JP2000120216A - 間仕切りパネル構造 - Google Patents

間仕切りパネル構造

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JP2000120216A JP10292524A JP29252498A JP2000120216A JP 2000120216 A JP2000120216 A JP 2000120216A JP 10292524 A JP10292524 A JP 10292524A JP 29252498 A JP29252498 A JP 29252498A JP 2000120216 A JP2000120216 A JP 2000120216A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 薄く軽量で、かつ高遮音な間仕切り用多層パ
ネル構造を得る。 【解決手段】 2枚の板1、1を板厚方向に間隔を設け
て配置し、断面コの字形で枠体状の連結部材2を用いて
当該板の周囲を連結することによりパネル3を構成し、
パネル3、3を複数枚空気層を設けて併設し、当該パネ
ル3、3の周囲の一部を断面コの字形の接続部材4を用
いて接続し一体化する。必要に応じて中間部にリブのあ
る連結部材2aや、枠体状の接続部材4aを使用でき
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、屋内の大空間をい
くつかの空間に仕切るための間仕切り壁に用いられる多
層パネル構造に関する。
【0002】
【従来の技術】間仕切壁は固定式と移動式とに大別され
るが、例えば図18に示すように、金属製の枠材11の
両面に鋼板12や石膏ボード13などの面材をとりつけ
たものがほとんどである。この間仕切壁の遮音性を高め
るために、面材の面密度を高めるべく、石膏ボードの厚
さを増加させたり、石膏ボードを片側2枚施工するなど
の方策が採られる。さらに、面材の面密度mと曲げ剛性
Bから下記式(1)により計算されるコインシデンス周
波数fで生じる音の筒抜け現象(コインシデンス現
象)を抑制するために、面材の内側に制振材を貼りつけ
るなどの対策が施されている例(特開平6−22106
1号公報参照)も開示されている。 f=(C/2π)*(m/B)1/2 ・・・・(1) ただし、 C;空気中の音の速さ
【0003】また、面材と面材との間に挟まれた空気層
が空気バネとして作用し、片側の面材に生じた振動が反
対側の面材に伝わるために生じる音の筒抜け現象(低域
共鳴透過現象)を抑制するために、面材と面材の間の空
間にグラスウールなどの吸音材をつめるなどの方策が採
られている(例えば実開昭51−154030号公報参
照)。さらに、移動式間仕切り壁の場合で、とくに遮音
性が要求される場合には、間仕切り壁を1m程度の間隔
を設けて2重に施工している例もある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】面材の面密度を高める
ことにより、壁の遮音性能は高くなるが、重量が重くな
り、施工が困難になるばかりか、移動式の場合には、人
手で壁を移動させることが困難となり、設営に時間と人
手がかかる問題がある。それに、面密度を例えば2倍に
しても、遮音性能はたかだか5デシベル程度しか改善さ
れない。一方、間仕切り壁を2重に施工する場合、例え
ば500Hzで30デシベルの遮音性能を有する間仕切
壁を1m程度の間隔を設けて2重に施工すると、およそ
60デシベルの遮音性能が得られる。しかし、壁の収納
スペースが2倍必要となるばかりか、間仕切り壁を移動
させるためのレールなどの付随設備も2倍かかるため、
十分な収納スペースを確保できない場合やコストの制約
を受ける場合にはこの方策は適用できない。本発明は、
上記の問題点の解決を図るべく、薄く軽量で、かつ高遮
音な多層パネル構造を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明に係る間仕切りパ
ネル構造は、複数枚の板を板厚方向に間隔を設けて配置
し、連結部材を用いて板の周囲の少なくとも一部又は/
及び面内の一部を連結することによりパネルを構成し、
このパネルを複数枚空気層を設けて併設し、パネルの周
囲の少なくとも一部又は/及び面内の一部を接続部材を
