JP3422307B2 - 多層防音パネル及びその各層連結構造 - Google Patents

多層防音パネル及びその各層連結構造

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JP3422307B2 JP2000043572A JP2000043572A JP3422307B2 JP 3422307 B2 JP3422307 B2 JP 3422307B2 JP 2000043572 A JP2000043572 A JP 2000043572A JP 2000043572 A JP2000043572 A JP 2000043572A JP 3422307 B2 JP3422307 B2 JP 3422307B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、建物のリスニング
ルーム等に用いられる多層防音パネル及びその各層連結
構造に係り、更に詳しくは、低音域から高音域に亘って
安定した遮音性能を発揮する多層防音パネル及びその各
層連結構造に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、建物の間仕切り壁として、例
えば、図15(A)に示されるような構造が知られてい
る。図15(A)の構造は、一般的に、木造住宅等に適
用されるものであり、石膏ボード等からなる二枚のパネ
ル材P,Pの間に、それら双方の内面に接触する間柱S
を適宜介装した構造となっている。しかしながら、この
構造にあっては、各間柱Sが各パネル材P,P双方の内
面に接触し、一方のパネル材Pの振動が固体振動として
他方のパネル材Pにそのまま伝達されるため、遮音効果
はあまり期待できず、高い遮音性能が求められる建物の
リスニングルームの壁面等に適用することはできない。
【0003】そこで、建物のリスニングルーム等に用い
られる間仕切り壁として、例えば、図15(B)、
(C)に示されるように、同図(A)の構造よりも遮音
効果を高めた構造が知られている。すなわち、図15
(B)の構造は、石膏ボード等からなる二枚のパネル材
P,Pの間に千鳥状に配置された千鳥間柱Zが設けら
れ、これら千鳥間柱Zの間にロックウールRが介装され
るようになっている。また、図15(C)の構造は、石
膏ボード等からなる二層構造のパネル材P,Pの間に、
ロックウールRが介装されるとともに、各パネル材P,
Pの内面間が側面視Z形状の金具Fで連結されるように
なっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述し
た図15(B)の構造にあっては、一つの千鳥間柱Zが
各パネル材P,Pの一方の内面にのみ接触するようにな
っており、各パネル材P,P間の上下方向中央部では固
体接触が殆どないものの、各パネル材P,Pの上下両端
側は、図示しない天井及び床面によって連結されている
ことから、以下のような不都合を招来する。すなわち、
図16に示されるように、250Hz以下の低音域にお
いては、パネル材P,Pとそれらの間の空気層とが共振
する共鳴透過による透過損失の落ち込みをあまり軽減で
きずに、遮音性能が低下するという不都合がある。この
場合、パネル材P,Pの離間距離を1m以上とすれば、
共鳴透過の発生を抑制できるものの、間仕切り壁全体が
厚くなってデッドスペースが多くなり、室内空間を狭め
てしまうという別異の不都合を招来する。一方、2kH
z〜4kHzの高音域においては、各パネルP,Pの振
動の拘束による屈曲波が発生し、当該屈曲波の屈曲振動
と入射波の粗密振動の分布が一致することで透過損失が
落ち込む現象、すなわち、コインシデンス効果が発生す
る。そのため、高音領域における周波数の落ち込みが出
た場合に、聴覚上の不快感を与えるという不都合があ
る。
【0005】また、図15(C)の構造にあっては、各
パネル材P,P間の上下方向中央部に金具Fが連結され
ているが、当該金具Fの特性により、図16に示される
ように、低音域では図15(A),(B)の構造よりも
共鳴透過による透過損失の落ち込みを軽減できる。とこ
ろが、同(C)の構造も、各パネル材P,Pの上下両端
側が前記天井及び床面によって連結されているため、2
kHz〜4kHzの高音域では前述のコインシデンス効
果が依然発生し、同図(B)の構造よりも更に透過損失
が低下してしまうという不都合がある。
【0006】ところで、図15(B)、(C)の構造に
