WO2021039908A1 - 車両用シート - Google Patents

Abstract

車両用シートにおいて、シートバックフレーム（２５）のサイドフレーム（３８）は、板状部（３８ａ）の前縁から連続し内向きに折り曲げ成形され、回転軸周りから鉛直方向に延びアッパーフレーム（３９）に至る湾曲域（４１）を形成する前壁（３８ｂ）と、板状部（３８ａ）の後縁から連続し内向きに折り曲げ成形され、回転軸周りから鉛直方向に延びアッパーフレーム（３９）に至る湾曲域（４２）を形成する後壁（３８ｃ）とを有し、前壁（３８ｂ）の内縁は、アッパーフレーム（３９）の形状に対応した仮想輪郭線（６８）から内側に広がって後方からアッパーフレーム（３９）の正面壁（５４）に重ねられる突片（６９）を有する。これにより、シートバックフレームの組み立てにあたって作業効率の向上に寄与することができる車両用シートを提供する。

Description

車両用シート

　本発明は、回転軸周りで回転軸線に直交する鉛直面に沿って広がって、鉛直面に沿って上向きに延びる板状部を有する左右のサイドフレームと、回転軸の上方で左右のサイドフレームを連結するアッパーフレームとを有するシートバックフレームを備える車両用シートに関する。

　特許文献１には、シートクッションにリクライニング自在に連結されるシートバックを備える車両用シートが開示される。このシートにおいて、シートバックは、回転軸から鉛直方向に上向きに延び、シートバックパッドを支持する左右のサイドフレームと、リクライニングの回転軸の上方で左右のサイドフレームを連結するアッパーフレームとを有している。またサイドフレームの前壁および後壁は、鉛直方向に全域にわたってアッパーフレームの端に覆い被されている。

日本特開２０１８－１６２０３３号公報 日本特許第５６９１７６９号公報 日本特開２０１３－６７２４０号公報

＜第１の課題＞
　上記特許文献１に記載の車両用シートにおいて、左右のサイドフレームは、アッパーフレームを両側から挟み込む構造となっている。そのアッパーフレームの組み付けにあたってアッパーフレームの左端は左サイドフレームに差し込まれ、またアッパーフレームの右端は右サイドフレームに差し込まれるため、組み付け作業は煩わしく、作業効率の向上が望まれる。

　本発明は、シートバックフレームの組み立てにあたって作業効率の向上に寄与することができる車両用シートを提供することを第１の目的とする。

＜第２の課題＞
　ところで、相互に離間した位置に並んで直線状に延びる一対のサイドフレームならびにそれらのサイドフレーム間を結ぶ連結部材を各々有するシートクッションフレームおよびシートバックフレームを備えた車両用シート装置において、例えば、シートバックフレームのサイドフレームで必要な強度が部分的に異なるために、そのサイドフレームの一部を厚肉化するようなことは、例えば特許文献２により知られている。

　この特許文献２の車両用シートでは、シートバックフレームにおけるサイドフレームが、サイドフレーム本体と、サイドフレーム本体よりも厚肉に形成されて前記サイドフレーム本体の下部に溶接されるサブフレームとで構成され、それによってシートバックフレームにおけるサイドフレームの下部のシートクッションフレームへのヒンジ結合部の強度を確保するようにしている。しかるに必要な強度を確保しつつサイドフレームの重量増加を抑えるには、サイドフレームの厚みをより細かく変化させることが望ましく、その際、サイドフレーム間を結ぶ連結部材とのサイドフレームの連結部の剛性に影響が及ぶことは避けたい。

　本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、連結部材との連結部の剛性に影響が及ぶことを回避しつつ、サイドフレームの強度を確保し、しかも重量低減を図り得るようにした車両用シート装置を提供することを第２の目的とする。

＜第３の課題＞
　ところで、シートクッションフレームならびに当該シートクッションフレームに連結されるシートバックフレームが、側板部と、当該側板部の外側縁から側方に張り出す鍔部とを一体に有しつつ相互に離間した位置に並んで直線状に延びる一対のサイドフレームを各々備えた車両用シート装置において、例えば、シートバックフレームにおけるサイドフレームが、側板部と、この側板部の外側縁に連設される鍔部とを一体に有して断面コ字形に形成されるものが、特許文献２により知られている。

　この特許文献２の車両用シートでは、サイドフレームの側板部および鍔部が同一板厚を有するように形成されており、このようなサイドフレームの剛性を高めるには、板厚増加で対処することが可能であるが、そうすると重量増加を招くことになる。このため重量増加を極力抑制しつつサイドフレームの剛性を高めることが望まれている。

　本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、重量増加を極力抑制しつつサイドフレームの剛性を高め得る車両シート装置を提供することを第３の目的とする。

＜第４の課題＞
　ところで、回転軸周りで回転軸線に直交する鉛直面に沿って広がって、鉛直面に沿って上向きに延びる板状部、および、その板状部の後縁から連続し内向きに折り曲げ成形され、回転軸周りから鉛直方向に延びる湾曲域を形成する後壁を有する左右のサイドフレームと、回転軸の後方に配置されて後壁に後方から接合され左右のサイドフレームを相互に連結する背領域を有するロワーフレームと、ロワーフレームの上方で左右のサイドフレームを相互に連結するアッパーフレームとを有するシートバックフレームを備える車両用シート（乗り物用シート）は、特許文献３により知られている。

　この特許文献３の車両用シートは、シートクッションにリクライニング自在に連結されるシートバックを備えており、シートバックフレームは、回転軸から鉛直方向に上向きに延び、シートバックパッドを支持する左右のサイドフレームと、リクライニングの回転軸線の後方に配置されて左右のサイドフレームを相互に連結するロワーパネル（ロワーフレーム）と、ロワーパネルの上方で左右のサイドフレームを相互に連結するアッパークロスメンバー（アッパーフレーム）とを有する。そして、左右のサイドフレーム、ロワーパネルおよびアッパークロスメンバーは四角いフレーム構造を形成する。

　ところが上記左右のサイドフレームの各々は、リクライニングの回転軸線に直交する鉛直面に沿って広がる板状部と、板状部の後縁から連続し内向きに折り曲げ成形され、回転軸周りから鉛直方向に延びアッパークロスメンバーに至る湾曲域を形成する後壁とを有しており、シートバックフレームの組み立てにあたってロワーパネルが後方からサイドフレームの後壁に接合される。したがって、ロワーパネルは一方向からサイドフレームに組み付けられるため、その組付けのための作業効率は良好である。

　その一方で、２つの接合領域の間は平板形状であることから、フレーム構造のねじれ剛性はそれほど高くない。従って、そのねじれ剛性の確保にあたってロワーパネルおよびサイドフレームの接合に高い接合強度が要求され、それだけ接合の作業負荷は増大する。

　本発明は、シートバックフレームの組み立てにあたって作業負荷の軽減に貢献することができる乗り物用シートを提供することを第４の目的とする。

＜第１の課題の解決手段及び効果＞
　上記第１の目的を達成するために、本発明は、回転軸周りで回転軸線に直交する鉛直面に沿って広がって、前記鉛直面に沿って上向きに延びる板状部を有する左右のサイドフレームと、前記回転軸の上方で左右のサイドフレームを連結するアッパーフレームとを有するシートバックフレームを備え、前記アッパーフレームは、板材から折り曲げ成形されて、水平方向に延びる上稜線および下稜線で仕切られる正面壁と、前記上稜線から連続し後方に広がる上壁と、前記上壁の後端から上向きに折り曲げ成形される上立ち壁と、前記下稜線から連続し後方に広がる下壁と、前記下壁の後端から下向きに折り曲げ成形される下立ち壁とを有する車両用シートにおいて、前記サイドフレームは、前記板状部の前縁から連続し内向きに折り曲げ成形され、前記回転軸周りから鉛直方向に延び前記アッパーフレームに至る湾曲域を形成する前壁と、前記板状部の後縁から連続し内向きに折り曲げ成形され、前記回転軸周りから鉛直方向に延び前記アッパーフレームに至る湾曲域を形成する後壁とを有し、前記前壁の内縁は、前記アッパーフレームの形状に対応した仮想輪郭線から内側に広がって後方から前記正面壁に重ねられる突片を有することを第１の特徴とする。この第１の特徴によれば、サイドフレームでは前壁および後壁で形成される湾曲域の働きで板状部の剛性が高められるため、サイドフレームでは軽量化されながらも十分な剛性を確保することができる。しかも、アッパーフレームは組み立て時の間隔で配置される左右のサイドフレームに前方から組み付け可能となり、このとき、サイドフレームの前壁は、アッパーフレームで正面壁よりも後方に位置する上立ち壁および下立ち壁に干渉しないで済む。こうしてアッパーフレームの組み付けにあたって作業効率を向上させることができる。

　また本発明は、第１の特徴に加えて、前記アッパーフレームの前記正面壁および前記サイドフレームの前記突片は溶接の溶接痕を有することを第２の特徴とする。この第２の特徴によれば、アッパーフレームおよびサイドフレームは重ねられて溶接されるので、シートバックフレームの剛性を高めることができる。

　また本発明は、第１又は第２の特徴に加えて、車両用シートは、前記後壁から連続し後方から前記アッパーフレームの前記上立ち壁に重ねられる上側重ね片を備えることを第３の特徴とする。この第３の特徴によれば、アッパーフレームはサイドフレームの前壁に加えて後壁（より具体的には上側重ね片）でも重ねられて支持剛性が高められ、上側重ね片はシートバックフレームの剛性の向上に貢献することができる。

　また本発明は、第３の特徴に加えて、前記アッパーフレームの前記上立ち壁および前記サイドフレームの前記上側重ね片は溶接の溶接痕を有することを第４の特徴とする。この第４の特徴によれば、アッパーフレームは前壁に加えて後壁でもサイドフレームに溶接されるので、シートバックフレームの剛性を高めることができる。

　また本発明は、第１～第４の何れかの特徴に加えて、車両用シートは、前記後壁から連続し後方から前記アッパーフレームの前記下立ち壁に重ねられる下側重ね片を備えることを第５の特徴とする。この第５の特徴によれば、アッパーフレームはサイドフレームの前壁に加えて後壁（より具体的には下側重ね片）でも重ねられて支持剛性が高められ、下側重ね片はシートバックフレームの剛性の向上に貢献することができる。

　また本発明は、第５の特徴に加えて、前記アッパーフレームの前記下立ち壁および前記サイドフレームの前記下側重ね片は溶接の溶接痕を有することを第６の特徴とする。この第６の特徴によれば、アッパーフレームは前壁に加えて後壁でもサイドフレームに溶接されるので、シートバックフレームの剛性を高めることができる。

　また本発明は、第６の特徴に加えて、前記下側重ね片は、前記下側重ね片の下端から前向きに折り曲げ成形される下フランジを有することを第７の特徴とする。この第７の特徴によれば、サイドフレーム延いてはアッパーフレームの剛性が高められ、シートフレームの変形を抑制可能となる。これにより、車両用シートに座る乗員の背中は良好に支持されることができる。

　また本発明は、第７の特徴に加えて、前記アッパーフレームは、水平方向に前記下フランジに対応する位置で前記下立ち壁の下端から連続し前向きに折り曲げ成形されるフランジを有することを第８の特徴とする。この第８の特徴によれば、アッパーフレーム延いてはサイドフレームの剛性が高められ、シートフレームの変形を抑制可能となる。これにより、車両用シートに座る乗員の背中は良好に支持されることができる。

　また本発明は、第８の特徴に加えて、車両用シートは、前記後壁の内端から折り曲げ成形され前記下フランジから連続するサイドフレームフランジを備えることを第９の特徴とする。この第９の特徴によれば、下側重ね片の下フランジは後壁のサイドフレームフランジから連続することから、下側重ね片の剛性を高めることができる。

　また本発明は、第１～第９の何れかの特徴に加えて、車両用シートは、前記上壁に形成されて、軸線方向に変位自在にヘッドレストピラーを支持するヘッドレストピラーガイドを受け入れる第１支持孔と、前記下壁に形成されて前記ヘッドレストピラーガイドを受け入れる第２支持孔とを有し、前記第１支持孔および前記第２支持孔の周縁にはそれぞれ下向きに折り曲げ成形される支持孔フランジが形成されることを第１０の特徴とする。この第１０の特徴によれば、第１支持孔および第２支持孔の形成に拘わらず上立ち壁および下立ち壁の剛性を確保することができる。しかも、支持孔フランジはいずれも下向きに折り曲げ成形されるので、ヘッドレストピラーガイドの組み付けにあたってヘッドレストピラーガイドは良好に第１支持孔および第２支持孔に差し込み可能となる。

＜第２の課題の解決手段及び効果＞
　上記第２の目的を達成するために、本発明は、相互に離間した位置に並んで直線状に延びる一対のサイドフレーム（２１８，２２５Ａ、２２５Ｂ，２２５Ｃ，２２５Ｄ）ならびにそれらのサイドフレーム（２１８，２２５Ａ～２２５Ｄ）間を結ぶ連結部材（２１９，２２０，２２７，２２８）をそれぞれ有するシートクッションフレーム（２１５）およびシートバックフレーム（２１６）を備える車両用シート装置において、前記シートクッションフレーム（２１５）および前記シートバックフレーム（２１６）の少なくとも一方の前記サイドフレーム（２１８，２２５Ａ～２２５Ｄ）が、当該サイドフレーム（２１８，２２５Ａ～２２５Ｄ）の長手方向複数箇所で前記連結部材（２１９，２２０，２２７，２２８）との連結部を避けた位置に配置される板厚境界線（Ｌ３，Ｌ４；Ｌ１，Ｌ２）で板厚が変化する形状に形成されることを第１の特徴とする。この第１の特徴によれば、シートクッションフレームおよびシートバックフレームの少なくとも一方のサイドフレームの長手方向複数箇所に、板厚が変化する板厚境界線が設定され、その板厚境界線を避けた位置でサイドフレームに連結部材が連結されるので、複数の板厚境界線でサイドフレームの板厚が変化することで、シートクッションフレームおよびシートバックフレームの少なくとも一方において、サイドフレームの必要な強度を確保しつつ重量増加を抑えることが可能であり、しかも連結部材とのサイドフレームの連結部の剛性に影響が及ぶことを回避することができる。

　また本発明は、第１の特徴に加えて、前記サイドフレーム（２２５Ａ～２２５Ｄ）の前記板厚境界線（Ｌ１，Ｌ２）を避けた位置に、当該サイドフレーム（２２５Ａ～２２５Ｄ）の長手方向とは交差する方向に延びて内外いずれかに隆起した補強部（２３８，２３９，２６８，２７２，２７３，２７４）が設けられることを第２の特徴とする。この第２の特徴によれば、板厚境界線を避けた位置でサイドフレームに、サイドフレームの長手方向とは交差する方向に延びる補強部が設けられるので、連結部材とのサイドフレームの連結部の剛性に影響が及ばないようにしつつサイドフレームの強度をより増大することができる。

