JPH07116025B2 - 貼付剤 - Google Patents

貼付剤

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JPH07116025B2
JPH07116025B2 JP63058815A JP5881588A JPH07116025B2 JP H07116025 B2 JPH07116025 B2 JP H07116025B2 JP 63058815 A JP63058815 A JP 63058815A JP 5881588 A JP5881588 A JP 5881588A JP H07116025 B2 JPH07116025 B2 JP H07116025B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は,薬物を経皮的に投与しうる貼付剤,特に該薬
物の経皮吸収性を高めた貼付剤に関する。
(従来の技術) 全身もしくは局部での薬効を得るために,経皮投与形の
製剤である貼付剤を用い,薬物(生理活性物質)を皮膚
を介して吸収させることが行われている。この経皮投与
法は,従来の経口投与法に比べて利点が多い。例えば,
薬物を経口投与すると,腸で吸収された薬物は肝臓へ循
環して代謝を受けるため,その薬効を発揮する前にかな
りの量が分解されてしまう。これに対して,経皮投与法
では,吸収された薬物は体内の初回循環時に肝臓を通過
しない。そのため,肝臓での代謝により薬効が大幅に減
じるということがない。特に非ステロイド系抗炎症剤の
場合は,経口投与すると胃腸障害を生じやすいが,経皮
投与ではこのような胃腸障害が生じにくいという利点を
有する。薬物の吸収性をコントロールすれば,薬物が短
時間に大量に吸収されるために起こる副作用を軽減する
ことが可能となる。長時間にわたり一定の血中濃度を維
持できれば薬物の投与回数を経らすこともできる。
しかし,貼付剤を用いて薬物を投与しても,該薬物が皮
膚を透過しにくく生体利用率(バイオアベイラビリテ
ィ)が低くなる場合が多い。薬物の吸収性を高めるため
に吸収促進剤を含有する貼付剤が製造されている。吸収
促進剤としては,一般に,サリチル酸,尿素,ジメチル
スルホキシド,プロピレングリコール,グリセリン,ジ
メチルスルホキシドなど数多くの化合物が用いられてい
る。しかし,いずれの場合にも薬物の経皮級数性は必ず
しも良好とはいえない。薬物として上記非ステロイド系
抗炎症剤を投与する場合については,ホスファチジルコ
リンなどのリン脂質を粘着剤中に含有させ,該非ステロ
イド系抗炎症剤の皮膚下における貯留性を増大させて薬
効を高める方法が,特開昭58−150508号公報および特開
昭61−172833号公報に開示されている。リン脂質を添加
することにより抗炎症効果はやや高くなるが,その効果
は治療上満足を得ることができる程高くはない。このよ
うに,薬物を効果的に吸収させうる貼付剤はいまだ得ら
れていないのが現状である。
(発明が解決しようとする課題) 本発明は上記従来の欠点を解決するものであり,その目
的とするところは,含有する薬物を効果的に皮膚を通じ
て吸収させうる貼付剤を提供することにある。本発明の
他の目的は,含有される薬物の経皮吸収性を高め,かつ
皮膚に対する刺激性がなく生体に対して安全な吸収促進
剤または吸収補助剤を含有する貼付剤を提供することに
ある。本発明のさらに他の目的は,例えば,非ステロイ
ド系抗炎症剤においては,局所および全身に対してその
薬効を持続させることが可能である貼付剤を提供するこ
とにある。本発明のさらに他の目的は,1日あたりの薬物
投与回数を経らし,使用しやすく,かつ患者のコンプラ
イアンスを得ることのできる貼付剤を提供することにあ
る。
(課題を解決するための手段) 本発明は,支持体の片面に粘着剤層が設けられた貼付剤
