JP2000053564A - パップ剤及びその製造方法 - Google Patents
パップ剤及びその製造方法Info
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Abstract
滲み出しや粘着性の低下がなく、また、ゲル膏体の経時
安定性に優れ、且つ、安全性の高いパップ剤を提供する
こと。 【解決手段】 ゲル膏体に用いられるアクリル系重合体
中の未反応の単量体を0.1重量%以下とする、また該
アクリル系重合体と多価金属化合物を混合してゲル膏体
を調製する。
Description
撲等に用いられるパップ剤及びその製造方法に関するも
のであり、医療用貼付剤製造技術に属するものである。
付して消炎鎮痛等の効果を発揮するパップ剤は、通常薬
効成分やその他の所要物質を含有する含水ゲル膏体を不
織布等の支持体面に塗布展延し、塗布面を剥離性のフィ
ルムで覆って保護したものであり、使用にあたっては剥
離性フィルムを剥離して患部に貼付するというものであ
る。パップ剤には、ゲル膏体を構成するための成分とし
て、従来よりポリアクリル酸やポリ(メタ)アクリル酸
(以下アクリルとメタクリルを合わせて(メタ)アクリル
という)或いはポリ(メタ)アクリル酸ナトリウム等のポ
リ(メタ)アクリル酸塩等のカルボキシル基を含有するア
クリル系重合体が使用されている。特に、ポリアクリル
酸及びポリアクリル酸塩は、パップ剤としての保水性に
優れ、使用時の皮膚への密着性、使用後の剥離性等にお
いて幾多の長所を有するものであるため広く用いられて
おり、さらにパップ剤の製造において、ポリアクリル
酸、ポリアクリル酸塩をアルミニウムでイオン架橋し
て、パップ剤用膏体を調製することも既に提案されてい
る(特開昭59−65023号、特開昭60−2268
08号、特開昭64−31714号)。また、製造時の
適性や使用時の品質を改善するために、ゼラチン、ポリ
ビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースナトリ
ウム、グリセリン、ポリビニルピロリドン、アルギン酸
ナトリウム等を増粘剤や粘着付与剤として配合すること
も行われている。
目的で水分を70重量%以上含んだ高含水基剤を使用す
る場合が多く、そのような場合には、これらの増粘剤や
粘着付与剤を配合しただけでは、使用時の粘着性を確保
することが困難であった。また、アルミニウム化合物等
の架橋剤量の調節により、膏体を柔らかくすることで粘
着性を向上させることも試みられているが、膏体を柔ら
かくすると、膏体の滲み出しやダレが問題となり、製造
時の保形性を満足する膏体とすることができないという
問題を生じている。そこで、上記の問題を解決すべく、
新規な架橋剤や複数の架橋剤の組合せに関する提案が多
くなされている。例えば、水溶性の多価金属化合物と難
溶性の多価金属化合物を併用する方法(特開昭63−1
50222号)、アルミニウム化合物とリン酸水素カル
シウムを併用する方法(特開平5−92920号)、アル
ミニウム化合物と無水ケイ酸を併用する方法(特開平6
−145049号)、水酸化アルミニウム・マグネシウ
ムまたはアルミニウムグリシネートと水酸化アルミニウ
ムを併用する方法(特開平8−225443号)等であ
る。しかしながら、これらの架橋剤の使用により、ゲル
膏体調製時の接着性は比較的良好になるが、ゲル膏体の
経時安定性が十分でなく、時間の経過につれて接着の状
態やゲル膏体自体の状態変化が生じて、支持体への膏体
の滲み出しや粘着性の悪化という問題を生じることがあ
り、未だ根本的な解決策とは成りえていないのである。
実情を鑑みてなされたものであって、本発明の主たる目
的は接着性及び賦形性に優れ、支持体への膏体の滲み出
しや粘着性の低下がなく、また、ゲル膏体の経時安定性
に優れ、且つ、安全性の高いパップ剤を提供することで
ある。さらに本発明の第二の目的はこの様に高性能なパ
ップ剤を製造するに際して、均一な架橋状態で、且つ、
生産性を飛躍的に向上する製造方法の提供である。
題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、未反応の残存単
量体含有量の少ないカルボキシル基を含有するアクリル