あっては、各パネルP,P等を建物の躯体等に固定する
構造であるため、建物のリスニングルームを既存の家屋
内に新設し、或いは、既存の家屋内に形成されたリスニ
ングルームを解体することが困難であるという不都合が
ある。しかも、リスニングルームの解体には、各パネル
材P等の材料の破壊も伴うため、一旦解体すると、その
材料でリスニングルームを移設することが困難となり、
当該移設の際には、新築の場合と同様に新たな材料が別
途必要となり、移設コストが増大するという不都合もあ
る。
【0007】
【発明の目的】本発明は、このような不都合に着目して
案出されたものであり、その第1の目的は、低音域での
共鳴透過及び高音域でのコインシデンス効果による遮音
性能の低下を防止し、低音域から高音域に亘って安定し
た遮音性能を得ることができる多層防音パネル及びその
各層連結構造を提供することにある。
【0008】また、本発明の第2の目的は、組立、解
体、移設を容易に行うことができる多層防音パネル及び
その各層連結構造を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明は、複数の遮音パネルを積層してなる多層防
音パネルであって、各遮音パネルは、それらの間に散点
的に配置された振動緩衝部材のみで連結され 前記多層
防音パネルは、一次遮音パネル、二次遮音パネル、及び
三次遮音パネルを含み、 前記振動緩衝部材は、前記一次
遮音パネルと二次遮音パネルとの間に配置される第1の
振動緩衝部材と、前記二次遮音パネルと三次遮音パネル
との間に配置される第2の振動緩衝部材とによって構成
され、 前記第1の振動緩衝部材は、各遮音パネルの上下
方向四箇所に略等間隔を隔てて配置される一方、前記第
2の振動緩衝部材は、上下各端部に沿う二箇所と、これ
らの間に位置する複数位置にそれぞれ配置され、上下二
箇所の第1の振動緩衝部材を除く中間の第1の振動緩衝
部材に対して上下方向にずれた位置に設けられるととも
に、これら第1及び第2の振動緩衝部材は、各遮音パネ
ルの左右方向にずれた位置に設けられる、という構成を
採っている。このような構成によれば、建物の天井や床
面によって各遮音パネルが連結されることなく、振動の
緩衝効果を十分発揮させることができる。つまり、前記
構成によって、音響インピーダンスの一成分である内部
損失を増大させ、低音域での共鳴透過による透過損失の
落ち込みを軽減できるとともに、各遮音パネルの拘束条
件が緩和され、高音域での屈曲波の発生を抑制し、コイ
ンシデンス効果による透過損失の落ち込みを抑制するこ
とができる。従って、低音域から高音域に亘って安定し
た遮音性能を得ることができる。また、各遮音パネルと
それらの間の空気層における振幅の位相をずらして、そ
れらの共振を防止することができ、低音域での共鳴透過
による透過損失の落ち込みを一層軽減することができ
る。 また、本発明は、複数の遮音パネルを積層してなる
多層防音パネルであって、 各遮音パネルは、それらの間
に散点的に配置された振動緩衝部材のみで連結され、
記振動緩衝部材は、静的圧縮弾性率が1×10 5 N/m 2
〜1×10 8 N/m 2 の範囲内となる弾性体によって構成
される、という構成も採用することができる。
【0010】また、本発明は、複数の遮音パネルを積層
してなる多層防音パネルの各層連結構造であって、各遮
音パネル同士は、面ファスナーの係合によって連結され
る、という構成を採用する。このような構成によれば、
一定の振動緩衝領域を確保した状態で、各遮音パネル同
士を連結することができ、前述のように、低音域から高
音域に亘って安定した遮音性能を得ることができる。ま
た、各遮音パネル同士の連結、或いは取り外しを簡単に
行うことができ、多層防音パネルの組立、解体を容易に
行うことができる他、各遮音パネルを破壊せずに解体す
ることも可能で、多層防音パネルの移設を簡単且つ低コ
ストにて行うことができる。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明における遮音パネルのうち
少なくとも一つは、枠体の表面に貼設された表面板と、
この表面板の内面側に部分的に固定された振動抑制部材
とを含んで構成され、この振動抑制部材は、低音域での
透過損失の落ち込みを補填可能に設けられる、という構
成を採ることが好ましい。このように構成することで、
コインシデンス効果による透過損失の落ち込みを阻止す
る目的で表面板の厚みを薄くしても、それに伴う低音域