であって,該粘着剤層中には,薬物,レシチンおよび/
またはソルビタン脂肪酸エステル,および該薬物の吸収
促進剤が均一に溶解して含有され,そして,該吸収促進
剤が,N−アシル−N−メチルグリシン,脂肪酸ジエタノ
ールアミドおよびポリオキシエチレン付加脂肪酸ジエタ
ノールアミドのうちの少なくとも一種であり,そのこと
により上記目的が達成される。
本発明の貼付剤の粘着剤層には,上記のように,レシチ
ンおよび/またはソルビタン脂肪酸エステルが含有され
る。ここでいうレシチンとは,ホスファチジルコリン
(狭義のレシチン)をはじめとし,自然界に広く分布す
るグリセロリン脂質を指していう。レシチンには,上記
ホスファチジルコリンの他,ホスファチジルエタノール
アミン,ホスファチジルセリン,ホスファチジルイノシ
トーリ,ホスファチジン酸などがあるこれらのうちの一
種以上を含有し,容易に入手し得るレシチン含有物とし
ては,大豆レシチン,卵黄レシチン,水素添加レシチン
などがある。
上記ソルビタン脂肪酸エステルは,炭素数10〜26,好ま
しくは14〜22の脂肪酸(飽和脂肪酸および不飽和脂肪酸
のいずれであってもよい)と,ソルビトールとのエステ
ル化物である。それには,ソルビタンモノラウレート,
ソルビタンモノパルミテート,ソルビタンモノオレエー
ト,ソルビタンセスキオレエート,ソルビタントリオレ
エートなどがある。
これらのレシチンおよび/またはソルビタン脂肪酸エス
テルは,薬物の粘着基剤への溶解性を向上させ,後述の
吸収促進剤との相乗効果により薬物の経皮吸収性を増強
する。つまり吸収補助剤としての効果を有する。レシチ
ンおよび/またはソルビタン脂肪酸エステルは,後述の
粘着基剤中に,それぞれの飽和溶解度を越えない範囲で
含有される。その濃度は,粘着基剤の組成などにより異
なるが,通常,粘着基剤100重量部に対して0.5〜50重量
部,好ましくは1〜20重量部の範囲である。過少である
と薬物の粘着基剤への溶解性が向上しない。また,後述
の吸収促進剤との相乗効果により該薬物の経皮吸収を促
進させる効果が充分に得られない。過剰であっても含有
量に比例した薬物の経皮吸収促進効果は得られないばか
りか,粘着剤の粘着力が低下するという欠点がある。レ
シチンおよび/またはソルビタン脂肪酸エステルの量
は,粘着基剤の粘着力や該基剤中の薬物の拡散速度を低
下させない範囲において,基剤に対する飽和濃度に近い
高濃度であることが好ましい。
吸収促進剤としては,N−アシル−N−メチルグリシン
(N−アシルサルコシン),脂肪酸ジエタノールアミド
およびポリオキシエチレン付加脂肪酸ジエタノールアミ
ド(POE付加脂肪酸ジエタノールアミド)のうちの少な
くとも一種が使用される。N−アシル−N−メチルグリ
シンとしては,ラウロイルサルコシン,ミリストイルサ
ルコシン,パルミトイルサルコシン,オレオイルサルコ
シンなどが挙げられる。脂肪酸ジエタノールアミドとし
ては,ラウロイルジエタノールアミド,カプロイルジエ
タノールアミド,ミリストイルジエタノールアミド,ヤ
シ油脂肪酸ジエタノールアミドなどがある。POE付加脂
肪酸ジエタノールアミドとしては,ポリオキシエチレン
ラウロイルジエタノールアミド,ポリオキシエチレンヤ
シ油脂肪酸ジエタノールアミドなどがある。
上記吸収促進剤は,粘着基剤中に,その飽和溶解度に近
い濃度で含有されるのが好ましい。その濃度は粘着基剤
の組成およびレシチンなどの量により異なるが,通常,
基剤100重量部に対して0.2〜30重量部,好ましくは0.5
〜15重量部の割合で含有される。過少であると薬物の経
皮吸収促進効果が得られない。過剰であると粘着基剤の
粘着物性が低下し,皮膚表面に貼付した貼付剤が,例え
ば発汗により剥離しやすくなる。
使用される薬物(生理活性物質)は経皮投与により皮膚
を透過し,局所的にもしくは全身的に薬効をもたらすも
