JP3090713B2 - 医療用粘着剤 - Google Patents

医療用粘着剤

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JP3090713B2 JP03140284A JP14028491A JP3090713B2 JP 3090713 B2 JP3090713 B2 JP 3090713B2 JP 03140284 A JP03140284 A JP 03140284A JP 14028491 A JP14028491 A JP 14028491A JP 3090713 B2 JP3090713 B2 JP 3090713B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ビニルピロリドン
(共)重合体と(メタ)アクリル酸共重合体とのブレン
ドポリマーを用いた薬物の経皮または経粘膜投与のため
の医療用粘着剤に関し、より詳しくは、粘着剤層中から
の薬物の放出が効果的に行われ、皮膚刺激が緩和であ
り、関節のように動きの激しい部位にも長時間の貼付が
可能であり、繰り返し使用しても密着性、貼付性が急激
に低下しない医療用粘着剤に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、薬物を経皮または経粘膜投与する
ための医療用粘着剤として、種々のアクリル系粘着剤や
ゴム系粘着剤が汎用されている。しかしながら、これら
の粘着剤は皮膚に対する接着性が強く、そのために皮膚
から剥離する際に、皮膚の角質層の一部を剥離して損傷
を与えたり、皮膚刺激の大きな要因となったりする場合
が多かった。また、粘着剤を構成している成分が、直接
皮膚に作用して皮膚刺激の原因となることも多かった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本願発明者らは、先
に、上記のような問題を解決する医療用粘着剤として、
ビニルピロリドン(共)重合体と(メタ)アクリル酸共
重合体のブレンドポリマーを主成分として含有するもの
を提案した(特願平3−27220号)。しかしなが
ら、この未だ公知ではない先行技術の医療用粘着剤で
は、貼付部位が肘や膝等のように動きの激しい部位の場
合、長時間の貼付に耐え得ないことがあった。
【0004】よって、本発明は、従来の医療用粘着剤の
欠点を解決するものであり、その目的とするところは、
粘着剤中から薬物を経皮及び経粘膜吸収させるための医
療用粘着剤として使用することができ、粘着剤成分自体
は皮膚刺激作用を有さず、さらに、関節のように動きの
激しい部位にも剥離を引き起こすことなく長時間にわた
り貼付することが可能であり、かつ皮膚から剥離する際
に角質層に損傷を与えない医療用粘着剤を提供すること
にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の医療用粘着剤
は、ビニルピロリドン含有率が70モル%以上のビニル
ピロリドン(共)重合体と、(メタ)アクリル酸含有率
が5〜90モル%の(メタ)アクリル酸共重合体とのブ
レンドポリマーと、薬学的に許容される軟化剤と、ロジ
ン(塩)またはその誘導体(塩)とを主成分として含有
し、そのことにより上記の目的が達成される。
【0006】すなわち、ビニルピロリドン(共)重合体
及び軟化剤からなる粘着剤(粘着剤成分I)は、成分自
身による刺激性はなく、また、ポリマーが親水性である
ことから、皮膚に対する貼付性が強すぎず、角質層を剥
離するといった現象を生じさせない。しかし、内部凝集
力が弱く剥離時に皮膚に糊が残り、また、耐水性に劣る
ことから、医療用粘着剤としては好ましくはない。本発
明者らは、この粘着剤成分Iに(メタ)アクリル酸共重
合体をブレンドすれば、粘着剤成分Iの優れた特性、す
なわち良好な皮膚への貼付性及び皮膚への無刺激性を保
