JP2000063567A - 天然ゴムラテックスおよびそれを用いたゴム製品 - Google Patents

天然ゴムラテックスおよびそれを用いたゴム製品

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アレルギーが発生することのない天然ゴム製
品を提供することのできる天然ゴムラテックスと、水溶
性蛋白質に起因するアレルギーの発現を防止した天然ゴ
ム製品を提供する。 【解決手段】 本発明の天然ゴムラテックスは、多孔質
のフィロケイ酸塩を含有することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水溶性蛋白質に起
因するアレルギーの発生を抑制した天然ゴムラテックス
と、それを用いたゴム製品に関する。
【0002】
【従来の技術】天然ゴムは、伸びが大きい、弾性が高
い、皮膜の強さが良好である等の特徴を有しており、タ
イヤ、ベルト、粘着剤、接着剤等の工業用品から、手袋
等の家庭用品、手袋、カテーテル等の医療用具等に至る
幅広い分野で利用されている。しかし、天然ゴムの原料
である天然ゴムラテックスには水溶性蛋白質等の非ゴム
成分が含まれており、このうち水溶性蛋白質は、呼吸困
難やアナフィラキシー様症状(血管性浮腫、じんまし
ん、虚脱、チアノーゼ等)といったアレルギーを引き起
こすという問題がある。
【0003】とりわけ、天然ゴムラテックスから浸漬方
法(ディッピングプロセス)によって形成されるゴム製
品では水溶性蛋白質の溶出量が多く、アレルギーを引き
起こし易い。さらに、ディッピングプロセスによって形
成されるゴム製品には、手術用手袋、検査用手袋、各種
カテーテル、麻酔用マスク等の医療用具、乳首等の授乳
用具、コンドーム等の避妊具といった、皮膚等に接触し
て使用される製品が多いことから、水溶性蛋白質に起因
するアレルギーは大きな問題となっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】天然ゴム製品から蛋白
質が溶出するのを抑制する方法としては、(a) 天然ゴム
ラテックスの皮膜を形成し、皮膜を乾燥させる前のゲル
状態においてお湯に浸漬して水溶性蛋白質を抽出・除去
するゲルリーチング法、(b) 前記皮膜を乾燥または加硫
した後、お湯に浸漬して水溶性蛋白質を抽出・除去する
ポストリーチング法、および(c) 加硫後のゴム製品の表
面に塩素処理を施す方法が一般的である。
【0005】しかし、上記(a) 〜(c) のいずれの方法
も、ゴム製品の表面部分の蛋白質のみが一時的に洗浄除
去されるのであって、ゴム製品全体での蛋白質の含有量
にはほとんど変化がなく、充分なレベルにまで水溶性蛋
白質を除去することができない。従って、ゴム製品内部
に残存する水溶性の蛋白質が次第に溶出して、アレルギ
ーを引き起こすおそれがある。また、上記(c) の塩素処
理を施した場合にはゴム自体に変色や劣化が生じ、物性
が低下するという問題も生じる。
【0006】そこで、上記(a) 〜(c) の方法に代えて、
例えば(d) 天然ゴムラテックスに酵素を加え、蛋白質分
解処理を施す方法や、(e) シリカ、活性炭、ゼオライト
等の吸着剤を天然ゴムラテックス中に配合し、水溶性蛋
白質を吸着させて除去する方法が提案されている。しか
しながら、上記(d) の方法により蛋白質の分解処理を行
っても水溶性の蛋白質がわずかに残存してしまう。この
水溶性蛋白質は遠心分離処理を繰り返すことで大部分が
除去できるものの、製造工程が増えたり、歩留まりが低
下するため、生産コストが高くなるという問題が生じ
る。上記(e) の方法においても、シリカ等に吸着させた
水溶性蛋白質をラテックスから除去する際に遠心分離処
理が必要になり、コスト面での問題が生じる。また、
(e) の方法では水溶性蛋白質の除去効果が非常に小さ
