JP2000008948A - 内燃機関のピストン - Google Patents

内燃機関のピストン

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JP2000008948A
JP2000008948A JP10252437A JP25243798A JP2000008948A JP 2000008948 A JP2000008948 A JP 2000008948A JP 10252437 A JP10252437 A JP 10252437A JP 25243798 A JP25243798 A JP 25243798A JP 2000008948 A JP2000008948 A JP 2000008948A
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Japan
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piston
skirt
inner peripheral
gap
internal combustion
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JP10252437A
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Hiroya Fujimoto
博也 藤本
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Nissan Motor Co Ltd
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Nissan Motor Co Ltd
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    • F02COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
    • F02FCYLINDERS, PISTONS OR CASINGS, FOR COMBUSTION ENGINES; ARRANGEMENTS OF SEALINGS IN COMBUSTION ENGINES
    • F02F3/00Pistons 
    • F02F3/02Pistons  having means for accommodating or controlling heat expansion
    • F02F3/04Pistons  having means for accommodating or controlling heat expansion having expansion-controlling inserts
    • F02F3/08Pistons  having means for accommodating or controlling heat expansion having expansion-controlling inserts the inserts being ring-shaped
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F02COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
    • F02FCYLINDERS, PISTONS OR CASINGS, FOR COMBUSTION ENGINES; ARRANGEMENTS OF SEALINGS IN COMBUSTION ENGINES
    • F02F3/00Pistons 
    • F02F3/02Pistons  having means for accommodating or controlling heat expansion
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F05INDEXING SCHEMES RELATING TO ENGINES OR PUMPS IN VARIOUS SUBCLASSES OF CLASSES F01-F04
    • F05CINDEXING SCHEME RELATING TO MATERIALS, MATERIAL PROPERTIES OR MATERIAL CHARACTERISTICS FOR MACHINES, ENGINES OR PUMPS OTHER THAN NON-POSITIVE-DISPLACEMENT MACHINES OR ENGINES
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  • Pistons, Piston Rings, And Cylinders (AREA)
  • Lubrication Of Internal Combustion Engines (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 軽量かつコンパクトで、シール性,排気清浄
性,音振性能に優れた新規なピストンを得る。 【解決手段】 シリンダ壁面に摺接するスカート部12
と、このスカート部12の内側に配設される内周部14
とを有する。ピストン下部でスカート部12と内周部1
4とを連結する。ピストン冠面18を形成するピストン
上部で、スカート部12と内周部14とを間隙Dを介し
て分離し、この環状の間隙Dに、該間隙Dのピストン径
方向幅の変化を吸収する吸収リング30を介装する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、自動車等に好適
に使用される内燃機関のピストンの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】内燃機関に用いられるピストンにおいて
は、一般的に、燃焼室に臨んだピストン上部側の方がピ