のであればよく,特に限定されない。例えば,非ステロ
イド系抗炎症剤,ステロイド類,抗高血圧剤,麻酔剤,
抗真菌剤,抗てんかん剤,冠血管拡張剤,ホルモン剤お
よび抗ヒスタミン剤が挙げられる。
非ステロイド系抗炎症剤としては,ピロキシカム,フェ
ニルブタゾン,アセチルサリチル酸,フルフェナム酸,
メフェナム酸,イブプロフェン,ケトプロフェン,フル
ルビプロフェン,スリンダク,インドメタシン,ジクロ
フェナック,アルクロフェナック,フェンブエン,チノ
リジン,エモルファゾンなどがある。ステロイド類とし
ては,プレドニゾロン,プロピオン酸クロベタゾールな
どのコルチコステロイド類がある。抗高血圧剤として
は,クロニジン,ニフェジピン,プロプラノロールなど
がある。麻酔剤としては,リドカイン,ベンゾカインな
どがある。抗真菌剤としては,クロトリマゾール,ペン
タマイシンなどがある。抗てんかん剤としては,ニトラ
ゼパム,メプロバメートなどがある。冠血管拡張剤とし
ては,ニトログリセリン,イソソルビドジナイトレート
などがある。ホルモン剤としては,エストラジオールな
どがある。抗ヒスタミン剤としては,塩酸ジフェンヒド
ラミン,ジフェニルイミダゾールなどがある。
これらの薬物は,粘着基剤中に,該薬物の飽和溶解度に
近い濃度で含有させることが好ましい。薬物の配合量
は,薬物の種類,粘着基剤の組成,レシチンなどの量,
得られる貼付剤の使用目的などにより異なるが,少なく
とも薬物の1日当りの常用量以上に含有させることが好
ましい。例えば,薬物として非ステロイド系抗炎症剤を
配合する場合には,後述の粘着基剤100重量部あたり0.1
〜40重量部,好ましくは0.5〜10重量部の割合で配合さ
れる。薬物の量が過少であると充分に薬効が得られず,
かつ薬効の持続効果が得られない。過剰であると薬物が
粘着剤層から析出し,粘着力が低下する。
本発明の貼付剤の粘着基剤としては,貼付剤を常温で皮
膚に長時間固定しうる粘着力があれば充分であり,特に
限定されない。例えばアクリル系,ゴム系,シリコーン
樹脂系などの粘着剤が使用され得,通常,アクリル系お
よびゴム系の粘着剤が用いられる。
アクリル系粘着剤では,その粘着物性などから,特に,
アルキル基の炭素数1〜18の(メタ)アクリル酸アルキ
ルエステルを含む重合体および/または共重合体(他の
極性モノマーを共重合成分として含む共重合体を包含す
る)が好適に用いられる。上記(メタ)アクリル酸アル
キルエステルとしては,メチル(メタ)アクリレート,
エチル(メタ)アクリレート,ブチル(メタ)アクリレ
ート,2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート,ドデシ
ル(メタ)アクリレートなどがある。上記他の極性モノ
マーとしては(メタ)アクリル酸,ビニルピロリドン,
ダイアセトンアクリルアミド,(ポリ)エチレングリコ
ール(メタ)アクリレート,(ポリ)プロピレングリコ
ール(メタ)アクリレート,2−ヒドロキシエチル(メ
タ)アクリレートなどの親水性を有するモノマーがあ
る。
アクリル系粘着剤のうちでは,特に,(メタ)アクリル
酸アルキルエステルと,ビニルピロリドンおよび/また
はダイアセトンアクリルアミドとの共重合体が好適に用
いられる。このような共重合体に用いられる(メタ)ア
クリル酸アルキルエステルとしては,特に,ブチル(メ
タ)アクリレート,2−エチルヘキシル(メタ)アクリレ
ート,ドデシル(メタ)アクリレートなどが好適であ
る。ビニルピロリドンおよび/またはダイアセトンアク
リルアミドは,上記共重合体中に通常,5〜50重量%,好
ましくは10〜40重量%の範囲で含有される。50重量%を
越えると共重合体が固くなり粘着性がやや低下する。
ゴム系粘着剤としては,スチレン−イソプレン−スチレ
ンブロック共重合体,スチレン−ブタジエン共重合体,
