ることは極めて重要である。
【0003】一方、表面プラズモン共鳴(Surface Plasm
on Resonance :SPR)センサーは、金や銀などの金属
薄膜表面に発生する表面プラズモン共鳴現象を検出する
デバイスである。表面プラズモンとは、金属−誘電体界
面に生じる電子の疎密波の一種であり、その波数は金属
薄膜表面に接する数100nmまでの試料の厚さや光学
特性(誘電率、屈折率)によって変化する。この変化を
直接測定することは不可能なため、SPRセンサーでは
レーザー光を試料の反対面から当てエバネッセント波を
発生させ、これが表面プラズモンと共鳴する時のレーザ
ーの入射角度変化(SPR angle shift)を測定することで
表面の状態の変化を間接的に測定するのが一般的な方法
となっている。
【0004】このセンサーは、1971年にクレチュマ
ン(Kretschmann)により光励起による表面プラズモン
励起法が確立され、それから11年後になってSPRが
初めてナイランダー(Nylander)らによってセンサーと
してガスセンシングに応用された例が報告された。この
センサーは試料の存在によるバルクの屈折率変化を捕ら
えた単純なものであったが、1990年頃までには、試
料液中のアルコール濃度等を対象としたこの種のセンサ
ーの開発がさかんに行われた。
【0005】1980年代後半には、チオール、スルフ
ィド類等の金表面に対する自己吸着の研究が行われ、カ
ルボン酸やアミノ基など様々な官能基をもったアルキル
チオール類で金表面を修飾した自己吸着性単層膜(Self
-Assembled Monolayer)の研究例が報告された。199
3年には、金表面の自己吸着性単層膜(Self-Assembled
Monolayer)上に電荷を有するもうひとつの層を形成さ
せた、2層構造の活性部位に抗原-抗体などの特異的な
反応を示すリガンドを固定したバイオセンサーが開発さ
れ、定性、定量分析や反応プロセスの解明などに用いら
れるようになった(Stelzle, M.,et al., J. Phys. Che
m., 97, 2974-2981 (1993))。
【0006】また、この頃から小型化を目的とした光フ
ァイバー型SPRセンサーの研究例が報告され始め、従来
の光源の波長を一定にし、試料への共鳴の起こる入射角
を測定する方法から、光の入射角を一定にし波長を変化
させるセンサー装置が開発された。1995年以降は、
SPRセンサーを利用した多くのセンシング例が報告さ
れ、特にバイオセンサーの分野でセンサーの高感度化や
新規リガンド測定を目的とした数多くの研究例が報告さ
れている。
【0007】SPR化学センサーの開発において、セン
シング部の金属薄膜に何らかの修飾を施すことが要求さ
れ、SPRセンサーをバイオセンサーに応用させるに
は、官能基を有するポリマーの金属薄膜への修飾が考え
られる。金属薄膜に金薄膜を用いる場合、金へのチオー
ル、スルフィド類の自己吸着性(Self−Assem
bly)を利用する修飾法が考えられ、実際にSPRバ
イオセンサーにおけるセンサー表面へのリガンドの固定
化にはAu薄膜上に自己吸着したアルカンチオールをリ
ンカーレイヤーとして、カルボキシメチルデキストラン
(CMD)層を導入しそのCMD層に固定化する方法が
報告されている。CMD層の役割は固定するリガンド量
の増加、金薄膜への生体分子の非特異的結合防止などで
ある。チオール、スルフィド類の修飾方法は、Clai
reE.Jordanらの論文(Jordan,C.E., et al.,
Langmuir, 1994, 10,3642-3648)では1mMのチオー
ルのエタノール溶液に1h、金薄膜を浸すだけで90%
の吸着率という簡単なもので、吸着の評価はXPS(X
線光電子分光法)やSPR角変化を見ることで可能であ
る。
【0008】また、特表平4−501605号には、金
属表面に結合する層の上にヒドロゲルなどの生適合性多
孔質マトリックスの層を設けてなる検出表面についての
発明が記載されており、特表平4−501606号には
二官能性又は多官能性分子を用いるセンサーユニットに
ついての発明が記載されており、また、特表平4−50
1607号にはセンサー表面にリガンドが結合したセン
サーを用いる巨大分子の特性の決定方法についての発明
が記載されている。特表平7−507865号には可逆
的結合受容体を含む固定化された結合パートナーを含む
固体支持体を用いて試料中の関心のある分析対象物を検
出する方法及び装置についての発明が記載されている。
また、WO96/10178には、自己吸着性単層膜
(Self-Assembled Monolayer)上に膜形成蛋白質又は脂
質を結合させた気質表面の製造方法についての発明が記
載されている。
【0009】SPRセンサーは、エバネッセント波を用
いて間接的に試料の状態変化を測定するデバイスである
ので、測定に使われるレーザー光の通る部位と試料の存
在する部位が異なるので、従来の光学センサーと比較し
て次のような利点がある。 1.センサー表面で起こる試料の屈折率変化がリアルタ
イムで検出できるので、実験の進行状況および速度論的
な関係を知ることができる。 2.測定に使用するレーザー光が試料溶液中を通過しな
いので、試料溶液の着色、濁りや気泡などの影響を受け
にくい。 3.センサー基盤表面から1μmほどの、ごく狭い領域
での光学特性が検出されるので、必要とする試料溶液の
量が極めて少なくてすみ、バックグランドノイズの影響
を受けにくい。 しかしながら、従来のセンサー表面の処理ではSPRの
感度が良好ではなく、また、反応性も充分でなくリアル
タイムでの測定には実用的なものではなかった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、センサー表
面を様々な特性や機能を有する高分子を用いて化学修飾
することで、より多くの生体成分を検出できるセンサー
デバイスを提供することを目的としている。具体的に
は、金属薄膜をセンサー基盤として用い、デバイスとし
て表面プラズモン共鳴(Surface Plasmon Resonance :S
PR)装置を使用して、抗原-抗体反応を利用した高感
度免疫センサーを提供することを目的としている。さら
に、糖質結合タンパク(Concanavalin A :ConA)を利用
した新規糖質センサーを提供することを目的としてい
る。また、本発明はこれらの新規なセンサー用の金属薄
膜、それを用いたSPR装置、それを用いた試料の検
出、同定又は定量方法を提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、自由電子金属
表面を有する金属薄膜の表面が、(1)金属表面に固定
され得る官能基及びポリマーと結合し得る官能基を有す
る有機リンカー、並びに、(2)検出用試薬に直接結合
し得る官能基若しくは検出用試薬にスペーサーを介して
結合し得る官能基及び前記有機リンカーと結合し得る官
能基を有するポリマー、で処理されてなる金属薄膜に関
する。より詳細には、本発明は、当該ポリマーが、キト
サン又はポリエチレンイミンなどのアミノ基を有するポ
リマーである前記金属薄膜に関する。
【0012】また、本発明は、前記ポリマーにさらに、
検出用試薬が直接又は検出用試薬に結合し得る官能基を
有するスペーサーを介して検出用試薬が結合している金
属薄膜に関する。本発明の金属薄膜は、表面プラズモン
共鳴(SPR)の測定用の高感度のセンサー薄膜として
有用である。
【0013】また、本発明は前記金属薄膜の製造方法、
これを用いた表面プラズモン共鳴(SPR)による測定
方法、そのためのキット、及び、表面プラズモン共鳴
(SPR)測定装置に関する。
【0014】本発明の金属薄膜の表面は、(1)一方が
金属薄膜表面に固定されている有機リンカー層、(2)
有機リンカー層に結合するポリマー層、(3)ポリマー
層に直接又はスペーサーを介して結合する検出用試薬層
からなるものである。
【0015】本発明の有機リンカー層は、金属表面に固
定され得る官能基とポリマーと結合し得る官能基の間
が、炭素原子、酸素原子、及び、窒素原子からなる群か
ら選ばれる原子からなり、直鎖部分が2〜20原子、好
ましくは2〜15原子、より好ましくは2〜10原子で
ある直鎖状若しくは分枝状又は環状の化学構造を有する
ものであればよく、単一の分子種であってもよいが、2
種以上の分子種を用いて設計されるものであってもよ
い。2種以上の分子種を用いる場合には、比較的反応性
に富む官能基を使用することができ、短時間で且つ安価
に有機リンカー層を形成することがでるので、より好ま
しい本発明の態様となる。
【0016】本発明の有機リンカー層を形成する金属表
面に固定され得る官能基及びポリマーと結合し得る官能
基を有する有機リンカーの「金属表面に固定され得る官
能基」としては、金属表面と化学結合により固定される
官能基であってもよいが、吸着により固定され得る官能
基であってもよい。このような官能基としてはメルカプ
ト基、スルフィド基又はジスルフィド基のような硫黄原
子を含有するものが好ましい。また、「ポリマーと結合
し得る官能基」としては、使用するポリマーが含有して
いる官能基に応じて種々の官能基を選択することができ
る。例えば、ポリマーがアミノ基を含有している場合に
は、カルボキシル基やカルボニル基などを選択すること
ができるし、ポリマーがカルボキシル基を含有している
場合には、アミノ基や水酸基などを選択することができ
る。本発明におけるカルボニル基は、アルデヒド基やケ
ト基を包含するものであり、好ましくはアルデヒド基で
ある。
【0017】本発明の有機リンカーとして単一の分子種
を用いる場合には、例えば、メルカプト基、スルフィド
基又はジスルフィド基のような硫黄原子を含有する官能
基を有する炭素数2〜20、好ましくは2〜15、より
好ましくは2〜12の脂肪酸を使用することができる。
より具体的には、例えば、11−メルカプト−ウンデカ
ン酸が挙げられる。
【0018】より好ましい本発明の有機リンカーとして
は、2種以上の分子種を用いて形成されるものが挙げら
れる。金属表面に固定される第一の分子種としては、
「金属表面に固定され得る官能基」としてメルカプト
基、スルフィド基又はジスルフィド基のような硫黄原子
を含有する官能基を有し、かつ、第二の分子種と化学結
合を形成し得る他の反応性の官能基を有する有機化合物
が挙げられる。反応性の官能基としては、第二の分子種
と化学結合を形成し得るものであればよく、例えば、ア