ストン下部側よりも温度が高く、熱膨張の変化量が大き
くなってしまう。そこで従来から、ピストン上部では、
いわゆるランド部を形成してシリンダ壁面との間にある
程度の隙間を確保し、この隙間によりピストン上部の熱
膨張を吸収するとともに、複数のピストンリングを嵌合
してシリンダ壁面とのシール性を確保する構造が採用さ
れている(例えば特開平6−101566号公報参
照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このような従来のピス
トンにおいては、ピストン上部に形成されたランド部と
シリンダ壁面との隙間が比較的大きく設定されているた
め、この隙間に燃焼室内の燃料が液状のまま滞留してし
まい、HC(ハイドロカーボン)の増大を招聘する等の
問題がある。しかしながら、上記隙間をあまり狭く設定
すると、ピストン上部の熱膨張を吸収できなくなり、シ
リンダ壁面とのフリクションが増大してしまう。
【0004】また、従来のようにピストン上部に形成さ
れたランド部とシリンダ壁面との隙間がある程度大きく
設定されていると、燃焼圧力と潤滑油とをシールするた
めに、ピストンとシリンダ壁面との間にラビリンス構造
を構成するように、例えば上述したように複数のピスト
ンリングを用いる必要があり、この結果、重量増加やフ
リクションの増大を招いてしまう。
【0005】更に、従来のようにピストン上部でピスト
ン径が縮小したプロファイルとなっていると、ピストン
のスラップ(首振り)等により音振性能の劣化を招く虞
がある。
【0006】
【課題を解決するための手段】そこで、請求項1の発明
に係る内燃機関のピストンは、シリンダ壁面に摺接する
スカート部と、ピストン冠面及びピストンピンボス部を
含む内周部とを有し、ピストン下部で上記スカート部と
上記内周部とを連結するとともに、ピストン上部で上記
スカート部と上記内周部とを間隙を介して分離した。
【0007】このように、シリンダ壁面に摺接するスカ
ート部と内周部とをピストン上部で間隙を介して分離し
たため、ピストン上部におけるスカート部と内周部との
間の熱流れが効果的に抑制される。
【0008】また、ピストン冠面を含むピストン上部の
熱膨張は、上記スカート部と内周部との間の間隙で適宜
吸収される。
【0009】上記スカート部は、好ましくは請求項2の
発明のように、上記ピストン上部では全周にわたって環
状に形成される一方、上記ピストン下部ではピストンピ
ン方向の所定範囲が切り欠かれている。
【0010】つまりスカート部は、ピストン上部では全
周にわたってシリンダ壁面との間をシールしており、か
つ、ピストン下部では、主に軽量化及びフリクション低
減の目的で不要部分が切り欠かれている。
【0011】更に好ましくは請求項3の発明のように、
上記スカート部の外周面を、上記ピストン上部からピス
トン下部にわたって略同一周面に設定する。
【0012】これにより、スカート部が全長にわたって
実質的に隙間なくシリンダ壁面に摺接するようになり、
シール性が向上するとともに、ピストンの首振り動作が
抑制され、音振性能が向上する。
【0013】請求項4の発明は、上記ピストン上部に位
置する上記スカート部の外周に、ピストンリングを1つ
だけ嵌合したことを特徴としている。
【0014】言い換えると、ピストン上部とシリンダ壁
面との間に熱膨張を考慮した隙間を設ける必要がないの
で、シール性確保のために複数のピストンリングを設け
る必要がない。
【0015】請求項5の発明は、上記スカート部と上記
内周部との間隙に、この間隙のピストン径方向幅の変化
を吸収する吸収リングを介装したことを特徴としてい
る。
【0016】この構成においては、ピストン上部におけ
る熱膨張を、間隙に介装された吸収リングで吸収する。
【0017】上記吸収リングは、例えば請求項6の発明
のように、ピストン径方向に伸縮するジャバラ部を有し
ている。
【0018】また、吸収リングは、好ましくは請求項7
の発明のように、ピストン径方向にスライド可能な上辺
部を有している。
【0019】つまり、燃焼室内の圧力上昇に応じて、上
辺部がスライド面に強く押しつけられ、自発的にシール
性が向上する構造となっている。
【0020】更に好ましくは請求項8の発明のように、
上記吸収リングは、対向する上記スカート部又は内周部
の周面に対してピストン径方向に傾斜する側辺部を有
し、この側辺部の一端が上記スカート部又は内周部の周
面と接するとともに、上記側辺部の他端側と上記スカー
ト部又は内周部の周面との間に、上記間隙のピストン径
方向幅の変化を吸収する吸収代が形成されている。
【0021】請求項9の発明では、上記吸収リングは、
ピストン径方向に断面略円弧状に湾曲する曲面部を有
し、この曲面部の一端と上記スカート部又は内周部の周
面との間に、上記間隙のピストン径方向幅の変化を吸収
する吸収代が形成されている。
【0022】請求項10の発明では、上記吸収リングが
介装された上記間隙に臨んだ上記スカート部及び内周部
の上隅角部の少なくとも一方に、上記間隙の内方へ向か
って延びる吸収リング脱落防止用の突起部を設けてい
る。
【0023】請求項11の発明では、上記吸収リング
に、ピストン径方向に張り出した突起部を設けるととも
に、上記間隙に臨んだ上記スカート部又は内周部の周面
に、上記突起部が嵌合する凹部を設けている。
【0024】ここで、請求項5〜11の発明に係るピス
トンでは、ピストン上部でのスカート部と内周部とを間
隙を介して互いに分離させるとともに、この間隙に熱膨
張吸収用の吸収リングを介装しているため、ピストン上
部の熱膨張を適宜に吸収しつつ、その熱伝導性を効果的
に抑制する構造となっている。従って、ピストン冠面の
大部分を形成する内周部の昇温性能が向上するととも
に、温度上昇後の平衡温度が高くなり、未燃燃料の霧
化,蒸発が促進され、排気性能の向上を図ることができ
る。
【0025】しかしながら、ピストンの材質にもよる
が、ピストンの最高温度があまり高くなり過ぎると、ピ
