JP3132838B2 - 口腔粘膜適用製剤 - Google Patents

口腔粘膜適用製剤

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JP3132838B2 JP03027221A JP2722191A JP3132838B2 JP 3132838 B2 JP3132838 B2 JP 3132838B2 JP 03027221 A JP03027221 A JP 03027221A JP 2722191 A JP2722191 A JP 2722191A JP 3132838 B2 JP3132838 B2 JP 3132838B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ビニルピロリドン
(共)重合体及び(メタ)アクリル酸共重合体を用いた
口腔粘膜適用製剤に関し、特に、口腔内粘膜に容易にか
つ長時間接着し、口腔粘膜を経由して薬効成分を経皮吸
収させて、全身作用・局所作用を発現させる、あるい
は、口腔内の損傷部や疾患部を保護する口腔粘膜適用製
剤に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、様々な口腔内貼付製剤及び口腔内
バンデージが提案されている。例えば、ヒドロキシプロ
ピルセルロースとアクリル酸(共)重合体またはその塩
とからなる組成のもの(特公昭58−7605号):ゼ
ラチンまたは寒天、グルテン、カルボキシビニルポリマ
ー及び酢酸ビニル樹脂もしくガム類からなる組成のもの
(特開昭59−186913号):ポリビニルピロリド
ン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、
アルギン酸もしくはその塩、無水マレイン酸・メチルビ
ニルエーテル共重合体等とアクリル酸重合物またはその
塩とからなる組成のもの(特開昭60−215622
号):ポリカルボン酸及びポリ無水カルボン酸並びに酢
酸ビニル共重合体からなる組成(特開昭61−2494
73号)。上記のような従来の口腔内貼付製剤では、口
腔内貼付性基剤としては、親水性高分子が用いられてい
る。ところが、口腔内貼付性基剤として用いられている
親水性高分子は唾液等の少量の水分により付着性を発現
するが、多量の唾液等により膨潤し崩壊するため、耐水
性に難があった。そこで、基剤に耐水性を付与するため
に、酢酸ビニル或いはゴム類の水不溶性高分子をブレン
ドした組成が提案されている。しかしながら、この方法
では、親水性高分子と水不溶性高分子との間の親和性が
良好でなく、相互作用も少ないため、やはり十分な耐水
性は得られなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、唾液
等による崩壊が生じ難い貼付性基剤を有し、口腔内粘膜
に容易にかつ長時間にわたり接着しておくことができ、
従って、口腔粘膜を経由して薬効成分を吸収させて、全
身作用・局所作用を効果的に発現させたり、口腔内の損
傷部や疾患部を保護することを可能とする口腔粘膜適用
製剤を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の口腔粘膜適用製
剤は、粘膜貼付性基剤がビニルピロリドン(共)重合体
と(メタ)アクリル酸共重合体とのブレンドポリマーを
主成分とする。すなわち、ビニルピロリドン(共)重合
体を用いれば、湿潤した粘膜面に対する貼付性に優れた
基剤の得られることが分かっていたが、前述したよう
に、耐水性が不足するという問題があった。本発明者ら
は、この問題を解決すべく検討した結果、ビニルピロリ
ドン(共)重合体と相溶性があり、かつ親和性の高い
(メタ)アクリル酸共重合体を混合して口腔粘膜適用製
剤を調製することにより、上記課題を達成し得ることを
見出し、本発明を成すに至った。ビニルピロリドン
(共)重合体と(メタ)アクリル酸共重合体とのブレン
ドポリマーを用い、さらにカルボキシル基を2個若しく
は3個有する弱塩基性有機カルボン酸塩を添加した場
