JP2018138367A - ガスバリア積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】高い水蒸気バリア性及び高い全光線透過率を有するガスバリア積層体を提供する。【解決手段】面配向度が160〜180であり、かつ縦配向度が60〜80であるポリエステルフィルムと、前記ポリエステルフィルムの少なくとも一方の表面に、無機薄膜とを備えるガスバリア積層体である。【選択図】なし

Description

本発明はガスバリア積層体に関する。
従来より、プラスチックフィルムを基材とし、その表面に酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム等からなる無機層を形成したガスバリア積層体は、水蒸気や酸素等の各種ガスの遮断を必要とする物品の包装、例えば、食品や工業用品及び医薬品等の変質を防止するための包装に広く利用されている。
例えば、耐衝撃性に優れ、高いバリアー性を安定して維持するとともに良好な透明性と電子レンジ適性を備えたバリアー性フィルムを得るために、少なくとも有機珪素化合物の蒸気と酸素とを含有するガスを用いてプラズマCVD法により基材上にバリアー層を形成してバリアー性フィルムとし、バリアー層を珪素酸化物を主体とし、炭素、水素、珪素および酸素のなかの1種類、あるいは2種類以上の元素からなる化合物を少なくとも1種類含有したものとすることが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
また、例えば、高温高湿下でも温湿度依存のない高い酸素バリア性と、高度な透明性・印刷適性・防湿性を付与したガスバリアフィルムを得るために、表面粗さを表す最大高さ:Ry<1.40μm、10点平均粗さ:Rz<0.80μmのいずれかは上記領域を満たす表面粗さであるポリオレフィンを主成分とし、片面もしくは両面にMO・nSiO(Mはリチウムまたはリチウムを含む複数のアルカリ金属、nはモル比で1〜20の範囲内)で表されるアルカリ金属ポリシリケートを主成分とするガスバリア性被膜を積層することが開示されている(例えば、特許文献2参照)。
特開平8−142252号公報 特開2002−113826号公報
しかしながら、これらの特許文献に記載のガスバリア性フィルムでは、十分な水蒸気バリア性と優れた全光線透過性とを両立することができなかった。
本発明は、高い水蒸気バリア性及び高い全光線透過率を有するガスバリア積層体を提供することを目的とするものである。
特許文献2のように、ガスバリア積層体を形成する基材の平滑化は検討されているものの、基材のその他要素とガスバリア性との関係については、不明な部分が多かった。これに対し、本発明においては、所定の配向指数を示すポリエステルフィルムを基材とし、無機薄膜を積層することで、優れた水蒸気バリア性と優れた全光線透過性とを有することがわかった。本発明のガスバリア積層体は以下のとおりである。
<1> 面配向度が160〜180であり、かつ縦配向度が60〜80であるポリエステルフィルムと、前記ポリエステルフィルムの少なくとも一方の表面に、無機薄膜とを備えるガスバリア積層体である。
<2> 前記ポリエステルフィルムは、固有粘度(IV)が0.610〜0.750dl/gである<1>に記載のガスバリア積層体である。
<3> 前記ポリエステルフィルムは、表面オリゴマー量が3.0mg/m以下である<1>又は<2>に記載のガスバリア積層体である。
<4> 前記ポリエステルフィルムは、表面の投影面積Aと、実面積Sとの比である実効面積(S/A)が1.0010以下である<1>〜<3>のいずれか1つに記載のガスバリア積層体である。
<5> 前記無機薄膜が、前記ポリエステルフィルムに隣接している<1>〜<4>のいずれか1つに記載のガスバリア積層体である。
本発明によれば、高い水蒸気バリア性及び高い全光線透過率を有するガスバリア積層体を提供することができる。
<ガスバリア積層体>
本発明のガスバリア積層体は、面配向度が160〜180であり、かつ縦配向度が60〜80であるポリエステルフィルムと、ポリエステルフィルムの少なくとも一方の表面に、無機薄膜とを備える。
本発明のガスバリア積層体は、更に、他の機能性層を備えていてもよく、例えば、本発明のガスバリア積層体は、ポリエステルフィルムと無機薄膜との間に、両者の密着性を高めるアンカーコート層を備えていてもよい。また、無機薄膜上に保護層、バリア性能向上層等のトップコート層を備えていてもよい。
しかし、後述するように、本発明のガスバリア積層体は、ポリエステルフィルムが備える特性により、無機薄膜に対する密着性が高く、かつ、高い水蒸気バリア性を有することができるため、アンカーコート層を備えていなくてもよい。
一般に、ガスバリア積層体の基材となるポリエステルフィルムの配向性を高めると、ガスバリア性は高まると言われている。従って、無機薄膜を積層するポリエステルフィルムの配向度は、高ければ高いほど、ガスバリア積層体のガスバリア性が向上すると期待される。
しかしながら、驚くべきことに、配向度の高いポリエステルフィルムに無機薄膜を積層すると、却ってガスバリア性が下がることがわかった。具体的には、面配向度が180を超えない範囲であり、かつ縦配向度が80を超えない範囲であるポリエステルフィルムを用い、ポリエステルフィルムの少なくとも一方の表面に無機薄膜を備えることで、高いガスバリア性及び高い全光線透過率を有することがわかった。
本発明のガスバリア積層体が、このように高いガスバリア性及び高い全光線透過率を有する理由は定かではないが、以下の理由によるものと推察される。