ストン自体の耐久性に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0026】そこで、請求項12〜15の発明では、吸
収リング並びにピストン下方の潤滑油を利用して、ピス
トン冠面を形成するピストン上部側の(最高)温度の上
昇を効果的に抑制するようになっている。
【0027】すなわち、請求項12の発明では、上記吸
収リングに、この吸収リング内を周方向に延びるオイル
通路が設けられるとともに、このオイル通路内に潤滑油
を導入,排出するオイル孔を形成している。
【0028】この構成により、吸収リングのオイル通路
内を循環する潤滑油と、吸収リングに接するピストン上
部の内周部及びスカート部の周面との間で、吸収リング
を介して熱交換が行われる。すなわち、オイル通路を循
環する潤滑油によって、ピストン冠面を形成するピスト
ン上部の温度上昇が効果的に抑制される。
【0029】更に好ましくは請求項13の発明のよう
に、上記ピストン上部におけるスカート部又は内周部の
周面に接する吸収リングの側辺部に、上記オイル通路に
連通する補助オイル孔を形成している。
【0030】この場合、オイル通路内を循環する潤滑油
が補助オイル孔を通って直接的にピストン上部における
スカート部又は内周部の周面側へ排出されるため、より
効果的にピストン上部の温度上昇を抑制することができ
る。
【0031】また、請求項14の発明では、上記補助オ
イル孔に対向するスカート部又は内周部の周面に、オイ
ル受容部を凹設している。
【0032】この場合、補助オイル孔から排出される潤
滑油がオイル受容部に溜まり易いことに加え、潤滑油の
伝熱面積が実質的に拡大するため、更に効果的にピスト
ン上部の温度上昇を抑制することができる。
【0033】より好ましくは請求項15の発明のよう
に、上記吸収リングの側辺部に、上記補助オイル孔を形
成する突起部が形成され、この突起部が上記オイル受容
部に嵌合するように構成されている。
【0034】このように突起部とオイル受容部とが嵌合
することによって、吸収リングのピストンからの脱落を
より確実に防止することができる。
【0035】
【発明の効果】本発明によれば、シリンダ壁面に摺接す
るスカート部と内周部とをピストン上部で分離したた
め、このピストン上部における内周部からスカート部へ
の熱流れが効果的に抑制される。この結果、例えばエン
ジン冷間時におけるピストン冠面の昇温特性が向上し、
排気清浄化が促進される。
【0036】また、ピストン上部におけるピストン径方
向の熱膨張(又は収縮)を、スカート部と内周部との間
の間隙で適宜に吸収することができる。従って、ピスト
ン上部でシリンダ壁面との間に熱膨張を考慮した隙間を
設けることなく、熱膨張によるフリクションの増大を抑
制できる。
【0037】また、請求項2の発明のように、スカート
部をピストン下部で部分的に切り欠くことにより、更な
るピストンのコンパクト化,軽量化,及び低フリクショ
ン化を図ることができる。
【0038】更に、請求項3の発明のように、スカート
部をピストン上部まで略同一周面に設定することによっ
て、そのシール性が向上するとともに、ピストンの首振
り動作が抑制され、音振性能が著しく向上する。
【0039】このようにピストン上部におけるシリンダ
壁面とのシール性が向上することから、例えば請求項4
の発明のように、ピストンリングを複数設けることなく
1つだけ設ける構成とすることができ、ピストンリング
によるフリクションの増大を最小限に抑制することが可
能である。
【0040】請求項5の発明によれば、上記間隙に介装
される吸収リングによって、ピストン上部での熱膨張
(又は収縮)を吸収しつつ、上記間隙を適宜にシールす
ることができる。
【0041】更に、請求項7の発明によれば、燃焼室内
の圧力上昇に応じて、上辺部がスライド面に強く押しつ
けられることとなり、そのシール性が向上する。
【0042】また、請求項10,11の発明によれば、
吸収リングの脱落を確実に防止できる。
【0043】そして、請求項12の発明によれば、オイ
ル通路を循環する潤滑油によって、ピストン冠面を形成
するピストン上部の(最高)温度の上昇を効果的に抑制
することができる。すなわち、ピストン上部で内周部と
スカート部とを間隙を介して分離したことによる昇温性
能の向上作用と、上記の潤滑油によるピストン上部の最
高温度の抑制作用とにより、ピストンの理想的な温度制
御を実現できる。
【0044】加えて、請求項13の発明によれば、補助
オイル孔を介して排出される潤滑油によって、直接的に
ピストン上部の温度上昇を抑制することができる。
【0045】更に請求項14の発明によれば、補助オイ
ル孔から排出される潤滑油がオイル受容部に溜まり易い
ことに加え、潤滑油の伝熱面積が実質的に拡大するた
め、更に効果的にピストン上部の温度上昇を抑制するこ
とができる。
【0046】また、請求項15の発明によれば、突起部
とオイル受容部とが嵌合することによって、吸収リング
のピストンからの脱落をより確実に防止することができ
る。
【0047】
【発明の実施の形態】図1〜6は、本発明に係るピスト
ンの一実施形態を示している。このピストンは、シリン
ダ2の内壁面に摺接する薄肉略円筒状のスカート部12
と、このスカート部12の内周側に配置される内周部1
4と、スカート部12と内周部14とを連結するステー
16とにより大略構成されている。これら各部12,1
4,16は、例えば金型を用いて一体に成形される。
【0048】内周部14は、主に軽量化,コンパクト化
の目的で、ピストン冠面18の大部分を形成する冠面部
14aが薄肉円盤状に形成されるとともに、この冠面部
14aの下部に、図外のピストンピンが嵌挿する挿通孔
28を有する一対のピストンピンボス部14bがピスト
ンピン軸方向に適宜間隔を置いて一体形成されている。
また、一対のピストンピンボス部14bの間は大きく切
り欠かれた形状となっている。
【0049】そして本実施形態では、ピストン冠面18
を形成するピストン上部20で、スカート部12と内周
部14とを環状の間隙Dを介して全周にわたって分離し
ている。そして、上記間隙Dに、ピストン径方向に変形
