JP2000063066A - エスカレータフレームの搬出搬入方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 乗降口の意匠性を損なうことなく、しかも乗
降口での通行の妨げを少なくすることができるようにし
たエスカレータフレームの搬出搬入方法を提供する。 【解決手段】 天井１に地下通路３に沿って複数の電動
チェーンブロック６Ａ〜６Ｌを配置し、所定の大きさに
分割したエスカレータフレーム２のうち、下部屈曲フレ
ーム１９の上部に位置する電動チェーンブロック６Ｉ〜
６Ｋで吊り下げ、これらを操作すると共に、反搬出側の
電動チェーンブロック６Ｉを外しながら搬出側の電動チ
ェーンブロック６Ｌを支持に加えて搬出側の下部乗降口
５側に移動させ、その後、下部乗降口５に配置した運搬
用台車２１，２２で搬出する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、エスカレータフレ
ームの搬出搬入方法に係わり、特に既設エスカレータフ
レームの撤去新設時の運搬に好適なエスカレータフレー
ムの搬出搬入方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来のエスカレータフレームの搬出方法
は、例えば、特開平８−３４５８５号公報に記載されて
いるように、上下部乗降口に巻上げ手段を備えた門形構
造体を設置し、分割したエスカレータフレームをこの門
形構造体間で昇降させながら運搬するものが知られてい
る。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
エスカレータフレームの搬出方法は、上述のようにエス
カレータの上下部乗降口に門形構造体をそれぞれ設置す
るときに、床面にアンカーボルトを打込んで支持する方
法が多く用いられているので、既設建物の床面や柱の表
面が意匠性の高い材料等で仕上げられている場合、支持
のために意匠性を損なってしまう。さらに門形構造体
は、エスカレータフレームを潜らせて使用するため、幅
および高さがエスカレータフレームを台車等に積載した
状態で通過できる大きさにしなければならず、これに対
応するように余裕を持った大きさにすると、乗降口での
占有容積が大きくなり、例えば隣接した稼働中のエスカ
レータがある場合、門形構造体が隣接エスカレータ側に
張り出してしまい、乗客の通行を妨げてしまう。

【０００４】本発明の目的とするところは、乗降口の意
匠性を損なうことなく、しかも乗降口での通行の妨げを
少なくすることができるようにしたエスカレータフレー
ムの搬出搬入方法を提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するために、エスカレータフレームを分割して少なくと
もいずれか一方の乗降口側へ搬出するエスカレータフレ
ームの搬出搬入方法において、搬出通路に沿って天井に
複数の揚重装置を配置し、分割した上記エスカレータフ
レームをその上方部に位置する上記揚重装置で吊り上
げ、上記揚重装置を操作すると共に、順次、反搬出側の
上記揚重装置を釈放しながら搬出側の上記揚重装置を支
持に加えて上記吊り上げたエスカレータフレームを移動
させる搬出作業を含むことを特徴とする。

【０００６】上述したように本発明のエスカレータフレ
ームの搬出搬入方法は、天井に設けた揚重装置で、分割
したエスカレータフレームを吊り上げて移動させるよう
にしたため、一般的に天井は化粧板で覆われているの
で、搬出作業後、再び化粧板を取り付けて揚重装置の取
り付け部を覆うことができ、従来のように意匠面である
上部乗降口や下部乗降口の床に揚重用の門形構造体を設
置するために穴をあけたり傷をつけたりすることがな
く、また、乗降口に占有面積の大きな門形構造体を設置
する必要がないため、隣接エスカレータの乗客の乗り降
りの通行を妨げることもなくエスカレータフレームの搬
出搬入を行なうことができる。

【０００７】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
によって説明する。図３は、本発明の一実施の形態によ
るエスカレータフレームの搬出搬入方法を採用した作業
初期状態を示すエスカレータの縦断面図である。エスカ
レータは、地下鉄等に多く見られるような搬出搬入のた
めに取り外すことが出来ない建物の躯体となっている天
井１と、床２等から成る地下通路３内に構成されてい
る。上部乗降口床４と下部乗降口床５間には、上部ピッ
ト１２および下部ピット１３と、これら上部ピット１２
および下部ピット１３間を接続する一連の傾斜部ピット
１４が形成されており、これらピット１２〜１４にエス
カレータフレームが配置されている。傾斜部ピット１４
には適当な間隔で支持部１５が形成されており、この支
持部１５を利用してエスカレータフレームが支持されて
いる。

