JP3312771B2 - 電子増倍管 - Google Patents

電子増倍管

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JP3312771B2
JP3312771B2 JP10466893A JP10466893A JP3312771B2 JP 3312771 B2 JP3312771 B2 JP 3312771B2 JP 10466893 A JP10466893 A JP 10466893A JP 10466893 A JP10466893 A JP 10466893A JP 3312771 B2 JP3312771 B2 JP 3312771B2
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electron
dynode
anode
electrons
holes
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浩之 久嶋
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  • Common Detailed Techniques For Electron Tubes Or Discharge Tubes (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、入射光に対応して光電
陰極から放出される光電子を多段に積層させたダイノー
ドによって増倍する電子増倍管に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、光電子増倍管は核医学および高エ
ネルギー物理の分野における各種測定に、γカメラ、P
ET(ポジトロン・エミッション・トモグラフィ)、ま
たはカロリーメーター等として広く使用されている。
【0003】図2は、電子増倍管に係る第1従来例の構
成を示し、(a)は断面図、(b)は電子増倍部の要部
断面図である。この電子増倍管は、有底円筒状の真空容
器1内に、入射光を受ける上端内面に被着されて光電子
を放出する光電陰極4と、この光電子の軌道を収束する
収束電極5と、当該光電子を入射されて増倍する電子増
倍部6とを配設している光電子増倍管である。
【0004】電子増倍部6では、ダイノード7がN段に
積層されており、各ダイノードは管軸に垂直な平面上を
真空容器1のほぼ内径全体に拡がって配設されている。
各ダイノード7は、導電性の表面を有するプレートに厚
さ方向に貫通する複数個の電子増倍孔をエッチング等で
形成され、ピッチ0.72mmでマトリックス状に配列
している。各電子増倍孔は、入力開口が出力開口に比較
して大なる口径を有し、入力開口に向かって拡開する角
筒形状となっている。入力開口から入射した電子が衝突
する二つの等しい傾斜部の内側面には、Sbを蒸着して
K、Cs等のアルカリ金属化合物を反応させて二次電子
放出層が形成されている。
【0005】各ダイノード7間には、電界形成用電極1
6が配設され、上段のダイノードから放出された二次電
子を下段のダイノードに入射するように導く制動電界を
形成している。電界形成用電極16は、ステンレス薄板
に密接した正六角形の電子通過孔で形成され、メッシュ
状に配列している。
【0006】第N段ダイノード8の下方には、アノード
9および第N+1段ダイノード10が順に配設されてい
る。アノード9は、電界形成用電極16と同様にメッシ
ュ状に配列された電子通過孔を有し、第N段ダイノード
8から出射された二次電子を通過させ、第N+1段ダイ
ノード10に入射してアノード9に向かって反転された
二次電子を捕獲する。また、最下段の第N+1段ダイノ
ード10は平板状のプレートであり、アノード9より小
さい電位に保持されてアノード9を通過して入射した二
次電子を増倍し、アノード9に導く。
【0007】図3は、電子増倍管に係る第2従来例の構
成を示し、(a)は断面図、(b)は電子増倍部の要部
断面図である。この電子増倍管は、ガラスからなる有底
