JP3306336B2 - 乗客コンベアの据付装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、エスカレータやオ
ートラインなどの乗客コンベアの据付装置に係り、乗客
コンベアの本体を形成するフレームを一体的に吊上げて
所定位置に据付ける乗客コンベアの据付装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、乗客コンベアの本体を形成するフ
レームを据付ける際、建屋の梁に揚重装置を取付け、こ
の揚重装置によりフレームを吊上げて据付作業を行なっ
ていたが、フレームを吊上げる位置に前記の梁が配設さ
れていなかったり、あるいは建屋の梁の強度が不足する
などの理由により、前記の揚重装置を設置できないケー
スもあった。

【０００３】そこで、前記のような従来の問題を解決す
る一手段として、例えば特開平７−３０４５８２号公報
に記載されているように、乗客コンベアの乗降部近傍の
床面に敷設されるレールと、このレール上に組立てら
れ、４本の支柱からなる櫓型の構造物とを有し、この櫓
型の構造物の上部に揚重装置を設けた乗客コンベアの据
付装置が提案されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところで、前述した従
来の乗客コンベアの据付装置では、４本の支柱からなる
櫓型の構造物を組立てるようになっているので、大型な
ものとなり、広い設置スペースが必要であるため、乗客
コンベアの据付現場が狭い場合には適用できないという
問題があった。また、櫓型の構造物を移動させるため乗
降部近傍の床面にレールを敷設する必要があることか
ら、構造が複雑なものになり、コスト高になるという問
題もあった。

【０００５】本発明はこのような従来技術における実情
に鑑みてなされたもので、その目的は、簡易な構成でコ
スト低減を図ることができるとともに、本体フレームの
端部の幅寸法が異なる種々様々な乗客コンベアの据付作
業に対応することができる乗客コンベアの据付装置を提
供することにある。

【０００６】

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明は、乗客コンベアの本体を形成するフレーム
を一体的に吊上げて所定位置に据付ける乗客コンベアの
据付装置において、前記乗客コンベアの乗降部の近傍の
床面端部に沿って前記床面上に所定間隔をおいて固設さ
れる一対の支点部と、この一対の支点部についてそれぞ
れ下端が回転可能に支持される一対の柱部と、この一対
の柱部の上端に両端がそれぞれ連結され水平方向に延設
される梁部とから形成した支柱と、両端が前記床面およ
び支柱に連結され伸縮可能な支柱保持部と、前記梁部に
前記水平方向にスライド可能に設置され前記フレームを
懸垂体を介して吊上げる２台の揚重機とを備えた構成に
してある。

【０００８】上記のように構成した本発明は、支柱保持
部により保持される支柱の上部に揚重機を備え、支柱保
持部の伸縮により前記の支柱をフレームの方向へ傾倒さ
せて揚重機を移動可能であり、すなわち簡易な構成の据
付装置が得られるため、コスト低減を図ることができ
る。また、２台の揚重機を梁部に沿ってそれぞれスライ
ドさせることにより、フレームの端部の幅寸法に応じて
２台の揚重機の間隔を調整してフレームの吊り点の上方
に配置した後、両方の揚重機により吊上げることにより
フレームが傾くことを防止しながら安定した状態でフレ
ーム据付作業を行なうことができる。これにより、フレ
ームの端部の幅寸法が異なる種々様々な乗客コンベアの
据付作業に対応できる。

【０００９】

【００１０】

【００１１】

【発明の実施の形態】以下、本発明の乗客コンベアの据
付装置の実施の形態を図に基づいて説明する。

【００１２】図１は本発明の一実施形態に係る乗客コン
ベアの据付装置の側面図、図２は本実施形態の据付装置
の正面図、図３は本実施形態の据付装置によりフレーム
を吊上げる途中の状態を示す側面図、図４はフレームを
所定の据付位置まで吊上げた状態を示す側面図である。

【００１３】図４に示すエスカレータでは、上階１およ
び下階２間にエスカレータ本体を形成するフレーム３が
延設されており、このフレーム３の長手方向の端部４、
５はそれぞれ水平状態に形成されている。フレーム３を
同図４に示すように所定位置に据付けたとき、一方の端
部４が上階１の床面１ａと面一に配置され、これらの端
部４および床面１ａの上方に乗降部が形成され、同様
に、他方の端部５および下階２の床面２ａの上方にも他
の乗降部が形成される。また、フレーム３の長手方向の
端部４、５より受けアングル６、７がそれぞれ突出して
おり、上階１の乗降部近傍の床面、すなわち上階１の床
面１ａの端部には、前記の受けアングル６を受ける受け
梁８が設けられ、同様に、下階２の乗降部近傍の床面、
すなわち下階２の床面２ａの端部には、前記の受けアン
グル７を受ける受け梁９が設けられている。