有したまま、内部凝集力及び耐湿性が高められること、
並びに、さらにロジン(塩)もしくはその誘導体(塩)
を添加すれば皮膚への無刺激性を保有したまま貼付性を
高め得ることを見いだし、本願の第1発明をなすに至っ
た。
【0007】また、上記第1発明のブレンドポリマー、
軟化剤及びロジン(塩)もしくはその誘導体(塩)を含
む粘着剤に弱塩基性有機カルボン酸塩を添加することに
より、さらに内部凝集力及び耐湿性が高められることを
見いだし、本願の第2発明をなすに至った。
【0008】ビニルピロリドン(共)重合体 上記ビニルピロリドン(共)重合体としては、例えば、
ビニルピロリドンホモポリマー、あるいは、ビニルピロ
リドンと(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチ
ルエステル、(メタ)アクリル酸エチルエステル、無水
マレイン酸、ビニルアルコールもしくは酢酸ビニル等の
1種または2種以上との共重合体が挙げられる。このよ
うなビニルピロリドン(共)重合体としては、水及び/
またはアルコールに可溶である必要があり、また、軟化
剤を添加することによって、内部凝集力が弱められてい
たとしても粘着性は有している必要がある。
【0009】共重合体中のビニルピロリドン含有率は、
粘着剤成分Iとしての優れた特性、すなわち良好な皮膚
への貼付性及び皮膚への無刺激性を保有するために、及
び(メタ)アクリル酸共重合体をブレンドすることによ
って内部凝集力及び耐湿性を高めるために、70モル%
以上、好ましくは90モル%以上がよい。
【0010】(メタ)アクリル酸共重合体 上記(メタ)アクリル酸共重合体は、例えば、アクリル
酸もしくはメタアクリル酸等の(メタ)アクリル酸
(塩)の1種または2種以上と、ビニルアルコール、酢
酸ビニル、ビニルピロリドン、無水マレイン酸、(メ
タ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、
(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸−2−
エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエ
チル、(メタ)アクリル酸塩化トリメチルアンモニウム
エチル等の分子中にフリーのカルボン酸を有さないモノ
マーの1種または2種以上との共重合体が挙げられる。
【0011】上記(メタ)アクリル酸共重合体は、(メ
タ)アクリル酸を5モル%〜90モル%含有する共重合
体である。該(メタ)アクリル酸の含有量が、5モル%
未満であると粘着剤の内部凝集力及び耐湿性を高める効
果が得られず、90モル%を超えると配合液がゲル化し
て均一な粘着剤が得にくくなるため、5モル%〜90モ
ル%が好適な範囲であり、さらには、20モル%〜80
モル%がより好適である。
【0012】上記(メタ)アクリル酸共重合体の添加に
より本発明の粘着剤の内部凝集力及び耐水性が顕著に高
められる理由は詳しくはわからないが、該(メタ)アク
リル酸共重合体のカルボン酸と、ビニルピロリドン
(共)重合体のピロリドン環とが予想外の相互作用をす
ることによると考えられる。従って、該(メタ)アクリ
ル酸共重合体の添加により望ましい効果を得るために
は、該(メタ)アクリル酸共重合体は軟化剤の添加によ
り粘着性を発現する必要はないが、ビニルピロリドン
(共)重合体と該(メタ)アクリル酸共重合体とが相互
作用するためには、配合溶液中で双方が相溶している必
要があり、かつpH4以上の水及び/またはアルコール
に可溶であることが好ましい。また、必要に応じて該共
重合体に1価あるいは2価の金属塩を添加して、中和等
を行った共重合体塩を用いることも可能である。
【0013】配合比 また、上記ブレンドポリマーにおける(メタ)アクリル