での透過損失の落ち込みが振動抑制部材で補われ、低音
域から高音域まで一層安定した遮音性能を得ることがで
きる。
【0012】
【0013】
【0014】なお、本明細書において、「上下」、「左
右」等の位置的或いは方向的記載は、特に明示しない限
り、図1における多層防音パネルの表面を同図中手前側
から見た場合における位置或いは方向を意味するものと
して用いることとする。
【0015】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照しながら
説明する。
【0016】図1には、本実施例に係る多層防音パネル
を横一連に並べた状態の概略斜視図が示され、図2に
は、図1の分解斜視図が示されている。これらの図にお
いて、多層防音パネル10は、図1中奥行側に配置され
る一次遮音パネル12と、当該一次遮音パネル12の同
手前側に配置される二次遮音パネル13と、当該二次遮
音パネル13の同手前側に配置される三次遮音パネル1
4と、一次及び二次遮音パネル12,13の間に介装さ
れる第1のファスナーバー16と、二次及び三次遮音パ
ネル13,14の間に介装される第2のファスナーバー
17とを備えて構成されている。なお、特に限定される
ものではないが、本実施例にあっては、各遮音パネル1
2〜14の平面サイズは略同一となっている。
【0017】前記一次遮音パネル12は、本出願人によ
って既に提案されている構造(特願平11−55580
号)と実質的に同一の構造を採用している。すなわち、
一次遮音パネル12は、図3及びその横断面図である図
4に示されるように、第1及び第2の表面板19,20
と、これら各表面板19,20の相対面における外周部
分に沿って固定される枠体22と、これら第1及び第2
の表面板19,20及び枠体22で囲まれる空間の中央
部に配置され、枠体22の上下両端間に延びる中桟部2
4と、第1及び第2の表面板19,20の内面にそれぞ
れ部分的に固定される振動抑制部材としての第1及び第
2の補強板26,27と、これら中桟部24及び第1及
び第2の補強板26,27の間に設けられるグラスウー
ル29とを備えて構成されている。
【0018】前記第1及び第2の表面板19,20は、
例えば、中質繊維板(MDF)、パーティクルボード或
いは合板等からなる厚さ6mm以下、ヤング率が4×1
9N/m2以下の薄板材料によって形成されている。こ
のため、従来、2kHz〜4kHzの高音域において発
生していた透過損失の落ち込みを4kHz以上に上げる
ごとができ、2kHz〜4kHzの高音域でのコインシ
デンス効果による透過損失の急激な低下を効果的に防止
することができる。
【0019】前記中桟部24は、図4に詳細に示される
ように、同図中上側の第1の表面板19に固定される下
向き暗渠型の第1の中桟32と、この第1の中桟32と
非接触状態で同下側の第2の表面板20に固定される第
2の中桟33と、これら第1及び第2の中桟32,33
の間に介装される弾性部材34とを備えて構成されてい
る。このように、第1及び第2の中桟32,33同士を
直接接触させずに、弾性部材34を介在させたため、第
1及び第2の表面板19,20の中央部の固体振動伝搬
を抑制でき、固体伝播音の発生を防止することができ
る。
【0020】前記第1及び第2の補強板26,27は、
例えば、プラスターボード、パーティクルボード或いは
合板等からなる厚さ9mm〜18mmの短冊状に形成さ
れている。これら各補強板26,27は、図3中上下方
向に延びており、中桟部24を介して左右対称に設けら
れている。ここで、各補強板26,27は、それら交互
に非対面状態となる千鳥状に配置されているとともに、
枠体22に対して接触しない長さに設けられている。こ
のように、第1及び第2の補強板26,27が相互に非
接触で且つ枠体22に対して遊離するように千鳥配置さ
れているため、各表面板19,20の中央部の振動か拘
束されず、反発振動を抑制できるとともに、各表面板1
9,20の中央部の振動と枠体22との貼着部位となる
各表面板19,20の外周部の振動との位相がずれて共
振しにくくなり、各表面板19,20を薄くすることに
よる低音域での透過損失の落ち込みを補填することがで
きる。
【0021】前記二次遮音パネル13は、前記一次遮音
パネル13の技術を応用し、一次遮音パネル13のよう
に遮音性能の向上を図ったものである。すなわち、二次
遮音パネル13は、図5及びそのA−A線矢視断面図で
