JP3276194B2 - 医療用貼付剤 - Google Patents

医療用貼付剤

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JP3276194B2
JP3276194B2 JP04788393A JP4788393A JP3276194B2 JP 3276194 B2 JP3276194 B2 JP 3276194B2 JP 04788393 A JP04788393 A JP 04788393A JP 4788393 A JP4788393 A JP 4788393A JP 3276194 B2 JP3276194 B2 JP 3276194B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、皮膚や粘膜のような
生体膜に貼付して所要の薬物を同膜を経て体内循環系へ
投与するのに用いられるテープ状もしくはシート状の医
療用貼付剤に関し、より詳細には、薬物の経皮ないし経
粘膜透過性に優れ、かつ貼付による刺激性の少ない医療
用貼付剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、薬物を体内へ投与する際、その剤
型として、経口剤、注射剤、坐剤などが適宜採用されて
いたが、近年、主に下記の利点により貼付剤の開発が積
極的に進められている。すなわち、貼付剤では、 体内に吸収された薬物が初回循環では肝臓を通過し
ないため、経口投与法の場合のように腸で吸収された薬
物が初回循環時に肝臓を通過して代謝を受けその薬効が
減退するという欠点がない。
【0003】 注射剤に比べると患者の精神的負担、
肉体的苦痛が少なく、経口投与で見られるような胃腸障
害も回避できる。
【0004】 薬物の透過量をコントロールすること
により、薬物の血中濃度を長時間必要レベルに維持しや
すく、急激な薬物吸収による副作用を回避できる。
【0005】 必要に応じて長時間の連続投与および
投与の中断を容易になし得る。
【0006】ところで、この種の医療用貼付剤は、本来
異物の体内への侵入を防ぐバリヤー機能を有する皮膚の
角質層を経由して薬物を体内循環系へ吸収せしめるもの
であるため、所期の薬効を発現させるに充分な量の薬物
を投与することは必ずしも容易でない。そこで、下記の
ような種々の対策が講じられているが、これらはいずれ
も満足いくものではない。すなわち: (1) 単位面積当りの薬物の皮膚透過量が少ない場合、
常用量を得るため貼付面積を大きくする必要があるが、
そうすると、刺激を受ける部分が増え、違和感が大きく
なる。
【0007】(2) 薬物の皮膚透過性を向上させる目的
で吸収促進剤を用いる。しかし、同促進剤には界面活性
剤などのように皮膚刺激性の高いものが多い上に、吸収
促進剤によっては膏体層の粘着物性を悪化させ、充分な
貼付性を発現できなくすることもある。
【0008】(3) 放出制御性や貼付性を確保するた
め、支持体上に薬物貯蔵層を設け、この上に放出制御膜
と粘着剤層を積層した貼付剤や、薬物含有基剤層の上に
粘着剤層を設けたもの、あるいは微孔膜でマイクロカプ
セル化した薬物を含有する粘着剤層を持つ貼付剤も提案
されている。しかし、これら貼付剤はいずれも複雑な製
造工程を必要とし、コスト高を招く。
【0009】(4) 貼付剤一般において適用期間中に剥
れ落ちない粘着性が必要であるが、粘着力が強すぎると
貼付剤を剥す時に毛むしりや角質剥離が起きたり、貼付
剤による皮膚の引っ張りで機械的皮膚刺激が生じる。
【0010】従来、貼付剤の薬物透過性を改善すること
を企図して、例えば、エタノール、イソプロパノールな
どの低級アルコールを膏体層に含ませることが提案され
ている(特開昭61-249934 号公報および特開昭62-53933
号公報参照)。
【0011】また、薬物吸収性や貼付性の改良を企図し
て多価アルコールを用いた製剤も提案され、例えば、特
開昭61-186316 号では、水溶性高分子化合物に吸収促進
剤と共に多価アルコールを含ませることにより、薬物の
生物学的利用率を高めた製剤が記載され、特開昭63-203
613 号では、水溶性高分子化合物に架橋剤と多価アルコ
ールを含ませ、皮膚に対する膏体層の馴染みを改良する
と共に粘着力を維持させた製剤が記載されている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかし、低級アルコー
ルの使用の場合には、テープ状貼付剤において薬物透過
促進が充分発揮される量で膏体層に低級アルコールを加
えると、膏体層が柔らかくなりすぎ、これを皮膚から剥
すときに皮膚に糊残りが生じたり、膏体層の粘着力が低
下することがある。
【0013】また、多価アルコールの使用の場合、特開
昭61-186316 号の製剤では、柔軟なフィット感は得られ
るが、膏体層の凝縮力や粘着力の調節が難しく、特開昭
63-203613 号の製剤では、架橋剤の存在により薬物の分
解物や未反応活性基により皮膚刺激性が生じる恐れがあ
る。
【0014】この発明は上記の如き実情に鑑みてなされ
たもので、その目的は、膏体層からの薬物の放出性が改