　また本発明は、第１又は第２の特徴に加えて、補強機能を果たす補助部材（２６３）が、前記板厚境界線（Ｌ２）での前記サイドフレームへ（２２５Ａ）の接触を回避しつつ、前記板厚境界線（Ｌ２）を跨いで前記サイドフレーム（２２５Ａ）に設けられることを第３の特徴とする。この第３の特徴によれば、板厚境界線でサイドフレームに接触することのない補助部材が板厚境界線を跨いてサイドフレームに設けられるので、サイドフレームの板厚境界線での剛性を高めることができる。

　また本発明は、第１の特徴に加えて、前記サイドフレーム（２２５Ａ～２２５Ｃ）に、当該サイドフレーム（２２５Ａ～２２５Ｃ）の長手方向に沿って延びて内外いずれかに隆起した補強部（２３７，２６７）が前記板厚境界線（Ｌ１，Ｌ２）を横切って設けられることを第４の特徴とする。この第４の特徴によれば、板厚境界線を横切る補強部がサイドフレームに設けられるので、サイドフレームの板厚境界線での剛性を高めることができる。

　また本発明は、第１～第４の何れかの特徴に加えて、前記サイドフレーム（２２５Ａ～２２５Ｄ）に、取付け部品（２３４，２５１，２５６）を取付けるための貫通孔（２４０～２４６）が形成され、前記板厚境界線（Ｌ１，Ｌ２）が前記貫通孔（２４０～２４６）を避けて設定されることを第５の特徴とする。この第５の特徴に加えて、取付け部不品を取付けるための貫通孔を避けて板厚境界線が設定されるので、取付け部品のサイドフレームへの取付け剛性に板厚境界線が影響を及ぼすことがない。

　また本発明は、第１～第５の何れかの特徴に加えて、前記サイドフレーム（２２５Ａ～２２５Ｄ）の板厚同一部位に、エアバッグ（２５１）が取付けられることを第６の特徴とする。この第６の特徴によれば、エアバッグがサイドフレームの板厚同一部位に取付けられるので、板厚同一部位でのサイドフレームの剛性を高めることができる。

　また本発明は、第６の特徴に加えて、前記エアバッグ（２５１）の展開を抑制する力布（２５６）が、前記サイドフレーム（２２５Ａ～２２５Ｄ）の板厚同一部位に固定されることを第７の特徴とする。この第７の特徴によれば、エアバッグの力布がサイドフレームの板厚同一部位に固定されるので、エアバッグの展開時に板厚境界線に影響が及ぶことを抑えることができる。

　また本発明は、第１～第７の何れかの特徴に加えて、乗員着座時に当該乗員からの荷重を受け得る補助部材（２６３）が、前記シートバックフレーム（２１６）が備える前記サイドフレーム（２２５Ａ）に、前記板厚境界線（Ｌ２）を避けて固定されることを第８の特徴とする。この第８の特徴によれば、シートバックフレームにおけるサイドフレームの板厚境界線を避けた位置に、着座状態の乗員から荷重を受ける可能性がある補助部材が固定されるので、補助部材からの荷重がサイドフレームの板厚境界線部分に影響を及ぼすことを抑制することができる。

　また本発明は、第１～第８の何れかの特徴に加えて、前記サイドフレーム（２２５Ａ～２２５Ｄ）の前記板厚境界線（Ｌ１，Ｌ２）を避けた位置に、着座者の荷重を受けて弾性変形する受圧部材（２３４）が取付けられることを第９の特徴とする。この第９の特徴によれば、着座者の荷重を受けて弾性変形する受圧部材が、サイドフレームの前記板厚境界線を避けた位置に取付けられるので、受圧部材からの荷重がサイドフレームの板厚境界線部分に影響を及ぼすことを抑制することができる。

＜第３の課題の解決手段及び効果＞
　上記第３の目的を達成するために、本発明は、シートクッションフレーム（３１５）ならびに当該シートクッションフレーム（３１５）に連結されるシートバックフレーム（３１６）が、側板部（３１８ａ，３２５ａ）と、当該側板部（３１８ａ，３２５ａ）の外側縁から側方に張り出す鍔部（３１８ｂ，３１８ｃ；３２５ｂ，３２５ｃ，３２５ｄ）とを一体に有しつつ相互に離間した位置に並んで直線状に延びる一対のサイドフレーム（３１８，３２５Ａ，３２５Ｂ，３２５Ｃ，３２５Ｄ）をそれぞれ備える車両用シート装置において、前記シートクッションフレーム（３１５）および前記シートバックフレーム（３１６）の少なくとも一方の前記サイドフレーム（３１８，３２５Ａ～３２５Ｄ）が、前記側板部（３１８ａ，３２５ａ）を少なくとも含む基準板厚領域（Ａ２，Ａ１）の基準板厚（ｔａ２，ｔａ１）と、前記鍔部（３１８ｂ，３１８ｃ；３２５ｂ，３２５ｃ，３２５ｄ）を少なくとも含む板厚増加領域（Ｂ２，Ｂ１）で前記基準板厚（ｔａ２，ｔａ１）よりも厚肉とした増加板厚（ｔｂ２，ｔｂ１）とを有しつつ、前記基準板厚領域（Ａ２，Ａ１）および前記板厚増加領域（Ｂ２，Ｂ１）で板厚を変化させて形成されることを第１の特徴とする。この第１の特徴によれば、シートクッションフレームおよびシートバックフレームの少なくとも一方のサイドフレームの少なくとも鍔部を含む一部を厚肉にすることで、サイドフレームの重量増加を極力抑制しつつ、サイドフレームの剛性を高めることが可能となる。

　また本発明は、第１の特徴に加えて、前記板厚増加領域（Ｂ２，Ｂ１）が、前記側板部（３１８ａ，３２５ａ）の外側縁部のうち前記鍔部（３１８ｂ，３１８ｃ；３２５ｂ～３２５ｄ）に屈曲した形状で一体に連なる部分とを含んで設定されることを第２の特徴とする。この第２の特徴によれば、板厚増加領域が前記側板部の外側縁部の一部であって前記鍔部に屈曲した形状で一体に連なる部分を含んで設定されることによって、サイドフレームの剛性をより高めることができる。

　また本発明は、第１又は第２の特徴に加えて、前記板厚増加領域（Ｂ１）の一部が、前記側板部（３２５ａ）に取付けられる取付け部品（３３０）を三方向から囲んで定められることを第３の特徴とする。この第３の特徴によれば、側板部への取付け部品の取付け部を三方向から囲む範囲が厚肉に形成されることで、取付け部の剛性向上を図ることができる。

　また本発明は、第１～第３の何れかの特徴に加えて、前記シートバックフレーム（３１６）が備える前記サイドフレーム（３２５Ａ～３２５Ｄ）の前記側板部（３２５ａ）に、前記シートクッションフレーム（３１５）に対する前記シートバックフレーム（３１６）の角度を調整可能なリクライニングユニット（３３０）を取付けるためのリクライニングユニット取付け部（３３２）が設けられ、当該リクライニングユニット取付け部（３３２）が前記板厚増加領域（Ｂ１）の前記増加板厚（ｔｂ１）よりも厚肉に形成されることを第４の特徴とする。この第４の特徴によれば、シートバックフレームにおけるサイドフレームの側板部にリクライニングユニットを取付けるために設けられたリクライニングユニット取付け部が、板厚増加領域の増加肉厚よりも厚肉となることで、リクライニングユニットの取付け剛性が向上する。

　また本発明は、第１～第４の何れかの特徴に加えて、前記側板部（３２５ａ）のうち前記板厚増加領域（Ｂ１）に含まれる部分の一部に、内外いずれかに隆起した補強部（３３７，３６７）が設けられることを第５の特徴とする。この第５の特徴によれば、板厚増加領域に含まれる部分で側板部の一部に内外いずれかに隆起した補強部が設けられるので、側板部の剛性をより高めることができる。

　また本発明は、第１～第５の何れかの特徴に加えて、前記板厚増加領域（Ｂ１）のうち相互に離隔した部位間を結ぶ補強部（３３８，３３９）が、前記側板部（３２５ａ）に設けられることを第６の特徴とする。この第６の特徴によれば、板厚増加領域の相互に離隔した部位間が補強部で結ばれるので、サイドフレームの剛性がより一層向上する。

　また本発明は、第１～第６の何れかの特徴に加えて、前記基準板厚領域（Ａ１）に含まれる部分で前記側板部（３２５ａ）に貫通孔（３４０～３４６）が形成されることを第７の特徴とする。この第７の特徴によれば、基準板厚領域で側板部に貫通孔が形成されるので、貫通孔の加工精度を高めることができる。

＜第４の課題の解決手段及び効果＞
　上記第４の目的を達成するために、本発明は、回転軸周りで回転軸線（ＳＸ）に直交する鉛直面に沿って広がって、前記鉛直面に沿って上向きに延びる板状部（４３５ａ）、前記板状部（４３５ａ）の前縁から連続し内向きに折り曲げ成形され、前記回転軸周りから鉛直方向に延びる湾曲域（４３８）を形成する前壁（４３５ｂ）、および、前記板状部（４３５ａ）の後縁から連続し内向きに折り曲げ成形され、前記回転軸周りから鉛直方向に延びる湾曲域（４３９）を形成する後壁（４３５ｃ）を有する左右のサイドフレーム（４３５）と、前記回転軸線（ＳＸ）の後方に配置されて前記後壁（４３５ｃ）に後方から接合され前記左右のサイドフレーム（４３５）を相互に連結する背領域（４５１）を有するロワーフレーム（４３６）と、前記ロワーフレーム（４３６）の上方で前記左右のサイドフレーム（４３５）を相互に連結するアッパーフレーム（４３７）とを有するシートバックフレーム（４２５）を備える乗り物用シート（４１１）において、前記ロワーフレーム（４３６）は、前記背領域（４５１）の下縁から連続して前記回転軸線（ＳＸ）よりも前方に向かって広がり前記前壁（４３５ｂ）に後方から接合される補強域（４５２）を有することを第１の特徴とする。この第１の特徴によれば、ロワーフレームは、背領域に加えて、背領域の下縁から回転軸線よりも前方に向かって広がる補強域で個々のサイドフレームに接合されることから、シートバックフレームのねじれ剛性は高められることができる。ロワーフレームが背領域だけでサイドフレームに接合される場合に比べて、ロワーフレームおよびサイドフレームの接合強度は軽減されることができる。こうして接合の作業負荷は軽減されることができる。しかも、シートバックフレームの組み立てにあたってロワーフレームは後方からサイドフレームに組み付けられることができる。ロワーフレームには一方向からサイドフレームは組み付けられることができる。組み立ての作業性は損なわれない。

　また本発明は、第１の特徴に加えて、前記サイドフレーム（４３５）は、前記回転軸周りで前記板状部（４３５ａ）の周縁に沿って前記前壁（４３５ｂ）および前記後壁（４３５ｃ）の間に形成される空間（４５９）を有することを第２の特徴とする。この第２の特徴によれば、回転軸周りで板状部の周縁に沿って折り曲げ成形される前壁と、回転軸周りで板状部の周縁に沿って折り曲げ成形される後壁とは空間で分離されることから、サイドフレームの絞り加工にあたって、前壁および後壁が回転軸周りで連続する場合に比べて前壁および後壁の形状精度は高められることができる。したがって、ロワーフレームに対してサイドフレームの組付性は安定する。

　また本発明は、第１又は第２の特徴に加えて、前記サイドフレーム（４３５）に個々に取り付けられて、前記回転軸線（ＳＸ）回りで回転自在にシートクッションフレーム（４２４）に前記シートバックフレーム（４２５）を連結するリクライニング機構（４３４）と、左右の前記リンクライニング機構（４３４）を連結する連結部材（４４５）とをさらに備え、前記ロワーフレーム（４３６）の前記背領域（４５１）には、シートバックフレーム（４２５）の組み立て時にジグ（５０４）の通過を許容する開口（４５６）が形成され、前記連結部材（４４５）には、前記開口（４５６）の前方に配置されて、前記ジグ（５０４）に保持される角体（４５８）が形成されることを第３の特徴とする。この第３の特徴によれば、シートバックフレームの組み立てにあたって後方から開口にジグは挿入されることができる。ジグには連結部材の角体が保持されることができる。こうして連結部材は左右の回転体に対して位置決めされることができる。連結部材は個々の回転体に対して良好な作業効率で接合されることができる。

　また本発明は、第１～第３の何れかの特徴に加えて、前記ロワーフレーム（４３６）の前記背領域（４５１）には、第１平面（Ｐｆ）内で広がって後方から支持される第１受け面（４５７）が形成され、前記サイドフレーム（４３５）の前記後壁（４３５ｃ）には、前記第１平面（Ｐｆ）に対して決められた位置関係で設定される第２平面（Ｐｓ）内で広がって、後方から支持される際に前記ロワーフレーム（４３６）に対して前記サイドフレーム（４３５）を位置決めする第２受け面（４６４）が形成されることを第４の特徴とする。第４の特徴によれば、シートバックフレームの組み立てにあたってロワーフレームは第１受け面で物理的に支持されることができる。サイドフレームが第２受け面で物理的に支持されると、第１平面および第２平面の位置関係に基づきロワーフレームに対してサイドフレームは位置決めされることができる。サイドフレームはロワーフレームに対して容易に位置決めされることができる。

　また本発明は、第１～第３の何れかの特徴に加えて、前記アッパーフレーム（４３７）は、板材から折り曲げ成形されて、水平方向に延びる上稜線（４６７）および下稜線（４６８）で仕切られる正面壁（４６９）と、前記上稜線（４６７）から連続し後方に広がる上壁（４７１）と、前記上壁（４７１）の後端から上向きに折り曲げ成形され、前記後壁（４３５ｃ）に前方から接合される上立ち壁（４７２）と、前記下稜線（４６８）から連続し後方に広がる下壁（４７３）と、前記下壁（４７３）の後端から下向きに折り曲げ成形され、前記後壁（４３５ｃ）に前方から接合される下立ち壁（４７４）とを有し、前記前壁（４３５ｂ）の内縁は、前記アッパーフレーム（４３７）の形状に対応した仮想輪郭線（４８３ａ）から内側に広がって後方から前記正面壁（４６９）に重ねられる突片（４８３）を有することを第５の特徴とする。この第５の特徴によれば、アッパーフレームは、組み立て時の間隔で配置される左右のサイドフレームに前方から組み付けられることができる。このとき、サイドフレームの前壁は、アッパーフレームで正面壁よりも後方に位置する上立ち壁および下立ち壁に干渉しないで済む。こうしてアッパーフレームの組み付けにあたって作業効率は向上することができる。