ポリブテン,ポリイソプレン,ブチルゴム,天然ゴムな
どが挙げられる。シリコーン樹脂系粘着剤としては,ポ
リオルガノシロキサンなどのシリコーンゴムが用いられ
る。
上記粘着剤中には必要に応じて各種配合剤,例えばロジ
ン系樹脂,ポリテルペン樹脂,クマロン−インデン樹
脂,石油系樹脂,テルペンフェノール樹脂などの粘着性
付与剤;液状ポリブテン,鉱油,ラノリン,液状ポリイ
ソプレン,液状ポリアクリレートなどの可塑剤;充填
剤;老化防止剤;が添加される。
貼付剤の支持体としては,貼付剤に通常利用される支持
体が用いられる。このような支持体としては,ポリエチ
レン,ポリエステル,ポリマイド,ポリエチレン−酢酸
ビニル共重合体,ポリ塩化ビニリデン,ポリウレタン,
アルミニウムなどでなるフィルム;これらのラミネート
フィルム;不織布などが挙げられる。
上記支持体表面に薬物と,吸収促進剤と,吸収補助剤
(レシチンおよび/またはソルビタン脂肪酸エステル)
とを含有する薬物含有(粘着剤)層が形成されて貼付剤
が得られる。粘着剤層を形成するには,溶剤塗工法,ホ
ットメルト塗工法など種々の塗工法が用いられる。なか
でも溶剤塗工法が好適である。溶剤塗工法で粘着剤層を
形成するには,例えば,粘着基剤を適当な溶媒で稀釈
し,これに薬物,吸収促進剤,吸収補助剤さらに必要に
応じて配合剤を加えて均一に混合し,得られた溶液を支
持体表面に塗布・乾燥する。溶液を直接支持体表面に塗
布せずに,シリコーン樹脂などをコーティングした剥離
紙上に塗布し,乾燥後に支持体と密着させてもよい。上
記溶剤としては,粘着基剤,薬物などを溶解し得,かつ
沸点の低いものが好ましい。溶剤の種類は,粘着基剤,
薬物,吸収促進剤,吸収補助剤などの種類に応じて適宜
選択される。例えば,酢酸エチル,シクロヘキサン,ト
ルエン,テトラヒドロフラン,塩化メチレン,メタノー
ル,エタノールなどが用いられる。上記剥離紙として
は,ポリエステルフィルム,ポリエチレンコート上質
紙,ポリオレフィンコートグラシン紙,ポリプロピレン
フィルムなどの片面にシリコーン離型処理を施したフィ
ルムが用いられる。このような剥離紙は,使用時まで貼
付剤の粘着剤層表面を保護するために使用される。ホッ
トメルト塗工法では,上記溶剤塗工法における溶剤を使
用せず,代わりに加熱により粘着基剤,薬物などを均一
に溶解させて支持体や剥離紙上に塗工が行われる。粘着
剤層の厚みも使用目的により異なるが,通常,約30μm
〜約2mmである。30μmを下まわると必要量の薬物を含
有することができず,粘着性も不充分である。2mmを上
まわると,特に溶剤塗工の場合は,溶剤を除去するのが
難しくなる。薬物放出性も低下する。
(作用) 本発明の貼付剤を皮膚表面に密着させると含有される薬
物が容易に皮膚を通して吸収される。その詳細な機構は
不明であるが,第1には,吸収促進剤が皮膚に作用し,
その蛋白質を変性させ,含水率を上昇させて軟化させる
ためと考えられる。そのため,通常,薬物を透過しにく
い皮膚表面の角質層を軟化して含有される薬物が容易に
皮膚を通して吸収されると考えられる。さらに第2に
は,含有されるレシチンおよび/またはソルビタン脂肪
酸エステルの効果が挙げられる。これらの化合物が存在
すると粘着基剤中における薬物の溶解性が高くなる。そ
のため,粘着剤中に高濃度の薬物を含有させることが可
能となる。特に上記吸収促進剤と相乗的に作用し,薬物
の経皮吸収性を著しく改善する。例えば,非ステロイド
系抗炎症剤の場合においては,抗炎症作用を局所のみな
らず,全身的に長期間にわたり発現させることができ
る。経口投与を行わせないため,消化器障害を起こすこ
とがない。
このように,本発明の貼付剤を用いると,薬物の1回投
与量を増加させることが可能であり,かつ薬物放出が持
続的になされるため1日あたりの投与回数を減らすこと