ある図6に示されるように、略方形状の表面板36と、
この表面板36の外周に沿って固定される枠体37と、
この枠体37の内側上下両端間に掛け渡される中桟39
と、これら枠体37と中桟39との間に複数配置される
とともに、左右方向に延びる振動抑制部材としての補強
部材41と、これら枠体37、中桟39及び補強部材4
1で囲まれる空間内に介装されるグラスウール43とを
備えて構成されている。
【0022】前記表面板36は、特に限定されるもので
はないが、例えば、石膏ボード等の準不燃材料によって
形成されている。また、枠体37は、例えば、パーティ
クルボードを加工した角材を縦横に組み合わせて形成さ
れたものであって、具体的に、図5中上下方向に延びる
縦桟45と、同左右方向に延びる横棧46とによって構
成されている。中桟39は、例えば、パーティクルボー
ドを加工した角材からなっており、左右方向略中央に配
置される。ここで、縦桟45,45及び中桟39の図5
中裏側の面には、それぞれ上下方向四箇所に略等間隔を
隔てて面ファスナー49が配置されている。
【0023】前記補強部材41は、上下三箇所に設けら
れ、中桟39を介して左右対称となるように配置されて
いる。具体的に、補強部材41は、図6に示されるよう
に、表面板36に固定される合板等の補強板51と、こ
の補強板51に積層されるとともに、当該補強板51よ
りも同図紙面直交方向に若干幅狭に設定されたグラスウ
ール52と、このグラスウール52に積層される合板等
の押板53とからなっており、全体として、縦桟45及
び中桟39の同図中上下方向高さよりも低く設定されて
いる。また、補強部材41は、縦桟45,45及び中桟
39に接触しないように、それらとの間に若干の隙間を
もって配置されている。
【0024】前記三次遮音パネル14も、前記一次遮音
パネル13の技術を応用し、一次遮音パネル13のよう
に遮音性能の向上を図ったものであるが、具体的には、
図7に示されるように、ロックウール等によって略方形
状に形成された表面板55と、この表面板55の同図中
裏面側に固定されるとともに、上下方向に延びる振動抑
制部材としての補強材56とを備えて構成されている。
この補強材56は、特に限定されるものではないが、合
板とMDFとを積層して短冊状に形成されたものであっ
て、左右方向五箇所に略等間隔を隔てて配置されてい
る。なお、左右方向略中央に位置する補強材56Aは、
他の位置の補強材56B〜56Eよりも左右方向が幅広
となっている。また、中央の補強材56A及び左右両端
部に位置する補強材56B,56Cの同図中裏側の面に
は、それぞれ上下方向五箇所に所定間隔を隔てて面ファ
スナー59が配置されている。
【0025】前記第1のファスナーバー16は、図8に
示されるように、合板等によって長片状に形成された基
材61と、この基材61の一方の面に略一定間隔を隔て
て複数突設されたライナー材62と、このライナー材6
2に積層されるとともに、二次遮音パネル13の面ファ
スナー49に係合する面ファスナー63とによって構成
されている。ここで、第1のファスナーバー16の材
質、形状は、一次遮音パネル12の振動モードに著しく
影響を与えない程度、換言すれば、一次遮音パネル12
の振動を拘束しない程度において適宜選択される。つま
り、そのような限りにおいて、基材61の材質や厚さ、
或いは面ファスナー63のピッチすなわちライナー材6
2の中央間の距離等が相対的に決定される。特に、基材
61の厚さを12mm以下とし、面ファスナー63のピ
ッチを440mm〜450mm程度にするとよい。ま
た、ライナー材62を突設させるのは、各遮音パネル1
2,13の間に空間を作り、この空間の空気層によっ
て、更に、防音効果を高めるためである。
【0026】前記第2のファスナーバー17は、図9に
示されるように、合板等によって長片状に形成された基
材66と、この基材66の一方の面に略一定間隔を隔て
て複数配置されるとともに、三次遮音パネル14に設け
られた面ファスナー59に係合する面ファスナー69と
によって構成されている。ここで、第2のファスナーバ
ー17にあっても、第1のファスナーバー16と同様
に、二次遮音パネル13の振動モードに著しく影響を与
えない程度の材質、形状に設けられる。なお、特に限定
されるものではないが、本実施例においては、基材66
の厚さが3mmに設定されるとともに、面ファスナー6
9の中央部間の距離(ピッチ)が445mmに設定され
ている。