系重合体をゲル膏体成分とすることにより、さらには該
アクリル系重合体を多価金属化合物により架橋させるこ
とによって、接着性及び賦形性に優れ、支持体への膏体
の滲み出しや粘着性の低下がなく、また、経時安定性に
優れ、且つ、安全性の高いパップ剤が得られることを見
出して本発明を完成させたのである。
1重量%以下であるカルボキシル基を含有するアクリル
系重合体を成分とすることを特徴とするパップ剤及び未
反応の単量体が0.1重量%以下であるカルボキシル基
を含有するアクリル系重合体と多価金属化合物を混合し
てゲル膏体を調製することを特徴とするパップ剤の製造
法に関するものである。
含有するアクリル系重合体は、直鎖状又は分岐状の分子
構造を有する水溶性の重合体であって、当該重合体を構
成する主たる単量体がアクリル酸及びその塩、メタクリ
ル酸及びその塩等の(メタ)アクリル酸又は塩であれば良
く、これらを必要により一種又は二種以上を用いて常法
により重合して得られるものである。当該アクリル系重
合体の具体例としては、例えば、直鎖状又は分岐状の分
子構造を有するポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アク
リル酸塩、(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸塩共重
合体等の(メタ)アクリル酸(塩)系重合体が挙げられる。
これらの中で、保水性および使用時の皮膚への密着性、
使用後の剥離性等のパップ剤としての基本性能を考慮す
ると、(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸塩共重合体
が好ましく、アクリル酸/(メタ)アクリル酸ナトリウム
共重合体が更に好ましく、アクリル酸/アクリル酸ナト
リウム/メタクリル酸ナトリウム共重合体が最も好まし
い。また、その重合体の組成割合としては、アクリル酸
/アクリル酸ナトリウム/メタクリル酸ナトリウムがそれ
ぞれ5〜80/20〜95/0〜10モル%のものが好ま
しく、25〜65/35〜75/0〜5モル%のものが更
に好ましく、45〜55/42〜52/0〜3モル%が最
も好ましい。上記の他に、本発明の目的とする効果を阻
害しない範囲で、少量の他の重合性単量体を添加して共
重合して得られる共重合体も本発明で有効に用いられ
る。他の重合性単量体の具体例としては、例えば、マレ
イン酸、イタコン酸、フマル酸などの不飽和カルボン酸
及びその塩、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスル
ホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸
などの不飽和スルホン酸及びその塩などが挙げられ、こ
れらは必要により一種又は二種以上を用いることができ
る。さらに、本発明のアクリル系重合体としては、その
0.2wt%濃度の水溶液粘度が100〜800cpsである
ものが好ましく、また重合時にゲル状となるものが好ま
しい。
存する未反応の単量体が0.1重量%以下であるもので
ある。未反応の残存単量体含有量が0.1重量%を越え
るアクリル系重合体を用いると、ゲル膏体の経時安定性
が十分でないために、時間の経過につれて接着の状態や
ゲル膏体自体の状態変化が生じて、支持体への膏体の滲
み出しや粘着性の悪化という問題を生じる。また、均一
な架橋状態が得られないために、膏体性状にバラツキが
生じて、接着性及び賦形性に優れたパップ剤が得られな
いばかりか、架橋型パップ剤に要求される接着性及び基
剤強度のバランスが崩れて、皮膚へ貼付し難くなった
り、皮膚への膏体残りや糸引き現象が発生したりする場
合もある。さらに、ゲル膏体の硬化速度が遅くなるため
に、パップ剤の生産性を著しく低下させる。パップ剤の
製造に際しては、ゲル膏体を硬化させる工程が最も律速
であるために、硬化速度の遅延はパップ剤の生産性を著
しく低下することになる。この硬化速度の遅延は、未反
応の残存単量体が架橋反応を阻害し、架橋反応速度を低
下させることに起因すると考えられる。本発明にとり好
ましい重合体としては、重合体中に残存する未反応単量