ミノ基、水酸基、カルボキシル基などが挙げられる。反
応性や入手の容易さからメルカプト基、スルフィド基又
はジスルフィド基のような硫黄原子を含有する官能基を
有するアミノ酸又はその誘導体が好ましく、より具体的
にはシステインアルキルエステルが好ましい。アルキル
エステルとしては、炭素数1〜10、好ましくは1〜5
のアルキルエステルが好ましい。より具体的には、シス
テインメチルエステル、システインエチルエステルなど
が挙げられる。
【0019】本発明の有機リンカーを形成する第一の分
子種に結合する第二の分子種としては、第一の分子種の
反応性の官能基に化学結合し得る官能基を有し、次のポ
リマー層を形成するポリマーに結合し得る官能基を有す
る有機化合物であり、これらの官能基としては、例え
ば、アミノ基、カルボキシル基、水酸基、カルボニル基
などが挙げられる。好ましい第二の分子種としては、例
えば、反応性に富むカルボニル基を有する化合物が好ま
しく、より具体的にはグルタルアルデヒドなどが挙げら
れる。本発明の有機リンカーを形成する分子種として
は、種々の有機化合物の組み合わせが存在するが、好ま
しい組み合わせとしては、第一の分子種としてシステイ
ンメチルエステルを用い、第二の分子種としてグルタル
アルデヒドを用いたものが挙げられ、このものは官能基
を特別な活性化操作(例えば、カルボキシル基を活性エ
ステルにするなどの。)をすることなく反応が進行する
ので好ましい本発明の態様とすることができる。
【0020】本発明の有機リンカーを金属表面に固定す
る方法としては、有機リンカーとなる化合物を金属に接
触させることにより行うことができる。接触させる前に
金属表面を水酸化カリウムなどのアルカリで洗浄してお
くことが好ましい。金属表面との接触は、ジメチルホル
ムアミド(DMF)などの有機溶媒や水などの存在下に
行うのが好ましい。次いで、必要に応じて第二の分子種
を反応させることにより、有機リンカー層を形成するこ
とができる。この場合に必要に応じて、反応に関与する
官能基を活性化してから行うこともできる。
【0021】本発明のポリマー層を形成するポリマーと
しては、アミノ基、カルボキシル基、水酸基、カルボニ
ル基などの有機リンカー中の「ポリマーに結合し得る官
能基」と結合し得る反応性の官能基を有し、かつ、検出
用試薬又は検出用試薬を結合するためのスペーサーを結
合し得る官能基を有するポリマーである。これらのポリ
マー中の「反応性の官能基」と「検出用試薬などに結合
し得る官能基」とは異なる官能基であってもよいが、同
種じ官能基であってもよい。好ましい官能基としては、
アミノ基、カルボキシル基、水酸基、カルボニル基など
が挙げられる。有機リンカー中の「ポリマーに結合し得
る官能基」がアルデヒド基などのカルボニル基の場合に
は、第一級アミノ基を有するポリマーが好ましい。ポリ
マー中の第一級アミノ基は、ポリマーの主鎖に結合する
ものであってもよいが、ポリマーの側鎖に結合するもの
が好ましい。
【0022】本発明のポリマーを例示すれば、ポリアル
キレンイミンや多糖類、ポリリジンなどが挙げられる
が、ポリ低級アルキレンイミンやアミノ糖を含有する多
糖類が好ましい。ポリアルキレンイミンはアルキレンジ
アミンの重合体が挙げられ、側鎖部分に第一級アミノ基
が存在している重合体が好ましいが、重合後に化学修飾
により側鎖部分に第一級アミノ基を導入したものであっ
てもよい。アルキレンジアミンとしては、炭素数2〜1
0、好ましくは2〜6のアルキレン基を有するジアミン
であり、好ましくはエチレンジアミンが挙げられる。好
ましいアルキレンジアミンの重合体としては、例えば、
次式で示される繰り返し単位を有するポリエチレンイミ
ンが挙げられる。
【0023】
【化1】
【0024】多糖類としては、アミノ糖を含有する多糖
類が好ましく、アミノ糖が重合したものでも、アミノ糖
が部分的に導入されているものでもよいが、キトサンの
ようにアミノ糖が重合した多糖類が好ましい。たま、多
糖類にアミノ基などの反応性の官能基を導入したもので
あってもよい。これらのポリマーの分子量は、ポリマー
の種類によっても異なるが、一般的には、1,000〜
1,000,000、好ましくは5,000〜1,00
0,000、より好ましくは5,000〜500,00
0程度である。
【0025】有機リンカーとポリマーとを結合させる方
法としては、これらを溶媒の存在下に直接反応させるこ
ともできるが、反応性が充分でない場合にはこれらの官
能基を活性化、例えば、活性エステル化などにより活性
化させて、反応させることもできる。原料物質として、
システインメチルエステル、グルタルアルデヒド及びポ
リエチレンイミンを用いた場合の本発明の金属薄膜の処
理法を、図1に示す。金属薄膜を温めた水酸化カリウム
水溶液に数回つけることで洗浄した後、L−システイン
メチルエステルのDMF溶液に浸すことにより図1の
(1)の状態とし、これを、グルタルアルデヒド水溶液
で処理して図1の(2)の状態にし、これにポリエチレ
ンイミン水溶液を浸して図1の(3)のポリエチレンイ
ミン膜を有するセンサープローブとすることができた。
【0026】また、原料として、システインメチルエス
テル、グルタルアルデヒド及びキトサンを用いた場合の
本発明の金属薄膜の処理法を、図2に示す。図2では、
さらに、スペーサーとしてα−ブロム酢酸が使用されて
いる。図1に示した方法と同様な方法により、金属薄膜
を洗浄した後、L−システインメチルエステルDMF溶
液及びグルタルアルデヒド水溶液で処理して有機リンカ
ー部分を調製し、これに1%キトサン水溶液を接触させ
ることによりキトサンを固定化してセンサープローブを
調製した。次いで、キトサンをα−ブロム酢酸の水酸化
ナトリウム溶液でカルボキシル化して、カルボキシメチ
ル(スペーサー部分)化されたCM−キトサンセンサー
プローブを調製した。
【0027】本発明の検出用試薬としては、試料中の特
定の物質を検出、同定又は定量することができる試薬で
あって、前記ポリマーに吸着又は結合などにより固定で
きるものでれば特に制限はないが、カルボキシル基やア
ミノ基などの官能基を有するものが好ましい。好ましい
検出用試薬として、蛋白質が挙げられる。より詳細に
は、抗原又は抗体が挙げられる。本発明の検出用試薬を
直接前記したポリマー層に固定することもできるが、固
定するに当たって必要に応じてスペーサーとなる物質を
用いて両者を固定することもできる。スペーサーとして
は、多官能性の種々の物質を使用することができる。比
較的長鎖の物質を使用することもできるが、炭素数が2
〜15、好ましくは2〜10程度の短いものが好まし
い。スペーサーとして使用される化合物としては、例え
ば、α−ブロム酢酸、α−クロル酢酸などのハロカルボ
ン酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸などのジカ
ルボン酸などが挙げられる。
【0028】図3に、図1に示したポリエチレンイミン
膜を有する金属薄膜にスペーサーとしてスベリン酸を用
い、活性エステル化法により検出用試薬(図3中ではリ
ガンドとして示されている。)を固定する方法を示す。
図4に、図2に示したCM−キトサンセンサープローブ
に検出用試薬(図4中ではリガンドとして示されてい
る。)を固定する方法を示す。図4中のEDCは1−エ
チル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイ
ミドを示し、NHSはN−ヒドロキシサクシンイミドを
示す。
【0029】本発明の金属薄膜に使用される金属として
は、自由電子を有する金属であればよく、例えば、金、
銀、銅、アルミニウム、クロムなどが挙げられる。好ま
しい金属は、金であるが、銀、銅、アルミニウなども好
ましい金属である。金属薄膜は金属を延ばして製造され
るものであってもよく、また、基板に蒸着などの方法で
形成されるものであってもよい。金属薄膜の厚さは、測
定可能な厚さであれば特に制限はないが、50〜1,0
00nm、好ましくは50〜500nm、より好ましく
は100〜500nm程度である。
【0030】表面プラズモン共鳴(Surface Plasmon Res
onance :SPR)装置に本発明の金属薄膜を使用する場
合には、プリズムなどの基板に本発明の金属薄膜が密着
されて使用される。図5に本発明の金属薄膜の調製法
と、表面プラズモン共鳴装置の概要を示す。図5に示さ
れるように本発明の金属薄膜を調製法としては、バッチ
法とオールフローインジェクト法(AFI法)がある。
バッチ法は、有機リンカー層、ポリマー層、検出用試薬
などを形成させるための必要な物質(図5中ではA液、
B液、C液として示されている。)で金属薄膜を処理し
て、処理された金属薄膜(センサープローブ)を調製し
た後、これをSPR装置にセットして試料を添加して測
定する方法である。
【0031】また、AFI法は、SPR装置にセットさ
れた金属薄膜に順次、処理溶液を金属薄膜に流すことに
より、セットされた金属薄膜を所望の状態に処理するも
のである。より詳細には、図5に示されるように、HP
LC用のポンプなどのポンプにより常時緩衝液など(例
えば、ランニングバァファー(pH7.4 10mMH
BS(HEPES Buffer Saline)/T
ueen))を、流速が0.1〜1.0、好ましくは
0.2〜0.4ml/minで流しておき、必要な時に
各反応試薬を含有する溶液をインジェクターから注入す
ることで、金属薄膜(センサープローブ)に供給させる
ことにより必要な処理を行うことができる。そして、こ
の間測定を継続することも可能であり、金属薄膜の測定
面の反対側で生起している反応を、反応系に直接光やマ
イクロ波などの測定線を照射することなく反応系を測定
することができる。
【0032】AFI法は、測定を継続しつつ金属薄膜の
表面を処理することができるので、表面の状態をリアル
タイムで把握することができる。また、金属薄膜の表面
に固定された検出用試薬と試料中の物質との相互の動向
(化学反応などの)を逐次測定し観察することができ
る。本発明はバッチ法及びAFI法のいずれの方法をも
包含するものである。
【0033】材料に目的とする性能、機能を付与するた
めには材料表面を分子レベルで設計し機能特性をもたせ
ることが重要となってくる。そのため、今日の臨床化学
分野における抗原-抗体反応や、セルレセプター認識を
用いた生体物質のセンシングにおいてそのセンサー材料
表面及び、生体物質間の相互作用を含めた反応プロセス
の理解は大切な課題となっている。