用いて接続して、複数のパネルを一体化したことを特徴
とする。なお、「連結」及び「接続」は、特に異なる内
容を表す意味で使い分けしたものではない。また、連結
部材及び接続部材は、上記板とは独立して製造された部
材でも、そうではなく該板と一体的に製造されたもの
(板の端を折り曲げる等したもの)であってもよい。さ
らに、上記多層パネル構造において、連結部材は板の辺
の方向に沿ってその周囲の一部又は全部を連結し、かつ
接続部材はパネルの辺の方向に沿ってその周囲の一部又
は全部を接続することが望ましいが、これに限定される
ものではない。
【0006】上記の多層パネル構造において、図2に示
すように、パネルを構成する板の辺に沿った方向をX
軸、板の面に平行でX軸に対し直角方向をY軸、板の面
に垂直方向をZ軸とし、X、Y、Z方向の並進バネをK
x、Ky、Kz、回転バネをKθx、Kθy、Kθzと
定義したとき、前記連結部材のX軸を回転軸とする回転
バネ定数Kθxが、他のすべての方向の並進バネ(K
x、Ky、Kz)、回転バネ(Kθy、Kθz)より低
くなるように設定すること、又は/及び、図2に示すよ
うに、パネルの辺に沿った方向をX軸、パネルの面に平
行でX軸に対し直角方向をY軸、パネルの面に垂直方向
をZ軸とし、X、Y、Z方向の並進バネをKx、Ky、
Kz、回転バネをKθx、Kθy、Kθzとしたとき、
前記接続部材のX軸を回転軸とする回転バネ定数Kθx
が、他のすべての方向の並進バネ(Kx、Ky、K
z)、回転バネ(Kθy、Kθz)より低くなるように
設定することが望ましい。また、上記の多層パネル構造
において、上記接続部材の上記パネルの辺に沿った方向
を回転軸とする回転バネ定数が、同じ方向を回転軸とす
る上記連結部材の回転バネ定数よりも小さく設定され、
あるいは、上記連結部材の上記板の辺に沿った方向を回
転軸とする回転バネ定数が、同じ方向を回転軸とする接
続部材の回転バネ定数よりも小さく設定されていること
が望ましい。
【0007】
【発明の実施の形態】さて、複数枚の板を板厚方向に間
隔を設けて配置することにより、例えば500Hzの遮
音性能がおよそ20デシベルの厚さ1mmの鋼板を十分
な距離間隔を設けて、2枚配置することにより、およそ
40デシベルの遮音性能が得られる。このように複数の
板を十分な距離間隔を設けて配置すると、一枚の板の遮
音性能を板の枚数倍した遮音性能が得られることは公知
の事実として知られている。一方、本発明では、「複数
枚の板を連結部材を用いて板の周囲の少なくとも一部又
は/及び面内の一部を連結することにより得られるパネ
ルを、さらに複数枚空気層を設けて併設し、パネルの周
囲の少なくとも一部又は/及び面内の一部を接続部材を
用いて接続して複数のパネルを一体化した多層パネル構
造」を基本構成することにより、薄いパネル構造体でも
高い遮音性能を達成できた。
【0008】図1(a)は上記の多層パネル構造の一例
であり、2枚の長方形の板1を板厚方向に間隔を設けて
配置し、連結部材2を用いて板1の全周を連結すること
によりパネル3を構成し、このような2つのパネル3を
接続部材4を用いて接続したものである。ここでは、連
結部材2は断面がコの字型で長方形の枠体状をなし、2
枚の板1、1の周囲の全体を連結してパネル3を構成
し、接続部材4は断面コの字形でパネル3の周囲の一
部、すなわち両短辺側に沿って2枚のパネル3を接続し
ている。板1、連結部材2、接続部材4の素材として
は、金属(鋼、アルミニウム等)、プラスチック等、種
々の材質のものが利用できる。また、連結部材2と板
1、接続部材4とパネル3の連結手段としては、接着、
溶接、ボルト締め、ピン連結等、適宜の手段又はその組
み合せが利用できる。
【0009】図1(a)に示す多層パネル構造Aでは、
パネル3の長辺側の周囲が接続部材で閉鎖されていない
が、このようにパネル3の周囲の一部のみを接続する接
続部材4に代え、図1(b)に示すようにパネル3の周
囲全体を接続するように枠体状に一体化された接続部材
4a、あるいは板の周囲と面内(周囲以外の箇所)の一
部を接続する接続部材(例えば図1(c)に示す連結部
材2aのようにパネルの全周と面内の一部を接続する接
続部材)を用いることもできる。また、パネル3の連結
部材2は板1の周囲全体を連結する枠体状の連結部材で
