WO2021229994A1 - アンテナ - Google Patents

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Abstract

低伝送損失と視認性の両立を図ったアンテナを提供する。アンテナは、透明フィルム基材と、透明フィルム基材の両面のうち、一方の面に設けられた、アンテナ素子と、透明フィルム基材の両面のうち、他方の面に設けられたグランド部とを有する。アンテナ素子及びグランド部は、銀の細線により形成されたメッシュパターンで構成されており、細線の線幅は1.0μm以上5.0μm未満である。透明フィルム基材の厚みは30μm以上300μm以下である。

Description

アンテナ
 本発明は、銀の細線で構成されたアンテナ素子を有するアンテナに関し、特に、低伝送損失と視認性の両立を図ったアンテナに関する。
 現在、携帯電話、スマートフォン又はタブレット等の携帯通信端末、インターネット通信、WiFi(Wireless Fidelity)、Bluetooth(登録商標)、GPS(Global Positioning System)等、無線技術を利用した多様な通信システムがある。多様な通信システムに対応するためには、それぞれの通信システムに使用される電波の送受信が可能なアンテナが必要とされる。
 また、例えば、通信規格5G(Generation)は、周波数帯域が3.7~6GHz、及び24GHz以上を利用する。5Gは、今までより周波数の高い電波を利用するため、高速、同時多数接続、かつ低遅延の利点がある。しかしながら、今まで利用されている周波数帯450MHz~3.6GHzの通信規格4G(Generation)に比べ、電波の伝搬距離が短く、直進性が強い特徴がある。これらの特徴から、多くの基地局が必要であり、かつ端末内に複数のアンテナを設置することが必要となる。
 建築物の窓、及び携帯通信端末のディスプレイ表示部は、良好な電波の開口部となるため、そこに設置可能な、視認されにくい透明なアンテナが求められている。
 例えば、特許文献1には、透明基板、1つ以上のアンテナ導体、及び透明導電膜を有し、1つ以上のアンテナ導体は、透明基板の第1主面側に設けられ、透明導電膜は、透明基板の第1主面とは反対側の第2主面側に設けられるアンテナユニットが記載されている。特許文献1では、透明基板がガラスで構成されている。
国際公開第2019/107514号
 上述のように建築物の窓、及び携帯通信端末のディスプレイ表示部等への設置しやすさに加えて、意匠性、景観又はディスプレイの画質を損なわない観点から、薄型軽量、可撓性を有し、透明性が高いものが好ましい。今まで透明なアンテナの基材としては、上述の特許文献1のようにガラス又は合成石英等が挙げられる。薄型軽量の観点からガラス基板を薄くする必要がある。しかしながら、ガラスに限らず、基板を薄くする場合、アンテナの送受信回路とインピーダンス整合をするために、アンテナパターン又は給電線路の幅を狭くする必要がある場合が多い。ITO(Indium Tin Oxide)等の透明導電材料を用いれば、アンテナの送受信回路とインピーダンス整合を図ることができるが、透明導電材料は電気抵抗が高く伝送損失が大きい。一方、金属細線を用いたメッシュパターンは、電気抵抗が低いため伝送損失が少ない。しかし、給電線路の幅に合わせてメッシュパターンの開口部を狭くする必要がある。開口部が狭いと透過率が低下し、視認されやすくなる。このように低伝送損失と視認性との両立を図ったものがない。
 本発明の目的は、低伝送損失と視認性の両立を図ったアンテナを提供することにある。
 上述の目的を達成するために、本発明の一態様は、透明フィルム基材と、透明フィルム基材の両面のうち、一方の面に設けられたアンテナ素子と、透明フィルム基材の両面のうち、他方の面に設けられたグランド部とを有し、アンテナ素子及びグランド部は、銀の細線により形成されたメッシュパターンで構成されており、細線の線幅は、1.0μm以上5.0μm未満であり、透明フィルム基材の厚みは、30μm以上300μm以下であるアンテナを提供するものである。
 透明フィルム基材の一方の面に設けられた、給電線路を有し、給電線路は、銀の細線により形成されたメッシュパターンで構成されており、細線の線幅が1.0μm以上5.0μm未満であることが好ましい。
 細線の線幅は、2.1μm以上、3.7μm以下であることが好ましい。
 銀の細線は、高分子中に分散された複数の銀粒子を含有し、銀の細線中に含有される複数の銀粒子の割合は、70体積%以上であることが好ましい。
 細線の厚みは、0.5μm以上5.0μm未満であることが好ましい。
 透明フィルム基材を、一方の面又は他方の面から観察するときに、観察側の一方の面又は他方の面の細線の表面粗さをRq(A)とし、観察側の反対側の他方の面又は一方の面の細線の透明フィルム基材側の表面粗さをRq(B)とするとき、0.05μm≦Rq(A)≦0.35μm、かつ|Rq(B)-Rq(A)|≦0.25μmを満たすことが好ましい。
 本発明によれば、低伝送損失と視認性の両立を図ることができる。
本発明の実施形態のアンテナの一例を示す模式的斜視図である。 本発明の実施形態のアンテナの一例を示す模式的平面図である。 本発明の実施形態のアンテナの一例を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態のアンテナを構成する銀の細線のメッシュパターンの一例を示す模式図である。 本発明の実施形態のアンテナを構成する銀の細線のメッシュパターンの一例を示す拡大図である。 本発明の実施形態のアンテナを構成する銀の細線の一例を示す模式的縦断面図である。 本発明の実施形態のアンテナを構成する銀の細線の一例を示す模式的横断面図である。 本発明の実施形態のアンテナを構成する銀の細線の配置の一例を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態のアンテナを有するアンテナアレイの第1の例を示す模式図である。 本発明の実施形態のアンテナを有するアンテナアレイの第2の例を示す模式図である。 本発明の実施形態のアンテナを有するアンテナアレイの第3の例を示す模式図である。 本発明の実施形態の複数のアンテナの配置の一例を示す模式図である。 本発明の実施形態のアンテナの他の一例を示す模式的平面図である。 本発明の実施形態のアンテナの他の二例を示す模式的平面図である。 本発明の実施形態のアンテナのアンテナ素子の他の例を示す模式的平面図である。 本発明の実施形態のアンテナを製造するためのカレンダー処理の一例を示す模式図である。 アンテナアレイパターンを示す模式図である。 グランドプレーンパターンを示す模式図である。 メッシュパターンを示す模式図である。 伝送損失の評価に用いた構成を示す模式的断面である。 伝送損失の評価に用いた構成を示す模式的平面図である。
 以下に、添付の図面に示す好適実施形態に基づいて、本発明のアンテナを詳細に説明する。
 なお、以下に説明する図は、本発明を説明するための例示的なものであり、以下に示す図に本発明が限定されるものではない。
 なお、以下において数値範囲を示す「~」とは両側に記載された数値を含む。例えば、εが数値α~数値βとは、εの範囲は数値αと数値βを含む範囲であり、数学記号で示せばα≦ε≦βである。
 「具体的な数値で表された角度」、「平行」、「垂直」及び「直交」等の角度は、特に記載がなければ、該当する技術分野で一般的に許容される誤差範囲を含む。
 また、「全面」等は、該当する技術分野で一般的に許容される誤差範囲を含む。
 また、光とは、活性光線又は放射線を意味する。本明細書中における「露光」とは、特に断らない限り、水銀灯、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、X線、EUV光等による露光のみならず、電子線、イオンビーム等の粒子線による描画も露光に含める。
 また、「(メタ)アクリレート」はアクリレート及びメタクリレートの双方、又は、いずれかを表し、「(メタ)アクリル」はアクリル及びメタクリルの双方、又は、いずれかを表す。
 なお、透明とは、特に断りがなければ、可視光に対して透明であることを示す。特に断りがなければ、光透過率が、波長380~780nmの可視光波長域において、92%以上であることを透明という。
 光透過率は、JIS(日本産業規格) K 7375:2008に規定される「プラスチック-全光線透過率及び全光線反射率の求め方」を用いて測定されるものである。
(アンテナ)
 アンテナは、透明フィルム基材と、透明フィルム基材の両面のうち、一方の面に設けられたアンテナ素子と、他方の面に設けられたグランド部とを有する。アンテナ素子及びグランド部は、いずれも銀の細線により形成されたメッシュパターンで構成されている。また、アンテナは、透明フィルム基材の一方の面に設けられた、すなわち、アンテナ素子と同一面に設けられた給電線路を有する。給電線路も、銀の細線により形成されたメッシュパターンで構成されている。
 以下、アンテナについて具体的に説明する。
 図1は本発明の実施形態のアンテナの一例を示す模式的斜視図であり、図2は本発明の実施形態のアンテナの一例を示す模式的平面図であり、図3は本発明の実施形態のアンテナの一例を示す模式的断面図である。図1及び図2では、メッシュパターンの図示を省略している。
 図1に示すアンテナ10は、透明フィルム基材12と、透明フィルム基材12の表面12aに設けられた、アンテナ素子14と、給電線路15とを有する。アンテナ10は、透明フィルム基材12の表面12aと対向する、透明フィルム基材12の裏面12bに設けられたグランド部16とを有する。アンテナ素子14と給電線路15とでアンテナ部13が構成される。アンテナ10は、パッチアンテナと呼ばれるものであり、アンテナ素子14は放射素子とも呼ばれ、給電線路15はマイクロストリップ線路とも呼ばれる。
 図1及び図2に示すアンテナ10は、例えば、アンテナ素子14は外形が四角形であり、内角が90°である。アンテナ素子14では辺14aと辺14bとが直交している。辺14bは給電線路15の長さ方向と平行な方向に伸びる辺である。
 辺14aの長さをWとし、辺14bの長さをLとする。辺14aの長さをW、辺14bの長さLは、アンテナ10の送受信する周波数等の特性により適宜設定される。
 給電線路15がアンテナ素子14の内部に差し込まれている。給電線路15がアンテナ素子14の内部に差込み量をRとする。差込み量Rにより、インピーダンス整合を図ることができる。
 図3に示すようにグランド部16は、透明フィルム基材12の裏面12bの全面に設けられている。グランド部16は、グランドプレーンとして機能する。また、グランド部16は電波反射層としても機能するものであり、グランド部16によりアンテナ10の指向性が制御される。グランド部16は、アンテナ素子14よりも大きければよく、必ずしも透明フィルム基材12の裏面12b全面に設ける必要はない。
 図1に示すアンテナ10は、アンテナ素子14と同一面上に配置された給電線路15により、アンテナ素子14に給電する方式である。
 アンテナ10では、アンテナ素子14の端部から内部領域に向けて、給電線路15を差し込む切込部を設け、その切込部の先端部に給電線路15を電気的に接続している。アンテナ10では、給電線路15の先端部分の位置を調整することにより、すなわち、差込み量Rを調整することにより、インピーダンスを整合することができる。
 なお、図1に示すアンテナ10の動作周波数は、辺14bの長さLによって決まる。中心周波数fcとするとき、中心周波数fcは下記式で得られる。なお、下記式において、cは光速であり、εは透明フィルム基材の比誘電率であり、εは真空の誘電率であり、μは真空の透磁率である。また、アンテナのパターン設計において、パターンの形状、基材の厚み、誘電率等の影響によって、共振長が長さLから少しずれる場合がある。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000001
