JP2024064658A - 遮音パネル及び遮音壁用ユニット - Google Patents

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隆志 木村
Takashi Kimura
誠斗 堀
Makoto Hori
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Abstract

【課題】遮音性に優れた遮音パネルを提供する。【解決手段】複数のセルが内部に並設された中空板材10と、中空板材10の主面10aに沿って配置された遮音板20と、中空板材10の側面10c及び遮音板20の側面20cを支持する長尺状のフレーム40とを備えた遮音パネル1であって、中空板材10の一方の主面10aには、セルの内外を連通する連通孔が複数形成され、遮音板20は、連通孔が形成された主面10aとの間に空間を介して対向配置されている。【選択図】図5

Description

新規性喪失の例外適用申請有り
本発明は、遮音パネル及び遮音壁用ユニットに関する。
騒音源の周囲に設置して、不快な騒音が外部へ漏れることを抑制するための吸音パネルが知られている。吸音パネルとしては、例えば、ロックウールやグラスウール等の繊維板材からなるものや、内部にハニカム構造が形成された中空構造を有する樹脂板材からなるものが知られている。
特許文献1には、内部に複数のセルが区画されたハニカム構造をなす板状のコア層と、コア層の一対の主面のそれぞれに接合されたスキン層とを有する樹脂板材からなる吸音構造体に係る発明が記載されている。一方の主面に接合されたスキン層には、セルの内外を連通するように複数の連通孔が設けられている。連通孔は、セルの内部空間にその開口縁が位置するような形状に形成されている。これにより、連通孔を介してセルの内部空間に入った音圧が効果的に低減される。
特開2017-65026号公報
ところで、不快な騒音の漏れを抑制するためには、遮音性を向上させることも重要である。そのため、遮音性に優れた遮音パネルが求められている。
上記の課題を解決するため、本発明の遮音パネルは、複数のセルが内部に並設された中空板材と、前記中空板材の主面に沿って配置された遮音板と、前記中空板材の側面及び前記遮音板の側面を支持する長尺状のフレームとを備えている。前記中空板材の一方の主面には、前記セルの内外を連通する連通孔が複数形成され、前記遮音板は、前記連通孔が形成された主面との間に空間を介して対向配置されている。
上記の構成によれば、遮音板により遮音性が向上する。また、遮音板が中空板材との間に空間を介して対向配置されていることで、遮音板と中空板材との二重壁構造となる。これにより、遮音板が板振し易くなって遮音性がより向上する。
上記の構成において、前記遮音板は、表面保護板と、前記表面保護板より前記中空板材側で前記表面保護板の主面を覆うように配置された遮音シートとの積層体として構成されており、前記遮音シートは、前記表面保護板より剛性が低い材質であるとともに、前記表面保護板の主面の少なくとも一部に接合していることが好ましい。
上記の構成によれば、遮音板は、相対的に剛性が低い遮音シートと、相対的に剛性が高い表面保護板とで構成されている。つまり、遮音板の一部がより柔軟性のある遮音シートに置換された状態となっている。そのため、表面保護板のみで形成された遮音板に比べて撓み易くなる。また、遮音シートは、少なくとも一部で表面保護板に接合されているため、遮音シートと表面保護板との間での共鳴の影響が抑制される。遮音性に優れた遮音パネルが得られる。
上記の構成において、前記フレームは、前記中空板材の主面及び前記遮音板の主面のそれぞれを支持する一対の側壁と、一対の前記側壁を連結するとともに前記中空板材及び前記遮音板の側面に沿って延びる連結壁とを備え、前記フレームは、前記連結壁の外側面に長手方向に延びる凸条が形成された第1フレームと、前記連結壁の外側面に長手方向に延びる凹条が形成された第2フレームとを備えていることが好ましい。
上記の構成によれば、一対の遮音パネルを連結する際、一方の遮音パネルに設けられた第1フレームと、他方の遮音パネルに設けられた第2フレームとを凹凸の関係で係合することができる。また、一対の遮音パネルの位置合わせがし易い。これにより、第1フレームが設けられた遮音パネルと、第2フレームが設けられた遮音パネルとの連結作業が容易であり、連結状態が安定する。
また、凸条が凹条に係合されると、凸条が形成された連結壁の外側面と、凹条が形成された連結壁の外側面との間の隙間に凸条が位置することになる。これにより、一対の遮音パネルの間の隙間が外部から見え難くなり、連結した遮音パネルの外観形状が良好となる。
上記の構成において、前記連結壁は、長手方向に延びる第1中空部が形成された二重壁構造をなし、前記側壁は、長手方向に延びる第2中空部が形成された二重壁構造をなしていることが好ましい。
上記の構成によれば、フレームの剛性が向上する。
本発明の遮音壁用ユニットは、上記の遮音パネルと、一対の前記遮音パネル同士を連結する連結部材とを備えている。
上記の構成によれば、遮音パネルを連結部材によって連結すれば適宜の大きさの遮音壁を組み立てることができる。
本発明によれば、遮音性に優れた遮音パネル及び遮音壁が得られる。
本実施形態の遮音壁の斜視図である。 遮音パネルの斜視図である。 (a)は中空板材の斜視図、(b)は(a)におけるβ-β線断面図、(c)は(a)におけるγ-γ線断面図である。 (a)は中空板材のコア層を構成するシート材の斜視図、(b)は同シート材の折り畳み途中の状態を示す斜視図、(c)は同シート材を折り畳んだ状態を示す斜視図、(d)は中空板材の連通孔の形成態様を示す断面図である。 図2の5-5線断面図である。 第1フレームの斜視図である。 第2フレームの斜視図である。 第3フレームの斜視図である。 図1の9-9線断面図である。 連結部材の斜視図である。 図1の11-11線断面図である。 (a)~(c)は、遮音パネルの遮音性の検証試験について説明する図である。 遮音パネルの遮音性の検証結果について説明する図である。 変更例の遮音パネルの部分断面図である。 変更例のフレームの部分断面図である。
以下、本発明を具体化した遮音パネル1及び遮音壁用ユニットの一実施形態について説明する。
図1及び図2に示すように、本実施形態の遮音壁は、例えば、屋外で騒音源を囲繞して、騒音が外部に漏れるのを抑制するために設置される。遮音壁は、複数枚の遮音パネル1が上下左右に連設されて形成されている。
<遮音パネル1について>