善されて薬物透過促進が充分発揮され、柔軟なフィット
感を発揮しながらも、剥離時の糊残りや機械的皮膚刺
激、および膏体層の粘着力の低下の恐れがない、薬物透
過性と貼付性とを共に改善した医療用貼付剤を提供する
にある。
【0015】
【課題を解決するための手段】この発明は上記目的を達
成すべく工夫されたもので、粘着剤として特定のものを
用い、膏体層に特定の物質を含有せしめると、上記の如
く薬物透過性と貼付性とを共に改善した貼付剤が得られ
るという知見を得て、完成せられたものである。すなわ
ち、この発明による医療用貼付剤は、支持体の片面に薬
物と粘着剤を含む膏体層が設けられてなる貼付剤におい
て、粘着剤としてアクリル系粘着剤が用いられ、膏体層
中に、分子量が1,500〜50,000であり、ポリ
オキシアルキレングリコール、そのブロック共重合体お
よびこれらの誘導体よりなる群から選ばれた少なくとも
1つの放出助剤と、無水ケイ酸とが含有されており、実
質的に水が含有されていないことを特徴とするものであ
る。
【0016】以下、この発明による貼付剤の構成成分お
よび製造法について詳述する。
【0017】a)粘着剤 この発明の貼付剤において、膏体層の主体をなす粘着剤
としてはアクリル系粘着剤が用いられる。
【0018】アクリル系粘着剤としては、特に、炭素数
1〜18の脂肪族アルコールと(メタ)アクリル酸とか
ら得られる(メタ)アクリル酸アルキルエステルの単独
重合体または共重合体および/または上記(メタ)アク
リル酸アルキルエステルとその他の官能性モノマーとの
共重合体が好適に用いられる。
【0019】上記(メタ)アクリル酸エステルとして
は、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリ
ル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸2−エ
チルヘキシル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸デ
シル、アクリル酸イソデシル、アクリル酸ラウリル、ア
クリル酸ステアリル、メタクリル酸メチル、メタクリル
酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸イソブチ
ル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸イ
ソオクチル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸イソデ
シル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ステアリル
などが例示される。
【0020】上記官能性モノマーの例としては、水酸基
を有するモノマー、カルボキシル基を有するモノマー、
アミド基を有するモノマー、アミノ基を有するモノマー
などが挙げられる。水酸基を有するモノマーとしては、
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキ
シプロピル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアル
キル(メタ)アクリレートが例示される。カルボキシル
基を有するモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル
酸などのα,β−不飽和カルボン酸:マレイン酸ブチル
などのマレイン酸モノアルキルエステル:マレイン酸:
フマル酸:クロトン酸などが例示される。無水マレイン
酸もマレイン酸と同様の(共)重合成分を与える。アミ
ド基を有するモノマーとしては、アクリルアミド、ジメ
チルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミドなどのア
ルキル(メタ)アクリルアミド:ブトキシメチルアクリ
ルアミド、エトキシメチルアクリルアミドなどのアルキ
ルエーテルメチロール(メタ)アクリルアミド、ジアセ
トンアクリルアミドなどが例示される。アミノ基を有す
るモノマーとしては、ジメチルアミノエチルアクリレー
ト、ビニルピロリドンなどが例示される。
【0021】上記以外の共重合性モノマーとしては、酢
酸ビニル、ビニルアルコール、スチレン、α−メチルス
チレン、塩化ビニル、アクリロニトリル、エチレン、プ
ロピレン、ブタジエンなども使用できる。粘着剤中には
(メタ)アクリル酸アルキルエステルが(共)重合成分
として50重量%以上含有されることが好ましい。
【0022】アクリル系粘着剤にはさらに必要に応じて
多官能性モノマーが加えられ、他のモノマー成分と共重
合される。この多官能性モノマーの添加により、生成す
る重合体間にごくわずかに架橋が生じ、それにより粘着
剤の内部凝集力が増大する。そのため貼付された皮膚の
性状や発汗量にほとんど無関係に貼付剤剥離時のいわゆ
る糊残り現象がほぼ解消せられる。しかも、この多官能
性モノマーの添加は低皮膚刺激性には何ら悪影響を与え
ない。このような多官能性モノマーとしては、たとえ