あるが、このような連結部材2に代え、板1の周囲の一
部のみを連結する連結部材(例えば接続部材4のように
板1の短辺側のみ連結する連結部材)を用いることがで
き、あるいは図1(c)に示すように板1の周囲の全体
と面内の一部を連結する連結部材2aを用いることもで
きる。さらにいえば、連結部材又は接続部材として、上
記のように板1又はパネル3の周囲を連結するものだけ
でなく、板1の面内のみを連結するような連結部材や、
パネル3の面内のみを接続する接続部材を用いることも
できる。断面形状についても、上記の連結部材及び接続
部材では、長手方向に垂直な断面で開断面(断面コの字
型)となっていたが、閉断面(例えば口型断面)等、他
の断面形状を用いることもできる。
【0010】なお、通常の間仕切りは長辺側を垂直に立
て、短辺側を天井壁側及び床側に対向させて設置され、
かつ通常は複数個面内方向に隙間なく隣接させて使用さ
れるので、長辺側が閉鎖されている必要はない(むし
ろ、少なくとも一部が開放されている方がよいとも考え
られる・・・・詳しくは後述)。この点はパネル3でも同様
であり、板1の長辺側の周囲が連結部材で連結されてい
なくてもよい。さらに、例えば間仕切りが天井壁及び床
とも隙間のないようにして設置される場合などは、多層
パネル構造の短辺側(パネル3及び/又は板1の短辺側
周囲)についても閉鎖されている必要はない。
【0011】上記の多層パネル構造Aにおいて、各パネ
ル3の遮音性能は、2枚の板1、1を配置する距離間隔
が短いとき、連結部材2の板1の辺に沿った方向(連結
部材の長手方向)を回転軸とする回転バネ定数(図2参
照、X方向が連結部材の各辺の長手方向、回転バネはK
θx)が大きい場合には、片側の板の曲げ振動(音波の
入射による板の振動)により周辺部に生じる曲げモーメ
ントが、連結部材2の前記回転バネにより連結部材2を
介して他側の板に伝達される。さらに、板1、1間に生
じる空気層が空気バネとして作用し、片側の板に生じた
振動が空気を介して他側の板に伝達される。以上のよう
に片側の板の振動が連結部材2や空気バネにより反対側
の板に伝達されるので、パネル3の遮音性能は一枚の板
の遮音性能を単純に板の枚数倍(2倍)した値より低い
値となる。
【0012】しかし、長手方向(図2でX軸)を回転軸
とする連結部材2の回転バネ定数が他のすべての方向の
並進バネ、回転バネより低くなるように設定する(図2
で、Kθx<Kθy、Kθz、Kx、Ky、Kz)こと
により、片側の板に生じる曲げモーメントの反対側の板
への伝達量を低減させることができるので、複数の板間
の距離が短くても、パネルの遮音性能はパネルを構成す
る板の遮音性能を板の枚数倍した値に近づけることがで
きる。そのためには連結部材2のKθxをKθy、Kθ
z、Kx、Ky、Kzに比べて十分小さくすることが望
ましく、例えば連結部材2を比較的薄肉の開断面(例え
ば断面コの字状・・・・図1参照)とすること、連結部材2
のフランジ高さ(板1、1間の距離)を大きくするこ
と、一体化した枠体状でない連結部材とすること、図3
に示すように隅部に切れ目aを入れた連結部2bを用い
ること、あるいは板1、1と連結部材2との間にゴム等
の振動絶縁材を介在させて連結すること等が考えられ
る。(なお、図2において、xは連結部材2の長手方向
(板の辺に沿った方向)、yは板1の面に平行でxに対
し直角方向、zは板面に垂直方向であり、Kθx、Kθ
y、Kθz、Kx、Ky、Kzはそれぞれの方向の回転
バネ及び並進バネである。) また、図4(a)はKθxがゼロの連結部材を実現する
ものであり、板1の周囲全体が枠体状の連結部材2に蝶
番bを介して連結され、連結部材2の回転バネ常数がゼ
ロ(他の全ての方向の並進バネ、回転バネ常数は適当な
値を持つ)とされている。
【0013】また、Kθxをちいさくしても、それ以外
のKθy、Kθz、Kx、Ky、Kzを相対的に大きく
することで、一体化されたパネル3を上方から吊り下げ
る際の、パネル3の自重による弾性変形を十分に小さく
することが可能で、かつ、吊り下げた後の人力による移
動時の負荷に対しても、パネル3の弾性変形を小さくす
ることが可能となる。さらに、板1、1を連結部材で連
結する際、図1に示すように枠体状の連結部材2で板
1、1の周囲の全部を連結するのではなく、板1、1の
周囲の一部のみ連結し(例えば図1の接続部材4のよう