円筒状の真空容器1内に、入射光を導光する光ファイバ
ー15を厚さ方向に沿って配列した上端内面に被着され
て光電子を放出する光電陰極4と、小型の電子増倍器を
マトリクス状に64チャネル配列されて当該光電子を増
倍する電子増倍部6とを配設しており、位置検出が可能
となっている光電子増倍管である。
【0008】電子増倍部6では、ダイノード7がN段に
積層されており、各ダイノード7は管軸に垂直な平面上
に配設されている。各ダイノード7は、厚さ方向に貫通
する複数個の電子増倍孔をエッチング等で形成され、ピ
ッチ2.54mmでマトリックス状に配列している導電
性の表面を有するプレートを2枚貼り合わせて構成され
ている。このプレートの上面には、電子増倍孔の一端と
なる入力開口が形成され、下面には、電子増倍孔の他端
となる出力開口が形成されている。各電子増倍孔は、ほ
ぼ同一口径の入力開口および出力開口を有し、内部で拡
開している球殻形状となっている。入力開口から入射し
た電子が衝突する傾斜部の内側面には、Sbを蒸着して
K、Cs等のアルカリ金属化合物を反応させて二次電子
放出層が形成されている。各ダイノード7には、上段の
ダイノードから放出された二次電子を下段のダイノード
に入射するように導く制動電界を形成する電位が保持さ
れている。
【0009】第N段ダイノード8の下方には、アノード
9および第N+1段ダイノード10が順に配設されてい
る。アノード9は、プレートに厚さ方向に貫通する複数
個の電子通過孔をエッチング等で形成され、第N段ダイ
ノード8の電子増倍孔に対向してマトリクス状に配列し
ており、第N+1段ダイノード10に入射してアノード
9に向かって反転された二次電子を捕獲する。各電子通
過孔は、入力開口および出力開口をほぼ同一の口径で有
して円筒形状となっている。また、最下段の第N+1段
ダイノード10は平板状のプレートであってチャネル毎
に分割して真空管の基台部に配設されており、アノード
9より小さい電位に保持されてアノード9を通過して入
射した電子をアノード9に向かって反転する。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の電子増倍管では、アノードを挟んでダイノードをN
段積層している電子増倍部と対向配置された最下段の第
N+1段ダイノードは、平板状に形成されていたり、真
空管の基台部に設置されている。そのため、真空管内部
を真空状態にすると共に、アルカリ金属蒸気を導入して
光電陰極の光電面および各ダイノードの二次電子放出層
を堆積・活性化する際に、アルカリ金属蒸気は光電陰極
および各ダイノードの周辺部から中央部に流れて被着す
る。この結果、光電陰極および各ダイノードでは、アル
カリ金属層が中央部で薄く、周辺部で厚く堆積する。従
って、入射光を受ける光電面の位置によって感度のバラ
ツキが大きくなるという問題がある。
【0011】また、第N段および第N+1段ダイノード
から電子が出射された電子が到達する位置において、こ
れらのダイノードに対して露出するアノードの面積が小
さくなっている。そのため、アノードにおける電界強度
が小さくなるので、その位置で空間電荷が多く発生す
る。従って、アノードに捕獲される二次電子が低減する
ので、入射光のエネルギーに比例した大きなパルス出力
が得られないという問題がある。
【0012】そこで、本発明は、以上の問題点に鑑みて
なされたものであり、光電面の位置に対する均一な感
度、および入射光のエネルギーに比例した出力パルスが
得られる電子増倍管を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の目的を
達成するために、入射された電子を増倍する複数個の電
子増倍孔が配列されたダイノードを複数段に積層して形
成された電子増倍部と、この電子増倍部の下方にダイノ
ードに平行に配置され、該電子増倍部から出射された電
子を通過させる複数個の電子通過孔が電子増倍孔と同一
ピッチで配列されたアノードと、このアノードの下方に
ダイノードに平行に配置され、該アノードを透過した電
