JPH0812262A - 天井クレーンの設置方法及びその装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 クレーン等の重機を使用せずに、狭い作業ス
ペースで建屋内に天井クレーンを設置する。 【構成】 建屋内部の両側に沿って走行する１対のサド
ル３を予め設け、それぞれ昇降装置７を備えた４本の支
柱８を建屋内部に鉛直に設け、ガーダ５の四隅近傍を昇
降装置７で支持して上昇させた後、ガーダ５の両端をサ
ドル３に結合し、クレーン等の重機を使用せずに建屋内
部に天井クレーンを設置する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、既設の建屋内に天井ク
レーンを設けるための天井クレーンの設置方法及びその
装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】既設の建屋内に天井クレーンを設置する
場合、従来は、（１）建屋内に搬入した大型クレーン等
の重機を使用してガーダ、トロリー等を吊り上げたり、
（２）建屋の天井に滑車を仮付けし、ウインチのワイヤ
ーロープを滑車に掛けてガーダ、トロリー等を吊り上げ
たり、（３）建屋の屋根中央部を開口することが可能な
場合には、建屋の外に配置した重機のフックを屋根開口
から降ろしてガーダ、トロリー等を吊り上げたり、
（４）建屋の妻側を開口して仮設ランウェーガーダを設
置し、建屋の外に配置した重機でガーダ、トロリー等を
吊り上げ設置する方法などが採られていた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところが、上述した
（１）の建屋内でクレーン等の重機を使用してガーダ、
トロリー等を吊り上げる方法は、建屋内の作業スペース
が不十分な場合には重機を使用することができず、
（２）の建屋天井に滑車を取付け、ウインチのワイヤー
ロープでガーダ等の重量物を吊り上げる方法は、天井の
強度が不十分な場合には天井自体にガーダ等の大きな荷
重を支持させることができず、（３）または（４）の建
屋の屋根中央部または妻側を開口してガーダ、トロリー
等を吊り上げる方法は、建屋幅が広い場合には大型の重
機が必要となり、既設の建屋の場合には開口に対する内
部の養生が必要となる問題があった。

【０００４】本発明はこのような従来の問題を解決し、
クレーン等の重機を使用せず狭い作業スペースで建屋内
に天井クレーンを設けることができるようにした天井ク
レーンの設置方法及びその装置を提供することを目的と
するものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は、建屋内部の両
側に沿って走行する１対のサドルを予め設け、それぞれ
昇降装置を備えた４本の支柱を建屋内部に鉛直に設け、
ガーダの四隅近傍を前記昇降装置で支持して上昇させた
後、前記ガーダの両端を前記サドルに結合することを特
徴とする天井クレーンの設置方法に係るものである。

【０００６】又、本発明は、建屋内部に鉛直に設けた４
本の支柱と、ガーダの四隅近傍を支持すると共に、建屋
内部の両側に沿って走行可能に設けられた１対のサドル
の設置高さまで、前記４本の支柱にそれぞれ沿ってガー
ダを上昇する昇降装置と、を備えたことを特徴とする天
井クレーンの設置装置に係るものである。

【０００７】この場合において、各昇降装置を、各支柱
に沿って昇降可能な上部フレーム及び下部フレームと、
両フレーム間に介装された上下方向に伸縮動可能なシリ
ンダ装置と、各フレームにそれぞれ設けられ、各支柱に
形成された穴に対し係止ピンを挿入脱させる係止ピン操
作シリンダとにより構成するようにしても良い。

【０００８】

【作用】本発明の方法によれば、建屋内部でガーダの四
隅に相当する位置に４本の支柱を鉛直に設け、昇降装置
によってガーダの四隅近傍を支持し、ガーダを昇降装置
で上昇させてガーダの両端をサドルに結合することによ
り、大型クレーン等の重機を使用することなく天井クレ
ーンを設置することができる。