合、以下のような優れた効果が得られる。 (1)唾液あるいは分泌液を吸収して局所に付着し、膨
潤した際にも優れた局所付着性を有する。従って、口腔
内または周辺疾患部へ薬物を直接かつ局部的に確実に作
用させたり、あるいは、口腔内の損傷部や疾患部を効果
的に保護したりすることが可能となる。 (2)唾液あるいは分泌液を吸収して、徐々に薬物を放
出することにより、長時間にわたり適用疾患部位または
吸収部位に薬物を投与し続けたり、あるいは患部を保護
したりすることが可能となる。 (3)唾液あるいは分泌液を吸収しても、耐水性がある
ことから、溶解して流れ出すことはなく、膨潤した場合
でも保形性に優れている。もっとも、上記のような優れ
た特性を発揮させるには、本発明においては、ビニルピ
ロリドン(共)重合体と(メタ)アクリル酸共重合体と
が、重量比で、99:1〜50:50の範囲で配合され
ていることが必要である。(メタ)アクリル酸共重合体
の配合比が1重量%未満では耐湿性を高める効果が得ら
れないからであり、50重量%を超えるとビニルピロリ
ドン(共)重合体の優れた特性である湿潤面への貼付性
能を失うからである。好ましくは、(メタ)アクリル酸
共重合体は、5〜40重量%の範囲で配合される。
【0005】ビニルピロリドン(共)重合体 上記ビニルピロリドン(共)重合体としては、例えば、
ビニルピロリドンホモポリマー、あるいはビニルピロリ
ドンと(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル
エステル、(メタ)アクリル酸エチルエステル、無水マ
レイン酸、ビニルアルコール、酢酸ビニル等の1種また
は2種以上との共重合体が挙げられる。このようなビニ
ルピロリドン(共)重合体は、唾液等の少量の水分が付
与されると粘着性を示す必要がある。従って、性状とし
て水及び/もしくはアルコールに可溶である必要があ
る。共重合体中のビニルピロリドン含有率は、ビニルピ
ロリドンの優れた特性、すなわち、良好な粘膜への貼付
性及び皮膚への無刺激性を保有するために、並びに(メ
タ)アクリル酸共重合体をブレンドすることによって耐
水性を高めるために、70モル%以上、好ましくは90
モル%以上がよい。
【0006】(メタ)アクリル酸共重合体 上記(メタ)アクリル酸共重合体としては、例えば、ア
クリル酸、メタアクリル酸等の(メタ)アクリル酸の1
種または2種以上と、ビニルアルコール、酢酸ビニル、
ビニルピロリドン、無水マレイン酸、(メタ)アクリル
酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリ
ル酸ブチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシ
ル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルまたは
(メタ)アクリル酸塩化トリメチルアンモニウムエチル
等、分子中にフリーのカルボン酸を有さないモノマーの
1種または2種以上との共重合体が挙げられる。上記
(メタ)アクリル酸共重合体は、(メタ)アクリル酸を
5モル%〜90モル%含有する共重合体である。(メ
タ)アクリル酸の含有量が、5モル%未満であると耐湿
性を高める効果が得られず、90モル%を超えると耐水
性は高くなるが逆にビニルピロリドン(共)重合体との
相溶性が低下し、口腔粘膜適用製剤を製造する際に、均
一な製剤が得にくくなるため、5モル%〜90モル%が
好適な範囲であり、さらに20モル%〜80モル%がよ
り好適である。(メタ)アクリル酸共重合体の添加によ
り本発明の口腔粘膜適用製剤の耐水性が顕著に高められ
る理由は詳しくはわからないが、該共重合体のカルボン
酸と、ビニルピロリドン(共)重合体のピロリドン環と
が予想外の相互作用をすることによると考えられる。従
って、(メタ)アクリル酸共重合体の添加により望まし
い効果を得るためには、(メタ)アクリル酸共重合体
は、唾液等の少量の水分が付与されて粘着性を発現する
必要はないが、水分が付与された際にビニルピロリドン