ば、ジ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリレー
ト、テトラ(メタ)アクリレートなどがあるが、これに
限定されない。
【0023】粘着剤は膏体総重量に対して30〜90重
量%の範囲で配合される。
【0024】b)放出助剤 この発明の貼付剤において、膏体層に含有される放出助
剤は、ポリオキシアルキレングリコール、そのブロック
共重合体およびこれらの誘導体よりなる群から選ばれた
少なくとも1つのポリマーである。
【0025】ポリオキシアルキレングリコールは、炭素
数2〜4のオキシアルキレン単位の繰り返し構造を有す
るものであって、具体的にはポリオキシエチレングリコ
ール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシブ
チレングリコールが例示され、ポリオキシアルキレング
リコールのブロック共重合体としては、ポリオキシエチ
レングリコール−ポリオキシプロピレングリコール・ブ
ロック共重合体が例示され、ポリオキシアルキレングリ
コールまたはそのブロック共重合体の誘導体としては、
エチレンジアミンのポリオキシエチレングリコール−ポ
リオキシプロピレングリコール・ブロック縮合体が例示
される。これらの中でもポリオキシエチレングリコー
ル、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチ
レングリコール−ポリオキシプロピレングリコール・ブ
ロック共重合体などが好適に用いられる。
【0026】これらのポリマーの種類および配合量は、
粘着剤との相溶性、必要とされる放出促進効果および柔
軟性の程度によって設定される。親水性の高いポリオキ
シエチレングリコールでは、ポリオキシプロピレングリ
コールに比べて放出促進効果は高いが、粘着剤との相溶
性が低くなり、また外観的には吸水時に膏体の白化が起
きやすい。ポリオキシエチレングリコール−ポリオキシ
プロピレングリコール・ブロック共重合体は、各々の重
合比と分子量を調節することで放出促進効果と相溶性の
バランスをとることが可能である。
【0027】これらのポリマーの分子量については、分
子量が低い方が粘着剤に対する可塑化効果が高く、粘着
剤中への分散・溶解が速い。また、重量当りの水酸基の
数が多いため、吸水速度が高く、それによる放出促進効
果も高いと考えられる。しかし、分子量があまり低いと
揮散性が高く、製剤調製工程の塗工時にかなりの量を損
失することになる。また、放出助剤が投与前にブリーデ
ィングしてしまい、膏体層表面に液膜を生じて初期粘着
性を落とすことがある。貼付した後も放出助剤が皮膚か
らの水分を吸収すると、膏体中に溶けきれなくなって水
分と共に表面にブリーディングし、貼付剤の剥れが生じ
ることもある。さらに、これらの放出助剤は元来低刺激
性のものとして知られているが、低分子量の場合は放出
助剤自身が皮膚に浸透するために、予期しない生体反応
が生じ、皮膚刺激を発現する可能性もある。このような
点から、放出助剤として用いるポリオキシエチレングリ
コール、ポリオキシプロピレングリコール、およびポリ
オキシエチレングリコール−ポリオキシプロピレングリ
コール・ブロック共重合体の分子量は1,500〜5
0,000であることが適当である。
【0028】放出助剤は粘着剤重量に対し通常0.3〜
20重量%の範囲で配合される。この配合量が0.3%
以下であると放出促進効果や膏体層中での柔軟性発現が
十分に行われず、逆に20%以上では粘着剤と相溶しき
れなくなり、安定な貼付性が得られない。特に好ましい
配合量は3〜10重量%の範囲である。
【0029】c)無水ケイ酸 この発明の貼付剤では、膏体層に放出助剤と共に無水ケ
イ酸が含ませられる。無水ケイ酸には、親水性無水ケイ
酸と疎水性無水ケイ酸がある。無水ケイ酸の配合量は粘
着剤の組成、薬物、放出助剤の配合量によって調節さ
れ、通常、無水ケイ酸は粘着剤重量に対して1〜20重
量%の範囲で配合される。無水ケイ酸の配合量が1重量
%未満であると凝集力の向上効果が小さく、20重量%
を超えると粘着性が不十分となる。無水ケイ酸の配合量
が増加するほど凝集力は大きくなり、粘着力は低下す
る。無水ケイ酸の特に好ましい配合量は8〜18重量%
の範囲である。
【0030】無水ケイ酸は、表面に水酸基を有する無定
形二酸化ケイ素〔(SiO2 )n〕であり、その一次粒
子径は約5〜100nmと小さく、通常一次粒子が緩く
凝集した状態の二次粒子として存在している。無水ケイ
酸としては、表面がすべて水酸基で覆われている親水性
無水ケイ酸が一般的である。
【0031】親水性無水ケイ酸のみを用いた場合、膏体
層の凝集力を高める効果は高いが、配合液のチクソトロ
ピー性が大きくなり、親水性無水ケイ酸の配合量が高い
と通常のロールコーターやブレードによる塗工が困難と
なる。また、この発明の貼付剤においては、親水性無水
ケイ酸は放出助剤と併用されるので、放出助剤が膏体層
中への水分の吸収を促進し、その結果、吸湿した親水性
無水ケイ酸が膏体層の粘着性を低下させる。そのため、
親水性無水ケイ酸の配合量が高いと、貼付剤の剥がれが
生じる恐れがある。
