JP2017130360A - 導電シートの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】イオンマイグレーションの発生がより抑制された導電シートの製造方法を提供する。
【解決手段】支持体上に、ハロゲン化銀とゼラチンとを含み、ゼラチンに対する銀の体積比が1/3以上である、ハロゲン化銀含有感光性層を形成する工程Aと、ハロゲン化銀含有感光性層を露光する工程Bと、露光されたハロゲン化銀含有感光性層に、現像液を用いた現像処理を施す工程Cと、工程Cを経て得られたハロゲン化銀含有感光性層に、定着液を用いた定着処理を施し、支持体上に金属銀を含む導電性細線を形成する工程Dと、を有し、現像液の液温Xと、定着液の液温Yとが以下の式(A1)の関係を満たす、導電シートの製造方法。
式(A1) Y−X≧5℃
【選択図】なし

Description

本発明は、導電シートの製造方法に関する。
支持体と、支持体上に配置された導電性細線とを有する導電シートは、タッチパネル、太陽電池、EL(エレクトロルミネッセンス)素子など種々の用途に幅広く利用されている。特に、近年、携帯電話および携帯ゲーム機器等へのタッチパネルの搭載率が上昇しており、多点検出が可能な静電容量方式のタッチパネル用の導電シートの需要が急速に拡大している。
導電シートの製造方法としては、例えば、特許文献1において、ハロゲン化銀を含む感光性層に、露光処理、現像処理、および、定着処理を順次施して、金属銀を含む導電性細線を形成する方法が開示されている。
特開2007−129205号公報
一方、近年、各種製品の小型化および高性能化の要求の高まりから、導電性細線からなる配線間の間隔がより狭小化している。例えば、タッチパネル分野においては、パネルの縁からのわずかな範囲に引き出し配線が収まるように配置されることが望まれている。
このような状況においては、金属イオンのマイグレーション(イオンマイグレーション)による配線間の導通が生じやすくなっていた。
本発明者らは、特許文献1に記載の方法を参照して導電シートを製造したところ、得られた導電シートにおいてイオンマイグレーションが生じやすい場合があり、更なる改良が必要であることを知見した。
本発明は、上記実情に鑑みて、イオンマイグレーションの発生がより抑制された導電シートの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題について鋭意検討した結果、現像処理において用いる現像液の液温、および、定着処理において用いる定着液の液温を制御することにより、所望の効果が得られることを見出した。
つまり、以下の構成により上記課題を解決できることを見出した。
(1) 支持体上に、ハロゲン化銀とゼラチンとを含み、ゼラチンに対する銀の体積比が1/3以上である、ハロゲン化銀含有感光性層を形成する工程Aと、
ハロゲン化銀含有感光性層を露光する工程Bと、
露光されたハロゲン化銀含有感光性層に、現像液を用いた現像処理を施す工程Cと、
工程Cを経て得られたハロゲン化銀含有感光性層に、定着液を用いた定着処理を施し、支持体上に金属銀を含む導電性細線を形成する工程Dと、を有し、
現像液の液温Xと、定着液の液温Yとが以下の式(A1)の関係を満たす、導電シートの製造方法。
式(A1) Y−X>5℃
(2) 工程Cと工程Dとの間に、ハロゲン化銀含有感光性層を水洗する工程Eをさらに有する、(1)に記載の導電シートの製造方法。
(3) 液温Yが34℃以上である、(1)または(2)に記載の導電シートの製造方法。
(4) 液温Xが34℃未満である、(1)〜(3)のいずれかに記載の導電シートの製造方法。
(5) 現像液の液温Xと、定着液の液温Yとが以下の式(A3)の関係を満たす、(1)〜(4)のいずれかに記載の導電シートの製造方法。
式(A3) 10℃≧Y−X≧7℃
本発明によれば、イオンマイグレーションの発生がより抑制された導電シートの製造方法を提供することができる。
従来の導電シートの平面図である。 実施例での試験に用いるくし型パターン電極を示す模式図である。
以下に、本発明の導電シートの製造方法の好適態様について説明する。
本発明者らは、従来の導電シートにおいて、導電性細線間においてイオンマイグレーションが生じやすい要因として、導電性細線から突出する微小突起が影響していることを知見している。以下、図面を用いてより具体的に説明する。図1は、従来の導電シートの平面図である。導電シート10は、支持体12と、支持体12上に配置された複数の直線状の導電性細線14とを有する。本発明者らは、従来の導電シートにおいては、導電性細線14の側面から突出する微小突起16があることを知見している。この微小突起16がある場合、導電性細線14に電圧が印加されると、微小突起16の先端から金属イオンが溶出しやすく、結果としてイオンマイグレーションが生じやすくなる。
本発明者らは、上記問題に対して検討を行ったところ、現像液の液温Xと定着液の液温Yとを所定の関係に調整することによって、微小突起の生成が抑制され、所望の効果が得られることを見出している。上記微小突起が生じる要因の一つとしては、露光領域以外の領域(未露光領域)での溶解物理現像が挙げられる。通常、露光処理が施されたハロゲン化銀含有感光性層を現像する際には、露光領域において現像が進行し、金属銀が生成される。一方で、未露光領域においても、未露光領域に含まれるハロゲン化銀が現像液に溶出し、現像液中の銀イオンの一部が還元されて、結果として、未露光領域においても金属銀が析出し、上述した微小突起が生成されてしまう。
本発明では、定着液の液温Yを現像液の液温Xよりも所定温度高くすることにより、上記現象の発生を抑制している。定着液の液温Yを高くすることにより、現像処理後のハロゲン化銀含有感光性層中に定着液が浸透しやすくなり、結果として現像液と定着液との置換が素早く進行する。そのため、上述した現像液に溶出した銀イオンの還元による金属銀の析出が抑制され、微小突起の生成が抑制されている。
本発明の導電シートの製造方法は、支持体上に所定のハロゲン化銀含有感光性層を形成する工程Aと、ハロゲン化銀含有感光性層を露光する工程Bと、現像処理を行う工程Cと、定着処理を行う工程Dとを少なくとも有する。
以下では、各工程で使用される材料およびその手順について詳述する。
