JP2000048867A

JP2000048867A - 組電池

Info

Publication number: JP2000048867A
Application number: JP21688898A
Authority: JP
Inventors: Hisashi Kiba; 壽木庭
Original assignee: Toyota Motor Corp
Current assignee: Toyota Motor Corp
Priority date: 1998-07-31
Filing date: 1998-07-31
Publication date: 2000-02-18

Abstract

(57)【要約】【課題】バッテリの変形による固定部の緩み発生を防
止する。【解決手段】バッテリ１４を複数積層して組電池１０
を形成する。スペーサ１２をばねで構成することで、バ
ッテリ１４の膨張収縮に応じた変形を吸収する。これに
よって、固定板２６および固定腕２８にかかる荷重の変
化を防止でき、ボルト３０の緩み発生などを防止でき
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、複数のバッテリを
スペーサを介し積層配置する組電池、特にスペーサの構
造に関する。

【０００２】

【従来の技術】充放電が繰り返し行える二次電池（バッ
テリ）を複数組んだ組電池は、電気容量が大きく、かつ
高電圧が要求される電気自動車などのエネルギー源とし
て広く利用されている。この組電池は、電槽に収容した
バッテリ（バッテリセル）を複数積層して構成される。
電気自動車の場合、２００Ｖ以上という高電圧が必要で
あり、組電池を複数搭載して、所望の電圧を得ている。
このバッテリに使用される電槽としては金属製、樹脂製
のものがある。電気自動車などに利用される組電池で
は、バッテリの電気容量が大きく、また使用するバッテ
リ数が非常に多いため、重量を軽減する目的などで、樹
脂製のものが通常採用されている。

【０００３】このように、樹脂製の電槽を用いた場合、
充放電時においてバッテリの内圧が変化して、バッテリ
を収容する電槽が変形することがある。すなわち、バッ
テリでは、一般に充電時において温度上昇やガス発生、
電極での結晶変化等があり、これに伴って内圧が放電時
に比べて上昇する。このようなバッテリの内圧変化によ
り、樹脂製の電槽は局部的に膨張収縮する。通常の場
合、強度上の都合から電槽の中央部分が膨張収縮する。
特に、バッテリを多数積層した組電池では、内部に配置
されたバッテリは、放熱がされにくく、変形を抑制する
ことが困難である。

【０００４】特開平５−３４３１０５号公報には、積層
配置するバッテリ間に冷媒が流通可能なスペーサを配置
し、内側に配置されるバッテリの冷却を促進するものが
示されている。これによって、電槽の変形をある程度抑
制することができる。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかし、このような冷
却を行っても、電槽の変形を完全になくすことはできな
い。特に、組電池の場合、複数のバッテリが積層されて
いるため、全体としての変形量はかなりのものになって
しまう。

【０００６】ここで、組電池では、複数のバッテリを固
定用の枠に収容しており、この固定枠は、複数の板材を
ボルト締めによって固定して形成している。そして、ス
ペーサは剛体で形成されているため、バッテリの変形が
そのまま固定枠への荷重の変化になる。そこで、バッテ
リの変形に応じて、固定枠にかかる荷重が変化し、ボル
トのゆるみが発生するなどという問題点があった。

【０００７】本発明は、上記課題に鑑みてなされたもの
であり、バッテリの内圧変化に伴なう固定部材の緩みを
防止し、同時にバッテリの温度上昇の低減を図ることを
目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明は、複数のバッテ
リをスペーサを介し積層配置する組電池であって、前記
スペーサは、冷却媒体の通路として機能すると共に、前
記バッテリの変形に対応して弾性変形し、バッテリの荷
重をほぼ一定に維持する弾性特性を有することを特徴と
する。本発明によれば、冷却媒体が冷却通路を通過しバ
ッテリを冷却する。また、充電時にバッテリが膨張した
場合には、スペーサに備えられた弾性特性により、その
膨張を吸収する。これにより、バッテリを組むための固
定部材にかかる荷重の変化を減少し、固定部材における
緩みの発生を抑制することができる。