【0032】疎水性無水ケイ酸は親水性無水ケイ酸の一
部にアルキルシランを結合させたり、親水性無水ケイ酸
をシリコンオイルで表面処理して、疎水性を持たせたも
のである。疎水性無水ケイ酸は親水性のものに比べて凝
集力を高める効果は弱いが、溶液状態でのチクソトロピ
ー性が低く、吸湿性も低い。
【0033】そのため、親水性無水ケイ酸と疎水性無水
ケイ酸を併用することによって、塗工性の改善や吸湿性
の調節を果たすことができる。
【0034】無水ケイ酸の製法には、気相法、液相法、
ゲル化法があり、製法の選択により比容積や粒子径の異
なるものが適宜得られる。比表面積は100〜1000
2/g(BET法)の範囲であり、比表面積が高いほ
ど架橋構造がとり易く、凝集力が高い。
【0035】d)薬物 この発明による医療用貼付剤に使用される薬物(生理活
性物質)は、経皮的に生体膜を透過しうるものであれば
よく、特に限定されない。薬物の例としては、解熱消炎
鎮痛剤、ステロイド系抗炎症剤、血管拡張剤、高血圧・
不整脈用剤、血圧降下剤、鎮咳去痰剤、抗腫瘍剤、局所
麻酔剤、ホルモン剤、喘息・鼻アレルギー治療剤、抗ヒ
スタミン剤、抗凝血剤、鎮痙剤、脳循環・代謝改善剤、
抗うつ・抗不安剤、ビタミンD製剤、血糖降下剤、抗潰
瘍剤、睡眠剤、抗生物質などが挙げられる。
【0036】解熱消炎鎮痛剤の例としては、インドメタ
シン、サリチル酸、アスピリン、アセトアミノフェン、
ジクロフェナックナトリウム、イブプロフェン、スリン
ダック、ナプロキセン、ケトプロフェン、フルフェナム
酸、イブフェナック、フェンブフェン、アルクロフェナ
ック、フェニルブタゾン、メフェナム酸、ベンダザッ
ク、ピロキシカム、フルルビプロフェン、ペンタゾシ
ン、塩酸ブプレノルフィン、酒石酸ブトルファノールな
どが挙げられる。
【0037】ステロイド系抗炎症剤の例としては、ヒド
ロコルチゾン、プレドニゾロン、フルオシノロンアセト
ニド、フルドロキシコルチド、メチルプレドニゾロン、
酢酸ヒドロコルチゾン、トリアムシノロンアセトニド、
デキサメタゾン、酢酸ベタメサゾン、吉草酸ジフルコル
トロン、プロピオン酸クロベタゾール、フルオシノニド
などが挙げられる。
【0038】血管拡張剤の例としては、ジルチアゼム、
ベラパミル、四硝酸ペンタエリスリトール、ジピリダモ
ール、硝酸イソソルビド、ニフェジピン、ニトログリセ
リンなどが挙げられる。
【0039】高血圧・不整脈用剤としては、プロパノロ
ール、アテノロール、ピンドロール、硫酸キニジン、ア
ジマリン、塩酸アルプレノロール、酒石酸メトプロロー
ル、ナドロール、マレイン酸チモロール、ジソピラミド
などが例示される。
【0040】血圧降下剤の例としては、塩酸クロニジ
ン、カプトプリル、塩酸プラゾシン、硫酸ペンブトロー
ル、酢酸グアナベンズ、塩酸グアンファシン、塩酸ブナ
ゾシン、マレイン酸エラナプリル、塩酸アロチノロー
ル、塩酸ブニトロロールなどが挙げられる。
【0041】鎮咳去痰剤の例としては、塩酸プロカテロ
ール、硫酸テルブタリン、臭化水素酸フェノテロール、
塩酸ツロブテロール、塩酸アンブロキソール、塩酸ピル
ブテロール、塩酸マブテロール、塩酸クレンブテロー
ル、塩酸トリメトキノール、フマル酸フォルモテロール
などが挙げられる。
【0042】抗腫瘍剤としては、5−フルオロウラシ
ル、1−(2−テトラヒドロフリル)−5−フルオロウ
ラシル、マイトマイシンCなどが例示される。
【0043】局所麻酔剤としては、ベンゾカイン、プロ
カイン、リドカイン、テトラカインなどが例示される。
【0044】ホルモン剤の例としては、エストロゲン、
エストラジオール、テストステロン、プロゲステロンな
どのステロイドホルモン類や、インスリンなどのペプチ
ドホルモン類、プロスタグランディンなどが挙げられ
る。
【0045】喘息・鼻アレルギー治療剤としては、フマ
ル酸ケトチフェン、塩酸アゼラスチン、クロモグリク酸
ナトリウムなどが例示される。
【0046】抗ヒスタミン剤としては塩酸シクロヘプタ
ジン、塩酸ジフェンヒドラミン、フェンベンザミン、メ
キタジンなどが例示される。
【0047】抗凝血剤の例としては、ヘパリンなどが挙
げられる。
【0048】鎮痙剤としては、スコポラミン、クロフル
ペロールなどが例示される。
【0049】脳循環・代謝改善剤の例としては、ビンポ
セチン、塩酸フルナリジン、塩酸ニカルジピン、フマル
酸ブロビンカミン、メシル酸ジヒドロエルゴトキシン、
酒石酸イフェンプロジル、塩酸イソクスプリンなどが挙
げられる。
【0050】抗うつ・抗不安剤の例としては、塩酸マプ
ロチリン、エチゾラム、ジアゼパム、ブロマゼパム、塩
酸アミトリプチリン、塩酸ミアンセリンなどが挙げられ
る。
【0051】ビタミンD製剤の例としては、アルファカ
ルシドール、エルゴカルシフェロールなどが挙げられ
る。
【0052】血糖降下剤の例としては、グリベンクラミ
ド、グリクラジドなどが挙げられる。
【0053】抗潰瘍剤の例としては、リンゴ酸クレボブ
リド、ファモチジン、臭化グリコピロニウムなどが挙げ
られる。
【0054】睡眠剤の例としては、フェノバルビター
ル、アモバルビタールなどが挙げられる。