<工程A(ハロゲン化銀含有感光性層形成工程A)>
工程Aは、支持体上に、ハロゲン化銀とゼラチンとを含み、ゼラチンに対する銀(銀成分)の体積比が1/3以上である、ハロゲン化銀含有感光性層(以後、単に「感光性層」とも称する)を形成する工程である。本工程により、後述する露光処理が施される感光性層付き支持体が製造される。
まず、本工程Aで使用される材料および部材について詳述し、その後、工程Aの手順について詳述する。
(支持体)
支持体は、後述する導電性細線を支持できれば、特にその種類は制限されない。なかでも、支持体としては透明支持体が好ましく、プラスチックフィルムがより好ましい。
支持体の厚みは特に制限されないが、タッチパネルおよび電磁波シールドなどの用途への応用の点からは、通常、25〜500μmの範囲で選択することができる。なお、導電シートをタッチパネルに応用する際に、支持体表面をタッチ面として用いる場合は、支持体の厚みは500μmを超えていてもよい。
支持体を構成する材料としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)(258℃)、ポリシクロオレフィン(134℃)、ポリカーボネート(250℃)、アクリルフィルム(128℃)、ポリエチレンナフタレート(PEN)(269℃)、ポリエチレン(PE)(135℃)、ポリプロピレン(PP)(163℃)、ポリスチレン(230℃)、ポリ塩化ビニル(180℃)、ポリ塩化ビニリデン(212℃)、および、トリアセチルセルロース(TAC)(290℃)などの融点が約290℃以下である樹脂が好ましく、特に、PET、ポリシクロオレフィン、および、ポリカーボネートがより好ましい。なお、( )内の数値は融点である。
支持体の全光線透過率は、85〜100%であることが好ましい。
支持体の好適態様の一つとしては、大気圧プラズマ処理、コロナ放電処理、および紫外線照射処理からなる群から選択される少なくとも一つの処理が施された処理済支持体が挙げられる。上記処理が施されることにより、処理済支持体表面にはOH基などの親水性基が導入され、後述する導電性細線の密着性がより向上する。
上記処理の中でも、導電性細線の密着性がより向上する点で、大気圧プラズマ処理が好ましい。
支持体の他の好適態様としては、支持体と、支持体の表面上に配置された、後述するゼラチンとは異なる高分子を含む下塗り層とを有する下塗り層付き支持体が挙げられる。この下塗り層上に感光性層が形成されることにより、後述する導電性細線の密着性がより向上する。
下塗り層の形成方法は特に制限されないが、例えば、ゼラチンとは異なる高分子を含む下塗り層形成用組成物を支持体上に塗布して、必要に応じて加熱処理を施す方法が挙げられる。下塗り層形成用組成物には、必要に応じて、溶媒が含まれていてもよい。溶媒の種類は特に制限されず、後述する感光性層形成用組成物で使用される溶媒が例示される。また、ゼラチンとは異なる高分子を含む下塗り層形成用組成物として、ゼラチンとは異なる高分子の微粒子を含むラテックスを使用してもよい。
下塗り層の厚みは特に制限されないが、導電性細線の密着性がより優れる点で、0.02〜0.3μmが好ましく、0.03〜0.2μmがより好ましい。
(ハロゲン化銀)
ハロゲン化銀に含まれるハロゲン元素は、塩素、臭素、ヨウ素およびフッ素のいずれであってもよく、これらを組み合わせでもよい。例えば、塩化銀、臭化銀、または、ヨウ化銀を主体としたハロゲン化銀が好ましく、臭化銀または塩化銀を主体としたハロゲン化銀がより好ましい。なお、塩臭化銀、ヨウ塩臭化銀、または、ヨウ臭化銀も、好ましく用いられる。
ここで、例えば、「臭化銀を主体としたハロゲン化銀」とは、ハロゲン化銀組成中に占める臭化物イオンのモル分率が50%以上のハロゲン化銀をいう。この臭化銀を主体としたハロゲン化銀は、臭化物イオンのほかに、ヨウ化物イオンおよび/または塩化物イオンを含んでいてもよい。
ハロゲン化銀は固体粒子状であり、導電性細線のパターン性がより優れる点から、ハロゲン化銀の平均粒子サイズは、球相当径で0.1〜1000nm(1μm)であることが好ましく、0.1〜100nmであることがより好ましく、1〜50nmであることがさらに好ましい。
なお、ハロゲン化銀粒子の球相当径とは、同じ体積を有する球形粒子の直径である。
ハロゲン化銀の粒子の形状は特に限定されず、例えば、球状、立方体状、平板状(6角平板状、三角形平板状、4角形平板状など)、八面体状、および、14面体状など様々な形状が挙げられる。
(ゼラチン)
ゼラチンの種類は特に制限されず、例えば、石灰処理ゼラチンの他、酸処理ゼラチンを用いてもよい。また、ゼラチンの加水分解物、ゼラチン酵素分解物、並びに、アミノ基および/またはカルボキシル基を修飾したゼラチン(フタル化ゼラチン、アセチル化ゼラチン)などを用いてもよい。
(その他)
感光性層には、必要に応じて、上述したハロゲン化銀およびゼラチン以外の他の材料が含まれていてもよい。
(ゼラチンと異なる高分子(以後、単に「特定高分子」とも称する))
感光性層には、ゼラチンと異なる高分子が含まれていてもよい。この特定高分子が感光性層に含まれることにより、感光性層より形成される導電性細線の強度がより優れる。
使用される特定高分子の種類はゼラチンと異なれば特に制限されないが、後述するゼラチンを分解する、タンパク質分解酵素または酸化剤で分解しない高分子が好ましい。
特定高分子としては、例えば、疎水性高分子(非水溶性高分子)が挙げられ、より具体的には、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ビニル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリジエン系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂、セルロース系重合体およびキトサン系重合体からなる群から選ばれる少なくともいずれかの樹脂、または、これらの樹脂を構成する単量体からなる共重合体などが挙げられる。
また、特定高分子には、後述する架橋剤と反応する反応性基が含まれることが好ましい。
さらに、特定高分子の他の好適態様としては、導電性細線への水分の浸入をより防止できる点より、以下の一般式(1)で表されるポリマー(共重合体)が挙げられる。