可能な環状の吸収リング30を介装している。なお、吸
収リング30については後で詳細に説明する。
【0050】スカート部12は、ピストン上部20に位
置するスカート上部12aが全周にわたって環状に形成
されている一方、ピストン下部22に位置するスカート
下部12bが、耐磨耗性や強度が特に要求されるスラス
ト,反スラスト方向にのみ部分的に設けられている。つ
まり、スカート下部12bは、必要性の乏しいピストン
ピン軸方向の所定範囲が滑らかに切り欠かれた形状とな
っており、ピストン自体のコンパクト化,軽量化,及び
低フリクション化が図られている。
【0051】スカート上部12aの外周には、ピストン
リング23(図5,図6参照)が嵌合する一本のリング
溝24が周方向に沿って凹設されている。また、スカー
ト上部12aの内周には、吸収リング30を保持する段
差部26が切欠形成されている。
【0052】ここで、スカート部12の外周面は、上記
のリング溝24を除き、そのスカート下部12bからス
カート上部12aにわたって同一円周面に設定されてい
る。つまりスカート部12は、図5,6にも示すよう
に、ピストン軸方向の全長にわたって同一外径のプロフ
ァイルとなっており、全面にわたってシリンダ2壁面に
実質的に隙間なく摺接する。
【0053】ステー16は、ピストンピンボス部14b
の両側面とピストン下部、具体的にはスカート下部12
bの内面とを連結しており、合計4箇所に設けられてい
る。すなわち、これらのステー16を除いて、円筒状の
スカート部12と内周部14との間がピストン全長にわ
たって空洞化されており、更なる軽量化が図られてい
る。
【0054】ところで、内燃機関の運転中、燃焼室4に
臨んだピストン冠面18を含むピストン上部20は、ピ
ストン下部22に比して、温度が高くなり、熱膨張(冷
間時は逆に収縮)の変化量が大きくなる。
【0055】そこで本実施形態では、前述したように、
ピストン上部20で、スカート部12のスカート上部1
2aと内周部14の冠面部14aとを間隙Dを介して分
離している。言い換えると、ピストン上部20でシリン
ダ2壁面との間に熱膨張を吸収する隙間を設ける代わり
に、スカート上部12aと冠面部14aとの間に間隙D
を設定している。
【0056】これにより、ピストン上部20に間隙Dが
形成されているので、ピストン径方向の熱膨張が、間隙
Dに介在する吸収リング30によって適宜に吸収され
る。従って、シリンダ2壁面との間に特に隙間を設けな
くても、シリンダ2壁面との間のフリクションが過度に
増大することはない。
【0057】また、ピストン上部20で冠面部14aか
らスカート上部12aへの熱流れが効果的に抑制され
る。従って、エンジン冷間時におけるピストン冠面18
の昇温特性が向上し、排気清浄化が促進される。
【0058】なお、スカート部12自身も当然のことな
がら熱膨張するが、例えばスカート部12の剛性をシリ
ンダ2よりも十分に小さく設定しておくことで、過度に
フリクションが増大するようなことはなく、所期の特性
を十分得ることができる。
【0059】更に、ピストン上部20でシリンダ2壁面
との間に、従来のランド部に対応する隙間が形成されて
いないので、このような隙間に起因する未燃燃料の滞留
やHCの発生が抑制される。
【0060】また、ピストン上部20で、スカート上部
12aが全周にわたってシリンダ2壁面に摺接するた
め、シリンダ2壁面とのシール性が向上する。言い換え
ると、従来のようにシール性を確保するためにピストン
リングを複数設ける必要がないため、ピストンリングが
嵌合する部位のコンパクト化が図られ、ピストンハイト
の短縮化が得られる。
【0061】しかも、スカート部が薄肉略円筒状に形成
されるとともに、このスカート部をピストン下部で内周
部と連結する構造としたため、ピストン自体が更にコン
パクト化,軽量化する。
【0062】ところで、冠面部14aがピストン上部2
0側の重量を相対的に重くする関係で、ピストン重心G
は、図3に示すように、ピストンピン挿通孔28よりも
上方に位置する。このため、ピストン上部20でシリン
ダ2壁面との間にある程度の隙間が存在すると、ピスト
ン自体がピストンピン周りに首振り揺動し易くなり、そ
の姿勢が不安定になるとともに、音振性能の劣化を招く
虞がある。これに対し、本実施形態では、スカート部1
2がピストン冠面18まで略同一径のプロファイルとな
っており、ピストン上部20で特に隙間を特に設けてい
ないので、ピストンの姿勢が安定するとともに、音振性
能が向上する。
【0063】以下、上記吸収リング30及びその取付構
造の具体的な実施例について詳述する。
【0064】図7は、第1実施例の吸収リング30Aを
示している。この吸収リング30Aは、バネ定数の小さ
い薄板状の金属材を閉断面状に折曲した簡素な構造とな
っており、スカート部12におけるスカート上部12a
の段差部26と内周部14における冠面部14aの外周
面との間隙Dに全周にわたって圧入されるように環状に
形成されている。詳述すると、吸収リング30Aは、冠
面部14aの外周面に密接する内側辺部32と、スカー
ト上部12aの内周面に密接する外側辺部34と、径方
向に収縮可能なジャバラ状に折曲形成され、上記段差部
26の底面に載置される下辺部(ジャバラ部)36と、
スカート上部12a及び冠面部14aの上面と略同一平
面上に設定されて、ピストン冠面18の一部を構成する
上辺部38と、を有している。
【0065】そして、内側辺部32と冠面部14aの外
周面との密接部分,及び外側辺部34とスカート上部1
2aの内周面との密接部分で間隙Dがシールされてお
り、燃焼室4内の圧力や燃料がピストン下方のクランク
ケース側へ漏れることが抑制されているとともに、ピス
トン下方のクランクケース側から燃焼室4側へ潤滑油が
漏れることが抑制されている。
【0066】上辺部38は、内側辺部32の上端から折
曲する内周側上辺部38aと、外側辺部34の上端から
折曲する外周側上辺部38bとを、重合部S1で互いに
重ね合わせて構成されている。