【0034】本発明では、様々な官能基を有する高分子
を用いてセンサー表面を構築することで、幅広い物質の
固定化、検出に利用できるセンサープローブを構築する
ことを目的とした。具体的には、金薄膜をセンサー基盤
として用い、デバイスとして表面プラズモン共鳴(Surfa
ce Plasmon Resonance :SPR)装置を使用して、セン
サー表面の設計を行った。
【0035】より具体的には、抗原-抗体反応を利用し
た高感度免疫センサーを開発するために、タンパク質を
固定化するに当たって、金表面を修飾する膜として、異
なる官能基を有する高分子であるポリエチレンイミン
(polyethyleneimine(PEI))、及びキトサン(chitosa
n)に着目した。PEI膜は膜中に存在する一級アミン
を、キトサン膜はカルボキシル基を活性化させて、タン
パク質中のアミノ基とバインディングサイトを持たせ、
そこに抗原を化学結合させてセンサ−膜を作製した。
本発明では、この作製方法として、従来から行われてい
るバッチ法の他に、すべての試薬をフロ−系に導入して
固定化するオ−ルフロ−型固定化法も開発した。作製し
たセンサ−膜に、抗体が特異的に結合した際のSPRア
ングルシフトによりその定量を行った。
【0036】また、糖質結合タンパク(Concanavalin A
:ConA)を利用した新規糖質センサーの開発において
は、まず、糖質としてグルコースを測定対象とした。C
onAの特性として、pH7付近でグルコースとの4つ
のバインディングサイトを持っているためグルコースに
対する吸着性は高い。しかし、あらかじめConAとグ
ルコースを混合し、バインディングサイトがいくつかグ
ルコースと結合したものを作用させると、その選択的吸
着性は低下し、この変化は、ConAの濃度を一定とす
れば、混合するグルコース濃度に対応してくると考え
た。この特性を利用し、Au表面をグルコースユニット
で修飾してやることで、そこに吸着するConAの濃度
から逆にグルコース濃度の測定を行った。
【0037】本発明の方法は、特にポリマー層に直接又
はスペーサーを介して固定された抗原又は抗体と、試料
中の抗体又は抗原との反応を測定するのに有利な方法で
である。例えば、抗体タンパク質を多量に固定化し、高
感度に検出するため、金属表面を修飾する膜材として
は、異なる官能基を有する高分子であるポリエチレンイ
ミン(PEI)、及びカルボキシメチル化キトサン(C
M−chitosan)が特に好ましい。PEIは膜中
に存在する一級アミンを、CM−chitosanはカ
ルボキシル基を活性化し、抗体と特異的に反応するリガ
ンドを化学結合させてセンサ−プローブ表面を構築し
た。
【0038】本発明ではこれらの表面を作製する際、従
来から行われているバッチ法に加え、すべての試薬をフ
ロ−系に導入して固定化するオ−ルフロ−インジェクト
(AFI)法も検討した。作製したセンサ−プローブを
利用して、具体的には、プロテインA−ヒト免疫グロブ
リンG(hIgG)、抗ヒト免疫グロブリンG(ant
i−hIgG)−ヒト免疫グロブリンG(hIgG)系
におけるSPR応答を検討した。
【0039】今回の実験に使用したSPRセンサー(D
KK製)は、図5に示すフロースルーのシステムが実行
できるものである。AFI法により実験を行う場合に
は、HPLC用のポンプによって常時ランニングバァフ
ァー(pH7.4 10mMHBS(HEPES Bu
ffer Saline)/Tueen)を流速0.2
〜0.4ml/minで流しておき、各試料溶液をイン
ジェクターから注入することで、SPR装置中のセンサ
ープローブと接触させ、そのデータをコンピューターに
よって出力している。
【0040】次に本発明をより具体的に説明するが、本
発明はこれらの具体例に限定されるものではない。本発
明のより具体的な説明において使用する略号を、以下に
まとめて示しておく。
【0041】化合物 BSA;ウシ血清アルブミン(Bovine serum albumi
n)。 BS3;スベリン酸ビス(スルホサクシンイミドイル)
(Bis(sulfosuccinimidyl) suberate。 CAP;セルロースアセテートフタレート(Cellulose
acetate phtalate)。 CM−chitosan;カルボキシメチルキトサン
(Carboxymeyhylatedchitosan)。 EDC;1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピ
ル)カルボジイミド(1-Ethyl-3-(3- dimethylaminopro
pyl) carbodiimide)。 HBS;HEPES緩衝液(HEPES Buffer Saline)。 hIgG;ヒト免疫グロブリンG(human immunoglobul
in G)。 NHS;N−ヒドロキシサクシンイミド(N-Hydroxysuc
cinimide)。 PEI;ポリエチレンイミン(Polyethylene imine)。
【0042】溶媒 AcOH ;酢酸(Acetic Acid )。 DMF;N,N−ジメチルホルムアミド(N,N-Dimethyl
formamide)。 EtOH;エタノール(Ethanol)。 i−PrOH;イソプロパノール(Isopropanol)。
【0043】まず、金薄膜を70℃ほどに温めた1MK
OH水溶液に数回つけることで洗浄した後、5mM L
−システインメチルエステルのDMF溶液に、24時間
浸すことにより、図1の(1)の状態とした。これを、
5%グルタルアルデヒド水溶液で2時間処理して図1の
(2)の状態とし、次いで2%PEI水溶液に2時間浸
し図1の(3)で示されるのPEI膜センサープローブ
を得た。
【0044】このようにして調製されたセンサープロー
ブの有機リンカー部分の表面構造は、一部のグタルアル
デヒドが2分子のシステインのアミノ基と結合して2個
のアルデヒド基を消費した状態のものなどがあり、分子
が金属表面に規則正しく整列している自己吸着性単層膜
(Self-Assembled Monolayer)の状態とは異なる状態を
形成しているものと考えられる。詳細な金属表面の状態
はXPSなどの表面分析を利用しその厚さを測定するこ
とにより把握することができるであろう。
【0045】次に、作製したプローブをSPR装置にセ
ットし、pH7.4 HBS T/バッファーによるベ
ースラインが安定した後、膜中に存在する未反応のグル
タルアルデヒドを0.1M グリシン溶液をインジェク
トすることでブロックした。この後、PEI膜中の一級
アミンをスペーサーであるBS3で活性化させ、0.5
mg/ml BSAを固定化した時の結果を図6に示
し、次いで、0.1mg/ml hIgGを添加した時
の結果を図7に示す。
【0046】図6及び図7は、SPRの測定結果であ
り、横軸に時間(分)、縦軸にレスポンス(アーク秒
(1度は3600アーク秒))を示す。図6中の、
(1)はpH7.4 HBS T/バッファーを添加し
た時点を、(2)はBS3を添加した時点を、(3)は
0.5mg/mlのBSAを添加した時点を、(4)は
グリシンpH3を添加した時点をそれぞれ示している。
BSAを添加した時点でのレスポンスΔθは604アー
ク秒であった。図7中の、(1)はpH7.4 HBS
T/バッファーを添加した時点を、(2)はBS3を
添加した時点を、(3)は0.1mg/mlのhIgG
を添加した時点を、(4)はグリシンpH3を添加した
時点をそれぞれ示している。hIgGを添加した時点で
のレスポンスΔθは150アーク秒であった。
【0047】次に、オールフロ−インジェクト法(AF
I法)による金属薄膜の処理を検討した。金薄膜を洗浄
した後、直接SPR装置にセットし、そこからすべての
試薬をフロ−系に導入して固定化した。即ち、10mM
L−システインの水:エタノール1:4溶液、10%グ
ルタルアルデヒド水溶液、1%PEI水溶液を順にイン
ジェクトしてPEI膜プローブを作製し、BSAを固定
化した。結果を図8及び図9に示す。図8中の、(1)
はpH7.4 HBS T/バッファーを添加した時点
を、(2)は10mML−システインを添加した時点
を、(3)は10%グルタルアルデヒドを添加した時点
を、(4)は1%PEIを添加した時点をそれぞれ示し
ている。
【0048】図9中の、(a)はpH7.4 HBS
T/バッファーを添加した時点を、(b)は1mMのB
S3を添加した時点を、(c)は500μg/mlのB
SAを添加した時点を、(d)はグリシンpH3を添加
した時点を、(e)はpH8.5で0.1Mのエタノー
ルアミンを添加した時点をそれぞれ示している。(d)
のグリシンを添加した時点でのレスポンスΔθは静電的
相互作用に起因するもので334アーク秒であり、共有
結合による相互作用に起因するものが1130アーク秒
であった。
【0049】次に、PEI膜センサープローブ表面への
非特異的吸着の抑制について検討した。センサーを作製
する際、体液中に存在する多種のタンパク質のセンサー
膜表面への非特異的吸着は、検出感度やその選択性を低
下させる主な原因として指摘されている。前記した実験
においても、PEI膜表面にBSAを接触させた時、全
吸着量の内の1/4から1/3程度の非特異的吸着(グ
リシン/塩酸pH3.0を接触させた時に脱離した分)
が見られた。これは、膜中に多数残存するアミンがプロ
トン化することで持つプラスチャージによるBSAとの
静電的相互作用が主な原因であると考えられる。
【0050】そこで、タンパク質をPEI膜プローブに
固定化する際、pH7.4 HBST/バッファーの代
わりにpH5.3酢酸バッファーを使用し反応時のpH
を変化させた時の結果を図10に示す。図10中の、
(1)はpH5.3酢酸バッファーを添加した時点を、
(2)はスペーサーのBS3を1mM添加した時点を、
(3)は0.5mg/mlのBSA溶液を添加した時点
を、(4)は0.1Mのグリシン(pH3.0)を添加
した時点をそれぞれ示している。グリシンを添加した時
点でのレスポンスΔθはそれぞれ860及び620アー
ク秒であった。
【0051】また、pH7.4バッファーで、BS3を
スペーサーとして用いずに、膜中のアミノ基を100m
Mグリオキル酸(Glyoxylic Acid)と反
応させカルボキシル化し、膜全体のチャージバランスを
とり、これを0.4M EDC/0.1M NHS
1:1混合溶液で活性化した後、BSAを固定化した際
の結果を図11に示す。図11中の、(1)はpH7.