く、アレルギーの発生を防止するには不十分である。
【0007】そこで本発明の目的は、水溶性蛋白質に起
因するアレルギーが発生するおそれを除去した天然ゴム
製品を形成することのできる天然ゴムラテックスを提供
することである。本発明の他の目的は、水溶性蛋白質の
溶出を抑制し、当該蛋白質に起因するアレルギーの発現
を防止した天然ゴム製品を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意研究を重ねた結果、多孔質のフィ
ロケイ酸塩を配合した天然ゴムラテックスを用いれば、
水溶性蛋白質が溶出するのを大幅に低減したゴム製品を
製造することができるという新たな事実を見出し、本発
明を完成するに至った。
【0009】すなわち、本発明の天然ゴムラテックス
は、多孔質のフィロケイ酸塩を含有するものである。多
孔質のフィロケイ酸塩は、水溶性蛋白質を強固に吸着す
るとともに、天然ゴムラテックス中に存在していても、
かかるラテックスから得られる天然ゴム製品の物性を低
下させることがない。従って、本発明の天然ゴムラテッ
クスによれば、多孔質のフィロケイ酸塩の作用により天
然ゴムラテックス中の水溶性蛋白質を吸着させて溶出し
ないようにすることができ、さらに遠心分離処理を施す
などして前記塩をラテックスから除去する必要がないこ
とから、低コストでもって水溶性蛋白質の溶出を抑制し
た天然ゴムラテックスを得ることができる。
【0010】本発明の天然ゴムラテックスにおいて、フ
ィロケイ酸塩がフィロケイ酸マグネシウムであるとき
は、その含有量が、天然ゴムラテックスのゴム固形分1
00重量部に対して1〜20重量部であるのが好まし
い。本発明のゴム製品は、上記本発明の天然ゴムラテッ
クスを用いたことを特徴とする。
【0011】上記本発明のゴム製品によれば、水溶性蛋
白質が天然ゴムラテックス中に配合されたフィロケイ酸
塩に吸着された状態で存在するため、ゴム手袋の内部に
蛋白質が残存するものの、ゴム製品の外部には溶出しに
くくなる。その結果、溶出蛋白質の量が低減して、アレ
ルギーの発現を抑制することができる。また、前記フィ
ロケイ酸塩が天然ゴム中に残存しても、ゴム製品の物性
(例えば引張強さ、伸び、引張応力等の機械的特性)を
低下させることがない。従って、天然ゴムラテックスか
ら水溶性蛋白質や当該蛋白質を吸着したフィロケイ酸塩
を除去する操作が不必要となり、その結果、低コストで
もってアレルギーの発生を防止したゴム製品を製造する
ことができる。
【0012】なお、天然ゴムラテックス中に含まれる蛋
白質の一部はゴムの分子鎖に結合したものであって、ゴ
ムの強度を高める等の作用を示すと考えられる。また、
分子鎖に結合した蛋白質にはアレルギー作用の心配がな
いと推測されている。一方、水溶性蛋白質はゴムの分子
鎖と結合していない遊離の蛋白質(高分子ポリペプチ
ド)であって、蛋白質のアレルギー作用はこの高分子ポ
リペプチドに特有のものである。本発明において、天然
ゴムラテックス中に存在する水溶性蛋白質は、フィロケ
イ酸塩の粒子に物理的に吸着し、強固に結合すると推測
され、従って、本発明の天然ゴムラテックスを用いてゴ
ム製品を形成した後も水溶性蛋白質が溶出しにくくなる
と推測される。
【0013】
【発明の実施の形態】まず、本発明の天然ゴムラテック
スについて詳細に説明する。本発明に用いられる天然ゴ
ムラテックスは、市販のアンモニア処理ラテックスで
も、新鮮なフィールドラテックスのいずれであってもよ
い。本発明に用いられるフィロケイ酸塩としては、例え
ばフィロケイ酸マグネシウム等が挙げられる。
【0014】本発明におけるフィロケイ酸塩は多孔質な
ものであって、その比表面積が500〜900m2 /g
であるものが好適に用いられる。比表面積が500m2
/gを下回ると、天然ゴムラテックス中での分散性が低