【0055】抗生物質としては、テトラサイクリン、ク
ロラムフェニコールなどが例示される。
【0056】薬物の配合量は、薬物の種類、貼付剤の使
用目的などにより異なるが、通常は、粘着剤重量に対し
て0.1〜30重量%の範囲である。
【0057】e)可塑化作用を有する化合物 膏体層には、同層に可塑性を付与するため、アクリル系
粘着剤に可塑化作用を有する化合物が必要に応じて添加
される。可塑化作用を有する化合物としては、エステ
ル、エーテル、炭化水素、一価アルコール、アミドなど
の化合物が用いられ、とりわけ脂肪族エステルが好適で
ある。
【0058】可塑化作用を有する化合物の例示物はつぎ
のとおりである:オクタン酸セチル、ラウリン酸ヘキシ
ル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチル
ドデシル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸オ
クチル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸オクチル、
ヒドロキシステアリン酸オクチル、イソノナン酸イソト
リデシル、オレイン酸エチル、オレイン酸デシル、ミン
ク油脂肪酸エチル、乳酸ミリスチルなどの一価アルコー
ル脂肪酸エステル;アジピン酸ジイソプロピル、アジピ
ン酸ジオクチル、セバシン酸ジエチル、コハク酸ジオク
チルなどの二塩基酸エステル;ジカプリン酸プロピレン
グリコール、トリオクタン酸グリセリル、トリ(オクタ
ン酸・デカン酸)グリセリル、トリパルミチン酸グリセ
リル、ソビタンオレート、中性油脂脂肪酸グリセリンエ
ステルなどの多価アルコール脂肪酸エステル;オリーブ
油、サフラワー油、ヤシ油脂肪酸トリグリセライド、綿
実油などの動植物油;スクワラン、α−オレフィンオリ
ゴマー、流動パラフィン、ワックスなどの炭化水素;セ
タノール、ベヘニルアルコール、2−ヘキシルデカノー
ル、2−オクチルデカノール、オレイルアルコール、グ
リセリンなどのアルコール;ポリオキシエチレンラウリ
ルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテルなど
のエーテル;オレイン酸アミド、ラウリン酸モノエタノ
ールアミンなどのアミド化合物;ジメチルポリシロキサ
ン、メチルフェニルポリシロキサンなどのシリコーン。
【0059】可塑化作用を有する化合物は、膏体層に可
塑性を付与することによって、膏体層の粘度を調節し、
同層中の薬物の経皮ないし経皮透過を促進する。特にオ
クタン酸セチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸イ
ソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチ
ン酸イソプロピル、パルミチン酸オクチルなどの疎水性
の高い化合物を上記放出助剤と併用するとき、この効果
が好適に発現される。可塑化作用を有する化合物の配合
量は、その種類および極性、粘着剤の種類、極性および
分子量などにより異なるが、通常は粘着剤重量に対して
1〜30重量%の範囲である。その理由は、この配合量
が1重量%未満では上記作用が充分に発揮されず、逆に
30重量%を超えると膏体層の凝集力が不足するからで
ある。
【0060】f)支持体 支持体は、柔軟であるが貼付剤に自己支持性を付与し、
かつ膏体層中の薬物の揮散や移行を防止する役目を果た
す。支持体の素材としては、酢酸セルロース、エチルセ
ルロース、ポリエチレンテレフタレート、可塑化酢酸ビ
ニル−塩化ビニル共重合体、ナイロン、エチレン−酢酸
ビニル共重合体、可塑化ポリ塩化ビニル、ポリウレタ
ン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピ
レン共重合体、ポリ塩化ビニリデン、アルミニウムなど
がある。これら素材はたとえば単層のシートないしフィ
ルムや2枚以上の積層体として用いられる。アルミニウ
ム以外の素材は織布や不織布として使用してもよい。支
持体としては、皮膚面に対して追従性を有する素材より
なるものが好適に用いられ、特にポリエチレンフィル
ム:ポリエチレンテレフタレートとエチレン−酢酸ビニ
ル共重合体とのラミネートフィルムなどが好ましい。支
持体の厚みは500μm以下、好ましくは5〜150μ
mである。
【0061】g)剥離紙 この発明による医療用貼付剤は、使用時までその膏体層
表面を保護するために通常はその貼付面に剥離紙を有し
ている。剥離紙としてはポリエチレンテレフタレートの
フィルムをシリコン処理してなるものがよく用いられる
が、剥離紙はこれに限定されない。剥離紙の厚みは10
0μm以下、好ましくは5〜50μmである。
【0062】h)製造法 アクリル系粘着剤の重合体を調製するには、通常、重合
開始剤の存在下に所要モノマーの溶液重合を行う。ただ
し、重合形態はこれに限定されない。反応条件は主とし
てモノマーの種類により適宜選定される。
【0063】支持体に膏体層を形成するには、通常の粘
着テープの製造方法が適用できる。その代表例は溶剤塗
工法であり、これ以外にもホットメルト塗工法、電子線