 アンテナ10のアンテナ素子14の辺14aの長さWを変えることにより、入力インピーダンスを変えることができる。辺14aの長さWを長くすると、入力インピーダンスを下げることができる。図1に示すアンテナ10の構成では、例えば、28GHz周波数帯域に対応し、インピーダンスが50Ωのアンテナとして、辺14aの長さW及び辺14bの長さLは、いずれも3mmである。また、差込み量Rは0.75mmである。
 図1に示すアンテナ10は、アンテナ素子14に給電線路15が設けられた構成としたが、これに限定されるものではなく、給電線路15はアンテナ素子14に接続されていない構成でもよく、また、給電線路15が透明フィルム基材12の表面12aに設けない構成でもよい。
 ここで、図4は本発明の実施形態のアンテナを構成する銀の細線のメッシュパターンの一例を示す模式図であり、図5は本発明の実施形態のアンテナを構成する銀の細線のメッシュパターンの一例を示す拡大図である。
 図1に示すアンテナ10では、上述のように、アンテナ素子14、給電線路15及びグランド部16は、いずれも銀の細線により形成されたメッシュパターンで構成されている。メッシュパターンは、具体的には、例えば、図4及び図5に示すように、複数の細線20が、90°に交差してなる複数のひし形状の開口部22(格子)を有する。
 なお、アンテナ10では、細線20の線幅Ws(図5、図6参照)は、1.0μm以上5.0μm未満であり、2.1μm以上、3.7μm以下であることが好ましい。細線20の厚みtは、0.5μm以上5.0μm未満であることが好ましい。透明フィルム基材12の厚みh(図1、図2参照)は、30μm以上300μm以下である。
<メッシュパターン>
 図4及び図5に示すように、細線20が構成するメッシュパターンは、交差する細線20により構成される複数のひし形状の開口部22(格子)を含んでいる形状を意図する。開口部22は細線20で囲まれた領域であり、メッシュパターン内に存在する。図4及び図5において、開口部22は、ひし形の形状を有しているが、他の形状であってもよい。開口部22は、例えば、正三角形、二等辺三角形、直角三角形等の三角形、正方形、長方形、平行四辺形、台形等の四角形、(正)六角形、(正)八角形等の(正)n角形、円、楕円、及び星形等を組み合わせた幾何学図形が好ましい。開口部22は、また、一辺の形状を直線状の他、湾曲形状にしてもよいし、円弧状にしてもよい。円弧状とする場合は、例えば、対向する二辺については、外方に凸の円弧状とし、他の対向する二辺については、内方に凸の円弧状としてもよい。また、各辺の形状を、外方に凸の円弧と内方に凸の円弧が連続した波線形状としてもよい。もちろん、各辺の形状を、サイン曲線にしてもよい。
<細線>
 細線20は、上述のように銀で構成されていれば、その構成は特に限定されるものではない。
 細線20が銀で構成されるとは、金属銀単体であることのみらならず、銀と高分子とを含有する構成でもよく、高分子中に分散された複数の銀粒子を含有するものも含まれる。この場合、例えば、ハロゲン化銀を用いた製造方法で細線20が形成される。細線20が金属銀単体で構成される場合、例えば、蒸着法、又はスパッタ法で形成される。
 細線20としては、例えば、図6に示すように高分子24と、複数の銀粒子26とを含む。細線20では、複数の銀粒子26が高分子24中に分散している場合が多い。
 高分子24の種類は特に制限されず、公知の高分子を使用することができる。なかでも、高分子24としては、後述する特定高分子が好ましい。特定高分子はゼラチン以外の高分子、すなわち、ゼラチンとは異なる高分子であるが、後に説明する。
 細線20に含まれる銀粒子26は、細線20の導電性を担保する部分である。銀粒子26は、高分子中で離散して存在してもよく、凝集して存在してもよい。銀で構成することにより、細線の断線故障の発生が低下する。
 銀粒子26は、図6では粒子状の形状を有するものであるが、銀粒子26の形状は、粒子状に限定されず、例えば、融着して一部又は全体にわたって結合している等の形態であってもよい。
 細線中に含有される複数の銀粒子の割合は、70体積%以上であることが好ましく、上限としては、90体積%である。銀粒子の割合が70体積%以上であれば、十分な導電性が得られ、高周波伝送性を向上させることができる。なお、銀粒子の割合は後述のようにして求めることができる。
 細線の銀粒子は、細線の断面を走査型電子顕微鏡により観察することができ、形状等を特定することができる。
 上述の走査型電子顕微鏡による測定方法としては、まず、細線の表面への導電性付与のため、細線の表面にカーボン蒸着を行い、走査型電子顕微鏡(株式会社日立ハイテクノロジーズ製S-5200型SEM)にて表面形態を観察することにより、細線内部の銀粒子が存在する領域を観察できる。なお、観察条件は、二次電子モードで、加速電圧:10kVで行う。
 この際、細線の断面の観察は、走査型電子顕微鏡にて、高分子と金属粒子とのコントラストがつく加速電圧を選択する。より具体的には、細線の断面の観察方法としては、ミクロトームにて細線の断面を切削した後、導電性付与のため、露出した断面にカーボン蒸着を行い、走査型電子顕微鏡(株式会社日立ハイテクノロジーズ製S-5200型SEM)にて断面を観察する。なお、観察条件は、反射電子モードで、加速電圧:5kVで行う。
 銀粒子の割合(体積%)は、走査型電子顕微鏡による細線の垂直断面の観察画像から、銀粒子部分の面積と、細線全体の面積とを計算することにより、銀粒子の割合(体積%)を求めることができる。
[開口率]
 開口部22の一辺の長さWdは特に制限されないが、1500μm以下が好ましく、1300μm以下がより好ましく、1000μm以下であることが更に好ましく、400μm以下が更に一層好ましく、5μm以上が好ましく、30μm以上がより好ましく、80μm以上が更に好ましい。開口部の辺の長さが上述の範囲である場合には、更に透明性も良好に保つことが可能であり、アンテナ10を表示装置の前面にとりつけた際にも、違和感なく表示を視認することができる。また、アンテナ10をガラス等にとりつけた際にも、違和感がない。
 可視光透過率の点から、メッシュパターンの開口率は75%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、85%以上であることが更に好ましく、90%以上であることがより更に好ましく、95%以上であることが最も好ましい。メッシュパターンの開口率が大きい程、アンテナが視認されにくくなる。
 開口率とは、メッシュパターン領域中における細線20がある領域を除いた透明フィルム基材12上の領域が全体に占める割合である。すなわち、透明フィルム基材12の表面12aにおいて、メッシュパターンの開口部22が占める割合である。
 開口率は、以下に示すようにして測定することができる。まず、アンテナ部において、メッシュパターン形成後の透明フィルム基材の全光線透過率を測定する。次に、アンテナについて、メッシュパターン形成後の透明フィルム基材の全光線透過率を、5つの領域について測定する。5つの透明フィルム基材の領域は、透明フィルム基材における取得位置が異なっていれば、大きさは同じでも異なっていてもよい。次に、下記式を用いて開口率を求める。求めた5つの開口率の平均値を開口率とする。
 開口率=((メッシュパターン形成後の透明フィルム基材の全光線透過率)/(メッシュパターン形成前の透明フィルム基材の全光線透過率))×100(%)
[細線の線幅と細線の厚み]
 アンテナにおいて、細線の線幅Ws(図6参照)は、複数の銀粒子26(図6参照)が存在する範囲で規定される。細線の線幅Wsは導電性と視認しづらさとを両立する点から、1.0μm以上5.0μm未満である。細線が視認されにくい点から、線幅Wsは2.1μm以上、3.7μm以下であることが好ましい。細線の線幅Ws(図6参照)が1、0μm未満では、細線が視認されにくくなるが、導電性が小さくなり、伝送損失が大きくなる。一方、細線の線幅Ws(図6参照)が5.0μm以上では、導電性が確保され伝送損失は十分に小さいが、細線が視認されやすくなる。
 アンテナにおいて、細線の厚みt(図6参照)は、複数の銀粒子26(図6参照)が存在する範囲で規定される。細線の厚みtは特に制限されないが、細線の導電性及び可撓性の点から、0.5μm以上5.0μm未満であることが好ましく、0.5~3.0μmであることがより好ましく、厚みは1.0~2.0μmであることが更に好ましい。
 上述の細線20の線幅Wsは、上述のようにミクロトームにて細線の断面を切削した後、露出した断面にカーボン蒸着を行い走査型電子顕微鏡にて断面を観察して測定する。細線20の線幅Wsについては、1本の細線の任意の5箇所を選択し、それぞれ垂直断面を走査型電子顕微鏡で観察した画像から得られる線幅相当の算術平均値を線幅Wsとする。
 また、上述の細線の厚みtも線幅Wsと同様にして、1本の細線の5箇所の厚みに相当する部分の算術平均値を厚みtとする。
[表面粗さ]
 反射視認性を抑制するには、細線の表面を凸凹形状として、光反射率を抑制する方法がある。この方法では細線に黒化層を形成する必要がないため、製造方法が簡便になる。しかしながら、5G通信で利用する高い周波数、特にミリ波では、表皮効果のため平滑な導体が好ましく、最適な表面粗さがある。一方で、透明フィルム基材の両面に細線が存在する場合、観察方向に近い細線と、観察方向から遠い細線と反射率の差が大きくなると、細線を視認してしまう場合がある。このため、観察方向に近い側の細線の表面粗さと、観察方向から遠い側の細線の表面粗さの差を規定する。
 透明フィルム基材12を、一方の面又は他方の面から観察するときに、観察側の一方の面又は他方の面の細線の表面の表面粗さをRq(A)とし、観察側の反対側の他方の面又は一方の面の細線の透明フィルム基材側の表面の表面粗さをRq(B)とするとき、0.05μm≦Rq(A)≦0.35μm、かつ|Rq(B)-Rq(A)|≦0.25μmを満たすことが好ましい。
 上述の表面粗さRq(A)及び表面粗さをRq(B)は、いずれもJIS B0601:2013に準拠して測定した二乗平均平方根粗さである。
 上述の表面粗さRq(A)は、ミクロトームにて細線を、細線の長さ方向の断面(図7参照)を長さ20μm程度に切削した後、導電性付与のため、露出した細線の断面にカーボン蒸着を行う。走査型電子顕微鏡を用いて断面画像を取得する。画像処理ソフトImageJを用いて、取得した断面画像を画像解析して表面粗さを求める。測定範囲を20μmとし、細線の任意の5箇所の断面画像を取得し、それぞれ表面粗さを求め、5箇所の表面粗さ相当の算術平均値を表面粗さRq(A)とする。細線20の表面20aから観察した場合、表面粗さRq(A)は、細線20の表面20aの表面粗さであるが、図7に示す複数の銀粒子26で構成される面の粗さである。
 上述の表面粗さをRq(B)についても、上述の表面粗さRq(A)と同様にして、ミクロトームにて細線を、長さ方向の断面を長さ20μm程度に切削した後、導電性付与のため、露出した細線の断面にカーボン蒸着を行い、走査型電子顕微鏡を用いて断面画像を取得する。画像処理ソフトImageJを用いて、取得した断面画像を画像解析して表面粗さを求める。測定範囲を20μmとし、細線の任意の5箇所の断面画像を取得し、それぞれ表面粗さを求め、5箇所の表面粗さ相当の算術平均値を表面粗さRq(B)とする。細線20の表面20aから観察した場合、表面粗さRq(B)は、細線20の表面20dの表面粗さであるが、図7に示す複数の銀粒子26で構成される面の粗さである。