【0027】なお、第1及び第2のファスナーバー1
6,17の介装については、前述に限らず、当該各ファ
スナーバー16,17を入れ替えて配置してもよいし、
また、多層防音パネル10の全体の厚み(壁厚)が大き
くならないような高さの範囲内で、第1のファスナーバ
ー16を第2のファスナーバー17の代わりに使用して
もよい。
【0028】以上において説明した各面ファスナー4
9,59,63,69は、それぞれ略同一形状となる公
知の製品が用いられ、図10(A)の状態から、対応す
る面ファスナー同士を押し付けることによって、同図
(B)に示されるように、きのこ状の突起71の先端同
士が、同図中上下方向に若干の相対移動を許容しながら
係合する。これによって、一方の面ファスナー63,6
9側の振動が吸収され、他方の面ファスナー49,59
側への振動伝達ロスを発生させることができる。なお、
各面ファスナー49等は、前述のものに限らず、パイル
布及びフック布からなる一対の公知の面ファスナー等、
実質的に同様の作用を奏する限りにおいて、種々のもの
を採用することができる。ここで、面ファスナー49,
63によって第1の振動衝撃部材が構成される一方、面
ファスナー59,69によって第2の振動衝撃部材が構
成される。
【0029】以上によって構成された多層防音パネル1
0の施工方法について、図1、図2、及び図11〜図1
4を用いて以下に説明する。なお、図11は、図1の横
断面図を示し、図12は、その部分拡大図を示してい
る。また、図13は、図1の縦断面図を示し、図14
は、その部分拡大図を示している。
【0030】先ず、一次遮音パネル12を、第2の表面
板20が図2中手前側に位置するように所定の位置に並
べ、同図に示されるように、その第2の表面板20の外
面に第1のファスナーバー16を固定する。ここで、こ
れら第1のファスナーバー16と第2の表面板20と
は、接合手段としてのビス73で分散接合される。つま
り、ビス73は、面ファスナー63の両端側に略70m
m以上の間隔Dをもって取り付けられ、第1のファスナ
ーバー16は第2の表面板20に接着されない。また、
第1のファスナーバー16は、二次遮音パネル13が配
置されたときに、第1のファスナーバー16の面ファス
ナー63と二次遮音パネル13側の面ファスナー49が
係合可能となるように、一次遮音パネル12の上下両端
部及びそれらの間二箇所に略等間隔で取り付けられる。
【0031】次いで、一次遮音パネル12に取り付けら
れた第1のファスナーバー16に、二次遮音パネル13
を押し付ける。すなわち、二次遮音パネル13を、その
表面板36側が図2中手前側となる向きで、第1のファ
スナーバー16側に向かって移動させ、それら各面ファ
スナー49,63同士を押し付けて、一次遮音パネル1
2側に連結する。その後、前記表面板36の外面側に第
2のファスナーバー17を固定する。この際、第2のフ
ァスナーバー17も、前記ビス73で面ファスナー69
の両端側に略70mm以上の間隔Dをもって表面板36
に分散接合され、二次遮音パネル13に接着しない。ま
た、第2のファスナーバー17は、三次遮音パネル14
が配置されたときに、第2のファスナーバー17の面フ
ァスナー69と三次遮音パネル14側の面ファスナー5
9が係合可能となるように、二次遮音パネル13の上下
両端部及びそれらの間三箇所に取り付けられる。そし
て、二次遮音パネル13に取り付けられた第2のファス
ナーバー17に、三次遮音パネル14を押し付ける。こ
こで、三次遮音パネル14を、その表面板55側が図2
中手前側となる向きで、第2のファスナーバー17側に
向かって移動させ、それら各面ファスナー59,69同
士を押し付けることで、二次遮音パネル13側に連結す
る。なお、各遮音パネル12〜14間において、各ファ
スナーバー16,17が介装されていない部分は、遮音
効果を高めるための空気層となる。
【0032】このようにして取り付けられた多層防音パ
ネル10は、図12に示されるように、一次及び二次遮
音パネル12,13間で係合する面ファスナー49,6
3と、二次及び三次遮音パネル13,14間で係合する
面ファスナー59,69とが、左右方向に位置ずれL1
を発生させるようになっている。また、図13,14に
示されるように、各遮音パネル12〜14の上下両端部
を除く中間に配置される前記面ファスナー49,63と
面ファスナー59,69とが、それらの上下方向に少な
くとも略150mm以上の位置ずれL2を発生させるよ