硬化エマルジョン塗工法などが用いられる。
【0064】支持体の上に膏体層を溶剤塗工法で形成す
るには、たとえば、膏体層の構成成分を適当な溶媒に溶
解ないし分散させ、得られた溶液ないし分散液を支持体
表面に直接塗布・乾燥し、所要厚みの膏体層を形成す
る。また、この溶液ないし分散液を保護用の剥離紙上に
塗布し、乾燥後に得られた膏体層を支持体に密着させて
もよい。
【0065】
【作用】この発明の貼付剤に含ませられた、分子量が
1,500〜50,000であり、ポリオキシアルキレ
ングリコール、そのブロック共重合体およびこれらの誘
導体よりなる群から選ばれた少なくとも1つの放出助剤
は、皮膚からの水分と相溶しやすく、膏体中に水分を吸
収し、これによって薬物が膏体中から放出され速やかに
皮膚内に移行するのを促進するものと考えられる。この
放出助剤の働きは、親水性無水ケイ酸の存在下で一層高
まる。さらに、放出助剤が粘着剤と相溶することによ
り、膏体層が可塑化し、膏体層中の薬物拡散速度が高め
られ、薬物の皮膚透過性が促進される。また、放出助剤
として用いるポリオキシアルキレングリコール、そのブ
ロック共重合体およびこれらの誘導体は、粘着剤に対し
難溶性であるインドメタシンなどの薬物を溶け易くする
働きを持つ。したがって、放出助剤の使用により、膏体
中の薬物溶解度を上げることができ、この点でも薬物の
皮膚透過性を向上させることができる。
【0066】通常、粘着剤にポリオキシアルキレングリ
コール、そのブロック共重合体およびこれらの誘導体
や、脂肪酸エステルなどの可塑剤を添加すると、膏体層
が柔軟になり貼付部位への密着性がよくなるが、これを
剥した時に凝集力不足のために糊残りが起こり易くな
る。また、粘着力が強くなり過ぎて剥離時に皮膚に対し
て物理的刺激を与えることもある。この発明による貼付
剤は、膏体層にさらに無水ケイ酸を加えることで柔軟性
を保ったまま粘着力を抑え、かつ貼付剤として必要な凝
集力を付与したものである。そのため、粘着力が低いに
も拘らず、良好な貼付性が発揮され、かつ剥離時に皮膚
表面の角質層を損傷したり、毛をむしり取ったりするこ
とがない。また、凝集力不足のために膏体層の組成物が
支持体の外側にはみ出したり、剥した時に皮膚に残った
りすることが少ない。
【0067】一般に、膏体層の流動性が高いほど内部に
存在する薬物の拡散速度も高く、放出性に優れた剤型と
なる。これに対し、この発明の貼付剤では、膏体層に放
出助剤と無水ケイ酸を含ませることにより、膏体層の凝
集力を高めて粘着剤の流動性を低下させながら薬物の高
放出性を高めることができる。これは、一つには、膏体
層中に分散したケイ酸表面の水酸基どうしの水素結合に
より網目構造が形成されて凝集力を発現していることに
よる。この網目構造は、粘着剤の流動性を抑えても粘着
剤に溶解している薬物分子の移動を抑制するものではな
い。また、親水性無水ケイ酸と疎水性無水ケイ酸を併用
することで製剤の凝集力や吸湿性、さらには膏体溶液の
塗工性を調節できる。無水ケイ酸のもう一つの作用とし
ては、膏体層中に分散したケイ酸表面の水酸基が、放出
助剤として含ませられたポリオキシアルキレングリコー
ル、そのブロック共重合体およびこれらの誘導体の水酸
基と水素結合を形成して膏体層への放出助剤の溶解性を
安定化させ、膏体層への吸水性を促進すると共に、柔軟
かつ糊残りのない良好な粘着物性を実現できる。
【0068】この発明による貼付剤は、皮膚刺激性が少
ない。これは、薬物の皮膚透過性が優れているため投与
に必要な貼付面積が小さくてすみ、長期使用に際しての
皮膚のダメージが低減されることと、無水ケイ酸の添加
によって凝集力が保たれながら膏体層が柔軟であるため
に、毛むしりや角質剥離、皮膚の引っ張りによる機械的
刺激なども抑えることによる。
【0069】
【実施例】つぎに、この発明を具体的に説明するため
に、この発明の一例を示す実施例およびこれとの比較を
示す比較例をいくつか挙げ、さらに得られた各貼付剤の
性能試験結果を示す。
【0070】実施例1 i) 温度計、撹拌機、窒素導入管および還流冷却器を
備えた40リットルの重合反応器内に、メタクリル酸ド
デシル2286g、メタクリル酸2−エチルヘキシル1
4256g、アクリル酸2−エチルヘキシル1656
g、ヘキサンジオールジメタクリレート2.3gおよび
酢酸エチル8500gを仕込み、この混合物を窒素気流
下にて攪拌しながら80℃に加熱した。ついで、この反
応液に、シクロヘキサン1500gに過酸化ラウロイル
16gを溶かした重合開始剤溶液を6時間かけて滴下
し、重合反応を行った。
【0071】こうして、重量平均分子量1.05×10
6 で固形分58重量%のアクリル系粘着剤Aの溶液を得
た。
【0072】ii) 粘着剤Aの溶液(乾燥後の粘着剤A
として70重量部)に、乾燥後の重量換算値で、薬物と
して硝酸イソソルビド7重量部、放出助剤としてポリオ
キシエチレングリコール−ポリオキシプロピレングリコ
ール・ブロック共重合体(旭電化社製「プルロニックL
64」、PN−L64と略記する)5重量部、無水ケイ
酸として親水性無水ケイ酸(日本アエロジル社製「アエ