【００１４】そして、本実施形態の据付装置１０、１１
は、上階１および下階２にそれぞれ設けられている。例
えば、上階１の据付装置１０は、上階１の床面１ａに立
設され、フレーム３の方向へ傾倒可能な支柱１２と、両
端が床面１ａおよび支柱１２に連結され、伸縮可能な支
柱保持部１３と、支柱１２の上部に設けられる２台の揚
重機１４とからなっている。同様に、下階２の据付装置
１１も支柱１２ａ、支柱保持部１３ａおよび２台の揚重
機１４ａからなっている。

【００１５】上述した支柱１２は、図１および図２に示
すように、床面１ａの端部に沿って床面１ａ上に所定間
隔をおいて配置される一対の支点部１５と、この一対の
支点部１５をそれぞれ床面１ａに固定するアンカーボル
ト１６と、一対の支点部１５にそれぞれ下端が支持軸１
７を介して回転可能に支持され、互いに平行に立設され
る一対の柱部１８と、この一対の柱部１８を互いに連結
する補強部材１９と、一対の柱部１８の上端に両端部が
それぞれ連結され、水平方向に延設される梁部２０とか
ら形成されており、この梁部２０に、２台の揚重機１４
がスライド可能に設置されている。

【００１６】上述した支柱保持部１３は、支点部１５よ
り後方の位置、すなわち支点部１５より図１の右側の床
面１ａに配置される一対のブラケット２１と、この一対
のブラケット２１をそれぞれ固定するアンカーボルト２
２と、一対のブラケット２１に下端が連結され、柱部１
８の上部に上端が連結されるねじ棒２３と、このねじ棒
２３の中間部に介設され、ねじ棒２３を伸縮させるター
ンバックル２４とをからなっている。

【００１７】またここで支点部１５とブラケット２１と
はそれぞれアンカーボルト１６、２２により床面１ａ、
２ａに固定するものとしたが、床面１ａ、２ａが鉄骨構
造である場合には溶接にて固定、さらにコンクリート構
造であっても床面１ａ、２ａにアンカーボルト１６、２
２を打設できない場合にはコンクリートで床面１ａ、２
ａに埋め込んでも固定可能である。

【００１８】よって本実施形態の据付装置は、種々の建
屋構造に対して設置可能である。

【００１９】上述した揚重機１４は、図２に示すよう
に、梁部２０に移動可能に設けられる支持部２５と、こ
の支持部２５を介して梁部２０により支持される駆動部
２６と、この駆動部２６に巻掛けられ、下端が金具２７
を介してフレーム３の受けアングル６に取付けられる懸
垂体、例えばチェーン２８と、駆動部２６の下方に配置
され、チェーン２８の上端側を収納する収納部２９とを
備えている。

【００２０】この実施形態にあっては、フレーム３を一
体的に吊上げて上階１および下階２間の所定位置に据付
ける際、まず据付装置１０、１１をそれぞれ上階１およ
び下階２に設けた後、上階１の据付装置１０の支柱１２
を傾倒させて揚重機１４を上階１の壁部１ｂよりやや前
方、すなわち図１の左側へ突出させ、同様に、下階２の
据付装置１１の支柱１２ａを傾倒させて揚重機１４ａを
下階２の壁部２ｂよりやや前方、すなわち図１の右側へ
突出させる。次いで、揚重機１４のチェーン２８下端の
金具２７をフレーム３の受けアングル６の側端部に取付
けて、チェーン２８を介してフレーム３の端部４を吊上
げるとともに、他の揚重機１４ａのチェーン２８ａを介
してフレーム３の端部５を吊上げる。このとき、一方の
チェーン２８を他方のチェーン２８ａより多く巻取って
フレーム３を据付時の状態より長手方向に傾けた状態に
保つことにより、フレーム３が上階１の壁部１ｂおよび
下階２の壁部２ｂに接触して傷付けることなく、フレー
ム３を吊上げることができる。

【００２１】上記のようにしてフレーム３を所定の据付
位置よりやや上方まで吊上げた後、支柱保持部１３のタ
ーンバックル２４を締込むことによりねじ棒２３を縮め
て支柱１２を引起こし、フレーム３の端部４を上階１側
へ引込んで受けアングル６を上階１の受け梁８上に載置
して、同様に、フレーム３の端部５を下階２側へ引込ん
で他の受けアングル７を下階２の受け梁９上に載置す
る。