(共)重合体と相互作用をする必要があり、性状とし
て、pH4以上の水及び/もしくはアルコールに可溶で
あることが好ましい。また、必要に応じて該共重合体に
1価あるいは2価の金属塩を添加して、中和等を行った
共重合体塩を用いることも可能である。
【0007】カルボキシル基を2個若しくは3個有する
弱塩基性有機カルボン酸塩 本願発明で用いられるカルボキシル基を2個若しくは3
個有する弱塩基性有機カルボン酸塩としては、例えば、
フマル酸、マレイン酸、クエン酸、フタル酸のナトリウ
ム塩、カリウム塩、カルシウム塩等が挙げられる。これ
らの性状として、1%水溶液のpHが7〜9の範囲が好
適である。上記ブレンドポリマー100重量部に対する
添加量は、0.1重量部〜20重量部、好ましくは1重
量部〜10重量部であり、0.1重量部未満では添加効
果が発現し難く、20重量部を超えると逆に有機カルボ
ン酸自身の水溶性により耐湿性が低下してくる。
【0008】製造 本発明で提供される口腔粘膜適用製剤の製造は、(メ
タ)アクリル酸共重合体及びビニルピロリドン(共)重
合体のポリマー成分並びに治療効果を発現する薬物、さ
らに必要に応じて、薬物の吸収促進剤、可塑剤等の添加
物を適当な溶媒溶液とした後、流延し、乾燥工程を経て
薄膜状に成形することにより容易に行い得る。また、他
の製造方法として、(メタ)アクリル酸共重合体及びビ
ニルピロリドン(共)重合体のポリマー成分並びに治療
効果を発現する薬物、さらに必要に応じて、薬物の吸収
促進剤、滑沢剤、結合剤、賦形剤、矯味矯臭剤の1種ま
たは2種以上を十分に混合し、均一な混合物を形成し、
これらの適当量をパンチ、ダイス及びプレスを用いて直
接加圧成形することによっても製造することができる。
【0009】薬物 本発明の薬物としては、経皮吸収性を有する薬物であれ
ば特に限定はなく、種類についても必要に応じて1種ま
たは2種以上適宜配合して用いることができる。この薬
物としては、例えば、解熱消炎鎮痛剤、鎮痛剤、ステロ
イド系抗炎症剤、血管拡張剤、高血圧・不整脈用剤、血
圧降下剤、鎮咳去たん剤、局所麻酔剤、ホルモン剤、喘
息・鼻アレルギー治療剤、抗ヒスタミン剤、抗凝血剤、
鎮痙鎮剤、脳循環・代謝改善剤、抗うつ・抗不安剤、ビ
タミンD製剤、経口血糖降下剤、抗潰瘍剤、睡眠剤、抗
生物質、抗菌剤・殺菌剤等が挙げられる。解熱消炎鎮痛
剤としては、インドメタシン、サリチル酸、アスピリ
ン、アセトアミノフェン、ジクロフェナックナトリウ
ム、イブプロフェン、スリンダック、ナプロキセン、ケ
トプロフェン、フルフェナム酸、イブフェナック、フェ
ンブフェン、アルクロフェナック、フェニルブタゾン、
メフェナム酸、ピロキシカム、フルルビプロフェン、ベ
ンダザック等が挙げられる。鎮痛剤としては、ペンタゾ
シン、塩酸ブプレノルフィン、臭化水素酸エプタゾシ
ン、酒石酸ブトルファノール等が挙げられる。ステロイ
ド系抗炎症剤としては、ヒドロコルチゾン、プレドニゾ
ロン、フロオシノロンアセトニド、フルドキシコルチ
ド、メチルプレドニゾロン、酢酸ヒドロコルチゾン、ト
リアムシノロンアセトニド、デキサメタゾン、酢酸ヘタ
メサゾン、吉草酸ジフルコルトロン、プロピオンクロヘ
タゾール、フルオシノニド等が挙げられる。血管拡張剤
としては、ジルチアゼム、ベラパミル、四硝酸ペンタエ
リスリトール、ジピリダモール、硝酸イソソルビド、ニ
フェジピン、ニトログリセリン等が挙げられる。高血圧
・不整脈用剤としては、プロパノロール、アテノロー
ル、ピンドロール、硫酸キニジン、アジマリン、塩酸ア
ルプレノロール、酒石酸メトプロロール、ナドロール、
マレイン酸チモロール、ジソピラミド等が挙げられる。
血圧降下剤としては、塩酸クロニジン、カプトリル、塩
酸プラゾシン、硫酸ベンブトロール、酢酸グアナベン
ズ、塩酸グアンファシン、酢酸グアナベンズ、塩酸プナ
ゾシン、マレイン酸エラナプリル、塩酸アロチノロー
ル、塩酸ブニトロール等が挙げられる。
【0010】鎮咳去たん剤としては、塩酸プロカテロー
ル、硫酸テルブタリン、臭化水素酸フェノテロール、塩