　また本発明は、第５の特徴に加えて、前記正面壁（４６９）は、水平方向に左右２か所で前向きに折り曲げ成形され鉛直方向の谷折り線（４７７）に沿って窪みを形成し前記突片（４８３）に向かって延びる連結片（４６９ａ）を有し、前記窪みには、前記谷折り線（４７７）に交差しながら延び曲げ方向に剛性を補強する補強形状（４９３）が形成されることを第６の特徴とする。この第６の特徴によれば、正面壁では谷折り線に沿った折り曲げに対して剛性は高められることができる。したがって、アッパーフレームの組み付けにあたってアッパーフレームの変形は抑制されることができる。組み付けの作業効率は高められることができる。

　また本発明は、第５又は第６の特徴に加えて、前記上壁（４７１）および前記下壁（４７３）にはヘッドレストピラー（４２１）を保持する同軸の貫通孔（４８７、４８８）が形成され、前記正面壁（４６９）には、正面視で前記ヘッドレストピラー（４２１）に交差しながら延び面内方向に剛性を補強する補強形状（４９４）が形成されることを第７の特徴とする。この第７の特徴によれば、上壁および下壁の貫通孔に対応して正面壁の剛性は高められることができる。したがって、アッパーフレームの組み付けにあたってアッパーフレームの変形は抑制されることができる。組み付けの作業効率は高められることができる。

　また本発明は、第５又は第６の特徴に加えて、前記上壁（４７１）および前記下壁（４７３）にはヘッドレストピラー（４２１）を保持する同軸の貫通孔（４８７、４８８）が形成され、前記上立ち壁（４７２）には、前記上立ち壁（４７２）の上端から連続し前向きに折り曲げ成形されるフランジ（４７５）が形成され、前記貫通孔（４８７、４８８）の後方で前記フランジ（４７５）には、前記フランジ（４７５）の前縁から連続し上向きまたは下向きに折り曲げ成形される受け片（４９２）が形成されることを第８の特徴とする。この第８の特徴によれば、上壁および下壁の貫通孔に対応して正面壁の剛性は高められることができる。したがって、アッパーフレームの組み付けにあたってアッパーフレームの変形は抑制されることができる。組み付けの作業効率は高められることができる。

　また本発明は、第８の特徴に加えて、前記上壁（４７１）および前記下壁（４７３）には、前記貫通孔（４８８、４８９）に挿入されて、前記ヘッドレストピラー（４２１）を案内するヘッドレストピラーガイド（４８６）を支持する支持筒（５０７）が固定され、前記受け片（４９２）は後方から前記支持筒（５０７）を支持することを第９の特徴とする。この第９の特徴によれば、支持筒および受け片の協働で正面壁の剛性は高められることができる。したがって、アッパーフレームの組み付けにあたってアッパーフレームの変形は抑制されることができる。組み付けの作業効率は高められることができる。

　また本発明は、第５～第９の何れかの特徴に加えて、前記ロワーフレーム（４３６）の前記背領域（４５１）には、第１平面（Ｐｆ）内で広がって後方から支持される第１受け面（４５７）が形成され、前記サイドフレーム（４３５）の前記後壁（４３５ｃ）には、前記第１平面（Ｐｆ）に対して決められた位置関係で設定される第２平面（Ｐｓ）内で広がって、後方から支持される際に前記ロワーフレーム（４３６）に対して前記サイドフレーム（４３５）を位置決めする第２受け面（４６４）が形成され、前記アッパーフレーム（４３７）には、前記第２平面（Ｐｓ）に対して決められた位置関係で設定される第３平面（Ｐｔ）内で広がって、後方から支持される際に前記サイドフレーム（４３５）に対して前記アッパーフレーム（４３７）を位置決めする第３受け面（４９６）が形成されることを第１０の特徴とする。この第１０の特徴によれば、シートバックフレームの組み立てにあたってロワーフレームは第１受け面で物理的に支持されることができる。サイドフレームが第２受け面で物理的に支持されると、第１平面および第２平面の位置関係に基づきロワーフレームに対してサイドフレームは位置決めされることができる。サイドフレームはロワーフレームに対して容易に位置決めされることができる。アッパーフレームが第３受け面に物理的に支持されると、第２平面および第３平面の位置関係に基づきサイドフレームにアッパーフレームは位置決めされることができる。アッパーフレームはサイドフレームに対して容易に位置決めされることができる。

＜第１の課題の解決手段の実施形態を示す図面の説明＞
図１は第１実施形態に係る車両用シートの全体構成を概略的に示す斜視図である。 図２はシートフレームの構造を概略的に示す斜視図である。 図３はシートクッションパッド及びシートバックパッドの構成を概略的に示す斜視図である。 図４はアッパーフレームの拡大正面図である。 図５はサイドフレームの拡大平面図である。 図６は図４の６－６線に沿った拡大断面図である。 図７は図４の７－７線に沿った拡大断面図である。 図８は第２実施形態に係る車両用シートに組み込まれるシートバックフレームの一部を概略的に示す拡大斜視図である。 図９は図８から相違する角度から観察されるシートバックフレームの拡大斜視図である。 図１０は第３実施形態に係る車両用シートに組み込まれるシートバックフレームの一部を概略的に示す拡大側面図である。 図１１は折り畳み式テーブルの構造を概略的に示す拡大下面図である。 図１２は他の実施形態に係るヘッドレストピラーガイドの支持構造を概略的に示す拡大部分正面図である。 図１３は図１２の１３－１３線に沿った拡大断面図である。 図１４はさらに他の実施形態に係るヘッドレストピラーガイドの支持構造を概略的に示す拡大部分正面図である。 図１５は図１４の１５－１５線に沿った拡大断面図である。

＜第２の課題の解決手段の実施形態を示す図面の説明＞
図１６は第１実施形態のシートフレームの斜視図である。 図１７はシートバック側サイドフレームの側面図である。 図１８は図１７の１８－１８線断面図である。 図１９はシートバック側サイドフレームへのエアバックの取付け構造を示すための、図１６で１９－１９線に沿うシート装置の縦断面図である。 図２０はシートクッション側サイドフレームの側面図である。 図２１は図２０の２１－２１線断面図である。 図２２は第２実施形態のシートバック側サイドフレームの側面図である。 図２３は第３実施形態のシートバック側サイドフレームの側面図である。 図２４は第４実施形態のシートバック側サイドフレームの側面図である。

＜第３の課題の解決手段の実施形態を示す図面の説明＞
図２５は第１実施形態のシートフレームの斜視図である。 図２６はシートバック側サイドフレームの側面図である。 図２７は図２６の２７－２７線断面図である。 図２８は図２６の２８－２８線断面図である。 図２９はシートクッション側サイドフレームの側面図である。 図３０は図２９の３０－３０線断面図である。 図３１は第２実施形態のシートバック側サイドフレームの側面図である。 図３２は第３実施形態のシートバック側サイドフレームの側面図である。 図３３は第４実施形態のシートバック側サイドフレームの側面図である。 図３４は第５実施形態の左側リクライニングユニット及びその周辺部を示す左側面図である。 図３５は第５実施形態の右側リクライニングユニット及びその周辺部を示す右側面図である。 図３６は図３４の３６－３６線拡大断面図である。 図３７は図３５の３７－３７線拡大断面図である。

＜第４の課題の解決手段の実施形態を示す図面の説明＞
図３８は第１実施形態に係る車両用シートの全体構成を概略的に示す斜視図である。 図３９はシートフレームの構造を概略的に示す斜視図である。 図４０はシートクッションパッド及びシートバックパッドの構成を概略的に示す斜視図である。 図４１はロワーフレームの正面図である。 図４２はロワーフレームの背面図である。 図４３は図４１の４３－４３線に沿った拡大断面図である。 図４４はシートバックフレームの拡大部分下面図である。 図４５はアッパーフレームの正面図である。 図４６はサイドフレームの拡大部分正面図である。 図４７は図４５の４７－４７線に沿った断面図である。 図４８はアッパーフレームの上壁の拡大斜視図である。 図４９は差し込み孔の中心軸を通る切断面で切断されたロワーフレームの断面図である。 図５０はロワーフレームに重ねられて、差し込み孔の中心軸を通る切断面で切断されたサイドフレームの断面図である。 図５１はサイドフレームに重ねられて、差し込み孔の中心軸を通る切断面で切断されたアッパーフレームの断面図である。 図５２は開口の中心軸を通る切断面で切断されたロワーフレーム及び連結軸の断面図である。 図５３は変形例に係るアッパーフレームの正面図である。 図５４は開口の中心軸を通る切断面で切断されたロワーフレーム及び連結軸の断面図であって他の具体例に係る連結軸を示す図である。 図５５はアッパーフレームの上壁及び下壁に挿入される支持筒を概略的に示す正面図である。 図５６は図５５の５６－５６線に沿った断面図である。

＜第１の課題の解決手段の実施形態を示す図面の符号の説明＞
１１・・・車両用シート
２１・・・ヘッドレストピラー
２５・・・シートバックフレーム
２５ａ・・第２実施形態のシートバックフレーム
２５ｂ・・第３実施形態のシートバックフレーム
３６・・・回転軸（支軸）
３８・・・サイドフレーム
３８ａ，３８ｂ，３８ｃ・・・板状部，前壁，後壁
３９・・・アッパーフレーム
４１・・・（前壁の）湾曲域
４２・・・（後壁の）湾曲域
４３・・・サイドフレームフランジ
５２，５３・・・上稜線，下稜線
５４，５５，５７・・・アッパーフレームの正面壁，上壁，下壁
５６，５８・・・アッパーフレームの上立ち壁，下立ち壁
６２・・・フランジ（第２フランジ）
６５・・・（正面壁の）溶接痕
６８・・・仮想輪郭線
６９・・・突片
７５・・・ヘッドレストガイド
７６，７７・・・第１支持孔，第２支持孔
７９・・・支持孔フランジ
８１・・・第２実施形態のアッパーフレーム
８２，８３・・・上稜線，下稜線
８４，８５，８７・・・第２実施形態のアッパーフレームの正面壁，上壁，下壁
８６，８８・・・・・・第２実施形態のアッパーフレームの上立ち壁，下立ち壁
９２・・・フランジ（第２フランジ）
９５・・・（正面壁の）溶接痕
１１１・・・第３実施形態のアッパーフレーム
ＳＸ・・・サイドフレームの回転軸線（揺動軸線）

＜第２の課題の解決手段の実施形態を示す図面の符号の説明＞
２１５・・・シートクッションフレーム
２１６・・・シートバックフレーム
２１８，２２５，２２５Ａ、２２５Ｂ，２２５Ｃ，２２５Ｄ・・・サイドフレーム
２１９・・・連結部材であるパンフレーム
２２０・・・連結部材であるリヤパイプ
２２７・・・連結部材であるロアフレーム
２２８・・・連結部材であるヘッドレスト取付けブラケット
２３４・・・取付け部品であるバック側受圧部材
２３７～２３９，２６７～２７４・・・補強部
２４０～２４６・・・貫通孔
２５１・・・取付け部品であるエアバッグ
２５６・・・取付け部品である力布
２６３・・・補助部材
Ｌ１～Ｌ４・・・板厚境界線

＜第３の課題の解決手段の実施形態を示す図面の符号の説明＞
３１５・・・シートクッションフレーム
３１６・・・シートバックフレーム
３１８，３２５Ａ，３２５Ｂ，３２５Ｃ，３２５Ｄ・・・サイドフレーム
３１８ａ，３２５ａ・・・側板部
３１８ｂ，３１８ｃ，３２５ｂ，３２５ｃ，３２５ｄ・・・鍔部
３３０・・・取付け部品であるリクライニングユニット
３３２・・・リクライニングユニット取付け部
３３７，３３８，３３９，３６７・・・補強部
３４０～３４６・・・貫通孔
Ａ１，Ａ２・・・基準板厚領域
Ｂ１，Ｂ２・・・板厚増加領域
ｔａ１，ｔａ２・・・基準板厚
ｔｂ１，ｔｂ２・・・増加板厚

＜第４の課題の解決手段の実施形態を示す図面の符号の説明＞
４１１・・・乗り物用シート（車両用シート）
４２１・・・ヘッドレストピラー
４２４・・・シートクッションフレーム
４２５・・・シートバックフレーム
４３４・・・リクライニング機構（リクライニングユニット）
４３５・・・サイドフレーム
４３５ａ，４３５ｂ，４３５ｃ・・・サイドフレームの板状部，前壁，後壁
４３６・・・ロワーフレーム
４３７・・・アッパーフレーム
４３８，４３９・・・湾曲域
４４５・・・連結部材（連結軸）
４５１，４５２・・・背領域，補強域
４５６・・・開口
４５７，４６７，４９６・・・第１受け面，第２受け面，第３受け面
４５８・・・角体
４５９・・・空間
４６７，４６８・・・上稜線，下稜線
４６９，４７１，４７３・・・正面壁，上壁，下壁
４６９ａ・・・連結片
４７２，４７４・・・上立ち壁，下立ち壁
４７５・・・フランジ（第１フランジ）
４７７・・・谷折り線
４８３・・・突片
４８３ａ・・・仮想輪郭線
４８６・・・ヘッドレストピラーガイド
４８７，４８８・・・貫通孔（第１貫通孔，第２貫通孔）
４９２・・・受け片
４９３，４９４・・・補強形状（ビード）
５０４・・・ジグ
５０７・・・支持筒
Ｐｆ，Ｐｓ，Ｐｔ・・・第１平面，第２平面，第３平面
ＳＸ・・・回転軸線（揺動軸線）

＜第１の課題の解決手段の実施形態＞
　以下、添付図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明する。なお、以下の説明では、前後、左右および上下は通常の着座姿勢（運転時の基本姿勢）で車両用シートに着座した乗員から見た方向をいう。

　図１は本発明の第１実施形態に係る車両用シートの全体構成を概略的に示す。車両用シート１１は、例えば車両のモノコック構造の１構成要素として機能するフロアパネル１２に結合されるスライドレール１３と、前後方向に移動可能にスライドレール１３に支持されて、乗員の臀部および大腿を受け止めるシートクッション１４と、揺動軸線ＳＸ回りで前後方向に揺動可能にシートクッション１４に連結されて、乗員の背中を受け止めるシートバック１５と、シートバック１５の上端に支持されて、乗員の頭を受け止めるヘッドレスト１６とを備える。シートクッション１４、シートバック１５およびヘッドレスト１６は個別に内部のパッドを包み込む表皮材１４ａ、１５ａ、１６ａを有する。表皮材１５ａ、１６ａは、吊り込み糸１７の働きでパッドの窪みに倣ってパッドの外面に密着する。パッドの詳細は後述される。車両用シート１１は左座席用に構成される。車両用シート１１が右座席用に用いられる場合には、車両用シート１１で左右が入れ替えられればよい。