ポリエステルフィルムの面配向度が一定以上であることで、ポリエステルフィルム最表面のポリエステル分子鎖が面方向に揃うため、ポリエステルフィルム表面上に積層される無機薄膜に含まれる無機物質(例えば、シリカ)の結晶化が助長されると考えられる。更に、揃ったポリエステル分子鎖のエステル基の酸素と、無機物質との相互作用により、ポリエステルフィルムと無機薄膜とが強固に密着することから、ガスバリア性が高まると考えられる。
全光線透過率を高めるには、通常、無機薄膜の膜厚を小さくする必要があるが、無機薄膜が薄くなるほど、積層体のガスバリア性は低下してしまう傾向にある。
しかし、本発明においては、特定の配向性のポリエステルフィルムを用いるため、積層体のガスバリア性を損なわずに、無機薄膜の膜厚を小さくすることができ、全光線透過率を高めることができると考えられる。
本発明のガスバリア積層体は、特に、水蒸気バリア性に優れるものであるが、酸素バリア性にも優れる。
以下、ガスバリア積層体の各構成要素について、詳細に説明する。
〔ポリエステルフィルム〕
本発明のガスバリア積層体は、基材層として、面配向度(ΔP)が160〜180であり、かつ縦配向度(ΔnP)が60〜80であるポリエステルフィルムを備える。
ポリエステルフィルムの面配向度(ΔP)が160以上であることで、ポリエステルフィルムのガスバリア性及び全光線透過率を高めることができる。一方、面配向度(ΔP)が180を超えると、ポリエステルフィルム表面に無機薄膜を積層したとき、十分なガスバリア性を得ることができない。
ポリエステルフィルムの縦配向度(ΔnP)が60以上であることで、ポリエステルフィルムのガスバリア性及び全光線透過率を高めることができる。一方、縦配向度(ΔnP)が80を超えると、ポリエステルフィルム表面に無機薄膜を積層したとき、十分なガスバリア性を得ることができない。
ポリエステルフィルムの面配向度(ΔP)は、ガスバリア積層体のガスバリア性及び全光線透過率をより高める観点から、160〜175が好ましく、160〜170がより好ましく、160〜165が更に好ましい。
ポリエステルフィルムの縦配向度(ΔnP)は、ガスバリア積層体のガスバリア性及び全光線透過率をより高める観点から、61.5〜80が好ましく、65〜77がより好ましく、67〜75が更に好ましい。
ポリエステルフィルムの面配向度(ΔP)及び縦配向度(ΔnP)は、ポリエステルフィルムを製造する過程におけるポリエステルフィルムの延伸倍率、延伸温度、ポリエステルの結晶化温度等を調整することで、上記範囲とすることができる。ポリエステルフィルムの製造方法及び延伸方法の詳細は、後述する。
ポリエステルフィルムの面配向度(ΔP)及び縦配向度(ΔnP)は、次のようにして求めることができる。
JIS K 7142−1996 5.1(A法)により、ナトリウムD線を光源とし、アッベ屈折計により、ポリエステルフィルム長手方向の屈折率(nx)、幅方向の屈折率(ny)、及び厚み方向の屈折率(nz)を測定する。測定結果を下記式に当てはめることで、面配向度(面配向係数ともいう;ΔP)及び縦配向度(縦面配向係数ともいう;ΔnP)を算出することができる。
ΔP=((nx+ny)/2−nz)×1000
Δnp=(nx−(ny+nz)/2)×1000
ポリエステルフィルムに使用するポリエステルは、ホモポリエステルであっても共重合ポリエステルであってもよい。ホモポリエステルからなる場合、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを重縮合させて得られるものが好ましい。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などが挙げられ、脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。代表的なポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)等が例示される。一方、共重合ポリエステルのジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、フタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、セバシン酸、オキシカルボン酸(例えば、P−オキシ安息香酸など)等の一種または二種以上が挙げられ、グリコール成分として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール等の一種または二種以上が挙げられる。何れにしても本発明でいうポリエステルとは、通常60モル%以上、好ましくは80モル%以上がエチレンテレフタレート単位であるポリエチレンテレフタレート等であるポリエステルを指す。
(固有粘度)
ポリエステルフィルムは、ガスバリア積層体のガスバリア性及び全光線透過率をより高める観点から、固有粘度(IV)が0.610〜0.750dl/gであることが好ましい。
ポリエステルフィルムの固有粘度(IV)が大きいことは、ポリエステルの平均分子量が大きいか、または、低分子量体が少ないことを意味する。従って、ポリエステルフィルムに積層する無機薄膜を、蒸着等の高い熱エネルギーを持って堆積又は積層する無機薄膜の下地としては強固なものとなり易いことから、無機蒸着膜(例えば、シリカ蒸着膜)の成長を阻害しにくい。そのため、ポリエステルフィルムのIV値が0.610dl/g以上であれば、無機蒸着膜が十分成長し、より水蒸気バリア性の高い膜を形成し易い。
一方、フィルムIV値が0.750dl/g以下であることで、ポリエステルの柔軟性を損ないにくいため、ポリエステルフィルムを製膜し易い。