図2及び図5に示すように、遮音パネル1は、四角板状の中空板材10と、四角板状の遮音板20と、中空板材10及び遮音板20の側面を支持するフレーム30を備えている。中空板材10及び遮音板20は同じ大きさに形成されている。本実施形態の中空板材10及び遮音板20は、それぞれ約1000mm×2000mmの大きさである。また、中空板材10の厚みは約30mmであり、遮音板20の厚みは約4.4mmである。
図1及び図2に示すように、遮音パネル1は、上下に長辺が位置するような態様で、起立状態で使用する。また、遮音壁としては、上下に長辺が位置するような態様で、複数枚の遮音パネル1が上下左右に連設させて使用する。
<中空板材10について>
中空板材10の構造及び製造方法について、図3及び図4に従って説明する。図3及び図4の説明では、便宜上、後述する連通孔17が形成された主面10a側を中空板材10の上側、連通孔17が形成されていない主面10b側を中空板材10の下側として説明する。
図3(a)に示すように、中空板材10は、内部に複数のセルSが並設されたコア層11と、コア層11の厚み方向両面に接合されたシート状のスキン層15、16とで構成されている。図3(b)及び図3(c)に示すように、コア層11は、所定形状に成形された1枚の熱可塑性樹脂製のシート材を折り畳んで形成されている。コア層11は、上壁部12と、下壁部13と、上壁部12及び下壁部13の間に立設されてセルSを六角柱形状に区画する側壁部14とで構成されている。
図3(b)及び(c)に示すように、コア層11の内部に区画形成されるセルSには、構成の異なる第1セルS1及び第2セルS2が存在する。図3(b)に示すように、第1セルS1においては、側壁部14の上部に2層構造の上壁部12が設けられている。この2層構造の上壁部12の各層は互いに接合されている。また、第1セルS1においては、側壁部14の下部に1層構造の下壁部13が設けられている。一方、図3(c)に示すように、第2セルS2においては、側壁部14の上部に1層構造の上壁部12が設けられている。また、第2セルS2においては、側壁部14の下部に2層構造の下壁部13が設けられている。この2層構造の下壁部13の各層は互いに接合されている。また、図3(b)及び(c)に示すように、隣接する第1セルS1同士の間、及び隣接する第2セルS2同士の間は、それぞれ2層構造の側壁部14によって区画されている。
図3(a)に示すように、第1セルS1はX方向に沿って列を成すように並設されていて、上面視した場合に、隣り合う2つの第1セルS1が六角形の1辺を共有している。同様に、第2セルS2はX方向に沿って列を成すように並設されていて、上面視した場合に、隣り合う2つの第2セルS2が六角形の1辺を共有している。第1セルS1の列及び第2セルS2の列は、X方向に直交するY方向において交互に配列されている。そして、これら第1セルS1及び第2セルS2により、コア層11は、全体としてハニカム構造をなしている。なお、図3(a)では、2層構造の上壁部12、下壁部13の構成を省略して示している。
図3(a)~(c)に示すように、上記のように構成されたコア層11の上面には熱可塑性樹脂製のシート材であるスキン層15が接合されている。また、コア層11の下面には、熱可塑性樹脂製のシート材であるスキン層16が接合されている。この実施形態では、コア層11における側壁部14の上部が、コア層11の上壁部12及びスキン層15で閉塞されている。同様に、コア層11における側壁部14の下部が、コア層11の下壁部13及びスキン層16で閉塞されている。
図3(b)及び(c)に示すように、中空板材10の主面10aには、セルSの内外を連通させる連通孔17が設けられている。具体的には、図3(b)に示すように、第1セルS1において連通孔17は、上面側のスキン層15及び2層構造の上壁部12を貫通している。また、図3(c)に示すように、第2セルS2において連通孔17は、上面側のスキン層15及び1層構造の上壁部12を貫通している。
図3(a)に示すように、連通孔17は、1つのセルSに対して1箇所ずつ設けられている。この実施形態では、連通孔17は、中空板材10を上面視した場合に、各セルSの六角形状の中央に位置している。図3(b)及び(c)に示すように、各連通孔17の開口の直径は、セルSを上面視した場合の六角形の一辺の長さ以下に設定されている。具体的には、各連通孔17の開口の直径は、X方向に隣り合うセルSの中心同士の間隔P1の数分の1(例えば、0.5~3.0mm程度)に設定されている。また、連通孔17の開口縁17aは、セルSの内部空間に位置している。
次に、中空板材10の製造方法について図4に従って説明する。
図4(a)に示すように、中空板材10は、第1シート材100を折り畳むことにより形成される。第1シート材100は、1枚の熱可塑性樹脂製のシートを所定の形状に成形して形成されたものである。第1シート材100には、帯状をなす平面領域110及び膨出領域120が、第1シート材100の長手方向(X方向)に交互に配置されている。膨出領域120には、上面と一対の側面とからなる断面下向溝状をなす第1膨出部121が膨出領域120の延びる方向(Y方向)の全体に亘って形成されている。なお、第1膨出部121の上面と側面とのなす角は90度であることが好ましく、その結果として、第1膨出部121の断面形状は下向コ字状となる。また、第1膨出部121の幅(上面の短手方向の長さ)は平面領域110の幅と等しく、かつ第1膨出部121の膨出高さ(側面の短手方向の長さ)の2倍の長さとなるように設定されている。
また、膨出領域120には、その断面形状が正六角形を最も長い対角線で二分して得られる台形状をなす複数の第2膨出部122が、第1膨出部121に直交するように形成されている。第2膨出部122の膨出高さは第1膨出部121の膨出高さと等しくなるように設定されている。また、隣り合う第2膨出部122間の間隔は、第2膨出部122の上面の幅と等しくなっている。
なお、こうした第1膨出部121及び第2膨出部122は、シートの塑性を利用してシートを部分的に上方に膨出させることにより形成されている。また、第1シート材100は、真空成形法や圧縮成形法等の周知の成形方法によって1枚のシートから成形することができる。
図4(a)及び(b)に示すように、上述のように構成された第1シート材100を、境界線P、Qに沿って折り畳むことでコア層11が形成される。具体的には、第1シート材100を、平面領域110と膨出領域120との境界線Pにて谷折りするとともに、第1膨出部121の上面と側面との境界線Qにて山折りしてX方向に圧縮する。そして、図4(b)及び(c)に示すように、第1膨出部121の上面と側面とが折り重なるとともに、第2膨出部122の端面と平面領域110とが折り重なることによって、一つの膨出領域120に対して一つのY方向に延びる角柱状の区画体130が形成される。こうした区画体130がX方向に連続して形成されていくことにより中空板状のコア層11が形成される。なお、この実施形態では、第1シート材100を折り畳むために圧縮する方向が、セルSが並設される方向(X方向)である。