に)、空気が密閉空間に閉じ込められていない状態にす
れば、空気のバネ定数を低減することができるので、片
側の板に生じた振動のうち空気バネにより反対側の板に
伝達される振動を低減させることができる。その結果、
パネルの遮音性能は、さらにパネルを構成する板の遮音
性能を板の枚数倍した遮音性能に近づく。
【0014】以上述べた板1、1と連結部材2の関係
は、パネル3と接続部材4においても全く同様に成立す
る。つまり、上記の多層パネル構造Aにおいて、その遮
音性能は、2つのパネル3、3を配置する距離間隔が短
いとき、接続部材4のパネル3の辺に沿った方向(接続
部材の長手方向)を回転軸とする回転バネ定数(図2参
照、X方向が接続部材の各辺の長手方向、回転バネはK
θx)が大きい場合には、片側のパネル(より正確には
パネルを構成する板のうち接続部材側の板)の曲げ振動
により周辺部に生じる曲げモーメントが、接続部材4の
前記回転バネにより接続部材4を介して他側のパネル
(より正確にはパネルを構成する板のうち接続部材側の
板)に伝達される。以上のように片側のパネルの振動が
接続部材4により反対側のパネルに伝達されるので、多
層パネル構造の遮音性能は一枚のパネルの遮音性能を単
純にパネルの枚数倍(2倍)した値より低い値となる。
【0015】しかし、長手方向(図2でX軸)を回転軸
とする接続部材4の回転バネ定数が他のすべての方向の
並進バネ、回転バネより低くなるように設定する(図2
で、Kθx<Kθy、Kθz、Kx、Ky、Kz)こと
により、片側のパネルに生じる曲げモーメントの反対側
のパネルへの伝達量を低減させることができるので、複
数のパネル間の距離が短くても、多層パネル構造の遮音
性能は各パネルの遮音性能をパネルの枚数倍した値に近
づけることができる。そのためには接続部材のKθxを
Kθy、Kθz、Kx、Ky、Kzに比べて十分小さく
することが望ましく、そのための具体的手段として、例
えば先に連結部材について述べたような形状及び接続方
法が考えられる。同様に、図4(b)はKθxがゼロの
接続部材を実現するものであり、パネル3の周囲全体が
枠体状の接続部材4に蝶番bを介して連結され、接続部
材4の回転バネ常数がゼロ(他の全ての方向の並進バ
ネ、回転バネ常数は適当な値を持つ)とされている。
【0016】また、Kθxを小さくしても、それ以外の
Kθy、Kθz、Kx、Ky、Kzを相対的に大きくす
ることで、一体化された多層パネル構造体を上方から吊
り下げる際の、多層パネル構造体の自重による弾性変形
を十分に小さくすることが可能で、かつ、吊り下げた後
の人力による移動時の負荷に対しても、多層パネル構造
体の弾性変形を小さくすることが可能となる。さらに、
パネル3、3を接続部材4で結合する際、図1に示すよ
うに、パネル3、3の周囲の一部(図1では短辺側)の
み接続し、空気が密閉空間に閉じ込められていない状態
にすることにより、空気のバネ定数を低減することがで
きるので、片側のパネル(より正確にはパネルを構成す
る板のうち接続部材側の板)に生じた振動のうち空気バ
ネにより反対側のパネル(より正確にはパネルを構成す
る板のうち接続部材側の板)に伝達される振動を低減さ
せることができる。その結果、多層パネル構造体の遮音
性能は、さらにパネルの遮音性能をパネルの枚数倍した
遮音性能に近づく。
【0017】このように、連結部材2又は接続部材4の
いずれか又は双方において、図2に示す各方向のバネ定
数が、Kθx<Kθy、Kθz、Kx、Ky、Kz(好
ましくは、Kθx<<Kθy、Kθz、Kx、Ky、K
z)となるように設定すれば、前者の場合、パネルの遮
音性能をパネルを構成する板の枚数倍した遮音性能に近
づけることができ、後者の場合、多層パネル構造の遮音
性能をパネルの枚数倍に近づけることができる。
【0018】さらに、接続部材4の、前記パネル3の辺
に沿った方向を回転軸とする回転バネ定数Kθxが、同
じ方向を回転軸とする連結部材2の回転バネ定数Kθx
よりも小さくなるように、あるいは、前記連結部材2
の、前記板1の辺に沿った方向を回転軸とする回転バネ
定数Kθxが、同じ方向を回転軸とする接続部材4の回
転バネ定数Kθxよりも小さくなるようにすることが望
ましい。これは、連結部材2又は接続部材4のいずれか
の回転バネ定数Kθxをより小さくすることにより、片