酸共重合体の含有量は、1重量%未満では内部凝集力及
び耐湿性を高める効果が得られず、30重量%を超える
とポリビニルピロリドン(共)重合体の上記した本来の
優れた特性を失うことから、1重量%〜30重量%の範
囲が好適であり、さらに5重量%〜25重量%がより好
適である。
【0014】ロジン(塩)もしくはその誘導体(塩) ロジンは、天然樹脂の一種であり、アビエチン酸、ピマ
ル酸、イソピマル酸及びその誘導体の一種または二種以
上からなる。この誘導体としては、例えば、二重結合の
不均化した誘導体、水素添加して二重結合がなくなった
誘導体、二量体化した誘導体等が挙げられる。また、ロ
ジン塩及びその誘導体塩とは、ロジン及びその誘導体の
カルボン酸に1価あるいは2価の金属塩を添加して中和
して得られたロジン塩及びその誘導体塩である。
【0015】上記ブレンドポリマー100重量部に対す
るロジン(塩)またはその誘導体(塩)の添加量は、
0.1重量部〜20重量部、好ましくは1〜10重量部
である。0.1重量部未満では添加した効果が発現し難
く、20重量部を超えると凝集力及び耐水性を低下させ
るという不都合が生じ易くなるからである。
【0016】弱塩基性有機カルボン酸塩 弱塩基性有機カルボン酸塩としては、例えば、酢酸、ス
テアリン酸、フマル酸、マレイン酸、クエン酸、フタル
酸、ポリアクリル酸のナトリウム塩、カリウム塩、カル
シウム塩等が挙げられる。これらの性状として、1%水
溶液のpHが7〜9の範囲が好適である。該ブレンドポ
リマー100重量部に対する添加量は、0.1重量部〜
20重量部、好ましくは1重量部〜10重量部であり、
0.1重量部未満では添加効果が発現し難く、20重量
部を超えると粘着剤中で過飽和状態となり結晶析出等が
起こり易くなる。
【0017】軟化剤 軟化剤は、上記ブレンドポリマーを軟化させるために配
合されており、例えば、多価アルコール、多価アルコー
ル誘導体等の高沸点の化合物が好適である。具体的に
は、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプ
ロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセ
リン等が挙げられる。ブレンドポリマー100重量部に
対する軟化剤の添加量は、20重量部〜500重量部、
好ましくは50重量部〜300重量部であり、20重量
部未満では軟化効果が十分ではなく、500重量部を超
えるとポリマーからブリードアウトし易くなる。
【0018】薬物 本発明の医療用粘着剤に含有される薬物としては、経皮
吸収性を有する薬物であれば特に限定されず、種類につ
いても必要に応じて1種または2種以上を適宜配合して
用いることができる。この薬物すなわち薬効成分として
は、例えば、解熱消炎鎮痛剤、鎮痛剤、ステロイド系抗
炎症剤、血管拡張剤、高血圧・不整脈用剤、血圧降下
剤、鎮咳去たん剤、局所麻酔剤、ホルモン剤、喘息・鼻
アレルギー治療剤、抗ヒスタミン剤、抗凝血剤、鎮痙
剤、脳循環・代謝改善剤、抗うつ・抗不安剤、ビタミン
D製剤、経口血糖降下剤、抗潰瘍剤、睡眠剤、抗生物質
等が挙げられる。
【0019】解熱消炎鎮痛剤としては、インドメタシ
ン、サリチル酸、アスピリン、アセトアミノフェン、ジ
クロフェナックナトリウム、イブプロフェン、スリンダ
ック、ナプロキセン、ケトプロフェン、フルフェナム
酸、イブフェナック、フェンブフェン、アルクロフェナ
ック、フェニルブタゾン、メフェナム酸、ピロキシカ
ム、フルルビプロフェン、ベンダザック等が挙げられ
る。鎮痛剤としては、ペンタゾシン、塩酸ブプレノルフ
ィン、臭化水素酸エプタゾシン、酒石酸ブトルファノー
ル等が挙げられる。ステロイド系抗炎症剤としては、ヒ
ドロコルチゾン、プレドニゾロン、フロオシノロンアセ
トニド、フロドキシコルチド、メチルプレドニゾロン、
酢酸ヒドロコルチゾン、トリアムシノロンアセトニド、