上記のように第1シート材100を圧縮するとき、第1膨出部121の上面と側面とによってコア層11の上壁部12が形成されるとともに、第2膨出部122の端面と平面領域110とによってコア層11の下壁部13が形成される。なお、図4(c)に示すように、上壁部12における第1膨出部121の上面と側面とが折り重なって2層構造を形成する部分、及び下壁部13における第2膨出部122の端面と平面領域110とが折り重なって2層構造を形成する部分がそれぞれ重ね合わせ部131となる。
また、第2膨出部122が折り畳まれて区画形成される六角柱形状の領域が第2セルS2となるとともに、隣り合う一対の区画体130間に区画形成される六角柱形状の領域が第1セルS1となる。本実施形態では、第2膨出部122の上面及び側面が第2セルS2の側壁部14を構成するとともに、第2膨出部122の側面と、膨出領域120における第2膨出部122間に位置する平面部分とが第1セルS1の側壁部14を構成する。そして、第2膨出部122の上面同士の当接部位、及び膨出領域120における上記平面部分同士の当接部位が2層構造をなす側壁部14となる。また、第1セルS1では、一対の重ね合わせ部131によってその上部が区画され、第2セルS2では、一対の重ね合わせ部131によってその下部が区画されている。なお、こうした折り畳み工程を実施するに際して、第1シート材100を加熱処理して軟化させた状態としておくことが好ましい。
このようにして得られたコア層11の上面及び下面には、それぞれ熱可塑性樹脂製の第2シート材が熱溶着により接合される。コア層11の上面に接合された第2シート材はスキン層15となり、コア層11の上壁部12と共にセルSを上側から閉塞する。コア層11の下面に接合された第2シート材は、スキン層16となり、コア層11の下壁部13と共にセルSを下側から閉塞する。
なお、第2シート材(スキン層15、16)をコア層11に熱溶着する際には、第1セルS1における2層構造の上壁部12(重ね合せ部131)が互いに熱溶着される。同様に、第2セルS2における2層構造の下壁部13(重ね合せ部131)が互いに熱溶着される。
上記各工程により、X方向に第1セルS1又は第2セルS2がそれぞれ列を成すように多数並設され、Y方向に第1セルS1及び第2セルS2が交互に多数並設された中空板材10が得られる。
その後、中空板材10のスキン層15及びコア層11の上壁部12に多数の連通孔17を形成する。連通孔17は、ドリル、針、パンチ等の貫通治具Tを、中空板材10の主面10a側から貫通させることにより形成される。図4(d)に示すように、貫通治具Tは、隣り合うセルSの中心同士の各間隔と略同一の間隔で複数配列された構成となっている。複数の貫通治具Tの下方側に中空板材10を配置して固定し、貫通治具Tを下降移動させる。このようにして、中空板材10の主面10aには、各セルSの略中央部分に各1箇所ずつの連通孔17が形成される。以上の工程を経て、複数の連通孔17が形成された中空板材10が製造される。
本実施形態の遮音パネル1の中空板材10は、このようにして製造された中空板材10を約1000mm×2000mmの大きさに切り出して使用する。中空板材10は、内部に複数のセルSが並設されたハニカム構造体として形成されているため、適度な剛性を備えている。中空板材10の剛性は、後に説明する遮音板20、表面保護板21の剛性より高いことが好ましい。
<遮音板20について>
図5に示すように、本実施形態の遮音板20は、表面保護板21と遮音シート22との積層体として構成されている。遮音板20は、遮音シート22側の主面20bが、中空板材10の主面10aと対向するように配置されている。つまり、遮音板20は、中空板材10における連通孔17が形成された主面10aと対向配置されている。なお、図5では、中空板材10の内部構造、連通孔17の図示を略している。
遮音板20は、中空板材10との間に距離Aの空間を介して対向配置されている。距離Aは、0より大きく、好ましくは5mm以下であり、本実施形態では約3.8mmとされている。遮音板20の厚みBは、0,3mm~10mmであることが好ましく、0.4mm~8mmであることがより好ましく、0.5mm~6mmであることがさらに好ましい。本実施形態では、遮音板20の厚みBは約4.4mmとされている。
距離Aを有する空間の存在により、遮音板20と中空板材10とが二重壁構造をなして、騒音源からの騒音発生時に遮音板20が板振し易くなる。距離Aは、A<Bであることが好ましい。A<Bであると、遮音性を良好にしつつ、遮音パネル1の厚みを薄くすることができる。
遮音板20は、中空板材10との質量比が同等であることが好ましい。同等であると、遮音性が良好となる。
表面保護板21は、遮音パネル1に耐候性、耐薬品性を付与したり、中空板材10を保護して傷付きを抑制したりするために設けられている。例えば、遮音パネル1を、屋外に配置すると、直射日光や降雨の影響によって、遮音シート22や中空板材10の耐久性が低下する場合がある。この場合、表面保護板21が存在することによって耐候性が低下することが抑制される。また、遮音パネル1を、表面保護板21側を騒音源に向けて、騒音源を囲繞するように配置すると、遮音パネル1には、騒音源方向からの風圧によって中空板材10に過度の力が作用する場合がある。この場合、表面保護板21が存在することによって剛性が付与されて変形が抑制され、耐久性が低下することが抑制される。
表面保護板21の材料は特に限定されないが、例えば、樹脂と金属薄板との複合材料で構成された金属複合板が挙げられる。金属複合板としては、樹脂をアルミニウム面材でサンドした構造、木材をアルミニウム面材でサンドした構造等が挙げられる。樹脂としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレンや、軟質ウレタンフォーム、発泡ポリエチレン等の発泡樹脂材料等が挙げられる。本実施形態の表面保護板21は、発泡ポリエチレンを芯材として、その両面をアルミニウム面材でサンドした構造である。これにより、軽量性と高剛性とを兼ね備えている。
表面保護板21の厚みは、0,3mm~5mmであることが好ましく、0.4mm~4mmであることがより好ましく、0.5mm~3mmであることがさらに好ましい。本実施形態の表面保護板21の厚みは、約3mmである。
遮音シート22は、表面保護板21とほぼ同じ大きさを有しており、表面保護板21の表面保護板21の主面の全体を覆うように配置されている。