 具体的には、図8に示すように、アンテナ10は、透明フィルム基材12の表面12aに、アンテナ素子14及び給電線路15を構成する細線20が設けられている。透明フィルム基材12の裏面に12bに、グランド部16を構成する細線20が設けられている。例えば、アンテナ10を、透明フィルム基材12の表面12a側から観察した場合、アンテナ素子14及び給電線路15を構成する細線20の表面20aの表面粗さ、すなわち、図7に示す複数の銀粒子26で構成される面の粗さがRq(A)となる。グランド部16を構成する細線20の表面20dの表面粗さがRq(B)となる。このように、グランド部16を構成する細線20の表面20dの表面粗さ、すなわち、図7に示す複数の銀粒子26で構成される面の粗さが、観察側の反対側の面の細線の透明フィルム基材側の表面粗さRq(B)である。
 表面粗さRq(A)と、表面粗さRq(B)とが、上述のように0.05μm≦Rq(A)≦0.35μm、かつ|Rq(B)-Rq(A)|≦0.25μmを満たすことにより、細線の反射が小さくなり、細線が視認されにくくなる。
 なお、表面粗さRq(A)、及び表面粗さRq(B)は、カレンダー処理により調整される。
(アンテナアレイ)
 図1に示すアンテナ10は、アンテナ単体のみならず、複数のアンテナを配置する構成とすることもできる。
 図9は本発明の実施形態のアンテナを有するアンテナアレイの第1の例を示す模式図であり、図10は本発明の実施形態のアンテナを有するアンテナアレイの第2の例を示す模式図であり、図11は本発明の実施形態のアンテナを有するアンテナアレイの第3の例を示す模式図である。図12は本発明の実施形態の複数のアンテナの配置の一例を示す模式図である。なお、図9~12において、図1に示すアンテナ10と同一構成物には同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。図9~12では、メッシュパターンの図示を省略している。
 図9に示すアンテナアレイ30は、例えば、4つのアンテナ10が、給電線路15の向きを揃えて配置されている。4つのアンテナ10は、全て同じ大きさであり、一方向に等間隔で配置されている。図9に示すアンテナアレイ30を、直線アレイアンテナ又はリニアアレイアンテナともいう。
 アンテナアレイ30では、全てのアンテナ10、又は全てのアンテナ10のうちの一部のアンテナ10を励振して、励振電流の振幅又は励振電圧の振幅と、励振電流の位相又は励振電圧の位相とを制御することにより放射指向性等を変化させることができる。
 図10に示すアンテナアレイ30aは、例えば、2つのアンテナ10aと、2つのアンテナ10bとが、給電線路15の向きを90°変えて配置されている。2つのアンテナ10aが辺14bをVy方向に一致させて配置されている。2つのアンテナ10bが辺14bをHx方向に一致させて配置されている。なお、Vy方向とHx方向とは直交している。
 アンテナ10aは、例えば、垂直偏波を送受信する。アンテナ10bが、例えば、H方向に水平偏波を送受信する。アンテナアレイ30aでは、互いに偏波方向の異なる2つのアンテナ10a、10bを配置することにより、全方位に対して安定した送受信ができる。なお、図10に示すアンテナ10a、10bは、図1に示すアンテナ10と同じ構成である。
 図11のアンテナアレイ30bは、大きさが異なるアンテナ10c、10dが、直線状に配置されている。アンテナ10cは辺14aの長さがWであり、辺14bの長さがLである。アンテナ10dは辺14aの長さがWであり、辺14bの長さがLである。アンテナ10cの辺14aの長さW>アンテナ10dの辺14aの長さWである。アンテナ10cの辺14bの長さL>アンテナ10dの辺14bの長さLである。
 上述のようにアンテナの動作周波数、すなわち、中心周波数fcは、辺14bの長さによって決まる。上述の式から、アンテナ10の辺14bの長さが長い方が、中心周波数fcが小さくなることがわかる。図11に示すアンテナアレイ30bのように、辺14bの長さが異なるアンテナを配置することにより、複数の周波数の送受信が可能となる。なお、アンテナ10cの辺14aの長さW、及びアンテナ10dの辺14aの長さWは、入力インピーダンスにより決定される。
 なお、図11に示すアンテナ10c、10dは、辺の長さが異なる以外は図1に示すアンテナ10と同じ構成である。
 また、図12に示すアンテナアレイ30cのように、複数のアンテナ10を透明フィルム基材12の表面12aにアンテナ部13を設け、裏面12bにアンテナ部13を設ける構成とすることもできる。これにより、透明フィルム基材12の表面12aに対して送受信ができ、更に透明フィルム基材12の裏面12bに対して送受信が可能となる。このため、例えば、透明フィルム基材12を、建物の窓、又は部屋を隔てる壁等に設置することにより、外部と建物内との通信、又は部屋間での通信が可能となる。
 なお、上述のアンテナアレイ30、30a、30b、30cにおいては、直線状の配置することに限定されるものではなく、平面状に配置してもよい。この場合、例えば、直交する2方向にアンテナ10を配置する。
 上述のアンテナアレイ30、30a、30b、30cにおいても、アンテナ10は、アンテナ部13とグランド部16とを銀の細線のメッシュパターンとすることにより、透明フィルム基材12に複数のアンテナ10を同時に形成することができる。しかしも、ロールトゥロールプロセスを利用することにより、連続して上述のアンテナアレイ30、30a、30b、30cを製造することができる。
(アンテナの他の例)
 図1に示すアンテナ10の構成に限定されるものではない。以下、アンテナの他の例について説明する。図13は本発明の実施形態のアンテナの他の一例を示す模式的平面図であり、図14は本発明の実施形態のアンテナの他の二例を示す模式的平面図である。図15は本発明の実施形態のアンテナのアンテナ素子の他の例を示す模式的平面図である。なお、図13~図15において、図1に示すアンテナ10と同一構成物には同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。図13及び図15では、メッシュパターンの図示を省略している。
 図13に示すアンテナ10は、図1に示すアンテナ10に比して、給電線路15がアンテナ素子14に差し込まれていない点が異なり、それ以外の構成は、図1に示すアンテナ10と同じである。図13に示すアンテナ10は差込み量R(図2参照)がゼロである。
 また、図14に示すアンテナ10のようにアンテナ部13の周囲にダミーパターン部17を有する構成でもよい。ダミーパターン部17は、アンテナ部13に対して間隔Gtをあけて設けられている。間隔Gtにはメッシュパターンが形成されていない。間隔Gtにより、アンテナ部13とダミーパターン部17とは電気的に接続されていない。図14に示すアンテナにおいて、アンテナ10の輪郭とダミーパターン部17の輪郭を表す線は実在しない。
 間隔Gtの幅は5μm以上50μm以下であることが好ましく、より好ましくは7μm以上20μm以下である。間隔Gtが上述の範囲であれば、アンテナ部13とダミーパターン部17とが通電せず、かつダミーパターン部17の視認も抑制される。なお、ダミーパターン部17の内部の導通部分の長さは、アンテナの共振波長の1/4以下であることが好ましく、より好ましくは1/10以下である。
 なお、ダミーパターン部17は、アンテナ部13に対して間隔Gtをあけて設けたが、これに限定されるものではない。メッシュパターンが形成されていない間隔Gtを設けることなく、アンテナ部13とダミーパターン部17とを形成してもよい。この場合、アンテナ部13とダミーパターン部17とは、メッシュパターンを構成する細線20の一部を切断して断線部を設けて非導通にすることにより、電気的に非導通な状態にする。
 また、図1に示すアンテナ10のアンテナ素子14と、図13に示すアンテナ10のアンテナ素子14と、図14に示すアンテナ10のアンテナ素子14とは、同じ形状であり、四角形であるが、これに限定されるものではなく、図15に示すアンテナ素子32のように、対角線で対向する角を切り欠いた切欠部33を有する構成でもよい。アンテナ素子32は、円偏波を発生させるものである。図15に示すアンテナ素子32は、左旋円偏波の送受信に利用される。図15に示すアンテナ素子32とは異なる対角線上に切欠部を設けることにより、右円偏波を送受信できる。
 アンテナ素子は、上述の構成以外に、例えば、円形又は楕円形でもよく、三角形状などの多角形状でもよい。
 給電線路は、インピーダンス整合を図ることができれば、特に限定されるものではなく、ループ状でもL字状でもよい。
 また、アンテナについては、図1に示すアンテナ10のようなパッチアンテナに限定されるものではなく、スロットアンテナでもよい。
 また、図9~図12に示すようなアンテナアレイ30、30a、30b、30cにおいても、アンテナ10が形成された透明フィルム基材12の表面12aに、ダミーパターン部17(図14)を形成してもよい。ダミーパターン部17については、図14に示すように間隔Gtをあけてもよい。また、間隔Gtを設けることなくダミーパターン部17を形成してもよい。この場合、上述のようにメッシュパターンを構成する細線20の一部を切断して断線部を設けて非導通にすることにより、電気的に非導通な状態にする。
 図9~図12に示すようなアンテナアレイ30、30a、30b、30cにおいても、アンテナ10のアンテナ素子14を、図15に示すアンテナ素子32とすることができる。
(アンテナの設置場所)
 アンテナの設置場所は、特に限定されるものではない。透明アンテナの設置場所としては、建築物の窓(特開2006-287729号公報)、自動車のガラス(US7656357)、携帯型端末の表示部(US20140106684、US7847753)、タッチパネル(WO2019/223713)及びの筐体部(US20180342789)等が挙げられる。
 また、アンテナは、フィルム基材を合わせガラスに挟まれてガラスアンテナとして上述の設置場所に設置される(WO2019/107514)。また、アンテナは、折り曲げ性を有するフィルム型アンテナとして、意匠性、又はアンテナの指向性を向上するために曲面に設置することもできる。
 しかし、アンテナを窓、端末の表示部、又は端末の筐体部に設置する場合、デバイスの内側に設置する場合に比べ、環境耐性が一層求められ、例えば、UV(Ultraviolet)耐性、及び低吸湿性がより強く求められることがある。この場合、特許第6355824号公報(UV耐性OCA(Optical Clear Adhesive))又は特許第5849059号公報(低吸湿性)に示すような環境耐性を強化する方法を導入することが好ましい。
<アンテナの製造方法>
 次に、アンテナの製造方法について説明する。
 アンテナの製造方法は、上述した構成のアンテナが製造できれば特に制限されないが、生産性に優れる点で、後述する工程A~工程Eをこの順に有する導電性基板の製造方法が好ましい。以下、各工程について詳述する。
<工程A>
 工程Aは、透明フィルム基材上に、ハロゲン化銀と、ゼラチンとゼラチンとは異なる高分子(以下、「特定高分子」ともいう。)とを含むハロゲン化銀含有感光性層(以下、「感光性層」ともいう。)を形成する工程である。本工程により、後述する露光処理が施される感光性層付き透明フィルム基材が製造される。
 まず、工程Aで使用される材料及び部材について詳述し、その後、工程Aの手順について詳述する。
(透明フィルム基材)
 透明フィルム基材は、上述のように銀の細線で構成されたアンテナ部及びグランド部が形成されるものである。透明フィルム基材は、感光性層、及び銀の細線で構成されたアンテナ部及びグランド部を支持することができれば、その種類は特に制限されない。
 透明フィルム基材は、透明であり、例えば、全光線透過率は、85~100%が好ましい。全光透過率は、JIS K 7375:2008に規定される「プラスチック-全光線透過率及び全光線反射率の求め方」を用いて測定される。
 また、透明フィルム基材は、可撓性を有することが好ましい。可撓性を有するとは、折り曲げることができる基材を意味し、具体的には、折り曲げ曲率半径2mmで折り曲げても割れが生じない基材である。透明フィルム基材は、3次元形状を形成することができる加工性を有する。なお、可撓性を有する透明フィルム基材を用いることにより、アンテナが可撓性を有する。
