JP2000103023A - 透明蒸着用積層ポリエステルフィルム - Google Patents

透明蒸着用積層ポリエステルフィルム

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JP2000103023A
JP2000103023A JP10275163A JP27516398A JP2000103023A JP 2000103023 A JP2000103023 A JP 2000103023A JP 10275163 A JP10275163 A JP 10275163A JP 27516398 A JP27516398 A JP 27516398A JP 2000103023 A JP2000103023 A JP 2000103023A
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polyester
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Shigeo Uchiumi
滋夫 内海
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Mitsubishi Polyester Film Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ガスバリヤー性の優れた透明蒸着用積層ポリ
エステルフィルムを提供する。 【解決手段】 二軸配向積層ポリエステルフィルムの片
面に金属または金属酸化物による蒸着層を有するフィル
ムであって、前記二軸配向積層ポリエステルフィルム
は、ポリエステル層Bの少なくとも片面に、クロロホル
ム溶媒による低分子量体抽出量が50mg/m2 未満で
あるポリエステル層Aが積層されてなるフィルムであ
り、前記蒸着層はポリエステル層Aの表面に設けられて
いることを特徴とする透明蒸着用積層ポリエステルフィ
ルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属や金属酸化物
を形成してなる透明蒸着用積層ポリエステルフィルムに
関する。さらに詳しくは、本発明は、ガスバリヤー性に
優れた透明蒸着用積層ポリエステルフィルムに関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】透明蒸着用フィルムは、蒸着する金属お
よび/または金属酸化物を選択することにより、ガスバ
リヤー性、水分不透過性、可視・紫外光の遮断性、熱線
反射性、導電性、透明導電性、磁気記録性などの特性を
種々変更できるため、各種の用途に利用されている。例
えば、包装材料、装飾用材料、窓ガラスの遮蔽用材料、
金・銀糸用材料、コンデンサー材料、表示材料、配線基
板材料、磁気記録材料等に利用されている。特に近年
は、液晶表示素子、太陽電池、電磁波シールド、タッチ
パネル、EL用基板、カラーフィルター等で使用する透
明導電シートの一部などの新規の用途にも使用され注目
されるようになってきた。ところでこの透明蒸着用フィ
ルムは、近年ますますガスバリヤー性の向上が要求され
るようになってきている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記実情に
鑑みなされたものであって、その解決課題は、ガスバリ
ヤー性の優れた透明蒸着用積層ポリエステルフィルムを
提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題に
鑑み鋭意検討した結果、ポリエステルフィルムを積層化
し、蒸着するフィルム表面から発生する低分子量体(オ
リゴマー等)を低減することによりガスバリヤー性がよ
り改良されることを見いだし、本発明を完成するに至っ
た。
【0005】すなわち、本発明の要旨は、二軸配向積層
ポリエステルフィルムの片面に金属または金属酸化物に
よる蒸着層を有するフィルムであって、前記二軸配向積
層ポリエステルフィルムは、ポリエステル層Bの少なく
とも片面に、クロロホルム溶媒による低分子量体抽出量
が50mg/m2 未満であるポリエステル層Aが積層さ
れてなるフィルムであり、前記蒸着層はポリエステル層
Aの表面に設けられていることを特徴とする透明蒸着用
積層ポリエステルフィルムに存する。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明にいう積層フィルムとは、例えば全ての層が押出
機の口金から共溶融押出しされる、いわゆる共押出法に
より押出された未延伸フィルムが、延伸および熱処理さ
れたものが挙げられる。以下、積層フィルムとして、共