4HBSバッファーを添加した時点を、(2)は0.4
MEDC/0.1MNHSを添加した時点を、(3)は
0.5mg/mlのBSA溶液を添加した時点を、
(4)は0.1Mのグリシン(pH3.0)を添加した
時点をそれぞれ示している。BSAを添加した時点のレ
スポンスΔθは1211アーク秒であり、グリシンを添
加した時点のレスポンスΔθは673アーク秒であっ
た。
【0052】この結果、反応時のpHやセンサープロー
ブ表面のチャージバランスを変えることにより、BSA
の非特異的吸着を減少させることはできなかった。BS
Aなどのタンパク質は、全体としてプラスかマイナスの
どちらかの電荷をもっていることが多いが、各分子内に
はプラスチャージとマイナスチャージの両方の部位をも
っているため、pHの変化や全体としてプローブ表面の
チャージのバランスをとってみても、タンパク質分子中
の各部位すべてを膜表面に吸着しにくい状態にするのは
困難である。タンパク質の種類により、非特異的な吸着
を防ぐ最適なpH、及びチャージ状態は決まってくるの
であろうが、血清中など多種のタンパク質が存在する中
でPEI膜免疫センサープローブとして測定する際、p
Hやチャージバランスを変えての測定は全く意味を持た
ない。
【0053】そこで、チャージを持つ膜中の未反応のア
ミノ基どうしを、グルタルアルデヒドで架橋することで
不活性にしてチャージを抑制すると共に、残ったアルデ
ヒド基による活性部位の増加を考えた。このプローブの
活性化部位に検出する抗体と特異的に反応するリガンド
を固定化し、これをPEI膜センサープローブとした。
この反応を模式化して図12に示す。
【0054】以上の実験から、PEI膜センサープロー
ブの基礎特性として次のように考えられる。アミノ基を
持つリガンドの固定化が行えたことから、PEI膜セン
サ−プローブの作製が従来から行われているバッチ法に
加えて、すべての試薬をフロ−系に導入して作製するオ
−ルフロ−インジェクト(AFI)法でも行えることが
確認できた。フロー系による試料と表面との接触時間は
10分程度であるので、図1に示す反応はすべてがこの
時間内で進行することがわかった。AFI法は、これま
でに確立されている作製に数十時間かかる他のセンサー
プローブと比較し、簡便、迅速なプローブの作製方法と
して有用な方法と考えられる。バッチにより作製したP
EI膜プローブとフローによるプローブのBSAの固定
化量を比較すると(図6及び図8、図9)、フロー系の
方が2.8倍大きなレスポンスとして検出されている。
しかし、BSA固定化のための活性剤であるBS3の応
答は、フロー系の方が小さくなっており、BSAの固定
化量と逆になっている。作成した2つのプローブの表面
構造に何らかの違いがあることに起因していると考えら
れる。
【0055】また、問題となるPEI膜表面へのタンパ
ク質の非特異的吸着量を小さくするため、可能なかぎり
高い濃度のBS3およびEDC/NHSを接触させて、
膜中の官能基を活性化させることや、余ったアミノ基を
十分にブロックしていく必要がある。タンパク質の吸着
の少ない物質として知られている、エーテル結合を多く
含んだエチレングリコールユニットを持つ試薬を膜表面
の設計の際に導入することも1つの方法として考えられ
る。
【0056】次に、センサープローブのアプリケーショ
ンとして、PEI膜中のバインディングサイトに抗hI
gGおよびproteinAを結合させ、これらに高い
特異性と強い結合力をもつ人間の免疫グロブリン抗体、
hIgGを濃度を変化させて接触させたときのレスポン
スをそれぞれ測定し、hIgGの定量を行った。また、
proteinAとの弱い結合性をもつマウス−Ig
G、全く結合性を示さないチキンIgG(chicke
n−IgG)を接触させることでプローブ表面へのタン
パク質の非特異吸着量について検討した。測定に用いた
8種類のプローブを図13にまとめる。
【0057】まず図13のNo.8のプローブを用いて
測定を行った時のhIgG検出のリアルタイムプロット
を図14に示した。図14中の、(1)はHBS/NH
Sバッファーを添加した時点を、(2)はEDC/NH
Sを添加した時点を、(3)は200μg/mlの抗h
IgGを添加した時点を、(4)はエタノールアミンを
添加した時点を、(5)はグリシンを添加した時点を、
(6)は0.1ug/mlのhIgGを添加した時点
を、(7)は1.0ug/mlのhIgGを添加した時
点をそれぞれ示している。
【0058】バッファーが定流している状態でEDC/
NHSをインジェクトして(図14の(2)の時点)、
膜中のカルボキシル基を活性化し、抗hIgGを接触さ
せたところ、SPRアングルシフトで、2100arc
secondほどの固定化量がみられた。図14の
(4)、(5)の時点で、pH8.5エタノールアミ
ン、pH3.0グリシン溶液により、チャージで吸着し
ている抗hIgGを脱離させると共に、残った膜中の活
性化部位をブロックした。ここまでで、hIgG測定の
ためのセンサープローブの作製が完了し、hIgGを濃
度を変化させて膜に接触させ、得られるレスポンスを検
出した。まず、0.1μg/ml hIgGをインジェ
クトした結果、ほとんど検出されなかったので、塩酸を
流して膜の状態を戻し、10倍の濃度の1μg/mlを
接触させたところ、288arc secondのレス
ポンスが検出された。その後、60、160、再び60
μg/ml hIgGを順にインジェクトした結果、そ
れぞれの濃度に対応したレスポンスを得ることができた
(図15参照)。
【0059】それぞれのプローブごとに得られたデータ
に基づき検量線を作成し、活性化方法による違い(図1
3のNo.2−No.6、No.4−No.8)、およ
び作製方法による違い(図13のNo.5−No.6、
No.7−No.8)について検討を行った(図16及
び図17参照)。図16中の左側はBS3で活性化した
バッチ法によるものであり、右側はEDC/NHSで活
性化したバッチ法によるものであり、黒三角印及び白四
角印はプロテインA−hIgG系を示し、黒丸印及びバ
ツ印は抗hIgG−hIgG系を示す。図17中の左側
はEDC/NHSで活性化したバッチ法によるものであ
り、右側はEDC/NHSで活性化したAFI法のよる
ものであり、白四角印及び白丸印はプロテインA−hI
gG系を示し、バツ印及び白菱形印は抗hIgG−hI
gG系を示す。また、非特異抗体の吸着量についてもN
o.1、5、6チップを比較することで検討した(図1
8参照)。図18中のグレーの棒はhIgGを示し、斜
線の棒はマウスIgGを示し、横線の棒はチキンIgG
を示す。いずれの濃度も90μg/mlである。PEI
膜中のアミノ基をBS3を用いて活性化した結果と、グ
リオキシル酸でカルボキシル基にし、膜表面全体のチャ
−ジバランスをとり、これをEDC/NHSで活性化し
た場合について図16で比較検討した。
【0060】その結果、プロテインA−hIgG系にお
いて、カルボキシル基を導入した表面の方が得られる検
量線の直線性が高いうえに、検出感度も増加することが
わかった。これは、図18の非特異抗体の吸着量をみて
も、プロ−ブNo.5のEDC/NHS活性の方が、N
o.1のBS3活性と比較してマウス(Mouse)、
チキン(Chicken)−IgGともに、hIgGの
量と相対的にみて吸着量がおさえられ、検出精度が高く
なった結果とも一致している。前記したBSAの固定化
の実験においては、PEIにカルボン酸を導入すること
でBSAの非特異的吸着量は増加したが、今回の抗原−
抗体反応においては、等電点などタンパク質の複雑な構
造の違いにより、マウス(Mouse)、チキン(Ch
icken)−IgGの膜への非特異吸着は膜にマイナ
スのチャージを導入することで防げることがわかった。
【0061】図17で、このカルボン酸を導入した系に
ついてAFI法、バッチ法と分けて検量線を作製した。
その結果、フロー系で作製したプローブについても、バ
ッチ法と同等の検出感度、直線性を得られた。また、図
18に示す様に、AFI法で作製したPEI膜はバッチ
法と比較して非特異的吸着が減少した。これはチップ表
面の膜構造(アミノ基の配向性など)に何らかの違いが
あるためだとおもわれる(図19参照)。例えば、19
図に示されるように吸着ホモポリマー型や、投錨型ポリ
マー(cerminally-anchored)型などが考えられる。A
FI法による金属、特に金基盤表面へのタンパク質の固
定化はこれまでに報告例がなく、簡便、迅速かつ再現性
のよいセンサープローブの作製法として有用な方法であ
ると考えられる。これらの結果より、タンパク質の非特
異的吸着の少ない膜表面の設計には膜表面の電荷の制御
が1つの重要なファクターであることがわかり、膜材や
作製方法をさらに検討することで、検出特性や検出能は
さらに改善される。
【0062】また、タンパク質は一般に高分子表面に接
触すると徐々に接点を増やし、そのコンフォメーション
を変化させることが有り、自然な状態の性質が損なわれ
る。さらに、その活性サイトが表面との接点になってい
たり、立体的に障害されるように配置されても活性を落
としてしまう。リガンド固定化の際にその配向性を制御
していくことも、検出精度の増加につながる。
【0063】次に、アミノ糖を含有するポリマーを膜に
使用することについて検討した。キチン(chitin)はポ
リアミノ糖であり、キトサン(chitosan)はキチンのア
セチル基が部分的に加水分解されたもので、D−グルコ
ースアミンのβ−(1,4)−重合体である。chitin、
chitosanは甲殻類、昆虫類の組織支持体であるため、生
体との親和性がよく、酵素によって生体内で分解され
る。このことを利用して、医療材料として吸収性縫合糸
や人工皮膚などに用いられている。また、免疫活性を有