デキサメタゾン、酢酸ヘタメサゾン、吉草酸ジフルコル
トロン、プロピオンクロヘタゾール、フルオシノニド等
が挙げられる。
【0020】血管拡張剤としては、ジルチアゼム、ベラ
パミル、四硝酸ペンタエリスリトール、ジピリダモー
ル、硝酸イソソルビド、ニフェジピン、ニトログリセン
等が挙げられる。高血圧、不整脈用剤としては、プロパ
ノロール、アテノロール、ピンドロール、硫酸キニジ
ン、アジマリン、塩酸アルプレノロール、酒石酸メトプ
ロロール、ナドロール、マレイン酸チモロール、ジソピ
ラミド等が挙げられる。血圧降下剤としては、塩酸クロ
ニジン、カプトリル、塩酸プラゾシン、硫酸ベンブトロ
ール、酢酸グアナベンズ、塩酸グアンファシン、酢酸グ
アナベンズ、塩酸プナゾシン、マレイン酸エラナプリ
ル、塩酸アロチノロール、塩酸ブニトロール等が挙げら
れる。
【0021】鎮咳去たん剤としては、塩酸プロカテロー
ル、硫酸テルブタリン、臭化水素酸フェノテロール、塩
酸ツロブテロール、塩酸アンブロキソール、塩酸ピロブ
テロール、塩酸マブテロール、塩酸クレンブテロール、
塩酸トリメトキノール、フマル酸フォルモテロール等が
挙げられる。抗潰瘍剤としては、5−フルオロウラシ
ル、1−(2−テトラヒドロフリル)−5−フルオロウ
ラシル、マイトマイシンC等が挙げられる。局所麻酔剤
としては、ベンゾカイン、プロカイン、リドカイン、テ
トラカイン等が挙げられる。
【0022】ホルモン剤としては、エストロゲン、エス
トラジオール、テストステロン、プロゲステロン、プロ
スタグランジン等のステロイドホルモン類;インスリン
等のペプチドホルモン類等が挙げられる。喘息・鼻アレ
ルギー治療剤としては、フマル酸ケトチフェン、塩酸ア
ゼラスチン、クロモグリク酸ナトリウム等がある。抗ヒ
スタミン剤としては、塩酸シクロヘプタジン、塩酸ジフ
ェンヒドラミン、フェンベンザミン、メキタジン等が挙
げられる。
【0023】抗凝血剤としては、ヘパリン等がある。鎮
痙剤としては、スコポラミン、クロフルペロール等があ
る。脳循環代謝改善剤としては、ピンポセチン、塩酸フ
ルナジリン、塩酸ニカルジピン、フマル酸ブロビンカミ
ン、メシル酸ジヒドロエルゴトキシン、酒石酸イフェン
プロジル、塩酸イソクスプリン等が挙げられる。抗うつ
・抗不安薬としては、塩酸マプロチリン、エチゾラム、
ジアゼパム、ブロマゼパム、塩酸アミトリプチリン、塩
酸ミアンセリン等が挙げられる。
【0024】ビタミンD剤としては、α−カルシドー
ル、エルゴカシフェロール等がある。経口血糖降下剤と
しては、グリベンクラミド、グリクラジド等がある。抗
潰瘍剤としては、リンゴ酸グレポブリド、ファモチジ
ン、臭化グリコピロニウム等がある。睡眠薬としては、
ファノバルビタール、アモバルビタール等がある。抗生
物質としては、テトラサイクリン、クロラムフェニコー
ル等がある。
【0025】これらの薬物の配合量は、薬物の種類、貼
付剤の使用目的等により異なるが、通常、粘着剤中に
0.1〜40重量%の割合で含有される。また、必要に
応じて薬物の吸収を高める吸収促進剤、皮膚への刺激を
低下させる皮膚刺激低減化剤、薬物を安定化させる安定
化剤、さらには必要に応じて賦形剤等を添加してもよ
く、その場合も本発明の粘着剤を用いた貼付剤に含まれ
るものである。
【0026】貼付剤の製造 本発明の医療用粘着剤を用いた貼付剤は、通常の粘着テ
ープの製造方法に従って製造され得る。例えば、溶液塗
工法、ホットメルト塗工法、エマルジョン塗工法等の種
々の塗工法が採用される。特に、溶剤塗工法が好適に用
いられる。溶剤塗工法で粘着剤層を形成するには、例え
ば、適当な溶媒の粘着剤溶液を、支持体表面に塗布・乾
燥する。塗布には、ロールコーター、ブレードコーター
等のコーターが用いられる。溶液を直接支持体表面に塗
布せずにシリコーン樹脂等をコーティングした剥離紙上
