JP2000003693A - 電子管及び光電子増倍管 - Google Patents
電子管及び光電子増倍管Info
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- H01J43/04—Electron multipliers
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- Common Detailed Techniques For Electron Tubes Or Discharge Tubes (AREA)
Abstract
る電子管において、光電陰極の感度の劣化を防止し、長
時間の使用に対して安定した出力が可能な電子管を提供
する。 【解決手段】 光電陰極20と、第1段ダイノード24
aとの間に、イオン閉じ込め電極22及びイオントラッ
プ電極23が配設されている。これらの電極の電位は、
イオン閉じ込め電極22の電位が、第1段ダイノード2
4aの電位よりも高く、イオントラップ電極23の電位
が、光電陰極20の電位よりも高いかもしくは等しく、
かつ、第1段ダイノード24aの電位よりも低く設定さ
れている。これによって、第1段ダイノード24a付近
に発生する正イオンの光電陰極20へのイオンフィード
バックを効果的に抑制することができ、その結果、光電
陰極20の感度の劣化は防止されて、長時間の使用に対
して安定した出力が可能となる。
Description
変換して電子を放出する光電陰極と、二次電子放出によ
り入射電子流を増倍する電子増倍部とを備える電子管に
関し、例えば複数段に積層されたダイノードからなる電
子増倍部を有する光電子増倍管に適用される。
ギー物理、及び核医学などの分野における各種測定に広
く使用されている。
図及び断面図を示す。この光電子増倍管は、入射光を受
ける円形の受光面板11と、受光面板11の内部下面に
形成され、その電位は0Vに保持されている光電陰極2
0と、光電陰極20に対して正電位であり光電陰極20
より放出された電子が入射される第1段ダイノード24
aを含む複数段ダイノードによる電子増倍部24を持
つ。電子増倍部24の各段のダイノード25には多数の
電子増倍孔がマトリクス状に配列・形成されており、ま
た、これら積層したダイノード25の下部には、アノー
ド電極26及び最終段ダイノード27が順に配設されて
いる。光電陰極20と電子増倍部24との間には、電子
収束部21aを有する収束電極21が配設されており、
光電陰極20と同電位に保持されている。これによっ
て、光電陰極20から放出された光電子は第1段ダイノ
ード24aに向かって加速され、電子収束部21aによ
って軌道を収束された後、第1段ダイノード24aの所
定の領域内に入射する。
光電子増倍管において、長時間の使用とともに光電陰極
の感度が劣化し、その結果、入射光に対する光電子増倍
管の出力が低下するという問題が生じている。このよう
な問題は、特にGaAsなどの半導体光電陰極を用いた
光電子増倍管において顕著に現れる。
る電子管において、光電陰極の劣化を防止し、長時間の
使用に対して安定した出力が可能な電子管を提供するこ
とを目的とする。
るために、発明者は上記光電陰極の劣化の原因について
検討した結果、電子増倍部のうちもっとも光電陰極に近
い電子入射部付近において正イオンが発生し、当該正イ
オンが発生場所の電界によって光電陰極に向かって加速
されて、光電陰極に衝突するイオンフィードバックを起
こし、その結果光電陰極を劣化させていることを見出し
た。
管は、入射した光を光電変換して電子を放出する光電陰
極と、二次電子放出により入射電子流を増倍する電子増
倍部とを備え、電子増倍部は、電子増倍部を構成する各
部のうち光電陰極にもっとも近く位置して光電陰極より
放出された電子が入射される電子入射部を含み、電子入
射部の電位が、光電陰極の電位よりも高く設定された電
子管において、光電陰極と電子増倍部との間に、電子増
倍部において発生する正イオンを閉じ込めるためのイオ
ン閉じ込め電極と、イオン閉じ込め電極によって閉じ込
められた正イオンを捉えるためのイオントラップ電極と
を順次備え、イオン閉じ込め電極の電位が、電子入射部
の電位よりも高く、イオントラップ電極の電位が、光電
陰極の電位よりも高いかまたは等しく、かつ、イオント
ラップ電極の電位が、電子入射部の電位よりも低く設定
されたことを特徴とする。
請求項1記載の電子管において、電子入射部である第1
段ダイノードを含む複数段ダイノードからなる電子増倍
部と、増倍された二次電子流を取り出すアノード電極と
を備え、イオン閉じ込め電極の電位が、第1段ダイノー
ドの電位よりも高く、イオントラップ電極の電位が、第
1段ダイノードの電位よりも低く設定されたことを特徴
とする。
射した光は光電陰極によって光電子に変換され、光電陰
極に対して正電位であるイオン閉じ込め電極に向かって
加速され、イオン閉じ込め電極及びイオントラップ電極
の開口部を通過した後に、電子増倍部の電子入射部に到
達する。このとき電子入射部付近において正イオンが発
生する。
た正イオンは光電陰極に向かって加速されるが、電子入
射部に対してイオン閉じ込め電極は正電位であるため、
正イオンはイオン閉じ込め電極の開口部を通過して光電
陰極に到達することができない。最終的に正イオンは、