すること、タンパク質などの体液中成分の吸着が少ない
ことからドラッグデリバリーシステムの担体としても利
用されている。さらにchitosanの誘導体は、アシル基の
長さにより光学異性体の選択的吸着性があるので、HP
LCでラセミ混合物の分離に用いられている。
【0064】本発明では、キトサンの高い生体適合性
と、PEI膜センサープローブで問題となったタンパク
質の非特異的吸着のない性質を利用して、キトサン膜免
疫センサープローブの作製を試みた。まず、PEIの時
と同様に、金薄膜を70℃ほどに温めた1M、KOH水
溶液に数回つけることで洗浄した後、5mM L−シス
テインメチルエステルのDMF溶液に24時間浸した
後、これを5%グルタルアルデヒド水溶液に2時間浸け
た。これに1%キトサン水溶液を24時間接触させるこ
とでキトサンを固定化した。次に、キトサン中のOH基
を2MのBrCHCOOH/1M NaOH溶液に1
2時間浸すことでカルボキシル化し、カルボキシメチル
化キトサン(CM−chitosan)センサープロー
ブを作製した(図2参照)。
【0065】PEI膜プローブによる測定と同様に、作
製したプローブをSPR装置にセットし、pH7.4
HBS T/バッファーによるベースラインが安定した
後、膜中の−COOH基を、0.4M EDC/0.1
M NHS 1:1混合溶液をインジェクトして活性化
した後、0.5mg/ml BSAを固定化した時の結
果を図20に示す。図20中の、(1)はpH7.4H
BS/Tバッファーを添加した時点を、(2)は0.4
MEDC/0.1MNHSを添加した時点を、(3)は
0.5mg/mlのBSA溶液を添加した時点を、
(4)はエタノールアミンを添加した時点をそれぞれ示
している。BSAを添加した時点のレスポンスΔθは1
50アーク秒であった。
【0066】キトサン膜にBrCHCOOHを浸すこ
とで膜中の−OH基を−COOH基にし、これを活性化
した後、BSAを固定化したところ、図20に示すよう
に150アーク秒のレスポンスが得られた。その際、B
SAの固定化量はCM−chitosan膜プローブ中
に存在するCOOH基の量に依存すると考えられる。そ
こで、キトサンをカルボキシル化する際に、バッチ法に
よりプローブ表面で行うものから、あらかじめカルボキ
シル化率の高いCM−chitosanを合成し、これ
を表面に固定化することでリガンドの固定化量増加を試
みた。
【0067】キトサン1.0g、ラウリルスルホン酸ナ
トリウム0.1gを45%NaOH水溶液70ml中に
ゆっくり加え、4℃に保ちながら溶解するまで1時間ほ
ど攪拌した。これを−20℃で、12時間ほど放冷した
後、i−PrOH125ml、ClCHCOOH2
8.4gを加えて72時間反応させた。続いて、2MH
Clを加えていき、白色の結晶を9.8727g得た。
次に、この結晶0.5gを10%NaOH水溶液20m
lに溶解させた後、4MHClをpH1になるまで加え
た。これに、大量のアセトンを加えることで結晶を析出
させ、吸引ろ過により0.7gのCM−chitosa
nを得た。
【0068】前記の方法で合成したCM−chitos
anを前と前記したスキームと同様な方法でセンサープ
ローブに固定化しカルボキシル基を活性化したが、この
系ではBSAを固定化することはできなかった。スキー
ム中に反応のいかないステップがあると考えられる。グ
ルタルアルデヒドの固定化までは反応が進むことがわか
っているので、CM−chitosanをモノレイヤ−
に固定化する反応がネックになっていると予想された。
CM−chitosanを合成する際、糖のアミノ基も
カルボキシル化されるため、ポリマー中の−NH基の
量が少なくなっていること、−NH基がポリマーの主
鎖に直接ついているため自由度がなく、反応性が低いこ
とが原因になっていると思われる。そこで、別の反応径
路に変えてキトサン膜センサ−プローブの作製を行っ
た。
【0069】金薄膜を洗浄した後、10−3MのHS−
1020COOH/EtOH溶液に2時間、0.4
M EDC/0.1M NHSの1:1混合溶液に40
分浸した後、先程の2%CM−chitosan水溶液
に2時間つけることで、chitosan膜センサープ
ローブIIの作製を行った。このプローブを用いて、膜
中の−COOH基を、0.4M EDC/0.1M N
HS 1:1混合溶液で活性化し、200μg/ml
hIgGを固定化した後、500μg/mlのBSAの
膜への吸着を測定した結果を図21に示す。図21中
の、(1)はpH7.4HBS/Tバッファーを添加し
た時点を、(2)はEDC/NHSを添加した時点を、
(3)は0.2mg/mlのIgG溶液を添加した時点
を、(4)はエタノールアミンを添加した時点を、
(5)は500μg/mlのBSAを添加した時点をそ
れぞれ示している。BSAを添加した時点のレスポンス
Δθは720アーク秒であった。
【0070】反応系を変えることで、CM−chito
sanを基盤に固定化することができた。キトサンの性
質から、CM−chitosan膜プローブではPEI
膜にみられたタンパク質(BSA)の膜への非特異的吸
着は、ほとんどみられなかった。それを確かめるため、
プローブにキトサンおよびCM−chitosanを固
定化し、それらを活性化しないでBSAを接触させた時
の様子を図22及び図23に示す。図22中の、(1)
はpH7.4HBS/Tバッファーを添加した時点を、
(2)はグリシン/HCl(pH3)を添加した時点
を、(3)は500μg/mlのBSAを添加下時点を
それぞれ示している。BSAを添加した時点のレスポン
スΔθは50アーク秒であった。図23中の、(1)は
pH7.4HBS/Tバッファーを添加した時点を、
(2)は500μg/mlのBSAを添加した時点をそ
れぞれ示している。BSAを添加した時点のレスポンス
Δθは100アーク秒であった。
【0071】キトサンはその性質のとおり非特異吸着は
ほとんどみられなかったが、その誘導体であるCM−c
hitosanも、膜中に多量のカルボキシル基が存在
しているにも関わらず、500ug/mlというかなり
高濃度のBSAを接触させた時のレスポンスは100ア
ーク秒と非常に小さな値となった。これによりPEI膜
プローブ作製課程で行ったプローブ表面の電荷のブッロ
クはCM−chitosan膜では必要ないことが確認
できた。
【0072】次に、PEIと同様にAFI法によるキト
サン膜センサープローブの調製を行った。PEI膜セン
サープローブの時と同様に金薄膜をSPR装置にセット
し、そこからすべての試薬をフロ−系に導入して固定化
するオ−ルフロ−系固定化法を試みた。結果を図24に
示す。図24中の、(1)はpH7.4HBS/Tバッ
ファーを添加した時点を、(2)はモノレイヤーのエタ
ノール溶液を添加した時点を、(3)はEDC/NHS
の0.2M/0.05Mを添加した時点を、(4)は1
%CM−キトサンを添加した時点を、(5)は0.5m
g/mlのBSAを添加した時点をそれぞれ示してい
る。BSAを添加した時点のレスポンスΔθが観測され
た。
【0073】CM−chitosan膜センサ−プロー
ブの作製をフロ−系で試みた結果、フローで行った系で
もBSAを固定化することができたが、そのレスポンス
わ僅かであった。これは、フロ−系での各試薬と膜表面
との接触時間が約10分であることから、時間的に反応
が充分ではないステップがあると考えられる。フロ−で
のPEI膜の作製が行えることから、CM−chito
sanをモノレイヤ−に固定化する反応がネックになっ
ていると予想され、これはおそらく問題となった固定化
部位であるCM−chitosan中の−NH基がポ
リマーの主鎖に直接ついているため自由度がなく、反応
性が低いことが原因になっていると考えられる。ポリマ
ーの主鎖ではなく、側鎖に自由度の大きなアミノ基など
の官能基を有するようにポリマーを修飾することによ
り、より反応性のあるポリマーとすることができると考
えられる。
【0074】これまでの実験結果より、合成したCM-chi
tosanを基盤に固定化したセンサープローブの作製がバ
ッチ法で行え、アミノ基を持つリガンドの検出がSPR
シグナルとして確認できた。その際、PEI膜プローブ
にみられたタンパク質(BSA)の膜への非特異的吸着
は、ほとんどみられなかった。このプローブのAFI法
へ適用することもできるが、−NH基がポリマーの主
鎖に直接ついているため自由度がなく、反応性が低いこ
とが原因となって、バッチほうに比べて充分な反応性が
みられないことがある。CM−chitosan合成に
もう1ステップ加えて、アミノ基に親水性の高いスぺー
サーを導入し、モノレイヤーとの結合部位の自由度を高
めることによっても、この問題は解決できると考えられ
る。
【0075】また、CM-chitosanの水溶性が低いこと
も、プローブを作製するうえで問題点のひとつになって
いる。一般にキトサンは数十万の分子量をもっており、
これが小さくなるにつれて水溶性が増していくことがわ
かっている。分子量の小さいキトサンを使用して、CM-c
hitosanを合成することで、基盤に固定化されやすくな
ると予想される。その時の反応条件として酸性度が高す
ぎると、アミノ基の求核性がプロトン化することで失わ
れ反応が進まなくなるので、中性よりやや塩基性側で反
応を行うのが適当だと考えられる。
【0076】さらに、本発明は抗原-抗体反応を利用し
た高感度免疫センサーを提供する。CM−chitos
anセンサープローブのアプリケーションとして、PE
I膜と比較するためバインディングサイトにプロテイン
Aを結合させ、これらに高い特異性と強い結合力をもつ
人間の免疫グロブリン抗体、hIgGを濃度を変化させ
て接触させたときのレスポンスをそれぞれ測定し、hI
gGの定量を行った。No.5、6のPEI膜プローブ