 透明フィルム基材を構成する材料としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)(258℃)、ポリシクロオレフィン(134℃)、ポリカーボネート(250℃)、アクリルフィルム(128℃)、ポリエチレンナフタレート(269℃)、ポリエチレン(135℃)、ポリプロピレン(163℃)、ポリスチレン(230℃)、ポリ塩化ビニル(180℃)、ポリ塩化ビニリデン(212℃)、及びトリアセチルセルロース(290℃)等の融点が約290℃以下である樹脂が好ましく、PET、ポリシクロオレフィン、及びポリカーボネートがより好ましい。この中でも、銀の細線との密着性が優れることから、PETが最も好ましい。また、( )内の数値は融点、又はガラス転移温度である。
 透明フィルム基材の厚みh(図1、図2参照))は、上述のように30μm以上300μm以下である。透明フィルム基材の厚みhが30μm未満では、アンテナ部及びグランド部を十分に保持できない。一方、透明フィルム基材の厚みhが300μmを超えると、折り曲げにくくなる。
 透明フィルム基材は、ガラス基材に比して、軽量であるため好ましい。しかしながら、インピーダンス整合の観点から、アンテナ素子、給電線路を狭くする必要がある。アンテナでは、低伝送損失と視認性とを両立させるために、上述のように銀の細線の線幅を調整している。
 透明フィルム基材の表面上には、下塗り層が配置されていてもよい。
 下塗り層は、後述する特定高分子を含むことが好ましい。この下塗り層を用いると、後述する銀の細線の透明フィルム基材に対する密着性がより向上する。
 下塗り層の形成方法は特に制限されず、例えば、特定高分子を含む下塗り層形成用組成物を透明フィルム基材上に塗布して、必要に応じて加熱処理を施す方法が挙げられる。下塗り層形成用組成物には、必要に応じて、溶媒が含まれていてもよい。溶媒の種類は特に制限されず、後述する感光性層形成用組成物で使用される溶媒が例示される。また、特定高分子を含む下塗り層形成用組成物として、特定高分子の粒子を含むラテックスを使用してもよい。
 下塗り層の厚みは特に制限されず、細線の透明フィルム基材に対する密着性がより優れる点で、0.02~0.3μmが好ましく、0.03~0.2μmがより好ましい。
(ハロゲン化銀)
 ハロゲン化銀に含まれるハロゲン原子は、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子及びフッ素原子のいずれであってもよく、これらを組み合わせでもよい。例えば、塩化銀、臭化銀、又はヨウ化銀を主体としたハロゲン化銀が好ましく、塩化銀又は臭化銀を主体としたハロゲン化銀がより好ましい。なお、塩臭化銀、ヨウ塩臭化銀、又は、ヨウ臭化銀も、好ましく用いられる。
 ここで、例えば、「塩化銀を主体としたハロゲン化銀」とは、ハロゲン化銀組成中、全ハロゲン化物イオンに占める塩化物イオンのモル分率が50%以上のハロゲン化銀をいう。この塩化銀を主体としたハロゲン化銀は、塩化物イオンのほかに、臭化物イオン及び/又はヨウ化物イオンを含んでいてもよい。
 ハロゲン化銀は、通常、固体粒子状であり、ハロゲン化銀の平均粒子径は、球相当径で10~1000nmが好ましく、10~200nmがより好ましく、湿熱環境下において銀の細線の抵抗値の変化がより小さい点で、50~150nmが更に好ましい。
 なお、球相当径とは、同じ体積を有する球形粒子の直径である。
 上述のハロゲン化銀の平均粒子径として用いられる「球相当径」は平均値であり、100個のハロゲン化銀の球相当径を測定して、それらを算術平均したものである。
 ハロゲン化銀の粒子の形状は特に制限されず、例えば、球状、立方体状、平板状(6角平板状、三角形平板状、4角形平板状等)、八面体状、及び14面体状等の形状が挙げられる。
(ゼラチン)
 ゼラチンの種類は特に制限されず、例えば、石灰処理ゼラチン、及び、酸処理ゼラチンが挙げられる。また、ゼラチンの加水分解物、ゼラチンの酵素分解物、並びに、アミノ基及び/又はカルボキシル基で修飾されたゼラチン(フタル化ゼラチン、及び、アセチル化ゼラチン)等を用いてもよい。
(ゼラチンとは異なる高分子)
 感光性層には、ゼラチンと異なる高分子が含まれる。この特定高分子が感光性層に含まれることにより、感光性層より形成される銀の細線の強度がより優れる。
 特定高分子の種類はゼラチンと異なれば特に制限されず、後述するゼラチンを分解する、タンパク質分解酵素又は酸化剤で分解しない高分子が好ましい。
 特定高分子としては、疎水性高分子(非水溶性高分子)が挙げられ、例えば、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ビニル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリジエン系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂、セルロース系重合体、及び、キトサン系重合体からなる群から選ばれる少なくともいずれかの樹脂、又は、これらの樹脂を構成する単量体からなる共重合体等が挙げられる。
 また、特定高分子は、後述する架橋剤と反応する反応性基を有することが好ましい。
 特定高分子は、粒子状であることが好ましい。つまり、感光性層は、特定高分子の粒子を含むことが好ましい。
 特定高分子としては、以下の一般式(1)で表される高分子(共重合体)が好ましい。
  一般式(1): -(A)-(B)-(C)-(D)
 なお、一般式(1)中、A、B、C、及びDはそれぞれ、下記一般式(A)~(D)で表される繰り返し単位を表す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000002
 R1は、メチル基又はハロゲン原子を表し、メチル基、塩素原子、又は、臭素原子が好ましい。pは0~2の整数を表し、0又は1が好ましく、0がより好ましい。
 R2は、メチル基又はエチル基を表し、メチル基が好ましい。
 R3は、水素原子又はメチル基を表し、水素原子が好ましい。Lは、2価の連結基を表し、下記一般式(2)で表される基が好ましい。
 一般式(2):-(CO-X1)r-X2
 一般式(2)中、X1は、酸素原子又はNR30-を表す。ここでR30は、水素原子、アルキル基、アリール基、又は、アシル基を表し、それぞれ置換基(例えば、ハロゲン原子、ニトロ基、及び、ヒドロキシル基)を有してもよい。R30としては、水素原子、炭素数1~10のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、n-ブチル基、及び、n-オクチル基)、又は、アシル基(例えば、アセチル基、及び、ベンゾイル基)が好ましい。X1としては、酸素原子又はNH-が好ましい。
 X2は、アルキレン基、アリーレン基、アルキレンアリーレン基、アリーレンアルキレン基、又は、アルキレンアリーレンアルキレン基を表し、これらの基には-O-、-S-、-CO-、-COO-、-NH-、-SO2-、-N(R31)-、又は、-N(R31)SO2-等が途中に挿入されてもよい。R31は、炭素数1~6の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を表す。X2としては、ジメチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、o-フェニレン基、m-フェニレン基、p-フェニレン基、-CH2CH2OCOCH2CH2-、又は、-CH2CH2OCO(C64)-が好ましい。
 rは0又は1を表す。
 qは0又は1を表し、0が好ましい。
 R4は、アルキル基、アルケニル基、又は、アルキニル基を表し、炭素数5~50のアルキル基が好ましく、炭素数5~30のアルキル基がより好ましく、炭素数5~20のアルキル基が更に好ましい。
 R5は、水素原子、メチル基、エチル基、ハロゲン原子、又は、-CH2COOR6を表し、水素原子、メチル基、ハロゲン原子、又は、-CH2COOR6が好ましく、水素原子、メチル基、又は、-CH2COOR6がより好ましく、水素原子が更に好ましい。
 R6は、水素原子又は炭素数1~80のアルキル基を表し、R4と同じでも異なってもよく、R6の炭素数は1~70が好ましく、1~60がより好ましい。
 一般式(1)中、x、y、z、及びwは各繰り返し単位のモル比率を表す。
 xは、3~60モル%であり、3~50モル%が好ましく、3~40モル%がより好ましい。
 yは、30~96モル%であり、35~95モル%が好ましく、40~90モル%がより好ましい。
 zは、0.5~25モル%であり、0.5~20モル%が好ましく、1~20モル%がより好ましい。
 wは、0.5~40モル%であり、0.5~30モル%が好ましい。
 一般式(1)において、xは3~40モル%、yは40~90モル%、zは0.5~20モル%、wは0.5~10モル%の場合が好ましい。
 一般式(1)で表される高分子としては、下記一般式(2)で表される高分子が好ましい。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000003
 一般式(2)中、x、y、z及びwは、上述の定義の通りである。
 一般式(1)で表される高分子は、上述の一般式(A)~(D)で表される繰り返し単位以外の他の繰り返し単位を含んでもよい。
 他の繰り返し単位を形成するためのモノマーとしては、例えば、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、ビニルエステル類、オレフィン類、クロトン酸エステル類、イタコン酸ジエステル類、マレイン酸ジエステル類、フマル酸ジエステル類、アクリルアミド類、不飽和カルボン酸類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルケトン類、ビニル異節環化合物、グリシジルエステル類、及び、不飽和ニトリル類が挙げられる。これらのモノマーとしては、特許第3754745号公報の段落0010~0022にも記載されている。疎水性の観点から、アクリル酸エステル類又はメタクリル酸エステル類が好ましく、ヒドロキシアルキルメタクリレート又はヒドロキシアルキルアクリレートがより好ましい。
 一般式(1)で表される高分子は、一般式(E)で表される繰り返し単位を含むことが好ましい。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000004
 上述の式中、LEはアルキレン基を表し、炭素数1~10のアルキレン基が好ましく、炭素数2~6のアルキレン基がより好ましく、炭素数2~4のアルキレン基が更に好ましい。
 一般式(1)で表される高分子としては、下記一般式(3)で表される高分子が特に好ましい。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000005
 上述の式中、a1、b1、c1、d1、及びe1は各繰り返し単位のモル比率を表し、a1は3~60(モル%)、b1は30~95(モル%)、c1は0.5~25(モル%)、d1は0.5~40(モル%)、e1は1~10(モル%)を表す。
 a1の好ましい範囲は上述のxの好ましい範囲と同じであり、b1の好ましい範囲は上述のyの好ましい範囲と同じであり、c1の好ましい範囲は上述のzの好ましい範囲と同じであり、d1の好ましい範囲は上述のwの好ましい範囲と同じである。
 e1は、1~10モル%であり、2~9モル%が好ましく、2~8モル%がより好ましい。
 特定高分子は、例えば、特許第3305459号公報及び特許第3754745号公報等を参照して合成できる。