下したり、水溶性蛋白質に対する充分な吸着性能を発揮
できなくなるおそれがある。逆に、比表面積が900m
2 /gを超えるものは、一般に入手が困難である。比表
面積は、上記範囲の中でも特に600〜700m2 /g
であるのが好ましい。フィロケイ酸塩の粒径は特に限定
されないが、ラテックスに配合した場合の沈降性、分散
性等を考慮すれば、その平均粒径が1〜7μmであるの
が好ましく、3〜5μmであるのがより好ましい。
【0015】本発明に使用可能なフィロケイ酸塩の具体
例としては、例えば水澤化学工業(株)製の商品名「ミ
ズカライフP−1」(フィロケイ酸マグネシウム、比表
面積675m2 /g、平均粒径5.6μm)、同社製の
「ミズカライフF−1」等が挙げられる。フィロケイ酸
塩の添加量はその種類によって異なり、特に限定される
ものではないが、通常、天然ゴムラテックスのゴム固形
分100重量部に対して1〜20重量部、好ましくは5
〜10重量部の範囲で設定される。
【0016】フィロケイ酸塩がフィロケイ酸マグネシウ
ムである場合、その添加量は、上記範囲の中でも、天然
ゴムラテックスのゴム固形分100重量部に対して1〜
10重量部となる範囲で設定される。添加量が1重量部
を下回ると、水溶性蛋白質の溶出を充分に抑制できなく
なる。一方、10重量部を超えて添加しても水溶性蛋白
質の溶出を抑制する効果に変化はなく、かえって天然ゴ
ム製品の強度を低下させる等の原因となるおそれがある
ため、好ましくない。本発明の天然ゴムラテックスは、
上記アンモニア処理ラテックスやフィールドラテックス
等にフィロケイ酸塩を配合し、撹拌して充分に分散させ
ることによって得られる。
【0017】フィロケイ酸塩は、水に分散させたスラリ
ーの状態で天然ゴムラテックス中に分散させるのが、ラ
テックス中での分散性を高める上で好ましい。こうして
得られた本発明の天然ゴムラテックスは、さらに必要に
応じて加硫剤、加硫促進剤等の添加剤を加えて、そのま
まディッピングプロセスによる浸漬製品の形成に使用し
たり、ゴム固形分を取り出して生ゴムにするなどして、
天然ゴム製品の形成に供される。
【0018】〔ゴム製品〕次に、本発明の天然ゴム製品
について詳細に説明する。本発明のゴム製品としては、
上記本発明の天然ゴムラテックスを原料として得られる
従来公知の種々のゴム製品が挙げられる。具体的には、
手術用手袋、検査用手袋、各種カテーテル、麻酔用マス
ク等の医療用具;乳首等の授乳用具;コンドーム等の避
妊用具といった浸漬法(ディッピング法)によって形成
されるゴム製品、あるいはラテックス状態から一旦生ゴ
ムに加工した上で形成されるタイヤ、ベルト等の、従来
公知の種々のゴム製品が挙げられる。
【0019】これらのゴム製品は、いずれも常法に従っ
て製造される。本発明のゴム製品において、蛋白質の溶
出量をより一層低減させるには、上記本発明の天然ゴム
ラテックスを用いてゴム製品を成形、加硫した後、得ら
れたゴム製品を水または温水に浸漬して洗浄し、蛋白質
を抽出するのが好ましい。ゴム製品の洗浄は、一般に4
0〜50℃の温水で、30分から2時間程度行われる。
【0020】以下、本発明のゴム製品として、ゴム手袋
の例を挙げて説明する。ゴム手袋の製造方法としては、
上記本発明の、フィロケイ酸塩を含有する天然ゴムラテ
ックスに加硫剤等の各種添加剤を必要に応じて添加した
後、必要に応じて予熱された手袋の型を浸積し、次いで
型を引き上げ、乾燥、加硫する方法が用いられる。
【0021】天然ゴムラテックスに配合される添加剤と
しては、加硫剤のほか、加硫促進剤、加硫促進助剤(活
性化剤)、老化防止剤、充填剤、分散剤等の、従来公知
の種々の添加剤が挙げられる。加硫剤としては、例えば
硫黄や有機含硫黄化合物等が挙げられ、その配合量は、
ゴムラテックスのゴム固形分100重量部に対して0.