【０００９】本発明の装置によれば、４本の支柱と該４
本の支柱に沿ってそれぞれ昇降しガーダの四隅近傍を支
持する昇降装置との簡単な装置により、大型クレーン等
の重機を使用することなく安全容易に天井クレーンを設
置することができる。

【００１０】この場合において、下部フレームを係止ピ
ンにより支柱に位置固定し、シリンダ装置を伸長動して
上部フレームを上昇させ、上部フレームが上昇したら、
上部フレームを係止ピンにより支柱に位置固定すると共
に、係止ピンを抜いて下部フレームの位置固定を解除
し、シリンダ装置を収縮動して下部フレームを上昇さ
せ、下部フレームが上昇したら、下部フレームを係止ピ
ンにより支柱に位置固定するという作動を繰り返すこと
により、ガーダを上昇させるようにすることができる。

【００１１】このようにすると、各昇降装置は同期運転
が容易であるため、長尺で重量物であるガーダを、水平
状態を保持して安全に上昇させることが可能となる。

【００１２】

【実施例】以下、本発明の実施例を図を参照して説明す
る。

【００１３】図１は本発明の方法に使用する装置の一実
施例の斜視図である。

【００１４】天井クレーンを設置しようとする図示しな
い建屋内部の両側高所に、予めレール支持梁１を水平に
取付けて、レール支持梁１の上にサドル走行レール２を
敷設し、サドル走行レール２に沿って走行する１対のサ
ドル３を、両側のサドル走行レール２上に１台ずつ載置
して、図示しないチェーンなどにより支持しておく。

【００１５】尚、サドル３の重量はそれほど重くはない
ので、小型のウインチ等を使用して容易に吊り上げ、サ
ドル走行レール２上に載置することができる。

【００１６】このサドル３の互いに向き合っている側に
は、１対の取付ブラケット４を突設しておく。

【００１７】５は天井クレーンを構成するガーダであっ
て、図示しない巻上装置を備えたトロリー６がガーダ５
の長手方向に移動するように載置されるものである。

【００１８】レール支持梁１を取付けてレール支持梁１
の上にサドル走行レール２を敷設した建屋の内部にガー
ダ５を搬入し、サドル走行レール２に対して直交する方
向へ向けてガーダ５を建屋の床面上に仮置きする。

【００１９】次に、サドル走行レール２に対して直交す
る方向に仮置きしたガーダ５の四隅近傍の建屋床面上
に、それぞれ昇降装置７を備えた支柱８を鉛直に仮設す
る。

【００２０】支柱８はいずれも、サドル３の高さに達す
る長さが必要である。

【００２１】図２は昇降装置７の一実施例の正面図、図
３は図２の右側面図、図４は図２のＩＶ−ＩＶ断面図、
図５は図２のＶ−Ｖ断面図である。

【００２２】これらの図に示すように、昇降装置７は、
支柱８を囲む上部フレーム９と下部フレーム１０とを備
えていて、それぞれ案内輪１１により支柱８に沿って上
下方向へ移動できるようになっている。

【００２３】そして、上下方向へ伸縮動するシリンダ装
置１２が、上部フレーム９と下部フレーム１０との間に
取付けられている。

【００２４】上部フレーム９には、図３、図４に示すよ
うに上部係止ピン操作シリンダ１３が取付けてあって、
クランク１４を介して上部係止ピン１５（図２ないし図
４参照）を支柱８に向けて突出させたり後退させたりす
ることができるようになっている。

【００２５】同様に、下部フレーム１０にも、図３、図
５に示すように下部係止ピン操作シリンダ１６が取付け
てあって、クランク１７を介して下部係止ピン１８（図
２、図３、図５参照）を支柱８に向けて突出させたり後
退させたりすることができるようになっている。

【００２６】支柱８には、上述した上部係止ピン１５、
下部係止ピン１８が支柱８に向けて突出した場合に、上
部係止ピン１５、下部係止ピン１８が嵌入する複数の穴
１９が、支柱８の上下方向にほぼ等間隔で穿設されてい
る。