 特定高分子の重量平均分子量は特に制限されず、1000~1000000が好ましく、2000~750000がより好ましく、3000~500000が更に好ましい。
 感光性層には、必要に応じて、上述した材料以外の他の材料が含まれていてもよい。
 例えば、ハロゲン化銀の安定化及び高感度化のために用いられるロジウム化合物及びイリジウム化合物等の8族及び9族に属する金属化合物が挙げられる。又は、特開2009-004348号公報の段落0220~0241に記載されるような、帯電防止剤、造核促進剤、分光増感色素、界面活性剤、カブリ防止剤、硬膜剤、黒ポツ防止剤、レドックス化合物、モノメチン化合物、及び、ジヒドロキシベンゼン類も挙げられる。更には、感光性層には、物理現像核が含まれていてもよい。
 また、感光性層には、上述の特定高分子同士を架橋するために使用される架橋剤が含まれていてもよい。架橋剤が含まれることにより、特定高分子同士間での架橋が進行し、ゼラチンが分解除去された際にも細線中の金属銀同士の連結が保たれる。
(工程Aの手順)
 工程Aにおいて上述の成分を含む感光性層を形成する方法は特に制限されないが、生産性の点から、ハロゲン化銀とゼラチンと特定高分子とを含む感光性層形成用組成物を透明フィルム基材上に接触させ、透明フィルム基材上に感光性層を形成する方法が好ましい。
 以下に、この方法で使用される感光性層形成用組成物の形態について詳述し、その後、工程の手順について詳述する。
(感光性層形成用組成物に含まれる材料)
 感光性層形成用組成物には、上述したハロゲン化銀とゼラチンと特定高分子とが含まれる。なお、必要に応じて、特定高分子は粒子状の形態で感光性層形成用組成物中に含まれていてもよい。
 感光性層形成用組成物には、必要に応じて、溶媒が含まれていてもよい。
 溶媒としては、水、有機溶媒(例えば、アルコール類、ケトン類、アミド類、スルホキシド類、エステル類、及び、エーテル類)、イオン性液体、及び、これらの混合溶媒が挙げられる。
 感光性層形成用組成物と透明フィルム基材とを接触させる方法は特に制限されず、例えば、感光性層形成用組成物を透明フィルム基材上に塗布する方法、及び、感光性層形成用組成物中に透明フィルム基材を浸漬する方法等が挙げられる。
 なお、上述の処理後、必要に応じて、乾燥処理を実施してもよい。
(ハロゲン化銀含有感光性層)
 上述の手順により形成された感光性層中には、ハロゲン化銀とゼラチンと特定高分子とが含まれる。
 感光性層中におけるハロゲン化銀の含有量は特に制限されず、導電性フィルムの導電性がより優れる点で、銀換算で3.0~20.0g/m2が好ましく、5.0~15.0g/m2がより好ましい。
 銀換算とは、ハロゲン化銀が全て還元されて生成される銀の質量に換算したことを意味する。
 感光性層中における特定高分子の含有量は特に制限されず、導電性フィルムの導電性がより優れる点で、0.04~2.0g/m2が好ましく、0.08~0.40g/m2がより好ましく、0.10~0.40g/m2が更に好ましい。
<工程B>
 工程Bは、感光性層を露光した後、現像処理して、金属銀とゼラチンと高分子とを含む細線状の銀含有層を形成する工程である。
 感光性層に露光処理を施すことにより、露光領域において潜像が形成される。
 露光はパターン状に実施してもよく、例えば、後述する銀の細線からなるメッシュパターンを得るためには、メッシュ状の開口パターンを有するマスクを介して、露光する方法、及び、レーザー光を走査してメッシュ状に露光する方法が挙げられる。
 露光の際に使用される光の種類は特に制限されず、ハロゲン化銀に潜像を形成できるものであればよく、例えば、可視光線、紫外線、及び、X線が挙げられる。
 露光された感光性層に現像処理を施すことにより、露光領域(潜像が形成された領域)では、金属銀が析出する。
 現像処理の方法は特に制限されず、例えば、銀塩写真フィルム、印画紙、印刷製版用フィルム、及び、フォトマスク用エマルジョンマスクに用いられる公知の方法が挙げられる。
 現像処理では、通常、現像液を用いる。現像液の種類は特に制限されず、例えば、PQ(phenidone hydroquinone)現像液、MQ(Metol hydroquinone)現像液、及び、MAA(メトール・アスコルビン酸)現像液が挙げられる。
 本工程は、未露光部分のハロゲン化銀を除去して安定化させる目的で行われる定着処理を更に有していてもよい。
 定着処理は、現像と同時及び/又は現像の後に実施される。定着処理の方法は特に制限されず、例えば、銀塩写真フィルム、印画紙、印刷製版用フィルム、及び、フォトマスク用エマルジョンマスクに用いられる方法が挙げられる。
 定着処理では、通常、定着液を用いる。定着液の種類は特に制限されず、例えば、「写真の化学」(笹井著、株式会社写真工業出版社)p321記載の定着液が挙げられる。
 上述の処理を実施することにより、金属銀とゼラチンと特定高分子とを含む、細線状の銀含有層が形成される。
 銀含有層の幅を調整する方法としては、例えば、露光時に使用されるマスクの開口幅を調整する方法が挙げられる。例えば、マスクの開口幅を1.0μm以上5.0μm未満にすることにより、露光領域を調整できる。
 また、露光時にマスクを使用する際には、露光量を調整することにより、形成される銀含有層の幅を調整することもできる。例えば、マスクの開口幅が目標とする銀含有層の幅よりも狭い場合には、露光量を通常よりも増加させることにより、潜像が形成される領域の幅を調整できる。すなわち、露光量により、銀の細線の線幅を調整することができる。
 更に、レーザー光を用いる場合は、レーザー光の集光範囲及び/又は走査範囲を調整することにより、露光領域を調整できる。
 銀含有層の幅は、1.0μm以上5.0μm未満が好ましく、形成される銀の細線が視認されにくい点から、3.7μm以下がより好ましい。
 なお、上述の手順によって得られる銀含有層は細線状であり、銀含有層の幅とは細線状の銀含有層が延在する方向に直交する方向における銀含有層の長さ(幅)を意味する。
<工程C>
 工程Cは、工程Bで得られた銀含有層に対して加熱処理を施す工程である。本工程を実施することにより、銀含有層中の特定高分子間での融着が進行し、銀含有層の強度が向上する。
 加熱処理の方法は特に制限されず、銀含有層と過熱蒸気とを接触させる方法、及び、温調装置(例えば、ヒーター)で銀含有層を加熱する方法が挙げられ、銀含有層と過熱蒸気とを接触させる方法が好ましい。
 過熱蒸気としては、過熱水蒸気でもよいし、過熱水蒸気に他のガスを混合させたものでもよい。
 過熱蒸気と銀含有層との接触時間は特に制限されず、10~70秒間が好ましい。
 過熱蒸気の供給量は、500~600g/m3が好ましく、過熱蒸気の温度は、1気圧で100~160℃(好ましくは100~120℃)が好ましい。
 温調装置で銀含有層を加熱する方法における加熱条件としては、100~200℃(好ましくは100~150℃)で1~240分間(好ましくは60~150分間)加熱する条件が好ましい。
<工程D>
 工程Dは、工程Cで得られた銀含有層中のゼラチンを除去する工程である。本工程を実施することにより、銀含有層からゼラチンが除去され、銀含有層中に空間が形成される。
 ゼラチンを除去する方法は特に制限されず、例えば、タンパク質分解酵素を用いる方法(以下、「方法1」ともいう。)、及び、酸化剤を用いてゼラチンを分解除去する方法(以下、「方法2」ともいう。)が挙げられる。
 方法1において用いられるタンパク質分解酵素としては、ゼラチン等のタンパク質を加水分解できる植物性又は動物性酵素で公知の酵素が挙げられる。
 タンパク質分解酵素としては、例えば、ペプシン、レンニン、トリプシン、キモトリプシン、カテプシン、パパイン、フィシン、トロンビン、レニン、コラゲナーゼ、ブロメライン、及び、細菌プロテアーゼが挙げられ、トリプシン、パパイン、フィシン、又は、細菌プロテアーゼが好ましい。
 方法1における手順としては、銀含有層と上述のタンパク質分解酵素とを接触させる方法であればよく、例えば、銀含有層とタンパク質分解酵素を含む処理液(以下、「酵素液」ともいう。)とを接触させる方法が挙げられる。接触方法としては、銀含有層を酵素液中に浸漬させる方法、及び、銀含有層上に酵素液を塗布する方法が挙げられる。
 酵素液中におけるタンパク質分解酵素の含有量は特に制限されず、ゼラチンの分解除去の程度が制御しやすい点で、酵素液全量に対して、0.05~20質量%が好ましく、0.5~10質量%がより好ましい。
 酵素液には、上述のタンパク質分解酵素に加え、通常、水が含まれる。
 酵素液には、必要に応じて、他の添加剤(例えば、pH緩衝剤、抗菌性化合物、湿潤剤、及び、保恒剤)が含まれていてもよい。
 酵素液のpHは、酵素の働きが最大限得られるように選ばれるが、一般的には、5~9が好ましい。
 酵素液の温度は、酵素の働きが高まる温度、具体的には25~45℃が好ましい。
 なお、必要に応じて、酵素液での処理後に、得られた銀含有層を温水にて洗浄する洗浄処理を実施してもよい。
 洗浄方法は特に制限されず、銀含有層と温水とを接触させる方法が好ましく、例えば、温水中に銀含有層を浸漬する方法、及び、銀含有層上に温水を塗布する方法が挙げられる。
 温水の温度は使用されるタンパク質分解酵素の種類に応じて適宜最適な温度が選択され、生産性の点から、20~80℃が好ましく、40~60℃がより好ましい。
 温水と銀含有層との接触時間(洗浄時間)は特に制限されず、生産性の点から、1~600秒間が好ましく、30~360秒間がより好ましい。
 方法2で用いられる酸化剤としては、ゼラチンを分解できる酸化剤であればよく、標準電極電位が+1.5V以上である酸化剤が好ましい。なお、ここで標準電極電位とは、酸化剤の水溶液中における標準水素電極に対する標準電極電位(25℃、E0)を意図する。
 上述の酸化剤としては、例えば、過硫酸、過炭酸、過リン酸、次過塩素酸、過酢酸、メタクロロ過安息香酸、過酸化水素水、過塩素酸、過ヨウ素酸、過マンガン酸カリウム、過硫酸アンモニウム、オゾン、次亜塩素酸又はその塩等が挙げられるが、生産性、経済性の観点で、過酸化水素水(標準電極電位:1.76V)、次亜塩素酸又はその塩が好ましく、次亜塩素酸ナトリウムがより好ましい。
 方法2における手順としては、銀含有層と上述の酸化剤とを接触させる方法であればよく、例えば、銀含有層と酸化剤を含む処理液(以下、「酸化剤液」ともいう。)とを接触させる方法が挙げられる。接触方法としては、銀含有層を酸化剤液中に浸漬させる方法、及び、銀含有層上に酸化剤液を塗布する方法が挙げられる。
 酸化剤液に含まれる溶媒の種類は特に制限されず、水、及び、有機溶媒が挙げられる。
<工程E>
 工程Eは、工程Dで得られた銀含有層に対してめっき処理を施し、銀の細線を得る工程である。本工程を実施することにより、ゼラチンを除去することにより形成された空間に金属(めっき金属)が充填された銀の細線が形成される。
 めっき処理の種類は特に制限されないが、無電解めっき(化学還元めっき、又は、置換めっき)及び電解めっきが挙げられ、無電解めっきが好ましい。無電解めっきとしては、公知の無電解めっき技術が用いられる。めっき処理としては、銀めっき処理がより好ましい。
 めっき処理で用いられるめっき液に含まれる成分は特に制限されないが、通常、溶剤(例えば、水)の他に、1.めっき用の金属イオン、2.還元剤、3.金属イオンの安定性を向上させる添加剤(安定剤)、4.pH調整剤が主に含まれている。このめっき浴には、これらに加えて、めっき浴の安定剤等、公知の添加剤が含まれていてもよい。
 めっき液に含まれるめっき用の金属イオンの種類は析出させたい金属種に応じて適宜選択され、銀イオンが用いられる。
 上述のめっき処理の手順は特に制限されず、銀含有層とめっき液とを接触させる方法であればよく、例えば、めっき液中に銀含有層を浸漬させる方法が挙げられる。
 銀含有層とめっき液との接触時間は特に制限されず、銀の細線の導電性がより優れる点及び生産性の点から、1~30分間が好ましい。めっき処理時間を調整することにより銀粒子の体積%を変えることができ、めっき処理時間を長くすることにより、銀粒子の割合を多くでき、銀粒子の体積%を大きくすることができる。