遮音シート22は、遮音板20に柔軟性を付与するために設けられている。また、本実施形態の遮音シート22は、遮音板20全体の質量を確保するための機能も有している。そのため、本実施形態の遮音シート22は、表面保護板21より重量が重く、剛性が低い材質で形成されている。その材料としては、樹脂、ゴム、金属板等が挙げられる。本実施形態の遮音シート22は、ポリ塩化ビニル樹脂製のシート材であり、単位面積当たりの質量、すなわちその単位面積当たりの重量(面密度)は、約3.8kg/mである。
本実施形態の遮音シート22の厚みは、約1.4mmである。遮音シート22の厚みは、遮音板20と中空板材10との間の距離Aの1/2以下であることが好ましい。つまり、距離Aは、遮音シート22の厚みの2倍以上であることが好ましい。距離Aがこの数値範囲であると、表面保護板21に比べて撓み易い遮音シート22により、対向する中空板材10の連通孔17が塞がれた状態となることが抑制される。
遮音板20では、表面保護板21に対して、遮音シート22がその一部で接着剤により接合されている。接合箇所は特に限定されないが、例えば、図2に二点鎖線で示すような態様が挙げられる。この例では、表面保護板21の4辺近傍の側部の4箇所と、表面保護板21の短手方向及び長手方向の中間位置で側辺に沿って延びる2箇所で、いわゆる「田の字状」に接合されている。
<フレーム30について>
図5~図8に基づいてフレーム30について説明する。
図5に示すように、フレーム30は、長尺状に形成されて、中空板材10の側面10c及び遮音板20の側面20cを支持する。フレーム30の材質としては、剛性及び耐候性を確保する観点から金属製であることが好ましい。
図2に示すように、本実施形態のフレーム30は、形状の異なる3種類で構成されている。フレーム30は、遮音パネル1の使用時における上辺に取り付けられている第1フレーム40と、下辺に取り付けられている第2フレーム50と、左辺及び右辺に取り付けられている第3フレーム60を備えている。
図5及び図6に示すように、第1フレーム40は、長手方向に延びる一対の側壁41、42と、連結壁43とを備えている。側壁41は、中空板材10の主面10bを支持する。側壁42は、遮音板20の主面20aを支持する。連結壁43は、側壁41、42を連結するとともに中空板材10の側面10c及び遮音板20の側面20cに沿って延びて、両側面10c、20cを支持する。側壁41、42と連結壁43は、互いに直交するように延びている。
連結壁43は、外壁43a及び内壁43bを有する二重壁構造となっている。外壁43a及び内壁43bが形成されていることにより、外壁43aと内壁43bとの間には、長手方向に延びる断面四角形状の第1中空部45が形成されている。
外壁43aの外側面には、外壁43aから垂直に突出し、長手方向に延びる凸条47が形成されている。凸条47は、外壁43aの外側面の幅方向中央部分に、外壁43aの長手方向全長に亘って形成されている。凸条47の突出長は、3~6mm程度である。
また、内壁43bの内側面には、内壁43bから垂直に突出し、長手方向に延びる突出壁44が形成されている。突出壁44は、長手方向全長に亘って形成されている。図5に示すように、突出壁44は、中空板材10と遮音板20との間に空間を形成するための空間形成部材として機能する。つまり、突出壁44の厚みは、中空板材10と遮音板20との間の空間の距離Aとして設定される値である。突出壁44の突出長は、10~20mm程度である。
遮音板20の主面20aを支持する側壁42は、外壁42a及び内壁42bを有する二重壁構造となっている。外壁42a及び内壁42bが形成されていることにより、外壁42aと内壁42bとの間には、長手方向に延びる断面四角形状の第2中空部46が形成されている。
図5に示すように、第1フレーム40は、側壁42の内壁42bと突出壁44との間で遮音板20を挟み込み、突出壁44と側壁41との間で中空板材10を挟み込んでいる。側壁41には、複数のビス孔41aが長手方向に複数貫設されている。ビス孔41aにビス80が打ち込まれて、第1フレーム40が中空板材10に固定されている。
図7に示すように、遮音パネル1の下辺に取り付けられている第2フレーム50は、基本的な構成は第1フレーム40と同様である。第2フレーム50は、側壁51、52、及び連結壁53を備えている。側壁52は、外壁52a及び内壁52bを有する二重壁構造をなしている。また、連結壁53は、外壁53a及び内壁53bを有する二重壁構造をなしている。これにより、側壁52には、第2中空部56が形成され、連結壁53には、第1中空部55が形成されている。また、連結壁53の内壁53bの内側面には、突出壁54が形成されている。以上の構成、及びその形状、大きさは、第1フレーム40と同様である。
第2フレーム50の連結壁53の外壁53aの外側面には、外壁43aが内方に凹んだ形状の凹条57が形成されている。凹条57は、外壁53aの外側面の幅方向中央部分に、長手方向全長に亘って延びている。凹条57の深さは、凸条47の突出長より少し深く、凹条57の幅は、凸条47の幅より少し広い。
第2フレーム50での中空板材10と遮音板20の支持状態は第1フレーム40と同様である。第2フレーム50は、図示しないビス孔に打ち込まれた図示しないビスによって中空板材10に固定されている。
図8に示すように、遮音パネル1の左辺及び右辺に取り付けられている第3フレーム60も、基本的な構成は概ね第1フレーム40、第2フレーム50と同様である。第3フレーム60は、側壁61、62、及び連結壁63を備えている。側壁62は、外壁62a及び内壁62bを有する二重壁構造をなしている。これにより、側壁62には、第2中空部66が形成されている。また、連結壁63の内側面には、突出壁64が形成されている。以上の構成、及びその形状、大きさは、第1フレーム40、第2フレーム50と同様である。
その一方で、第3フレーム60の連結壁63は二重壁構造でなく、連結壁63の外側面には凸条47、凹条57のいずれも形成されていない点で異なっている。
第3フレーム60での中空板材10と遮音板20の支持状態は第1フレーム40と同様である。第3フレーム60は、図示しないビス孔に打ち込まれた図示しないビスによって中空板材10に固定されている。
以上説明した各部材について、それぞれの厚みは、遮音シート22が最も薄く、表面保護板21、中空板材10、フレーム30の順に厚くなっている。また、それぞれの剛性は、遮音シート22が最も低く、表面保護板21、中空板材10、フレーム30の順に高くなっている。各部材の剛性の関係がこのようであると、遮音パネル1全体の剛性を良好にできる。