体含有量が重合体純分に対して0.05重量%以下であ
るものが好ましく、さらに好ましくは0.02重量%以
下のものである。
法、スラリー重合法、懸濁重合法、乳化重合法等の公知
の各種ラジカル重合法が挙げられるが、溶剤の除去、溶
剤の安全性、界面活性剤の混入等の問題点を考慮する
と、水溶液重合法の適用が望ましい。水溶液重合法は、
例えば、(メタ)アクリル酸や(メタ)アクリル酸塩等の重
合性モノマー水溶液を所定濃度に調製し、溶存酸素を十
分に窒素置換した後、ラジカル重合開始剤を添加し必要
により適度に加熱や紫外線照射することによって重合反
応を行う方法であり、重合反応の進行に伴い(メタ)アク
リル酸(塩)系重合体水溶液は非常に粘性を増し、重合反
応が完了するときには、通常、含水ゲル状物として得ら
れる。含水ゲルは細断した後、熱風乾燥、減圧乾燥、間
接加熱乾燥等により乾燥し、更に粉砕することによって
粉末状の重合体とすることができる。しかし、このよう
にして得た重合体は、通常、未反応の残存単量体含有量
が0.1重量%を超えるために、このままの状態では本
発明におけるアクリル系重合体としては適用できない。
しては、上記に様にして重合体を得た後で抽出により
残存単量体を除去する方法、限外濾過等により残存単
量体を分離除去する方法、重合反応時の重合開始剤の
添加量を増量する方法等が挙げられりが、の重合体を
得た後で抽出により残存単量体を除去する方法が好まし
い。の限外濾過等により残存単量体を分離除去する方
法では、十分に残存単量体を除去できなかったり、ま
た、残存単量体の除去率を上げようとすると、設備の過
大な大型化や著しい生産性の低下を伴う場合があり、ま
た、の重合反応時の重合開始剤の添加量を増量する方
法では、残存単量体は低減できるものの重合体の重合度
の低下もしくは不溶化を生じたり、重合体の着色等が問
題となって、本発明で期待される効果が得られない場合
がある。
は、重合体自体を溶解せずに残存単量体を抽出できるも
ので、例えば、エタノール、メタノール、アセトン等の
ある程度の極性を有する水溶性の溶媒が望ましく、残存
単量体の抽出率を向上させるために水との混合溶媒とす
ることがさらに望ましい。使用する溶媒の極性によって
望ましい混合割合は異なるが、例えば、エタノールの場
合、重量比でエタノール/水=100/0〜60/40程
度が望ましく、エタノール/水=90/10〜70/30
がさらに望ましい。また、抽出溶媒の量は、処理する重
合体の重量に対して3倍量以上とすることが望ましく、
5〜10倍量とすることがさらに望ましい。抽出溶媒量
が重合体重量に対して3倍量未満では残存単量体を0.
1重量%以下に低減できない場合があり、抽出溶媒量が
多いと抽出率は向上するものの生産性を著しく低下させ
ることから、過剰の抽出溶媒を使用するのは好ましくな
く、通常、20倍量以下の抽出溶媒で十分に残存単量体
を0.1重量%以下に低減できる。これらの条件を満た
すように、混合溶媒中に前記粉末状の重合体、又はこれ
を水に溶解した重合体水溶液もしくは乾燥前の細断され
た含水ゲル状重合体を投入し、必要に応じて攪拌や加温
等の操作を行って十分に残存単量体を抽出した後、真空
乾燥、熱風乾燥、間接加熱乾燥等により乾燥し、更に必
要に応じて粉砕することで残存単量体の低減されたアク
リル系重合体が得られる。当該方法は、架橋したアクリ
ル系重合体中の残存単量体を低減させる方法に比べ、未
反応単量体の量が低減されたパップ剤を容易に製造する
ことができる。
応の残存単量体含有量が0.1重量%以下のカルボキシ
ル基を含有するアクリル系重合体を、多価金属化合物に
より架橋する方法が挙げられる。本発明のパップ剤は、
このようにして架橋して得た架橋アクリル系重合体を構
成成分とするゲル膏体を調製し、当該ゲル膏体を不織布
等の支持体面に塗布展延した後、この塗布面を剥離性の
フィルムで覆って保護したものを裁断、包装して完成さ
れる。前記ゲル膏体は、必須成分のアクリル系重合体、
多価金属化合物、水の他、保水剤や無機粉末等の添加物
や薬効成分等から構成されるものであり、各成分が所定
の配合比率となるように一括もしくは逐次添加・混合し
た後、混練して得られる。好ましいゲル膏体の配合比率
の具体例としては、例えば、ゲル膏体全量に対して、