【０００９】また、前記スペーサは、波板状のばねによ
り構成されていることを特徴とする。この波板状のばね
を用いることにより、スペーサに弾性特性を付与するこ
とができるとともに、波の谷間に沿って冷却通路を形成
することができる。

【００１０】また、前記スペーサの弾性特性がバッテリ
変形量に応じて部分的に異なることを特徴とする。充電
時のバッテリの変形は、一様ではなく一般に中央部分が
大きく変形する。従って、このように変形が起こりやす
い位置に対応して弾性特性を変化させることにより適切
にバッテリの変形を吸収することが可能となる。

【００１１】

【発明の実施の形態】本発明の好適な実施の形態を図面
を用いて説明する。図１及び２に本実施形態のスペーサ
１２を備えた組電池１０の全体構成を示す。図１は、組
電池の概略平面図であり、図２は概略斜視図である。

【００１２】組電池１０は、複数のバッテリ（バッテリ
セル）１４を複数積層して構成されており、これらバッ
テリ１４の間にはスペーサ１２が配置されている。この
バッテリ１４は、樹脂（プラスチック）製の電槽１６に
収容し構成されている。ここで用いるバッテリ１４は、
二次電池であればいかなる種類のものでもよいが、ニッ
ケル金属水素（ＮｉＭＨ）バッテリが好適である。この
ニッケル金属水素バッテリの場合、１つのバッテリセル
の電圧は１．２Ｖ程度であり、これを複数（例えば１０
個）直列接続して組電池１０を形成する。従って、１つ
の組電池１０の電圧は１２Ｖ程度である。電気自動車で
は、この組電池１０を２０個程度搭載し、全体として２
００Ｖ以上の電圧を得ている。なお、本発明において、
バッテリ１４の容量、バッテリ１４の収容数等に限定は
ない。電槽１６を形成する樹脂としては、パリプロピレ
ン、ポリエチレン、ポリスチレンなどが採用される。

【００１３】また、バッテリ１４の間に配置されたスペ
ーサ１２は、波板状のばね２０からなっている。なお、
このばね２０の両側に平板材を配置してもよい。このば
ね２０は、谷溝２２が上下方向に延びるように配置され
ており、上下方向は両端が開放されている。一対の板材
は電槽１６と同様に樹脂製であるが、ばね２０は鉄など
の金属材料から構成されている。そして、このばね２０
は、弾性変形可能であり、スペーサ１２は全体としてそ
の厚みが弾性変形可能になっている。また、ばね２０の
谷溝２２と板材とで形成される上下方向の通路は、冷却
溶媒を通過させる冷却通路２４になっている。なお、ば
ね２０は、適度な弾性を有していれば、樹脂製等でもよ
い。スペーサ１２はその厚み方向に荷重がかかることに
よって、斜めの壁が変形し、厚みが変わる。また、ばね
２０は厚みが薄くなった分、左右方向に延びてもよい。

【００１４】更に、ばね２０のばね定数は、対象とする
バッテリ１４の大きさ、変形量などに応じて、任意に設
定することができる。例えば、電気自動車用バッテリの
断面積は５０〜１５０ｃｍ²程度であり、バッテリ１４
の変形量は０．１〜０．２ｍｍ程度となる。この場合に
は、ばね２０の必要となるバネ定数は５００〜３０００
ｋｇｆ／ｍｍ程度が好適である。

【００１５】前記ばね２０により形成される冷却通路は
図１及び２の例では上下方向に形成されているが、この
方向を変更して冷却溶媒の流れを左右方向に形成するこ
ともできる。この場合には、このばね２０の向きを９０
度回転させ、スペーサ１２の側面に開口を形成すればよ
い。