側の板(又はパネル)に生じる曲げモーメントの反対側
の板(又はパネル)への伝達量を低減することを意図し
たものである。
【0019】続いて、図5〜図16を参照しつつ、本発
明に係る多層パネル構造の他の例について説明する。本
発明の多層パネル構造では、多層パネル構造を構成する
複数のパネルのうち1又は2以上のパネルを、複数枚の
パネル片で構成することができる。この場合、枠体状の
接続部材を用い、各パネル片の周囲を該接続部材の両面
に接続するのが望ましい。図5はその一例であり、2つ
のパネル3aがいずれも複数枚のパネル片3-1〜3-4で
構成された多層パネル構造Bを示す。この多層パネル構
造Bでは、各パネル片3-1〜3-4はこれまで述べてきた
パネル3と同様に、それぞれ2枚の板を板厚方向に間隔
を設けて配置し、連結部材を用いて板の周囲を連結して
構成したもので、これらが枠体状の接続部材4aの両面
に接続され、大面積を実現している。
【0020】このとき、各パネル片3-1〜3-4を強固に
連結するため、必要に応じて、隣接する一方のパネル片
を構成する板を外側に張り出して凹部を形成し、かつ、
上記パネル片の面内方向に隣接するパネル片の連結部材
を板より外側に張り出して凸部を形成し、これらの凹部
と凸部を嵌合したうえで、各パネル片を接続部材に連結
し、あるいはさらに隣接する連結部材同士を連結すると
よい。図6(a)、(b)はその一例であり、パネル3
-1では板1が外側に張り出して凹部dが形成され、パネ
ル3-2では連結部材2が板1より外側に張り出して凸部
eが形成され、これらが嵌合されるようになっている。
【0021】本発明の多層パネル構造では、小面積の多
層パネル構造を複数枚面内方向に隣接させ、隣接する連
結部材又は/及び接続部材を連結して大面積の多層パネ
ル構造とすることができる。図7はその一例であり、複
数枚の多層パネル構造体C〜Cを面内方向に隣接さ
せ、隣接する連結部材又は/及び接続部材を連結して大
面積とした多層パネル構造Cを示す。ここでは、各多層
パネル構造体C〜C は、図1に示す多層パネル構造
と同様に、2つのパネル3とそれらを接続する接続部材
4からなる。
【0022】このとき、各多層パネル構造体C〜C
を強固に連結するため、必要に応じて、隣接する一方の
パネル構造体のパネルを構成する板を連結部材より外側
に張り出して凹部を形成し、かつ、上記パネル面内方向
に隣接するパネル(他方のパネル構造体のパネル)の連
結部材を板より外側に張り出して凸部を形成し、これら
の凹部と凸部を嵌合したうえで、隣接する連結部材又は
/及び接続部材を連結するとよい。図8はその一例であ
り、多層パネル構造体Cのパネル3では、板1が外側
に張り出して凹部d、fが形成され、多層パネル構造体
のパネル3では、連結部材2及び接続部材4aが板
1より外側に張り出して凸部e、gが形成され、これら
が嵌合されるようになっている。また、隣接する一方の
パネル構造体のパネルを接続部材より外側に張り出して
凹部を形成し、かつ、他方のパネル構造体の接続部材を
パネルより外側に張り出して凸部を形成することもでき
る。
【0023】本発明の多層パネル構造では、連結部材又
は/及び接続部材に上方からの吊り下げが可能な部材を
設けることができる。図9に示す多層パネル構造はその
一例であり、接続部材4に上方からの吊り下げを可能と
する部材(ここでは突起h)が設けられている。また、
本発明に係る多層パネル構造を上方から吊り下げて用い
る場合、上方及び下方に生じる既設構造(例えば天井
壁、床)との隙間を塞ぐためのシール装置を連結部材及
び/又は接続部材に取り付けたり、連結部材及び/又は
接続部材自体がシール装置を兼ねるようにすることがで
きる。さらに、本発明に係る多層パネル構造を面内方向
に隣接させて使用する場合、左右に隣接する多層パネル
構造間に生じる隙間を塞ぐためのシール装置を連結部材
及び/又は接続部材に取り付けたり、連結部材及び/又
は接続部材自体がシール装置を兼ねるようにすることが
できる。
【0024】本発明の多層パネル構造では、複数ある空
気層(板1、1間)の少なくとも1つに吸音材を配置
し、遮音性能を向上させることができる。図10はその
一例であり、多層パネル構造を構成する複数の空気層の
うち、パネル3、3間の空気層に吸音材iが配置された