一般式(1): −(A)x−(B)y−(C)z−(D)w−
なお、一般式(1)中、A、B、C、およびDはそれぞれ、下記繰り返し単位を表す。
1は、メチル基またはハロゲン原子を表し、好ましくはメチル基、塩素原子、臭素原子を表す。pは0〜2の整数を表し、0または1が好ましく、0がより好ましい。
2は、メチル基またはエチル基を表し、好ましくはメチル基を表す。
3は、水素原子またはメチル基を表し、好ましくは水素原子を表す。Lは、2価の連結基を表し、好ましくは下記一般式(2)で表される基である。
一般式(2):−(CO−X1)r−X2
一般式(2)中、X1は、酸素原子または−NR30−を表す。ここでR30は、水素原子、アルキル基、アリール基、またはアシル基を表し、それぞれ置換基(例えば、ハロゲン原子、ニトロ基、ヒドロキシル基など)を有してもよい。R30は、好ましくは水素原子、炭素数1〜10のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、n−ブチル基、n−オクチル基など)、または、アシル基(例えば、アセチル基、ベンゾイル基など)である。X1として好ましいのは、酸素原子または−NH−である。
2は、アルキレン基、アリーレン基、アルキレンアリーレン基、アリーレンアルキレン基、またはアルキレンアリーレンアルキレン基を表し、これらの基には−O−、−S−、−OCO−、−CO−、−COO−、−NH−、−SO2−、−N(R31)−、または、−N(R31)SO2−などが途中に挿入されてもよい。ここでR31は炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルキル基を表す。X2の好ましい例としては、ジメチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、o−フェニレン基、m−フェニレン基、p−フェニレン基、−CH2CH2OCOCH2CH2−、および、−CH2CH2OCO(C64)−が挙げられる。
rは0または1を表す。
qは0または1を表し、0が好ましい。
4は、アルキル基、アルケニル基、またはアルキニル基を表し、炭素数5〜50のアルキル基が好ましく、炭素数5〜30のアルキル基がより好ましく、炭素数5〜20のアルキル基がさらに好ましい。
5は、水素原子、メチル基、エチル基、ハロゲン原子、または−CH2COOR6を表し、水素原子、メチル基、ハロゲン原子、または、−CH2COOR6が好ましく、水素原子、メチル基、または、−CH2COOR6がより好ましく、水素原子がさらに好ましい。
6は、水素原子または炭素数1〜80のアルキル基を表し、R4と同じでも異なってもよく、R6の炭素数は1〜70が好ましく、1〜60がより好ましい。
一般式(1)中、x、y、z、およびwは各繰り返し単位のモル比率を表す。
xは、3〜60モル%であり、3〜50モル%が好ましく、3〜40モル%がより好ましい。
yは、30〜96モル%であり、35〜95モル%が好ましく、40〜90モル%がより好ましい。
zは、0.5〜25モル%であり、0.5〜20モル%が好ましく、1〜20モル%がより好ましい。
wは、0.5〜40モル%であり、0.5〜30モル%が好ましい。
一般式(1)において、xは3〜40モル%、yは40〜90モル%、zは0.5〜20モル%、wは0.5〜10モル%の場合が特に好ましい。
一般式(1)で表されるポリマーとしては、下記一般式(2)で表されるポリマーが好ましい。
一般式(2)中、x、y、zおよびwは、上記の定義の通りである。
一般式(1)で表されるポリマーは、一般式(A)、(B)、(C)および(D)以外の他の繰り返し単位を含んでもよい。他の繰り返し単位を形成するためのモノマーとしては、例えば、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、ビニルエステル類、オレフィン類、クロトン酸エステル類、イタコン酸ジエステル類、マレイン酸ジエステル類、フマル酸ジエステル類、アクリルアミド類、不飽和カルボン酸類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルケトン類、ビニル異節環化合物、グリシジルエステル類、および、不飽和ニトリル類などが挙げられる。これらのモノマーとしては、特許第3754745号公報の段落0010〜0022にも記載されている。疎水性の観点から、アクリル酸エステル類またはメタクリル酸エステル類が好ましく、ヒドロキシアルキルメタクリレートまたはヒドロキシアルキルアクリレートがより好ましい。一般式(1)で表されるポリマーは、上記一般式(A)、(B)、(C)および(D)以外に下記一般式(E)で表される繰り返し単位を含むことが好ましい。
上記式中、LEはアルキレン基を表し、炭素数1〜10のアルキレン基が好ましく、炭素数2〜6のアルキレン基がより好ましく、炭素数2〜4のアルキレン基がさらに好ましい。
一般式(1)で表されるポリマーとしては、下記一般式(3)で表されるポリマーが特に好ましい。
上記式中、a1、b1、c1、d1、およびe1は各繰り返し単位のモル比率を表し、a1は3〜60(モル%)、b1は30〜95(モル%)、c1は0.5〜25(モル%)、d1は0.5〜40(モル%)、e1は1〜10(モル%)を表す。
a1の好ましい範囲は上記xの好ましい範囲と同じであり、b1の好ましい範囲は上記yの好ましい範囲と同じであり、c1の好ましい範囲は上記zの好ましい範囲と同じであり、d1の好ましい範囲は上記wの好ましい範囲と同じである。
e1は、1〜10モル%であり、2〜9モル%が好ましく、2〜8モル%がより好ましい。
一般式(1)で表されるポリマーの重量平均分子量は、1000〜100万が好ましく、2000〜75万がより好ましく、3000〜50万がさらに好ましい。
一般式(1)で表されるポリマーは、例えば、特許第3305459号および特許第3754745号公報などを参照して合成することができる。
感光性層には、必要に応じて、上述した材料以外の他の材料が含まれていてもよい。