<工程F>
 本発明のアンテナの製造方法は、工程Eの後に、工程Eで得られた銀の細線に、更に平滑化処理を施す工程Fを有していてもよい。
 本工程を実施することにより、導電性により優れる銀の細線が得られる。
 平滑化処理の方法は特に制限されず、例えば、銀の細線を有する透明フィルム基材を、少なくとも一対のロール間を加圧下で通過させるカレンダー処理工程が好ましい。以下、カレンダーロールを用いた平滑化処理をカレンダー処理と記す。
 ここで、図16は本発明の実施形態のアンテナを製造するためのカレンダー処理の一例を示す模式図である。
 カレンダー処理は、図16に示すように、対向して配置された第1カレンダローラー40a及び第2カレンダローラー40bを使用する。
 また、カレンダー処理の際に、透明フィルム基材12と一緒に搬送される共搬送マット42を用いる。
 透明フィルム基材12の表面12a側に細線34が形成され、裏面12b側に細線35が形成されている。細線34は、上述のアンテナ部13を構成する細線20となるものである。細線35は上述のグランド部16を構成する細線20となるものである。
 カレンダー処理に用いられる第1カレンダローラー40a及び第2カレンダローラー40bとしては、プラスチックロール、及び、金属ロールが挙げられ、シワ防止の点から、プラスチックロールが好ましい。
 ロール間の圧力は特に制限されず、2MPa以上が好ましく、4MPa以上がより好ましく、120MPa以下が好ましい。なお、ロール間の圧力は、富士フイルム株式会社製プレスケール(高圧用)を用いて測定できる。
 平滑化処理の温度は特に制限されず、10~100℃が好ましく、10~50℃がより好ましい。
 共搬送マット42は、カレンダー処理を行うことにより、上述のように細線34、細線35の表面形状を制御するためのものである。共搬送マット42は、例えば、特開2016-118819号公報に記載のカレンダー処理に用いられるフィルム材料を用いることができる。
 カレンダー処理においては、透明フィルム基材12の裏面12b側の細線35に共搬送マット42を重ね合わせて、この状態で、第1カレンダローラー40a及び第2カレンダローラー40bにより加圧して、細線35の表面形状が制御され、上述のような表面粗さRq(A)、Rq(B)を有する細線20を得ることができる。
 表面粗さRq(A)、Rq(B)は、第1カレンダローラー40a及び第2カレンダローラー40bの材質、第1カレンダローラー40a及び第2カレンダローラー40bの表面粗さ、共搬送マットの材質、カレンダー処理時のロール間の圧力、カレンダー処理時の温度等により調整することができる。
 カレンダー処理により、透明フィルム基材上の細線20の表面形状が制御され、細線20が見えにくく、かつ電気抵抗が低く、視認性、導電性及び断線率が改善された導電材料を製造することができる。なお、共搬送マット42は用いなくてもよい。
<工程G>
 本発明のアンテナの製造方法は、工程Fの後に、更に、工程Fで得られた銀の細線に加熱処理を施す工程Gを有していてもよい。本工程を実施することにより、導電性により優れる銀の細線が得られる。
 銀の細線に加熱処理を施す方法は特に制限されず、工程Cで述べた方法が挙げられる。
<工程H>
 本発明のアンテナの製造方法は、工程Aの前に、透明フィルム基材上にゼラチン及び特定高分子を含むハロゲン化銀不含有層を形成する工程Hを有していてもよい。本工程を実施することにより、透明フィルム基材とハロゲン化銀含有感光性層との間にハロゲン化銀不含有層が形成される。このハロゲン化銀不含有層は、いわゆるアンチハレーション層の役割を果たすと共に、細線と透明フィルム基材との密着性向上に寄与する。
 ハロゲン化銀不含有層には、上述したゼラチンと特定高分子とが含まれる。一方、ハロゲン化銀不含有層には、ハロゲン化銀が含まれない。
 ハロゲン化銀不含有層中における、ゼラチンの質量に対する、特定高分子の質量の比(特定高分子の質量/ゼラチンの質量)は特に制限されず、0.1~5.0が好ましく、1.0~3.0がより好ましい。
 ハロゲン化銀不含有層中の特定高分子の含有量は特に制限されず、0.03g/m2以上の場合が多く、銀の細線の密着性がより優れる点で、1.0g/m2以上が好ましい。上限は特に制限されないが、1.63g/m2以下の場合が多い。
 ハロゲン化銀不含有層の形成方法は特に制限されず、例えば、ゼラチンと特定高分子とを含有する層形成用組成物を透明フィルム基材上に塗布して、必要に応じて加熱処理を施す方法が挙げられる。
 層形成用組成物には、必要に応じて溶媒が含まれていてもよい。溶媒の種類は、上述した感光性層形成用組成物で使用される溶媒が例示される。
 ハロゲン化銀不含有層の厚みは特に制限されず、0.05μm以上の場合が多く、銀の細線の密着性がより優れる点で、1.0μm超が好ましく、1.5μm以上がより好ましい。上限は特に制限されないが、3.0μm未満であることが好ましい。
<工程I>
 本発明のアンテナの製造方法は、工程Aの後で工程Bの前に、ハロゲン化銀含有感光性層上にゼラチンと特定高分子とを含む保護層を形成する工程Iを有していてもよい。保護層を設けることにより、感光性層の擦り傷防止及び力学特性を改良できる。
 保護層中における、ゼラチンの質量に対する、特定高分子の質量の比(特定高分子の質量/ゼラチンの質量)は特に制限されず、0超2.0以下が好ましく、0超1.0以下がより好ましい。
 また、保護層中の特定高分子の含有量は特に制限されず、0g/m2超0.3g/m2以下が好ましく、0.005~0.1g/m2がより好ましい。
 保護層の形成方法は特に制限されず、例えば、ゼラチンと特定高分子とを含む保護層形成用組成物をハロゲン化銀含有感光性層上に塗布して、必要に応じて加熱処理を施す方法が挙げられる。
 保護層形成用組成物には、必要に応じて溶媒が含まれていてもよい。溶媒の種類は、上述した感光性層形成用組成物で使用される溶媒が例示される。
 保護層の厚みは特に制限されず、0.03~0.3μmが好ましく、0.075~0.20μmがより好ましい。
 なお、上述した工程H、工程A及び工程Iは、同時重層塗布によって同時に実施してもよい。
<アンテナの他の製造方法>
 アンテナの製造方法において、銀の細線の製造方法は、上述の製造方法に特に制限されず、公知の方法を採用できる。例えば、透明フィルム基材の表面上に形成された銀箔上のフォトレジスト膜を露光、現像処理してレジストパターンを形成し、レジストパターンから露出する銀箔をエッチングする方法が挙げられる。また、透明フィルム基材の表面及び裏面上に、銀微粒子又は銀ナノワイヤーを含むペーストを印刷し、ペーストに銀めっきを行う方法が挙げられる。また、銀微粒子又は銀ナノワイヤーを含むインクをインクジェット方式で透明フィルム基材表面上にパターン印刷を行い、銀の細線を形成する方法が挙げられる。また、透明フィルム基材の表面にパターンニングした溝構造を予め形成し、その溝に銀微粒子又は銀ナノワイヤーを含むペーストをスクリーン印刷で埋め込む方法が挙げられる。
 本発明は、基本的に以上のように構成されるものである。以上、本発明のアンテナについて詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良又は変更をしてもよいのはもちろんである。
 以下に実施例を挙げて本発明の特徴を更に具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、物質量とその割合、及び、操作等は本発明の趣旨から逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下の実施例に限定されるものではない。
 本実施例では、実施例1~17、及び比較例1~3について、評価項目として伝送損失、透過視認性、及び反射視認性を評価した。以下、実施例1~17、及び比較例1~3について説明する。透過視認性及び反射視認性は、視認性に関する評価である。
<実施例1>
(ハロゲン化銀乳剤の調製)
 38℃、pH4.5に保たれた下記1液に、下記の2液及び3液の各々90%に相当する量を、1液を攪拌しながら同時に20分間にわたって加え、0.16μmの核粒子を形成した。続いて、得られた溶液に下記4液及び5液を8分間にわたって加え、更に、下記の2液及び3液の残りの10%の量を2分間にわたって加え、核粒子を0.21μmまで成長させた。更に、得られた溶液にヨウ化カリウム0.15gを加え、5分間熟成し、粒子形成を終了した。
 1液:
   水                    750ml
   ゼラチン                  8.6g
   塩化ナトリウム                 3g
   1,3-ジメチルイミダゾリジン-2-チオン 20mg
   ベンゼンチオスルホン酸ナトリウム      10mg
   クエン酸                  0.7g
 2液:
   水                    300ml
   硝酸銀                   150g
 3液:
   水                    300ml
   塩化ナトリウム                38g
   臭化カリウム                 32g
   ヘキサクロロイリジウム(III)酸カリウム
    (0.005%KCl 20%水溶液)    5ml
   ヘキサクロロロジウム酸アンモニウム
     (0.001%NaCl 20%水溶液)  7ml
 4液:
   水                    100ml
   硝酸銀                    50g
 5液:
   水                    100ml
   塩化ナトリウム                13g
   臭化カリウム                 11g
   黄血塩                    5mg
 その後、常法に従ってフロキュレーション法によって水洗した。具体的には、上述の得られた溶液の温度を35℃に下げ、硫酸を用いてハロゲン化銀が沈降するまでpHを下げた(pH3.6±0.2の範囲であった)。次に、得られた溶液から上澄み液を約3リットル除去した(第1水洗)。次に、上澄み液を除去した溶液に、3リットルの蒸留水を加えてから、ハロゲン化銀が沈降するまで硫酸を加えた。再度、得られた溶液から上澄み液を3リットル除去した(第2水洗)。第2水洗と同じ操作を更に1回繰り返して(第3水洗)、水洗及び脱塩工程を終了した。水洗及び脱塩後の乳剤をpH6.4、pAg7.5に調整し、ゼラチン2.5g、ベンゼンチオスルホン酸ナトリウム10mg、ベンゼンチオスルフィン酸ナトリウム3mg、チオ硫酸ナトリウム15mg及び塩化金酸10mgを加え、55℃にて最適感度を得るように化学増感を施した。その後、更に、得られた乳剤に、安定剤として1,3,3a,7-テトラアザインデン100mg、及び、防腐剤としてプロキセル(商品名、ICI Co.,Ltd.製)100mgを加えた。最終的に得られた乳剤は、沃化銀を0.08モル%含み、塩臭化銀の比率を塩化銀70モル%、臭化銀30モル%とする、平均粒子径(球相当径)0.12μm、変動係数9%の塩臭化銀立方体粒子乳剤であった。
(感光性層形成用組成物の調製)
 上述の乳剤に1,3,3a,7-テトラアザインデン(1.2×10-4モル/モルAg)、ハイドロキノン(1.2×10-2モル/モルAg)、クエン酸(3.0×10-4モル/モルAg)、2,4-ジクロロ-6-ヒドロキシ-1,3,5-トリアジンナトリウム塩(0.90g/モルAg)、及び、微量の硬膜剤を添加し、組成物を得た。次に、クエン酸を用いて組成物のpHを5.6に調整した。