図2に示すように、第1フレーム40は遮音パネル1の長辺の一方に取り付けられ、第2フレーム50は他方に取り付けられている。また、第3フレーム60は遮音パネル1の短辺の両方に取り付けられている。遮音パネル1を連結して遮音壁を形成する際には、遮音パネル1における第1フレーム40が上側となるように遮音パネル1を起立状態にして使用する。
<遮音壁用ユニットについて>
図1及び図11に示すように、遮音壁は、複数枚の遮音パネル1を連結部材70で連結して、左右方向、上下方向に連設させて形成されている。遮音壁を形成するための遮音壁用ユニットは、複数枚の遮音パネル1と連結部材70を備えている。
<連結部材について>
図10及び図11に示すように、連結部材70は、いずれも長尺状のプレート部材71、支柱部材72、及び2つのカバー部材73を備えている。連結部材70は、遮音パネル1の左右側面に取り付けられた第3フレーム60を支持して、遮音パネル1を左右方向に連設するための部材である。遮音パネル1を左右方向のみで連結する場合のプレート部材71、支柱部材72及びカバー部材73の長手方向の長さは、いずれも遮音パネル1の短手方向の長さと同程度の長さを有している。
図1に示すように、遮音パネル1を上下方向にも複数枚連設させた大型の遮音壁とする場合、連結部材70の長手方向の長さは、上下方向に連設する遮音パネル1の枚数に応じて適宜設定される。その場合、連結部材70の長手方向の長さは、上下方向に複数枚連設された遮音パネル1の上下方向の高さと同程度の長さを有している。また、その場合も、プレート部材71、支柱部材72及びカバー部材73の長手方向の長さは、いずれも遮音パネル1の上下方向の高さと同程度の長さを有している。
図10に示すように、プレート部材71は、平板状の板材である。幅方向の寸法は、例えば150mm~300mm程度である。支柱部材72は、断面正方形状の角型パイプである。幅方向の寸法は、例えば70~150mm程度である。カバー部材73は、断面L字形状の板材である。一辺の幅方向の寸法は、例えば35~75mm程度である。
図11に示すように、プレート部材71は、支柱部材72に対して長手方向の複数箇所でビス止めされて、支柱部材72に固定されている。また、2つのカバー部材73は、プレート部材71が取り付けられた支柱部材72の側壁と隣接する2つの側壁のそれぞれに対して長手方向の複数箇所でビス止めされて、支柱部材72に固定されている。支柱部材72に対して、プレート部材71及びカバー部材73が固定されることにより、プレート部材71とカバー部材73との間には、遮音パネル1を支持するための支持空間が形成される。
<遮音壁の組み立て方法について>
次に、遮音パネル1と連結部材70を用いて遮音壁を組み立てる場合の方法について説明する。ここでは、図1に示すような遮音パネル1を上下方向にも複数枚連設させて大型の遮音壁とする場合について説明する。
図11に示すように、まず、支柱部材72に一対のカバー部材73をそれぞれ固定して、遮音壁の組み立て面である地面の上に起立状態で支持する。続いて、遮音パネル1の短手方向が上下方向となる状態で、カバー部材73に位置合わせする。このとき、遮音パネル1は、第1フレーム40が上側、第2フレーム50が下側となるように位置合わせする。また、遮音パネル1は、中空板材10の連通孔17が形成された側の主面10a側、つまり、遮音パネル1における遮音板20側が騒音源側に向くようにして位置合わせする。続いて、支柱部材72にプレート部材71を固定する。これにより、遮音パネル1は、連結部材70に起立状態で支持される。
次に、先に支持した遮音パネル1の上方に、別の遮音パネル1を載せて、その側部を連結部材70の支持空間内に挿入する。
図9に示すように、下側の遮音パネル1の上部の側面には、凸条47が形成された第1フレーム40が取り付けられており、上側の遮音パネル1の下部の側面には、凹条57が形成された第2フレーム50が取り付けられている。そのため、上下の2枚の遮音パネル1は、凹条57と凸条47との係合により移動が規制された状態で位置決めされる。また、上下の2枚の遮音パネル1は、連結部材70の支持空間内に保持されてその移動が規制される。同様にして、遮音パネル1を上方に向けて必要枚数積み上げていく。
続いて、先に支持した連結部材70とは別に、一対のカバー部材73を固定した支柱部材72を準備して、上下方向の複数枚の遮音パネル1の他方の第3フレーム60の側部の位置に、新たに準備した一対のカバー部材73及び支柱部材72を合わせる。カバー部材73に、先に積み上げた複数枚の遮音パネル1の他方の第3フレーム60側の側部を位置合わせして、支柱部材72にプレート部材71を固定する。これにより、上下方向に積み上げた複数枚の遮音パネル1の左右両側が連結部材70によって支持される。
続いて、新たに起立状態にした連結部材70の他方のカバー部材73側に、遮音パネル1を同様にして挿入していく。これを繰り返すことにより、図1に示すような大型の遮音壁を組み立てることができる。
<遮音パネル1の作用について>
遮音パネル1は、中空板材10の連通孔17が形成された主面10a側であって、遮音板20が配置された側を騒音源に向けて配置されている。
本実施形態の遮音板20は、連通孔17が形成された主面10aとの間に距離Aの空間を介して対向配置されている。そのため、騒音源からの騒音が遮音板20に到達すると、遮音板20が板振する。これにより、遮音パネル1の遮音性が向上する。また、遮音板20では、表面保護板21と遮音シート22とが部分的に接合されており、表面保護板21と遮音シート22とが一体となって板振する。そのため、遮音シート22と表面保護板21との間での共鳴の影響が抑制される。遮音シート22は、ポリ塩化ビニル樹脂シートで構成されている。そのため、空気中を伝わってくる音は遮音シート22で遮断されることによっても遮音性能が発揮される。
本実施形態の遮音板20は、相対的に重量が軽くて剛性が高い表面保護板21と、相対的に重量が重くて剛性が低い遮音シート22の積層体として形成されている。つまり、遮音板20の一部が、相対的に軽くて剛性が高い表面保護板21で構成され、一部が、相対的に重くて柔軟性のある遮音シート22に置換された状態となっている。遮音シート22に置換されている分、その単位面積当たりの重量が大きくなる。
物質の遮音性能(音響透過損失(dB))は、下記式(1)で算出することが可能であり、質量(重量)が大きいほど遮音性能が向上する。
音響透過損失(dB)=20×log(周波数×質量(kg/m))-42.5・・・(1)