当該固有粘度(IV)は、0.620〜0.700dl/gがより好ましく、0.625〜0.670dl/gが更に好ましい。
ポリエステルフィルムの固有粘度(IV)は、ポリエステルの重合度、低分子量体の含有量等を調整することにより、上記範囲とすることができる。
ポリエステルの重合度及び低分子量体の含有量は、ポリエステルフィルムの原料であるポリエステルの重合条件(重合温度、反応時間、触媒量、触媒種、添加剤等)を調整したり、固相重合法等のような原料の製造工程自体等を変更することにより、調整することができる。また、適当な原料を選択することによって製膜した後のポリエステルフィルムの固有粘度(IV)を調整することができる。
(層構成)
ガスバリア積層体の基材層を構成するポリエステルフィルムは、単層であってもよいし、ポリエステルフィルムを2層以上積層した多層であってもよいが、ガスバリア性をより高める観点から、ポリエステルフィルムは少なくとも3層以上の積層構成であることが好ましい。
また、ポリエステルフィルムを3層以上とする場合は、両最表層のポリエステルフィルムの軟化点が、中間層のポリエステルフィルムの軟化点よりも高いことが更に好ましい。両最表層のポリエステルフィルムと、中間層のポリエステルフィルムとの軟化点の差は3℃以上であることが好ましく、5℃以上であることがより好ましい。
多層ポリエステルフィルムの各ポリエステル層の軟化点は、次のようにして測定することができる。
フィルム小片をエポキシ樹脂にて固定成形した後、ミクロトームで切断し、フィルムの断面を透過型電子顕微鏡写真にて観察する。その断面のうちフィルム表面とほぼ平行に2本、明暗によって界面が観察される。その2本の界面とフィルム表面までの距離を10枚の写真から測定し、平均値を積層厚さとする。このようにして、多層ポリエステルフィルムの層構成を確認した後、露出したフィルム断面において、各ポリエステル層の中央部1箇所をNano Navi II/E−Sweep/nano−TA2(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製)を用いて、下記測定条件により測定を行い、N=3の平均値をもって、ポリエステル層の軟化点とする。なお、測定値に関しては、得られた測定チャートより、昇温カーブと降温カーブとの各々のカーブにおける接線を引き、接線の交点を求める。次に得られた接線の交点を通り、測定温度軸と垂直に交わる点をもって、軟化点とする。
(測定条件)
昇温速度:5℃/sec
探針:サーマルカンチレバーAN2−200
測定温度範囲:常温(23℃)〜300℃
測定雰囲気:大気圧
両最表層のポリエステルフィルムと、中間層のポリエステルフィルムとの軟化点の差を3℃以上とするための具体的手法として、両外層を構成するポリエステルフィルムを、オリゴマー(環状三量体)含有量が少ないポリエステルを多く含有するフィルムとすることが挙げられる。具体的には、ポリエステルフィルム1層中に、「オリゴマー(環状三量体)の含有量が0.5重量%以下であるポリエステル」を80重量%以上含有することが好ましく、これにより、前記軟化点の差をより大きくすることができる。
オリゴマー含有量が0.5重量%以下であるポリエステルを使用することで、また、当該ポリエステルの含有量が80重量%以上であることで、高い張力がかかる条件下でのスパッタリング工程及び、過酷な条件下でのガスバリア積層体の使用に関して、所望する耐久性を確保し易い。
(表面オリゴマー量)
更に、ポリエステルフィルムは、表面オリゴマー量が3.0mg/m以下であることが好ましい。表面オリゴマー量とは、ポリエステルフィルム表面に、4mlのDMF(ジメチルスルホアミド)を接触させ、3分間放置することで、DMFに析出するポリエステルオリゴマーの単位面積当たりの析出量(表面析出オリゴマー量)をいう。表面オリゴマー量の測定方法の詳細は後述する。
当該表面オリゴマー量は、基材層が2層以上のポリエステルフィルムで構成されている場合は、基材層全層となる多層ポリエステルフィルム中の量であり、基材層が1層のポリエステルフィルムで構成されている場合は、基材層全層となる単層ポリエステルフィルム中の量である。
ポリエステルフィルムに無機薄膜を積層する際に、無機薄膜を、真空蒸着等の加熱環境下で積層する場合、ポリエステルフィルムに一定以上の熱がかかるため、熱せられたフィルムから、内包されていたポリエステルオリゴマーが、ポリエステルフィルム表面に析出し結晶化することがある。従って、表面オリゴマーが少ないほど、ポリエステルオリゴマーの結晶に起因する無機蒸着膜の成長の阻害を抑制し、ポリエステルフィルム表面からポリエステルオリゴマーが脱落することに起因するポリエステルフィルムの空洞を抑制することができる。よって、ポリエステルフィルムの表面オリゴマー量を3.0mg/m以下とすることで、ガスバリア積層体のガスバリア性をより高めることができる。
ポリエステルフィルムの表面オリゴマー量は、少ないほど良く、2.3mg/m以下であることがより好ましく、1.9mg/m以下であることが更に好ましい。
ポリエステルフィルムの表面オリゴマー量は、ポリエステルフィルムの原料であるポリエステルの重合条件(重合温度、反応時間、触媒量、触媒種、添加剤等)を調整したり、固相重合法等のような原料の製造工程自体等を変更することにより、ポリエステル中のオリゴマー(環状三量体)の量を低減させることができ、また、当該原料を用いることで、ポリエステルフィルムの表面オリゴマー量を調整することができる。