酸ツロブテロール、塩酸アンブロキソール、塩酸ピロブ
テロール、塩酸マブテロール、塩酸クレンブテロール、
塩酸トリメトキノール、フマル酸フォルモテロール等が
挙げられる。抗潰瘍剤としては、5−フルオロウラシ
ル、1−(2−テトラヒドロフリル)−5−フルオロウ
ラシル、マイトマイシンC等が挙げられる。局所麻酔剤
としては、ベンゾカイン、プロカイン、リドカイン、テ
トラカイン等が挙げられる。ホルモン剤としては、エス
トロゲン、エストラジオール、テストステロン、プロゲ
ステロン、プロスタグランジン等のステロイドホルモン
類;インスリン等のペプチドホルモン類等が挙げられ
る。喘息・鼻アレルギー治療剤としては、フマル酸ケト
チフェン、塩酸アゼラスチン、クロモグリク酸ナトリウ
ム等がある。抗ヒスタミン剤としては、塩酸シクロヘプ
タジン、塩酸ジフェンヒドラミン、フェンベンザミン、
メキタジン等が挙げられる。抗凝血剤としては、ヘパリ
ン等がある。鎮痙剤としては、スコポラミン、クロフル
ペロール等が挙げられる。脳循環代謝改善剤としては、
ピンポセチン、塩酸フルナジリン、塩酸ニカルジピン、
フマル酸ブロビンカミン、メシル酸ジヒドロエルゴトキ
シン、酒石酸イフェンプロジル、塩酸イソクスプリン等
が挙げられる。抗うつ・抗不安薬としては、塩酸マプロ
チリン、エチゾラム、ジアゼパム、ブロマゼパム、塩酸
アミトリプチリン、塩酸ミアンセリン等が挙げられる。
ビタミンD剤としては、α−カルシドール、エルゴカシ
フェロール等が挙げられる。経口血糖降下剤としては、
グリベンクラミド、グリクラジド等が挙げられる。抗潰
瘍剤としては、リンゴ酸グレポブリド、ファモチジン、
臭化グリコピロニウム等が挙げられる。睡眠薬として
は、フェノバルビタール、アモバルビタール等が挙げら
れる。抗生物質としては、テトラサイクリン、クロラム
フェニコール等がある。これらの薬物の配合量は、薬物
の種類、貼付剤の使用目的等により異なるが、通常、貼
付剤中に0.1〜40重量%の割合で含有される。
【0011】形態例 本発明の口腔粘膜適用製剤は、粘膜貼付性基剤の片面
に、支持層として水不溶性あるいは難溶性の高分子層も
しくはこれに類似する粘膜非貼付性基剤を積層した形態
とすることもできる。この支持層は、天然高分子、半合
成高分子、合成高分子、金属箔またはそれらの複合体か
らなる層より形成し得る。この支持層と粘膜貼付性基剤
を積層する方法としては、加熱、加圧あるいは他の適当
な機械的方法;接着剤により接着する方法;支持層成分
の高分子を適宜な揮発性溶媒に溶解し、粘膜貼付性基剤
に塗布し、支持層を形成する方法;粘膜貼付性基剤成分
を適宜な揮発性溶媒に溶解し、支持層に塗布し、積層す
る方法等を採用することができる。上記のように、水不
溶性もしくは難溶性で唾液不透過性の支持層を用いるこ
とによって、単位時間当たりの粘膜の反対側からの浸透
量が減少し、かつ口腔内の物理的刺激による粘膜貼付性
基剤の崩壊が抑制される。従って、粘膜貼付性基剤単独
の場合と比較して、耐水性及び耐久性を一層高めること
ができ、より長時間にわたり口腔内に接着させることが
可能となる。
【0012】
【作用】本発明の口腔粘膜適用製剤では、製剤中のビニ
ルピロリドン(共)重合体が、唾液あるいは分泌液を吸
収して口腔内の局所に付着させるように作用して、口腔
内または周辺疾患部へ薬物を直接かつ局部的に作用させ
たり、あるいは患部を保護したりすることが可能とされ
ている。また、唾液あるいは分泌液を吸収して、ビニル
ピロリドン(共)重合体と(メタ)アクリル酸共重合体
が相互作用してゲル状となって膨潤し、徐々に薬物を放
出するので、長時間にわたり適用疾患部位または吸収部
位に薬物を投与し続けたり、患部を保護したりすること
が可能となる。さらに、このゲル状体は、耐水性に優れ
ているため溶解して流れ出すことはなく、膨潤下状態に
おいて、柔軟で、保形性に優れている。従って、ゲル状
体が長時間口腔内に存在しても、異物感を与えずに使用
することができる。
【0013】
【実施例の説明】以下に、本発明を実施例により具体的
に説明する。実施例1 ビニルピロリドンホモポリマー(BASF社製、Kollidon 3