多層パネル構造Dを示す。吸音材iはパネル3の内部の
空気層に配置してもよい。吸音材iとしては、例えば発
泡ウレタンなどの連続気泡を有する粘弾性体からなる吸
音材、あるいはグラスウール等の繊維状吸音材等を使用
することができ、これにより空気層の一方の側の板から
他方の側の板へ空気層を通って伝達される音波のエネル
ギーの一部を減衰させ、遮音性能を向上させることがで
きる。また、これらの吸音材を空気層の両側の板の表面
の一方又は双方に接触させる(例えば板と板の間にきつ
く充填することにより)と、板の振動を抑制することが
でき、コインシデンス現象を抑制することができる。
【0025】本発明の多層パネル構造では、該多層パネ
ル構造を構成する複数枚の板の少なくとも一枚に拘束型
制振板(粘弾性体を2枚の板でサンドイッチしたもの)
を用いるか、複数枚の板の少なくとも一枚について粘弾
性体を片面に貼り付け、その制振作用により板の振動を
減衰させ、遮音効果を高めることができる。図11はそ
の一例であり、パネル3、3の外側の板を拘束型制振板
1aとした多層パネル構造Eである。
【0026】本発明の多層パネル構造では、該多層パネ
ル構造を構成する板と連結部材との間、及び/又はパネ
ルと接続部材との間に振動絶縁材を介在させて結合し、
これにより連結部材の回転バネ定数(板の辺に沿った方
向を回転軸とする回転バネ定数)、及び/又は接続部材
の回転バネ定数(パネルの辺に沿った方向を回転軸とす
る回転バネ定数)を低くすることができる。図12に示
すのは、断面コの字型の連結部材2を用い、2枚の板
1、1をそれぞれゴム等の弾性体jを介して固定ピンk
で連結したパネル3bであり、連結部材2の板1の辺に
沿った方向(連結部材2の長手方向=図12中、紙面に
垂直)を回転軸とする回転バネ定数Kθが小さくなる。
図13に示すのは、断面コの字型の接続部材4を用い、
2枚のパネル3、3をそれぞれ弾性体jを介して固定ピ
ンmで連結した多層パネル構造Fであり、接続部材4の
パネル3の辺に沿った方向(接続部材4の長手方向=図
13中、紙面に垂直)を回転軸とする回転バネ定数Kθ
が小さくなる。図14に示すのは、閉鎖断面(口型)の
接続部材4bを用い、2枚のパネル3、3をそれぞれ弾
性体jを介して固定ピンnで連結した多層パネル構造G
であり、接続部材4bのパネル3の辺に沿った方向(接
続部材4bの長手方向=図14中、紙面に垂直)を回転
軸とする回転バネ定数Kθが小さくなる。多層パネル構
造Gのように、振動絶縁材を介在させることで、それな
しでは回転バネ定数がきわめて大きくなる閉鎖断面の接
続部材(連結部材でも同様)を用いた場合でも、長手方
向を回転軸とする回転バネ定数を小さくすることができ
る。
【0027】本発明の多層パネル構造では、該多層パネ
ル構造を構成する複数枚の板のうち、いずれか隣接する
2枚の板を異なった厚さに設定することで、コインシデ
ンス現象を抑制することができる。図15はその一例で
あり、連結部材2を用い、厚い板1bと薄い板1cを連
結したパネル3cである。本発明の多層パネル構造で
は、該多層パネル構造を構成する連結部材又は/及び接
続部材に拘束型制振板を用いるか、又は連結部材又は/
及び接続部材に粘弾性体を貼り付け、その制振作用によ
り隣接する板間の振動伝達率を低下させることができ
る。図16はその一例であり、連結部材2を用いて板
1、1を連結し、その連結部材に粘弾性体pを張り付け
たパネル3dである。
【0028】
【実施例】以下、本発明の実施例を示す。ここで用いた
多層パネル構造(実施例1、実施例2)は、いずれも枠
体状の接続部材の両面にパネルを接続し、厚さ150m
m×幅1m×高さ3mの直方体(外形)としたもので、
接続部材内部の空気層にグラスウールが充填されてい
る。各構成部材の詳細を表1に示す。
【0029】
【表1】
【0030】実施例1、実施例2の多層パネル構造につ
いて、各4枚面内方向に隙間なく隣接させ、幅4m×高
さ3mの間仕切りを構成し、各多層パネル構造につい
て、JIS A 1417に規定する方法に基づき、1
/3オクターブバンド周波数に対する音響透過損失を測
定した。その結果を図17に示す。なお、図17には遮
音等級D35〜D50の基準周波数特性のラインをあわ
せて示す。図17に示すように、本発明に係る多層パネ
ル構造では、厚さ150mm、単位面積当り重量32.