既述のように、本発明においては、ポリエステルフィルムは3層以上の多層構成であることが望ましいが、その場合、ポリエステルフィルムは、1層以上の中間層と、中間層を挟む2つの表層で構成される。このとき、通常、多層ポリエステルフィルムは、中間層と表層とで適当な原料を組み合わせて二軸押出しで製膜するが、中間層のポリエステルフィルムが、例えば、3.0mg/mを超えるオリゴマーを含有していても、表層のポリエステルフィルム中のオリゴマー量を3.0mg/m以下の含有量とすることでポリエステルフィルム全体として、表面オリゴマー量を低減することができる。更には、ポリエステルフィルムの表面層にオリゴマー析出防止のコーティングを施すことによっても表面オリゴマーの低減が可能である。
(ポリエステルフィルム中の粒子)
ポリエステルフィルム中(基材層が2層以上のポリエステルフィルムで構成されている場合は、1層以上のポリエステルフィルム中)には、易滑性付与を主たる目的として、粒子が含有されていることが好ましい。ポリエステルフィルムに含有する粒子の種類は易滑性付与可能な粒子であれば特に限定されるものではなく、具体例としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、カオリン、酸化アルミニウム、酸化チタン等の粒子が挙げられる。また、特公昭59−5216号公報、特開昭59−217755号公報等に記載されている耐熱性有機粒子を用いてもよい。この他の耐熱性有機粒子の例として、熱硬化性尿素樹脂、熱硬化性フェノール樹脂、熱硬化性エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等が挙げられる。さらに、ポリエステル製造工程中、触媒等の金属化合物の一部を沈殿、微分散させた析出粒子を用いることもできる。
粒子の形状に関しては、特に限定されるわけではなく、球状、塊状、棒状、扁平状等のいずれを用いてもよい。また、その硬度、比重、色等についても特に制限はない。これら一連の粒子は、必要に応じて2種類以上を併用してもよい。
ポリエステルフィルム中に含有される粒子の平均粒径は、0.2〜4μmの範囲であることが好ましい。平均粒径が0.2μm以上であることで、フィルム表面が過度に平坦化、することを抑制することができ、フィルム製造工程における巻き特性を損ねにくい。一方、平均粒径が4μm以下であることで、フィルム中に含まれる粒子起因の突起形成することを抑制することができ、フィルム上に積層する蒸着層などの無機薄膜が、所望するバリア性能を発現し易くなる。
粒子の平均粒径は、粒度分布測定装置を用いて測定される平均粒径d50として確認することができる。
さらに、ポリエステルフィルム中の粒子含有量は、通常0.001〜5重量%であり、好ましくは0.005〜3重量%の範囲である。
当該粒子含有量は、基材層が2層以上のポリエステルフィルムで構成されている場合は、基材層全層となる多層ポリエステルフィルム中の量であり、基材層が1層のポリエステルフィルムで構成されている場合は、基材層全層となる単層ポリエステルフィルム中の量である。
ポリエステルフィルム中の粒子含有量が0.001重量%以上であることで、フィルムの易滑性が十分に得られ、一方、5重量%以下であることで、所望するバリア性能を損ねにくい。
ポリエステルフィルム中に粒子を添加する方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を採用しうる。例えば、ポリエステルを製造する任意の段階において添加することができるが、好ましくはエステル化の段階、もしくはエステル交換反応終了後に粒子を添加する。
また、ベント付き混練押出機を用い、エチレングリコールまたは水などに分散させた粒子のスラリーとポリエステル原料とをブレンドする方法、または、混練押出機を用い、乾燥させた粒子とポリエステル原料とをブレンドする方法などによって、ポリエステルフィルム中に粒子を添加することができる。
なお、本発明におけるポリエステルフィルム中には上述の粒子以外に必要に応じて従来公知の酸化防止剤、帯電防止剤、熱安定剤、潤滑剤、染料、顔料等を添加することができる。
(厚み)
ポリエステルフィルム厚みに関しては、フィルムとして製膜可能な範囲であれば特に限定されるものではないが、用途上、9〜250μmの範囲が好ましく、さらに好ましくは12〜125μmの範囲がよい。
ポリエステルフィルムの厚さは、フィルム小片をエポキシ樹脂にて固定成形した後、ミクロトームで切断し、フィルムの断面を透過型電子顕微鏡写真にて観察することにより測定することができる。
ポリエステルフィルムが多層構成である場合、フィルム断面のうち、フィルム表面とほぼ平行に1本以上の界面が、明暗によって観察される。例えば、ポリエステルフィルムが3層構成であるときは、2本、明暗によって界面が観察される。その1本以上の界面とフィルム表面までの距離を10枚の写真から測定し、平均値を積層厚さとして求めることができる。
(表面粗さ)
ポリエステルフィルム表面は、平均粗さ(Sa)、最大粗さ(St)、実効面積(S/A)等により確認することができ、凹凸が少ないことが好ましい。特に、ポリエステルフィルムは、ポリエステルフィルム表面の投影面積Aと、実面積Sとの比である実効面積(S/A)が1.0010以下であることが好ましい。
実効面積(S/A)は、観察エリアの実面積(凹面と凸面を含む全面積)Sと、ポリエステルフィルムの観察エリアの投影面積Aとの比を表し、この値が大きいほどポリエステルフィルムの表面積が大きいということを意味する。
一方、ポリエステルフィルムに積層する無機薄膜を蒸着により積層する場合、無機薄膜(例えば、シリカ蒸着膜)はポリエステルフィルム全面に、均質に積層することから、ポリエステルフィルムの表面積が小さいほど、無機薄膜の実質厚みが厚くなり、水蒸気バリア性能が向上する。また、ポリエステルフィルム表面の凹凸が少ないほど、シリカ蒸着膜の厚薄の差が大きくなりにくいため、薄い箇所から水蒸気が透過してしまうことを抑制することができる。