【００２７】前述したように、建屋の内部にガーダ５を
搬入し、サドル走行レール２に対して直交する方向へ向
けてガーダ５を建屋の床面上に仮置きし、ガーダ５の四
隅近傍の建屋床面上に昇降装置７を備えた支柱８を鉛直
に仮設した後、図１、図６に示すように、支持材２０を
介してガーダ５の四隅を昇降装置７の上部フレーム９上
に支持し、ガーダ５が水平に保たれるようにする。

【００２８】次に、上部係止ピン操作シリンダ１３（図
３、図４参照）を伸長動して、上部係止ピン１５を支柱
８から後退させた位置とする。

【００２９】これにより、上部係止ピン１５は、支柱８
の穴１９から抜け出た状態となり、昇降装置７の上部フ
レーム９は、支柱８に対して昇降できる状態になる。

【００３０】一方、下部係止ピン操作シリンダ１６（図
３、図５参照）を収縮動して、下部係止ピン１８を支柱
８に向けて突出させ、下部係止ピン１８を支柱８の穴１
９に嵌入させる。

【００３１】これにより、昇降装置７の下部フレーム１
０は、支柱８に対して位置が固定された状態になる。

【００３２】このように昇降装置７の上部フレーム９を
支柱８に対して昇降できる状態とし、昇降装置７の下部
フレーム１０を支柱８に対して固定した状態で、４本の
支柱８に設けられている昇降装置７の全てのシリンダ装
置１２（図１、図２、図３、図６参照）を同期させて同
じ速度で伸長すると、各昇降装置７の上部フレーム９
は、それぞれの支柱８に沿いつつ同じ速度で上昇するこ
とになる。

【００３３】これにより、１対の支持材２０は、互いに
同じ高さで水平状態を保持しながら上昇し、ガーダ５は
水平の姿勢で上昇することになる。

【００３４】尚、昇降装置７のシリンダ装置１２の押上
能力に余裕がある場合には、ガーダ５だけを上昇させる
だけでなく、図１、図６に示すように、ガーダ５上にト
ロリー６を載置しておいて、ガーダ５と共にトロリー６
も同時に上昇させることができる。

【００３５】そして、シリンダ装置１２が伸長限度に達
したら、上部係止ピン操作シリンダ１３を収縮動し、上
部係止ピン１５を支柱８に向けて突出させて支柱８の穴
１９に嵌入し、昇降装置７の上部フレーム９を支柱８に
対して位置を固定する。

【００３６】一方、下部係止ピン操作シリンダ１６を伸
長動し、下部係止ピン１８を支柱８から後退させて支柱
８の穴１９から抜き出させ、昇降装置７の下部フレーム
１０を支柱８に対して昇降できる状態にする。

【００３７】この状態で、昇降装置７の全てのシリンダ
装置１２を収縮動すると、各昇降装置７の下部フレーム
１０は、それぞれの支柱８に沿いながら上昇することに
なる。

【００３８】シリンダ装置１２が収縮限度に達したら、
下部係止ピン操作シリンダ１６を収縮動して下部係止ピ
ン１８を支柱８に向けて突出させ、下部係止ピン１８を
支柱８の穴１９に嵌入し、昇降装置７の下部フレーム１
０を支柱８に対して固定した後、上部係止ピン操作シリ
ンダ１３を伸長動して上部係止ピン１５を支柱８から後
退させて昇降装置７の上部フレーム９を支柱８に対して
昇降できる状態とし、４本の支柱８に設けられている昇
降装置７の全てのシリンダ装置１２を同じ速度で伸長動
し、各昇降装置７の上部フレーム９を支柱８に沿いなが
ら同じ速度で上昇させ、支持材２０を介してガーダ５を
図６に示すように水平の姿勢を保持したまま上昇させ
る。