例えば、ハロゲン化銀の安定化および高感度化のために用いられるロジウム化合物およびイリジウム化合物などの8族および9族に属する金属化合物が挙げられる。または、特開2009−004348号公報の段落0220〜0241に記載されるような、帯電防止剤、造核促進剤、分光増感色素、界面活性剤、カブリ防止剤、硬膜剤、黒ポツ防止剤、レドックス化合物、モノメチン化合物、および、ジヒドロキシベンゼン類なども挙げられる。さらには、感光性層には、物理現像核が含まれていてもよい。
また、感光性層には、上記特定高分子同士を架橋するために使用される架橋剤が含まれることが好ましい。架橋剤が含まれることにより、特定高分子同士間での架橋が進行し、ゼラチンが分解除去された際にも導電性細線中の金属銀同士の連結が保たれ、結果として導電特性により優れた導電性細線が得られる。
(工程Aの手順)
工程Aにおいて上記成分を含む感光性層を形成する方法は特に制限されないが、生産性の点から、ハロゲン化銀とゼラチンとを含む感光性層形成用組成物を支持体上に接触させ、支持体上にハロゲン化銀含有感光性層を形成する方法が好ましい。
以下に、この方法で使用される感光性層形成用組成物の態様について詳述し、その後、工程の手順について詳述する。
(感光性層形成用組成物に含まれる材料)
感光性層形成用組成物には、上述したハロゲン化銀とゼラチンとが含まれる。なお、必要に応じて、特定高分子が感光性層形成用組成物に含まれていてもよく、特定高分子はラテックスの形態で感光性層形成用組成物中に含まれていてもよい。
感光性層形成用組成物には、必要に応じて、溶媒が含まれていてもよい。
使用される溶媒としては、例えば、水、有機溶媒(例えば、メタノール等のアルコール類、アセトン等のケトン類、ホルムアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、酢酸エチル等のエステル類、エーテル類等)、イオン性液体、および、これらの混合溶媒が挙げられる。
使用される溶媒の含有量は特に制限されないが、ハロゲン化銀およびゼラチンの合計質量に対して、30〜90質量%が好ましく、50〜80質量%がより好ましい。
感光性層形成用組成物と支持体とを接触させる方法は特に制限されず、公知の方法を採用できる。例えば、感光性層形成用組成物を支持体上に塗布する方法や、感光性層形成用組成物中に支持体を浸漬する方法などが挙げられる。
なお、上記処理後、必要に応じて、乾燥処理を実施してもよい。
なお、上記工程Aの前に、支持体上にゼラチンと特定高分子とを含むハロゲン化銀不含有層を形成する工程をさらに有していてもよい。なお、この工程の手順に関しては、特開2014−112512号公報の段落0068〜0070の手順を参照することができる。
また、上記工程Aの後で後述する工程Bの前に、ハロゲン化銀含有感光性層上にゼラチンと特定高分子とを含む保護層を形成する工程をさらに有していてもよい。なお、この工程の手順に関しては、特開2014−112512号公報の段落0071〜0072の手順を参照することができる。
(ハロゲン化銀含有感光性層)
上記手順により形成された感光性層中において、ゼラチンに対する銀の体積比(銀の体積/ゼラチンの体積)が1/3以上である。なお、銀の体積とは、ハロゲン化銀に含まれる銀成分の体積(ハロゲン化銀由来の銀の体積)を意図する。
なかでも、導電性細線の導電性がより優れる点で、上記体積比は1/2以上が好ましく、1以上がより好ましい。上限は特に制限されないが、10以下が好ましく、4以下がより好ましい。
感光性層に特定高分子が含まれる場合、ゼラチンに対する特定高分子の質量比(特定高分子の質量/ゼラチンの質量)は特に制限されないが、導電シートの耐イオンマイグレーション性がより優れる点(以後、単に「本発明の効果がより優れる点」とも称する)で、0.1以上が好ましく、0.2以上がより好ましく、0.5以上がさらに好ましい。上限は特に制限されないが、通常、2.0以下の場合が多い。
感光性層中におけるハロゲン化銀の含有量は特に制限されないが、導電性細線の導電性がより優れる点で、銀換算で3.0〜20.0g/m2が好ましく、5.0〜15.0g/m2がより好ましい。
また、感光性層に特定高分子が含まれる場合、その含有量は特に制限されないが、イオンマイグレーション抑制能または導電性細線の密着性がより優れる点で、0.04〜2.0g/m2が好ましく、0.08〜0.4g/m2がより好ましく、0.1〜0.4g/m2がさらに好ましい。
<工程B(露光工程)>
工程Bは、ハロゲン化銀含有感光性層を露光する工程である。本工程を実施することにより、露光領域において潜像が形成される。なお、露光はパターン状に実施してもよく、例えば、後述する導電性細線からなるメッシュパターンを得るためには、メッシュ状の開口パターンを有するマスクを介して、露光する方法が挙げられる。
以下では、本工程で実施される露光処理について詳述する。
露光処理は、感光性層を露光する処理である。感光性層に対してパターン状の露光を施すことにより、露光領域における感光性層中に潜像が形成される。この潜像が形成された領域において、後述する現像処理によって導電性細線(導電部)が形成される。
露光の際に使用される光の種類は特に制限されず、可視光線、紫外線、および、X線などが挙げられる。
パターン露光を行う方法は特に制限されず、例えば、フォトマスクを利用した面露光、および、レーザービームによる走査露光が挙げられる。なお、パターンの形状は特に制限されず、形成したい導電性細線のパターンに合わせて適宜調整される。
<工程C(現像工程)>
工程Cは、工程Bで得られた露光されたハロゲン化銀含有感光性層に、現像液を用いた現像処理を施す工程である。本工程を実施することにより、露光領域(潜像が形成された領域)では、金属銀の析出が生じ、導電性細線が形成される。
以下では、本工程で実施される現像処理について詳述する。
(現像液)
本工程で使用される現像液の種類は特に制限されず、公知の現像液を用いることができる。例えば、PQ(phenidone hydroquinone)現像液、MQ(Metol hydroquinone)現像液、および、MAA(メトール・アスコルビン酸)現像液などが挙げられる。