【００２２】また前記金具２７の詳細構成は図６に示す
ようになっている。図６は本実施形態の据付装置の金具
の拡大斜視図である。

【００２３】すなわち、金具２７は、受けアングル６の
長手方向端部にボルト２７ｃにより取付けられており、
吊り穴２７ｂを有し、フレーム３の短手幅よりも外側へ
突出する突出片２７ａを備えて形成されている。なお、
この金具２７は受けアングル６の長手方向他端部と、他
方の受けアングル７の長手方向両端部の合わせて４箇所
に取付けられている。

【００２４】よって図７に示すように上階１と下階２と
の間にフレーム３を据え付けた後、その下階層である上
階２０１と下階３０１との間にフレーム３ａを据え付け
る場合にも、その据付作業を良好なものとすることがで
きる。図７は本実施形態の据付装置を用いたフレームの
据付状態を示す斜視図である。

【００２５】すなわち前述したように金具２７はフレー
ム３の短手幅より突出した位置に吊り穴２７ｂを有して
いるため、この吊り穴２７ｂにチェーン２８、２８ａを
固定すれば図に示すようにこれらのチェーン２８、２８
ａは据え付け済みのフレーム３の両側方を垂下させるこ
とができ、フレーム３ａを吊り上げることができる。

【００２６】このように本実施形態の据付装置によれ
ば、上下にフレームが重複している場合にも据付装置１
０、１１の固定位置を変更する必要がないため、多数の
フレームを効率良く据え付けることが可能である。

【００２７】また、本実施形態によれば、上階１と下階
２とに据付装置１０、１１を設置するものとしたが、図
７に示したように、各階床同一の長手寸法を有する開口
を形成する建屋であれば、最上階床である１、１０１に
それぞれ据付装置１０、１１を設置することが可能であ
る。

【００２８】このように最上階床である１、１０１にそ
れぞれ据付装置１０、１１を設置すできれば、同一階床
への設置となるため本装置の部材の搬入等が行い易くな
り、据付装置１０、１１の設置効率を大きく向上させる
ことができる。

【００２９】このように構成した実施形態では、揚重機
１４を支柱１２の上部に備え、この支柱１２を支柱保持
部１３により保持するとともに、支柱保持部１３の伸縮
により支柱１２を傾倒させて揚重機１４をフレーム３の
長手方向へ移動可能であり、すなわち、簡易な構成であ
ることからコスト低減を図ることができる。また、支柱
１２および支柱保持部１３を設置するスペースさえあれ
ば、据付装置１０を設置可能であるため、比較的狭い据
付現場でも用いることができる。

【００３０】また、本実施形態では、揚重機１４がフレ
ーム３の吊り点部を通る鉛直線よりフレーム３の短手方
向にずれている場合、揚重機１４を梁部２０に沿ってス
ライドさせて前記の鉛直線上に位置させることにより、
揚重機１４でフレーム３を鉛直方向へ吊上げることがで
きる。また、フレーム３の端部の幅寸法は種々の機種に
よってそれぞれ異なるが、梁部２０に設置した２台の揚
重機１４をスライドさせることにより、前記の端部の幅
寸法に応じて２台の揚重機１４の間隔を調整して前記の
端部の異なる２ヵ所を吊上げることができる。これによ
り、フレーム３が短手方向に傾くことなく安定した状態
で据付作業を行なえる。

【００３１】また、本実施形態によれば、図１、図３、
図４に示したように建屋開口に向かって受け梁８、９よ
り手前側に位置する床面１ａ、２ａに据付装置１０、１
１の支点部１５を固定したが、図８に示すように開口３
３が形成されている場合には建屋のレイアウトに合わせ
て適切な位置に据付装置１０、１１の支点部１５を固定
することができる。

【００３２】これを上階１の場合を例にとり、図８を用
いて説明する。図８は本実施形態の据付装置の固定位置
を示す平面図である。

【００３３】すなわち、受け梁８より手前側に建屋柱３
１等の障害物が有った場合には、この障害物を避けて受
け梁８より開口３３側に、この開口３３を跨いだ形で支
点部１５を固定することができる。

【００３４】よって、本実施形態によれば上記のように
建屋のレイアウト、もしくは床面１ａ、２ａの強度等の
条件に合わせて適切な位置に据付装置１０、１１の固定
位置を変更可能である。

【００３５】また、本実施形態では、支柱保持部１３を
伸縮させる伸縮部材としてねじ棒２３やターンバックル
２４などの一般に流通している部材を用いていることか
ら、この点からもコスト低減を図ることができる。