3kg/m(実施例1)でD50をクリアした。ま
た、厚さ100mm、単位面積当り重量20.0kg/
(実施例2)でD40をクリアした。
【0031】
【発明の効果】本発明に係る多層パネル構造によれば、
軽量で薄く、かつ高遮音な間仕切りを提供することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る多層パネル構造の一例を示す斜
視図であり、(a)は全体構造の分解図、(b)は接続
部材の他の例、(c)は連結部材の他の例を示す。
【図2】 連結部材及び接続部材の各辺の長手方向をX
軸とした場合の各軸方向の並進バネ、回転バネを説明す
る図である。
【図3】 連結部材又は接続部材の他の例の斜視図及び
一部拡大図である。
【図4】 連結部材(a)又は接続部材(b)の各辺の
長手方向を回転軸とする回転バネ定数のみが零の例を説
明する図である。
【図5】 パネルを複数枚のパネル片で構成した多層パ
ネル構造を示す斜視図である。
【図6】 そのときの各パネル片の連結構造を示す断面
図であり、(a)は嵌合前、(b)は嵌合後を示す。
【図7】 小面積の多層パネル構造体を複数枚連結して
構成した大面積の多層パネル構造を示す斜視図である。
【図8】 そのときの各多層パネル構造体の連結構造を
示す断面図であり、(a)は嵌合前、(b)は嵌合後を
示す。
【図9】 接続部材に上方からの吊り下げを可能とする
突起を設けた多層パネル構造を示す斜視図である。
【図10】 パネル間の空気層に吸音材を配置した多層
パネル構造を示す斜視分解図である。
【図11】 パネルの外面側の板を拘束型制振板とした
多層パネル構造を示す斜視分解図である。
【図12】 板と連結部材の間に振動絶縁材を介在させ
たパネルの断面図である。
【図13】 パネルと接続部材の間に振動絶縁材を介在
させた多層パネル構造の断面図である。
【図14】 パネルと接続部材の間に振動絶縁材を介在
させた多層パネル構造の断面図である。
【図15】 2枚の板を異なった厚さに設定したパネル
の断面図である。
【図16】 連結部材に粘弾性体を張り付けたパネルの
断面図である。
【図17】 実施例の多層パネル構造の遮音特性を示す
図である。
【図18】 従来の間仕切りパネル構造の斜視図であ
る。
【符号の説明】
1 板 2 連結部材 3 パネル 4 接続部材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 荒金 秀生 東京都千代田区丸の内1丁目8番2号 株 式会社神戸製鋼所東京本社内 (72)発明者 岩井 健治 東京都千代田区丸の内1丁目8番2号 株 式会社神戸製鋼所東京本社内 (72)発明者 箕浦 忠行 東京都千代田区丸の内1丁目8番2号 株 式会社神戸製鋼所東京本社内 Fターム(参考) 2E001 DF02 DF04 FA07 HB01 MA04 2E162 BA02 CB02

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数枚の板を板厚方向に間隔を設けて配
    置し、連結部材を用いて当該板の周囲の少なくとも一部
    又は/及び面内の一部を連結することによりパネルを構
    成し、当該パネルを複数枚空気層を設けて併設し、当該
    パネルの周囲の少なくとも一部又は/及び面内の一部を
    接続部材を用いて接続して、複数のパネルを一体化した
    ことを特徴とする間仕切りパネル構造。
  2. 【請求項2】 前記パネルにおいて、前記連結部材の前
    記板の辺に沿った方向を回転軸とする回転バネ定数が、
    他のすべての方向の並進バネ、回転バネより低いことを
    特徴とする請求項1に記載された間仕切りパネル構造。
  3. 【請求項3】 前記間仕切りパネル構造において、前記
    接続部材の前記パネルの辺に沿った方向を回転軸とする
    回転バネ定数が、他のすべての方向の並進バネ、回転バ
    ネより低いことを特徴とする請求項1又は2に記載され
    た間仕切りパネル構造。