　シートクッション１４はサイドカバー１８を備える。サイドカバー１８には第１スイッチ１９ａおよび第２スイッチ１９ｂが取り付けられる。第１スイッチ１９ａは、前後方向に長い摘まみで形成される。第１スイッチ１９ａが前方に操作されると、シートクッション１４およびシートバック１５は前方に移動する。第１スイッチ１９ａが後方に操作されると、シートクッション１４およびシートバック１５は後方に移動する。第１スイッチ１９ａが上方に操作されると、シートクッション１４およびシートバック１５は上方に移動する。第１スイッチ１９ａが下方に操作されると、シートクッション１４およびシートバック１５は下方に移動する。第２スイッチ１９ｂは、上下方向に長い摘まみで形成される。第２スイッチ１９ｂが前方に操作されると、シートバック１５は揺動軸線ＳＸ回りで前方に揺動する。第２スイッチ１９ｂが後方に操作されると、シートバック１５は揺動軸線ＳＸ回りで後方に揺動する。

　ヘッドレスト１６は、シートバック１５の上端から上方に延びるヘッドレストピラー２１に固定される。ヘッドレストピラー２１は、上下方向に軸方向に変位自在にシートバック１５に支持される。ヘッドレストピラー２１の変位に応じてヘッドレスト１６の高さは調整されることができる。

　図２に示されるように、車両用シート１１は、パッドを支持するシートフレーム２３を備える。シートフレーム２３は、シートクッション１４のパッドを支持するシートクッションフレーム２４と、揺動軸線ＳＸ回りに揺動可能にシートクッションフレーム２４に連結されて、シートバック１５のパッドを支持するシートバックフレーム２５と、長手方向に前後移動自在にスライドレール１３に案内されて、スライドレール１３上でシートクッションフレーム２４を支持するベースフレーム２６とを備える。シートクッションフレーム２４はリンク機構２７でベースフレーム２６に連結される。リンク機構２７は、左右方向に延びる水平軸線ＦＨ回りで回転自在にベースフレーム２６に結合される一端と、水平軸線ＦＨに平行に左右方向に延びる水平軸線ＳＨ回りで回転自在にシートクッションフレーム２４に結合される他端とを有するリンク部材２８を備える。リンク部材２８は水平軸線ＦＨ回りでベースフレーム２６に対してシートクッションフレーム２４の上下移動を案内する。

　シートクッションフレーム２４は、個々のスライドレール１３に並んで延びるクッションサイドフレーム２４ａと、シートクッション１４の前端でクッションサイドフレーム２４ａ同士を接続するパンフレーム２４ｂと、シートクッション１４の後端でクッションサイドフレーム２４ａ同士を連結する連結パイプ２４ｃとを備える。パンフレーム２４ｂと連結パイプ２４ｃとの間には複数のＳばね（図示されず）が配置される。個々のＳばねはジグザグ形状で前後に延びる。ジグザグ形状は、前後方向に延びる線材と、左右方向に延びる線材とが交互に組み合わせられて形成される。

　ベースフレーム２６には電動式前後移動装置２９が取り付けられる。電動式前後移動装置２９は、ベースフレーム２６に支持される電動モーター３１を備える。電動モーター３１は電力の供給に応じて動力を生成する。電力は第１スイッチ１９ａの操作に基づき供給される。電動モーター３１の動力はスライドレール１３に沿ってベースフレーム２６の前後移動を引き起こす。

　シートクッションフレーム２４のクッションサイドフレーム２４ａには電動式上下移動装置３２が取り付けられる。電動式上下移動装置３２は、クッションサイドフレーム２４ａに支持されて、リンク機構２７に連結されるアクチュエーター３３を備える。アクチュエーター３３は、クッションサイドフレーム２４ａの外側に配置されて、電力の供給に応じて動力を生成する電動モーター３４と、電動モーター３４の動力に応じて、水平軸線ＳＨ回りにクッションサイドフレーム２４ａに対してリンク部材２８の回転を引き起こす伝達機構３５とを含む。伝達機構３５は、例えば電動モーター３４の駆動軸に固定される駆動ギアと、水平軸線ＳＨ回りでリンク部材２８に固定される被動ギアとを含み、順番に相互に噛み合うギア群で構成される。電力は第１スイッチ１９ａの操作に基づき供給される。電動モーター３４の動力は水平軸線ＦＨ回りでクッションサイドフレーム２４ａの上下移動を引き起こす。

　シートクッションフレーム２４には、連結パイプ２４ｃの後上方で揺動軸線ＳＸに同軸に支軸３６が組み込まれる。支軸３６は例えば中空の金属管から成形される。金属管は軸方向に高い剛性を有する。支軸３６は左右のクッションサイドフレーム２４ａに挟まれる。支軸３６にシートバックフレーム２５は支持される。

　シートバックフレーム２５は、支軸３６で個々のクッションサイドフレーム２４ａの内側に連結される左右のサイドフレーム３８と、支軸３６の上方で相互にサイドフレーム３８の上端を連結するアッパーフレーム３９とを備える。サイドフレーム３８は、支軸３６回りで揺動軸線ＳＸに直交する鉛直面に沿って広がって、鉛直面に沿って上向きに延びる板状部３８ａと、板状部３８ａの前縁から連続し内向きに折り曲げ成形され、支軸３６周りから鉛直方向に延びる湾曲域４１を形成する前壁３８ｂと、板状部３８ａの後縁から連続し内向きに折り曲げ成形され、支軸３６回りから鉛直方向に延びる湾曲域４２を形成する後壁３８ｃとを有する。前壁３８ｂと後壁３８ｃとは支軸３６周りで連続する。後壁３８ｃは、後壁３８ｃの内端から連続し前向きに折り曲げ成形されるサイドフレームフランジ４３を有する。個々のサイドフレーム３８は例えば１枚の金属板から成形される。アッパーフレーム３９には上下方向にスライド可能にヘッドレストピラー２１を支持するヘッドレストピラーガイド４４が固定される。アッパーフレーム３９の詳細は後述される。

　シートバックフレーム２５のサイドフレーム３８には電動式リクライニング装置４５が取り付けられる。電動式リクライニング装置４５は、揺動軸線ＳＸ周りでシートバックフレーム２５のサイドフレーム３８に取り付けられるアクチュエーター４６を備える。アクチュエーター４６は、電力の供給に応じて動力を生成する電動モーター４７と、電動モーター４７の動力を揺動軸線ＳＸ回りの駆動力に変換する伝達機構４８とで形成される。電動モーター４７は電力の供給に応じて動力を生成する。電力は第２スイッチ１９ｂの操作に基づき供給される。電動モーター４７の動力はシートクッションフレーム２４に対して揺動軸線ＳＸ回りでシートバックフレーム２５の前後揺動を引き起こす。

　図３に示されるように、シートクッション１４は、シートクッションフレーム２４に支持されて、表皮材１４ａに包み込まれるシートクッションパッド４９をさらに備える。シートバック１５は、シートバックフレーム２５に支持されて、表皮材１５ａに包み込まれるシートバックパッド５１をさらに備える。シートクッションパッド４９およびシートバックパッド５１は例えば発泡ウレタンといった弾力性を有する素材から形成される。

　図４に示されるように、アッパーフレーム３９は、板材から折り曲げ成形されて、水平方向に延びる上稜線５２および下稜線５３で仕切られる正面壁５４と、上稜線５２から連続し後方に広がる上壁５５と、上壁５５の後端から上向きに折り曲げ成形される上立ち壁５６と、下稜線５３から連続し後方に広がる下壁５７と、下壁５７の後端から下向きに折り曲げ成形される下立ち壁５８とを有する。上立ち壁５６は、上立ち壁５６の上端から連続し前向きに折り曲げ成形される第１フランジ６１を有する。第１フランジ６１は、上立ち壁５６の上縁に沿って水平方向に全域にわたって連続する。下立ち壁５８は、下立ち壁５８の下端から連続し前向きに折り曲げ成形される第２フランジ６２を有する。第２フランジ６２は、下立ち壁５８の下縁に沿って水平方向に全域にわたって連続する。

　正面壁５４は、水平方向に左右２か所で前向きに折り曲げ成形され鉛直方向の谷折り線６３に沿って窪みを形成する。正面壁５４は、水平方向にさらに窪みの外側で後向きに折り曲げ成形され鉛直方向の山折り線６４に沿って稜線を形成する。正面壁５４の変形に伴って上立ち壁５６および下立ち壁５８は同様に変形する。アッパーフレーム３９は例えば１枚の金属板から成形される。

　水平方向に山折り線６４よりも外側で正面壁５４には溶接の溶接痕６５が確立される。溶接痕６５の上下に対応して上立ち壁５６および下立ち壁５８には溶接の溶接痕６６、６７が確立される。溶接痕６５、６６、６７でアッパーフレーム３９は左右のサイドフレーム３８に固着される。溶接にはスポット溶接やアーク溶接、レーザー溶接が用いられることができる。

　サイドフレーム３８では前壁３８ｂで形成される湾曲域４１はサイドフレーム３８の上端まで延びてアッパーフレーム３９に至る。後壁３８ｃで形成される湾曲域４２はサイドフレーム３８の上端まで延びてアッパーフレーム３９に至る。図５に示されるように、前壁３８ｂの内縁は、アッパーフレーム３９の縁に対応した仮想輪郭線６８から内側に広がって後方からアッパーフレーム３９の正面壁５４に重ねられる突片６９を有する。アッパーフレーム３９の正面壁５４は突片６９との間で溶接痕６５を形成する。

　後壁３８ｃの内縁は、後壁３８ｃから連続し後方からアッパーフレーム３９の上立ち壁５６に重ねられる上側重ね片７１と、上側重ね片７１の下方で、上側重ね片７１から間隔を空けて、後壁３８ｃから連続し後方からアッパーフレーム３９の下立ち壁５８に重ねられる下側重ね片７２とを有する。アッパーフレーム３９の上立ち壁５６は上側重ね片７１との間で溶接痕６６を形成する。同様に、アッパーフレーム３９の下立ち壁５８は下側重ね片７２との間で溶接痕６７を形成する。

　後壁３８ｃの上側重ね片７１は、上側重ね片７１の上縁から前向きに折り曲げ成形される上フランジ７３を有する。上フランジ７３は、アッパーフレーム３９の第１フランジ６１の左右端から所定の長さにわたって第１フランジ６１に向き合わせられる。後壁３８ｃの下側重ね片７２は、下側重ね片７２の下縁から前向きに折り曲げ成形される下フランジ７４を有する。下フランジ７４は、アッパーフレーム３９の第２フランジ６２の左右端から所定の長さにわたって第２フランジ６２に向き合わせられる。こうしてアッパーフレーム３９では、水平方向に第１フランジ６１に対応する位置で上フランジ７３が成形され、水平方向に第２フランジ６２に対応する位置で下フランジ７４が成形される。

　図６に示されるように、上フランジ７３は、第１フランジ６１よりも小さい曲率で湾曲する。第１フランジ６１は上フランジ７３の内側に良好に収まることができる。第１フランジ６１と上フランジ７３との干渉は回避されることができる。下フランジ７４は第２フランジ６２から下方に離れた位置で第２フランジ６２よりも大きい曲率で湾曲する。第２フランジ６２は下フランジ７４の内側に良好に収まることができる。第２フランジ６２と下フランジ７４との干渉は回避されることができる。サイドフレームフランジ４３は下フランジ７４から連続する。

　図７に示されるように、アッパーフレーム３９は、上壁５５に形成されて、ヘッドレストピラーガイド７５を受け入れる第１支持孔７６と、下壁５７に形成されて、ヘッドレストピラーガイド７５を受け入れる第２支持孔７７とを有する。ヘッドレストピラーガイド７５は軸線方向に変位自在にヘッドレストピラー２１を支持する。ヘッドレストピラーガイド７５には、軸線に直交する方向に広がる位置決めフランジ７８が形成される。第１支持孔７６および第２支持孔７７に上方からヘッドレストピラーガイド７５が差し込まれると、位置決めフランジ７８は上壁５５に上方から接触して軸方向にヘッドレストピラーガイド７５を位置決めする。ヘッドレストピラーガイド７５は例えば樹脂材から成形されることができる。

　第１支持孔７６および第２支持孔７７の周縁にはそれぞれ下向きに折り曲げ成形される支持孔フランジ７９が形成される。ヘッドレストピラーガイド７５は支持孔フランジ７９に圧入される。支持孔フランジ７９はアッパーフレーム３９に対してヘッドレストピラーガイド７５を固定する。支持孔フランジ７９はアッパーフレーム３９からヘッドレストピラーガイド７５の抜けを防止することができる。

　図８は本発明の第２実施形態に係る車両用シートに組み込まれるシートバックフレーム２５ａの一部を概略的に示す。シートバックフレーム２５ａは、シートバックフレーム２５と同様に、支軸３６で個々のクッションサイドフレーム２４ａの内側に連結される左右のサイドフレーム３８と、支軸３６の上方で相互にサイドフレーム３８の上端を連結するアッパーフレーム８１とを備える。アッパーフレーム８１以外、車両用シートの構成は前述の車両用シート１１と同様である。

　アッパーフレーム８１は、板材から折り曲げ成形されて、水平方向に延びる上稜線８２および下稜線８３で仕切られる正面壁８４と、上稜線８２から連続し後方に広がる上壁８５と、上壁８５の後端から上向きに折り曲げ成形される上立ち壁８６と、下稜線８３から連続し後方に広がる下壁８７と、下壁８７の後端から下向きに折り曲げ成形される下立ち壁８８とを有する。上立ち壁８６は、上立ち壁８６の上端から連続し前向きに折り曲げ成形される第１フランジ９１を有する。第１フランジ９１は、上立ち壁８６の上縁に沿って水平方向に全域にわたって連続する。サイドフレーム３８の上フランジ７３は、アッパーフレーム８１の第１フランジ９１の左右端から所定の長さにわたって第１フランジ９１に向き合わせられる。下立ち壁８８は、下立ち壁８８の下端から連続し前向きに折り曲げ成形される第２フランジ９２を有する。第２フランジ９２は、下立ち壁８８の下縁に沿って水平方向に全域にわたって連続する。サイドフレーム３８の下フランジ７４は、アッパーフレーム８１の第２フランジ９２の左右端から所定の長さにわたって第２フランジ９２に向き合わせられる。