イオン閉じ込め電極及び電子入射部のいずれよりも低い
電位に設定されているイオントラップ電極に、また一部
は電子入射部自身に捉えられ、それによって光電陰極の
劣化が防止される。
光電陰極から電子増倍部への光電子の収束を損なうこと
のない範囲において、正イオンの発生場所である電子入
射部よりも高い電位に設定することによって、光電子の
収集効率を低下させることなくイオンフィードバックと
それによる光電陰極の劣化を効果的に抑制することがで
きる。
光電子増倍管の好適な実施形態について説明する。図面
の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複す
る説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明のも
のと必ずしも一致していない。なおここでは、電極間の
電位の高低は、電位の絶対値にはよらず電極間の電位差
の正負によって定義し、例えば電極Aが電極Bに対して
正電位にあるときに電極Aの電位は電極Bの電位よりも
高いとする。
における実施形態の断面図を示す。この光電子増倍管
は、真空容器10の内部に複数段ダイノードからなる電
子増倍部24を配設して構成され、真空容器10は、入
射光を受ける円形の受光面板11と、この受光面板11
の外周部に配設される円筒形の金属側管12と、基台部
を構成する円形のステム13とから形成されている。
らなる半導体光電陰極20が形成されており、電位0V
に保持されている。形成されたGaAsからなる光電陰
極20の組立時における熱的損傷を防ぐために、受光面
板11及び金属側管12はインジウムシール14による
コールドシールによって接合され、その外側は保持リン
グ14aによって保持されている。
表面の所定の部位に二次電子放出面が形成されたメタル
チャンネル型のダイノード25を7段に積層して構成さ
れている。各段のダイノード25には多数の電子増倍孔
が形成されており、それらの電子増倍孔はスリット状に
配列されている。また、これら積層したダイノード25
の下部には、アノード電極26及び最終段ダイノード2
7が順に配設されている。
の間には、多数の開口がスリット状に配列・形成されて
いる電子収束部21aを有する収束電極21が配設され
ている。この収束電極21は光電陰極20と同電位に保
持されており、それによって光電陰極20から放出され
た光電子は、電子収束部21aの影響によって軌道を収
束され、第1段ダイノード24aの所定の領域内に入射
される。
21と第1段ダイノード24aとの間に、イオン閉じ込
め電極22及びイオントラップ電極23が配設されてい
る。
22及びイオントラップ電極23の開口構造に関して一
部破断して示した斜視図である。イオン閉じ込め電極2
2及びイオントラップ電極23においても、電子収束部
21aを構成している収束電極21のスリット状の開口
に対応して、多数の開口がスリット状に配列・形成され
ている。なお、図2には接触端子や電極を積層・保持す
るための構造など、開口部以外の構造は省略されてい
る。
端子と接続して収束電極21、各ダイノード25、2
7、イオン閉じ込め電極22及びイオントラップ電極2
3などに所定の電圧を与えるピン17が貫通されてお
り、各ピン17は、テーパー状のハーメチックガラス1
8によってステム13に対して固定されている。
22、イオントラップ電極23、第1段ダイノード24
a及び第2段ダイノード24bに設定される電位を示
す。収束電極21の電位は光電陰極20と同電位の0V
であり、第1段ダイノード24a及び第2段ダイノード
24bにはそれぞれ94.1V及び188.2Vが印加
される。それに対して、イオントラップ電極23の電位
は光電陰極20と同電位の0Vとし、イオン閉じ込め電
極22には第1段ダイノードよりも高い188.2Vが
印加される。イオン閉じ込め電極22の電位について
は、本実施形態においては第2段ダイノード24bと等
しくすることによって、ピン17の数を増やすことなく
必要な電位を与えることができる。
きの、電子増倍部24において発生する正イオンの軌道
の計算例が、図3に示されている。イオンフィードバッ
クをおこす正イオンの発生機構については、第1段ダイ
ノードに入射する光電子によって第1段ダイノードの二
次電子放出面に吸着しているガス分子が放出され、その
ガス分子に光電子または二次電子が衝突することによっ
て正イオン化するものと推測される。
ド24a付近(図3における領域A)で発生した正イオ
ンは、イオン閉じ込め電極22によって電位的におさえ
られ、最終的にイオントラップ電極23に、また一部は
第1段ダイノード24a自身に吸収され、それによって
正イオンは光電陰極に到達することができない。
ダイノード付近の方が正イオンの発生数が多いと考えら
れる。図3に第2段ダイノード24b付近(図3におけ
る領域B)で発生した正イオンの軌道の計算例が示され
ているが、それらの正イオンは前段のダイノード、した
がってこの場合には第1段ダイノード24a、もしくは
第2段ダイノード24b自身に吸収される。このため、
第2段以降のダイノード付近において発生する正イオン
は、従来の光電子増倍管においてもイオンフィードバッ
クとそれによる光電陰極の劣化には寄与しないと推測さ
れ、したがってイオン閉じ込め電極22の電位について