  4. 【請求項4】 前記接続部材の、前記パネルの辺に沿っ
    た方向を回転軸とする回転バネ定数が、同じ方向を回転
    軸とする連結部材の回転バネ定数よりも小さいことを特
    徴とする請求項2又は3に記載された間仕切りパネル構
    造。
  5. 【請求項5】 前記連結部材の、前記板の辺に沿った方
    向を回転軸とする回転バネ定数が、同じ方向を回転軸と
    する接続部材の回転バネ定数よりも小さいことを特徴と
    する請求項2又は3に記載された間仕切りパネル構造。
  6. 【請求項6】 上記パネル構造を構成する連結部材又は
    /及び接続部材が開断面をもつことを特徴とする請求項
    1〜5のいずれかに記載された間仕切りパネル構造。
  7. 【請求項7】 前記連結部材が前記板の周囲に沿った枠
    体状の連結部材であり、該連結部材の両面に板の周囲を
    連結して一体化したことを特徴とする請求項1〜6のい
    ずれかに記載された間仕切りパネル構造。
  8. 【請求項8】 前記接続部材が前記パネルの周囲に沿っ
    た枠体状の接続部材であり、該接続部材の両面にパネル
    の周囲を接続して一体化したことを特徴とする請求項1
    〜6のいずれかに記載された間仕切りパネル構造。
  9. 【請求項9】 前記パネルの少なくとも1つが複数枚の
    パネル片で構成され、各パネル片がそれぞれ前記パネル
    のように構成されていることを特徴とする請求項8に記
    載された間仕切りパネル構造。
  10. 【請求項10】 請求項1〜8のいずれかに記載された
    間仕切りパネル構造を複数枚面内方向に隣接させ、隣接
    する連結部材又は/及び接続部材を連結して大面積とし
    たことを特徴とする間仕切りパネル構造。
  11. 【請求項11】 上記連結部材又は/及び接続部材に、
    上方からの吊り下げが可能な部材を設けたことを特徴と
    する請求項1〜10のいずれかに記載された間仕切りパ
    ネル構造。
  12. 【請求項12】 上記パネル構造を構成する複数の空気
    層の少なくとも一つに、吸音材が配置されていることを
    特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載された間仕
    切りパネル構造。
  13. 【請求項13】 前記吸音材が連続気泡を有する粘弾性
    体からなる吸音材又は繊維状吸音材であり、これらの吸
    音材を空気層の両側の板の表面の一方又は双方に接触さ
    せたことを特徴とする請求項12に記載された間仕切り
    パネル構造。
  14. 【請求項14】 上記パネル構造を構成する複数枚の板
    の少なくとも一枚に拘束型制振板を用いるか、複数枚の
    板の少なくとも一枚について粘弾性体を片面に貼り付け
    たことを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載さ
    れた間仕切りパネル構造。
  15. 【請求項15】 上記パネル構造を構成する板と連結部
    材との間、及び/又はパネルと接続部材との間に振動絶
    縁材を介在させて結合したことを特徴とする請求項1〜
    14のいずれかに記載された間仕切りパネル構造。
  16. 【請求項16】 上記パネル構造を構成する複数枚の板
    のうち、いずれか隣接する2枚の板を異なった厚さに設
    定したことを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記
    載された間仕切りパネル構造。
  17. 【請求項17】 上記パネル構造を構成する連結部材又
    は/及び接続部材に拘束型制振板を用いるか、又は連結
    部材又は/及び接続部材に粘弾性体を貼り付けたことを
    特徴とする請求項1〜16のいずれかに記載された間仕
    切りパネル構造。
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