【0067】ここで、上側に位置する内周側上辺部38
aを、下側に位置する外周側上辺部38bよりも長尺に
形成している。言い換えると、重合部S1を径方向で外
周側にオフセットしている。
【0068】以上のような構成により、例えば冠面部1
4aが径方向に熱膨張すると、吸収リング30の径方向
変形を伴って、上記間隙Dの径方向幅が縮小し、この熱
膨張を吸収する。具体的には、ジャバラ状の下辺部36
が径方向に収縮するとともに、内周側上辺部38aが外
周側上辺部38bの上面をピストン径方向外方へスライ
ドする。
【0069】ここで、燃焼室4内の圧力が上昇すると、
その荷重は、相対的に長尺となった内周側上辺部38a
に大きく作用するが、この長尺な内周側上辺部38a
は、これよりも短く形成された外周側上辺部38bの上
側に位置しているので、荷重が作用する方向に変形する
ことなく、重合部S1でスライド面としての外周側上辺
部38bに強く押しつけられる。すなわち、燃焼室4内
の圧力上昇を利用して、重合部S1のシール性を効果的
に高める構造となっている。そして、段差部26は、燃
焼室4内の圧力上昇に抗して、吸収リング30を保持す
る。
【0070】なお、この実施例とは逆に、外周側上辺部
38bを内周側上辺部38aの上側に重ね合わせる場合
には、外周側上辺部38bを相対的に長くし、その重合
部S1を内周側へオフセットさせれば良い。
【0071】図8は第2実施例に係る吸収リング30B
を示している。この吸収リング30Bは、上記第1実施
例と同様、バネ定数の小さい薄板状の金属材を略閉断面
状に折曲した簡素な構造となっており、スカート部12
の段差部26と冠面部14aの外周面との間隙Dに圧入
されている。
【0072】ここで、吸収リング30Bの内側辺部42
は、対向する冠面部14aの外周面に対してピストン径
方向に傾斜しており、その上端で冠面部14aの外周面
に密接している。つまり、内側辺部42の下端側と冠面
部14aの外周面との間には、間隙Dのピストン径方向
幅の変化を吸収する適宜な吸収代50が形成されてい
る。
【0073】同様に、吸収リング30Bの外側辺部44
は、対向する段差部26の内周面に対してピストン径方
向に傾斜しており、その上端で段差部26の内周面に密
接している。つまり、外側辺部44の下端側と段差部2
6の内周面との間には、間隙Dのピストン径方向幅の変
化を吸収する適宜な吸収代50が形成されている。
【0074】このため、吸収リング30Bの下辺部46
は、上記一対の吸収代50の分だけ間隙Dの径方向幅よ
りも短く形成されている。
【0075】そして、内側辺部42と冠面部14aの外
周面との密接部分S2と、外側辺部44と段差部26の
内周面との密接部分S2との2箇所で間隙Dがシールさ
れており、燃焼室4内の圧力や燃料がピストン下方のク
ランクケース側へ漏れることが抑制されているととも
に、クランクケース側から燃焼室4側へ潤滑油が漏れる
ことが抑制されている。
【0076】また、吸収リング30Bの上辺部48は、
スカート上部12aや冠面部14aの上面と略同一面上
に設定され、ピストン冠面18の一部を形成している。
この上辺部48の先端部は、スカート上部12aの上面
にスライド可能に摺接している。
【0077】上記の構成により、例えばピストン上部2
0が熱膨張すると、吸収リング30Bの径方向変形を伴
って、上記間隙Dの径方向幅が短くなる。具体的には、
上辺部48の先端部がスカート上部12aの上面を径方
向外方へスライドするとともに、内側辺部42や外側辺
部44が対向する冠面部14aの外周面や段差部26の
内周面に押圧されて、その傾斜角度θが小さくなるよう
に回動変位し、これに伴って吸収代50が小さくなる。
【0078】また、この実施例では、燃焼室4内の圧力
上昇に伴って、上辺部48の先端部がスライド面として
のスカート上部12aの上面に強く押しつけられ、この
摺接部分S3のシール性を自発的に高める構造となって
いる。
【0079】なお、この実施例の構造を左右逆にして、
上辺部48の先端が冠面部14aの上面に摺接する構造
としても良い。
【0080】図9は第3実施例に係る吸収リング30C
を示している。この吸収リング30Cは、バネ定数の小
さい薄板状の金属材を、ピストン下方に向かって開放す
る断面略コ字状に折曲した簡素な構造となっており、ス
カート部12の段差部26と冠面部14aの外周面との
間隙Dに圧入されている。
【0081】この吸収リング30Cの内側辺部52は、
対向する冠面部14aの外周面に対してピストン径方向
に傾斜しており、その下端で冠面部14aの外周面に密
接している。つまり、内側辺部52の上端側と冠面部1
4aの外周面との間には、間隙Dのピストン径方向幅の
変化を吸収する適宜な吸収代58が形成されている。
【0082】同様に、吸収リング30Cの外側辺部54
は、対向する段差部26の内周面に対してピストン径方
向に傾斜しており、その下端で段差部26の内周面に密
接している。つまり、外側辺部54の上端側と段差部2
6の内周面との間には、間隙Dのピストン径方向幅の変
化を吸収する適宜な吸収代58が形成されている。
【0083】そして、内側辺部52と冠面部14aの外
周面との密接部分S4と、外側辺部54と段差部26の
内周面との密接部分S4との2箇所で間隙Dがシールさ
れており、燃焼室4内の圧力や燃料がピストン下方のク
ランクケース側へ漏れることが抑制されているととも
に、クランクケース側から燃焼室4側へ潤滑油が漏れる
ことが抑制されている。
【0084】一方、吸収リング30Cの上辺部56は、
スカート上部12aや冠面部14aの上面と略同一面上
に設定され、ピストン冠面18の一部を形成している。
また、この上辺部56は、上記一対の吸収代58の分だ
け間隙Dの径方向幅よりも短く形成されている。
【0085】上記の構成により、例えばピストン上部2
0が熱膨張すると、吸収リング30Cの径方向変形を伴
って、上記間隙Dの径方向幅が短くなる。具体的には、
内側辺部52や外側辺部54が対向する冠面部14aの
外周面や段差部26の内周面に押圧されて、その傾斜角