(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸塩共重合体などの
アクリル系重合体を1〜20重量%、グリセリンなどの
保水剤を1〜30重量%、水酸化アルミニウムなどの多
価金属化合物を0.001〜1重量%、カオリンなどの
無機添加物を1〜10重量%、薬効成分を0.5〜10
重量%、水分を40〜80重量%が挙げられる。
架橋反応は、当該ゲル膏体の調製後より経時的に進行す
るため、支持体面に塗布展延されたゲル膏体は、架橋反
応の進行に伴い適度な速度で硬化して、本発明のパップ
剤として期待される優れた接着性および基剤強度を有す
る様になる。前記アクリル系重合体のゲル膏体への配合
量は、ゲル膏体全量に対して、更に好ましくは5〜15
重量%である。重合体の配合量が1重量%未満では粘着
性、増粘性及び賦形性が低下し、20重量%を超えると
増粘し過ぎるために、本発明で期待される効果が得られ
ない場合がある。
物としては、水酸化アルミニウム、塩化アルミニウム、
硫酸アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、リン酸アルミ
ニウム、水酸化アルミニウム・マグネシウム、アルミニ
ウムグリシネート等があり、これらは単独で使用しても
複数を組み合わせて使用してもよい。また、これらの多
価金属化合物は水溶性であっても、難溶性であってもよ
い。多価金属化合物の配合量は、重合体の重合度及び配
合量、多価金属化合物の種類や他の配合物等の影響によ
って異なるが、通常、ゲル膏体全量に対して0.001
〜3重量%であり、好ましくは0.001〜1重量%で
あり、更に好ましくは0.01〜0.5重量%である。
剤に一般に用いられる添加物、すなわち、製造時の適性
や使用時の品質を改善するために、ゼラチン、ポリビニ
ルアルコール、カルボキシメチルセルロースナトリウ
ム、グリセリン、ポリビニルピロリドン、アルギン酸ナ
トリウム等の水溶性高分子を増粘剤や粘着付与剤として
配合してもよく、グリセリン、プロピレングリコール、
ソルビトール、ブチレングリコール等を保水剤として、
さらにはカオリン、酸化チタン、無水ケイ酸等の粉末無
機充填剤、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロ
キシアニソール等の酸化防止剤、パラオキシ安息香酸メ
チル、パラオキシ安息香酸プロピル等の防腐剤等が必要
により一種又は二種以上が配合される。このような添加
物の好ましい配合量は、ゲル膏体全量に対して1〜30
重量%である。また、本発明のパップ剤に配合される薬
効成分の具体例としては、例えば、サリチル酸メチル、
サリチル酸グリコール、メントール、カンフル、チモー
ル、ハッカ油、ボルネオール、グリチルリチン酸等の抗
ヒスタミン剤、インドメタシン、フルルビプロフェン、
ケトプロフェン等の消炎鎮痛剤、塩酸ジブカイン、リド
カイン等の局所麻酔薬等が挙げられ、これらは必要によ
り一種又は二種以上を用いることができる。このような
薬効成分の配合量は、通常、ゲル膏体全量に対して0.
5〜10重量%である。
クリル系重合体が均一な架橋構造を形成するために、接
着性及び賦形性に優れ、支持体への膏体の滲み出しや粘
着性の低下がなく、また、ゲル膏体の経時安定性に優れ
たパップ剤を得ることができる。また、不純物としての
未反応の残存モノマー含有量が少なく皮膚刺激性を改善
するために、かぶれ等の障害を抑えることができる。さ
らに、ゲル膏体の硬化時間を大幅に短縮できるために、
パップ剤の生産性を飛躍的に向上させることができる。
的に説明する。また、実施例、比較例に用いた物性試験
方法も併せて記載する。 [残存単量体量]重合体サンプルを純水に溶解して、
1.0重量%濃度(固形分換算)の重合体水溶液を作成
し、この重合体水溶液2gを20mlのメタノール中に投
入後、30分間スターラー攪拌して重合体を沈殿させ
る。30分後、上澄み液を採取し、高速液体クロマトグ
ラフィーにて残存単量体量を測定した。カラム:日立HP
LCパックドカラム#3056、溶離液:0.1%リン酸
緩衝液、検出器:UV195nm [0.2%粘度]重合体サンプルを純水に溶解して、0.