かかる観点から、ポリエステルフィルムの実効面積(S/A)は、1.0009以下であることがより好ましい。
ポリエステルフィルムの実効面積(S/A)を上記範囲にするためには、例えばポリエステルの製造において添加する粒子の粒子径、添加量等を調整すればよい。またポリエステルフィルム製造におけるキャストロール表面粗さを変更することにより、調整することもできる。
ポリエステルフィルムの表面粗さは、例えば、非接触表面計測システム「日立化成株式会社製Vertscan)」を用いることにより測定することができる。
(ポリエステルフィルムの製造方法)
次にバリアフィルムを構成するポリエステルフィルムの製造方法について具体的に説明するが、以下の製造例に何ら限定されるものではない。
まず、先に述べたポリエステル原料を使用し、ダイから押し出された溶融シートを冷却ロールで冷却固化して未延伸シートを得る方法が好ましい。この場合、シートの平面性を向上させるためシートと回転冷却ドラムとの密着性を高める必要があり、静電印加密着法および/または液体塗布密着法が好ましく採用される。
次に、得られた未延伸シートは二軸方向に延伸される。その場合、まず、前記の未延伸シートを一方向にロールまたはテンター方式の延伸機により延伸する。延伸温度は、通常70〜120℃、好ましくは80〜110℃であり、延伸倍率は通常2.5〜7.0倍、好ましくは3.0〜6.0倍である。次いで、一段目の延伸方向と直交する延伸温度は通常70〜170℃であり、延伸倍率は通常3.0〜7.0倍、好ましくは4.0〜6.0倍、さらに好ましくは5.0〜6.0倍である。そして、引き続き180〜270℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、二軸配向フィルムを得る。上記の延伸においては、一方向の延伸を2段階以上で行う方法を採用することもできる。その場合、最終的に二方向の延伸倍率がそれぞれ上記範囲となるように行うのが好ましい。
また、ポリエステルフィルム製造に関しては同時二軸延伸法を採用することもできる。同時二軸延伸法は、前記の未延伸シートを通常70〜120℃、好ましくは80〜110℃で温度コントロールされた状態で機械方向および幅方向に同時に延伸し配向させる方法である。延伸倍率としては、面積倍率で4〜50倍、好ましくは7〜35倍、さらに好ましくは10〜25倍である。そして、引き続き、170〜250℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、延伸配向フィルムを得る。上述の延伸方式を採用する同時二軸延伸装置に関しては、スクリュー方式、パンタグラフ方式、リニアー駆動方式等、従来から公知の延伸方式を採用することができる。
さらに上述のポリエステルフィルムの延伸工程中にフィルム表面を処理する、いわゆる塗布延伸法(インラインコーティング)を施すことができる。塗布延伸法によりポリエステルフィルム上に塗布層が設けられる場合には、延伸と同時に塗布が可能になると共に塗布層の厚みを延伸倍率に応じて薄くすることができ、ポリエステルフィルムとして好適なフィルムを製造できる。
〔無機薄膜〕
本発明のガスバリア積層体は、ポリエステルフィルムの少なくとも一方の表面に、無機薄膜を備える。
無機薄膜を構成する無機物質としては、珪素、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、錫、ニッケル、チタン、又は、これらの酸化物、炭化物、窒化物、あるいは、これらの混合物が挙げられる。中でも、無機物質は、基材層であるポリエステルフィルムとの相互作用及び密着性の観点から、酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、酸化炭化珪素、酸化窒化炭化珪素、酸化アルミニウム、ダイアモンドライクカーボンであることが好ましい。特に、酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、酸化炭化珪素、酸化窒化炭化珪素、及び酸化アルミニウムは、高いガスバリア性が安定に維持できる点で好ましい。
ポリエステルフィルム表面上に無機薄膜を形成する方法としては、蒸着法、コーティング法等の方法がいずれも使用できるが、ガスバリア性の高い均一な無機薄膜を得る観点から、蒸着法が好ましい。蒸着法には、真空蒸着、イオンプレーティング、スパッタリング等のPVD(物理的気相蒸着)、又は、プラズマを利用したプラズマCVD、加熱触媒体を用いて材料ガスを接触熱分解する触媒化学気相成長法(Cat−CVD)等のCVD(化学的気相蒸着)等の方法が含まれる。
無機薄膜の厚みは、一般に0.1〜500nm程度であるが、好ましくは1〜150nm、より好ましくは5〜70nmである。上記範囲内であれば、十分なガスバリア性が得られ、また、無機薄膜に亀裂や剥離を発生させることなく、透明性にも優れ、ガスバリア積層体の全光線透過率を高めることができる。
無機薄膜は単層からなるもの、2層以上からなるもののいずれであってもよい。また、無機薄膜が2層以上からなる場合は、同一の層でも異なる層でもよい。
無機薄膜は、ポリエステルフィルム表面との密着性を高め、ガスバリア積層体の水蒸気バリア性及び酸素バリア性を向上する観点から、アンカーコート層が形成されたポリエステルフィルム上の、アンカーコート層上に設けられていてもよい。
アンカーコート層は、例えば、アクリルポリオールと、イソシアネ−ト系化合物とを含む組成物を、無機薄膜を積層する側のポリエステルフィルム表面に付与することで形成することができる。