0 )75重量部をエタノール200重量部に均一に溶解
し溶液Iを得た。メタアクリル酸−メタアクリル酸メチ
ル共重合体[Rohm Pharma 社製、Euidragit L (メタア
クリル酸含有量38〜52%)]25重量部をエタノー
ル50重量部に溶解し溶液IIを得た。クエン酸3Na5
重量部を蒸留水50重量部に溶解し溶液III を得た。以
上の溶液I,II,III を均一に混合して、無色透明な粘
着剤溶液を得た。この粘着剤溶液に、硝酸イソソルビド
の10%エタノール溶液を、粘着剤中硝酸イソソルビト
が10%となるように加え、ディゾルバーで均一に混合
し、不揮発分約30%のエタノール溶液となるように調
整した。このエタノール溶液を乾燥後の厚みが40μm
となるように表面シリコーン処理ポリエチレンテレフタ
レート(PET)剥離紙上に塗工し、60℃にて1時間
乾燥して口腔粘膜適用製剤を形成した。
【0014】比較例1 ビニルピロリドンホモポリマー(BASF社製、Kollidon 3
0 )100重量部をエタノール200重量部に均一に溶
解して、無色透明な粘着剤溶液を得た。この粘着剤溶液
に、硝酸イソソルビドの5%エタノール溶液を、粘着剤
中硝酸イソソルビトが10%となるように加え、ディゾ
ルバーで均一に混合し、不揮発分約30%のエタノール
溶液となるように調整した。このエタノール溶液を乾燥
後の厚みが40μmとなるように表面シリコーン処理ポ
リエチレンテレフタレート(PET)剥離紙上に塗工
し、60℃にて1時間乾燥してフィルム状の口腔粘膜適
用製剤を形成した。
【0015】比較例2 ビニルピロリドンホモポリマー(BASF社製、Kollidon 3
0 )90重量部、ステアリン酸マグネシウム0.5重量
部及び硝酸イソソルビド10重量部を均一に混合し打錠
して、厚さ1.0mm、直径10.0mm、重量120
mgの錠剤の口腔粘膜適用製剤を形成した。
【0016】比較例3 ポリ酢酸ビニル60重量部及びモノラウリン酸ソルビタ
ン30重量部をエタノールに溶解させた。この溶液を表
面シリコーン処理したPETフィルム上に流延・乾燥し
て厚み60μmのフィルム状粘膜非貼付性基剤を得た。
この粘膜非貼付性基剤と実施例4のフィルム状の口腔粘
膜適用製剤を熱圧着してフィルム状の口腔粘膜適用製剤
Aを得た。ビニルピロリドンホモポリマー(BASF社製、
Kollidon 30 )25重量部及びビニルピロリドンホモポ
リマー(BASF社製、Kollidon 90 )75重量部をエタノ
ール200重量部に均一に溶解した。この粘着剤溶液
に、インドメタシンの10%エタノール溶液を、粘着剤
中インドメタシンが10%となるように加え、ディゾル
バーで均一に混合し、不揮発分約30%のエタノール溶
液となるように調整した。このエタノール溶液を乾燥後
の厚みが40μmとなるように表面シリコーン処理ポリ
エチレンテレフタレート(PET)剥離紙上に塗工し、
60℃にて1時間乾燥して粘膜貼付性基剤Bを形成し
た。上記フィルム状の粘膜貼付性基剤AとBで得られた
粘膜非貼付性基剤とを熱圧着してフィルム状の口腔粘膜
適用製剤を得た。
【0017】実施例1及び比較例1〜3で得られた口腔
粘膜適用製剤について、実験1に示す手法により湿潤豚
皮に対する貼付性試験を行った。実験1 滅菌凍結乾燥豚皮(三井製薬工業製、商品名メタスキ
ン)を生理食塩水で再生し、ガーゼで余分な水分を除去
して、被着体の湿潤豚皮を得た。この湿潤豚皮を直径1
2mmの円形に打ち抜いた。図1に示すように、打ち抜
かれた湿潤豚皮3を、重量10g、直径12mmのステ
ンレス治具1及び100×100mmのステンレス台2
にシアノアクリレート接着剤で接着した。ステンレス台
2の豚皮上に、フィルム状口腔粘膜適用製剤(比較例3
以外)4については、直径10mmの円形に打ち抜い
て、錠剤の口腔粘膜適用製剤4についてはそのままで貼
付した。その上からステンレス治具1を静かに接触させ
て10分放置した後、引っ張り試験機を用いて200m
m/分の速度でステンレス治具1とステンレス台2を垂