2重量%濃度(固形分換算)の重合体水溶液を作成し、B
型粘度計にて30rpm、30℃での0.2%粘度を測定し
た。 [曳糸性]重合体サンプルを純水に溶解して、1.0重
量%濃度(固形分換算)の重合体水溶液をビーカーに作成
した後、25℃に温調し、直径10mmのガラス球を溶解
液に深さ約20mmの位置まで浸漬し、ビーカーを5mm/s
ecの速度で引き下げてガラス球の下端が水溶液表面に達
した時点から糸曳きが切れるまでの時間T(sec)を測定
し、次式で曳糸性を計算した。 曳糸性(mm)=5×T この曳糸性の測定は、重合体の賦形性を評価する客観的
な方法であり、同程度の粘度を有する重合体の場合、糸
曳き長さが小さいほど賦形性に優れた重合体であり、通
常、40mm以下が望ましい。
液、アクリル酸水溶液、メタクリル酸ナトリウム水溶液
をそれぞれ46.4モル%、51.22モル%、2.38
モル%の組成で全重量を1kg、単量体濃度を30重量%
になるようにイオン交換水を加えた。単量体水溶液の温
度を10℃に調整した後、窒素を導入し60分間脱気し
た。重合開始剤として、アゾビスアミジノプロパン塩酸
塩、過硫酸アンモニウム、亜硫酸ナトリウム、エルビッ
ト-Nを全単量体重量に対してそれぞれ500ppm、10
0ppm、100ppm、20ppm添加して重合を開始した。
8時間後重合が完了したので得られたゲル状重合体を取
り出し、小型チョッパーに投入して挽き肉状に細断処理
した。得られた細断ゲルを100℃の熱風乾燥機中で5
時間乾燥し、乾燥物を粉砕して粉末状の重合体aを得
た。 ○ 重合体Aの調製 2リットルのガラス製ビーカーにエタノール/水=80/
20wt%の組成で全重量を1kgとなるように仕込み、混
合して抽出溶媒を作成した。この抽出溶媒中に、翼径が
55mmのステンレス製スクリュー型3枚羽根を用いてス
リーワン・モーターで攪拌しながら、比較重合例1で得
られた重合体aを100g投入し、400rpmで3時間攪
拌した。3時間後に攪拌を止めて、更に静置状態で16
時間抽出を行った後、重合体をNo.2の濾紙で濾過分離
した。得られた重合体を真空乾燥機にて60℃で60分
間、次いで熱風乾燥機にて100℃で120分間乾燥し
た後、粉砕して粉末状の重合体Aを得た。 ○ 重合体Bの調製 重合例1において、抽出溶媒中への重合体aの投入量を
200gとした以外は同様にして重合体Bを得た。 ○ 重合体Cの調製 重合例1において、抽出溶媒の組成をメタノール/水=
90/10wt%としたこと、及び、抽出溶媒中への重合
体aの投入量を200gとした以外は同様にして重合体
Cを得た。 ○ 重合体d〜fの調製 まず、重合体aの調製において、単量体水溶液を表1に
示した組成比になるように調製とした以外は同様にし
て、それぞれ、粉末状の重合体d、重合体e、重合体f
を得た。 ○ 重合体Dの調製 重合体Aの調製において、抽出溶媒の組成をメタノール
/水=90/10wt%としたこと及び抽出溶媒中に重合体
dを333.3g投入した以外は同様にして重合体Dを得
た。 ○ 重合体Eの調製 重合体Aの調製において、抽出溶媒の組成をメタノール
/水=80/20wt%としたこと及び抽出溶媒中に重合体
eを333.3g投入した以外は同様にして重合体Eを
得た。 ○ 重合体Fの調製 重合体Aの調製において、抽出溶媒の組成をメタノール
/水=80/20wt%としたこと及び抽出溶媒中に重合体
fを333.3g投入した以外は同様にして重合体Fを
得た。 ○ 重合体bの調製 1リットルのポリエチレン製ビーカーに粉末状の重合体
Aを100g投入し、スリーワン・モーターにて100
0rpmで攪拌しながら、6重量%濃度のアクリル酸水溶
液5gを均一に噴霧混合した。得られた混合重合体を熱
風乾燥機にて100℃で30分間乾燥後、粉砕して重合
体bを得た。 ○ 重合体cの調製 重合体bの調製において、噴霧するアクリル酸水溶液の
濃度を2重量%とした以外は同様にして重合体cを得
た。このようにして得た重合体A〜F、重合体a〜cに
ついて、前記物性試験を行った。その結果を表1にまと
めて示した。
た本発明の実施例、比較例を以下に説明する。 ○ 実施例1 表2に示した処方に従ってゲル膏体の調製を行った。ま