うになっている。
【0033】図16には、前記実施例における多層防音
パネル10の遮音性能を確認するための実験結果が示さ
れているが、この図に示されるように、本発明の多層防
音パネルは、前述した図15(A)〜(C)の従来構造
に比べて、低音域での透過損失の落ち込みを軽減できる
とともに、高音域でのコインシデンス効果による遮音性
能低下を阻止することができ、低音域から高音域に亘っ
て安定した遮音性能を発揮できることが明らかに理解さ
れるであろう。
【0034】また、前記実施例によれば、多層防音パネ
ル10の形成は、第1及び第2のファスナーバー16,
17を介して各遮音パネル12〜14を連結することに
よって行われるため、多層防音パネル10の組立、解
体、移設を容易に行うことができるという効果を得る。
つまり、一例として、一次遮音パネル12を箱型に組み
立てて、そこに第1及び第2のファスナーバー16,1
7を介して二次及び三次遮音パネル13,14を積層す
ることにより、既存の建物の躯体等に依存しないで当該
建物から構造的に独立したリスニングルームを室内に簡
単に形成することができるばかりか、その解体も建物の
躯体と関係なく簡単に行え、ひいては、その移設も簡単
に行えることになる。
【0035】更に、各遮音パネル12〜14の間の空気
層を薄くしても、共鳴透過の発生が抑制されるため、多
層防音パネル10全体の厚みを薄くでき、それが設置さ
れる室内のデッドスペースを最小限に抑えて、その有効
面積を増大させることができる。
【0036】なお、本発明における各遮音パネルとして
は、前記実施例の構造に限らず、所定の遮音効果を有す
る遮音パネルであれば何でも良い
【0037】また、前記実施例では、前記第1及び第2
の振動衝撃部材として、面ファスナー49,59,6
3,69を採用した場合を図示説明したが、本発明はこ
れに限らず、前記第1及び第2の振動衝撃部材として、
静的圧縮弾性率が1×105N/m2〜1×108N/m2
の範囲内となる弾性体を採用し、それらによって各遮音
パネル12〜14を連結してもよい。この弾性体の形状
は、特に限定されるものではないが、各遮音パネル12
〜14との接触部分が少ない程、より高い遮音性能が得
られる。
【0038】更に、前記実施例では、三層の遮音パネル
からなる多層防音パネル10としたが、本発明はこれに
限定されず、二層構造或いは更に多層構造の防音パネル
に適用することもできる。
【0039】また、本発明における部材各部の構成は図
示構成例に限定されるものではなく、実質的に同様の作
用を奏する限りにおいて、種々の変更が可能である。
【0040】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
各遮音パネルの間を、散点的に配置された振動緩衝部材
で連結したから、低音域での共鳴透過による透過損失の
落ち込みを軽減できるとともに、コインシデンス効果に
よる透過損失の落ち込みを抑制することができ、低音域
から高音域に亘って安定した遮音性能を得ることができ
る。
【0041】また、前記遮音パネルのうち少なくとも一
つを、枠体の表面に貼設された表面板と、この表面板の
内面側に部分的に固定され、低音域での透過損失の落ち
込みを補填可能な振動抑制部材を含んで構成したから、
表面板の厚みを薄くしても、それに伴う低音域での透過
損失の落ち込みを補うことができ、低音域から高音域ま
で一層安定した遮音性能を得ることができる。
【0042】更に、一次遮音パネルと二次遮音パネルと
の間に配置される第1の振動緩衝部材を、各遮音パネル
の上下方向四箇所に略等間隔を隔てて配置する一方、二
次遮音パネルと三次遮音パネルとの間に配置される第2
の振動緩衝部材を、上下各端部に沿う二箇所と、これら
の間に位置する複数位置にそれぞれ配置し、上下二箇所
の第1の振動緩衝部材を除く中間の第1の振動緩衝部材
に対して上下方向にずれた位置に設けるとともに、これ
ら第1及び第2の振動緩衝部材を、各遮音パネルの左右
方向にずれた位置に設けたから、低音域での共鳴透過に
よる透過損失の落ち込みを一層軽減することができる。
【0043】また、各遮音パネル同士を、面ファスナー
の係合によって連結したから、一定の振動緩衝領域を確
保した状態で、各遮音パネル同士を連結することがで
き、低音域から高音域に亘って安定した遮音性能を得る
ことができるとともに、多層防音パネルの組立、解体、