子を反転させて該アノードに捕獲させる反転型ダイノー
ドとを備える電子増倍管において、アノードは、電子増
倍部から出射された電子が到達する位置に電子通過孔を
配列していると共に、反転型ダイノードは、電子通過孔
を通過した電子が到達する複数の位置の間に貫通孔を電
子増倍孔と同一ピッチで配列していることを特徴とす
る。
【0014】また、本発明は、上記の目的を達成するた
めに、上記電子通過孔は、反転型ダイノードに対向して
いる出力開口が入力開口に比較して大きな口径で形成さ
れていることを特徴とする。
【0015】さらに、本発明は、上記の目的を達成する
ために、上記電子増倍管は、入射光を受けて光電子を放
出する光電陰極を備え、光電子を増倍する光電子増倍管
であることを特徴とする。
【0016】
【作用】本発明によれば、アノードの下方にダイノード
に平行に配置された反転型ダイノードは、貫通孔をダイ
ノードの電子増倍孔と同一のピッチで配列している。そ
のため、真空管内部にアルカリ金属蒸気を導入して光電
陰極の光電面および各ダイノードの二次電子放出層を堆
積・活性化する際に、アルカリ金属蒸気は真空管底部か
ら導入され、反転型ダイノードの貫通孔、アノードの電
子通過、ダイノードの電子増倍孔、収束電極の貫通孔を
順に通過し、ダイノードおよび光電陰極の各表面に中央
部から周辺部にわたってほぼ均一に堆積する。従って、
光電子の発生および二次電子の放出が光電陰極およびダ
イノードの各位置において均一な反応性で行われるの
で、入射光を受ける光電陰極の位置による感度のバラツ
キが低減される。
【0017】また、本発明によれば、電子増倍部の下方
にダイノードに平行に配置されたアノードは、電子増倍
部から出射された電子が到達する位置に、ダイノードの
電子増倍孔と同一のピッチで複数個の電子通過孔を配列
している。また、アノードの下方にダイノードに平行に
配置された反転型ダイノードは、アノードを透過した電
子が到達する複数の位置の間に、電子増倍孔と同一のピ
ッチで貫通孔を配列している。そのため、ダイノードか
ら出射された電子は、高効率でアノードの電子通過孔を
通過し、反転型ダイノードに入射してアノードに向かっ
て反転される。また、電子増倍部のダイノードと最下段
の反転型ダイノードに挟まれているアノードは、両ダイ
ノードに対して露出した面積が従来より大きくなってい
る。さらに、アノードの電子通過孔は、反転型ダイノー
ドと対向している出力開口が入力開口に対して大きな口
径で形成されている。そのため、アノードにおける電界
強度が大きくなるので、電子通過孔において空間電荷が
減少する。また、反転型ダイノードから放出された電子
に対するアノードの面積が拡張されているので、アノー
ドに捕獲される電子が増加する。従って、ダイノードと
反転型ダイノードから出射された電子がアノードに高効
率で捕獲されるので、入射光のエネルギーに比例した出
力パルスが得られる。
【0018】
【実施例】以下、本発明に係る実施例の構成および作用
について、図1を参照して説明する。なお、図面の説明
においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明
を省略する。また、図面の寸法比率は、説明のものと必
ずしも一致していない。
【0019】図1は、本発明の電子増倍管に係る第1実
施例の構成を示し、(a)は断面図、(b)は電子増倍
部の要部断面図である。この光電子増倍管は、入射光を
受ける円形の受光面板3と、この受光面板3の外周部に
配設する円筒形の金属側管2と、基台部を構成する円形
の金属ベース11とから真空容器1を形成し、入射電子
流を増倍する電子増倍部6を内設している。
【0020】金属ベース11には、外部の電圧端子と接
続して、電子増倍部6などに所定の電圧を与えるピン1
2が挿通している。各ピン12は、テーパー状のハーメ
チックガラス13で金属ベース11に対して固定されて
いる。なお、金属ベース11の中央には、終端部が圧着
され封止された状態の金属チップ管14が下方に向けて
突出している。この金属チップ管14を介して、真空容