　正面壁８４は、水平方向に左右２か所で前向きに折り曲げ成形され鉛直方向の谷折り線９３に沿って窪みを形成する。正面壁８４は、水平方向にさらに窪みの外側で後向きに折り曲げ成形され鉛直方向の山折り線９４に沿って稜線を形成する。正面壁８４の変形に伴って上立ち壁８６および下立ち壁８８は同様に変形する。アッパーフレーム８１は例えば１枚の金属板から成形される。

　水平方向に山折り線９４よりも外側で正面壁８４には溶接の溶接痕９５が確立される。アッパーフレーム８１の正面壁８４はサイドフレーム３８の突片６９との間で溶接痕９５を形成する。溶接痕９５の上下に対応して上立ち壁８６および下立ち壁８８には溶接の溶接痕９６、９７が確立される。溶接痕９５、９６、９７でアッパーフレーム８１は左右のサイドフレーム３８に固着される。アッパーフレーム８１の上立ち壁８６はサイドフレーム３８の上側重ね片７１との間で溶接痕９６を形成する。同様に、アッパーフレーム８１の下立ち壁８８は下側重ね片７２との間で溶接痕９７を形成する。

　アッパーフレーム８１の下立ち壁８８には座席通風システム９９の送風ファン１０１が固定される。送風ファン１０１は、回転軸線Ｒｘ回りで回転する羽根車を収容するハウジング１０２を備える。ハウジング１０２は、回転軸線Ｒｘに同軸に平たい円筒形に形成されて、円形の輪郭の接線方向に延びる吸気ポート１０３を有する。ハウジング１０２の外周には回転軸線Ｒｘに直交する平面に沿って広がる２以上の固定片１０４が形成される。固定片１０４は下立ち壁８８の表面に重ねられる。固定片１０４は、下立ち壁８８にねじ込まれるビス１０５で下立ち壁８８に結合される。ビス１０５は回転軸線Ｒｘに平行な軸心を有する。

　図９に示されるように、ハウジング１０２の後面には送風ダクト１０６が取り付けられる。送風ダクト１０６は、ハウジング１０２の後壁に形成される開口を塞いで、羽根車の回転で回転軸線Ｒｘの軸線方向に生成される気流を受け入れる。座席通風システム９９は、シートバックパッド５１に形成されて、送風ダクト１０６に接続される通路を備える。シートバックパッド５１の通路からシートバック１５に寄り掛かる乗員の背中に気流は供給される。

　送風ダクト１０６には、気流を案内する管体１０６ａから外側に広がって、後壁の開口周りでハウジング１０２の後面に重ねられる取り付けフランジ１０６ｂが形成される。アッパーフレーム８１の下立ち壁８８には取り付けフランジ１０６ｂの輪郭を象った切り欠き１０７が形成される。切り欠き１０７に取り付けフランジ１０６ｂは受け入れられる。取り付けフランジ１０６ｂの周囲でハウジング１０２の後面は下立ち壁８８の表面に密着する。切り欠き１０７では第２フランジ９２は途切れる。

　図１０は本発明の第３実施形態に係る車両用シートに組み込まれるシートバックフレーム２５ｂの一部を概略的に示す。シートバックフレーム２５ｂは、シートバックフレーム２５と同様に、支軸３６で個々のクッションサイドフレーム２４ａの内側に連結される左右のサイドフレーム３８と、支軸３６の上方で相互にサイドフレーム３８の上端を連結するアッパーフレーム１１１とを備える。アッパーフレーム１１１はアッパーフレーム３９と同様な構造を有する。アッパーフレーム１１１以外、車両用シートの構成は前述の車両用シート１１と同様である。

　アッパーフレーム１１１の正面壁５４には折り畳み式のテーブル１１２が取り付けられる。テーブル１１２は、正面壁５４に固定される取り付け体１１３と、ワイヤーフレーム１１４で取り付け体１１３に連結されて、水平に広がる作動位置およびシートバック１５の背面に沿って収納される収納位置の間で変位する天板１１５とを備える。図１１に示されるように、ワイヤーフレーム１１４は、天板１１５の下面に固定されて、取り付け体１１３に向かって延びる左右１対の連結ワイヤー１１４ａと、連結ワイヤー１１４ａの先端から屈曲して、軸線Ｗｘに同軸に回転自在に取り付け体１１３に支持される軸ワイヤー１１４ｂとを有する。取り付け体１１３には、回転自在に軸ワイヤー１１４ｂを支持しながら、回転時に連結ワイヤー１１４ａの軌道を規定するカム片１１６が形成される。カム片１１６は、作動位置から収納位置に軸線Ｗｘ回りに連結ワイヤー１１４ａが外力に基づき駆動される際に相互に接近するように連結ワイヤー１１４ａを弾性変形させる突起１１６ａを有する。突起１１６ａは軸線Ｗｘ回りに連結ワイヤー１１４ａの移動を規制することから、突起１１６ａの働きで天板１１５は作動位置または収納位置に保持されることができる。突起１１６ａは、軸線Ｗｘ回りの連結ワイヤー１１４ａの回転運動から軸ワイヤー１１４ｂの軸線方向変位を生み出す。

　図１２に示されるように、アッパーフレーム３９では、ヘッドレストピラーガイド７５の支持にあたって、上壁５５および下壁５７を貫通する支持筒１１７が第１支持孔１１８および第２支持孔１１９に差し込まれてもよい。ここでは、第１支持孔１１８および第２支持孔１１９にはそれぞれ周縁から上向きおよび下向きに小片１２１、１２２が折り曲げ成形される。図１３に示されるように、個々の小片１２１、１２２は支持筒１１７の外面に重ねられる。小片１２１、１２２は支持筒１１７に溶接される。こうして支持筒１１７はアッパーフレーム３９に固定される。溶接は、アッパーフレーム３９およびサイドフレーム３８の溶接と同様に、前方から実施されることができることから、シートフレーム２３の組み立ての作業効率は向上する。支持筒１１７にヘッドレストピラーガイド７５は圧入される。同様に、アッパーフレーム８１、１１１でも、ヘッドレストピラーガイド７５の支持にあたって、上壁８５（５５）および下壁８７（５７）を貫通する支持筒１１７が第１支持孔１１８および第２支持孔１１９に差し込まれてもよい。

　その他、図１４に示されるように、アッパーフレーム３９では、ヘッドレストピラーガイド７５の支持にあたって、上壁５５および下壁５７を貫通する支持筒１１７が第１支持孔１１８および第２支持孔１１９に差し込まれてもよい。ここでは、正面壁５４にヘッドレストピラーガイド７５に向かってくぼむ窪み１２３が形成される。窪み１２３は平たい底板１２３ａを有する。図１５に示されるように、窪み１２３の底板１２３ａは支持筒１１７の外面に重ねられる。底板１２３ａは支持筒１１７に溶接される。こうして支持筒１１７はアッパーフレーム３９に固定される。溶接は、アッパーフレーム３９およびサイドフレーム３８の溶接と同様に、前方から実施されることができることから、シートフレーム２３の組み立ての作業効率は向上する。支持筒１１７にヘッドレストピラーガイド７５は圧入される。同様に、アッパーフレーム８１、１１１でも、ヘッドレストピラーガイド７５の支持にあたって、上壁８５（５５）および下壁８７（５７）を貫通する支持筒１１７が第１支持孔１１８および第２支持孔１１９に差し込まれてもよい。

＜第２の課題の解決手段の実施形態＞
　以下、本発明の実施形態を、添付の図面を参照しながら説明する。以下の説明で「前後」、「左右」および「上下」は、着座者が車両前後方向前方に正面を向けた姿勢にある状態で当該着座者から見た方向を言うものとする。

　先ず図１６において、車幅方向に間隔をあけつつ相互に平行に並んで直線状に延びる一対のスライドレール２１１に沿って移動可能なシートフレーム２１２は、シートクッション（図示せず）を支持するシートクッションフレーム２１５と、前記シートクッションの上方に配置されるシートバック２１４（図１９参照）を支持するようにして前記シートクッションフレーム２１５に連結されるシートバックフレーム２１６とを備え、前記シートクッションフレーム２１５および前記スライドレール２１１間には、前記シートクッションフレーム２１５の高さを調節可能な高さ調整機構２１７が設けられる。

　シートクッションフレーム２１５は、車幅方向で相互に離間した位置に並ぶようにしつつ車両前後方向で直線状に延びる一対のシートクッション側サイドフレーム２１８と、それらのシートクッション側サイドフレーム２１８の前端部間を連結する連結部材としてのパンフレーム２１９と、一対の前記シートクッション側サイドフレーム２１８の後端部間を連結する他の連結部材としてのリヤパイプ２２０とを有する。

　前記パンフレーム２１９および前記リヤパイプ２２０間には、前記シートクッションを介して着座者の荷重を受けて弾性変形するクッション側受圧部材２２１が架け渡される。このクッション側受圧部材２２１は、金属線を左右に蛇行するようにジグザグに湾曲して成る複数（この実施形態では４個）のシートスプリング２２２を有し、それらのシートスプリング２２２は、隣接するシートスプリング２２２同士が左右対称となるように配置される。複数の前記シートスプリング２２２の前端部は、前記シートフレーム２１２における前記パンフレーム２１９に設けられる係止部２２３にそれぞれ係合される。また相互に隣接する前記シートスプリング２２２の後端部は、前記シートフレーム２１２の前記リヤパイプ２２０に係合されるとともに、インサート成形によって前記シートスプリングと一体に成形される樹脂製の後端部連結部材２２４で連結されており、前記後端部連結部材２２４が、前記リヤパイプ２２０を覆うように形成される。

　前記シートバックフレーム２１６は、車幅方向で相互に離間した位置に並ぶようにして上下方向に延びる一対のシートバック側サイドフレーム２２５Ａと、それらのシートバック側サイドフレーム２２５Ａの上部間を連結する連結部材としてのヘッドレスト取付けブラケット２２６と、一対の前記シートバック側サイドフレーム２２５Ａの下端部間を連結する連結部材としてのロアフレーム２２７とを有する。

　前記シートバック側サイドフレーム２２５Ａは、側板部２２６ａと、その側板部２２５ａの前縁部から内側に張り出す前側鍔部２２５ｂと、前記側板部２２５ａの後縁部から内側に張り出す後側鍔部２２５ｃとを一体に有して、金属板材のプレス成形によって形成されるものであり、基本的には内側に向かって開く略Ｕ字状の横断面形状を有するのであるが、このシートバック側サイドフレーム２２５Ａの上部には、略Ｃ字状の横断面形状を有するブラケット支持部２２５Ａｄが形成される。

　前記ヘッドレスト取付けブラケット２２６は、パイプ材が下方に向かって開く略Ｕ字状に屈曲成形されて成り、このヘッドレスト取付けブラケット２２６の両端部が、前記シートバック側サイドフレーム２２５Ａの上部のブラケット支持部２２５Ａｄに嵌合、固着される。また前記ヘッドレスト取付けブラケット２２６には、一対の筒状のヘッドレスト支持部材２２８が固着される。

　左右一対の前記シートクッション側サイドフレーム２１８の後端部には連結ブラケット２２９がそれぞれ締結され、それらの連結ブラケット２２９には、左右一対の前記シートバック側サイドフレーム２２５Ａの下端部がリクライニングユニット２３０を介して連結される。前記リクライニングユニット２３０の回転軸２３１は、左右一対の前記シートバック側サイドフレーム２２５Ａの下端部に、それらのシートバック側サイドフレーム２２５Ａの下端部に連結される前記ロアフレーム２２７を貫通して取付けられ、リクライニングユニット２３０の作動によって前記シートフレーム２１２に対する前記シートバックフレーム２１６の角度を調整することができる。

　また左右一対の前記シートバック側サイドフレーム２２５Ａ間には、前記シートバックを介して着座者の荷重を受けること弾性変形可能なバック側受圧部材２３４が配置される。樹脂等によって弾性変形可能に形成される前記バック側受圧部材２３４は、上部連結ワイヤ２３５および下部連結ワイヤ２３６を介して左右の前記シートバック側サイドフレーム２２５Ａ間に架け渡される。

　図１７において、前記シートバック側サイドフレーム２２５Ａの前記側板部２２５ａには、内外いずれかに隆起する第１、第２および第３の補強部２３７，２３８，２３９が設けられる。前記第１の補強部２３７は、前記側板部２２５ａの後縁に沿いつつ上下方向に延びて設けられる。前記第２の補強部２３８および前記第３の補強部２３９は、前記シートバック側サイドフレーム２２５Ａの長手方向とは交差する方向に延びるものであり、前記第２の補強部２３８は、前記第１の補強部２３７の上下方向中間部から車両前後方向前方に延びて前記側板部２２５ａに設けられ、前記第３の補強部２３９は、前記第１の補強部２３７の下端部からわずかに前上がりに傾斜しつつ車両前後方向前方に延びて前記側板部２２５ａに設けられる。前記第１、第２および第３の補強部２３７，２３８，２３９は、この実施形態では、前記シートバック側サイドフレーム２２５Ａのプレス加工時に内側に隆起するように形成される。

　図１８において、前記シートバック側サイドフレーム２２５Ａは、当該シートバック側サイドフレーム２２５Ａの長手方向複数箇所に配置される板厚境界線で板厚が変化する形状に形成されるものであり、この実施形態では、第１および第２の板厚境界線Ｌ１，Ｌ２が前記シートバック側サイドフレーム２２５Ａに設定される。しかも前記第１の板厚境界線Ｌ１および前記第２の板厚境界線Ｌ２は、前記シートバック側サイドフレーム２２５Ａへの前記ヘッドレスト取付けブラケット２２６および前記ロアフレーム２２７の連結部を避けた位置に設定されており、前記第１の板厚境界線Ｌ１は前記シートバック側サイドフレーム２２５Ａの下部寄りに配置され、前記第２の板厚境界線Ｌ２は前記第１の板厚境界線Ｌ１の上方かつ前記シートバック側サイドフレーム２２５Ａの長手方向中間位置に配置される。

　前記第１の板厚境界線Ｌ１よりも下方の前記シートバック側サイドフレーム２２５Ａの板厚ｔ１よりも前記第１の板厚境界線Ｌ１および前記第２の板厚境界線Ｌ２間での前記シートバック側サイドフレーム２２５Ａの板厚ｔ２が小さく、さらに前記第２の板厚境界線Ｌ２よりも上方の前記シートバック側サイドフレーム２２５Ａの板厚ｔ３が前記板厚ｔ２よりも小さくなるようにして、前記シートバック側サイドフレーム２２５Ａは、上方に向かって順に厚みが段階的に薄くなるように形成される。

　図１７に注目して、前記第１の補強部２３７は、前記第２の板厚境界線Ｌ２を横切って前記側板部２２５ａに設けられ、前記第２の補強部２３８および前記第３の補強部２３９は、前記第１の板厚境界線Ｌ１および前記第２の板厚境界線Ｌ２を避けた位置、この実施形態では上下方向で前記第１の板厚境界線Ｌ１および前記第２の板厚境界線Ｌ２間に配置されるようにして前記側板部２２５ａに設けられる。