度θが小さくなるように回動変位し、これに伴って吸収
代58が小さくなる。
【0086】図10に示す第4実施例では、上記第3実
施例の吸収リング30Cを間隙Dに圧入した後、間隙D
に臨んだスカート上部12aの上隅角部並びに冠面部1
4aの上隅角部に、間隙Dの内方へ向かって突出する突
出部60,60を圧延により形成している。各突出部6
0は、吸収代58の熱膨張吸収機能を損なわない範囲
で、この吸収代58の一部を埋めるように、ピストン冠
面18に沿って断面略三角形状に張り出している。
【0087】このような第4実施例によれば、第3実施
例と同様の効果が得られることに加え、燃焼室4から吸
収代58へ侵入する燃焼生成物の堆積を低減できるとと
もに、吸収リング30Cの脱落を突出部60によって確
実に防止することができる。
【0088】図11に示す第5実施例の吸収リング30
Dは、第3実施例の吸収リング30Cの上辺部56の上
面に、ピストン冠面18の一部を構成するシール板62
を一体に接合した構造となっている。このシール板62
は、ピストン下方に向かって凸状となるように断面略円
弧状に湾曲した状態で、その径方向両端部が段差部26
の上方並びに冠面部14aの上方に乗り上げており、そ
の下面側で間隙Dに臨んだ冠面部14aの上隅角部並び
にスカート上部12aの上隅角部に摺接している。つま
りシール板62は、これら摺接部分S5で摺動しつつ、
径方向にスライド可能に構成されている。
【0089】このような第5実施例によれば、上記第3
実施例の効果が得られることに加え、シール板62が図
の矢印a方向(ピストン下方向)に復元しようとする剛
性によって、上記摺接部分S5の密着性が強まり、更な
るシール性の向上を図ることができる。
【0090】図12に示す第6実施例の吸収リング30
Eは、第5実施例の吸収リング30Dに対し、その内側
辺部52及び外側辺部54の下端部にそれぞれ外方へ張
り出した突出部64が折曲形成されている。また、間隙
Dに臨んだ冠面部14aの外周面並びに段差部26の内
周面に、上記突出部64が嵌合する凹部66が凹設され
ている。
【0091】このように突出部64が凹部66に嵌合す
ることによって、吸収リング30Eの脱落を確実に防止
できる。また、凹部66のピストン冠面18からの深さ
F1を適宜に設定することによって、シール板62に最
適な矢印a方向の復元力を与えることができる。
【0092】図13は第7実施例に係る吸収リング30
Fを示している。この吸収リング30Fは、バネ定数の
小さい薄板状の金属材を適宜に折曲した簡素な構造とな
っている。すなわち吸収リング30Fは、ピストン径方
向外方に向かって解放する断面略円弧状の曲面部68
と、この曲面部68の上端から折曲し、その先端が冠面
部14aの上方へ乗り上げた上辺部70とを備えてい
る。
【0093】なお、曲面部68と上辺部70との折曲部
と段差部26の内周面との摺接部分S6,曲面部68の
頂部と冠面部14aの外周面との摺接部分S7,並びに
上辺部70の下面と冠面部14aの上隅角部との摺接部
分S8等により、間隙Dのシールが行われている。
【0094】ここで、曲面部68の下端は段差部26の
底面に摺接しており、この曲面部68の下端と段差部2
6の内周面との間には、間隙Dのピストン径方向幅の変
化を吸収する適宜な吸収代72が設定されている。
【0095】このような構成により、例えばピストン上
部20の熱膨張の際には、摺接部分S7を支点として曲
面部68の曲率Rが変化するように吸収リング30Fが
適宜に変形して、上記間隙Dの径方向幅の縮小分を吸収
する。なお、吸収代72が無くなるまで吸収リング30
Fは容易に変形できる。これに伴って、摺接部分S6が
上下方向にスライドし、かつ、上辺部70は摺接部分S
8で摺動しつつピストン径方向にスライドする。
【0096】なお、図13に示す吸収リング30Fを左
右逆にした構造とすることもできる。
【0097】図14に示す第8実施例では、その吸収リ
ング30Gが、第7実施例の吸収リング30Fに対し、
曲面部68の頂部に、更にピストン内径方向へ突出する
小径な断面円弧状の突出部74が形成されている。ま
た、冠面部14aの外周面には、断面円弧状の凹部76
が凹設されており、この凹部76に突出部74が嵌合す
るようになっている。
【0098】この第8実施例によれば、突出部74が凹
部76に嵌合しているため、吸収リング30Gの脱落を
確実に防止できる。また、凹部76のピストン冠面18
からの深さF2を適宜に設定することによって、上辺部
70に最適な符号a方向の復元力を与えることができ
る。
【0099】なお、図14に示す吸収リング30Gを左
右逆にした構造とすることもできる。
【0100】次に、図8に示す第2実施例を例にとっ
て、本ピストンの熱流れについて詳述する。このピスト
ンでは、上述したように、ピストン上部20において、
内周部14のピストン冠面部14aとスカート上部12
aとを間隙Dを介して互いに分離させるとともに、この
間隙Dに熱膨張吸収用の吸収リング30Bを介装してい
るため、ピストン上部20の熱膨張を適宜に吸収しつ
つ、その熱伝導性を効果的に抑制する構造となってい
る。従って、ピストン冠面18の大部分を形成する冠面
部14aの昇温性能が特に向上するとともに、温度上昇
後の平衡温度が高くなり、未燃燃料の霧化,蒸発が促進
され、排気性能の向上を図ることができる。
【0101】しかしながら、ピストンの材質にもよる
が、ピストンの最高温度があまり高くなり過ぎると、ピ
ストン自体の耐久性に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0102】そこで、以下の実施例では、吸収リング3
0並びにピストン下方の潤滑油を利用して、ピストン冠
面18を形成するピストン上部20の(最高)温度の上
昇を効果的に抑制するようにしている。上記潤滑油は、
例えばクランクケース内側に取り付けられた図外のピス
トンオイルジェットから噴射されるように構成されてい
る。
【0103】なお、以下に示す実施例において、図8に