しかし、既述のように、本発明のガスバリア積層体の基材層として用いるポリエステルフィルムは、面配向度が160〜180であり、かつ縦配向度が60〜80であることにより、無機薄膜とポリエステルフィルムとが強固に密着している。
従って、無機薄膜は、ポリエステルフィルムに隣接していることが好ましい。すなわち、アンカーコート層を介さずに、無機薄膜がポリエステルフィルム表面に直接積層されていることが好ましい。ガスバリア積層体がアンカーコート層を有しないことで、ガスバリア積層体を軽量化することができ、また、アンカーコート層の存在によるガスバリア積層体への異物の混入を抑制することができる。
無機薄膜の表面には、必要に応じ保護樹脂層を有していてもよい。
この保護樹脂層は、無機薄膜にバリア安定性、接着性、耐水性、耐水接着性、耐擦傷性、ガスバリア向上効果、光学調整層、上塗り剤との密着性、印刷適性、帯電防止性等を付与させるために形成される。
保護樹脂層は、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、イソシアネート系樹脂、オキサゾリン系樹脂、カルボジイミド系樹脂、アルコール性水酸基含有樹脂及びアイオノマー樹脂の中から選ばれる少なくとも1種を含む塗工液を、前記無機薄膜表面に塗布し、乾燥することにより形成することができる。
本発明のガスバリア積層体の全体の厚みは、用途に応じて適宣選定されるが、ガスバリア性、強度、柔軟性、透明性、経済性等の観点から、通常5〜500μm程度、好ましくは10〜300μmである。また、幅や長さに特に制限はなく、用途に応じて適宜選定される。
(ガスバリア積層体のガスバリア性)
本発明のガスバリア積層体は、既述の特定の配向性を有するポリエステルフィルムに無機薄膜を積層した構成であることで、優れたガスバリア性と高い全光線透過率を有する。ガスバリア性としては、特に水蒸気バリア性に優れるものであるが、酸素バリア性にも優れるため、例えば、本発明のガスバリア積層体を食品包装用フィルムに用いた場合、食品の酸化劣化を抑制することができる。
本発明のガスバリア性積層体の水蒸気バリア性は、JIS Z0222「防湿包装容器の透湿度試験方法」、JIS Z0208「防湿包装材料の透湿度試験方法(カップ法)」の諸条件に準じて、水蒸気透過率を測定することにより、確認することができる。
また、本発明のガスバリア性積層体は、JIS K 7126 B法に準じて、例えば、酸素透過率測定装置(MOCON社製「OX−TRAN 2/21型酸素透過率測定装置」)により、温度25℃、相対湿度80%の条件下で、酸素透過率〔cc/(m・24hr・atm)〕を測定することにより判断することができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。なお、以下の実施例におけるフィルムの評価方法は、次の通りである。
<ポリエステル原料の製造>
ポリエステルフィルムを製造するためのポリエステル原料として、次のポリエステル(A)〜(C)を製造した。
〔ポリエステル(A)の製造方法〕
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒として酢酸マグネシウム・四水塩0.09重量部を反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物にエチルアシッドフォスフェート0.04部を添加した後、三酸化アンチモン0.04部を加えて、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、固有粘度0.63に相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させた。得られたポリエステル(A)の固有粘度は0.63、エステル環状三量体の含有量は0.97重量%であった。
〔ポリエステル(B)の製造方法〕
ポリエステル(A)を、あらかじめ160℃で予備結晶化させた後、温度220℃の窒素雰囲気下で固相重合し、固有粘度0.85、エステル環状三量体の含有量が0.46重量%のポリエステル(B)を得た。
〔ポリエステル(C)の製造方法〕
ポリエステルAの製造方法において、エチルアシッドフォスフェート0.04部を添加後、エチレングリコールに分散させた平均粒径(d50)が3.2μmのシリカ粒子を0.6部、三酸化アンチモン0.04部を加えて、固有粘度0.65に相当する時点で重縮合反応を停止した以外は、ポリエステルAの製造方法と同様の方法を用いてポリエステル(C)を得た。得られたポリエステル(C)は、固有粘度0.65、エステル環状三量体の含有量は0.89重量%であった。
<ポリエステルの物性測定>
ポリエステル(C)の製造に用いたシリカ粒子の平均粒径(d50)と、ポリエステル(A)〜(C)の固有粘度及びエステル環状三量体の含有量は、次のようにして求めた。
〔平均粒径(d50)〕
島津製作所製遠心沈降式粒度分布測定装置(SA−CP3型)を用いて測定した等価球形分布における積算体積分率50%の粒径を平均粒径d50とした。
〔固有粘度〕
ポリエステル(A)〜(C)の固有粘度(dl/g)は、ポリエステルフィルムを構成するポリエステルに非相溶な他のポリマー成分および顔料を除去したポリエステル1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量比)の混合溶媒100mlで当該ポリエステル1gを溶解させ、30℃で測定した。
〔エステル環状三量体の含有量〕