現像液に含まれる成分としては、例えば、現像主薬(還元剤)が挙げられる。現像主薬としては、写真現像の分野で公知の現像主薬を用いることができる。例えば、ハイドロキノン、カテコール、ピロガロール、メチルハイドロキノン、および、クロルハイドロキノン等のポリヒドロキシベンゼン類、アスコルビン酸およびその誘導体、並びに、1−フェニル−4,4−ジメチル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−3ピラゾリドン等の3−ピラゾリドン類などが挙げられる。
現像液には、アルカリ剤が含まれていてもよい。アルカリ剤としては、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物が好ましい。
また、現像液には、可溶性銀錯塩形成剤が含まれていてもよい。可溶性銀錯塩形成剤は、ハロゲン化銀を溶解し、可溶性の銀錯塩を形成させる化合物である。例えば、チオ硫酸ナトリウムおよびチオ硫酸アンモニウムのようなチオ硫酸塩、チオシアン酸ナトリウムおよびチオシアン酸アンモニウムのようなチオシアン酸塩、亜硫酸ナトリウムおよび亜硫酸水素カリウムのような亜硫酸塩、オキサドリドン類、2−メルカプト安息香酸およびその誘導体、ウラシルのような環状イミド類、アルカノールアミン、並びに、ジアミンなどが挙げられる。
また、現像液には、必要に応じて、空気中の酸素により現像主薬が酸化されるのを防止する保恒剤、現像液のpHを維持する緩衝剤、かぶり抑制剤、または、硬水軟化剤などが含まれていてもよい。
現像液には、通常、溶媒が含まれている。溶媒としては、通常、水が用いられる。なお、必要に応じて、有機溶媒を用いてもよい。
(現像処理)
現像処理の方法は特に制限されず、浸漬方式であっても塗布方式であってもよい。浸漬方式は、例えば、タンクに大量に貯留された現像液中に、露光処理が施された感光性層を有する支持体を浸漬しながら搬送するものである。また、塗布方式は、露光処理が施された感光性層を有する支持体上に現像液を塗布するものである。
現像処理時における現像液の液温(液温X)は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、15℃以上が好ましく、20℃以上がより好ましく、25℃以上がさらに好ましい。上限としては、45℃以下が好ましく、40℃以下がより好ましく、34℃未満がさらに好ましい。
現像時間は使用される現像液の種類および液温によって適宜最適な時間が選択されるが、現像性および生産性のバランスがより優れる点で、10〜120秒が好ましく、20〜50秒がより好ましい。
<工程D(定着工程)>
工程Dは、工程Cを経て得られたハロゲン化銀含有感光性層(現像処理が施されたハロゲン化銀含有感光性層)に、定着液を用いた定着処理を施す工程である。本工程を実施することにより、未露光領域にあるハロゲン化銀を除去することができる。
以下では、本工程で実施される定着処理について詳述する。
(定着液)
本工程で使用される定着液の種類は特に制限されず、公知の定着液を用いることができる。例えば、「写真の化学」(笹井著、写真工業出版社(株))p321記載の定着液が挙げられる。
定着液に含まれる成分としては、上述した可溶性銀錯塩形成剤が挙げられる。
また、定着液には、必要に応じて、定着液のpHを一定の範囲に維持する緩衝剤、または、硬水軟化剤などが含まれていてもよい。
現像液には、通常、溶媒が含まれている。溶媒としては、通常、水が用いられる。なお、必要に応じて、有機溶媒を用いてもよい。
(定着処理)
定着処理の方法は特に制限されず、浸漬方式であっても塗布方式であってもよい。浸漬方式は、例えば、タンクに大量に貯留された定着液中に、現像処理が施された感光性層を有する支持体を浸漬しながら搬送するものである。また、塗布方式は、現像処理が施された感光性層を有する支持体上に現像液を塗布するものである。
定着処理時における定着液の液温(液温Y)は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、20℃以上が好ましく、30℃以上がより好ましく、34℃以上がさらに好ましい。上限としては、50℃以下が好ましく、45℃以下がより好ましく、40℃以下がさらに好ましい。
定着時間は使用される定着液の種類および液温によって適宜最適な時間が選択されるが、現像性および生産性のバランスがより優れる点で、10〜120秒が好ましく、20〜50秒がより好ましい。
上述した現像工程で用いられる現像液の液温Xと、定着工程で用いられる定着液の液温Yとは、以下の式(A1)の関係を満たす。つまり、液温Yは液温Xよりも5℃超高い。
式(A1) Y−X>5℃
なかでも、本発明の効果がより優れる点で、式(A2)の関係を満たすことが好ましく、式(A3)の関係を満たすことがより好ましい。
式(A2) 10℃≧Y−X>5℃
式(A3) 10℃≧Y−X≧7℃
<その他任意の工程>
上述した導電シートの製造方法は、上記工程A〜工程D以外にも他の工程を有していてもよい。
以下、任意の工程について詳述する。
<工程E(水洗工程)>
工程Eは、工程Cと工程Dとの間に設けられる工程であり、現像処理が施されたハロゲン化銀含有感光性層を水洗する工程である。本工程を実施することにより、感光性層中の現像液を除去することでき、より微小突起の生成を抑制することができる。結果として、本発明の効果がより優れる。
本工程の手順は特に制限されないが、現像処理が施された感光性層を有する支持体を水中に浸漬する方法や、感光性層上に水を塗布する方法などが挙げられる。
洗浄時における水の液温は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、20℃以上が好ましく、25℃以上がより好ましい。上限としては、45℃以下が好ましく、40℃以下がより好ましい。
水洗時間は特に制限されないが、現像性および生産性のバランスがより優れる点で、5〜120秒が好ましく、5〜30秒がより好ましい。
<工程F(ゼラチン除去工程)>
工程Fは、工程Dの後に実施される工程であり、導電性細線からゼラチンを除去する工程である。本工程を実施することにより、イオンマイグレーションの発生がより抑制される。
導電性細線からのゼラチンの除去方法は特に制限されず、例えば、タンパク質分解酵素を用いてゼラチンを導電性細線から除去(分解除去)する方法(方法A)や、所定の酸化剤を用いてゼラチンを導電性細線から除去(分解除去)する方法(方法B)が挙げられる。