押出3層フィルムについて説明するが、本発明の要旨を
越えない限り、本発明は共押出3層フィルムに限定され
るものではなく、2層または4層以上の多層であっても
よい。また表裏の層が同一のA/B/Aの2種3層フィ
ルムも好ましい。これらの中でも表層の両面が異なる3
種3層フィルムが特に好適に実施される。
【0007】本発明の積層フィルムの各層を構成するポ
リエステルとは、芳香族ジカルボン酸またはそのエステ
ルとグリコールとを主たる出発原料として得られるポリ
エステルであり、繰り返し構造単位の80%以上がエチ
レンテレフタレート単位またはエチレン−2,6−ナフ
タレート単位を有するポリエステルを指す。さらに、上
記の範囲内であれば、他の第三成分を含有していてもよ
い。芳香族ジカルボン酸成分としては、テレフタル酸お
よび2,6−ナフタレンジカルボン酸以外に、例えば、
イソフタル酸、フタル酸、アジピン酸、セバシン酸、
4,4’−ジフェニルジカルボン酸、オキシカルボン酸
(例えば、p−オキシエトキシ安息香酸等)を用いるこ
とができる。一方、グリコール成分としては、エチレン
グリコール成分以外に、例えばジエチレングリコール、
トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタ
ンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネ
オペンチルグリコール等の一種または二種以上を用いる
ことができる。
【0008】本発明の積層フィルムにおいて、両表層を
形成する層は、粒子を含有することが好ましい。本発明
においては、フィルムの透明性を高度に満足させるとと
もに、フィルムに滑り性を付与することが好ましく、積
層化した上でその両表層ともに粒子を含有していること
が好ましい。当然両表層の異なる(A/B/C)の3種
3層のフィルムが好適に選択されるが、(A/C)の2
種2層の構成や、両表層の厚みのみを変更した(A/B
/A’)の構成も推奨される。
【0009】本発明のフィルムの表層の厚みは、通常
0.005〜5μm、好ましくは0.1〜3μm、特に
好ましくは1.0〜3μmである。表層の厚みが5μm
を超えると、フィルムの透明性を高度に満足させるのが
困難となる場合があり、一方、表層の厚みが0.005
μm未満では、存在する粒子が脱落したりして、例えば
蒸着したあとのガスバリヤー性等の最終的な物性を低下
させる恐れがある。
【0010】本発明で用いる粒子の例としては、炭酸カ
ルシウム、リン酸カルシウム、シリカ、カオリン、タル
ク、二酸化チタン、アルミナ、硫酸バリウム、フッ化カ
ルシウム、ゼオライト、硫化モリブデン等の無機粒子、
架橋高分子粒子、シュウ酸カルシウム等の有機粒子、お
よびポリエステル重合時に生成させる析出粒子等を挙げ
ることができる。
【0011】上記粒子の中でも、特に高度な透明性と滑
り性を得るために、架橋高分子粒子またはシリカ粒子が
好ましく用いられる。特にシリカ粒子の中でも、サイリ
シア、サイロイド、サイロブロック等(いずれも商品
名)の、単分散球状でないシリカ粒子が推奨される。こ
れは、ポリエステルとの親和性や、屈折率の点で好まし
い特性を有するため、フィルムのヘーズ値を高めずに滑
り性を向上させるとともに粒子の脱落が少ないためであ
る。
【0012】表層に含有させる粒子は、一種類でもよい
が、二種類以上を同時に配合させてもよい。架橋高分子
粒子またはシリカ粒子とそれ以外の粒子を同時に含有さ
せる場合には、架橋高分子粒子およびシリカ粒子の含有
量の合計が、それ以外の粒子の含有量よりも多いことが
好ましい。表層中の粒子の平均粒径は、0.01〜3.
0μm、さらには0.1〜3.0μmが好ましく、その
含有量は、0.01〜3.0重量%、さらには0.03
〜0.25重量%の範囲が好ましい。平均粒径が0.0
1μm未満の粒子では、突起形成能が不十分となること
があり、ヘーズを高くする割にはフィルムの滑り性に寄
与しない場合がある。一方、平均粒径が3.0μmを超
えると、フィルムに必要以上に大きな突起を形成してし
まうため、例えば蒸着後その突起が起因となって亀裂を
生じガスバリヤー性を損なうことがある。また、粒子量
が0.01重量%未満では、表層に形成される突起数が
不足する傾向があり、フィルムの滑りが不足したり、フ
ィルム製造時およびフィルム加工時に傷が生じて透明性
を悪化させたり、ガスバリヤー性を低下させたりする恐
れがある。一方、粒子量が3.0重量%を超えると、粒
子の脱落が増えたり、ヘーズが高くなりすぎたりする場
合がある。
【0013】また、表層以外の層中の粒子の含有量は、
表層の含有量以下であることが好ましい。さらに、フィ
ルム全体のポリエステルに対する粒子の含有量は、0.