は、第1段ダイノード24aの電位よりも高く設定する
という条件によって十分なイオンフォードバックの抑制
効果を得ることができる。
する実施例による光電子増倍管の相対出力の経時変化特
性を、イオン閉じ込め電極及びイオントラップ電極を持
たない従来のGaAs半導体光電陰極を有する光電子増
倍管と比較して図4に示す。従来型のものが100時間
後に55%まで出力が低下しているのに対し、本発明に
よる改良型のものは100時間後においても98%と光
電陰極の劣化による出力の低下は見られず、長時間の使
用に対して非常に安定した性能が実現されている。
はなく、種々の形態の電子管及び光電子増倍管に対して
適用が可能である。
ードにスリット状に配列・形成された複数の電子増倍孔
を有するメタルチャンネル型のダイノードを用いている
が、マトリクス状に配列・形成された複数の電子増倍孔
を有するメタルチャンネル型のダイノードを用いても良
い。この場合、収束電極、イオン閉じ込め電極及びイオ
ントラップ電極の開口構造もダイノードに対応したマト
リクス状の開口とすることができる。さらに、各段のダ
イノードに複数の電子増倍孔を持たないダイノード、ま
た例えばセラミック表面の所定の部位に二次電子放出面
が形成されたダイノードなどメタルチャンネル型以外の
ダイノードに対しても同様な作用効果が得られる。
れているが、例えばマイクロチャンネルプレートを用い
た光電子増倍管もしくはイメージ管など、収束電極を用
いていない場合においても、同様の作用効果が得られ
る。マイクロチャンネルプレートは、内壁を二次電子放
出面とした微細なガラスパイプの集合体からなり、パイ
プに沿って内壁への電子の衝突と二次電子の放出が多数
回繰り返されることによって入射電子を増倍するダイノ
ードであり、光電陰極に対して正電位であるマイクロチ
ャンネルプレートの電子入射面を電子増倍部の電子入射
部として、本発明を適用することができる。なお、イメ
ージ管とは、入射した光学像が光電面において光電変換
によって光電子像に変換され、光電子像は電子レンズ系
で加速・結像され、電子増倍部で増倍された後、蛍光面
に入射して光学像として再生される電子管である。
したように、次のような効果を得る。
に、イオン閉じ込め電極と、イオントラップ電極とを順
次配設し、イオン閉じ込め電極の電位が、電子入射部の
電位よりも高く、イオントラップ電極の電位が、光電陰
極の電位よりも高いかまたは等しく、かつ、電子入射部
の電位よりも低く設定されることによって、電子入射部
付近において発生する正イオンの光電陰極へのイオンフ
ィードバックによる光電陰極の劣化を防ぎ、長時間に亘
って安定した出力による動作をする電子管が可能にな
る。
化は、半導体光電陰極を用いた電子管において顕著に現
れるものであるが、それ以外の光電陰極を用いた電子管
においても一般的に起こる現象であり、その寿命に影響
を及ぼすと考えられる。したがって本発明による電極構
造と各電極の電位設定は、半導体以外の光電陰極を用い
た電子管に対しても有用である。
成の断面図である。
閉じ込め電極及びイオントラップ電極の開口構造を一部
破断して示す斜視図である。
正イオンの電極間での軌道の計算例を示す断面図であ
る。
性を従来例と対比するグラフである。
面図、(b)は断面図である。
3…ステム、14…インジウムシール、14a…保持リ
ング、15…アルミ膜、16…保持用スプリング、17
…ピン、18…ハーメチックガラス、19…金属チップ
管、20…光電陰極、21…収束電極、21a…電子収
束部、22…イオン閉じ込め電極、23…イオントラッ
プ電極、24…電子増倍部、24a…第1段ダイノー
ド、24b…第2段ダイノード、25…ダイノード、2
6…アノード電極、27…最終段ダイノード。
Claims (2)
- 【請求項1】入射した光を光電変換して電子を放出する
光電陰極と、二次電子放出により入射電子流を増倍する
電子増倍部とを備え、 前記電子増倍部は、前記電子増倍部を構成する各部のう
ち前記光電陰極にもっとも近く位置して前記光電陰極よ
り放出された電子が入射される電子入射部を含み、 前記電子入射部の電位が、前記光電陰極の電位よりも高
く設定された電子管において、 前記光電陰極と前記電子増倍部との間に、前記電子増倍
部において発生する正イオンを閉じ込めるためのイオン
閉じ込め電極と、前記イオン閉じ込め電極によって閉じ
込められた正イオンを捉えるためのイオントラップ電極
とを順次備え、 前記イオン閉じ込め電極の電位が、前記電子入射部の電
位よりも高く、 前記イオントラップ電極の電位が、前記光電陰極の電位
よりも高いかまたは等しく、かつ、前記イオントラップ
電極の電位が、前記電子入射部の電位よりも低く設定さ
れたことを特徴とする電子管。 - 【請求項2】請求項1記載の前記電子管において、 前記電子入射部である第1段ダイノードを含む複数段ダ
イノードからなる前記電子増倍部と、増倍された二次電
子流を取り出すアノード電極とを備え、 前記イオン閉じ込め電極の電位が、前記第1段ダイノー
ドの電位よりも高く、 前記イオントラップ電極の電位が、前記第1段ダイノー
ドの電位よりも低く設定されたことを特徴とする光電子
増倍管。
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