　また前記側板部２２５ａには、前記バック側受圧部材２３４の前記上部連結ワイヤ２３５および前記下部連結ワイヤ２３６を取付けるための第１および第２の貫通孔２４０，２４１が、前記第１の板厚境界線Ｌ１および前記第２の板厚境界線Ｌ２を避けて形成されており、この実施形態では、前記第１の貫通孔２４０が前記第２の板厚境界線Ｌ２の上方で前記側板部２２５ａに形成され、前記第２の貫通孔２４１が前記第１の板厚境界線Ｌ１の下方で前記側板部２２５ａに形成される。

　前記シートバック側サイドフレーム２２５Ａにおける前記側板部２２５ａの下部には、前記リクライニングユニット２３０を取付けるための第３の貫通孔２４２が形成されており、この第３の貫通孔２４２は、前記第１の板厚境界線Ｌ１および前記第２の板厚境界線Ｌ２を避けて、前記第１の板厚境界線Ｌ１よりも下方で前記側板部２２５ａの下部に形成される。

　ところでこの実施形態の車両用シート装置が車幅方向右側で車室内に配置されるものであるときに、左右一対のシートバック側サイドフレーム２２５Ａのうち右側のシートバック側サイドフレーム２２５Ａには、図１６で示すように、エアバッグモジュール２４７が取付けられる。なお車両用シート装置が車幅方向左側で車室内に配置されるものであるときには、左右一対のシートバック側サイドフレーム２２５Ａのうち左側のシートバック側サイドフレーム２２５Ａに上記エアバッグモジュール２４７が取付けられるものであり、車室内の車幅方向左右いずれの側に配置されても対応することを可能とするために、左右一対のシートバック側サイドフレーム２２５Ａは左右対称に形成されており、相互に対応する部分には同一の参照符号を付して図示する。

　図１９において、前記エアバッグモジュール２４７は、車幅方向に偏平である箱状のモジュールケース２４８と、モジュールケース２４８内に格納されるインフレータ２４９と、当該インフレータ２４９を保持するリテーナ２５０と、前記インフレータ２４９からの高圧ガスで急速に膨張することを可能として前記インフレータ２４９に接続されるエアバッグ２５１と、平時は前記エアバッグ２５１を折り畳み状態に保持することを可能としつつ前記エアバッグ２５１の膨張時には即座に破断可能である保持袋２５２とを備える。

　また前記シートバック側サイドフレーム２２５Ａの前記側板部２２５ａには、前記エアバッグ２５１を取付けるために第４および第５の貫通孔２４３，２４４が形成されており、前記リテーナ２５０に植設された一対のボルト２５３が前記モジュールケース２４８を貫通して前記第４の貫通孔２４３および前記第５の貫通孔２４４に挿通され、前記側板部２２５ａの内面に当接、係合するナット２５４が前記ボルト２５３にそれぞれ螺合される。すなわち前記エアバッグ２５１は前記インフレータ２４９および前記リテーナ２５０を介して一対ずつの前記ボルト２５３および前記ナット２５４で前記側板部２２５ａに取付けられる。

　前記第４の貫通孔２４３および前記第５の貫通孔２４４は、前記第１の板厚境界線Ｌ１および前記第２の板厚境界線Ｌ２を避けて前記側板部２２５ａに形成されており、この実施形態では、前記第４の貫通孔２４３は前記第２の板厚境界線Ｌ２の下方かつ前記第２の補強部２３８の上方で前記側板部２２５ａに形成され、前記第５の貫通孔２４４は前記第１の板厚境界線Ｌ１および前記第２の板厚境界線Ｌ２間であって前記第２の補強部２３８および前記第３の補強部２３９間に配置されて前記側板部２２５ａに形成される。すなわち前記エアバッグ２５１は、前記サイドフレームの前記側板部２２５ａのうち前記第１の板厚境界線Ｌ１および前記第２の板厚境界線Ｌ２間の板厚同一部位に取付けられることになる。

　前記エアバッグ２５１の展開は、インナー側の力布２５６およびアウター側の力布２５７で抑制される。前記モジュールケース２４８の内側前部および前記シートバック側サイドフレーム２２５Ａの内面間には前記インナー側の力布２５６の一端部が挟まれ、このインナー側の力布２５６の一端部に固着された樹脂製の取付け部材２５８が、前記シートバッグ側サイドフレームの前記側板部２２５ａに形成された第６の貫通孔２４５および第７の貫通孔２４６に弾発係合される。

　前記第６の貫通孔２４５および前記第７の貫通孔２４６は、前記第１の板厚境界線Ｌ１および前記第２の板厚境界線Ｌ２を避けた位置で前記側板部２２５ａに矩形状に形成されており、この実施形態では、前記第６の貫通孔２４５は前記第２の板厚境界線Ｌ２の下方かつ前記第２の補強部２３８の上方で前記第４の貫通孔２４３に隣接して前記側板部２２に形成され、前記第７の貫通孔２４６は前記第１の板厚境界線Ｌ１および前記第２の板厚境界線Ｌ２間であって前記第３の補強部２３９の下方かつ前記第２の貫通孔２４１に隣接して前記側板部２２５ａに形成される。すなわち前記インナー側の力布２５６は、前記シートバック側サイドフレーム２２５Ａの前記側板部２２５ａのうち前記第１の板厚境界線Ｌ１および前記第２の板厚境界線Ｌ２間の板厚同一部位に固定されることになる。

　前記アウター側の力布２５７の一端部には係止フック２５９が縫合によって固着されており、この係止フック２５９は、前記モジュールケース２４８の後方で前記シートバック側サイドフレーム２２５Ａにおける後側鍔部２２５ｃに係合される。

　前記インナー側の力布２５６よび前記アウター側の力布２５７は、前記モジュールケース２４８を内外から挟むように配置され、前記モジュールケース２４８の前端部外側で相互に重ねられ、シートバック２１４のバックパッド２１４ａおよび土手パッド２１４ｂ間に形成される空隙２６１内を車両前後方向前方に延出され、バックパッド外皮２１４ａａおよび土手パッド外皮２１４ｂａに縫着される。

　左右一対の前記シートバック側サイドフレーム２２５Ａのうち前記エアバッグモジュール２４７が取付けられない側の前記シートバック側サイドフレーム２２５Ａには、補強部材としての機能を兼ねる補助部材２６３が、シートバックフレーム２１６の形状矯正を行なうために固定されるものであり、当該補助部材２６３は、金属棒材を屈曲成形して線状に形成される。この補助部材２６３は、前記シートバック側サイドフレーム２２５Ａから前方に突出するようにして当該シートバック側サイドフレーム２２５Ａに固定されるものであり、完成後の車両用シートに乗員が着座したときには当該乗員からの荷重を前記補助部材２６３が受ける可能性があり、その補助部材２６３から前記シートバック側サイドフレーム２２５Ａに前記荷重が作用する可能性がある。そこで、前記補助部材２６３は、前記第１の板厚境界線Ｌ１および前記第２の板厚境界線Ｌ２を避けて前記シートバック側サイドフレーム２２５Ａに固定されるものであり、しかも前記補助部材２６３は、前記第２の板厚境界線Ｌ２での前記シートバック側サイドフレーム２２５Ａへの接触を回避しつつ前記第２の板厚境界線Ｌ２を跨いで前記シートバック側サイドフレーム２２５Ａの前側鍔部２２５ｂに固着される。

　図２０において、前記シートクッションフレーム２１５における前記シートクッション側サイドフレーム２１８は、基本的には内側に向かって開く略Ｕ字状の横断面形状を有しつつ、金属板材のプレス成形によって、当該シートクッション側サイドフレーム２１８の長手方向複数箇所に配置される板厚境界線で板厚が変化する形状に形成されるものであり、この実施形態では、第３および第４の板厚境界線Ｌ３，Ｌ４が前記シートクッション側サイドフレーム２１８に設定される。しかも前記第３の板厚境界線Ｌ３および前記第４の板厚境界線Ｌ４は、前記シートクッション側サイドフレーム２１８への前記パンフレーム２１９および前記リヤパイプ２２０の連結部を避けた位置に設定されており、前記第３の板厚境界線Ｌ３は前記シートクッション側サイドフレーム２１８の後部寄りに配置され、前記第４の板厚境界線Ｌ４は前記第３の板厚境界線Ｌ３の前方かつ前記シートクッション側サイドフレーム２１８の長手方向中間位置に配置される。

　図２１において、前記第３の板厚境界線Ｌ３よりも後方の前記シートクッション側サイドフレーム２１８の板厚ｔ４よりも前記第３の板厚境界線Ｌ３および前記第４の板厚境界線Ｌ４間での前記シートクッション側サイドフレーム２１８の板厚ｔ５が小さく、さらに前記第４の板厚境界線Ｌ４よりも前方の前記シートクッション側サイドフレーム２１８の板厚ｔ６が前記板厚ｔ５よりも小さくなるようにして、前記シートクッション側サイドフレーム２１８は、前方に向かって順に厚みが段階的に薄くなるように形成される。

　次にこの第１実施形態の作用について説明すると、シートバックフレーム２１６が備えるシートバック側サイドフレーム２２５Ａが、当該シートバック側サイドフレーム２２５Ａの長手方向複数箇所（この実施形態では２箇所）でヘッドレスト取付けブラケット２２６およびロアフレーム２２７との連結部を避けた位置に配置される第１の板厚境界線Ｌ１および第２の板厚境界線Ｌ２で板厚が変化する形状に形成され、シートクッションフレーム２１５が備えるシートクッション側サイドフレーム２１８が、当該シートクッション側サイドフレーム２１８の長手方向複数箇所（この実施形態では２箇所）でパンフレーム２１９およびリヤパイプ２２０との連結部を避けた位置に配置される第３の板厚境界線Ｌ３および第４の板厚境界線Ｌ４で板厚が変化する形状に形成されるので、シートバックフレーム２１６およびシートクッションフレーム２１５において、シートバック側サイドフレーム２２５Ａおよびシートクッション側サイドフレーム２１８の必要な強度を確保しつつ重量増加を抑えることが可能であり、しかもヘッドレスト取付けブラケット２２６およびロアフレーム２２７とのシートバック側サイドフレーム２２５Ａの連結部の剛性ならびにパンフレーム２１９およびリヤパイプ２２０とのシートクッション側サイドフレーム２１８の連結部の剛性に影響が及ぶことを回避することができる。

　また前記シートバック側サイドフレーム２２５Ａにおける前記第１の板厚境界線Ｌ１および前記第２の板厚境界線Ｌ２を避けた位置に、当該シートバック側サイドフレーム２２５Ａの長手方向とは交差する方向に延びて内外いずれかに隆起した第２の補強部２３８および第３の補強部２３９が設けられるので、前記ヘッドレスト取付けブラケット２２６および前記ロアフレーム２２７とのシートバック側サイドフレーム２２５Ａの連結部の剛性に影響が及ばないようにしつつ前記シートバック側サイドフレーム２２５Ａの強度をより増大することができる。

　また補強機能を果たす補助部材２６３が、前記シートバック側サイドフレーム２２５Ａに、前記第２の板厚境界線Ｌ２での当該シートバック側サイドフレーム２２５Ａへの接触を回避しつつ前記第２の板厚境界線Ｌ２を跨いで固定されるので、シートバック側サイドフレーム２２５Ａの前記第２の板厚境界線Ｌ２での剛性を高めることができる。

　また前記シートバック側サイドフレーム２２５Ａに、当該シートバック側サイドフレーム２２５Ａの長手方向に沿って延びて内外いずれかに隆起した第１の補強部２３７が前記第２の板厚境界線Ｌ２を横切って設けられるので、シートバック側サイドフレーム２２５Ａの前記第２の板厚境界線Ｌ２での剛性を高めることができる。

　また前記シートバック側サイドフレーム２２５Ａに、取付け部品であるバック側受圧部材２３４を取付けるための第１の貫通孔２４０および第２の貫通孔２４１と、取付け部品であるリクライニングユニット２３０を取付けるための第３の貫通孔２４２と、取付け部品であるエアバッグ２５１を取付けるための第４の貫通孔２４３および第５の貫通孔２４４と、取付け部品であるインナー側の力布２５６を取付けるための第６の貫通孔２４５および第７の貫通孔２４６とが形成され、前記第１の板厚境界線Ｌ１および前記第２の板厚境界線Ｌ２が第１～第７の貫通孔２４０～２４６を避けて設定されるので、前記バック側受圧部材２３４、前記リクライニングユニット２３０、前記エアバッグ２５１および前記インナー側の力布２５６の前記シートバック側サイドフレーム２２５Ａへの取付け剛性に、前記第１の板厚境界線Ｌ１および前記第２の板厚境界線Ｌ２が影響を及ぼすことがない。

　また前記シートバック側サイドフレーム２２５Ａの板厚同一部位に、エアバッグ２５１が取付けられるので、板厚同一部位での前記シートバック側サイドフレーム２２５Ａの剛性を高めることができる。

　また前記エアバッグ２５１の展開を抑制するインナー側の力布２５６が、前記シートバック側サイドフレーム２２５Ａの板厚同一部位に固定されるので、エアバッグ２５１の展開時に第１の板厚境界線Ｌ１および第２の板厚境界線Ｌ２に影響が及ぶことを抑えることが可能である。

　また乗員着座時に当該乗員からの荷重を受け得る前記補助部材２６３が、前記シートバック側サイドフレーム２２５Ａに前記第１の板厚境界線Ｌ１および前記第２の板厚境界線Ｌ２を避けて固定されるので、前記補助部材２６３からの荷重が前記シートバック側サイドフレーム２２５Ａの板厚境界線部分に影響を及ぼすことを抑制することができる。

　さらに前記シートバック側サイドフレーム２２５Ａの前記第１の板厚境界線Ｌ１および前記第２の板厚境界線Ｌ２を避けた位置に、着座者の荷重を受けて弾性変形するバック側受圧部材２３４が取付けられるので、バック側受圧部材２３４からの荷重がシートバック側サイドフレーム２２５Ａの板厚境界線部分に影響を及ぼすことを抑制することができる。