この質量則の法則によれば、同程度の質量であれば同程度の遮音性を有することになる。本実施形態の遮音板20は、一部が遮音シート22に置換された状態となっているため、表面保護板21が軽量化された分の質量を遮音シート22が補っている。また、遮音シート22は表面保護板21より剛性が低いため、同じ質量で表面保護板21のみからなる遮音板20に比べて柔軟性が優れている。そのため、同程度の遮音性を有する表面保護板21のみで形成された遮音板20に比べて撓み易くなる。これにより、質量による遮音性の確保と、板振のし易さによる遮音性の確保が実現できて、遮音パネル1の遮音性能が向上する。
騒音源から発生した騒音は、中空板材10と遮音板20との間の空間に到達する。中空板材10は、複数のセルSが内部に並設された合成樹脂製のハニカム構造体であり、セルSを閉塞するコア層11の上壁部12及びスキン層15を貫通するように複数の連通孔17が形成されている。そのため、複数のセルSがヘルムホルツ共鳴器として機能する。騒音源から発生した音波のエネルギーが、中空板材10と遮音板20との間の空間を介してセルS内に入射されると、連通孔17の近傍で空気が激しく振動する。そして、その振動が熱エネルギーとして消費されることによって減衰し、遮音性能が発揮される。また、連通孔17の開口縁17aは、セルSの内部空間に位置している。そのため、ヘルムホルツ共鳴器における「管部の長さ」が長くなり、比較的低い周波数の音波を減衰させることができて高い遮音性能を発揮する。
このように、遮音効果が得られることで防音性が向上し、騒音源との間に遮音パネル1が配置された遮音壁の外部には、騒音源からの騒音が到達し難くなる。
図12及び図13には、遮音パネル1による遮音性の検証結果を示している。図12に示す3種類の遮音パネル1を作成して、それぞれの遮音パネル1について音響透過損失(dB)を測定した結果が図13である。なお、図12では、表面保護板21及び遮音シート22の配置を分かり易くするために、表面保護板21及び遮音シート22の厚みを厚くした模式図として示している。
図12(a)に示す遮音パネル1aは、中空板材10において連通孔17が形成された側の主面10aに遮音シート22が積層されたものである。遮音シート22と中空板材10との間に空間は形成されておらず、遮音シート22は中空板材10に接合されていない。また、表面保護板21は、空間を介して遮音シート22に積層されている。
図12(b)に示す遮音パネル1bは、中空板材10において連通孔17が形成された側の主面10a側に、表面保護板21と遮音シート22からなる積層体が、空間を介して積層されたものである。表面保護板21と遮音シート22は互いに接合されていない。
図12(c)に示す遮音パネル1cは、本発明の遮音パネル1を示すものである。一部が接合された表面保護板21と遮音シート22からなる遮音板20が、空間を介して積層されている。
図13に示すように、図12(a)の遮音パネル1aでは、1000Hz近辺で音響透過損失が落ち込んでいることがわかる。また、図12(b)の遮音パネル1bでも同様に、1000Hz近辺で音響透過損失が落ち込んでいる。これらの例では、表面保護板21、遮音シート22、中空板材10による三重壁構造となることで、遮音性が低下すると考えられる。これに対して、図12(c)の遮音パネル1cでは、1000Hz近傍での音響透過損失の落ち込みが見られず、良好な遮音性を有していることがわかる。
上記実施形態の遮音パネル1によれば、以下の効果を奏する。
(1)本実施形態の遮音パネル1は、複数のセルSが内部に並設された中空板材10と、中空板材10の主面10aに沿って配置された遮音板20を備えている。中空板材10の主面10aには、セルSの内外を連通する連通孔17が複数形成されている。遮音板20は、主面10aとの間に距離Aの空間を介して対向配置されている。
そのため、遮音板20により遮音性が良好である。また、遮音板20との間に空間が形成されているため、遮音板20が板振し易くなる。遮音性が向上する。
(2)遮音パネル1は、中空板材10の側面10c及び遮音板20の側面20cを支持するフレーム30を備えている。フレーム30は、中空板材10及び遮音板20より剛性が高い。そのため、遮音パネル1の剛性が向上する。
(3)遮音板20は、表面保護板21と遮音シート22との積層体として構成されている。遮音シート22は、表面保護板21より剛性が低い材質で形成されており、表面保護板21の主面の少なくとも一部に接合されている。
そのため、遮音板20の一部がより柔軟性のある遮音シート22に置換された状態となり、表面保護板21のみで形成された遮音板20に比べて撓み易くなる。遮音シート22と表面保護板21との間での共鳴の影響が抑制される。遮音パネル1の遮音性が向上する。
(4)遮音板20は、中空板材10との間に距離Aの空間を介して対向配置されている。本実施形態の遮音パネル1では、距離Aは3.8mmである。約4.4mmである遮音板20の厚みBとは、A<Bの関係となっている。そのため、遮音パネル1の遮音性を良好にしつつ、遮音パネル1の厚みを薄くすることができる。
(5)本実施形態の表面保護板21は、発泡ポリエチレンを芯材として、その両面をアルミニウム面材でサンドした構造である。そのため、軽量性と高剛性とを兼ね備えているとともに、遮音パネル1の耐候性を付与することができる。
(6)第1フレーム40は、中空板材10の主面10b及び遮音板20の主面20aのそれぞれを支持する一対の側壁41、42と、一対の側壁41、42を連結するとともに中空板材10の側面10c及び遮音板20の側面20cに沿って延びる連結壁43とを備えている。第2フレーム50も同様に、中空板材10の主面10b及び遮音板20の主面20aのそれぞれを支持する一対の側壁51、52と、一対の側壁51、52を連結するとともに中空板材10の側面10c及び遮音板20の側面20cに沿って延びる連結壁53とを備えている。第1フレーム40の連結壁43の外側面には、長手方向に延びる凸条47が形成され、第2フレーム50の連結壁53の外側面には、長手方向に延びる凹条57が形成されている。また、遮音パネル1では、一方の長辺に第1フレーム40が取り付けられ、他方の長辺に第2フレーム50が取り付けられている。そして、遮音パネル1を上下方向に連結するために起立状態とする際には、第1フレーム40が上側、第2フレーム50が下側となるように支持する。
そのため、起立状態とした遮音パネル1の上辺の第1フレーム40の上方に、別の遮音パネル1の下辺の第2フレーム50を載置すれば、第1フレーム40と第2フレーム50とを凹凸の関係で係合することができる。また、上下の遮音パネル1の位置合わせがし易い。これにより、複数枚の遮音パネル1の連結作業が容易であり、上下に並んだ遮音パネル1同士の連結状態が安定する。