器1内部へのアルカリ金属蒸気流15の導入、或いは残
存するガスの排気などが行われ、この後、図示したよう
に封止される。また、ハーメチックガラス13は耐電
圧、リーク電流を考慮して沿面をテーパー状とされてい
る。
【0021】受光面板3の内部下面には、MnOまたは
Crを真空蒸着した後にSbを蒸着し、さらにK、Cs
等のアルカリ金属を被着・活性化して光電陰極4が形成
されている。この光電陰極4は所定の電位に設定され、
例えば0Vに保持されている。
【0022】光電陰極4と電子増倍部6との間には、ス
テンレス板から形成された収束電極5が配設されてお
り、所定のピッチで多数の貫通孔をマトリクス状に配列
・形成している。この収束電極5は所定の電位に設定さ
れ、例えば0Vに保持されている。従って、光電陰極4
から放出された光電子は、収束電極5の影響によって軌
道を収束され、電子増倍部6の所定の領域内に入射され
る。
【0023】電子増倍部6は、正方形の平板状に形成し
たダイノード7をN段に、例えば7段に積層して構成さ
れている。なお、Nは任意の自然数を示すものとする。
各段のダイノード7は、導電性の表面を有するプレート
に厚さ方向に貫通する複数個の電子増倍孔をエッチング
等で形成され、所定のピッチでマトリックス状に配列し
ている。このプレートの上面には、電子増倍孔の一端と
なる入力開口が形成され、下面には、電子増倍孔の他端
となる出力開口が形成されている。各電子増倍孔は、入
力開口が出力開口に比較して大なる口径を有して出力開
口に向かって拡開し、傾斜部の内側面を曲面に形成され
ている。入力開口から入射した電子が衝突する傾斜部の
内側面には、Sbを蒸着してK、Cs等のアルカリ金属
化合物を反応させて二次電子放出層が形成されている。
これらダイノード7は、上段のダイノードから放出され
た二次電子を下段のダイノードに入射するように導く制
動電界を形成する電位に設定され、例えば上段から下段
に電位100Vずつ増加させて保持されている。
【0024】第N段ダイノード8の下部には、アノード
9および最下段の第N+1段ダイノード10を順に配設
している。アノード9は、プレートに厚さ方向に貫通す
る複数個の電子通過孔をエッチング等で形成され、第N
段ダイノード8の電子増倍孔とほぼ同一のピッチでマト
リクス状に配列している。各電子通過孔は、第N段ダイ
ノード8の電子増倍孔から出射された二次電子が到達す
る位置に形成されている。このプレートの上面には、電
子通過孔の一端となる入力開口が形成され、下面には、
電子通過孔の他端となる出力開口が形成されている。電
子通過孔は、入力開口が出力開口に比較して大なる口径
を有して出力開口に向かって拡開している。すなわち、
電子通過孔は、アノード9に対して斜め方向から入射す
る電子が衝突せずに高効率で通過するようにプレートの
下面側を部分的に欠いて、第N+1段ダイノード10か
ら放出された二次電子に対する捕獲面積を拡張されてい
る。このアノードは、各ダイノード7と比較して最も大
きい電位に設定され、例えば1000Vに保持されてい
る。従って、第N+1段ダイノード10に入射してアノ
ード9に向かって反転された二次電子は、アノード9で
捕獲される。
【0025】最下段の第N+1段ダイノード10は、プ
レートに厚さ方向に貫通する複数個の貫通孔をエッチン
グ等で形成され、第N段ダイノード8の電子増倍孔とほ
ぼ同一のピッチでマトリックス状に配列している。各電
子通過孔は、アノード9の電子通過孔から出射された二
次電子が到達する複数の位置の間に形成され、この位置
はアノード9および第N+1段ダイノード10間の距離
によって異なり、例えば第N段ダイノード8の電子増倍
孔の直下となる。このプレートの上面には、貫通孔の一
端となる入力開口を形成し、下面には、貫通孔の他端と
なる出力開口を形成し、ほぼ同一口径を有している。こ
の第N+1段ダイノード10は、アノード9より小さい
電位に設定されており、例えば900Vに保持されてい
る。従って、アノード9の電子通過孔を透過した二次電
子は、第N+1段ダイノード10に入射してアノード9
に向かって反転される。