【０００８】このような既設エスカレータを搬出する場
合、先ず準備作業として、図３に示すようにエスカレー
タを構成する手摺や踏み段等解体できるものを取り外
し、エスカレータフレームもしくはそれに組み込まれた
付属品だけの状態にする。エスカレータフレームの搬出
は、地下通路３内を移動させて上部乗降口４もしくは下
部乗降口５から行なわなければならないが、ここでは下
部乗降口５から搬出するものとし、同部からの搬出が可
能な大きさにエスカレータフレームを分割する。例え
ば、一般にエスカレータフレームは上部フレームと、中
間フレームと、下部屈曲フレームで構成されて、各々溶
接やボルト締結で一体化されているので、搬出経路の寸
法等の制約から、ここでは上部水平フレーム１６と、上
部屈曲フレーム１７と、複数の中間分割フレーム１８Ａ
〜１８Ｇと、下部屈曲フレーム１９とに分割する。また
天井１には、通常、装飾板２０が取り付けられているの
で、この装飾板２０を取り外す。

【０００９】その後、上部乗降口４から床下部乗降口５
に至るまでの天井１に、地下通路３に沿って所定間隔で
複数の支持ブラケット７Ａ〜７Ｌを取り付け、この各支
持ブラケット７Ａ〜７Ｌにそれぞれ揚重装置の電動チェ
ーンブロック６Ａ〜６Ｌを取り付ける。各支持ブラケッ
ト７Ａ〜７Ｌおよび各電動チェーンブロック６Ａ〜６Ｌ
は、それぞれ同一構成であるから、ここでは図２の要部
拡大図を用いて支持ブラケット７Ｆについて説明する。
支持ブラケット７Ｆは天井１にアンカーボルト８で強固
に固定し、この支持ブラケット７Ｆの貫通孔に、チェー
ン１０と揚重フック１１を有する電動チェーンブロック
６Ｆの支持フック９を掛けて支持している。この支持ブ
ラケット７Ｆの位置は、電動チェーンブロック６Ｆを取
り付けたときに、搬入搬出するエスカレータの中心線上
に位置するようにする。しかし、天井１には空調用ダク
トや電気配線等が設置されているので、支持ブラケット
７Ｆをエスカレータの中心線上に配置できない場合もあ
るが、そのときは支持ブラケット７Ｆを空調用ダクトや
電気配線を避けた任意の位置に複数個取り付け、これら
の支持ブラケット７Ｆにロープ等を介して電動チェーン
ブロック６Ｆを配置し、ロープ等を調整して電動チェー
ンブロック６Ｆがエスカレータの中心線上に位置するよ
うにする。

【００１０】こうして準備作業を終了した後、既設エス
カレータフレームの搬出作業を行なうが、図１の断面図
に示すように最初に下部屈曲フレーム１９を搬出する。
下部屈曲フレーム１９に最も近い位置にある少なくとも
二つの電動チェーンブロック６Ｉ，６Ｊと、これらより
も搬出方向に位置する電動チェーンブロック６Ｋを選定
し、各電動チェーンブロック６Ｉ，６Ｊ，６Ｋの揚重フ
ックを下部屈曲フレーム１９に掛けると共に、巻き上げ
て下部屈曲フレーム１９を持ち上げる。その後、電動チ
ェーンブロック６Ｋを巻き上げながら少しずつ電動チェ
ーンブロック６Ｊを下げて行くと、下部屈曲フレーム１
９は下部乗降口５側へと移動する。電動チェーンブロッ
ク６Ｋがいっぱいに巻き上げた状態となったとき、さら
に搬出側に位置した電動チェーンブロック６Ｌの揚重フ
ックを下部屈曲フレーム１９に引掛け、最も反搬出側に
位置して使用していた電動チェーンブロック６Ｉを下部
屈曲フレーム１９から取り外すと、図４に示す状態とな
る。