移設をも容易に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施例に係る多層防音パネルを横一連に並
べた状態の概略斜視図。
【図2】 図1の分解斜視図。
【図3】 一次遮音パネルを部分的に切り欠いた状態の
概略斜視図。
【図4】 図3の横断面図。
【図5】 二次遮音パネルを部分的に切り欠いた状態の
概略斜視図。
【図6】 図5のA−A線矢視断面図。
【図7】 三次遮音パネルを部分的に切り欠いた状態の
概略斜視図。
【図8】 第1のファスナーバーの概略斜視図。
【図9】 第2のファスナーバーの概略斜視図。
【図10】 (A),(B)は、面ファスナー同士の係
合手順を説明する模式図。
【図11】 図1の横断面図。
【図12】 図11の部分拡大図。
【図13】 図1の縦断面図。
【図14】 図13の部分拡大図。
【図15】 (A)〜(C)は、従来の間仕切り壁の構
造を模式的に示す縦断面図。
【図16】 前記実施例に係る多層防音パネルの遮音性
能を従来の間仕切り壁の構造と比較しながら確認するた
めの実験結果を示す図。
【符号の説明】
10・・・多層防音パネル、12・・・一次遮音パネ
ル、13・・・二次遮音パネル、14・・・三次遮音パ
ネル、19・・・第1の表面板、20・・・第2の表面
板、26・・・第1の補強板(振動抑制部材)、27・
・・第2の補強板(振動抑制部材)、36・・・表面
板、41・・・補強部材(振動抑制部材)、49・・・
面ファスナー、55・・・表面板、56・・・補強材
(振動抑制部材)、59・・・面ファスナー、63・・
・面ファスナー、69・・・面ファスナー、73・・・
ビス(接合手段)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の遮音パネルを積層してなる多層防
    音パネルであって、 各遮音パネルは、それらの間に散点的に配置された振動
    緩衝部材のみで連結され 前記多層防音パネルは、一次遮音パネル、二次遮音パネ
    ル、及び三次遮音パネルを含み、 前記振動緩衝部材は、前記一次遮音パネルと二次遮音パ
    ネルとの間に配置される第1の振動緩衝部材と、前記二
    次遮音パネルと三次遮音パネルとの間に配置される第2
    の振動緩衝部材とによって構成され、 前記第1の振動緩衝部材は、各遮音パネルの上下方向四
    箇所に略等間隔を隔てて配置される一方、前記第2の振
    動緩衝部材は、上下各端部に沿う二箇所と、これらの間
    に位置する複数位置にそれぞれ配置され、上下二箇所の
    第1の振動緩衝部材を除く中間の第1の振動緩衝部材に
    対して上下方向にずれた位置に設けられるとともに、こ
    れら第1及び第2の振動緩衝部材は、各遮音パネルの左
    右方向にずれた位置に設けられている ことを特徴とする
    多層防音パネル。
  2. 【請求項2】 複数の遮音パネルを積層してなる多層防
    音パネルであって、 各遮音パネルは、それらの間に散点的に配置された振動
    緩衝部材のみで連結され、 前記振動緩衝部材は、相互に押し付けることで係合可能
    な一対の面ファスナーによって構成され、当該一対の面
    ファスナーは、各遮音パネル間の相対移動を許容可能に
    係合している ことを特徴とする多層防音パネル。
  3. 【請求項3】 複数の遮音パネルを積層してなる多層防
    音パネルであって、 各遮音パネルは、それらの間に散点的に配置された振動
    緩衝部材のみで連結され、 前記振動緩衝部材は、静的圧縮弾性率が1×10 5 N/
    2 〜1×10 8 N/m 2 の範囲内となる弾性体によって
    構成されている ことを特徴とする多層防音パネル。
  4. 【請求項4】 前記遮音パネルのうち少なくとも一つ
    は、枠体の表面に貼設された表面板と、この表面板の内
    面側に部分的に固定された振動抑制部材とを含 んで構成
    され、この振動抑制部材は、低音域での透過損失の落ち
    込みを補填可能に設けられていることを特徴とする請求
    項1、2又は3記載の多層防音パネル。
  5. 【請求項5】 複数の遮音パネルを積層してなる多層防
    音パネルの各層連結構造であって、 各遮音パネル同士は、面ファスナーの係合によって連結
    されることを特徴とする多層防音パネルの各層連結構
    造。
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