の結果と合わせた検量線を図25に示す。図25中の丸
印はPEI膜プローブを用いたAFI法によるものであ
り、四角印はPEI膜プローブを用いたバッチ法による
ものであり、三角印はCM−キトサン膜プローブを用い
たバッチ法によるものである。
【0077】また同様に、プロテインAとの弱い結合性
をもつマウス−IgG、全く結合性を示さないチキン
(chicken)−IgGを接触させることでプロー
ブ表面へのタンパク質の非特異吸着量について検討し、
PEI及び市販品であるCMD膜プローブと比較したデ
ータを図26に示す。図26中のグレーの棒はhIgG
を示し、斜線の棒はマウスIgGを示し、横線の棒はチ
キンIgGを示す。いずれの濃度も90μg/mlであ
る。
【0078】PEI膜と比較し応答感度は1/4程度に
低下したが、この膜は以前に考察したように非特異的抗
体の吸着が全くみられず、市販品であるCMD膜プロー
ブと比較しても、高い検出精度を得ることができた。こ
れまでに、オリゴエチレンモノレイヤーで表面を被服さ
れたプローブは、タンパク質の非特異的な吸着を抑制す
ることが報告されており、同様な傾向がCM−chit
osan、CMD膜プローブでもみられた。
【0079】これまでは、タンパク質の吸着性を電荷と
親疎水性の点から論じてきたが、この特異的性質を表面
付近の水と膜の相互作用という観点から考えてみたい。
水は生命に不可欠な溶媒としての重要性から、また4℃
付近で最も密度が高くなり、他の液体に比べて著しく大
きな比熱を持つといった特異的性質のため、古くから非
常によく研究されてきた。この水の性質は、分子同士が
互いに水素結合することにより形づくられる「構造」に
由来するが、その構造に関しては未解決の問題が多く残
されている。また、タンパク質や高分子をはじめとする
水溶性高分子が、水との相互作用によってその構造や性
質、機能に大きく影響を受けることや、逆に高分子の水
和水や高分子ゲル中の水が、運動性、凍結−融解挙動等
の性質においてバルク水と異なることが知られている。
一般に、高分子表面の水は、自由水とポリマーに束縛さ
れた水に分類することができ、束縛の強さによって、ポ
リマー表面に形成される水和層の状態が異なってくる。
この表面水和層の状態が、タンパク質の表面への吸着性
を決定する要因の1つであるといわれている。
【0080】ポリエチレングリコール、CM−chit
osan、CMDの化学構造に共通する点として、いず
れもエーテル結合を分子内部に持っており、この部位に
より膜表面に形成される水和層が、タンパク質の非特異
的な吸着を抑制するのではないかと予想される。
【0081】本発明は、PEI膜センサープローブの作
製法として従来のバッチ法に加え、オールフローインジ
ェクト(AFI)法を提供したものであり、AFI法で
作製したPEI膜は、バッチ法と同等の高い応答感度が
得られ、非特異抗体の吸着量も小さかった。また、タン
パク質の非特異的吸着の少ない膜表面の設計には膜表面
の電荷の制御が1つの重要なファクターであることがわ
かり、膜材や作製方法をさらに検討することで、検出特
性や検出能はさらに改善されると考えられる。さらに、
AFI法で作製したPEI膜は、バッチ法と比較して非
特異的吸着が少ないうえ、検出精度も高くなることがわ
かった。これはプローブ表面の膜構造(アミノ基の配向
性など)に何らかの違いがあるためだとおもわれる。A
FI法による、金属表面へのタンパク質の固定化はこれ
までに報告例がなく、簡便、迅速かつ再現性のよいセン
サープローブの作製法として有用な方法と考えられる。
【0082】本発明のCM−chitosan膜に基づ
くセンサープローブの検討では、AFI法及びバッチ法
による作製を行い、プロテインAを固定化してhIgG
を検出した。その結果、PEI膜の場合と比較して応答
感度は1/4程度に低下したが、CM−chitosa
n膜は非特異的吸着が全くみられなかった。これらの結
果より、タンパク質の非特異的吸着の少ない膜表面の設
計には膜表面の電荷の制御が1つの重要なファクターで
あることがわかり、膜材や作製方法をさらに検討するこ
とで、検出特性や検出能はさらに改善されると考えられ
る。
【0083】本発明のセンサープローブの効果をより明
確にするために、公知のデキストラン膜センサーチップ
との比較試験を行った。デキストラン膜は既にカルボキ
シメチル化されているので、本発明のPEI膜と同様に
0.4MEDC/0.1MNHSの1:1混合液で活性
化して両者にプロテインAを固定した。これに、濃度
0.1、1.0、10、45、90、200μg/ml
のhIgGをそれぞれのセンサーに流した。本発明のP
EI膜の経時変化を図27に示す。また、これらの実験
で得られた両者の検量線を図28に示す。図28の左側
が本発明のPEI膜のものであり、右側はデキストラン
膜のものである。
【0084】この結果、図28からもわかるように、本
発明のPEI膜ではhIgG濃度が0.1〜90μg/
ml、デキストラン膜では10〜200μg/mlの範
囲でほぼ直線性を示すことがわかり、本発明のPEI膜
のほうがその応答感度において約20倍も大きく、その
ために検出限界も低くなっている。このように、本発明
のポリマー膜、特にPEI膜は、比較的簡単な化学構造
を有するポリマーを使用することにより、簡便で、安価
な、しかも高感度のセンサープローブであることがわか
る。
【実施例】次に実施例により本発明をさらに具体的に説
明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもので
はない。
【0085】実施例1 金薄膜を70℃ほどに温めた1MKOH水溶液に数回つ
けることで洗浄した後、5mM L−システインメチル
エステルのDMF溶液に、24時間浸すことにより、図
1の(1)の状態とした。これを、5%グルタルアルデ
ヒド水溶液で2時間処理して図1の(2)の状態とし、
次いで2%PEI水溶液に2時間浸し図1の(3)で示
されるのPEI膜センサープローブを得た。
【0086】実施例2 実施例1で作製したプローブをSPR装置にセットし、
pH7.4 HBST/バッファーによるベースライン
が安定した後、膜中に存在する未反応のグルタルアルデ
ヒドを0.1M グリシン溶液をインジェクトすること
でブロックした。この後、PEI膜中の一級アミンをス
ペーサーであるBS3で活性化させ、0.5mg/ml
BSAを固定化した時の結果を図6に示し、次いで、
0.1mg/ml hIgGを添加した時の結果を図7
に示す。
【0087】実施例3 実施例2において、タンパク質をPEI膜プローブに固
定化する際、pH7.4 HBS T/バッファーの代
わりにpH5.3酢酸バッファーを使用し反応時のpH
を変えて実施例2と同様に行った。結果を図10に示し
た。
【0088】実施例4 また、実施例2においてpH7.4 bufferで、
スペーサーとしてBS3の代わりに100mM グリオ
キシ酸ル(OHC−COOH)と反応させカルボキシル
基を導入し、膜全体のチャージバランスをとり、これを
0.4M EDC/0.1M NHS 1:1混合溶液
で活性化した後、BSAを固定化した。この結果を図1
1に示した。
【0089】実施例5 スペーサーによりカルボキシル基を導入したセンサープ
ローブに緩衝液を流し、バッファーが定流している状態
でEDC/NHSをインジェクトして、膜中のカルボキ
シル基を活性化し、抗hIgGを接触させたところ、S
PRアングルシフトで、2100arcsecondほ
どの固定化量がみられた。次いで、pH8.5エタノー
ルアミン、pH3.0グリシン溶液により、チャージで
吸着している抗hIgGを脱離させると共に、残った膜
中の活性化部位をブロックした。ここまでで、hIgG
測定のためのセンサープローブの作製が完了した。hI
gGを濃度を変化させて膜に接触させ、得られるレスポ
ンスを検出した。1μg/mlを接触させたところ、2
88arc secondのレスポンスが検出された。
その後、60、160、再び60μg/ml hIgG
を順にインジェクトした結果、それぞれの濃度に対応し
たレスポンスを得ることができた。結果を図14及び図
15に示した。
【0090】実施例6 それぞれのプローブごとに実施例5と同様にして得られ
たデータに基づき検量線を作成し、活性化方法による違
い(図13のNo.2−No.6、No.4−No.
8)、および作製方法による違い(図13のNo.5−
No.6、No.7−No.8)について同様にして行
った。結果を図16及び図17に検量線として示した。
また、非特異抗体の吸着量についても図13のNo.
1、5、6チップを比較することで検討した。結果を図
18に示した。
【0091】実施例7 実施例1のPEIの時と同様に、金薄膜を70℃ほどに
温めた1M、KOH水溶液に数回つけることで洗浄した
後、5mM L−システインメチルエステルのDMF溶
液に24時間浸した後、これを5%グルタルアルデヒド
水溶液に2時間浸けた。これに1%キトサン水溶液を2
4時間接触させることでキトサンを固定化した。次に、
キトサン中のOH基を2MのBrCHCOOH/1M
NaOH溶液に12時間浸すことでカルボキシル化
し、カルボキシメチル化キトサン(CM−chitos
an)センサープローブを作製した(図2参照)。
【0092】実施例8 PEI膜プローブによる測定と同様に、作製したプロー
ブをSPR装置にセットし、pH7.4 HBS T/
バッファーによるベースラインが安定した後、膜中の−
COOH基を、0.4M EDC/0.1M NHS
1:1混合溶液をインジェクトして活性化した後、0.
5mg/ml BSAを固定化した時の結果を図20に
示す。
【0093】実施例9 キトサン1.0g、ラウリルスルホン酸ナトリウム0.