【００１１】次に、電動チェーンブロック６Ｊ，６Ｋ，
６Ｌを操作して下部屈曲フレーム１９をさらに下部乗降
口５へ移動させた後、反搬出側に位置して使用していた
電動チェーンブロック６Ｊを外すと、図５に示した状態
となる。そこで、電動チェーンブロック６Ｋ，６Ｉを操
作して少しずつ下部屈曲フレーム１９を吊り下ろし、下
部乗降口５に準備していた運搬用台車２１，２２上に下
部屈曲フレーム１９を搭載して図６の状態にする。台車
２１，２２で下部屈曲フレーム１９を完全に受けたとこ
ろで、電動チェーンブロック６Ｋ，６Ｉを下部屈曲フレ
ーム１９から取り外す。その後、図７に示すように台車
２１，２２を人力または横引き用チェーンブロック等で
下部乗降口５の床上を移動して下部屈曲フレーム１９を
外部に搬出する。

【００１２】次に、中間分割フレーム１８Ｇの搬出作業
を行なう。図８に示すように中間分割フレーム１８Ｇを
その上方部に位置する複数の電動チェーンブロック６
Ｈ，６Ｉ，６Ｊで吊り上げ、下部屈曲フレーム１９の搬
出時と同様に各電動チェーンブロック６Ｈ，６Ｉ，６Ｊ
を操作したり、反搬出側の電動チェーンブロック６Ｈを
釈放しながら搬出側の電動チェーンブロック６Ｋを支持
に加わらせて、中間分割フレーム１８Ｇを下部乗降口５
の方向に移動させて図９に示す状態とする。その後、図
１０に示すように搬出側の電動チェーンブロック６Ｋ，
６Ｌを用いて中間分割フレーム１８Ｇをさらに下部乗降
口５の方へ移動させ、下部乗降口５の床に用意した運搬
用台車２１，２２に降ろし、ここから運搬用台車２１，
２２を用いて中間分割フレーム１８Ｇを搬出する。その
他の中間分割フレーム１８Ｆ〜１８Ａおよび上部屈曲フ
レーム１７も、同様に各電動チェーンブロックを操作し
ながら搬出する。

【００１３】最後に、上部水平フレーム１６の搬出を行
なう。この搬出も下部屈曲フレーム１９や中間分割フレ
ーム１８Ａ〜１８Ｇの場合と同様に、図１１に示すよう
にその上方部に配置した複数の電動チェーンブロック６
Ａ〜６Ｃで上部水平フレーム１６を吊り上げ、これら電
動チェーンブロック６Ａ〜６Ｃを操作すると共に、図１
２に示すように順次、反搬出側の電動チェーンブロック
を釈放しながら搬出側の電動チェーンブロックを支持に
加わらせて、上部水平フレーム１６を下部乗降口５の方
へ移動させる。図１３の状態を経た後、下部乗降口５の
床に用意した運搬用台車２１，２２上に上部水平フレー
ム１６を降ろして搬出する。このようにして分割した全
てのフレームの搬出作業を終了することができる。

【００１４】一方、新しくエスカレータのフレームを搬
入して組み立てる場合、搬出時と逆の手順で行なうこと
ができ、全ての搬出搬入作業の終了後、各電動チェーン
ブロック６Ａ〜６Ｌや各支持ブラケット７Ａ〜７Ｌを取
り外し、天井に再び化粧板２０を取り付けて各支持ブラ
ケット７Ａ〜７Ｌの取り付け部を覆って意匠性を回復さ
せる。

【００１５】このように天井１に複数の揚重装置である
電動チェーンブロック６Ａ〜６Ｌを配置し、複数に分割
したエスカレータフレームを各電動チェーンブロックで
吊り上げ、これらを操作すると共に、順次、反搬出側も
しくは反搬入側の電動チェーンブロックを釈放しながら
搬出側もしくは搬入側の電動チェーンブロックを支持に
加わらせて、分割したエスカレータフレームを下部乗降
口５もしくは上部乗降口４側へ地下通路３内を移動さ
せ、下部乗降口５以降では運搬用台車２１，２２を用い
て運搬するようにしたため、従来のように意匠面である
上部乗降口４や下部乗降口５に揚重用の門形構造物を設
置するための穴をあけたり傷をつけたりすることがな
い。また、隣接エスカレータ側に張り出してしまう巨大
な門形構造物を設置することがないため隣接エスカレー
タの乗客の乗り降りの通行を妨げることもない。