方法Aで使用されるタンパク質分解酵素(以降、単に「酵素」とも称す)としては、例えば、特開2014−209332号公報の段落0085に記載の酵素が挙げられる。
方法Aを実施する場合は、上記酵素を含む処理液(酵素液)で満たされた槽を設け、この槽に導電シートを浸漬させながら搬送する態様が好ましい。この態様以外に、導電シート上に上記処理液を塗布する態様でもよい。
酵素液中における酵素の含有量は特に制限はなく、ゼラチンの分解除去の程度が制御しやすい点で、酵素液全量に対して、0.05〜20質量%が好ましく、5〜10質量%がより好ましい。
酵素液のpHは、酵素の働きが最大限得られるように選ばれるが、一般的には、5〜7が好ましい。また、酵素液の温度は、酵素の働きが高まる温度、具体的には、25〜45℃が好ましい。
方法Bで使用される酸化剤としては、例えば、特開2014−112512号公報の段落0065に記載の酸化剤が挙げられる。
方法Bを実施する場合は、上記酸化剤を含む処理液で満たされた槽を設け、この槽に導電シートを浸漬させながら搬送する態様が好ましい。
<工程G(加熱工程)>
工程Gは、工程Dと工程Fとの間、または、工程Fの後に実施される工程であり、導電シートを加熱する工程である。特に、本工程は、感光性層に特定高分子が含まれる場合に実施されることが好ましい。本工程を実施することにより、特定高分子同士が融着しあい、ゼラチン除去後も導電性細線の強度を維持できる。
加熱処理の条件は、使用されるゼラチンおよび特定高分子の種類に応じて適宜最適な条件が選択される。なお、感光性層中に特定高分子が含まれる場合、特定高分子のガラス転移点以上の加熱条件が好ましい。
加熱処理の方法の一つとしては、導電シートを過熱蒸気に接触させる処理(以下、「過熱蒸気処理」とも称する)が挙げられる。過熱蒸気としては、過熱水蒸気でよいし、過熱水蒸気と他のガスとを混合した蒸気でもよい。
過熱蒸気の供給時間は、10〜70秒が好ましい。供給時間が10秒以上であると、導電性細線の導電率の向上の効果が大きい。また、70秒あたりから導電性細線の導電性の向上が飽和状態となる。
また、過熱蒸気の供給量は、500g/m3〜600g/m3が好ましい。また、過熱蒸気の温度は、1気圧で100〜160℃(好ましくは100〜120℃)に制御されることが好ましい。
上述した工程以外にも、導電シートの導電性細線に対して平滑化処理(例えば、カレンダ処理)を施す工程や、感光性層または導電性細線中に含まれるゼラチンおよび/または特定高分子を架橋させる工程を実施してもよい。
<導電シート>
上記工程を経て得られた導電シートは、支持体と、支持体上に配置された導電性細線とを有する。
導電性細線の線幅は特に制限されないが、30μm以下が好ましく、15μm以下がより好ましく、10μm以下がさらに好ましく、9μm以下が特に好ましく、7μm以下が最も好ましく、0.5μm以上が好ましく、1.0μm以上がより好ましい。上記範囲であれば、低抵抗の電極を比較的容易に形成できる。
導電性細線の厚みは特に制限されないが、0.001μm以上が好ましく、0.01μm以上がより好ましく、0.05μm以上がさらに好ましく、0.2mm以下が好ましく、30μm以下がより好ましく、20μm以下がさらに好ましく、9μm以下が特に好ましく、5μm以下が最も好ましい。上記範囲であれば、低抵抗で、かつ、耐久性に優れた導電性細線を比較的容易に形成できる。
導電性細線は、所定のパターンを形成していてもよい。そのパターンは特に制限されないが、例えば、正三角形、二等辺三角形、直角三角形などの三角形、正方形、長方形、菱形、平行四辺形、台形などの四角形、(正)六角形、(正)八角形などの(正)n角形、円、楕円、星形、および、これらを組み合わせた幾何学図形が挙げられる。また、導電性細線は、メッシュパターンを形成していてもよい。
通常、上記露光はパターン状に実施され、未露光領域においては非導電部が形成される。特に、感光性層中に特定高分子が含まれる場合、上記工程C(現像工程)、工程D(定着工程)、および、工程F(ゼラチン除去工程)が実施された際には、非導電部には特定高分子が含まれる。つまり、非導電部には、主成分として特定高分子が含まれる。
導電シートは、種々の用途(タッチパネル、EL素子など)に用いることができる。特に、導電シートはタッチパネルに好適に適用でき、その際、導電性細線は引き出し配線またはタッチパネル電極として機能し得る。
また、他の用途としては、導電シートは、パーソナルコンピュータおよびワークステーション等から発生する電波またはマイクロ波(極超短波)などの電磁波を遮断し、かつ、静電気を防止する電磁波シールドとして用いることもできる。なお、パソコン本体に使用される電磁波シールド以外にも、映像撮影機器および電子医療機器などで使用される電磁波シールドとしても用いることができる。
さらには、導電シートは、透明発熱体としても用いることができる。
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。なお、以下の実施例に示される材料、使用量、割合、処理内容、および、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
<実施例1>
(ハロゲン化銀乳剤の調製)
38℃、pH4.5に保たれた下記1液に、下記の2液および3液の各々90%に相当する量を、1液を攪拌しながら同時に20分間にわたって加え、0.12μmの核粒子を形成した。続いて、下記4液および5液を8分間にわたって1液に加え、次に、下記の2液および3液の残りの10%の量を2分間にわたって1液に加え、核粒子を0.21μmまで成長させた。次に、得られた溶液にヨウ化カリウム0.15gをさらに加え、溶液を5分間熟成し、粒子形成を終了した。
1液:
水 790ml
ゼラチン 15.5g
塩化ナトリウム 2g
1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−チオン 20mg
ベンゼンチオスルホン酸ナトリウム 10mg
クエン酸 0.7g
2液:
水 500ml
硝酸銀 193g
3液:
水 300ml
塩化ナトリウム 38g
臭化カリウム 32g
ヘキサクロロイリジウム(III)酸カリウム
(0.005%KCl 20%水溶液) 5ml
ヘキサクロロロジウム酸アンモニウム