が可能であり,患者のコンプライアンスが得られる。さ
らに,本発明に用いられる吸収促進剤および吸収補助剤
(レシチンなど)は皮膚に対する刺激性がなく安全性が
高い。吸収促進剤や補助剤自体が副作用を生じることも
なく,含有される薬物を変性させることもない。基剤と
の相溶性にも優れ,調製後の貼付剤から薬物が析出する
こともない。
(実施例) 以下に本発明を実施例について説明する。
実施例1 (A)貼付剤の調製:2−エチルヘキシルアクリレートお
よびビニルピロリドン(モル比65:35)を酢酸エチル
中,ラウロイルパーオキサイドを触媒として重合し,固
形分35%,重量平均分子量72万の共重合体溶液を得た。
この溶液を乾燥して得た共重合体(粘着基剤)100重量
部,ピロキシカム7重量部,大豆レシチン5重量部およ
びラウロイルサルコシン5重量部を塩化メチレン330重
量部に加え,均一に溶解させた。この溶液をポリエチレ
ンラミネートグラシン剥離紙上に延展し,60℃で乾燥
し,厚み80μmの粘着剤層を形成した。粘着剤層は微黄
色透明であった。この粘着剤層に,支持体として,ポリ
エステルフィルムおよびエチレン−酢酸ビニル共重合体
フィルムでなるラミネートフィルムを密着させ,剥離紙
を有する貼付剤を得た。
(B)貼付剤の評価 薬物の溶解性評価:次に示す方法により薬物の溶解性
評価を行なった。その結果を下表に示す。後述の実施例
2〜4および比較例1〜5の結果もあわせて下表に示
す。薬物の析出が認められない場合には,薬物は粘着剤
層中に飽和溶解度以下の割合で含有され,析出が認めら
れる場合には,薬物は粘着剤層中に飽和溶解度以上の割
合で含有されると判断される。
薬物の溶解性評価:貼付剤を60℃にて2週間保存する。
調製時に透明であった粘着剤層表面もしくは粘着剤層中
に薬物の結晶(析出物)が認められるか否かを観察す
る。
薬物の吸収性評価:(A)項で得られた貼付剤を用
い,in vitro拡散セルによる薬物透過性試験を行なっ
た。24時間後の薬物透過率(%)を下表に示す。この薬
物透過率は,貼付剤を24時間にわたって貼付した場合に
経皮吸収される薬物量の目安となる。薬物吸収量の指標
は,投与薬物量×薬物透過率で示される。後述の実施例
2〜4および比較例1〜5の結果もあわせて下表に示
す。試験法は次のとおりである。
in vitro拡散セルによる薬物透過率測定法:開口経が25
cmのフランツ形拡散セルを準備する。フランツ形拡散セ
ルのレセプター部にはpH7.2に調整したリン酸緩衝液を
入れ,その外壁部には37℃の温水を循環してレセプター
部の温度を一定に保つ。ヌードマウスの背部摘出表皮
(約3cm2)に貼付剤の試験片を貼付し,該表皮をセルに
装着する。皮膚とレセプター液面との間に気泡が入らな
いように注意してレセプター液を満たす。24時間後にレ
セプター液をサンプリングし,高速液体クロマトグラフ
ィにより薬物濃度を測定し,下記式から薬物透過率を算
出する。
実施例2 天然ゴム45重量部,ポリテルペン樹脂45重量部,液状ポ
リイソプレン10重量部,フルルビプロフェン0.5重量
部,大豆レシチン5重量部およびラウロイルサルコシン
5重量部をトルエン670重量部に溶解させ,この溶液を
用いて実施例1と同様に貼付剤の調製を行った。
実施例3 2−エチルヘキシルメタクリレート,2−エチルヘキシル
アクリレートおよびドデシルアクリレート(モル比8:1:
1)を酢酸エチル中でラウロイルパーオキサイドを用い
て重合させ,固形分60%,重量平均分子量107万の共重
合体溶液を得た。この溶液167重量部に,インドメタシ
ン1重量部,ソルビタントリオレエート5重量部,ラウ
ロイルジエタノールアミド1.5重量部,ミリスチン酸イ
ソプロピル15重量部を均一に溶解させ,実施例1に準じ
て粘着剤層の厚み50μmの貼付剤を得た。