【００１６】また、このばね２０は、Ｖ字を多数隣接す
るコルゲート状の形状に構成されているが、特にこの形
状に限定されるものではない。図３にスペーサ１２の他
の構成例を示す。（Ａ）は頂部を湾曲させた波板状のも
のであり、上述の場合と同様に斜めの壁の部分が変形す
る。（Ｂ）はばね２０を断面円形のパイプを多数間隔を
おいて整列して構成し、各パイプが楕円に変形すること
で、スペーサ１２の厚みを変化させることもできる。さ
らに、スペーサ１２を断面四角形状やそれ以上の多角形
状としてもよい。この場合も壁の部分が斜めになった
り、まるく変更することで、スペーサ１２の厚みが変化
する。

【００１７】また、スペーサ１２を介して複数積層配置
させたバッテリ１４の両端には、固定板２６を配置し、
これら固定板２６の間を固定腕２８を渡してネジ３０で
固定している。これによって、複数のバッテリ１４を固
定して、組電池１０を構成している。

【００１８】次に、前記の通り構成された組電池１０の
充放電時の動作を説明する。図４（Ａ）に放電時の組電
池１０の状態を示し、（Ｂ）には充電時の組電池１０の
状態を示す。放電時（Ａ）には、バッテリ１４における
内圧の上昇はなく、電槽１６はその形状を維持してい
る。一方、充電時（Ｂ）には、バッテリ１４の内圧が上
昇し、これを収容する樹脂製の電槽１６を変形させる。
この電槽１６の変形により隣接するスペーサ１２が押圧
されることになるが、この押圧力がスペーサ１２内のば
ね２０の弾性変形により吸収される。

【００１９】この状態で、再び放電が開始されると、バ
ッテリ１４の内圧が低下し、バッテリ１４の膨張が徐々
に小さくなる。これに伴なってバッテリ１４を収容する
電槽１６の変形も解消され、スペーサ内のばね２０も元
の状態に復帰する。

【００２０】また、ばね２０のばね定数をスペーサ１２
内の位置によって変更することも好適である。例えば、
波板状のばね２０を３分割し、中央に配置されるばね２
０をばね定数の小さな変形しやすいものにすることによ
って、バッテリ１４の変形を効果的に吸収することがで
きる。更に、多くの部分に分割し、中央側ほど変形しや
すくすることも好適である。また、多数のパイプを間隔
を置いて整列配置するものでは、パイプの材質を個別に
変更することで、ばね定数を変更することができる。更
に、中央部ほど波やパイプのピッチを少なくすること
で、ばね定数を調整することも好適である。

【００２１】また、スペーサ１２は、内部に冷媒流通用
の冷却通路２４を有しており、ここに空気などを流通す
ることで、各バッテリ１４についての冷却を促進するこ
とができる。スペーサ１２の変形に応じて、内部の冷却
通路２４も変形するが、冷媒の流通に支障を来さない程
度にスペーサ１２の厚さを保持しておけばよい。冷媒の
流通は空気をファンで送風するなどの手段によればよ
い。

【００２２】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
スペーサの弾性変形によりバッテリの変形を吸収でき
る。そこで、バッテリの固定部における緩みの発生など
を防止できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】組電池の概略平明図である。

【図２】組電池の概略斜視図である。

【図３】スペーサの構成例を示す図である。

【図４】組電池の変形状態を示す図である。

【符号の説明】

１０組電池、１２スペーサ、１４バッテリ、１６
電槽、２０ばね、２４冷却通路、２６固定板、
２８固定腕。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】複数のバッテリをスペーサを介し積層配
置する組電池であって、前記スペーサは、冷却媒体の通路として機能すると共
に、前記バッテリの変形に対応して弾性変形し、バッテ
リの荷重をほぼ一定に維持する弾性特性を有することを
特徴とする組電池。
【請求項２】請求項１に記載の組電池において、前記スペーサは、波板状のばねにより構成されているこ
とを特徴とする組電池。
【請求項３】請求項１または２に記載の組電池におい
て、前記スペーサの弾性特性がバッテリ変形量に応じて部分
的に異なることを特徴とする組電池。