(7)第1フレーム40の側壁41、42と連結壁43とは、互いに直交するように延びている。そして、連結壁43の外壁43aの形成された凸条47は、外壁43aから垂直に突出している。また、第2フレーム50の側壁51、52と連結壁53とは、互いに直交するように延びている。そして、連結壁53の外壁53aの形成された凹条57は、凸条47の突出長より少し深く、凹条57の幅は、凸条47の幅より少し広い。
そのため、一対の遮音パネル1を連結した際に凸条47が凹条57に係合されると、凸条47が形成された連結壁43の外壁43aの外側面と、凹条57が形成された連結壁53の外壁53aの外側面との間に隙間が形成され難い。また、その隙間には凸条47が突出するように位置することになる。これにより、一対の遮音パネル1の間の隙間が外部から見え難くなり、遮音壁の外観形状が良好となる。
(8)第1フレーム40の連結壁43は、長手方向に延びる第1中空部45が形成された二重壁構造をなし、一方の側壁42は、長手方向に延びる第2中空部46が形成された二重壁構造をなしている。第2フレーム50も同様に、連結壁53は、長手方向に延びる第1中空部55が形成された二重壁構造をなし、一方の側壁52は、長手方向に延びる第2中空部56が形成された二重壁構造をなしている。さらに、第3フレーム60では、一方の側壁62は、長手方向に延びる第2中空部66が形成された二重壁構造をなしている。そのため、第1フレーム40、第2フレーム50、第3フレーム60の剛性が向上する。
(9)遮音壁用ユニットは、複数枚の遮音パネル1と、一対の遮音パネル1同士を連結する連結部材70とを備えている。遮音パネル1を連結部材70によって連結すれば左右方向に複数枚の遮音パネル1を連結することができる。適宜の大きさの遮音壁を組み立てることができる。
(10)第1フレーム40の連結壁43の内壁43bの内側面には、内壁43bから垂直に突出し、長手方向に延びる突出壁44が形成されている。突出壁44の厚みは、中空板材10と遮音板20との間の空間の距離Aとして設定される値である。そのため、距離Aの空間を容易に調整することができる。また、中空板材10と遮音板20とが、距離Aを保持した状態で安定して支持される。第2フレーム50、第3フレーム60についても同様である。
(11)第1フレーム40は、ビス80により中空板材10に固定されている一方で、遮音板20には固定されていない。中空板材10の連通孔17が形成された側、すなわち、遮音板20側を騒音源に向けて設置すると、騒音源側からの風圧が、遮音板20に対して作用して、遮音板20に対して変形するような力が作用する場合がある。この点、遮音板20が第1フレーム40に固定されていないことで、騒音源側に配置された遮音板20の風圧による変形が許容される。これにより、遮音板20に対して過度の力が作用し難くなり、遮音パネル1の耐久性を向上させることができる。第2フレーム50、第3フレーム60についても同様である。
上記実施形態は、以下のように変更することができる。なお、上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて適用することができる。
・本実施形態の遮音板20は、表面保護板21と遮音シート22との積層体として構成されているが、遮音シート22を省略してもよい。この場合の遮音板20は、本実施形態の表面保護板21と同様の材質であることが好ましく、例えば、樹脂と金属薄板との複合材料で構成された金属複合板が挙げられる。金属複合板としては、樹脂をアルミニウム面材でサンドした構造、木材をアルミニウム面材でサンドした構造等が挙げられる。また、その厚みは、0,3mm~10mmであることが好ましく、0.4mm~8mmであることがより好ましく、0.5mm~6mmであることがさらに好ましい。
・上記実施形態の遮音板20では、遮音シート22が、表面保護板21とほぼ同じ大きさを有しており、表面保護板21の表面保護板21の主面の全体を覆うように配置されているが、これに限定されない。表面保護板21よりも一回り小さい大きさであってもよい。この場合、表面保護板21の4辺の側部を除いた部分であって、表面保護板21の中央部寄りに接合されていればよい。
・上記実施形態の遮音板20では、表面保護板21に対して、遮音シート22が「田の字状」に接合されている。接合箇所はこれに限定されない。また、遮音シート22の全体が表面保護板21に接合されていてもよい。
・表面保護板21と遮音シート22との接合は接着剤に限定されない。例えば、面ファスナーや両面テープのような接合用の面材によって接合されていてもよい。
・上記実施形態の遮音パネル1では、遮音板20と中空板材10との間の距離Aと、遮音板20の厚みBとの関係はA<Bであるが、A=Bであってもよく、A>Bであってもよい。
・上記実施形態の遮音パネル1では、中空板材10の剛性が表面保護板21の剛性より高いとして説明したが、これに限定されない。表面保護板21の剛性を中空板材10の剛性より高くしてもよく、遮音板20の剛性を中空板材10の剛性より高くしてもよい。
・図14に示すように、第1フレーム40において、突出壁44が形成されていなくてもよい。この場合、中空板材10だけでなく、遮音板20もビス止めされていれば、中空板材10と遮音板20とが距離Aの空間を介して積層することができる。第2フレーム50、第3フレーム60でも同様である。
・第1フレーム40の突出壁44は、長手方向全長に亘って形成されていなくてもよい。例えば、長手方向の両端部に形成されていてもよく、長手方向の複数箇所に並設されていてもよい。第2フレーム50、第3フレーム60でも同様である。
・突出壁44は、第1フレーム40と別体で設けられていてもよい。つまり、第1フレーム40には突出壁44が設けられておらず、遮音板20と中空板材10との間に距離Aが形成されるような部材を別途配置してもよい。第2フレーム50、第3フレーム60についても同様である。
・図15に示すように、第1フレーム40の連結壁43が二重壁構造でなくてもよい。つまり、第1中空部45が形成されていなくてもよい。また、側壁42が二重壁構造でなくてもよい。第2フレーム50、第3フレーム60でも同様である。
・図15に示すように、第1フレーム40の連結壁43の外側面に凸条47が形成されていなくてもよい。第2フレーム50の凹条57についても同様である。
・図15に示すように、第1フレーム40の側壁41、42が連結壁43より突出するように形成されていてもよい。また、第1フレーム40の幅が、第2フレーム50の幅より大きくてもよい。こうすることで、第1フレーム40の側壁41、42の間に、第2フレーム50を挿入するような状態で、遮音パネル1を上下方向に連設することができる。
・第1フレーム40の凸条47は、連結壁43の外壁43aの長手方向全長に亘って形成されていなくてもよい。例えば、長手方向の両端部に形成されていてもよく、長手方向の複数箇所に並設されていてもよい。第2フレーム50の凹条57についても同様である。