1gを45%NaOH水溶液70ml中にゆっくり加
え、4℃に保ちながら溶解するまで1時間ほど攪拌し
た。これを−20℃で、12時間ほど放冷した後、i−
PrOH125ml、ClCHCOOH28.4gを
加えて72時間反応させた。続いて、2MHClを加え
ていき、白色の結晶を9.8727g得た。次に、この
結晶0.5gを10%NaOH水溶液20mlに溶解さ
せた後、4MHClをpH1になるまで加えた。これ
に、大量のアセトンを加えることで結晶を析出させ、吸
引ろ過により0.7gのCM−chitosanを得
た。
【0094】実施例10 金薄膜を洗浄した後、10−3MのHS−C1020
COOH/EtOH溶液に2時間、0.4M EDC/
0.1M NHSの1:1混合溶液に40分浸した後、
実施例9で製造した2%CM−chitosan水溶液
に2時間つけることで、キトサン膜センサープローブI
Iを製造した。このプローブを用いて、膜中の−COO
H基を、0.4M EDC/0.1M NHS 1:1
混合溶液で活性化し、200μg/ml hIgGを固
定化した後、500μg/mlのBSAの膜への吸着を
測定した結果を図21に示す。
【0095】実施例11 実施例2と同様にして、AFI法によりキトサン膜セン
サープローブの調製を行った。PEI膜センサープロー
ブの時と同様に金薄膜をSPR装置にセットし、そこか
らすべての試薬をフロ−系に導入して固定化するオ−ル
フロ−系で固定化法を行った。結果を図24に示す。図
24中の、(1)はpH7.4HBS/Tバッファーを
添加した時点を、(2)はモノレイヤーのエタノール溶
液を添加した時点を、(3)はEDC/NHSの0.2
M/0.05Mを添加した時点を、(4)は1%CM−
キトサンを添加した時点を、(5)は0.5mg/ml
のBSAを添加した時点をそれぞれ示している。BSA
を添加した時点のレスポンスΔθが観測された。
【0096】実施例12 PEI膜を0.4MEDC/0.1MNHSの1:1混
合液で活性化して、これにプロテインAを固定した。こ
れに、濃度0.1、1.0、10、45、90、200
μg/mlのhIgGをそれぞれのセンサーに流した。
AFI法によるPEI膜の経時変化の結果を図27に示
す。図27中の1,000R.Uは1ng/mmであ
る。また、この実験で得られた検量線を図28の左側に
示す。
【0097】比較例1 デキストラン膜を用いて実施例12と同様に行った。そ
の結果得られた検量線を、図28の右側に示す。
【0098】
【発明の効果】本発明は、簡便、迅速かつ再現性のよい
SPR測定用のセンサープローブとして有用な金属薄膜
を提供するものであり、本発明のセンサープローブは高
感度で、高精度のものであり、かつ、簡便で安価に製造
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、原料物質として、システインメチルエ
ステル、グルタルアルデヒド及びポリエチレンイミンを
用いた場合の本発明の金属薄膜の処理法を示す。
【図2】図2は、原料として、システインメチルエステ
ル、グルタルアルデヒド及びキトサンを用いた場合の本
発明の金属薄膜の処理法を示す。
【図3】図3は、本発明のポリエチレンイミン膜を有す
る金属薄膜にスペーサーとしてスベリン酸を用い、活性
エステル化法により検出用試薬(図3中ではリガンドと
して示されている。)を固定する方法を示す。
【図4】図4は、図2に示したCM−キトサンセンサー
プローブに検出用試薬(図4中ではリガンドとして示さ
れている。)を固定する方法を示す。
【図5】図5は、本発明の金属薄膜の調製法と、表面プ
ラズモン共鳴装置の概要と、本発明の金属薄膜のバッチ
法とオールフローインジェクト法(AFI法)の概要を
示す。
【図6】図6は、本発明のPEI膜を用いたSPRの測
定結果であり、横軸に時間(分)、縦軸にレスポンス
(アーク秒(1度は3600アーク秒))を示す。図6
中の、(1)はpH7.4 HBS T/バッファーを
添加した時点を、(2)はBS3を添加した時点を、
(3)は0.5mg/mlのBSAを添加した時点を、
(4)はグリシンpH3を添加した時点をそれぞれ示し
ている。BSAを添加した時点でのレスポンスΔθは6
04アーク秒であった。
【図7】図7は、本発明のPEI膜を用いたSPRの測
定結果であり、横軸に時間(分)、縦軸にレスポンス
(アーク秒(1度は3600アーク秒))を示す。図7
中の、(1)はpH7.4 HBS T/バッファーを
添加した時点を、(2)はBS3を添加した時点を、
(3)は0.1mg/mlのhIgGを添加した時点
を、(4)はグリシンpH3を添加した時点をそれぞれ
示している。hIgGを添加した時点でのレスポンスΔ
θは150アーク秒であった。
【図8】図8は、本発明のPEI膜を用いたAFI法に
よるSPRの測定結果である。図8中の、(1)はpH
7.4 HBS T/バッファーを添加した時点を、
(2)は10mML−システインを添加した時点を、
(3)は10%グルタルアルデヒドを添加した時点を、
(4)は1%PEIを添加した時点をそれぞれ示してい
る。
【図9】図9は、本発明のPEI膜を用いたAFI法に
よるSPRの測定結果である。図9中の、(a)はpH
7.4 HBS T/バッファーを添加した時点を、
(b)は1mMのBS3を添加した時点を、(c)は5
00μg/mlのBSAを添加した時点を、(d)はグ
リシンpH3を添加した時点を、(e)はpH8.5で
0.1Mのエタノールアミンを添加した時点をそれぞれ
示している。
【図10】図10は、本発明のPEI膜を用い、緩衝液
としてpH5.3酢酸バッファーを用いたときのSPR
の測定結果である。図10中の、(1)はpH5.3酢
酸バッファーを添加した時点を、(2)はスペーサーの
BS3を1mM添加した時点を、(3)は0.5mg/
mlのBSA溶液を添加した時点を、(4)は0.1M
のグリシン(pH3.0)を添加した時点をそれぞれ示
している。
【図11】図11は、本発明のPEI膜を用い、膜中の
アミノ基を100mMグリオキル酸と反応させカルボキ
シル化したときのSPRの測定結果である。図11中
の、(1)はpH7.4HBSバッファーを添加した時
点を、(2)は0.4MEDC/0.1MNHSを添加
した時点を、(3)は0.5mg/mlのBSA溶液を
添加した時点を、(4)は0.1Mのグリシン(pH
3.0)を添加した時点をそれぞれ示している。
【図12】図12は、本発明のPEI膜の未反応のアミ
ノ基どうしを、グルタルアルデヒドで架橋することで不
活性化するようすを模式的に示したものである。
【図13】図13は、本発明の測定に用いた8種類のプ
ローブをまとめて示したものである。
【図14】図14は、本発明の図13に記載のNo.8
のプローブを用いて測定を行った時のhIgG検出のリ
アルタイムプロットを示したものである。図14中の、
(1)はHBS/NHSバッファーを添加した時点を、
(2)はEDC/NHSを添加した時点を、(3)は2
00μg/mlの抗hIgGを添加した時点を、(4)
はエタノールアミンを添加した時点を、(5)はグリシ
ンを添加した時点を、(6)は0.1ug/mlのhI
gGを添加した時点を、(7)は1.0ug/mlのh
IgGを添加した時点をそれぞれ示している。
【図15】図15は、hIgGを濃度を60、160、
再び60μg/mlhIgGに変化させて膜に接触さ
せ、得られるレスポンスを示したものである。
【図16】図16は、本発明のセンサープローブを用い
た検量線を示す。図16中の左側はBS3で活性化した
バッチ法によるものであり、右側はEDC/NHSで活
性化したバッチ法によるものであり、黒三角印及び白四
角印はプロテインA−hIgG系を示し、黒丸印及びバ
ツ印は抗hIgG−hIgG系を示す。
【図17】図17は、本発明のセンサープローブを用い
た検量線を示す。図17中の左側はEDC/NHSで活
性化したバッチ法によるものであり、右側はEDC/N
HSで活性化したAFI法のよるものであり、白四角印
及び白丸印はプロテインA−hIgG系を示し、バツ印
及び白菱形印は抗hIgG−hIgG系を示す。
【図18】図18は、本発明のセンサープローブを用い
たときの非特異抗体の吸着量を示す。図18中のグレー
の棒はhIgGを示し、斜線の棒はマウスIgGを示
し、横線の棒はチキンIgGを示す。いずれの濃度も9
0μg/mlである。
【図19】図19は、センサープローブの表面の膜構造
をもし九滴に示したものである。
【図20】図20は、本発明のCM−キトサン膜を用い
たSPR測定の結果を示す。図20中の、(1)はpH
7.4HBS/Tバッファーを添加した時点を、(2)
は0.4MEDC/0.1MNHSを添加した時点を、
(3)は0.5mg/mlのBSA溶液を添加した時点
を、(4)はエタノールアミンを添加した時点をそれぞ
れ示している。
【図21】図21は、本発明のCM−キトサン膜を用い
たSPR測定の結果を示す。図21中の、(1)はpH
7.4HBS/Tバッファーを添加した時点を、(2)
はEDC/NHSを添加した時点を、(3)は0.2m
g/mlのIgG溶液を添加した時点を、(4)はエタ
ノールアミンを添加した時点を、(5)は500μg/
mlのBSAを添加した時点をそれぞれ示している。
【図22】図22は、活性化をせずに本発明のCM−キ
トサン膜を用いたSPR測定の結果を示す。図22中
の、(1)はpH7.4HBS/Tバッファーを添加し
た時点を、(2)はグリシン/HCl(pH3)を添加
した時点を、(3)は500μg/mlのBSAを添加
下時点をそれぞれ示している。
【図23】図23は、活性化をせずに本発明のCM−キ
トサン膜を用いたSPR測定の結果を示す。図23中
の、(1)はpH7.4HBS/Tバッファーを添加し
た時点を、(2)は500μg/mlのBSAを添加し
た時点をそれぞれ示している。
【図24】図24は、本発明のCM−キトサン膜を用い
たAFI法によるSPR測定の結果を示す。図24中
の、(1)はpH7.4HBS/Tバッファーを添加し
た時点を、(2)はモノレイヤーのエタノール溶液を添
加した時点を、(3)はEDC/NHSの0.2M/
0.05Mを添加した時点を、(4)は1%CM−キト
サンを添加した時点を、(5)は0.5mg/mlのB
SAを添加した時点をそれぞれ示している。
【図25】図25は、本発明のプローブを用いたときの
検量線を示す。図25中の丸印はPEI膜プローブを用
いたAFI法によるものであり、四角印はPEI膜プロ
ーブを用いたバッチ法によるものであり、三角印はCM
−キトサン膜プローブを用いたバッチ法によるものであ
る。
【図26】図26は、本発明のセンサープローブを用い
たときの非特異抗体の吸着量を示す。図26中のグレー
の棒はhIgGを示し、斜線の棒はマウスIgGを示
し、横線の棒はチキンIgGを示す。いずれの濃度も9
0μg/mlである。
【図27】図27は、本発明のPEI膜にプロテインA
を固定したセンサーを用いた、各種濃度のhIgGにお
ける経時変化を示したものである。図27中の1,00
0R.Uは1ng/mmである。
【図28】図28は、実施例12及び比較例1で得られ
た検量線を示したものである。