【００１６】尚、上述した実施の形態では、分割したエ
スカレータフレームを下部乗降口５から搬出するように
説明したが、上部乗降口４から搬出したり、搬入と搬出
を異なる乗降口から行なうようにしても同様の効果が得
られる。

【００１７】

【発明の効果】以上説明したように本発明によるエスカ
レータフレームの搬出搬入方法は、天井に複数の揚重装
置を配置し、複数に分割したエスカレータフレームを各
揚重装置で吊り上げ、これらを操作すると共に、順次、
反搬出側もしくは反搬入側の揚重装置を釈放しながら搬
出側もしくは搬入側の揚重装置を支持に加わらせて、分
割したエスカレータフレームを下部乗降口もしくは上部
乗降口側へ移動させるようにしたため、従来のように意
匠面である上部乗降口や下部乗降口に揚重用の門形構造
物を設置するための穴をあけたり傷をつけたりすること
がなく、しかも、乗降口での占有面積の大きな門形構造
物を設置することがないので、隣接するエスカレータな
どの利用者の通行を妨げることも少ない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施の形態によるエスカレータフレ
ームの搬出搬入方法を採用した搬出作業途中状態を示す
エスカレータの縦断面図である。

【図２】図１に示すエスカレータの要部である揚重装置
を示す拡大図である。

【図３】図１に示したエスカレータの準備作業状態を示
す縦断面図である。

【図４】図１に示したエスカレータの下部屈曲フレーム
の搬出作業途中状態を示す縦断面図である。

【図５】図１に示したエスカレータの下部屈曲フレーム
の他の搬出作業途中状態を示す縦断面図である。

【図６】図１に示したエスカレータの下部屈曲フレーム
のさらに他の搬出作業途中状態を示す縦断面図である。

【図７】図１に示したエスカレータの下部屈曲フレーム
の搬出作業終期状態を示す縦断面図である。

【図８】図３に示したエスカレータフレームの搬出搬入
方法による中間分割フレームの搬出作業初期状態を示す
縦断面図である。

【図９】図８に示した中間分割フレームの搬出作業途中
状態を示す縦断面図である。

【図１０】図８に示した中間分割フレームの搬出作業終
期状態を示す縦断面図である。

【図１１】図３に示したエスカレータフレームの搬出搬
入方法による上部水平フレームの搬出作業初期状態を示
す縦断面図である。

【図１２】図１１に示した上部水平フレームの搬出作業
途中状態を示す縦断面図である。

【図１３】図１１に示した上部水平フレームの搬出作業
終期状態を示す縦断面図である。

【符号の説明】

１ 天井 ２ エスカレータフレーム ３ 地下通路 ４ 上部乗降口 ５ 下部乗降口 ６Ａ〜６Ｌ 電動チェーンブロック １６ 上部水平フレーム １７ 上部屈曲フレーム １８Ａ〜１８Ｇ 中間分割フレーム １９ 下部屈曲フレーム ２１，２２ 運搬用台車

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 相浦 貴司 東京都足立区中川４丁目16番29号 日立エ レベータテクノサービス株式会社内 Ｆターム(参考） 3F321 AA01 AA05 CD00

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 エスカレータフレームを分割して少なく
   ともいずれか一方の乗降口側へ搬出するエスカレータフ
   レームの搬出搬入方法において、搬出通路に沿って天井
   に複数の揚重装置を配置し、分割した上記エスカレータ
   フレームをその上方部に位置する上記揚重装置で吊り上
   げ、上記揚重装置を操作すると共に、順次、反搬出側の
   上記揚重装置を釈放しながら搬出側の上記揚重装置を支
   持に加えて上記吊り上げたエスカレータフレームを移動
   させる搬出作業を含むことを特徴とするエスカレータフ
   レームの搬出搬入方法。
2. 【請求項２】 請求項１記載のものにおいて、上記搬出
   作業は、上記吊り上げたエスカレータフレームを上記乗
   降口まで移動した後、上記乗降口に配置した運搬用台車
   に搭載して搬出することを特徴とするエスカレータフレ
   ームの搬出搬入方法。