5〜3重量部程度であるのが好ましい。加硫促進剤とし
ては、例えばPX(N−エチル−N−フェニルジチオカ
ルバミン酸亜鉛)、PZ(ジメチルジチオカルバミン酸
亜鉛)、EZ(ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛)、B
Z(ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛)、MZ(2−メ
ルカプトベンゾチアゾールの亜鉛塩)、TT(テトラメ
チルチウラムジスルフィド)等が挙げられる。これらは
単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
その配合量は、ゴムラテックスのゴム固形分100重量
部に対して0.5〜3重量部程度であるのが好ましい。
加硫促進助剤としては、例えば亜鉛華等が挙げられる。
その配合量は、ゴムラテックスのゴム固形分100重量
部に対して0.5〜3重量部であるのが好ましい。
【0022】老化防止剤としては、一般に、非汚染性の
フェノール類が好適に用いられるが、アミン類を使用し
てもよい。老化防止剤の配合量は、ゴムラテックスのゴ
ム固形分100重量部に対して0.5〜3重量部程度で
あるのが好ましい。充填剤としては、例えばカオリンク
レー、ハードクレー、炭酸カルシウム等が挙げられる。
その配合量は、ゴムラテックスのゴム固形分100重量
部に対して10重量部以下であるのが好ましい。分散剤
は、上記各添加剤のゴムラテックス中への分散を良好に
するために配合されるものであって、例えば各種陰イオ
ン系界面活性剤等が挙げられる。分散剤の配合量は、分
散対象である成分における重量の0.3〜1重量%程度
であるのが好ましい。
【0023】また、アノード凝着法または感熱化法によ
ってゴム製品を形成することを目的として、本発明の天
然ゴムラテックス中にアノード凝着剤や感熱化剤を添加
してもよい。これらの添加量は、常法に従って調節され
る。手袋を形成するための型としては、例えば陶器製、
セラミック製のもの等が使用可能である。
【0024】ゴム手袋製造時の加硫条件は、ゴム手袋の
厚み(ゴム膜の厚み)に応じて設定されるものであっ
て、特に限定されないが、通常100〜120℃で約3
0〜90分間程度行うのが好ましい。ゴム手袋の厚み
(ゴム膜の厚み)は、ゴム手袋の用途に応じて設定され
るものであって、また直接法、アノード凝着法、感熱化
法等の浸漬方法の種類に応じて限定される。また、ゴム
手袋の物性(伸縮性、引張応力等)も、ゴム手袋の種
類、使用目的等によって適宜調節される。
【0025】本発明のゴム手袋を医療用手袋として使用
する場合には、その膜厚はソフト感を出すことができ、
耐水性等の特性を良好なものとすることができ、かつゴ
ムの破断などのおそれがない範囲で適宜選択され、通常
0.10〜0.50mm、好ましくは0.2〜0.4m
mの範囲で設定される。医療用手袋の伸びは、手袋の着
脱が容易でかつ良好なフィット性を発揮するのに必要な
伸縮性を有するように、700〜1000%であるのが
好ましく、800〜900%であるのがより好ましい。
また、医療用手袋の強度は、装着者の手への手袋の装着
が容易になるように、引張強さTB (MPa)が20M
Pa以上であるのがよい。
【0026】
【実施例】以下、実施例および比較例を挙げて本発明を
説明する。以下の実施例および比較例において、天然ゴ
ムラテックスとしては、ハイアンモニアラテックス〔窒
素含有量(N%)=0.32重量%〕を使用した。加硫
促進剤としては、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛(B
Z)を使用した。老化防止剤としては、フェノール系老
化防止剤(大内新興化学(株)製の商品名「ノクラック
NS−6」)を使用した。
【0027】多孔質のフィロケイ酸塩としては、ケイ酸
マグネシウム(水澤化学工業(株)製の商品名「ミズカ
ライフP−1」、比表面積675m2 /g、平均粒径
5.6μm)を使用した。シリカとしては、(日産化学
(株)製の商品名「スノーテックスN」、比表面積21
0m2 /g、平均粒径20μm)を使用した。タルクと
しては、(丸尾カルシウム製の「微粉タルク」、平均粒
径2μm、天然の含水ケイ酸マグネシウムであって多孔
質ではないもの)を使用した。
【0028】〔基本配合物の作製〕上記天然ゴムラテッ
クスのゴム固形分100重量部に対して、硫黄1重量
部、酸化亜鉛1重量部、加硫促進剤0.5重量部および
老化防止剤1重量部を配合して、基本配合物とした。 〔加硫皮膜の作製〕 実施例1および2 上記基本配合物に、前記フィロケイ酸塩の分散体(水に
対し50重量%のスラリー)を添加し、得られた組成物
を緩やかに撹拌して1日放置した。フィロケイ酸塩の配