に塗布し、乾燥後に支持体と密着させても良い。このよ
うな剥離紙は、使用時まで貼付剤の粘着剤層表面を保護
するために用いられる。溶剤塗工法以外の塗工法におい
ても、粘着剤層形勢後、粘着剤層表面保護のために剥離
紙を配することが推奨される。
【0027】貼付剤の粘着剤層の厚みは用途により異な
るが、通常、10〜3000μmである。10μmを下
回ると必要量の薬物を含有させることができず、粘着性
も不十分である。3000μmを上回ると支持体付近の
粘着剤層に含有される薬物が十分に拡散せず、薬物放出
性が低下する。
【0028】
【作用】本発明の医療用粘着剤は、上記のように構成さ
れており、親水性であるため、皮膚に対する親和性が比
較的弱い。そのため、貼付剤を剥離する際に、角質層を
剥離したり、或いは表面の毛を毟り取ったりするといっ
た現象が発生し難く、従って、皮膚への刺激性が少な
く、かつ皮膚のかぶれ等も生じ難い。また、粘着剤層が
柔軟であるため、親和性が低いにも関わらず、皮膚表面
に密着して皮膚の伸縮に無理なく追随し得るため、皮膚
表面から剥がれ難い。
【0029】また、上記粘着剤成分Iだけでは、耐水性
及び内部凝集力が弱く、貼付剤とした場合には、貼付中
に支持体の外側に粘着剤層の組成物がはみ出したり、貼
付剤を剥がしたときに粘着剤組成物が皮膚に残ったりし
ていた。これに対して、本発明の医療用粘着剤は、粘着
剤成分Iに(メタ)アクリル酸共重合体をブレンドする
ことによって、この粘着剤成分Iの優れた特性、すなわ
ち良好な皮膚への貼付性及び皮膚への無刺激性を保有し
たまま、内部凝集力及び耐湿性が高められている。しか
も、ビニルピロリドン(共)重合体が軟化剤によって膨
潤状態のままで、内部凝集力及び耐湿性が高められるこ
とから、薬物は、粘着基剤中を容易に移動することがで
き、かつ効果的に放出されて、経皮吸収される。
【0030】さらに、ロジン(塩)またはその誘導体
(塩)が添加されているため、皮膚に対する貼付がより
一層高められており、従って皮膚の動きの激しい部位に
おいても長時間の貼付が可能である。また、上記発明の
ブレンドポリマー、軟化剤及びロジン(塩)またはその
誘導体(塩)を含む粘着剤に弱塩基性有機カルボン酸塩
を添加することにより、さらに内部凝集力及び耐湿性が
高められ、上記の効果がより一層高められる。
【0031】
【実施例の説明】以下に、本発明を実施例及び比較例を
挙げることにより具体的に説明する。実施例1 ビニルピロリドンホモポリマー(BASF社製、Kollidon 3
0)75重量部をエタノール200重量部に均一に溶解
し溶液Iを得た。メタアクリル酸−アクリル酸エチル共
重合体〔Rohm Pharma 社製、Euidragit L100-55 (メタ
アクリル酸含量38〜52%)〕25重量部をエタノー
ル50重量部に溶解し溶液IIを得た。不均化ロジンカリ
ウム塩(荒川化学工業社製、ロンジスK−80)5重量
部をエタノール45重量部に溶解し、溶液III を得た。
以上の溶液I,II,III と、ポリエチレングリコール6
00(日本油脂製、日局外規格)250重量部とを均一
に混合して、無色透明な粘着剤溶液を得た。
【0032】この粘着剤溶液中に、硝酸イソソルビドの
5%エタノール溶液を、粘着剤層中硝酸イソソルビトが
10%となるように加え、ディゾルバーで均一に混合
し、不揮発分約30%のエタノール溶液となるように調
整した。このエタノール溶液を乾燥後の厚みが200μ
mとなるように表面シリコーン処理ポリエチレンテレフ
タレート(PET)剥離紙上に塗工し、60℃にて2時
間乾燥して粘着剤層を形成した。これに厚さ40μmの
ウレタンフィルムを貼り合わせ、実施例1の貼付剤を得
た。
【0033】実施例2 実施例1で調製した粘着剤溶液に、クエン酸3Naの1
0%水溶液を粘着剤層中クエン酸3Naが5%となるよ
うに加えて調製した以外は、実施例1と同様にして、実