Claims (49)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 自由電子金属表面を有する金属薄膜の表
    面が、(1)金属表面に固定され得る官能基及びポリマ
    ーと結合し得る官能基を有する有機リンカー、並びに、
    (2)検出用試薬に直接結合し得る官能基若しくは検出
    用試薬にスペーサーを介して結合し得る官能基及び前記
    有機リンカーと結合し得る官能基を有するポリマー、で
    処理されてなる金属薄膜。
  2. 【請求項2】 有機リンカーの、金属表面に固定され得
    る官能基とポリマーと結合し得る官能基の間が、炭素原
    子、酸素原子、及び、窒素原子からなる群から選ばれる
    原子からなり、直鎖部分が2〜20原子である直鎖状若
    しくは分枝状又は環状の化学構造である請求項1に記載
    の金属薄膜。
  3. 【請求項3】 有機リンカーが、2種以上の有機化合物
    が結合したものである請求項1又は2に記載の金属薄
    膜。
  4. 【請求項4】 有機リンカーの金属表面に固定され得る
    官能基が、硫黄原子を含有する官能基である請求項1〜
    3のいずれかに記載の金属薄膜。
  5. 【請求項5】 有機リンカーの金属表面に固定され得る
    官能基が、メルカプト基、スルフィド基又はジスルフィ
    ド基である請求項4に記載の金属薄膜。
  6. 【請求項6】 有機リンカーを形成し、金属表面に固定
    され得る官能基を有する有機化合物が、硫黄原子を含有
    する官能基を含有するアミノ酸又はその誘導体である請
    求項1〜5のいずれかに記載の金属薄膜。
  7. 【請求項7】 有機リンカーを形成し、金属表面に固定
    され得る官能基を有する有機化合物がシステイン又はそ
    のエステル誘導体である請求項6に記載の金属薄膜。
  8. 【請求項8】 有機リンカーのポリマーと結合し得る官
    能基が、カルボニル基、アミノ基若しくはカルボキシル
    基又はこれらの誘導体である請求項1〜7のいずれかに
    記載の金属薄膜。
  9. 【請求項9】 有機リンカーが、システイン又はそのエ
    ステル誘導体、及び、グルタルアルデヒドから誘導され
    るものである請求項1〜8のいずれかに記載の金属薄
    膜。
  10. 【請求項10】 有機リンカーが、メルカプト基、スル
    フィド基又はジスルフィド基を有する炭素数2〜20の
    脂肪酸である請求項1〜9のいずれかに記載の金属薄
    膜。
  11. 【請求項11】 ポリマーの検出用試薬に直接結合し得
    る官能基若しくは検出用試薬にスペーサーを介して結合
    し得る官能基が、アミノ基、カルボキシル基若しくは水
    酸基又はこれらの誘導体である請求項1〜10のいずれ
    かに記載の金属薄膜。
  12. 【請求項12】 ポリマーが、ポリマーの主鎖又は側鎖
    にアミノ基を有するポリマーである請求項11に記載の
    金属薄膜。
  13. 【請求項13】 ポリマーが、アミノ糖を含有する多糖
    類である請求項12に記載の金属薄膜。
  14. 【請求項14】 ポリマーが、キトサンである請求項1
    3に記載の金属薄膜。
  15. 【請求項15】 ポリマーが、ポリ低級アルキレンイミ
    ンである請求項12に記載の金属薄膜。
  16. 【請求項16】 金属薄膜の片面のみが処理されている
    請求項1〜15のいずれかに記載の金属薄膜。
  17. 【請求項17】 金属薄膜の薄膜の厚さが50〜100
    0nmである請求項1〜16のいずれかに記載の金属薄
    膜。
  18. 【請求項18】 金属薄膜の金属が、金、銀、銅、アル
    ミニウム又はクロムのいずれか1種である請求項1〜1
    7に記載の金属薄膜。
  19. 【請求項19】 金属薄膜の金属が、金である請求項1
    8に記載の金属薄膜。
  20. 【請求項20】 ポリマーにさらに、検出用試薬が直接
    又は検出用試薬に結合し得る官能基を有するスペーサー
    を介して検出用試薬が結合している請求項1〜19のい
    ずれかに記載の金属薄膜。
  21. 【請求項21】 スペーサーが、ポリマーに結合し得る
    官能基及び検出用試薬に結合し得る官能基を有する有機
    化合物である請求項20に記載の金属薄膜。
  22. 【請求項22】 検出用試薬に結合し得る官能基が、カ
    ルボキシル基又はその反応性誘導体である請求項21に
    記載の金属薄膜。
  23. 【請求項23】 検出用試薬が、蛋白質である請求項2
    0〜22のいずれかに記載の金属薄膜。
  24. 【請求項24】 蛋白質が抗原又は抗体である請求項2
    3に記載の金属薄膜。
  25. 【請求項25】 金属薄膜が、基板に密着している請求
    項1〜24のいずれかに記載の金属薄膜。
  26. 【請求項26】 基板がプリズムである請求項25に記
    載の金属薄膜。
  27. 【請求項27】 金属薄膜が表面プラズモン共鳴(SP
    R)用の金属薄膜である請求項1〜26に記載の金属薄
    膜。
  28. 【請求項28】 自由電子金属表面を有する金属薄膜の
    表面を、金属表面に固定され得る官能基及び他の官能基
    を有する第一の有機化合物で処理して、当該第一の有機
    化合物を金属表面に固定し、次いで当該第一の有機化合
    物の金属表面に固定されていない他の官能基と化学反応
    をし得る第二の有機化合物を反応させて、前記第一の有
    機化合物と当該第二の有機化合物とを結合させることか
    らなる有機リンカーが導入された金属薄膜を製造する方
    法。
  29. 【請求項29】 第一の有機化合物が、硫黄原子を含有
    する官能基を含有するアミノ酸又はその誘導体である請
    求項28に記載の方法。
  30. 【請求項30】 第一の有機化合物が、システイン又は
    そのエステルである請求項29に記載の方法。
  31. 【請求項31】 第二の有機化合物が、グルタルアルデ
    ヒドである請求項28〜30のいずれかに記載の方法。
  32. 【請求項32】 自由電子金属表面を有する金属薄膜の
    表面に、(1)金属表面に固定され得る官能基及びポリ
    マーと結合し得る官能基を有する有機リンカーを導入
    し、次いで、(2)検出用試薬に直接結合し得る官能基
    若しくは検出用試薬にスペーサーを介して結合し得る官
    能基及び前記有機リンカーと結合し得る官能基を有する
    ポリマーを前記有機リンカーと反応させてこれを結合さ
    せることからなる、表面が処理された金属薄膜を製造す
    る方法。
  33. 【請求項33】 ポリマーが、ポリマーの主鎖又は側鎖
    にアミノ基を有するポリマーである請求項32に記載の
    方法。
  34. 【請求項34】 ポリマーが、アミノ糖を含有する多糖
    類又はポリ低級アルキレンイミンである請求項33に記
    載の方法。
  35. 【請求項35】 ポリマーが、キトサン又はポリエチレ
    ンイミンである請求項34に記載の方法。
  36. 【請求項36】 自由電子金属表面を有する金属薄膜の
    表面に、(1)金属表面に固定され得る官能基及びポリ
    マーと結合し得る官能基を有する有機リンカーを導入
    し、次いでこれに、(2)検出用試薬に直接結合し得る
    官能基若しくは検出用試薬にスペーサーを介して結合し
    得る官能基及び前記有機リンカーと結合し得る官能基を
    有するポリマーを前記有機リンカーと反応させてこれを
    結合させ、さらに、当該ポリマーに直接又は検出用試薬
    に結合し得る官能基を有するスペーサーを介して検出用
    試薬を結合又は吸着させてなる、表面が処理された金属
    薄膜を製造する方法。
  37. 【請求項37】 スペーサーが、ポリマーに結合し得る
    官能基及び検出用試薬に結合し得る官能基を有する有機
    化合物である請求項36に記載の方法。
  38. 【請求項38】 検出用試薬に結合し得る官能基が、カ
    ルボキシル基又はその反応性誘導体である請求項36又
    は37に記載の方法。
  39. 【請求項39】 検出用試薬が、蛋白質である請求項3
    6〜38のいずれかに記載の方法。
  40. 【請求項40】 蛋白質が抗原又は抗体である請求項3
    9に記載の方法。
  41. 【請求項41】 金属薄膜が、金、銀、銅、アルミニウ
    ム又はクロムである請求項28〜40のいずれかに記載
    の方法。
  42. 【請求項42】 表面プラズモン共鳴(SPR)により
    試料を検出、同定又は定量する際に、表面プラズモン共
    鳴(SPR)測定用の金属薄膜が請求項28〜41のい
    ずれかに記載の方法で予め処理されている金属薄膜を使
    用することを特徴とする表面プラズモン共鳴(SPR)
    により試料を検出、同定又は定量する方法。
  43. 【請求項43】 表面プラズモン共鳴(SPR)により
    試料を検出、同定又は定量する際に、表面プラズモン共
    鳴(SPR)測定用の金属薄膜を請求項28〜41のい
    ずれかに記載の方法で測定中に処理し、次いで試料を添
    加して測定を行うことを特徴とする表面プラズモン共鳴
    (SPR)により試料を検出、同定又は定量する方法。
  44. 【請求項44】 請求項1〜27のいずれかに記載の金
    属薄膜を使用することを特徴とする表面プラズモン共鳴
    (SPR)により試料を検出、同定又は定量する方法。
  45. 【請求項45】 請求項1〜19に記載の金属薄膜又は
    そのポリマー部分に検出用試薬を結合し得る官能基を有
    するスペーサーを結合させた金属薄膜に、順次又は同時
    に検出用試薬及び試料を添加して、検出用試薬と試料中
    の物質との動向を表面プラズモン共鳴(SPR)により
    検出、同定又は定量する方法。
  46. 【請求項46】 検出用試薬と試料中の物質との動向
    が、抗原−抗体反応である請求項45に記載の方法。
  47. 【請求項47】 (1)金属表面に固定され得る官能基
    及びポリマーと結合し得る官能基を有する有機リンカ
    ー、(2)検出用試薬に直接結合し得る官能基若しくは
    検出用試薬にスペーサーを介して結合し得る官能基及び
    前記有機リンカーと結合し得る官能基を有するポリマ
    ー、及び、(3)金属薄膜からなる表面プラズモン共鳴
    (SPR)により試料を検出、同定又は定量するための
    キット。
  48. 【請求項48】 さらに、(4)検出用試薬及び必要の
    よりこれをポリマーに結合させるためのスペーサーを包
    含してなる請求項47に記載のキット。
  49. 【請求項49】 請求項1〜27のいずれかに記載の金
    属薄膜を使用した表面プラズモン共鳴(SPR)装置。
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