25重量%以下、さらには0.15重量%以下が好まし
い。フィルム全体のポリエステルに対する粒子の含有量
が0.25重量%を超えると、フィルムの透明性が損な
われる場合がある。
【0014】特に表層以外の層に、自己リサイクル原料
および/または、他のリサイクル原料を使用すること
は、本願発明の範囲を逸脱しない限りにおいて好ましい
手法である。本発明のフィルムを構成する二軸配向積層
ポリエステルフィルムの全体のヘーズは、0.5%を超
え4.0%未満が好ましい。0.5%以下では、フィル
ムの作業性に劣る傾向があり、4.0%以上では、フィ
ルムの透明性に劣る傾向がある。フィルムのヘーズは、
1.2〜2.5%の範囲がさらに好ましい。
【0015】本発明のフィルムを構成する二軸配向積層
ポリエステルフィルムの少なくとも一方の面を形成する
層(ポリエステル層A)は、クロロホルム溶媒による低
分子量体抽出量が、後に定義する方法において50mg
/m2 未満でなければならない。この抽出量が、50m
g/m2 以上では、本発明の目的である、ガスバリヤー
性の改良に役立たない。抽出量は、好ましくは40mg
/m2 未満、さらに好ましくは、30mg/m2 未満で
ある。本発明のフィルムに蒸着を施す際、蒸着は通常、
ポリエステル層Aにより構成される面に施される。
【0016】ところで、ポリエステル層Aから構成され
る面の抽出量は、もう一方の面を構成する層からの抽出
量、およびその他中間層を形成する層からの抽出量に比
較して、少なくとも同一か、少ないことが好ましい。本
発明における抽出量の測定は、A/B/Aのように表裏
同一の積層フィルムの場合には、側面からの抽出量を無
視して、積層フィルムのまま測定した値を用いてもよ
い。ただし、中間層の抽出量や、A/B/Cのように表
裏が異なる場合のA面およびC面の抽出量は、それぞれ
の層のみのフィルムとして測定した値を用いる。
【0017】前記低分子量体は、環状三量体を主とする
環状オリゴマー、線状二量体および線状三量体を主とす
る線状オリゴマー、テレフタル酸、テレフタル酸モノグ
リコールエステル等を包含する。このような低分子量体
抽出量の少ないポリエステルフィルム層を形成する方法
としては、特開昭48−101462号公報、特開昭4
9−32973号公報等に開示されているように、一旦
重合したチップをさらに固相で重合することにより、チ
ップの状態でオリゴマー等の低分子量体を減少させ、こ
れらの原料を用いて製膜する方法や、溶剤を用いてチッ
プ中のオリゴマー等の低分子量体を除去して製膜する方
法や、二軸延伸熱固定したフィルムから溶剤を用いてオ
リゴマー等の低分子量体を抽出除去する方法が好適であ
る。
【0018】特に前者の固相重合操作を付加する方法で
は、フィルムへの押出工程での温度が高くかつ時間が長
いと、熱的な平衡関係で、折角減少したオリゴマー等の
低分子量体が増加してしまうことになるので、できるだ
け低温でかつ短時間で押し出すことが好ましい。一方、
二軸延伸熱固定したフィルムからの、低分子量体の抽出
量は、フィルムの面配向度に依存することも判明した。
よって蒸着される面を構成する表層の面配向度は、0.
160を超えることが好ましい。より好ましくは0.1
62を超え0.169未満のもの、特に好ましくは0.
162を超え0.166未満である。
【0019】また、蒸着を施さない表面の中心線平均粗
さは、0.015μmを超え0.035μm未満である
ことが好ましい。中心線平均粗さが0.015μm以下
では、蒸着に供する際、フィルムのベタツキが生じた
り、加工時の各種作業性に劣ったりすることがある。一
方、中心線平均粗さが0.035μm以上では、フィル
ムの透明性に劣る場合がある。
【0020】一方、ポリエステル層Aにより構成される
表面(通常、蒸着が施される表面)の中心線平均粗さ
は、0.007μmを超え、0.030μm以下である
ことが好ましい。この中心線平均粗さが、0.007μ
m以下では、やはり作業性に劣る傾向があり、0.03
0μmを超えるものでは、ガスバリヤー性に劣る傾向が
ある。
【0021】本発明の積層ポリエステルフィルムには、
上記以外の添加剤として、必要に応じて、帯電防止剤、
安定剤、潤滑剤、架橋剤、ブロッキング防止剤、酸化防
止剤、着色剤、光線遮断剤、紫外線吸収剤等を配合して