施例2の貼付剤を得た。
【0034】実施例3 ビニルピロリドンホモポリマー(BASF社製、Kollidon9
0)90重量部をエタノール200重量部に均一に溶解
し溶液Iを得た。メタアクリル酸−メタアクリル酸メチ
ル共重合体〔Rohm Pharma 社製、Euidragit S (メタア
クリル酸含量25.0〜34.5%)〕及びメタアクリ
ル酸−アクリル酸エチル共重合体(Rohm Pharma 社製、
Euidragit L100-55)各々5重量部をエタノール20重
量部に溶解し溶液IIを得た。水添ロジン(荒川化学工業
社製、KR−610)10重量部をエタノール90重量
部に溶解し、溶液III を得た。
【0035】以上の溶液I,II,III と、濃グリセリン
(日本油脂製、日局規格)250重量部とを均一に混合
して、無色透明な粘着剤溶液を得た。この粘着剤溶液
に、インドメタシンの10%エタノール溶液を、粘着剤
層中インドメタシンが10%となるように加え、ディゾ
ルバーで均一に混合し、不揮発分約30%のエタノール
溶液となるように調整した。このエタノール溶液を乾燥
後の厚みが200μmとなるように表面シリコーン処理
PET剥離紙上に塗工し、60℃にて2時間乾燥して粘
着剤層を形成した。これに厚さ40μmのウレタンフィ
ルムを貼り合わせ、実施例3の貼付剤を得た。
【0036】実施例4 ビニルピロリドン95重量部及びメタアクリル酸メチル
5重量部を、溶媒としてエタノールを使用して、重合触
媒としてラウロイルパーオキシド0.3重量部を加え
て、60℃で20時間重合を行い、重量平均分子量7.
5×105 、固形分35%のビニルピロリドン−メタア
クリル酸メチル共重合体を得た(溶液I)。
【0037】アクリル酸70重量部及びアクリル酸−2
−エチルヘキシル30重量部を、溶媒としてエタノール
を使用して、重合触媒としてラウロイルパーオキシド
0.6重量部を加えて、60℃で20時間重合を行い、
重量平均分子量8.5×104 、固形分30%のアクリ
ル酸−アクリル酸−2−エチルヘキシル共重合体溶液を
得た(溶液II)。ロジン(荒川化学工業社製、中国ロジ
ン)3重量部をエタノール27重量部に溶解し、溶液II
I を得た。
【0038】以上の溶液Iを271.4重量部、溶液II
を16.7重量部秤量し、上記溶液III 30重量部及び
濃グリセリン(日本油脂製、日局規格)250重量部と
均一に混合して、無色透明な粘着剤溶液を得た。この粘
着剤溶液に、エストラジオールの10%エタノール懸濁
溶液を、粘着剤層中エストラジオールが10%となるよ
うに加え、ディゾルバーで均一に混合し、不揮発分約3
0%のエタノール溶液となるように調整した。このエタ
ノール溶液を乾燥後の厚みが200μmとなるように表
面シリコーン処理PET剥離紙上に塗工し、60℃にて
2時間乾燥して粘着剤層を形成した。これに厚さ40μ
mのウレタンフィルムを貼り合わせ、実施例4の貼付剤
を得た。
【0039】実施例5 実施例1の粘着剤溶液の調製において、薬物を添加しな
い以外は、実施例1と同様にして、実施例5の貼付剤を
得た。
【0040】実施例6 実施例2の粘着剤溶液の調製において、薬物を添加しな
い以外は、実施例2と同様にして、実施例6の貼付剤を
得た。
【0041】実施例7 実施例3の粘着剤溶液の調製において、薬物を添加しな
い以外は、実施例3と同様にして、実施例7の貼付剤を
得た。
【0042】実施例8 実施例4の粘着剤溶液の調製において、薬物を添加しな
い以外は、実施例4と同様にして、実施例8の貼付剤を
得た。
【0043】比較例1 アクリル酸−2−エチルヘキシル40重量部、メタアク
リル酸−2−エチルヘキシル30重量部及びアクリル酸
ブチル30重量部を、溶媒として酢酸エチルを使用し
て、重合触媒としてラウロイルパーオキシド0.25重
量部を加えて60℃で20時間重合を行い、重量平均分