【００３６】なお、本実施形態にあっては、前記のねじ
棒２３およびターンバックル２４を備えたが、これらの
ねじ棒２３およびターンバックル２４の代わりに他の伸
縮部材を備えてもよい。

【００３７】この他の伸縮部材を図５を用いて説明す
る。図５は本発明の他の実施形態に係る乗客コンベアの
据付装置の側面図である。

【００３８】本実施形態では前述したフレーム３の引き
込み時に揚重機であるチルホール３０を用いて行う。こ
のチルホール３０は、一端で前記金具２７を介してフレ
ーム３に取付けられるワイヤロープ３０ａと、このワイ
ヤロープ３０ａの他端が取付けられるとともにワイヤロ
ープ３０ａを巻き出しあるいは巻き戻すレバー３０ｂを
有する可動部３０ｃとから形成されており、建屋の柱３
１等の強度部材に固定具３２により固定されている。

【００３９】そして、レバー３０ｂをワイヤロープ３０
ａを巻き戻す方向に操作することによりフレーム３を引
き込むことができる。

【００４０】よって、本実施形態では大きな労力を要す
ることなく容易にフレーム３の引き込み作業を行うこと
ができる。またチルホール３０を用いるとしたが、同様
の構成を備えたレバーブロックやチェーンブロックのよ
うな揚重機でも同様の効果が得られる。

【００４１】

【発明の効果】以上のように構成したので、本発明は、
揚重機を支柱の上部に備え、この支柱を支柱保持部によ
り保持するとともに、支柱保持部の伸縮により前記の支
柱を傾倒させて揚重機をフレームの長手方向へ移動可能
であり、すなわち簡易な構成の据付装置が得られるた
め、コスト低減を図ることができる。また、揚重機を支
柱の梁部に沿ってスライドさせてフレームの上方に位置
させることにより、揚重機によりフレームを鉛直方向に
吊上げることができるとともに、フレームの端部の幅寸
法に応じて２台の揚重機の間隔を調整して吊上げること
により、フレームが短手方向に傾くことを防止しながら
安定した状態で据付作業を行なうことができる。したが
って、フレームの端部の幅寸法が異なる種々様々な乗客
コンベアの据付作業に対応できる。

【００４２】

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施形態に係る乗客コンベアの据付
装置の側面図である。

【図２】図１に示す実施形態の据付装置の正面図であ
る。

【図３】図１に示す実施形態の据付装置によりフレーム
を吊上げる途中の状態を示す側面図である。

【図４】図１に示す実施形態においてフレームを所定の
据付位置まで吊上げた状態を示す側面図である。

【図５】本発明の他の実施形態に係る乗客コンベアの据
付装置の側面図である。

【図６】図１に示す実施形態の据付装置の金具の拡大斜
視図である。

【図７】図１に示す実施形態の据付装置を用いたフレー
ムの据付状態を示す斜視図である。

【図８】図１に示す実施形態の据付装置の固定位置を示
す平面図である。

【符号の説明】

１ 上階 １ａ 床面 ２ 下階 ２ａ 床面 ３ フレーム １０、１１ 据付装置 １２ 支柱 １３ 支柱保持部 １４ 揚重機 １５ 支点部 １８ 柱部 ２０ 梁部 ２７ 金具 ２８ チェーン（懸垂体） ３０ チルホール（揚重機）

フロントページの続き (72)発明者 小林 信義 埼玉県川口市西青木５丁目９番６号 株 式会社八洲機電内 (72)発明者 若山 洋一 東京都台東区上野５丁目23番14号 株式 会社日立ビルシステム内 (56)参考文献 特開 平７−304582（ＪＰ，Ａ) 実開 昭61−200877（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭62−191770（ＪＰ，Ｕ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) B66B 21/00 - 31/02

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 乗客コンベアの本体を形成するフレーム
   を一体的に吊上げて所定位置に据付ける乗客コンベアの
   据付装置において、 前記乗客コンベアの乗降部の近傍の床面端部に沿って前
   記床面上に所定間隔をおいて固設される一対の支点部
   と、この一対の支点部にそれぞれ下端が回転可能に支持
   される一対の柱部と、この一対の柱部の上端に両端がそ
   れぞれ連結され水平方向に延設される梁部とから形成し
   た支柱と、 両端が前記床面および支柱に連結され伸縮可能な支柱保
   持部と、 前記梁部に前記水平方向にスライド可能に設置され前記
   フレームを懸垂体を介して吊上げる２台の揚重機とを備
   えたことを特徴とする乗客コンベアの据付装置。