【００３９】以上の操作を繰り返すことにより、ガーダ
５をサドル３（図１参照）の高さと同じ高さまで上昇さ
せることができる。

【００４０】そして、図７に示すように、サドル３に突
設されている取付ブラケット４の外側間の寸法がガーダ
５の幅と等しい場合には、サドル３の高さまで上昇させ
たガーダ５の端部側面と取付ブラケット４の端部外側面
とに亘って添板２１を当て、添板２１を介してガーダ５
の端部をサドル３に結合する。又、図８に示すように、
サドル３を分割型としても良い。

【００４１】このように、ガーダ５をサドル３の高さと
同じ高さにまで上昇させ、ガーダ５の両端をサドル３に
結合することにより、クレーン等の重機を使用せず、
又、建屋の屋根や妻側に開口を設けずに、既設の建屋内
への天井クレーンの設置が完了する。

【００４２】天井クレーンの設置が完了した後は、建屋
床面上に仮設しておいた４本の支柱８を昇降装置７と共
に撤去して、天井クレーンの設置作業を完了する。

【００４３】尚、本発明によれば、昇降装置７として、
図示したような上部フレーム９と下部フレーム１０とを
備えたもののみでなく、他の機構の昇降装置を使用する
ことも可能である。但し、長尺の重量物であるガーダ５
を水平状態を保持して安全に上昇させるには、図示した
昇降装置７が最も有利である。

【００４４】

【発明の効果】本発明は、建屋内でクレーン等の重機を
使用してガーダ、トロリー等を吊り上げたり、建屋の屋
根や妻側を開口したり内部の養生せずに、狭い作業スペ
ースで建屋内に天井クレーンを設けることができる効果
がある。

【００４５】又、重量物であるガーダをワイヤで吊り上
げず、４本の支柱に設けた昇降装置でガーダの四隅近傍
を支持して上昇させるので、狭いスペースで天井クレー
ンの設置作業を安全に行うことができ、昇降装置の押上
能力に余裕がある場合には、ガーダだけを上昇させるだ
けでなく、ガーダ上にトロリーを載置しておいて、ガー
ダと共にトロリーも同時に上昇させることができるの
で、能率良く天井クレーンの設置作業を行える効果があ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の方法に使用する装置の一実施例の斜視
図である。

【図２】昇降装置の一実施例の正面図である。

【図３】図２の右側面図である。

【図４】図２のＩＶ−ＩＶ断面図である。

【図５】図２のＶ−Ｖ断面図である。

【図６】昇降装置の動作状態を示す側面図である。

【図７】ガーダの両端をサドルに結合する状態の一実施
例の部分的な平面図である。

【図８】ガーダの両端をサドルに結合する状態の他の実
施例の部分的な平面図である。

【符号の説明】

３ サドル ５ ガーダ ７ 昇降装置 ８ 支柱 ９ 上部フレーム １０ 下部フレーム １２ シリンダ装置 １３ 上部係止ピン操作シリンダ １５ 上部係止ピン １６ 下部係止ピン操作シリンダ １８ 下部係止ピン １９ 穴

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 建屋内部の両側に沿って走行する１対の
   サドルを予め設け、それぞれ昇降装置を備えた４本の支
   柱を建屋内部に鉛直に設け、ガーダの四隅近傍を前記昇
   降装置で支持して上昇させた後、前記ガーダの両端を前
   記サドルに結合することを特徴とする天井クレーンの設
   置方法。
2. 【請求項２】 建屋内部に鉛直に設けた４本の支柱と、
   ガーダの四隅近傍を支持すると共に、建屋内部の両側に
   沿って走行可能に設けられた１対のサドルの設置高さま
   で、前記４本の支柱にそれぞれ沿ってガーダを上昇する
   昇降装置と、を備えたことを特徴とする天井クレーンの
   設置装置。
3. 【請求項３】 各昇降装置が、各支柱に沿って昇降可能
   な上部フレーム及び下部フレームと、両フレーム間に介
   装された上下方向に伸縮動可能なシリンダ装置と、各フ
   レームにそれぞれ設けられ、各支柱に形成された穴に対
   し係止ピンを挿入脱させる係止ピン操作シリンダとを備
   えた請求項２記載の天井クレーンの設置装置。