子量6.5×105 、固形分54%の粘着剤溶液を得
た。
【0044】この粘着剤溶液に、硝酸イソソルビトの1
0%酢酸エチル溶液を、粘着剤層中硝酸イソソルビトの
含量が15重量%となるように加え、ディゾルバーで均
一に混合し、不揮発分約30重量%の酢酸エチル溶液と
なるように調整した。この酢酸エチル溶液を乾燥後の厚
みが200μmとなるように表面シリコーン処理PET
剥離紙上に塗工し、60℃にて30分乾燥して粘着剤層
を形成した。これに厚さ40μmのウレタンフィルムを
貼り合わせ、比較例1の貼付剤を得た。
【0045】比較例2 実施例1の粘着剤溶液の調製において、不均化ロジンを
添加しない以外は、実施例1と同様にして、比較例2の
貼付剤を得た。
【0046】比較例3 実施例3の粘着剤溶液の調製において、不均化ロジンを
添加しない以外は、実施例3と同様にして、比較例3の
貼付剤を得た。
【0047】比較例4 実施例4の粘着剤溶液の調製において、不均化ロジンを
添加しない以外は、実施例4と同様にして、比較例4の
貼付剤を得た。
【0048】比較例5 比較例1の粘着剤溶液の調製において、薬物を添加しな
い以外は、比較例1と同様にして、比較例5の貼付剤を
得た。
【0049】比較例6 比較例2の粘着剤溶液の調製において、薬物を添加しな
い以外は、比較例2と同様にして、比較例6の貼付剤を
得た。
【0050】比較例7 比較例3の粘着剤溶液の調製において、薬物を添加しな
い以外は、比較例3と同様にして、比較例7の貼付剤を
得た。
【0051】比較例8 比較例4の粘着剤溶液の調製において、薬物を添加しな
い以外は、比較例4と同様にして、比較例8の貼付剤を
得た。実施例1〜4及び比較例1〜4で得られた各貼付
剤について、実験1に示す手法によりウサギに対する薬
物の移行性試験を行った。
【0052】実験1 ウサギ(ニュージーランド・ホワイト種)の脱毛した背
部及び腹側部に貼付剤の試験片(面積10cm2 )を貼
付し、24時間後これを剥離して回収した。繰り返し回
数は各貼付剤毎に4回とした。実施例1〜4及び比較例
2〜4については、これらの試験片を酢酸エチルで抽出
処理し、貼付剤中の各々の薬物の残存量を高速液体クロ
マトグラフ法により測定した。各貼付剤の試験前の薬物
量と試験後の残存量との差を24時間の皮膚移行量とし
た。また、比較例1については、これらの試験片をエタ
ノールで抽出処理し、貼付剤中の各々の薬物の残存量を
高速液体クロマトグラフ法により測定し、実施例の場合
と同様に皮膚移行量を求めた。各貼付剤のウサギの皮膚
における薬物の移行量を表1に示す。
【0053】
【表1】
【0054】表1から明らかなように、実施例1,2と
比較例1との比較から、本発明の医療用粘着剤を用いた
場合、比較例1のアクリル系粘着剤を用いた場合と比較
して、同等以上の良好な薬物放出性を有していることが
認められる。また、実施例1と比較例2、実施例3と比
較例3、実施例4と比較例4のそれぞれの比較から、ロ
ジン(誘導体)(塩)を添加した本発明の医療用粘着剤
が、ロジン無添加の場合と比較して、同等以上の良好な
薬物放出性を有していることが認められた。
【0055】実施例1〜4及び比較例1〜4で得られた
各貼付剤について、実験2に示す手法によりウサギの皮
膚に対する貼付剤の刺激性試験を行った。実験2 実験1と同じ手法で処理したウサギの皮膚について、貼
付剤を24時間貼付した後剥離し、1時間後及び48時
間後の皮膚の紅斑状態を目視で観察した。なお、本試験
において、浮腫及び痂皮の形成は認められなかった。紅
斑の程度は下記の0〜4の5段階の判定基準で評価し
た。 0 … 紅斑なし 1 … かろうじて識別できる軽度の紅斑 2 … 明らかな紅斑 3 … 中程度の紅斑 4 … 深紅色の強い紅斑 平均値(各回における評点の総和を繰り返し回数4で割