(0.001%NaCl 20%水溶液) 7ml
4液:
水 170ml
硝酸銀 64g
5液:
水 100ml
塩化ナトリウム 13g
臭化カリウム 11g
黄血塩 5mg
その後、フロキュレーション法によって、上記で得られた溶液を水洗した。具体的には、上記で得られた溶液に750mlの水を加えた後、溶液の温度を35℃に下げた。次に、硫酸を用いてハロゲン化銀が沈降するまで、溶液のpHを下げた(pH3.6±0.2の範囲であった)。次に、得られた溶液から上澄み液を約2.3リットル除去した(第1水洗)。さらに、2.3リットルの蒸留水を溶液に加えてから、ハロゲン化銀が沈降するまで硫酸を加え、再度、得られた溶液から上澄み液を2.3リットル除去した(第2水洗)。その後、第2水洗と同じ操作をさらに1回繰り返して(第3水洗)、水洗処理および脱塩処理を終了した。
上記水洗処理および上記脱塩処理を経て得られた乳剤のpHおよびpAgを、それぞれ6.4および7.5に調整した。次に、ゼラチン5.1g、ベンゼンチオスルホン酸ナトリウム10mg、ベンゼンチオスルフィン酸ナトリウム3mg、チオ硫酸ナトリウム15mg、および、塩化金酸10mgを乳剤に加え、55℃にて最適感度を得るように化学増感を乳剤に施した。次に、安定剤として1,3,3a,7−テトラアザインデン100mg、および、防腐剤としてプロキセル(商品名、ICI Co.,Ltd.製)100mgを、乳剤に加えた。最終的に、平均粒子径が0.22μmであり、変動係数が9%であるヨウ塩臭化銀立方体粒子の乳剤が得られた。なお、ヨウ塩臭化銀立方体粒子は、ヨウ化銀を0.08モル%含んでいた。また、ヨウ塩臭化銀立方体粒子中の塩臭化銀の比率は、塩化銀70モル%および臭化銀30モル%であった。
(感光性層形成用組成物の調製)
上記乳剤に1,3,3a,7−テトラアザインデン1.2×10-4モル/モルAg、ハイドロキノン1.2×10-2モル/モルAg、クエン酸3.0×10-4モル/モルAg、2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−1,3,5−トリアジンナトリウム塩0.90g/モルAg、および、微量の硬膜剤を添加して、塗布液を得た。次に、クエン酸を用いて、得られた塗布液のpHを5.6に調整した。
上記塗布液に、下記式(P−1)で表されるポリマー、および、ジアルキルフェニルPEO硫酸エステルからなる分散剤を含むポリマーラテックスX(分散剤/ポリマーの質量比が2.0/100=0.02)を添加した。その際、式(P−1)で表されるポリマー/ゼラチン(質量比)=0.5/1になるように、ポリマーラテックスXを塗布液に添加した。
さらに、架橋剤としてビニルスルホン系架橋剤を塗布液に添加した。なお、架橋剤の添加量は、後述するハロゲン化銀含有感光性層中における架橋剤の量が0.03g/m2となるように調整した。
以上のようにして感光性層形成用組成物を調製した。
なお、上記で例示した式(P−1)で表されるポリマーは、特許第3305459号および特許第3754745号を参照して合成した。
(感光性層形成工程)
38μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに上記ポリマーラテックスXを塗布して、厚み0.05μmの下塗り層を設けた。
次に、下塗り層上に、上記ポリマーラテックスXとゼラチンとを混合したハロゲン化銀不含有層形成用組成物を塗布して、厚み1.0μmのハロゲン化銀不含有層を設けた。なお、ハロゲン化銀不含有層中において、式(P−1)で表されるポリマーとゼラチンとの質量比(式(P−1)で表されるポリマーの質量/ゼラチンの質量)は2/1であり、式(P−1)で表されるポリマーの含有量は0.65g/m2であった。
次に、ハロゲン化銀不含有層上に、上記感光性層形成用組成物を塗布し、厚み2.5μmのハロゲン化銀含有感光性層を設けた。なお、ハロゲン化銀含有感光性層中、式(P−1)で表されるポリマーの含有量は0.22g/m2であり、銀の含有量は6.0g/m2であった。ハロゲン化銀含有感光性層中、ゼラチンに対する銀の体積比(銀の体積/ゼラチンの体積)は1.3/1であった。
次に、ハロゲン化銀含有感光性層上に、上記ポリマーラテックスXとゼラチンとを混合した保護層形成用組成物を塗布して、厚み0.15μmの保護層を設けた。なお、保護層中、式(P−1)で表されるポリマーとゼラチンとの質量比(式(P−1)で表されるポリマーの質量/ゼラチンの質量)は0.1/1であり、式(P−1)で表されるポリマーの含有量は0.015g/m2であった。
(露光工程)
高圧水銀ランプを光源とした平行光を用いて、図2に示す試験パターンの導電性細線(銀像)を与えうるフォトマスクを介して、上記で作製したハロゲン化銀含有感光性層を露光した。
なお、試験パターンは、IPC−TM650orSM840に準拠したパターンである。この試験パターンにおいて、くし型電極パターン中のライン幅は50μm、スペース幅は50μmであった。また、向かい合うくし型電極パターン中のライン数は、それぞれ17本および18本であった。
(現像工程および定着工程)
上記露光工程後、露光されたハロゲン化銀含有感光性層を有するPETフィルムを、28℃に調整された下記組成の現像液Aに27秒間浸漬した。
その後、PETフィルムを現像液Aから取り出し、このPETフィルムを36℃に調整された定着液Bに27秒間浸漬した。
その後、PETフィルムを定着液から取り出し、このPETフィルムを純水でリンスした。その後、PETフィルム表面が十分乾くまで、65℃でPETフィルムを乾燥した。
[現像液Aの組成]
現像液Aの1リットル(L)中には、以下の化合物が含まれる。なお、以下の成分以外は、水である。
ハイドロキノン 22g/L
ジエチレングリコール 5g/L
亜硫酸ナトリウム 6g/L
炭酸カリウム 33g/L
エチレンジアミン・四酢酸 2g/L
臭化カリウム 3g/L
イソアスコルビン酸ナトリウム一水和物 3g/L
トリエチレングリコール 3g/L
ポリエチレングリコール4000 1g/L
水酸化カリウム 8g/L
pHを10.5に調整
[定着液Bの組成]
定着液Bの1リットル(L)中には、以下の化合物が含まれる。なお、以下の成分以外は、水である。
チオ硫酸アンモニウム液(75%) 300ml/L