もよい。本発明のポリエステルフィルムの表層にアンカ
ーコート剤を塗布してもよいが、多くは塗布処理するこ
となく、蒸着処理に供される。
【0022】また、本発明のフィルムは、蒸着用途に供
されるため、収縮率が低いことが好ましい。そのため、
本発明のフィルムを構成する二軸配向ポリエステルフィ
ルムの平均屈折率は、1.6045を超えることが好ま
しく、1.6050を超えることがさらに好ましい。ま
た、フィルム縦方向の収縮率が低いことが好ましく、本
発明のフィルムを構成する二軸配向ポリエステルフィル
ムのΔnはマイナスすなわち横方向の屈折率が縦方向の
屈折率よりも大きいことが好ましい。
【0023】次に、本発明の積層ポリエステルフィルム
の製造方法を具体的に説明する。本発明の積層フィルム
を得る方法としては、共押出法が好ましく採用される。
以下この共押出法による積層化の例について説明する。
まず、それぞれの層を構成するポリエステル原料を、共
押出積層用押出装置に供給する。その際、少なくとも蒸
着面を構成する表層には、固相重合してオリゴマー等の
低分子量体を減少させた原料を必要量供給する。かくし
て、2または3台以上のマルチマニホールドまたはフィ
ードブロックを用いて積層化し、スリット状のダイから
2または3層以上の溶融シートとして押し出す。その
際、それぞれの層の厚みはメルトラインに設置したギヤ
ポンプ等の定量フィーダ−によるポリマーの流量の調節
により設定することができる。次に、このダイから押出
された溶融シートを、回転冷却ドラム上でガラス転移温
度以下で急冷固化し、実質的に非晶質の未配向シートを
得る。この際、シートの平面性や厚さ斑を向上させるた
め、シートと回転冷却ドラムとの密着性を高めることが
好ましく、本発明においては、静電印加密着法および/
または液体塗布密着法が好ましく用いられる。
【0024】本発明においては、かくして得られたシー
トについて2軸方向に延伸してフィルム化することが必
須である。具体的な延伸条件としては、前述の未延伸シ
ートは、通常70〜150℃、好ましくは75〜130
℃の温度範囲で、まず一方向、好ましくはロール延伸方
向に通常3.0〜7.0倍、好ましくは3.2〜6.0
倍に延伸する。次に、一段目と直行する方向、好ましく
はテンター方向に、通常75〜150℃、好ましくは8
0〜140℃の温度範囲で、通常3.2〜7.0倍、好
ましくは3.5〜6.0倍延伸し、2軸に配向したフィ
ルムを得る。なお、一方向の延伸を多段で2段階以上行
うのも好適な方法であるが、当然その際も、最終的な延
伸倍率が上記した範囲内であることが好ましい。また、
前記未延伸シートを、面積倍率が10〜40倍になるよ
うに同時二軸延伸することも可能である。かくして得ら
れた二軸配向フィルムは、通常150〜250℃で、3
0%以内の伸長、制限収縮、または定長下で1秒から5
分間熱処理される。また二軸延伸のあと熱処理する前
に、110〜180℃の温度で縦および/または横方向
に1.05〜2.5倍再延伸を行うことも可能である。
【0025】本発明においては、上記製膜工程内で、水
系すなわち水溶液または水分散体の塗布液を塗布し、フ
ィルム表面に塗布層を設けることも可能である。塗布層
を設ける方法としては、未延伸シート表面に塗布液を塗
布して乾燥する方法、一軸延伸フィルム表面に塗布液を
塗布して乾燥する方法等が挙げられるが、装置の簡便さ
から後者が推奨される。さらに必要に応じて、前述の塗
布方法を併用したものも採用可能である。すなわち、未
延伸シートに第1層を塗布して乾燥後、一軸方向に延伸
し、その後さらに第2層を塗布して熱固定により乾燥さ
せる等の方法である。
【0026】かくして得られたフィルムを蒸着フィルム
として用いる場合の、蒸着する金属および金属酸化物と
しては、例えば、アルミニウム、珪素、マグネシウム、
パラジウム、亜鉛、錫、ニッケル、銀、銅、金、インジ
ウム、ステンレス鋼、クロム、チタン等の金属、酸化ア
ルミニウム、酸化亜鉛、酸化アンチモン、酸化インジウ
ム、酸化カルシウム、酸化カドミウム、酸化銀、酸化
金、酸化クロム、珪素酸化物、酸化ニッケル、酸化白
金、酸化パラジウム、酸化ビスマス、酸化マグネシウ
ム、酸化マンガン、酸化モリブデン、酸化バナジウム、
酸化バリウム等の金属酸化物が挙げられるが、透明蒸着