った値)を各々の貼付剤の皮膚刺激指数とした。得られ
た評価結果を表2に示す。
【0056】
【表2】
【0057】表2から明らかなように、本発明の医療用
粘着剤を用いた実施例1〜4の貼付剤及び比較例2〜4
の貼付剤の皮膚刺激は、1時間後及び48時間後共にほ
とんど認められないのに対して、アクリル系粘着剤を用
いた比較例1の貼付剤の皮膚刺激は、48時間後におい
てはほとんど認められないが、1時間後は角質層の損傷
に起因すると考えられる高い刺激が認められた。
【0058】実施例5〜8及び比較例5〜8で得られた
貼付剤について、実験3に示す手法により人に対する貼
付性試験を行った。実験3 健常な男性の被験者4名のヒジ関節部位に、各貼付剤の
試験片(5×5cm)を貼付し、24時間後の貼付状態
を観察した。各貼付剤の人関節部位貼付試験結果を下記
の表3に示す。
【0059】
【表3】
【0060】表3から明らかなように、本発明の医療用
粘着剤を用いた実施例5〜8は、比較例5のアクリル系
粘着剤を用いた場合と比較して、同等の良好な貼付性を
有していることが認められる。また、比較例6〜8と比
較して、貼付性が顕著に高められていることが認められ
る。
【0061】
【発明の効果】以上のように、本発明による医療用粘着
剤を用いて構成された貼付剤は、種々の薬物を効果的に
経皮または経粘膜吸収させることができる。また、本発
明の医療用粘着剤は、粘着剤中の軟化剤の効果によって
ブレンドポリマーが膨潤状態とされており非常に柔軟で
あるため、粘着剤中の薬物の拡散速度が本来高いと考え
られるが、さらに、皮膚または粘膜に貼付した場合、皮
膚または粘膜表面から蒸発する水分あるいは分泌液等を
吸収してより粘度が低下し、粘着剤中の薬物の拡散速度
が高められるので、薬物は容易に粘着剤中を拡散移動す
ることができ、粘着剤から効果的に放出されて、経皮及
び経粘膜吸収される。
【0062】また、本発明の医療用粘着剤は親水性であ
るため、皮膚に対する親和性は比較的弱い。従って、貼
付剤を剥がす際に、角質層を剥離するといった現象が生
じず、さらに、体表面の毛を毟り取ることもないので、
皮膚への刺激性が少なく、皮膚のかぶれ等も生じ難い。
さらに、本発明の医療用粘着剤は、ロジン(塩)または
その誘導体(塩)を含有しており、非常に柔軟であるた
め、皮膚への親和性が低いにもかかわらず、皮膚表面に
密着して皮膚の伸縮に無理なく追随することができる。
よって、たとえ関節のように動きの激しい部位に貼付し
た場合でも、皮膚面から剥離することなく、長時間にわ
たり貼付することができ、かつ繰り返し使用しても、密
着性、貼付性が急激に低下することがない。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ビニルピロリドン含有率が70モル%以
    上のビニルピロリドン(共)重合体と、(メタ)アクリ
    ル酸含有率が5〜90モル%である(メタ)アクリル酸
    共重合体とのブレンドポリマー、軟化剤及びロジン
    (塩)もしくはその誘導体(塩)を含有する医療用粘着
    剤であって、該ビニルピロリドン(共)重合体が、水及
    び/またはアルコールに可溶である性質を有する医療用
    粘着剤。
  2. 【請求項2】 ビニルピロリドン含有率が70モル%以
    上のビニルピロリドン(共)重合体と、(メタ)アクリ
    ル酸含有率が5〜90モル%である(メタ)アクリル酸
    共重合体とのブレンドポリマー、軟化剤及びロジン
    (塩)もしくはその誘導体(塩)、並びに弱塩基性カル
    ボン酸塩を含有する医療用粘着剤であって、該ビニルピ
    ロリドン(共)重合体が、水及び/またはアルコールに
    可溶である性質を有する医療用粘着剤。
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