亜硫酸アンモニウム・1水塩 25g/L
酢酸 3g/L
pHを5.5に調整
(ゼラチン除去工程)
上記(現像工程および定着工程)を経て得られたPETフィルムを、後述するタンパク質分解酵素水溶液(40℃)に120秒間浸漬した。その後、PETフィルムをタンパク質分解酵素水溶液から取り出し、PETフィルムを温水(50℃)に120秒間浸漬した。その後、PETフィルムを温水から取り出し、PETフィルムに乾燥処理を施し、所定の導電性細線(以下、くし型パターン電極と呼ぶ)を有する導電シートを得た。
(タンパク質分解酵素水溶液の調製)
タンパク質分解酵素(ナガセケムテックス社製ビオプラーゼ30L)の水溶液(タンパク質分解酵素の濃度:0.5質量%)に、トリエタノールアミンおよび硫酸を加えて、pHを8.5に調整して、タンパク質分解酵素水溶液を調製した。
<実施例2〜4、比較例1〜3>
現像液の液温および定着液の液温を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様の手順に従って、導電シートを製造した。
<実施例5〜6>
現像液の液温および定着液の液温を表1に示すように変更し、かつ、(現像工程および定着工程)の手順を以下のように変更した以外は、実施例1と同様の手順に従って、導電シートを製造した。
(現像工程および定着工程)
上記露光工程後、露光されたハロゲン化銀含有感光性層を有するPETフィルムを、表1に示す液温に調整された現像液Aに27秒間浸漬した。
その後、PETフィルムを現像液Aから取り出し、このPETフィルムを表1に示す液温に調整された純水に10秒間浸漬した。
その後、PETフィルムを純水から取り出し、このPETフィルムを表1に示す液温に調整された定着液Bに27秒間浸漬した。
その後、PETフィルムを定着液から取り出し、このPETフィルムを純水でリンスした。その後、PETフィルム表面が十分乾くまで、65℃でPETフィルムを乾燥した。
各実施例および各比較例にて得られた導電シートを用いて、以下の評価を実施した。
<各種評価>
(微小突起評価)
KEYENCE社製デジタルマイクロスコープ(VHX−2000(レンズ;VHZ−100R))を用いて、レンズ倍率×300倍および照明輝度70%の条件にて、各導電シート中のくし型パターン電極を観察した(観察面積:1mm)。くし型パターン電極から突出する微小突起の個数を観察し、以下の基準に従って評価した。なお、以下の評価中で述べる微小突起の高さとは、ライン状の導電性細線の側面を基準として、その側面より突出した微小突起の頂点と上記側面との距離に該当する。より具体的には、図1に示す、高さHに該当する。
「A」:高さ3μm以上の微小突起の数が0個であり、かつ、高さ3μm未満の微小突起の数が0個である場合
「B」:高さ3μm以上の微小突起の数が0個であり、かつ、高さ3μm未満の微小突起の数が3個未満である場合
「C」:高さ3μm以上の微小突起の数が1個以上である、または、高さ3μm未満の微小突起の数が3個以上である場合
(イオンマイグレーション評価)
温度85℃および湿度85%RHの湿熱雰囲気下に導電シートを静置し、導電シート中のくし型パターン電極の両端に配線を接続し、片側から直流5Vの電流を連続的に印加した。電流を印加してから所定時間を経過した後、湿熱雰囲気下から連続印加処理が施された導電シートを取り出した。次に、アドバンテスト社製のR8340Aを用い、導電シートに直流5Vの印加電圧をかけ、導電シートの絶縁抵抗値(くし型パターン電極中のライン部間の絶縁抵抗値)を測定した。以下の基準に従って、評価した。
「A」:600時間の連続印加処理後でも、導電シートの絶縁抵抗値が1010Ω以上であった場合
「B」:500時間以上600時間未満の連続印加処理によって、導電シートの絶縁抵抗値が1010Ω未満まで低下した場合
「C」:500時間未満の連続印加処理によって、導電シートの絶縁抵抗値が1010Ω未満まで低下した場合
表1に示すように、本発明の製造方法によれば、所望の効果が得られることが確認された。
なかでも、実施例2と実施例1、3〜4との比較より、式(A3):10℃≧Y−X≧7℃を満たす場合、より優れた効果が得られることが確認された。
また、実施例2と5との比較より、工程Eを設けることにより、より優れた効果が得られることが確認された。
10 導電シート
12 支持体
14 導電性細線
16 微小突起

Claims (5)

  1. 支持体上に、ハロゲン化銀とゼラチンとを含み、前記ゼラチンに対する銀の体積比が1/3以上である、ハロゲン化銀含有感光性層を形成する工程Aと、
    前記ハロゲン化銀含有感光性層を露光する工程Bと、
    露光された前記ハロゲン化銀含有感光性層に、現像液を用いた現像処理を施す工程Cと、
    工程Cを経て得られた前記ハロゲン化銀含有感光性層に、定着液を用いた定着処理を施し、前記支持体上に金属銀を含む導電性細線を形成する工程Dと、を有し、
    前記現像液の液温Xと、前記定着液の液温Yとが以下の式(A1)の関係を満たす、導電シートの製造方法。
    式(A1) Y−X>5℃
  2. 前記工程Cと前記工程Dとの間に、前記ハロゲン化銀含有感光性層を水洗する工程Eをさらに有する、請求項1に記載の導電シートの製造方法。
  3. 前記液温Yが34℃以上である、請求項1または2に記載の導電シートの製造方法。
  4. 前記液温Xが34℃未満である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の導電シートの製造方法。
  5. 前記現像液の液温Xと、前記定着液の液温Yとが以下の式(A3)の関係を満たす、請求項1〜4のいずれか1項に記載の導電シートの製造方法。
    式(A3) 10℃≧Y−X≧7℃

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JP2006269795A (ja) * 2005-03-24 2006-10-05 Fuji Photo Film Co Ltd 透光性導電性膜形成用現像液並びに透光性導電性膜、透光性電磁波シールド膜及びそれらの製造方法

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