　本発明の第２実施形態について図２２を参照しながら説明するが、上記第１実施形態に対応する部分には同一の参照符号を付して図示するのみとし、詳細な説明は省略する。

　シートバック側サイドフレーム２２５Ｂの側板部２２５ａは、第１および第２の板厚境界線Ｌ１，Ｌ２で板厚が変化するようにしつつ上方に向かって順に厚みが段階的に薄くなるように形成されており、この側板部２２５ａには、内外いずれかに隆起する第４の補強部２６７および第２の補強部２３８が設けられる。前記第４の補強部２６７は、前下がりに傾斜した傾斜部２６７ａを下部に有しつつ前記側板部２２５ａの後縁に沿いつつ上下方向に延びて前記側板部２２５ａに設けられる。また前記第２の補強部２３８は、前記シートバック側サイドフレーム２２５Ｂの長手方向とは交差する方向に延びつつ、前記第４の補強部２６７の上下方向中間部から車両前後方向前方に延びて前記側板部２２５ａに設けられ、前記第４の補強部２６７および前記第２の補強部２３８は、この実施形態では、前記シートバック側サイドフレーム２２５Ｂのプレス加工時に内側に隆起するように形成される。

　前記第４の補強部２６７は、前記傾斜部２６７ａが前記第１の板厚境界線Ｌ１を横切るようにしつつ前記第１の板厚境界線Ｌ１および前記第２の板厚境界線Ｌ２を横切るようにして前記側板部２２５ａに設けられる。

　この第２実施形態によれば、前記シートバック側サイドフレーム２２５Ｂにおける前記第１の板厚境界線Ｌ１および前記第２の板厚境界線Ｌ２を避けた位置に、当該シートバック側サイドフレーム２２５Ｂの長手方向とは交差する方向に延びて内外いずれかに隆起した第２の補強部２３８が設けられるので、前記ヘッドレスト取付けブラケット２２６（図１６参照）および前記ロアフレーム２２７（図１６参照）とのシートバック側サイドフレーム２２５Ｂの連結部の剛性に影響が及ばないようにしつつ前記シートバック側サイドフレーム２２５Ｂの強度をより増大することができる。

　また前記シートバック側サイドフレーム２２５Ｂに、当該シートバック側サイドフレーム２２５Ｂの長手方向に沿って延びて内外いずれかに隆起した第４の補強部２６７が前記第１の板厚境界線Ｌ１および前記第２の板厚境界線Ｌ２を横切って設けられるので、シートバック側サイドフレーム２２５Ｂの前記第１の板厚境界線Ｌ１および前記第２の板厚境界線Ｌ２での剛性を高めることができる。

　本発明の第３実施形態について図２３を参照しながら説明するが、上記第１および第２実施形態に対応する部分には同一の参照符号を付して図示するのみとし、詳細な説明は省略する。

　シートバック側サイドフレーム２２５Ｃの側板部２２５ａは、第１および第２の板厚境界線Ｌ１，Ｌ２で板厚が変化するようにしつつ上方に向かって順に厚みが段階的に薄くなるように形成されており、この側板部２２５ａには、内外いずれかに隆起する第４の補強部２６７、第５の補強部２６８および第２の補強部２３８が設けられる。前記第５の補強部２６８は、前記第４の補強部２６７における傾斜部２６７ａの基端部から前記シートバック側サイドフレーム２２５Ｃの長手方向とは交差する方向で車両前後方向前方に延びて前記側板部２２５ａに設けられる。また前記第２の補強部２３８は、前記シートバック側サイドフレーム２２５Ｃの長手方向とは交差する方向に延びて前記側板部２２５ａに設けられ、前記第４の補強部２６７、前記第５の補強部２６８および前記第２の補強部２３８は、この実施形態では、前記シートバック側サイドフレーム２２５Ｃのプレス加工時に内側に隆起するように形成される。

　前記第５の補強部２６８は、前記第２の補強部２３８と同様にして、前記第１の板厚境界線Ｌ１および前記第２の板厚境界線Ｌ２を避けた位置で前記側板部２２５ａに設けられる。

　この第３実施形態によれば、前記シートバック側サイドフレーム２２５Ｃにおける前記第１の板厚境界線Ｌ１および前記第２の板厚境界線Ｌ２を避けた位置に、当該シートバック側サイドフレーム２２５Ｃの長手方向とは交差する方向に延びて内外いずれかに隆起した第５の補強部２６８および第２の補強部２３８が設けられるので、前記ヘッドレスト取付けブラケット２２６（図１６参照）および前記ロアフレーム２２７（図１６参照）とのシートバック側サイドフレーム２２５Ｃの連結部の剛性に影響が及ばないようにしつつ前記シートバック側サイドフレーム２２５Ｃの強度をより増大することができる。

　また前記シートバック側サイドフレーム２２５Ｃに、当該シートバック側サイドフレーム２２５Ｃの長手方向に沿って延びて内外いずれかに隆起した第４の補強部２６７が前記第１の板厚境界線Ｌ１および前記第２の板厚境界線Ｌ２を横切って設けられるので、シートバック側サイドフレーム２２５Ｃの前記第１の板厚境界線Ｌ１および前記第２の板厚境界線Ｌ２での剛性を高めることができる。

　本発明の第４実施形態について図２４を参照しながら説明するが、上記第１～第３実施形態に対応する部分には同一の参照符号を付して図示するのみとし、詳細な説明は省略する。

　シートバック側サイドフレーム２２５Ｄの側板部２２５ａは、第１および第２の板厚境界線Ｌ１，Ｌ２で板厚が変化するようにしつつ上方に向かって順に厚みが段階的に薄くなるように形成されており、この側板部２２５ａには、内外いずれかに隆起する第６～第１１の補強部２６９，２７０，２７１，２７２，２７３，２７４が設けられ、これらの補強部２６９～２７４は、この実施形態では、前記シートバック側サイドフレーム２２５Ｄのプレス加工時に内側に隆起するように形成される。

　前記第６の補強部２６９、第７の補強部２７０および前記第８の補強部２７１は、前記側板部２２５ａの後縁に沿いつつ上下方向に延びるものであり、前記第６の補強部２６９は前記第２の板厚境界線Ｌ２の上方で前記側板部２２５ａに設けられ、前記第７の補強部２７０は、前記第１の板厚境界線Ｌ１および前記第２板厚境界線Ｌ２間で前記側板部２２５ａに設けられ、前記第８の補強２７１は前記第１の板厚境界線Ｌ１よりも下方で前記側板部２２５ａに設けられる。

　また前記第９の補強部２７２，前記第１０の補強部２７３および前記第１１の補強部２７４は、前記シートバック側サイドフレーム２２５Ｄの長手方向とは交差する方向で車両前後方向前方に延びつつ、前記第６、第７および第８の補強部２６９，２７０，２７１とは分離して配置されるものであり、前記第９の補強部２７２および前記第１０の補強部２７３は、前記第１の板厚境界線Ｌ１および前記第２の板厚境界線Ｌ１間で前記側板部２２５ａに設けられ、前記第１１の補強部２７４は前記第１の板厚境界線ｌ１よりも下方で前記側板部２２５ａに設けられる。

　この第４実施形態によれば、前記シートバック側サイドフレーム２２５Ｄにおける前記第１の板厚境界線Ｌ１および前記第２の板厚境界線Ｌ２を避けた位置で前記側板部２２５ａに、第６～第１１の補強部２６９～２７４が設けられるので、前記ヘッドレスト取付けブラケット２２６（図１６参照）および前記ロアフレーム２２７（図１６参照）とのシートバック側サイドフレーム２２５Ｄの連結部の剛性に影響が及ばないようにしつつ前記シートバック側サイドフレーム２２５Ｄの強度をより増大することができる。

　以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。

＜第３の課題の解決手段の実施形態＞
　以下、本発明の実施形態を、添付の図面を参照しながら説明する。以下の説明で「前後」、「左右」および「上下」は、着座者が車両前後方向前方に正面を向けた姿勢にある状態で当該着座者から見た方向を言うものとする。

　先ず図２５において、車幅方向に間隔をあけつつ相互に平行に並んで直線状に延びる一対のスライドレール３１１に沿って移動可能なシートフレーム３１２は、シートクッション（図示せず）を支持するシートクッションフレーム３１５と、前記シートクッションの上方に配置されるシートバック（図示せず）を支持するようにして前記シートクッションフレーム３１５に連結されるシートバックフレーム３１６とを備え、前記シートクッションフレーム３１５および前記スライドレール３１１間には、前記シートクッションフレーム３１５の高さを調節可能な高さ調整機構３１７が設けられる。

　シートクッションフレーム３１５は、車幅方向で相互に離間した位置に並ぶようにしつつ車両前後方向で直線状に延びる一対のシートクッション側サイドフレーム３１８と、それらのシートクッション側サイドフレーム３１８の前端部間を連結するパンフレーム３１９と、一対の前記シートクッション側サイドフレーム３１８の後端部間を連結するリヤパイプ３２０とを有する。

　前記パンフレーム３１９および前記リヤパイプ３２０間には、前記シートクッションを介して着座者の荷重を受けて弾性変形するクッション側受圧部材３２１が架け渡される。このクッション側受圧部材３２１は、金属線を左右に蛇行するようにジグザグに湾曲して成る複数（この実施形態では４個）のシートスプリング３２２を有し、それらのシートスプリング３２２は、隣接するシートスプリング３２２同士が左右対称となるように配置される。複数の前記シートスプリング３２２の前端部は、前記シートフレーム３１２における前記パンフレーム３１９に設けられる係止部３２３にそれぞれ係合される。また相互に隣接する前記シートスプリング３２２の後端部は、前記シートフレーム３１２の前記リヤパイプ３２０に係合されるとともに、インサート成形によって前記シートスプリングと一体に成形される樹脂製の後端部連結部材３２４で連結されており、前記後端部連結部材３２４が、前記リヤパイプ３２０を覆うように形成される。

　前記シートバックフレーム３１６は、車幅方向で相互に離間した位置に並ぶようにして上下方向に延びる一対のシートバック側サイドフレーム３２５Ａと、それらのシートバック側サイドフレーム３２５Ａの上部間を連結するヘッドレスト取付けブラケット３２６と、一対の前記シートバック側サイドフレーム３２５Ａの下端部間を連結するロアフレーム３２７とを有する。

　図２６および図２７を併せて参照して、前記シートバック側サイドフレーム３２５Ａは、側板部３２５ａと、その側板部３２５ａの前縁部から内側に張り出す前側鍔部３２５ｂと、前記側板部３２５ａの後縁部から内側に張り出す後側鍔部３２５ｃと、前記側板部３２５ａの下縁部から内側に張り出す下側鍔部３２５ｄとを一体に有して、金属板材のプレス成形によって形成される。

　図２８を併せて参照して、前記シートバック側サイドフレーム３２５Ａの上部にはブラケット支持部３２５ｅが設けられ、このブラケット支持部３２５ｅは、前記前側鍔部３２５ｂが前記側板部３２５ａに近接する側に折り畳まれるとともに、前記後側鍔部３２５ｃが車両前後方向前方に向かって開いた略Ｃ字形に屈曲されることにより構成される。

　前記ヘッドレスト取付けブラケット３２６は、パイプ材が下方に向かって開く略Ｕ字状に屈曲成形されて成り、このヘッドレスト取付けブラケット３２６の両端部が、前記シートバック側サイドフレーム３２５Ａの上部のブラケット支持部３２５ｅに嵌合、固着される。また前記ヘッドレスト取付けブラケット３２６には、一対の筒状のヘッドレスト支持部材３２８が固着される。

　再び図２５に注目して、左右一対の前記シートクッション側サイドフレーム３１８の後端部には連結ブラケット３２９がそれぞれ締結され、それらの連結ブラケット３２９には、左右一対の前記シートバック側サイドフレーム３２５Ａの下端部がリクライニングユニット３３０を介して連結される。前記リクライニングユニット３３０の回転軸３３１は、左右一対の前記シートバック側サイドフレーム３２５Ａの下端部に、それらのシートバック側サイドフレーム３２５Ａの下端部に固定の前記ロアフレーム３２７を貫通して取付けられ、リクライニングユニット３３０の作動によって前記シートフレーム３１２に対する前記シートバックフレーム３１６の傾動角度を調整することができる。

　また左右一対の前記シートバック側サイドフレーム３２５Ａ間には、前記シートバックを介して着座者の荷重を受けること弾性変形可能なバック側受圧部材３３４が配置される。樹脂等によって弾性変形可能に形成される前記バック側受圧部材３３４は、上部連結ワイヤ３３５および下部連結ワイヤ３３６を介して左右の前記シートバック側サイドフレーム３２５Ａ間に架け渡される。

　前記シートバック側サイドフレーム３２５Ａは、前記側板部３２５ａを少なくとも含む第１の基準板厚領域Ａ１の基準板厚ｔａ１と、前記前側鍔部３２５ｂ、前記後側鍔部３２５ｃおよび前記下側鍔部３２５ｄを少なくとも含む第１の板厚増加領域Ｂ１で前記基準板厚ｔａ１よりも厚肉とした増加板厚ｔｂ１とを有しつつ、前記第１の基準板厚領域Ａ１および前記第１の板厚増加領域Ｂ１で板厚を変化させて形成される。

　前記第１の板厚増加領域Ｂ１は、この実施形態では、前記前側鍔部３２５ｂ、前記後側鍔部３２５ｃおよび前記下側鍔部３２５ｄと、前記側板部３２５ａの外側縁部の一部とを含むように設定されるものであり、図２７および図２８で示すように、前記側板部３２５ａの外側縁部のうち前記前側鍔部３２５ｂ、前記後側鍔部３２５ｃおよび前記下側鍔部３２５ｄに屈曲した形状で一体に連なる部分を含んで前記第１の板厚増加領域Ｂ１が設定される。

　また前記側板部３２５ａの下端部には、取付け部品である前記リクライニングユニット３３０を取付けるための第１の貫通孔３４０を有するリクライニングユニット取付け部３３２が設けられており、このリクライニングユニット取付け部３３２は、前記第１の板厚増加領域Ｂ１の一部で前、後および下の三方向から囲まれており、前記リクライニングユニット３３０は前記第１の板厚増加領域Ｂ１で三方向から囲まれることになる。

　しかも前記リクライニングユニット取付け部３３２は、前記第１の板厚増加領域Ｂ１の前記増加板厚ｔｂ１よりも厚肉に形成されるものであり、即ち、前記リクライニングユニット取付け部３３２は前記増加板厚ｔｂ１よりも厚肉の板厚ｔｃを有するように形成される。

　また前記側板部３２５ａのうち前記第１の板厚増加領域Ｂ１に含まれる部分の一部に、内外いずれかに隆起した補強部が設けられるものであり、この実施形態では、前記側板部３２５ａの後側縁部のうち前記後側鍔部３２５ｃに屈曲した形状で一体に連なって前記第１の板厚増加領域Ｂに含まれる部分に、前記後側鍔部３２５ｃに沿いつつ上下方向に延びる第１の補強部３３７が設けられ、この第１の補強部３３７は、前記シートバック側サイドフレーム３２５Ａのプレス加工時に内側に隆起するように形成される。