としては、酸化アルミナ、珪素酸化物が好ましい。特に
塗布層を設けない処方では、酸化アルミニウムが、高度
な酸素ガスバリヤー性、水蒸気バリヤー性および透明性
を兼ね備え、かつ、工業的に安価であり特に好ましい。
かかる酸化アルミニウムは各々単独で使用してもよい
が、混合物として使用することもできる。
【0027】これらの金属および金属酸化物の蒸着の方
法は、一般には真空蒸着によるが、イオンプレーティン
グ、スパッタリング、CVD等の方法によっても良い。
蒸着膜は、塗布層の表面に形成されるが、蒸着膜の厚さ
は、蒸着フィルムの最終用途によって適宜選択される。
なお、蒸着後に接着性、特に耐水接着性や耐殺傷性など
を付与するために、蒸着面に樹脂保護層を設けることも
好適な手法である。
【0028】本発明のフィルムの厚みは、通常6〜35
μm、好ましくは9〜25μmの範囲から選ばれる。
【0029】
【実施例】以下、本発明を実施例を挙げてさらに詳細に
説明するが、本発明は、その要旨を越えない限り、以下
の実施例によって限定されるものではない。なお、実施
例における種々の物性および特性の測定方法、定義等は
下記のとおりである。実施例および比較例中に「部」と
あるのは「重量部」の意味である。 (1)中心線平均粗さ(Ra) (株)小坂研究所製表面測定機(SE−3F)を用いて
次のようにして求めた。すなわち、フィルム断面曲線か
らその中心線の方向に基準長さL(2.5mm)の部分
を抜き取り、その抜き取り部分の中心線をx軸、縦倍率
の方向をy軸として粗さ曲線y=f(x)で表したと
き、次式で与えられた値を[μm]で表した。中心線平均
粗さは、試料フィルム表面から10本の断面曲線を求
め、これらの断面曲線から求めた抜き取り部分の中心線
平均粗さの平均値で表した。なお、触針の先端半径は5
μm、荷重は30mgとし、カットオフは、0.08m
mとした。
【0030】
【数1】Ra=1/L∫0 lf|(x)|dx
【0031】(2)フィルムのヘーズ値(%) JIS−K−7105−1981に準じ、日本電色工業
社製積分球式濁度計NDH−300Aによりフィルムの
濁度を測定した。 (3)蒸着フィルムのガスバリヤー性 基体フィルムの塗布面に、巻取り式真空蒸着装置を使用
して、蒸着材料として、市販のAl23(純度99.5
%)を高周波加熱方式で蒸発させ、圧力1×10-5To
rrの条件下で、蒸着速度10nm/sで膜厚20nm
の酸化アルミナ蒸着膜を形成し、アルミナ酸化物の薄膜
が形成された蒸着フィルムを得た。この蒸着フィルムに
ついて、ASTMD−3985に準拠して、酸素透過率
測定装置(モダンコントロール社製、OX−TRAN1
00)を使用して、25℃、相対湿度95%の条件下で
測定し、次の基準で判定した。 0.8未満:◎、0.8以上1.0未満:○(良)、
1.0以上2.0未満:△、2.0以上:×(不良)
【0032】(4)低分子量抽出法 縦40mm×横40mmのフィルム片を、30℃に設定
した20mlのクロロホルム溶液中に60分間静置して
浸し、低分子量体を抽出し、得られた抽出物を、日本分
光工業(株)製可視紫外分光光度計を用いて測定した。
246nmの波長で示されるピークの吸光度から低分子
量抽出量を求めた。同一サンプルにて3点測定して、そ
の平均を求めた。 (5)面配向度(ΔP)、平均屈折率(n)、および複
屈折率(Δn) アタゴ光学社製アッベ式屈折計を用い、フィルム面内の
屈折率の最大値nγ、それに直角の方向の屈折率nβ、
フィルムの厚さ方向の屈折率nα、およびフィルムの縦
方向の屈折率n(縦)およびフィルムの横方向の屈折率
n(横)を測定し、次式より面配向度を算出した。な
お、屈折率の測定は、ナトリウムD線を用い、23℃に
て測定した。
【0033】
【数2】ΔP=(nγ+nβ)/2−nα n=(nα+nβ+nγ)/3 Δn=n(縦)−n(横)
【0034】実施例1 (ポリエステルフィルムの製造)平均粒径1.45μ
m、吸油性310ml/100gの無定型二酸化ケイ素
粒子0.6部を含有する極限粘度0.65のチップをポ
リエチレンテレフタレート(I)とし、常法により得ら
れた実質的に粒子を含まない極限粘度0.60のチップ
をポリエステル原料(II)とし、実質的に粒子を含まな