ロジル200」、A200と略記する)5重量部および
疎水性無水ケイ酸(日本アエロジル社製「アエロジルR
972」、R972と略記する)5重量部、および可塑
化作用を有する化合物(可塑化剤)としてミリスチン酸
イソプロピル(局外規品、IPMと略記する)8重量部
を配合した。ついで、これらをディゾルバーで均一に混
合し、固形分濃度が30重量%になるように酢酸エチル
添加により濃度を調整した後、液を攪拌・混合して配合
物を均一に溶解もしくは分散させた。
【0073】こうして、塗工液を調製した。
【0074】iii) この塗工液を、シリコン処理したポ
リエチレンテレフタレートからなる厚さ50μmの剥離
紙の片面に、乾燥後の膏体層厚が80μmとなるように
均一に塗布し、温度60℃で30分加熱乾燥した。つぎ
に、得られた膏体層を厚み40μmのポリエチレン/エ
チレン−酢酸ビニル共重合体ラミネートフィルムからな
る支持体に密着させた。
【0075】こうしてテープ状の医療用貼付剤を得た。
【0076】実施例2 実施例1において、PN−L64の代わりにポリオキシ
プロピレングリコール2000(PPG2000と略記
する)を5重量部使用し、その他の成分として実施例1
のものと同じ成分をそれぞれ表1に示す配合量で使用し
て、実施例1と同じ操作でテープ状の医療用貼付剤を得
た。
【0077】実施例3 粘着剤としてアクリル系粘着剤A、薬物としてインドメ
タシン、放出助剤としてポリオキシエチレングリコール
−ポリオキシプロピレングリコール・ブロック共重合体
(旭電化社製「プルロニックF68」、PN−F68と
略記する)、無水ケイ酸としてA200とR972、お
よび可塑化作用を有する化合物としてIPMをそれぞれ
表1に示す配合量で使用して、実施例1と同じ操作でテ
ープ状の医療用貼付剤を得た。ただし、PN−F68は
溶液に均一に溶解させるために、超音波処理して酢酸エ
チルに溶解させた形態で使用した。
【0078】実施例4 粘着剤としてアクリル系粘着剤B(実施例1の工程
(i)においてメタクリル酸2−エチルヘキシルおよび
アクリル酸2−エチルヘキシルの代わりにアクリル酸2
−エチルヘキシル18200gおよびアクリル酸145
gを用いる点以外は同工程の操作を繰り返して得られた
重量平均分子量1,160,000で固形分56重量部
のアクリル系粘着剤)、薬物としてエストラジオール、
放出助剤としてポリオキシエチレングリコール4000
(PEG4000と略記する)、および無水ケイ酸とし
てA200をそれぞれ表1に示す配合量で使用して、実
施例1と同じ操作でテープ状の医療用貼付剤を得た。た
だし、PEG4000は溶液に均一に溶解させるため
に、超音波処理して酢酸エチルに溶解させた形態で使用
した。
【0079】比較例1 実施例1において、PN−L64を使用せず、その他の
成分として実施例1のものと同じ成分をそれぞれ表1に
示す配合量で使用して、実施例1と同じ操作でテープ状
の医療用貼付剤を得た。
【0080】比較例2 実施例1において、A200およびR972を使用せ
ず、その他の成分として実施例1のものと同じ成分をそ
れぞれ表1に示す配合量で使用して、実施例1と同じ操
作でテープ状の医療用貼付剤を得た。
【0081】比較例3 実施例2において、PPG2000を使用せず、その代
わりにプロピレングリコール(PGと略記する)を5重
量部用い、その他の成分として実施例2のものと同じ成
分をそれぞれ表1に示す配合量で使用して、実施例1と
同じ操作でテープ状の医療用貼付剤を得た。
【0082】比較例4 実施例1において、PN−L64、A200およびR9
72を使用せず、放出助剤としてポリオキシエチレンラ
ウリルエーテルリン酸ナトリウム(PLと略記する)を
5重量部用い、その他の成分として実施例1のものと同
じ成分をそれぞれ表1に示す配合量で使用して、実施例
1と同じ操作でテープ状の医療用貼付剤を得た。
【0083】比較例5 実施例3において、PN−F68、A200およびR9
72を使用せず、その他の成分として実施例3のものと
同じ成分をそれぞれ表1に示す配合量で使用して、実施
例1と同じ操作でテープ状の医療用貼付剤を得た。
【0084】比較例6 実施例4において、PEG4000およびA200を使
用せず、その他の成分として実施例4のものと同じ成分
をそれぞれ表1に示す配合量で使用して、実施例1と同
じ操作でテープ状の医療用貼付剤を得た。
【0085】実施例および比較例の膏体の構成成分およ
び各配合量を表1にまとめて示す。
【表1】 PN−L64:ポリオキシエチレングリコール−ポリオ
キシプロピレングリコール・ブロック共重合体(旭電化
社製「プルロニックL64」 PPG2000:ポリオキシプロピレングリコール20
00 PN−F68:ポリオキシエチレングリコール−ポリオ
キシプロピレングリコール・ブロック共重合体(旭電化
社製「プルロニックL68」 PEG4000:ポリオキシエチレングリコール400
0 PG:プロピレングリコール PL:ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸ナト
リウム A200:親水性無水ケイ酸(日本アエロジル社製「ア