 上述の組成物に、下記(P-1)で表される高分子(以下、「高分子1」ともいう。)とジアルキルフェニルPEO(PEOはポリエチレンオキシドの略号である。)硫酸エステルからなる分散剤と水とを含有するポリマーラテックス(高分子1の質量に対する分散剤の質量の比(分散剤の質量/高分子1の質量、単位はg/g)が0.02であって、固形分含有量が22質量%である。)を、組成物中のゼラチンの合計質量に対する、高分子1の質量の比(高分子1の質量/ゼラチンの質量、単位g/g)が0.25/1となるように添加して、ポリマーラテックス含有組成物を得た。ここで、ポリマーラテックス含有組成物において、ハロゲン化銀由来の銀の質量に対するゼラチンの質量の比(ゼラチンの質量/ハロゲン化銀由来の銀の質量、単位はg/gである。)は0.11であった。
 更に、架橋剤としてEPOXY RESIN DY 022(商品名:ナガセケムテックス株式会社製)を添加した。なお、架橋剤の添加量は、後述するハロゲン化銀含有感光性層中における架橋剤の量が0.09g/m2となるように調整した。
 以上のようにして感光性層形成用組成物を調製した。
 なお、高分子1は、特許第3305459号公報及び特許第3754745号公報を参照して合成した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000006
 透明フィルム基材として用意した、厚み100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(「富士フイルム株式会社製ロール状の長尺フィルム」)の両面に、上述のポリマーラテックスを塗布して、厚み0.05μmの下塗り層を設けた。この処理はロール・トゥ・ロールで行い、以下の各処理(工程)もこれと同様にロール・トゥ・ロールで行った。なお、このときのロール幅は1m、長さは1000mであった。なお、ポリエチレンテレフタレートフィルムは、比誘電率εrが3.0、誘電正接が0.003であった。
(工程H1、工程A1、工程I1)
 次に、上述のポリエチレンテレフタレートフィルムの両面のうち、片面の下塗り層上に、上述のポリマーラテックスとゼラチンとを混合したハロゲン化銀不含有層形成用組成物と、上述の感光性層形成用組成物と、ポリマーラテックスとゼラチンとを混合した保護層形成用組成物とを、同時重層塗布し、下塗り層上にハロゲン化銀不含有層と、ハロゲン化銀含有感光性層と、保護層とを形成した。残りの片面の下塗り層上に、上述のようにしてハロゲン化銀不含有層と、ハロゲン化銀含有感光性層と、保護層とを形成した。
 なお、ハロゲン化銀不含有層の厚みは2.0μmであり、ハロゲン化銀不含有層中における高分子1とゼラチンとの混合質量比(高分子1/ゼラチン)は2/1であり、高分子1の含有量は1.3g/m2であった。
 また、ハロゲン化銀含有感光性層の厚みは2.5μmであり、ハロゲン化銀含有感光性層中における高分子1とゼラチンとの混合質量比(高分子1/ゼラチン)は0.25/1であり、高分子1の含有量は0.19g/m2であった。
 また、保護層の厚みは0.15μmであり、保護層中における高分子1とゼラチンとの混合質量比(高分子1/ゼラチン)は0.1/1であり、高分子1の含有量は0.015g/m2であった。
(工程B1)
 作製した上述の感光性層に、以下のようにしてパターン露光した。超高圧水銀灯の発光を赤外線領域を透過する誘電体多層膜からなる凹面ミラー(ダイクロイックミラー)により集光しフライアイレンズを通過させた後、凹面ミラー光学系を通過させることで疑似平行光とした光源をパターン露光に用いた。かかるパターン露光を、感光材料をマスク1とマスク2による両面同時密着露光し、感光材料の間欠搬送とマスク1、2による両面同時密着露光を繰り返すことで実施した。マスク1は、図17に示すアンテナパターン11とダミーパターン17aを有するアンテナアレイパターン31が形成されたものである。マスク2は、図18に示すグランドプレーンパターン16aが形成されたものである。
 また、アンテナパターン11とダミーパターン17aと、グランドプレーンパターン16aとは、同じメッシュパターンで構成し、ひし形格子を形成するひし形格子の線幅が2.1μm、ひし形格子のピッチが70.7μmになるようにした。パターン露光では、両面同時密着露光時のマスク1とマスク2の位置を、上下両面のメッシュパターンが半ピッチ(等間隔)で重ねるように調整した。
 露光後、得られたサンプルに対して、後述する現像液で現像し、更に定着液(商品名:CN16X用N3X-R:富士フイルム株式会社製)を用いて現像処理を行った後、25℃の純水でリンスし、その後乾燥して、透明フィルム基材であるポリエチレンテレフタレートフィルムの表面にアンテナパターン11とダミーパターン17aを有するアンテナアレイパターン31が形成され、裏面にグランドプレーンパターン16aが形成されたサンプルAを得た。
 サンプルAに形成した図17に示すアンテナアレイパターン31は、アンテナアレイを形成するためのものである。アンテナアレイパターン31では、4つのアンテナパターン11を間隔Jで配置した。間隔Jは5mmとした。アンテナパターン11は、アンテナを形成するためのものである。アンテナパターン11は、アンテナ素子パターン11aと、給電線路パターン11bとを有する。アンテナ素子パターン11aと、給電線路パターン11bとでアンテナ部パターン11cとなる。アンテナ素子パターン11aでは、アンテナ素子14の辺の長さWに相当する長さを3mm、辺の長さLに相当する長さを3mmとし、差込み量Rを0.75mmとした。給電線路パターン11bでは、給電線路15に相当する長さを5mmとし、給電線路15の幅に相当する長さを0.25mmとした。また、給電線路パターン11bが設けられた部分の辺の長さRtを1mmとした。
 アンテナパターン11の周囲に間隔をあけることなく連続してダミーパターン17aを設けた。ダミーパターン17aは、ダミーパターン部を形成するためのものである。
 図18に示すグランドプレーンパターン16aは、メッシュパターンだけで構成した。グランドプレーンパターン16aはグランド部を形成するためのものである。
 また、アンテナパターンと、ダミーパターンと、グランドプレーンパターンとを形成するメッシュパターンは、ひし形格子23(図19参照)で構成した。ひし形格子23は、上述のようにピッチに相当する一辺の長さWdを70.7μmとし、対角線の長さWpを100μmとした。また、図19に示すように、アンテナパターン11とダミーパターン17aとを非導通にするために、アンテナパターン11の周囲のひし形格子23aに、断線部21を設けた。断線部21は、ひし形格子23aの一辺の真ん中に設け、断線部21の長さWbを5μmとした。
 なお、図17及び図18においては、メッシュパターンの大きさは、模式的に示しており、実際の大きさとは異なる。
 また、図17に示すアンテナアレイパターン31及び図18に示すグランドプレーンパターン16aは、いずれも長さHp、幅Vpの矩形パターンとした。長さHpを37mm、幅Vpは15mmとした。
(現像液の組成)
 現像液1リットル(L)中に、以下の化合物が含まれる。
    ハイドロキノン          0.037mol/L
    N-メチルアミノフェノール    0.016mol/L
    メタホウ酸ナトリウム       0.140mol/L
    水酸化ナトリウム         0.360mol/L
    臭化ナトリウム          0.031mol/L
    メタ重亜硫酸カリウム       0.187mol/L
 得られた上述のサンプルAを、50℃の温水中に180秒間浸漬させた。この後、エアシャワーで水を切り、自然乾燥させた。
(工程C1)
 工程B1で得られたサンプルAを、110℃の過熱水蒸気処理槽に搬入し、30秒間静置して、過熱水蒸気処理を行った。なお、このときの蒸気流量は100kg/hであった。
(工程D1)
 工程C1で得られたサンプルAを、次亜塩素酸含有水溶液(25℃)に30秒間浸漬した。サンプルAを水溶液から取り出し、サンプルAを温水(液温:50℃)に120秒間浸漬して、洗浄した。この後、エアシャワーで水を切り、自然乾燥させた。
 なお、使用した次亜塩素酸含有水溶液は、花王株式会社製ハイターを2倍に希釈してから使用することで調製した。
(工程E1)
 工程D1で得られたサンプルAを、以下組成のめっき液A(30℃)に270秒浸漬させた。サンプルAをめっき液Aから取り出し、サンプルAを温水(液温:50℃)に120秒間浸漬して、洗浄した。
 めっき液A(全量1200ml)の組成は、以下の通りであった。なお、めっき液AのpHは9.5であり、炭酸カリウム(富士フイルム和光純薬株式会社製)を所定量加えることにより調整した。また、使用した以下の成分は、いずれも富士フイルム和光純薬株式会社製を用いた。めっき処理前後で線幅の変化は見られなかった。
(めっき液Aの組成)
・AgNO            8.8g
・亜硫酸ナトリウム        72g
・チオ硫酸ナトリウム五水和物   66g
・ヨウ化カリウム         0.004g
・クエン酸            12g
・メチルヒドロキノン       3.67g
・炭酸カリウム          所定量
・水               残部
(工程F1)
 工程E1で得られたサンプルAに対して、金属ローラと樹脂製のローラとの組み合わせによるカレンダー装置を使用して、30kNの圧力でカレンダー処理した。カレンダー処理は室温で行った。
(工程G1)
 工程F1で得られたサンプルAに対して、110℃の過熱水蒸気処理槽に搬入し、30秒間静置して、過熱水蒸気処理を行った。これにより、透明フィルム基材であるポリエチレンテレフタレートフィルムの表面にアンテナパターン11とダミーパターン17aに基づくアンテナとダミーパターン部とが形成されてアンテナアレイが形成され、裏面にグランドプレーンパターン16aに基づくグランド部が形成された透明フィルム基材が得られた。この透明フィルム基材のことを、以下、単にアンテナアレイが形成された透明フィルム基材という。アンテナアレイが形成された透明フィルム基材の大きさは、アンテナアレイパターン31の長さHpに対応する長さが60mm、幅Vpに対応する幅が25mmである。
 なお、このときの蒸気流量は100kg/hであった。得られたメッシュパターン領域は、図4に示すような、銀の細線より形成されるひし形格子のメッシュ状の層であった。細線の線幅は2.1μm、導電性細線の厚みは1.5μmであった。
 細線の表面粗さRq(A)は、ミクロトームにて細線を、長さ方向の断面を長さ20μm程度に切削した後、導電性付与のため、露出した細線の断面にカーボン蒸着を行い、走査型電子顕微鏡を用いて断面画像を取得した。画像処理ソフトImageJを用いて、取得した断面画像を画像解析して表面粗さを求めた。測定範囲を20μmとし、細線の任意の5箇所の断面画像を取得し、それぞれ表面粗さを求め、5箇所の表面粗さ相当の算術平均値を表面粗さRq(A)とした。実施例1の表面粗さRq(A)は、0.08μmであった。
 上述の細線の表面粗さをRq(B)についても、上述の表面粗さRq(A)と同様にして、ミクロトームにて細線を、長さ方向の断面を長さ20μm程度に切削した後、導電性付与のため、露出した細線の断面にカーボン蒸着を行い、走査型電子顕微鏡を用いて断面画像を取得した。画像処理ソフトImageJを用いて、取得した断面画像を画像解析して表面粗さを求めた。測定範囲を20μmとし、細線の任意の5箇所の断面画像を取得し、それぞれ表面粗さを求め、5箇所の表面粗さ相当の算術平均値を表面粗さRq(B)とした。実施例1の表面粗さRq(B)は、0.15μmであった。
 得られたサンプルAをミクロトームにて断面を切削し、カーボン蒸着を行った後に、株式会社日立ハイテクノロジーズ製S-5200型SEMを用いて観察を行った。観察モードは反射電子モードを使用し、加速電圧は5kVとした。