【0026】上記の構成によれば、第N+1段ダイノー
ド10には、複数個の貫通孔が第N段ダイノード8の電
子増倍孔とほぼ同一のピッチでマトリクス状に配列され
ている。そのため、金属チップ管14を介して、真空容
器1内部にアルカリ金属蒸気流15を導入すると、これ
は真空管底部から、最下段の第N+1段ダイノード10
の貫通孔、アノード9の電子通過孔、電子増倍部6の各
ダイノード7の電子増倍孔、収束電極5の貫通孔を通過
し、ダイノード7および光電陰極4の各表面に中央部か
ら周辺部にわたってほぼ均一な厚さで堆積する。この結
果、光電陰極4の光電面では、入射光に対する光電子の
発生が光電陰極4の位置に対してほぼ均一な反応性で行
われる。また、各ダイノード7の二次電子放出層では、
入射電子に対する二次電子の放出がダイノード7の位置
に対してほぼ均一な反応性で行われる。従って、これら
の二次電子を捕獲して得られる出力信号は、入射光を受
ける光電陰極の位置に対してほぼ均一な感度で得られ
る。
【0027】また、アノード9には、第N段ダイノード
8から出射された二次電子が到達する位置に、複数個の
電子通過孔が第N段ダイノード8の電子増倍孔とほぼ同
一のピッチでマトリクス状に配列されている。また、第
N+1段ダイノード10には、アノード9から出射され
た二次電子が到達する複数の位置の間に、複数個の貫通
孔が第N段ダイノード8の電子増倍孔とほぼ同一のピッ
チでマトリクス状に配列されている。そのため、第N段
ダイノード8から出射された二次電子は高効率でアノー
ド9の電子通過孔を通過し、第N+1段ダイノード10
に入射してアノード9に向かって反転される。また、ア
ノード9は、第N段ダイノード8および第N+1段ダイ
ノード10に対して露出した面積が大きくなっている。
さらに、アノード9の電子通過孔は、第N+1段ダイノ
ード10と対向している出力開口を入力開口に対して大
きな口径で形成されている。そのため、アノード9にお
ける電界強度が大きくなるので、電子通過孔において空
間電荷が減少する。また、第N+1段ダイノード10か
ら放出された二次電子に対するアノード9の露出面積が
拡張されているので、アノード9に捕獲される二次電子
が増加する。従って、第N段ダイノード8と第N+1段
ダイノード10から出射された二次電子がアノード9に
高効率で捕獲されるので、入射光のエネルギーに比例し
た出力パルスが得られる。
【0028】本発明は上記諸実施例に限られるものでは
なく、種々の変形が可能である。
【0029】例えば、上記諸実施例では、ハーメチック
ガラスをテーパー状にしているが、動作電圧が低い場合
には、フラット面とすることもでき、ガラスの直径を大
きくすることもできる。
【0030】また、上記諸実施例で用いられているアノ
ードを、ステムに貫通して穿設された矩形の取付け孔に
嵌着されたマルチアノードに置き換え、マルチアノード
に縦横に配設されて垂直に装着された多数のアノードピ
ンから出力信号を取り出すことにより、位置検出が可能
となる。
【0031】また、上記諸実施例では、ステムには複数
のピンがテーパー状のハーメチックガラスを介して垂直
に挿通して貫設され、かつ、矩形に配列されているが、
ステムに貫通して穿設された円板形の取付け孔に大型な
円板形のテーパー状のハーメチックガラスを嵌着し、そ
の底面周縁に複数のピンを直接挿通して貫設することに
より、部品点数を削減してコストダウンを図ることがで
きる。
【0032】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によ
れば、反転型ダイノードは、貫通孔を電子増倍孔と同一
のピッチでマトリクス状に配列している。そのため、真
空管底部から導入されたアルカリ金属蒸気は、反転型ダ
イノードの貫通孔、アノードの電子通過、ダイノードの
電子増倍孔、収束電極の貫通孔を通過し、ダイノードお
よび光電陰極の各表面に中央部から周辺部にわたってほ
ぼ均一に堆積される。この結果、光電子の発生および二
次電子の放出が光電陰極およびダイノードの各位置にお