ポリエステル(A)〜(C)をそれぞれ約200mg秤量し、クロロホルム/HFIP(ヘキサフルオロ−2−イソプロパノル)の比率3:2の混合溶媒2mlに溶解させた。溶解後、クロロホルム20mlを追加した後、メタノール10mlを少しずつ加えた。沈殿物を濾過により除去し、さらに、沈殿物をクロロホルム/メタノールの比率2:1の混合溶媒で洗浄し、濾液・洗浄液を回収し、エバポレーターにより濃縮、その後、乾固させた。乾固物をDMF(ジメチルホルムアミド)25mlに溶解後、この溶液を液体クロマトグラフィー(株式会社島津製作所製「LC−7A」)に供給して、DMF中のエステル環状三量体量を求めた。
得られたエステル環状三量体量をクロロホルム/HFIP混合溶媒に溶解させたポリエステル原料量で割って、含有エステル環状三量体量(重量%)とした。DMF中のエステル環状三量体量は、標準試料ピーク面積と測定試料ピーク面積のピーク面積比より求めた(絶対検量線法)。
標準試料の作成は、あらかじめ分取したエステル環状三量体を正確に秤量し、正確に秤量したDMFに溶解し作成した。
なお、液体クロマトグラフの条件は下記のとおりとした。
移動相A:アセトニトリル
移動相B:2%酢酸水溶液
カラム:三菱化学株式会社製「MCI GEL ODS 1HU」
カラム温度:40℃
流速:1ml/分
検出波長:254nm
<ポリエステルフィルムの製造>
〔ポリエステルフィルムF1の製造〕
ポリエステル(B)、(C)をそれぞれ90重量%、10重量%の割合でブレンドした原料を表層原料とし、ポリエステル(A)100重量%の原料を中間層の原料として、2台のベント付き押出機に供給し、290℃で溶融押出した後、静電印加密着法を用いて表面温度を40℃に設定した冷却ロール上で冷却固化して無定形フィルムを得た。
このフィルムを85℃で縦方向に3.7倍延伸した。その後、フィルムをテンターに導き、100℃で横方向に5.2倍延伸し、230℃で熱処理した後に、横方向に2%の弛緩処理を行い、厚さ23μm(厚み構成比=3μm/17μm/3μm)のポリエステルフィルムF1を得た。
〔ポリエステルフィルムF2の製造〕
ポリエステルフィルムF1の製造において、表層原料及び中間層原料の押出量を変更し、2軸延伸後のポリエステルフィルムの厚さ50μm(厚み構成比=6μm/38μm/6μm)に調整した以外は同様にして、ポリエステルフィルムF2を得た。
〔ポリエステルフィルムF3の製造)
ポリエステルフィルムF1の製造において、表層原料及び中間層原料の押出量を変更し、縦方向に4.5倍延伸、横方向に4.3倍延伸して、2軸延伸後のポリエステルフィルムの厚さ10μm(厚み構成比=2μm/6μm/2μm)に調整した以外は同様にして、ポリエステルフィルムF3を得た。
〔ポリエステルフィルムF4の製造)
ポリエステルフィルムF3の製造において、表層原料及び中間層原料の押出量を変更し、2軸延伸後のポリエステルフィルムの厚さ25μm(厚み構成比=5μm/15μm/5μm)に調整した以外は同様にして、ポリエステルフィルムF4を得た。
〔ポリエステルフィルムF5の製造)
ポリエステルA、Cをそれぞれ80重量%、20重量%の割合でブレンドした原料を表層原料とし、ポリエステルA100重量%の原料を中間層の原料として、2台のベント付き押出機に供給し、290℃で溶融押出した後、静電印加密着法を用いて表面温度を40℃に設定した冷却ロール上で冷却固化して無定形フィルムを得た。
このフィルムを85℃で縦方向に3.0倍延伸した。その後、フィルムをテンターに導き、100℃で横方向に5.2倍延伸し、230℃で熱処理した後に、横方向に2%の弛緩処理を行い、厚さ12μm(厚み構成比=1μm/10μm/1μm)のポリエステルフィルムF5を得た。
なお、ポリエステルフィルムF1〜F5の積層ポリエステルフィルム厚みは、次のようにして測定した。
フィルム小片をエポキシ樹脂にて固定成形した後、ミクロトームで切断し、フィルムの断面を透過型電子顕微鏡写真にて観察した。その断面のうちフィルム表面とほぼ平行に2本、明暗によって界面が観察される。その2本の界面とフィルム表面までの距離を10枚の写真から測定し、平均値を積層厚さとした。
<ガスバリア積層体の製造>
〔実施例1〕
基材フィルムとして、ポリエステルフィルムF1を用い、次いで、真空蒸着装置を使用して1.33×10−3Pa(1×10−5Torr)の真空下でSiOを加熱蒸発させ、ポリエステルフィルム表面上に厚み50nmのSiOx(x=1.5)の金属酸化物薄膜(無機薄膜)が隣接するガスバリア積層体を得た。
〔実施例2〕
基材フィルムとして、ポリエステルフィルムF2を用いた以外は実施例1と同様にして、ガスバリア積層体を得た。
〔実施例3〕
基材フィルムとして、ポリエステルフィルムF3を用いた以外は実施例1と同様にして、ガスバリア積層体を得た。
〔実施例4〕
基材フィルムとして、ポリエステルフィルムF4を用いた以外は実施例1と同様にして、ガスバリア積層体を得た。
〔比較例1〕
基材フィルムとして、ポリエステルフィルムF5を用いた以外は実施例1と同様にして、ガスバリア積層体を得た。
<ガスバリア積層体の評価>
〔フィルム表面の平均粗さ(Sa)、最大粗さ(St)、実効面積(S/A)〕
実施例及び比較例のガスバリア積層体の製造に用いたポリエステルフィルムについて、非接触表面計測システムを用いて、フィルム表面の平均粗さ(Sa)、最大粗さ(St)、実効面積(S/A)を計測した。
非接触表面計測システムは、直接位相検出干渉法、いわゆるマイケルソンの干渉を利用した2光束干渉法を用いた、非接触表面計測システム「日立化成社株式会製Vertscan)」を使用した。
〔固有粘度IV〕