い極限粘度0.53のポリエステル原料を回転型真空重
合装置で、真空度0.3mmHg、225℃15時間固
相重合して、低分子量物の含有量を0.5%以下とした
極限粘度0.75のものをポリエステル原料(III )と
した。表層として、ポリエステル(I)を30部、ポリ
エステル(III )を70部混合したもの(ポリエステル
A)を用い、一方、中間層にはポリエステル(II)を単
独(ポリエステルB)で用いた。 これらを別々の押出
機から厚み方向にA/B/Aの順の積層となるように2
80〜300℃の温度で口金より押出し、静電密着法を
併用しつつ冷却ドラム上に急冷キャストし、未延伸フィ
ルムを得た。この際表層は、二軸延伸機を用いて押し出
した。
【0035】次に得られたシートを縦方向に85℃で
3.9倍延伸した後、さらに横方向に110℃で4.6
倍延伸した後、235℃で熱処理を施し、基材のポリエ
ステルフィルムの厚さ12μmの二軸延伸フィルムを得
た。得られたフィルムの厚さ構成は、1.35μm/
9.3μm/1.35μmのA/B/Aの2種3層構造
であった。
【0036】かくして得られたフィルムの全体ヘーズ
は、1.8%、Raは、0.028μm、ΔPは0.1
63、nは1.6051、Δnは、−20×10-3であ
り、A層(表層)の低分子量体の抽出量は、32mg/
2 であった。一方、B層(中間層)の抽出量は、52
mg/m2 であった。このフィルムの片面に上述の方法
で、蒸着を実施し、ラミ、印刷を施し製品としたとこ
ろ、ガスバリヤー性は、安定して◎であり、加工性にも
問題がなく、極めて良好なものであった。
【0037】実施例2 実施例1において、縦延伸倍率を3.2倍、横延伸倍率
を3.5倍とする以外は、実施例1と全く同様にして1
2μmのフィルムを製膜した。得られたフィルムの全体
ヘーズは、1.9%、Raは0.032μmであり、そ
のΔPは、0.159、nは1.6052、Δnは、−
3×10-3であった。抽出量は、表層は、42mg/m
2 、中間層は56mg/m2 であった。このフィルムに
蒸着した後のガスバリヤー性は○であった。
【0038】実施例3 ポリエステルAとして、ポリエステル(I)を20部、
ポリエステル(III )を80部混合したものとし、ポリ
エステルBとしては、ポリエステル(II)を単独で使用
し、ポリエステルCとしては、ポリエステル(I)を4
0部、ポリエステル(II)を60部混合したものを使用
して、A/B/Cの3種3層フィルムとする以外には、
実施例1と同様にしてサンプルを作成した。得られたフ
ィルムのヘーズは、2.1%であった。またA層のRa
は、0.019μm、C層のRaは、0.030μmで
あった。A層の抽出量は、28mg/m2 、C層の抽出
量は、56mg/m2 であった。蒸着は、A層の表面に
施した。実施例1と同様にガスバリヤー性が◎であった
が、さらに安定した値を示すとともに、加工性等もより
良好であった。ΔP、n、Δnは、実施例1と同一であ
った。
【0039】比較例1 実施例1において、ポリエステル(I)を30部、ポリ
エステル(II)を70部を混合してポリエステルAとす
る以外は、全く実施例1と同様にしてフィルムを作成し
た。得られたフィルムの低分子量体の抽出量は、52m
g/m2 であった。その性能を評価したところ、ガスバ
リヤー性は、△であった。
【0040】
【発明の効果】本発明によれば、ガスバリヤー性の優れ
た透明蒸着用積層ポリエステルフィルムを提供すること
ができ、本発明の工業的価値は高い。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 二軸配向積層ポリエステルフィルムの片
    面に金属または金属酸化物による蒸着層を有するフィル
    ムであって、前記二軸配向積層ポリエステルフィルム
    は、ポリエステル層Bの少なくとも片面に、クロロホル
    ム溶媒による低分子量体抽出量が50mg/m2 未満で
    あるポリエステル層Aが積層されてなるフィルムであ
    り、前記蒸着層はポリエステル層Aの表面に設けられて
    いることを特徴とする透明蒸着用積層ポリエステルフィ
    ルム。
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