直方向に引っ張り、その際に生じる負荷を測定し、繰り
返し回数4回の平均を貼付力とした。比較例3について
は、直径10mmの円形に打ち抜いて、粘膜非付着性基
剤側をステンレス台2に直接シアノアクリレート接着剤
で接着し、その上から、上記と同様に湿潤豚皮を接着さ
せたステンレス治具1を静かに接触させて10分放置
後、上記と同様にして貼付力を測定した。各口腔粘膜適
用製剤の湿潤豚皮に対する貼付力を表1に示す。
【0018】
【表1】
【0019】表1から明らかなように、本発明の口腔粘
膜適用製剤は、湿潤面への高い貼付性を保持しているこ
とが認められる。実施例1及び比較例1〜3で得られた
口腔粘膜適用製剤について、実験2に示す手法により耐
水性試験を行った。実験2 図2に示したステンレス板5に実験1において用意した
直径12mmの円形に打ち抜いた湿潤豚皮をシアノアク
リレート接着剤で接着した。この湿潤豚皮上にフィルム
状口腔粘膜適用製剤については直径10mmの円形に打
ち抜いて、錠剤の口腔粘膜適用製剤についてはそのまま
で、10g/3.14cm2 で10分間負荷をかけて貼
付した。なお、図2中の寸法a〜dは、それぞれ、a=
100mm、b=80mm、c=60mm、d=10m
mであり、ステンレス板の厚みは3mmであり、SUS
304からなるものを使用した。日本薬局方一般試験法
の溶出試験法第2法により、このステンレス板を、試験
液に生理食塩水600mlを入れた容器の底に製剤が上
になるように沈め、毎分100回転で試験を行い、1、
6、24時間後の製剤の性状を観察した。各口腔粘膜適
用製剤の各時間における性状を表2に示す。なお、比較
例3については、粘膜非付着性基剤のみが剥離して存在
する。
【0020】
【表2】
【0021】表2から明らかなように、本発明の口腔粘
膜適用製剤の耐水性は非常に高く、バトルの回転下で豚
皮に貼付していることから、耐久性に優れ、長時間の湿
潤面に対する貼付が可能であることが認められる。な
お、比較例3では、粘膜非貼付性基剤のみが剥離して存
在していた。実施例1及び比較例1〜3で得られた口腔
粘膜適用製剤について、実験3に示す手法によりヘアレ
スマウスの摘出皮膚に対する薬物の透過試験を行った。
【0022】実験3 まず、図3に示す拡散セル6を準備した。拡散セル6
は、上側のドナー槽7と下側の有底円筒状のレセプター
槽8とからなる。ドナー槽7の底壁中央には開口部9が
設けられ、また、ドナー槽7の下端及びレセプター槽8
の上端にはそれぞれ上側フランジ10及び下側フランジ
11が設けられている。そして、上側フランジ10と下
側フランジ11とを対向するように両者を重ね合わせる
ことによって、ドナー槽7とレセプター槽8が気密状
に、かつ同心状に積み重ねられている。レセプター槽8
にはその側部に側方に突出したサンプリング口12が取
り付けられており、レセプター槽8の内部にはマグネッ
ト攪拌子13が投入されている。ヘアレスマウス(8週
齢、雄)を頸椎脱臼により屠殺した後、直ちに皮膚を剥
離して皮下脂肪を除去し、約5cm×5cmの皮膚片を
得た。この皮膚片14を拡散セル6の上側フランジ10
と下側フランジ11の間に挟着して、ドナー槽7の開口
部9を皮膚片14で完全に閉じるようにした。皮膚片1
4の上面に、フィルム状口腔粘膜適用製剤については直
径10mmに打ち抜いて、錠剤の口腔粘膜適用製剤につ
いてはそのままを試験片15として貼付した。レセプタ
ー槽8には、下記の方法により調製したレセプター液を
満たした。ついで、拡散セル6を温度37℃に保たれた
恒温槽内に設置し、マグネット攪拌装置によりレセプタ
ー液の攪拌を行った。試験開始後サンプリング口12か
らレセプター液1mlを採取し、このレセプター液への
薬物の透過量を高速液体クロマトグラフ法により測定し
た。各貼付剤についての透過量測定値を表3に示す。レセプター液の調製法 NaH2 PO4 (5×10-4モル)、Na2 HPO
4 (2×10-4モル)、NaCl(1.5×10-4
ル)及びゲンタマイシン10mgを蒸留水500mlに