実施例4 ピロキシカムの量を8.7重量部とし,そしてラウロイル
サルコシンの量を10重量部としたこと以外は実施例1と
同様である。
比較例1 ラウロイルサルコシンを用いなかったこと以外は実施例
1と同様である。
比較例2 ピロキシカムの使用量を5重量部とし,かつ大豆レシチ
ンおよびラウロイルサルコシンを用いなかったこと以外
は実施例1と同様である。
比較例3 2−エチルヘキシルアクリレートおよびアクリル酸(モ
ル比98:2)を実施例1に準じて重合させ,固形分35%,
重量平均分子量45万の共重合体溶液を得た。この溶液28
6重量部にピロキシカム1重量部を加え均一に溶解し,
実施例1に準じて貼付剤を得た。
比較例4 ソルビタントリオレエートおよびラウロイルジエタノー
ルアミドを用いないかったこと以外は実施例3と同様で
ある。
比較例5 大豆レシチンを用いず,ラウロイルサルコシンの量を10
重量部としたこと以外は実施例1と同様である。
表から,レシチンまたはソルビタン脂肪酸エステル,お
よび特定の吸収促進剤を基剤中に含有する本発明の貼付
剤は両者の相乗効果により薬物の経皮吸収性を優れるこ
とがわかる。これに対して,両者を含有しない貼付剤
(比較例2および3)においては薬物の経皮吸収性に劣
る。大豆レシチンのみを含む貼付剤(比較例1)におい
ては,薬物の吸収性はやや改善されるが,本発明の貼付
剤の場合に比較すると低い。ラウロイルサルコシンを大
量に含有する比較例5においては,薬物の経皮吸収性に
は優れるが,長期間の保存により薬物が析出することが
明らかである。
(発明の効果) 本発明によれば,このように,レシチンおよび/または
ソルビタン脂肪酸エステル,そして特定の吸収促進剤を
粘着基剤中に含有し,薬物の経皮吸収性に極めて優れた
貼付剤が得られる。薬物の吸収性に優れるため薬物の1
回投与量を増加させることが可能である。薬物放出が持
続的になされるため,1日あたりの投与回数を減らすこと
ができる。用いられる吸収促進剤およびレシチンなどの
吸収補助剤は皮膚に対する刺激性がないため,長時間貼
付してもかぶれが生じない。吸収促進剤や吸収補助剤が
副作用を示すこともない。さらにこれらが原因となって
薬物を変質させることもなく,薬物が析出したり,粘着
物性が低下することもない。このような貼付剤において
は種々の薬物を経皮吸収させることができ,該貼付剤を
用いたときの治療効果も高い。そのため,含有される薬
物の種類により各種の医療用に利用されうる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A61K 47/24 G

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】支持体の片面に粘着剤層が設けられた貼付
    剤であって, 該粘着剤層中には,薬物,レシチンおよび/またはソル
    ビタン脂肪酸エステル,および該薬物の吸収促進剤が均
    一に溶解して含有され,そして, 該吸収促進剤が,N−アシル−N−メチルグリシン,脂肪
    酸ジエタノールアミドおよびポリオキシエチレン付加脂
    肪酸ジエタノールアミドのうちの少なくとも一種であ
    る, 貼付剤。
  2. 【請求項2】前記粘着剤層の粘着基材が,(メタ)アク
    リル酸アルキルエステルおよび他の極性モノマーの共重
    合体を主成分とする特許請求の範囲第1項に記載の貼付
    剤。
  3. 【請求項3】前記極性モノマーがビニルピロリドンおよ
    び/またはダイアセトンアクリルアミドである特許請求
    の範囲第2項に記載の貼付剤。
  4. 【請求項4】前記薬物が非ステロイド系抗炎症剤である
    特許請求の範囲第1項に記載の貼付剤。
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