示す第2実施例等と同一部分には同じ参照符号を付して
重複する説明を適宜省略している。
【0104】図15,16は、本発明の第9実施例を示
している。吸収リング30Hは、断面略中空状の環状に
形成されており、その内部には周方向に延びるオイル通
路80が画成されている。そして、シリンダ2下方に臨
んだ吸収リング30Hの下辺部46には、上記オイル通
路80に連通するオイル孔78が直径方向に対向する2
箇所に形成されている。これらオイル孔78は、その一
方が主に潤滑油をオイル通路80へ導入するオイル導入
口として機能し、他方が主にオイル通路80内の潤滑油
を下方へ排出するオイル排出口として機能する。
【0105】上記の構成により、ピストンオイルジェッ
トによりピストン上部20へ噴射された潤滑油は、オイ
ル孔78を介してオイル通路80に導入され、このオイ
ル通路80内を周方向に循環した後、オイル孔78から
排出される。このとき、オイル通路80内を循環する潤
滑油と、冠面部14a並びにスカート上部12aとの間
で、これらに密接部分S2で接する吸収リング30Hを
経由して、熱交換がなされる。すなわち、オイル通路8
0内を循環する潤滑油(及びその循環量)によって、冠
面部14a並びにスカート上部12aの温度上昇を効果
的に抑制することができる。
【0106】図17,18は、本発明の第10実施例を
示している。この実施例の吸収リング30Iは、基本的
には図15,16に示す吸収リング30Hと同じ構成と
なっているが、冠面部14aに接する内側辺部42に、
オイル通路80に連通する複数の補助オイル孔82を周
方向に適宜間隔を置いて形成してある。
【0107】上記の構成により、ピストン上部20へ噴
射された潤滑油は、オイル孔78を介してオイル通路8
0内へ導入され、このオイル通路80内を周方向に循環
し、オイル孔78から排出されるとともに、補助オイル
孔82からも適宜に排出される。このとき、補助オイル
孔82から漏れた潤滑油と、冠面部14aとの間で、直
接的に熱交換がなされるため、より効果的に冠面部14
aの温度上昇を抑制することができる。
【0108】図19は本発明の第11実施例を示してい
る。ここでは、上記吸収リング30Iの内側辺部42に
密接する冠面部14aの外周面に、上記補助オイル孔8
2に対向するオイル受容部84が凹設されている。この
オイル受容部84は、例えば断面半円弧状で全周にわた
って延びる溝状に形成され、あるいは半球状に凹んだ形
状で補助オイル孔82に対向する位置に複数設けられて
いる。このようなオイル受容部84は、例えば鋳抜き、
あるいは機械加工によって形成される。
【0109】この場合、オイル通路80から補助オイル
孔82を介して排出された潤滑油がオイル受容部84に
溜まりやすくなり、かつ、潤滑油の伝熱面積が実質的に
拡大する形となるため、より効果的に冠面部14aの温
度低下を図ることができる。
【0110】図20,21は本発明の第12実施例を示
している。この吸収リング30Jは、各補助オイル孔8
2を形成する筒状の突起部86が、内側辺部42から内
周側へ張り出し形成されており、各突起部86はオイル
受容部84に嵌合されるようになっている。
【0111】このように、突起部86がオイル受容部8
4に嵌合しているため、吸収リング30をより安定して
内周部14へ組み付けることができ、エンジン運転中に
発生するピストン上下方向の慣性力等によって吸収リン
グ30がピストンから脱離することを確実に防止するこ
とができる。
【0112】図22は本発明の第13実施例を示してい
る。ここでは、上記第12実施例に示す内周部14側の
オイル受容部84と突起部86との嵌合構造を、スカー
ト部12側にも適用している。
【0113】すなわち、この吸収リング30Kの外側辺
部44には、内部に補助オイル孔88を有する筒状の突
起部90が周方向に間欠的に複数設けられている。一
方、スカート上部12aに形成された段差部26の内周
面には、上記突起部90が嵌合するオイル受容部92が
形成されている。オイル受容部92は、例えば半球状に
凹設され、突起部90に対応して複数設けられている。
すなわち、これらオイル受容部92や突起部90が、上
述した内周部14側のオイル受容部84や突起部86と
同様の機能を備え、スカート上部12a側の温度上昇を
効果的に抑制しつつ、吸収リング30のピストンからの
脱離を更に確実に阻止するようになっている。
【0114】図23,24は本発明の第14実施例を示
している。ここでは、冠面部14aの外周面に形成され
るオイル受容部84が、断面半円弧状で全周に延在する
溝状をなしている。そして、吸収リング30Lの内側辺
部42に形成される突起部94が、内周側へ突出する上
辺部94aと下辺部94bとにより構成され、これら上
辺部94aと下辺部94bとの間に補助オイル孔96が
開口形成された構造となっており、周方向に適宜間隔を
置いて複数設けられている。そして、上辺部94a及び
下辺部94bがそれぞれオイル受容部84に嵌合するよ
うになっている。なお、この突起部94は、例えばプレ
ス機を用いた打ち抜き加工により容易に形成できる。
【0115】このように、突起部94を構成する上辺部
94a及び下辺部94bがオイル受容部84に嵌合する
ことによって、吸収リング30Lのピストンからの脱離
を確実に防止できることに加え、突起部94の周方向長
さLを適宜に調整することにより、冠面部14aの放熱
特性を容易に調整することが可能となる。例えば、周方
向長さLを長くすると、補助オイル孔96の面積が大き
くなり、冠面部14aの冷却効果が向上する。また、ピ
ストン冠面18の温度分布に応じて、各突起部94の周
方向長さLを調整することにより、ピストン冠面18の
温度分布の平均化を図ることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るピストンの上面図。
【図2】図1のピストンの下面図。
【図3】図1のピストンの正面図。
【図4】図1のピストンを図3と90度異なる方向から
見た正面図。
【図5】図1のA−A線に沿う断面図。