合量は、天然ゴムラテックスのゴム固形分100重量部
に対して5重量部(実施例1)および10重量部(実施
例2)となるように調整した。
【0029】上記組成物を1日放置した後、ガラス製シ
ャーレに一定量(乾燥後の膜厚が約0.5mmとなる
量)秤取し、シャーレを水平にして70℃の恒温槽中で
60分間加熱乾燥した。こうして得られた加硫皮膜にお
ける水溶性蛋白質の溶出量(μg/g)を、ASTM
D5712−1995「天然ゴムおよび天然ゴム製品中
の蛋白質分析の標準テスト方法」に準拠して測定した。
なお、上記方法での溶出蛋白質量の検出限界は50μg
/gである。
【0030】さらに、加硫皮膜を40℃のお湯に30分
間程度浸漬して洗浄し、乾燥した後、再度上記方法で溶
出蛋白質量を測定した。 比較例1 上記基本配合物にフィロケイ酸塩を添加しなかったほか
は、実施例1および2と同様にして加硫皮膜を作成し、
溶出蛋白質量の測定を行った。
【0031】比較例2および3 フィロケイ酸塩の分散体に代えて、前記シリカ(比較例
2)またはタルク(比較例3)の分散体(いずれも、水
に対して50重量%のスラリー)を添加したほかは、実
施例1および2と同様にして加硫皮膜を作成し、溶出蛋
白質量の測定を行った。
【0032】〔引張試験〕実施例1、2および比較例1
で得られた加硫皮膜を使用し、JIS K 6251
「加硫ゴムの引張試験方法」に規定の試験片(ダンベル
状4号形)を作製した。この試験片を使用し、同規定の
方法に準拠して、引張強さTB (MPa)、切断時伸び
B (%)、および500%伸び時における引張応力
(500%モジュラス)M500 (MPa)を測定した。
【0033】上記実施例および比較例における溶出蛋白
質量、引張強さ、切断時伸びおよび引張応力の測定結果
を表1に示す。
【0034】
【表1】 表1より明らかなように、実施例1および2では、溶出
した蛋白質の量が水洗前においてもいずれも低く、水洗
することによってアレルギーの発生を充分に抑制できる
レベル(100μg/g)にまで低減することができ
た。特に、実施例5では、検出可能な限界値(50μg
/g)よりも低い値にまで溶出蛋白質量を低減すること
ができた。
【0035】これに対し、多孔質のフィロケイ酸塩を添
加しなかった比較例1や、多孔質のフィロケイ酸塩に代
えて従来の吸着剤であるシリカ、タルクを添加した比較
例2および3では、いずれも溶出蛋白質量が多く、水洗
を1回行ってもアレルギーが生じることのないレベルに
まで溶出蛋白質量を低減することができなかった。
【0036】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
水溶性蛋白質に起因するアレルギーが発生するおそれを
除去したゴム製品と、当該ゴム製品を形成することので
きる天然ゴムラテックスとを低コストでもって提供する
ことができる。従って、本発明の天然ゴムラテックスお
よびゴム製品は、例えば手術用手袋等の、アレルギーの
発現を防止することが強く求められる用途に好適であ
る。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】多孔質のフィロケイ酸塩を含有することを
    特徴とする天然ゴムラテックス。
  2. 【請求項2】前記フィロケイ酸塩の比表面積が500〜
    900m2 /gである請求項1記載の天然ゴムラテック
    ス。
  3. 【請求項3】前記フィロケイ酸塩がフィロケイ酸マグネ
    シウムであって、その含有量が、天然ゴムラテックスの
    ゴム固形分100重量部に対して1〜20重量部である
    請求項1または2記載の天然ゴムラテックス。
  4. 【請求項4】請求項1〜3のいずれかに記載の天然ゴム
    ラテックスを用いたゴム製品。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2002348712A (ja) * 2001-05-24 2002-12-04 Sumitomo Rubber Ind Ltd ゴム手袋
JP2013159693A (ja) * 2012-02-03 2013-08-19 Bridgestone Corp 天然ゴム及びその製造方法、並びにゴム組成物、及びタイヤ
WO2015068123A1 (en) * 2013-11-08 2015-05-14 University Of Moratuwa, Sri Lanka A novel process of reducing extractable proteins from natural rubber latex dipped products

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