エロジル200」) R972:疎水性無水ケイ酸(日本アエロジル社製「ア
エロジルR972) IPM:ミリスチン酸イソプロピル 実施例および比較例で用いた放出助剤の分子構成(平均
分子量、および重合成分であるエチレングリコール・プ
ロピレングリコールの平均単位数)を表2に示す。
【0086】
【表2】 貼付剤の性能評価試験 i) 薬物放出性試験 実施例および比較例で得られた各貼付剤について、下記
の手法によりマウスの摘出皮膚に対する薬物の放出性試
験を行った。
【0087】まず、添付図1に示すFranz タイプの拡散
セル(1) を準備した。拡散セル(1)は、下側の有底円筒
状のレセプター槽(2) と、これの上に配置された有底円
筒状のドナー槽(3) とよりなる。ドナー槽(3) の底壁中
央には開口部(4) が設けられ、またドナー槽(3) の下端
およびレセプター槽(2) の上端にはそれぞれ上側フラン
ジ(5) および下側フランジ(6) が設けられている。そし
て、上側フランジ(5)と下側フランジ(6) を対向状に重
ね合わせることによって、ドナー槽(3) とレセプター槽
(2) が気密状にかつ同心状に積み重ねられている。レセ
プター槽(2) にはその側部に側方突出状のサンプリング
口(7) が取付けられ、レセプター槽(2)の内部にはマグ
ネット攪拌子(9) が入れてある。
【0088】ヌードマウス(8週齢、雄)を頚椎脱臼に
より屠殺した後、ただちに背部皮膚を剥離して皮下脂肪
と筋層を除去し、約4cm×4cmの皮膚片を得た。こ
の皮膚片(8) を拡散セル(1) の上側フランジ(5) と下側
フランジ(6) の間に挟着して、ドナー槽(3) の開口部
(4) を皮膚片(8) で完全に閉じるようにした。
【0089】面積3.14cm2 の円形に打ち抜いた貼
付剤を皮膚片(8) の上面に貼付した。レセプター槽(2)
には、pH7.2に調整した生理食塩水よりなるレセプ
ター液を満たした。
【0090】ついで拡散セル(1) を温度37℃に保たれ
た恒温槽内に設置し、マグネット攪拌装置によりレセプ
ター液の攪拌を行った。試験開始後24時間経時的に、
サンプリング口(7) からレセプター液1mlをサンプリ
ングし、このレセプター液への薬物の放出量を高速液体
クロマトグラフ法により測定した。各貼付剤中の薬物の
24時間後の放出量(透過性)を表4にまとめて示す。
【0091】ii) 皮膚刺激性および貼付性試験 実施例および比較例の各貼付剤について、下記の手法に
よりヒトの皮膚に対する薬物の刺激性試験を行った。
【0092】貼付剤を10mm×10mmのサイズに切
断し、この試験片をそれぞれ複数の被験者(男性健常
人)の胸部に貼付し、24時間後にこれを剥離し、剥離
1時間後の貼付部皮膚の紅斑状態を目視で観察した。紅
斑状態はDraiz 法(1959年FDA、1973年、Fe
deral Register)で評価した。
【0093】紅斑生成の判断基準は下記表3に示すとお
りである。試験は各試験片につき5名で行い、5名の評
点の平均値を各々の貼付剤の皮膚刺激指数とした。
【0094】
【表3】 また、各製剤の貼付性については、試験中の試験片の剥
れ、試験終了時の糊残りの有無について観察し、該当す
る人数を調べた(該当人数/5で表4中に表記)。な
お、本試験において、浮腫および痂皮の形成は認められ
なかった。
【0095】皮膚刺激性および貼付性試験の結果を表4
にまとめて示す。
【0096】
【表4】 表1および表4から明らかなように、無水ケイ酸と多価
アルコールを併用した実施例の貼付剤では、いずれも高
い薬物放出性が発揮せられ、刺激性が低く、さらに、2
4時間の貼付試験において剥れや糊残りは認められなか
った。
【0097】
【発明の効果】この発明によれば、膏体層からの薬物の
放出性が改善されて薬物放出促進が充分発揮され、柔軟
なフィット感を発揮しながらも、剥離時の糊残りや機械
的皮膚刺激、および膏体層の粘着力の低下の恐れがな
い、薬物放出性と貼付性とを共に改善した医療用貼付剤
を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】Franz タイプの拡散セルを示す斜視図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61K 9/70 A61K 47/04 A61K 47/34

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体の片面に薬物と粘着剤を含む膏体
    層が設けられてなる貼付剤において、粘着剤としてアク
    リル系粘着剤が用いられ、膏体層中に、分子量が1,5
    00〜50,000であり、ポリオキシアルキレングリ
    コール、そのブロック共重合体およびこれらの誘導体よ
    りなる群から選ばれた少なくとも1つの放出助剤と、無
    水ケイ酸とが含有されており、実質的に水が含有されて
    いないことを特徴とする医療用貼付剤。
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