【図6】図1のB−B線に沿う断面図。
【図7】本発明の第1実施例を示す要部拡大断面図。
【図8】本発明の第2実施例を示す要部拡大断面図。
【図9】本発明の第3実施例を示す要部拡大断面図。
【図10】本発明の第4実施例を示す要部拡大断面図。
【図11】本発明の第5実施例を示す要部拡大断面図。
【図12】本発明の第6実施例を示す要部拡大断面図。
【図13】本発明の第7実施例を示す要部拡大断面図。
【図14】本発明の第8実施例を示す要部拡大断面図。
【図15】本発明の第9実施例を示す要部拡大断面図。
【図16】図15の吸収リングを単体で示す斜視図。
【図17】本発明の第10実施例を示す要部拡大断面
図。
【図18】図17の吸収リングを単体で示す斜視図。
【図19】本発明の第11実施例を示す要部拡大断面
図。
【図20】本発明の第12実施例を示す要部拡大断面
図。
【図21】図20の吸収リングを単体で示す斜視図。
【図22】本発明の第13実施例を示す要部拡大断面
図。
【図23】本発明の第14実施例を示す要部拡大断面
図。
【図24】図23の吸収リングを単体で示す斜視図。
【符号の説明】
12…スカート部 14…内周部 18…ピストン冠面 20…ピストン上部 22…ピストン下部 30…吸収リング

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シリンダ壁面に摺接するスカート部と、
    ピストン冠面及びピストンピンボス部を含む内周部とを
    有し、ピストン下部で上記スカート部と上記内周部とを
    連結するとともに、ピストン上部で上記スカート部と上
    記内周部とを間隙を介して分離したことを特徴とする内
    燃機関のピストン。
  2. 【請求項2】 上記スカート部は、上記ピストン上部で
    は全周にわたって環状に形成される一方、上記ピストン
    下部ではピストンピン方向の所定範囲が切り欠かれてい
    ることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関のピスト
    ン。
  3. 【請求項3】 上記スカート部の外周面を、上記ピスト
    ン上部からピストン下部にわたって略同一周面に設定し
    たことを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関の
    ピストン。
  4. 【請求項4】 上記ピストン上部に位置する上記スカー
    ト部の外周に、ピストンリングを1つだけ嵌合したこと
    を特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の内燃機関
    のピストン。
  5. 【請求項5】 上記スカート部と上記内周部との間隙
    に、この間隙のピストン径方向幅の変化を吸収する吸収
    リングを介装したことを特徴とする請求項1〜4のいず
    れかに記載の内燃機関のピストン。
  6. 【請求項6】 上記吸収リングは、ピストン径方向に伸
    縮するジャバラ部を有することを特徴とする請求項5に
    記載の内燃機関のピストン。
  7. 【請求項7】 上記吸収リングは、ピストン径方向にス
    ライド可能な上辺部を有することを特徴とする請求項5
    又は6に記載の内燃機関のピストン。
  8. 【請求項8】 上記吸収リングは、対向する上記スカー
    ト部又は内周部の周面に対してピストン径方向に傾斜す
    る側辺部を有し、 この側辺部の一端が上記スカート部又は内周部の周面と
    接するとともに、上記側辺部の他端側と上記スカート部
    又は内周部の周面との間に、上記間隙のピストン径方向
    幅の変化を吸収する吸収代が形成されていることを特徴
    とする請求項5〜7のいずれかに記載の内燃機関のピス
    トン。
  9. 【請求項9】 上記吸収リングは、ピストン径方向に断
    面略円弧状に湾曲する曲面部を有し、 この曲面部の一端と上記スカート部又は内周部の周面と
    の間に、上記間隙のピストン径方向幅の変化を吸収する
    吸収代が形成されていることを特徴とする請求項5又は
    7に記載の内燃機関のピストン。
  10. 【請求項10】 上記吸収リングが介装された上記間隙
    に臨んだ上記スカート部及び内周部の上隅角部の少なく
    とも一方に、上記間隙の内方へ向かって延びる吸収リン
    グ脱落防止用の突起部を設けたことを特徴とする請求項
    5に記載の内燃機関のピストン。
  11. 【請求項11】 上記吸収リングに、ピストン径方向に
    張り出した突起部を設けるとともに、上記間隙に臨んだ
    上記スカート部又は内周部の周面に、上記突起部が嵌合
    する凹部を設けたことを特徴とする請求項5に記載の内
    燃機関のピストン。
  12. 【請求項12】 上記吸収リングに、この吸収リング内
    を周方向に延びるオイル通路が設けられるとともに、こ
    のオイル通路内に潤滑油を導入,排出するオイル孔を形
    成したことを特徴とする請求項5〜11のいずれかに記
    載の内燃機関のピストン。
  13. 【請求項13】 上記ピストン上部におけるスカート部
    又は内周部の周面に接する吸収リングの側辺部に、上記
    オイル通路に連通する補助オイル孔を形成したことを特
    徴とする請求項12に記載の内燃機関のピストン。
  14. 【請求項14】 上記補助オイル孔に対向するスカート
    部又は内周部の周面に、オイル受容部を凹設したことを
    特徴とする請求項13に記載の内燃機関のピストン。
  15. 【請求項15】 上記吸収リングの側辺部に、上記補助
    オイル孔を形成する突起部が形成され、この突起部が上
    記オイル受容部に嵌合するように構成されていることを
    特徴とする請求項13に記載の内燃機関のピストン。
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