溶かし、得られた溶液のpHを0.1規定NaOH水溶
液で7.2に調整した後、その容量を蒸留水で1000
mlとした。
【0023】
【表3】
【0024】表3から明らかなように、本発明の口腔粘
膜適用製剤の場合、ビニルピロリドン重合体単独の場合
と比較して良好な薬物放出性が認められる。これは、ビ
ニルピロリドン重合体単独の場合と比較して、本発明の
口腔粘膜適用製剤の場合、水分を吸収した場合の膨潤度
が高く、薬物が粘膜貼付性基剤中を拡散し易くなるため
と考えられる。実施例1で得られた口腔粘膜適用製剤に
ついて、実験4に示す手法により人に対する薬物の透過
試験を行った。実験4 フィルム状口腔粘膜適用製剤については、直径10mm
に打ち抜いて、錠剤の口腔粘膜適用製剤についてはその
ままで、5人の被験者の口腔粘膜に貼付して剥離時間を
測定し、また、異物感についても観察した。
【0025】実施例1では長時間粘膜に付着しており、
本発明の口腔粘膜適用製剤は、良好な貼付性、耐水性、
耐久性を有していることが認められた。また、異物感に
ついては、フィルム状の場合は貼付直後から異物感はな
く、錠剤の場合、貼付初期は少しあるが、水分を吸収し
た膨潤後は異物感はなかった。
【0026】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、ビニル
ピロリドン(共)重合体が粘膜貼付性基剤に配合されて
いるため、唾液あるいは分泌液を吸収することにより口
腔内粘膜の局所に確実に付着させることができる。従っ
て、口腔内または周辺疾患部へ薬物を直接かつ局部的に
確実に作用させたり、あるいは患部を効果的に保護する
ことが可能となる。また、本発明では、ビニルピロリド
ン(共)重合体に加えて(メタ)アクリル酸共重合体が
配合されているため、唾液あるいは分泌液を吸収し、ビ
ニルピロリドン(共)重合体及び(メタ)アクリル酸共
重合体の相互作用によりゲル状となって膨潤する。その
結果、薬物が除々に放出されるため、長時間にわたり適
用疾患部位または吸収部位に薬物を投与し続けたり、患
部を保護したりすることができる。さらに、上記ゲル状
体は、耐水性及び耐久性に優れているため、溶解して流
れ出すこともない。よって、膨潤下において、十分な柔
軟性を有し、かつ保形性においても優れているため、長
時間口腔内に付着させた場合であっても異物感を与える
ことなく使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】口腔粘膜適用製剤の湿潤豚皮に対する貼付性を
試験するのに使用されるステンレス治具及びステンレス
台を示す斜視図である。
【図2】口腔粘膜適用製剤の耐久性を試験するのに使用
されるステンレス板を示す平面図である。
【図3】口腔粘膜適用製剤に含まれる薬物の皮膚透過性
を試験するのに使用される拡散セルを示す斜視図であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C08L 39/06 A61L 15/01

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粘膜貼付性基剤がビニルピロリドン
    (共)重合体と、(メタ)アクリル酸共重合体、及び
    カルボキシル基を2個若しくは3個有する弱塩基性有機
    カルボン酸塩を含有してなり、前記ビニルピロリドン
    (共)重合体と(メタ)アクリル酸共重合体との重量比
    が99:1〜50:50であることを特徴とする口腔粘
    膜適用製剤であって、 該ビニルピロリドン(共)重合体は、水及び/もしくは
    アルコールに可溶である性質を有する口腔粘膜適用製
    剤。
  2. 【請求項2】 上記カルボキシル基を2個若しくは3個
    有する有機カルボン酸が、フマル酸、マレイン酸、クエ
    ン酸及びフタル酸からなる群より選ばれる一種であるこ
    とを特徴とする請求項1記載の口腔粘膜適用製剤。
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