 得られた走査型電子顕微鏡による細線の垂直断面の観察画像から、銀粒子の割合(体積%)は、70体積%であった。
<実施例2~17、比較例1~3>
 実施例2~17、比較例1~3においては、工程B1における露光時間を調整することで露光量を変更し、線幅の調整を行った。
 表1に記載する「細線の線幅」及び「細線の厚み」は工程G1の加熱水蒸気処理後に測定しており、細線の線幅及び細線の厚みの測定には、株式会社日立ハイテクノロジーズ製S-5200型SEMを使用した。細線の線幅及び厚みの測定は、ミクロトームにて細線の断面を切削した後、露出した断面にカーボン蒸着を行い走査型電子顕微鏡を用いて、1本の細線の任意の5箇所を選択し、それぞれ垂直断面を走査型電子顕微鏡で観察した画像から得られる線幅相当の算術平均値を線幅とした。細線の厚みは、線幅と同様にして、1本の細線の5箇所の厚みに相当する部分の算術平均値を厚みとした。
 また、露光量の調整によって工程G1の加熱水蒸気処理により銀粒子径を調整した。
 工程E1のめっき処理時間を長くすることで外側の粒子が成長し、銀粒子の体積%も大きくなることから、工程B1における露光量とめっき処理時間の調整によって細線の線幅、細線の厚み、及び銀粒子の体積分率の調整を行った。
 また、実施例2~17、比較例1~4においては、工程F1におけるカレンダー処理に用いたローラの組み合せ、共搬送マットの材質、共搬送マットの有無、圧力及び温度等を調整することにより、表面粗さRq(A)及び表面粗さRq(B)の調整を行った。
 比較例3においては、工程E1のめっき処理の際に、無電解銅めっきを行った。無電解銅めっき液は市販の無電解銅めっき液を使用することができ、比較例3の作製においては奥野製薬工業株式会社製の「OICアクセラ」及び「OICカッパー」を使用し、OICアクセラ(25℃)に3分間、OICカッパー(55℃)に10分間浸漬したのちに25℃の純水でリンスした。それ以外の工程は他の実施例と同様に作製した。
<評価>
 以下、評価項目である伝送損失、透過視認性、及び反射視認性について説明する。
(伝送損失)
 伝送損失は、挿入損失を用いて評価した。挿入損失による伝送損失の評価基準を以下に示す。下記1~5のうち、3以上が好ましく、4以上がより好ましく、5が更に好ましい。
 挿入損失は、2端子対回路網で構成される高周波回路において、1つの端子からもう1つの端子に伝播する電力の損失をdB(デシベル)で表したものである。
 伝送損失については、図20及び図21に示す伝送損失測定サンプルを作製した。
 図20に示す伝送損失測定サンプル50は、透明フィルム基材52の表面52aに幅Wmのマイクロストリップ伝送線路54(以下、単に伝送線路54という。)が形成されている。伝送線路54は、図21に示すように直線状に配置されている。伝送線路54は、幅Wmを250μmとし、長さを40mmとした。裏面52bの全面にグランド部56が形成されている。伝送線路54及びグランド部56を構成する細線のメッシュパターンを、いずれも、図19に示すひし形格子23を有するメッシュパターンとした。ひし形格子23は、上述のようにピッチに相当する一辺の長さWdを70.7μmとし、対角線の長さWpを100μmとした。伝送線路54は、幅方向にひし形の格子を2.5有する構成である。伝送線路54の両端部に、端子に接触するための、全面金属のタッチランドを設けた。タッチランドは幅を250μm、長さを2mmとした。タッチランドの幅は伝送線路54の幅Wmと同じとした。
 伝送損失測定サンプル50(図20参照)を、ユニバーサルテストフィクスチャ (アンリツ株式会社 型番3680V)にセットし、ベクトルネットワークアナライザ(Keysight N5247A)を用いて、28GHzにおける挿入損失(dB/cmm)を求めた。なお、28GHzにおけるインピーダンスが50Ωであることを、SパラメータのS11のスミスチャートにて確認した。
5:挿入損失<0.5dB
4:0.5dB≦挿入損失<0.8dB
3:0.8dB≦挿入損失<1.2dB
2:1.2dB≦挿入損失<1.5dB
1:1.5dB≦挿入損失
(透過視認性)
 透過視認性については、アンテナパターン部において、メッシュパターン形成前の透明フィルム基材の全光線透過率と、メッシュパターン形成後の透明フィルム基材の全光線透過率とを測定した。開口率(%)を以下ようにして求めて、開口率を用いて評価した。開口率による透過視認性の評価基準を以下に示す。下記1~5のうち、3以上が好ましく、4以上がより好ましく、5が更に好ましい。
 開口率については、まず、メッシュパターン形成後の透明フィルム基材の全光線透過率を測定した。次に、アンテナについて、メッシュパターン形成後の透明フィルム基材の全光線透過率を、5つの領域について測定した。5つの透明フィルム基材の領域は、透明フィルム基材における取得位置が異なっていれば、大きさは同じでも異なっていてもよい。次に、下記式を用いて開口率を求めた。求めた5つの開口率の平均値を開口率とした。
 開口率=((メッシュパターン形成後の透明フィルム基材の全光線透過率)/(メッシュパターン形成前の透明フィルム基材の全光線透過率))×100(%)
 全光線透過率の測定には、分光測色計CM-3600A(コニカミノルタ株式会社製)を用いた。
5:開口率≧85%
4:80%≦開口率<85%
3:75%≦開口率<80%
2:70%≦開口率<75%
1:開口率<70%
(反射視認性)
 アンテナアレイが形成された透明フィルム基材を、ガラス板/アンテナアレイが形成された透明フィルム基材/ポリエチレンテレフタレートフィルムの順になるよう積層して、積層体を得た。なお、ポリエチレンテレフタレートフィルムは、上述の透明フィルム基材に用いたものであり、厚みが100μmである。積層体中、アンテナが形成された面がガラス板側に位置するように、アンテナアレイが形成された透明フィルム基材を配置した。ガラス及びポリエチレンテレフタレートフィルムは、図17に示すアンテナアレイパターン31の長さHpに対応する長さを60mmとし、幅Vpに対応する幅を25mmとした。また、アンテナアレイが形成された透明フィルム基材もガラス及びポリエチレンテレフタレートフィルムと同様に長さ60mm、幅25mmである。
 次に、積層体を垂直に立てて、ガラス面の上方斜め30°~60°の角度から照度2000luxのLED(Light Emitting Diode)光で照らし、ガラス面の下方斜め60°~30°の角度から、10人の観察者が目視にて、アンテナアレイが形成された透明フィルム基材を観察し、以下の基準に従って、反射視認性を評価した。反射視認性の評価としては、下記1~5のうち、3以上が好ましく、4以上がより好ましく、5が更に好ましい。なお、反射視認性の評価では、アンテナ及びグランド部を構成するメッシュパターンは視認されなかった。
5:15cm離れた位置から、アンテナアレイが形成された透明フィルム基材を観察した際に、メッシュ形成部の輪郭が視認されなかった。
4:30cm離れた位置から、アンテナアレイが形成された透明フィルム基材を観察した際に、メッシュ形成部の輪郭を視認した観察者が0人あるいは1人であった。
3:30cm離れた位置から、アンテナアレイが形成された透明フィルム基材を観察した際に、メッシュ形成部の輪郭を視認した観察者が2~4人であった。
2:30cm離れた位置から、アンテナアレイが形成された透明フィルム基材を観察した際に、メッシュ形成部の輪郭を視認した観察者が5人以上であった。
1:50cm離れた位置から、アンテナアレイが形成された透明フィルム基材を観察した際に、メッシュ形成部の輪郭を視認した観察者が5人以上であった。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000007
 表1に示すように、実施例1~17は、比較例1~3に比して、低伝送損失と視認性との両立が実現できた。なお、実施例1~17について、いずれもミリ波帯のアンテナとして機能したことを確認した。
 比較例1は、細線の線幅が細く、伝送損失が大きく、低伝送損失と視認性との両立が実現できなかった。
 比較例2は、細線の線幅が太く、透明視認性と反射視認性が劣り、伝送損失と視認性との両立が実現できなかった。
 比較例3は、銅の細線であり、反射視認性が劣り、低伝送損失と反射視認性との両立が実現できなかった。
 なお、実施例1と実施例10、及び実施例2と実施例9とから、銀粒子の割合が多い方が、伝送損失が優れていた。実施例12~15から、表面粗さRq(A)が好ましい範囲にある方が、伝送損失又は反射視認性が優れていた。実施例13のように、視認側の表面粗さRq(A)の方が大きくても、表面粗さRq(A)と、|Rq(B)-Rq(A)|とが好ましい範囲にあれば反射視認性も良好であった。
 また、実施例3、16、17から、透明フィルム基材が厚いと伝送損失が減り、逆に薄いと伝送損失が増える傾向にあった。
 10、10a、10b、10c、10d アンテナ
 11 アンテナパターン
 11a アンテナ素子パターン
 11b 給電線路パターン
 11c アンテナ部パターン
 12、52 透明フィルム基材
 12a 表面
 12b 裏面
 13 アンテナ部
 14 アンテナ素子
 15 給電線路
 16 グランド部
 16a グランドプレーンパターン
 17 ダミーパターン部
 17a ダミーパターン
 20 細線
 20a 表面
 20d 表面
 21 断線部
 22 開口部
 23、23a ひし形格子
 24 高分子
 26 銀粒子
 30、30a、30b、30c アンテナアレイ
 31 アンテナアレイパターン
 32 アンテナ素子
 33 切欠部
 34、35 細線
 40a 第1カレンダローラー
 40b 第2カレンダローラー
 42 共搬送マット
 50 伝送損失測定サンプル
 52a 表面
 52b 裏面
 54 マイクロストリップ伝送線路(伝送線路)
 56 グランド部
 J、Gt 間隔
 L、L、Rt 長さ
 Hp 長さ
 R 差込み量
 Vp 幅
 W、W、Wb、Wp 長さ
 Wd 一辺の長さ
 Ws 線幅
 h 厚み
 t 厚み

Claims (6)

  1.  透明フィルム基材と、
     前記透明フィルム基材の両面のうち、一方の面に設けられたアンテナ素子と、
     前記透明フィルム基材の前記両面のうち、他方の面に設けられたグランド部とを有し、
     前記アンテナ素子及び前記グランド部は、銀の細線により形成されたメッシュパターンで構成されており、
     前記細線の線幅は、1.0μm以上5.0μm未満であり、
     前記透明フィルム基材の厚みは、30μm以上300μm以下である、アンテナ。
  2.  前記透明フィルム基材の前記一方の面に設けられた、給電線路を有し、
     前記給電線路は、前記銀の細線により形成されたメッシュパターンで構成されており、前記細線の線幅が1.0μm以上5.0μm未満である、請求項1に記載のアンテナ。
  3.  前記細線の線幅は、2.1μm以上、3.7μm以下である、請求項1又は2に記載のアンテナ。
  4.  前記銀の細線は、高分子中に分散された複数の銀粒子を含有し、
     前記銀の細線中に含有される前記複数の銀粒子の割合は、70体積%以上である、請求項1~3のいずれか1項に記載のアンテナ。
  5.  前記細線の厚みは、0.5μm以上5.0μm未満である、請求項1~4のいずれか1項に記載のアンテナ。
  6.  前記透明フィルム基材を、前記一方の面又は前記他方の面から観察するときに、観察側の前記一方の面又は前記他方の面の前記細線の表面粗さをRq(A)とし、観察側の反対側の前記他方の面又は前記一方の面の前記細線の前記透明フィルム基材側の表面粗さをRq(B)とするとき、
     0.05μm≦Rq(A)≦0.35μm、かつ|Rq(B)-Rq(A)|≦0.25μmを満たす、請求項1~5のいずれか1項に記載のアンテナ。
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