実施例及び比較例のガスバリア積層体の製造に用いたポリエステルフィルムの固有粘度(dl/g)は、ポリエステルフィルムを構成するポリエステルに非相溶な他のポリマー成分および顔料を除去したポリエステル1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(質量比)の混合溶媒100mlで当該ポリエステル1gを溶解させ、30℃で測定した。
〔表面オリゴマー量〕
実施例及び比較例のガスバリア積層体の製造に用いたポリエステルフィルムの表面オリゴマー量は、次のようにして測定した。
まず、ポリエステルフィルムを空気中、180℃で10分間加熱した。その後、加熱した当該フィルムを、上部が開いた縦横10cm、高さ3cmの箱になるように、測定面(無機薄膜を積層する側の表面)を内面として箱形の形状を作成した。次いで、作成した箱の中にDMF(ジメチルスルホアミド)4mlを入れて3分間放置した後、DMFを回収し、液体クロマトグラフィー供給して、DMF中のオリゴマー量を求めた。
液体クロマトグラフィーの使用装置及び測定条件は次のとおりである。
液体クロマトグラフィー:株式会社島津製作所製、LC−7A
移動相A:アセトニトリル
移動相B:2%酢酸水溶液
カラム:三菱化学株式会社製『MCI GEL ODS 1HU』
カラム温度:40℃
流速:1ml/分
検出波長:254nm
得られたオリゴマー量を、DMFを接触させたフィルム面積で割って、フィルム表面オリゴマー量(mg/m)とした。
DMF中のエステル環状三量体は、標準試料ピーク面積と測定試料ピーク面積のピーク面積比より求めた(絶対検量線法)。なお、標準試料の作成は、予め分取したエステル環状三量体を正確に秤量し、正確に秤量したDMFに溶解し、作成した。
〔MOR〕
実施例及び比較例のガスバリア積層体の製造に用いたポリエステルフィルムについて、王子計測機器株式会社製マイクロ波方式の分子配向計(型式:MOA−6015)を用いて、MOR値を測定した。
〔面配向度(ΔP)及び縦配向度(ΔnP)〕
実施例及び比較例のガスバリア積層体の製造に用いたポリエステルフィルムの面配向度(ΔP)及び縦配向度(ΔnP)は、次のようにして測定した。
JIS K 7142−1996 5.1(A法)により、ナトリウムD線を光源とし、アッベ屈折計により、ポリエステルフィルム長手方向の屈折率(nx)、幅方向の屈折率(ny)、及び厚み方向の屈折率(nz)を測定した。測定結果を下記式に当てはめることで、面配向度(面配向係数ともいう;ΔP)及び縦配向度(縦面配向係数ともいう;ΔnP)を算出した。
ΔP=((nx+ny)/2−nz)×1000
△np=(nx−(ny+nz)/2)×1000
〔水蒸気透過率〕
実施例及び比較例のガスバリア積層体の水蒸気バリア性は、JIS Z0222「防湿包装容器の透湿度試験方法」、JIS Z0208「防湿包装材量の透湿度試験方法(カップ法)」の諸条件に準じ、次の手法で評価した。
厚さ60μmの無軸延伸ポリプロピレン(CPP)フィルム(東洋紡績(株)製「P1146」)の表面に、ウレタン系接着剤〔東洋モートン(株)製AD900とCAT−RT85を、D900:CAT−RT85=10:1.5(重量比)の割合で配合したもの〕を塗布し、次いで乾燥し、厚さ約3μmの接着剤層を形成した。
この接着剤層上に実施例及び比較例のガスバリア積層体の無機薄膜層側が接着剤層と隣接するようにラミネートし、水蒸気バリア性評価用の試料フィルムを得た。
透湿面積10.0cm×10.0cm角の各試料フィルムを2枚用い、吸湿剤として無水塩化カルシウム約20gを入れ四辺を封じた袋を作製し、その袋を温度40℃相対湿度90%の恒温恒湿装置に入れ、48時間以上間隔で重量増加がほぼ一定になる目安として14日間まで、質量測定(0.1mg単位)し、水蒸気透過率を下記式から算出した。
水蒸気透過率[g/m/day]=(m/s)/t
m;試験期間最後2回の秤量間隔の増加質量(g)
s;透湿面積(m
t;試験期間最後2回の秤量間隔の時間(h)/24(h)
〔全光線透過率〕
実施例及び比較例のガスバリア積層体の全光線透過率は、JIS K7105に準じて測定した。
Figure 2018138367
表1より、面配向度が160〜180であり、かつ縦配向度が60〜80であるポリエステルフィルムに無機薄膜を積層した実施例のガスバリア積層体は、水蒸気透過率が1.20g/m/dayよりも低く、水蒸気バリア性に優れると共に、全光線透過率はいずれも80%以上であり、高い全光線透過率を有することがわかった。
本発明のガスバリア積層体は、高い水蒸気バリア性及び高い全光線透過率を有することから、医薬品、食品、工業用品等の変質を防止するための包装用として好適に使用でき、特に、食品包装用に好適である。

Claims (5)

  1. 面配向度が160〜180であり、かつ縦配向度が60〜80であるポリエステルフィルムと、
    前記ポリエステルフィルムの少なくとも一方の表面に、無機薄膜と
    を備えるガスバリア積層体。
  2. 前記ポリエステルフィルムは、固有粘度(IV)が0.610〜0.750dl/gである請求項1に記載のガスバリア積層体。
  3. 前記ポリエステルフィルムは、表面オリゴマー量が3.0mg/m以下である請求項1又は2に記載のガスバリア積層体。
  4. 前記ポリエステルフィルムは、実面積Sと、表面の投影面積Aとの比である実効面積(S/A)が1.0010以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載のガスバリア積層体。
  5. 前記無機薄膜が、前記ポリエステルフィルムに隣接している請求項1〜4のいずれか1項に記載のガスバリア積層体。
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