いて均一な反応性で行われるので、入射光を受ける光電
陰極の位置による感度のバラツキが低減される。
【0033】また、本発明によれば、アノードは、電子
増倍部から出射された電子が到達する位置に電子通過孔
を配列している。また、反転型ダイノードは、アノード
を透過した電子が到達する複数の位置の間に貫通孔を配
列している。そのため、ダイノードから出射された電子
は、高効率でアノードの電子通過孔を通過し、反転型ダ
イノードに入射してアノードに向かって反転される。ま
た、アノードは、ダイノードと反転型ダイノードに対し
て露出した面積が従来より大きくなっている。さらに、
アノードの電子通過孔は、反転型ダイノードと対向して
いる出力開口を入力開口に対して大きな口径で形成され
ている。そのため、アノードにおける電界強度が大きく
なるので、電子通過孔において空間電荷が減少する。ま
た、反転型ダイノードから放出された電子に対するアノ
ードの露出面積が拡張されているので、アノードに捕獲
される電子が増加する。この結果、ダイノードと反転型
ダイノードから出射された電子がアノードに高効率で捕
獲されるので、入射光のエネルギーに比例した出力パル
スが得られる。
【0034】従って、光電陰極に対する光の入射位置に
よる感度差が均一になり、光のエネルギーに比例する出
力信号が得られる電子増倍管を提供することができると
いう顕著な効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子増倍管に係る第1実施例の構成を
示し、(a)は断面図、(b)は電子増倍部の要部断面
図である。
【図2】電子増倍管に係る第1従来例の構成を示し、
(a)は断面図、(b)は電子増倍部の要部断面図であ
る。
【図3】電子増倍管に係る第2従来例の構成を示し、
(a)は断面図、(b)は電子増倍部の要部断面図であ
る。
【符号の説明】
1…真空容器、2…金属側管、3…受光面板、4…光電
陰極、5…収束電極、6…電子増倍部、7…ダイノー
ド、8…第N段ダイノード、9…アノード、10…第N
+1段ダイノード、11…金属ベース、12…ピン、1
3…ハーメチックガラス、14…金属チップ管、15…
アルカリ金属蒸気流、16…電界形成用電極、17…光
ファイバー、18…第1段ダイノード。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01J 43/12 H01J 43/20

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 入射された電子を増倍する複数個の電子
    増倍孔が配列されたダイノードを複数段に積層して形成
    された電子増倍部と、この電子増倍部の下方に前記ダイ
    ノードに平行に配置され、該電子増倍部から出射された
    前記電子を通過させる複数個の電子通過孔が前記電子増
    倍孔と同一ピッチで配列されたアノードと、このアノー
    ドの下方に前記ダイノードに平行に配置され、該アノー
    ドを透過した前記電子を反転させて該アノードに捕獲さ
    せる反転型ダイノードとを備える電子増倍管において、 前記アノードは、前記電子増倍部から出射された前記電
    子が到達する位置に前記電子通過孔を配列していると共
    に、前記反転型ダイノードは、前記電子通過孔を通過し
    た前記電子が到達する複数の位置の間に貫通孔を前記電
    子増倍孔と同一ピッチで配列していることを特徴とする
    電子増倍管。
  2. 【請求項2】 前記電子通過孔は、前記反転型ダイノー
    ドに対向している出力開口が入力開口に比較して大きな
    口径で形成されていることを特徴とする請求項1記載の
    電子増倍管。
  3. 【請求項3】 前記電子増倍管は、入射光を受けて光電
    子を放出する光電陰極を備え、前記光電子を増倍する光
    電子増倍管であることを特徴とする請求項1記載の電子
    増倍管。
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