・遮音パネル1が他の構成を備えていてもよい。例えば、遮音板20に、透湿防水シート、遮熱シートが積層されていてもよい。
・遮音板20の主面20aに、鋼板や意匠性を有する板材がさらに設けられていてもよい。鋼板を備えることで、遮音パネル1に剛性を付与しつつ遮音性も付与することができる。また、意匠性を有する板材を備えることで、遮音パネル1の意匠性が向上する。
・上記実施形態の遮音パネル1の大きさは、約1000mm×2000mmであり、中空板材10の厚みは約30mmであるが、これに限定されない。これより大きくてもよく、小さくてもよい。例えば、約1000mm×750mmの長方形板状としてもよい。また、中空板材10の厚みも適宜変更可能である。
・中空板材10の厚みやセルSの容積等は、遮音パネル1に求められる遮音性能等に合わせて適宜変更すればよい。例えば、セルSの容積としては、0.6~3.0立方センチメートル、特に1.0~2.5立方センチメートル程度が好ましい。中空板材10の厚み、セルSの容積を適宜変更することで、ヘルムホルツ共鳴のピーク周波数を変更することができる。
・中空板材10は、凹凸形状が形成された一枚の第1シート材100を折り畳み成形してコア層11を形成するのに限らず、複数枚のシート材を用いてコア層11を形成してもよい。例えば、帯状のシート材を所定間隔毎に屈曲させ、これら複数のシート材を併設することでコア層11を形成してもよい。この変更例の場合、各シート材において屈曲させた部分がセルSの側壁部14を構成する。
・中空板材10は、コア層11にスキン層15、16が接合されたものに限らず、スキン層15、16の少なくともいずれかを備えていないものであってもよい。
・中空板材10は、スキン層15、16を熱溶着でコア層11に接合するのに限らず、例えば、接着剤等でスキン層15、16をコア層11に貼り付けて接合してもよい。また、コア層11とスキン層15、16との間に、例えば熱可塑性樹脂製の接着層を介在させ、この接着層の接着力により、スキン層15、16をコア層11に接合してもよい。
・コア層11は、凹凸形状が形成された第1シート材100を折り畳んで形成されているが、上記実施形態の第1シート材100とは異なる形状の凹凸シート材を折り畳んで形成してもよい。例えば、特許第4368399号に記載されるように、断面台形状の凸部が複数列設された三次元構造体を順次折り畳んでいくことによりハニカム構造体としてのコア層を形成してもよい。
・コア層11は第1シート材100を折り畳んで形成されたものでなくてもよい。一枚のシート材を真空成形することにより、円柱状や截頭円錐形状の膨出部が形成された凹凸シート材であってもよい。また、複数の帯状のシートを所定間隔毎に屈曲させて配置してセルSの側壁部14を構成した凹凸シート材であってもよい。
・コア層11は、柱形状のセルSが区画されたものに限らない。例えば、所定の凹凸形状を有するコア層の上下両面にシート層を接合したものであってもよい。このような構成のコア層としては、例えば特開2014-205341号公報に記載のものが挙げられる。また、断面がハーモニカ状のプラスチックダンボール等であってもよい。
・中空板材10におけるセルSの形状は、六角柱形状に限らない。例えば、セルSの形状は、四角柱形状であってもよいし円柱形状であってもよい。また、異なる形状のセルSが混在されていてもよい。さらに、中空板材10において、隣り合うセルSが接している場合に限らず、隣り合う2つのセルSの間に間隔が生じていてもよい。なお、セルSとセルSとの間に間隔が生じている場合、セルSの内外を連通させる連通孔17だけでなく、セルSとセルSとの間の空間の内外を連通させる連通孔17を設けてもよい。
・コア層11は、形状の異なるセルSが混在しているものであってもよい。
・コア層11を構成する熱可塑性樹脂として、各種機能性樹脂を添加したものを使用してもよい。例えば、熱可塑性樹脂に難燃性の樹脂を添加することにより難燃性を高めることができる。
・中空板材10において、連通孔17は、一つのセルSに対して複数設けられていてもよい。また、連通孔17は、全てのセルSに対応して設けられていなくてもよく、一部のセルSに対応して設けられていてもよい。
S、S1、S2…セル
1…遮音パネル
10…中空板材
10a、10b…主面
10c…側面
17…連通孔
20…遮音板
20a、20b…主面
20c…側面
21…表面保護板
22…遮音シート
30…フレーム
40…第1フレーム
41、42、51、52、61、62…側壁
43、53、63…連結壁
45、55…第1中空部
46、56、66…第2中空部
47…凸条
50…第2フレーム
57…凹条
60…第3フレーム
70…連結部材
71…プレート部材(連結部材)
72…支柱部材(連結部材)
73…カバー部材(連結部材)

Claims (5)

  1. 複数のセルが内部に並設された中空板材と、前記中空板材の主面に沿って配置された遮音板と、前記中空板材の側面及び前記遮音板の側面を支持する長尺状のフレームとを備えた遮音パネルであって、
    前記中空板材の一方の主面には、前記セルの内外を連通する連通孔が複数形成され、
    前記遮音板は、前記連通孔が形成された主面との間に空間を介して対向配置されていることを特徴とする遮音パネル。
  2. 前記遮音板は、表面保護板と、前記表面保護板より前記中空板材側で前記表面保護板の主面を覆うように配置された遮音シートとの積層体として構成されており、
    前記遮音シートは、前記表面保護板より剛性が低い材質であるとともに、前記表面保護板の主面の少なくとも一部に接合していることを特徴とする請求項1に記載の遮音パネル。
  3. 前記フレームは、前記中空板材の主面及び前記遮音板の主面のそれぞれを支持する一対の側壁と、一対の前記側壁を連結するとともに前記中空板材及び前記遮音板の側面に沿って延びる連結壁とを備え、
    前記フレームは、前記連結壁の外側面に長手方向に延びる凸条が形成された第1フレームと、前記連結壁の外側面に長手方向に延びる凹条が形成された第2フレームとを備えていることを特徴とする請求項1に記載の遮音パネル。
  4. 前記連結壁は、長手方向に延びる第1中空部が形成された二重壁構造をなし、
    前記側壁は、長手方向に延びる第2中空部が形成された二重壁構造をなしていることを特徴とする請求項3に記載の遮音パネル。
  5. 請求項1~4のいずれか一項に記載の遮音パネルと、一対の前記遮音パネル同士を連結する連結部材とを備えた遮音壁用ユニット。
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