ず、グリセリンに重合体Aを均一に分散し、これをゲル
膏体全量に対して50重量%の水に加えて溶解した。一
方、残りの水にカオリン、酸化チタン、薬効成分として
サリチル酸メチル、1-メントール、dl-カンフル、ハッ
カ油を加えて混合し、更に水酸化アルミニウムを加えて
均一に攪拌混合したものを、先の重合体溶解液に加え、
混練してゲル膏体を調製した。このゲル膏体をポリエス
テル製不織布に塗布展延した後、塗布面にポリプロピレ
ンフィルムを貼り合わせ、所定の大きさに裁断したもの
をラミネート紙で密封後、5日間静置熟成してパップ剤
を得た。得られたパップ剤について、以下に示す性能評
価を行い、その結果を表3にまとめて示した。
重合体a〜cをそれぞれ表3に示したとおりに使用した
以外は同様にして実施例2〜6、比較例1〜3のパップ
剤を得た。得られたパップ剤について以下に示す性能評
価を行い、その結果を表3にまとめて示した。
いて、接着性、不織布への膏体の滲み出し、剥離時の膏
体残り、ゲル膏体の硬化状態の評価を以下のように実施
した。 [接着性]パップ剤作成時及び3ヵ月後に指触によって
接着性の評価を行った。4段階評価で、評価基準は以下
のとおりとした。 ◎: 十分に接着性あり ○: 接着性あり △: わずかに接着性あり ×: 接着性なし [滲み出し]パップ剤作成時及び3ヵ月後のパップ剤を
目視観察して不織布へのゲル膏体の滲み出し有無を評価
した。4段階評価で、評価基準は以下のとおりとした。 ◎: 滲み出し全くなし ○: 滲み出しほとんどなし △: 滲み出しあり ×: 滲み出し顕著に多くあり [膏体残り]パップ剤作成時及び3ヵ月後のパップ剤を
人体に適用し、3時間後に剥離した時の人体への膏体残
りの有無を評価した。4段階評価で、評価基準は以下の
とおりとした。 ◎: 膏体残り全くなし ○: 膏体残りほとんどなし △: 膏体残りあり ×: 膏体残り顕著に多くあり [硬化状態]パップ剤作成時のパップ剤を目視観察及び
指触して膏体表面の硬化状態の均一性を評価した。評価
基準は3段階で、均一、ほぼ均一、不均一とした。
剤は初期接着性は比較的良好であるものの膏体性状が不
均一で、経時安定性に欠けるのに対し、実施例1〜6の
パップ剤は接着性および経時安定性が良好で、且つ、均
一な膏体性状を示した優れた性能のパップ剤であった。
及び比較例1〜3において調製したゲル膏体について、
硬化速度の評価を行った。まず、サンプルとなる調製直
後のゲル膏体を内径55mm、深さ20mmの円筒形の容器
にちょうど一杯になるように詰めると同時に表面部を均
して平坦にした。これを粘弾性測定装置(アイテクノエンシ゛ ニアリ
ンク゛社製、レオロメータ・マックス;RX-1700)にて、定速圧縮引張運
動によりゲル膏体の硬さを測定した(100mm/分、φ3
0mmフ゜ランシ゛ャー)。測定後、容器を密封して25℃で保管
し、所定時間経過ごとに同様にしてゲル膏体の硬さを測
定した。その結果を表4および図1にまとめて示した。
図中◆は実施例1、■は実施例2、▲は実施例3、◇は
実施例4、□は実施例5、△は実施例6、×は比較例
1、+は比較例2、*は比較例3である。
のゲル膏体は硬化速度が遅いのに対し、実施例1〜6の
ゲル膏体は硬化速度が飛躍的に向上し、さらに、ゲル膏
体自体の強度が強く優れた性能のパップ剤を提供するも
のであった。
た結果を示す図である。
Claims (2)
- 【請求項1】 未反応の単量体が0.1重量%以下であ
るカルボキシル基を含有するアクリル系重合体を成分と
することを特徴とするパップ剤。 - 【請求項2】 未反応の単量体が0.1重量%以下であ
るカルボキシル基を含有するアクリル系重合体と多価金
属化合物を混合してゲル膏体を調製することを特徴とす
るパップ剤の製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10236350A JP2000053564A (ja) | 1998-08-07 | 1998-08-07 | パップ剤及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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