　また前記第１の板厚増加領域Ｂ１のうち相互に離隔した部位間を結ぶ補強部が前記側板部に３２５ａに設けられるものであり、この実施形態では、前記側板部３２５ａの前側縁部および後側縁部間を結ぶ第２および第３の補強部３３８，３３９が前記側板部３２５ａに設けられる。前記第２の補強部３３８は、前記第１の補強部３３７の上下方向中間部から車両前後方向前方に延びて前記側板部３２５ａに設けられ、前記第３の補強部３３９は、前記第１の補強部３３７の下端部からわずかに前上がりに傾斜しつつ車両前後方向前方に延びて前記側板部３２５ａに設けられる。これらの第２および第３の補強部３３８，３３９は、前記シートバック側サイドフレーム３２５Ａのプレス加工時に内側に隆起するように形成される。

　ところで前記シートバック側サイドフレーム３２５Ａの前記側板部３２５ａのうち前記第１の基準板厚領域Ａ１に含まれる部分には、前記第１の貫通孔３４０に加えて、第２～第７の貫通孔３４１，３４２，３４３，３４３４，３４５，３４６が形成される。

　前記第２の貫通孔３４１および前記第３の貫通孔３４２は、前記バック側受圧部材３３４の前記上部連結ワイヤ３３５および前記下部連結ワイヤ３３６を取付けるためのものであり、前記第４の貫通孔３４３および前記第５の貫通孔３４４は左右一対のシートバック側サイドフレーム３２５Ａのうちドア側に配置されるシートバック側サイドフレーム３２５Ａに取付けられるエアバッグモジュール３４７を取付けるためのものであり、前記第６の貫通孔３４５および前記第７の貫通孔３４６はエアバッグの展開を抑制する力布（図示せず）を取付けるためのものである。

　図２９および図３０において、前記シートクッションフレーム３１５における前記シートクッション側サイドフレーム３１８は、側板部３１８ａと、その側板部３１８ａの上縁部から内側に張り出す上側鍔部３１８ｂと、前記側板部３１８ａの下縁部から内側に張り出す下側鍔部３１８ｃとを一体に有して、金属板材のプレス成形によって形成される。

　このシートクッション側サイドフレーム３１８は、前記側板部３１８ａを少なくとも含む第２の基準板厚領域Ａ２の基準板厚ｔａ２と、前記上側鍔部３１８ｂおよび前記下側鍔部３１８ｃを少なくとも含む第２の板厚増加領域Ｂ２で前記基準板厚ｔａ２よりも厚肉とした増加板厚ｔｂ２とを有しつつ、前記第２の基準板厚領域Ａ２および前記第２の板厚増加領域Ｂ２で板厚を変化させて形成される。

　前記第２の板厚増加領域Ｂ２は、この実施形態では、前記上側鍔部３１８ｂおよび前記下側鍔部３１８ｃと、前記側板部３１８ａの外側縁部の一部とを含むように設定されるものであり、前記側板部３１８ａの外側縁部のうち前記上側鍔部３１８ｂに屈曲した形状で一体に連なる部分ならびに前記下側鍔部３１８ｃに屈曲した形状で一体に連なる部分を含むように、前記第２の板厚増加領域Ｂ２が設定される。

　次にこの第１実施形態の作用について説明すると、シートクッションフレーム３１５およびシートバックフレーム３１６の少なくとも一方、この実施形態では前記シートバックフレーム３１６が有するシートバック側サイドフレーム３２５と、前記シートクッションフレーム３１５が有するシートクッション側フレーム３１８とが、側板部３２５ａ，３１８ａを少なくとも含む第１および第２の基準板厚領域Ａ１，Ａ２の基準板厚ｔａ１，ｔａ２と、前側鍔部３２５ｂ、後側鍔部３２５ｂおよび側鍔部３２５ｃを少なくとも含む第１の板厚増加領域Ｂ１ならびに上側鍔部３１８ｂおよび下側鍔部３１８ｃを少なくとも含む第２の板厚増加領域Ｂ２で前記基準板厚ｔａ１，ｔａ２よりも厚肉とした増加板厚ｔｂ１，ｔｂ２とを有しつつ、前記第１および第２の基準板厚領域Ａ１，Ａ２と、前記第１および第２の板厚増加領域Ｂ１，Ｂ２とで板厚を変化させて形成されるので、前記シートバック側サイドフレーム３２５および前記シートクッション側サイドフレーム３１８の重量増加を極力抑制しつつ、それらのサイドフレーム３２５，３２８の剛性を高めることが可能となる。

　また前記第１および第２の板厚増加領域Ｂ１，Ｂ２が、前記側板部３２５ａ，３１８ａの外側縁部のうち前記前側鍔部３２５ｂ、後側鍔部３２５ｂおよび側鍔部３２５ｃに屈曲した形状で一体に連なる部分、ならびに前記上側鍔部３１８ｂおよび下側鍔部３１８ｃに屈曲した形状で一体に連なる部分を含んで設定されるので、前記シートバック側サイドフレーム３２５および前記シートクッション側サイドフレーム３１８の剛性をより高めることができる。

　また前記シートバック側サイドフレーム３２５において、前記第１の板厚増加領域Ｂ１の一部が、前記側板部３２５ａに取付けられる取付け部品であるリクライニングユニット３３０を三方向から囲んで定められるので、リクライニングユニット３３０の取付け部の剛性向上を図ることができる。

　しかもシートバックフレーム側サイドフレーム３２５の側板部３２５ａに、前記リクライニングユニット３３０を取付けるためのリクライニングユニット取付け部３３２が設けられ、当該リクライニングユニット取付け部３３２が前記第１の板厚増加領域Ｂ１の前記増加板厚ｔｂ１よりも厚肉に形成されるので、リクライニングユニット３３２の取付け剛性が向上する。

　またシートバックフレーム側サイドフレーム３２５の前記側板部のうち前記第１の板厚増加領域Ａ１に含まれる部分の一部に、内外いずれかに隆起した第１の補強部３３７が設けられるので、前記側板部３２５ａの剛性をより高めることができる。

　また前記シートバックフレーム側サイドフレーム３２５における前記第１の板厚増加領域Ａ１のうち相互に離隔した部位間を結ぶ第２および第３の補強部３３８，３３９が、前記側板部３２５ａに設けられるので、前記シートバックフレーム側サイドフレーム３２５の剛性がより一層向上する。

　さらに前記シートバックフレーム側サイドフレーム３２５において、前記第１の基準板厚領域Ａ１に含まれる部分で前記側板部３２５ａに第１～第７の貫通孔３４０～３４６が形成されるので、第１～第７の貫通孔３４０～３４６の加工精度を高めることができる。

　本発明の第２実施形態について図３１を参照しながら説明するが、上記第１実施形態に対応する部分には同一の参照符号を付して図示するのみとし、詳細な説明は省略する。

　シートバック側サイドフレーム３２５Ｂの側板部３２５ａには、内外いずれかに隆起する第４の補強部３６７および第２の補強部３３８が設けられる。前記第４の補強部３６７は、前下がりに傾斜した傾斜部３６７ａを下部に有しつつ、前記第１の板厚増加領域Ａ１に含まれるようにして前記後側鍔部３２５ｃに沿いつつ上下方向に延びて前記側板部３２５ａに設けられる。また前記第２の補強部３３８は、前記シートバック側サイドフレーム３２５Ｂの長手方向とは交差する方向に延びつつ、前記第４の補強部３６７の上下方向中間部から車両前後方向前方に延びて前記側板部３２５ａに設けられ、前記第４の補強部３６７および前記第２の補強部３３８は、この実施形態では、前記シートバック側サイドフレーム３２５Ｂのプレス加工時に内側に隆起するように形成される。

　この第２実施形態によっても上記第１実施形態と同様の効果を奏することができる。

　本発明の第３実施形態について図３２を参照しながら説明するが、上記第１および第２実施形態に対応する部分には同一の参照符号を付して図示するのみとし、詳細な説明は省略する。

　シートバック側サイドフレーム３２５Ｃの側板部３２５ａには、内外いずれかに隆起する第４の補強部３６７、第５の補強部３６８および第２の補強部３３８が設けられる。前記第５の補強部３６８は、前記第４の補強部３６７における傾斜部３６７ａの基端部から前記シートバック側サイドフレーム３２５Ｃの長手方向とは交差する方向で車両前後方向前方に延びて前記側板部３２５ａに設けられる。また前記第２の補強部３３８は、前記シートバック側サイドフレーム３２５Ｃの長手方向とは交差する方向に延びて前記側板部３２５ａに設けられ、前記第４の補強部３６７、前記第５の補強部３６８および前記第２の補強部３３８は、この実施形態では、前記シートバック側サイドフレーム３２５Ｃのプレス加工時に内側に隆起するように形成される。

　この第３実施形態によっても上記第１および第２実施形態と同様の効果を奏することができる。

　本発明の第４実施形態について図３３を参照しながら説明するが、上記第１～第３実施形態に対応する部分には同一の参照符号を付して図示するのみとし、詳細な説明は省略する。

　シートバック側サイドフレーム３２５Ｄの側板部３２５ａには、内外いずれかに隆起する第１の補強部３３７、第６～第８の補強部３６９，３７０，３７１が設けられ、これらの補強部３３７，３６９～３７１は、この実施形態では、前記シートバック側サイドフレーム３２５Ｄのプレス加工時に内側に隆起するように形成される。

　前記第６の補強部３６９、第７の補強部３７０および前記第８の補強部３７１は、上下方向に相互に間隔をあけた位置で車両前後方向に延びるようにして前記側板部３２５ａに設けられる。

　この第４実施形態によっても上記第１～第３実施形態と同様の効果を奏することができる。

　さらに図３４～図３７には、第５実施形態が示される。この第５実施形態では、左右一対のシートクッション側サイドフレーム３１８の後端部に各々複数のボルト３９１で基部が締結され、且つ左右一対のシートバック側サイドフレーム３２５Ａの下端部を左右のリクライニングユニット３３０を介してそれぞれ連結する左右の連結ブラケット３２９Ｌ，３２９Ｒの構造に特徴がある。この第５実施形態においても、左右のシートバック側サイドフレーム３２５Ａにおける側板部３２５ａの下端部には、前の実施形態と同様、取付け部品であるリクライニングユニット３３０を取付けるための第１の貫通孔３４０を有するリクライニングユニット取付け部３３２が設けられており、このリクライニングユニット取付け部３３２は、前述の増加板厚ｔｂ１よりも厚肉の板厚ｔｃを有するよう厚肉に形成される。

　左右のリクライニングユニット３３０の各々は、連結ブラケット３２９Ｌ，３２９Ｒの先部に重合、固定されるベース板３３０ｂと、ベース板３３０ｂに回動可能に嵌合、支持され且つ第１の貫通孔３４０に嵌合、固定される皿状のケース３３０ｃと、そのケース３３０ｃ及びベース板３３０ｂ間の空間に配設されてケース３３０ｃ及びベース板３３０ｂの相互間をロック又はロック解除可能な不図示のロック機構と、そのロック機構に連動連結される操作レバー３９２と、シートクッションフレーム３１５に対しシートバックフレーム３１６を回転軸３３１回りに前方側に傾動付勢する付勢装置３３０ｓとを備えており、左右のロック機構は、回動軸３３１を介して同調動作する。

　付勢装置３３０ｓは、例えば連結ブラケット３２９Ｌ，３２９Ｒ又はベース板３３０ｂに固定の係止片３９４に一端が、またシートバック側サイドフレーム３２５Ａに固定の係止片３９５に他端がそれぞれ係止された渦巻きばね３９６と、該ばね３９６を収納する不図示のばねケースとを有している。また操作レバー３９２は、左右一方側（図示例では右側）のロック機構に連動連結され、しかも不図示の戻しばねの付勢力で通常は所定の待機位置に弾発保持される。

　而して、上記ロック機構は、従来公知のリクライニングユニットのロック機構と同様、操作レバー３９２のレバー操作により上記ロック又はロック解除を随時に切換え可能となっており、その切換えにより、ケース３３０ｃ及びベース板３３０ｂ相互の相対回動（従ってシートクッションフレーム３１５（サイドフレーム３１８）に対するシートバックフレーム３１６（サイドフレーム３２５Ａ）の傾動）を規制又は許容可能とすることで、シートクッションフレーム３１５に対するシートバックフレーム３１６の傾動角度を任意に調整できるようになっている。

　また図３６及び図３７で明らかなように、左右の連結ブラケット３２９Ｌ，３２９Ｒは、これの基部のシートクッション側サイドフレーム３１８との結合面に対し、先部のベース板３３０ｂとの結合面が外方側に所定量オフセットしており、しかもそのオフセット量δ，δ′は、左右の連結ブラケット３２９Ｌ，３２９Ｒで異なっている。即ち、操作レバー３９２と同側にある連結ブラケット３２９Ｒの上記オフセット量δは、連結ブラケット３２９Ｒと操作レバー３９２との相互干渉を回避すべく小さめに設定され、またその反対側にある連結ブラケット３２９Ｌの上記オフセット量δ′は、比較的大きめに設定されている。

　しかも各々の連結ブラケット３２９Ｌ，３２９Ｒの基部と先部との間の中間部には、車両が後面衝突（例えば追突等）された際に比較的容易に潰れ変形することで衝撃吸収を可能とする脆弱部３８０Ｌ，３８０Ｒが設けられる。この脆弱部は、本実施形態では連結ブラケット３２９Ｌ，３２９Ｒの上記中間部を前後方向に横切るようにして横断面山形に湾曲した第１ビード部３８１Ｌ，３８１Ｒと、この第１ビード部３８１Ｌ，３８１Ｒの後端部又は中間部より前上がりに傾斜して延びる第２ビード部３８２Ｌ，３８２Ｒとを各々有して、側面視Ｖ字状又はＹ字状に形成される。

　このような脆弱部３８０Ｌ，３８０Ｒからは強度調整のために幾つかの延出ビード部が延出しており、例えば、第１ビード部３８１Ｌ，３８１Ｒの中間部下端及び第２ビード部３８２Ｌ，３８２Ｒの中間部上端からは、下端のボルト３９１（即ち連結ブラケット３２９Ｌ，３２９Ｒの下側固定部）よりリクライニングユニット３３０の中心部（下側の溶接ビード）に向かって同一線上に延びる第１，第２延出ビード部ｂ１Ｌ，ｂ１Ｒ；ｂ２Ｌ，ｂ２Ｒが延出しており、また第２ビード部３８２Ｌ，３８２Ｒの後端部からは、リクライニングユニット３３０の中心部（下側の溶接ビード）に向かって延びる第３延出ビード部ｂ３Ｌ，ｂ３Ｒが延出している。

　更に第２ビード部３８２Ｌ，３８２Ｒは、前端のボルト３９１（即ち連結ブラケット３２９Ｌ，３２９Ｒの前側固定部）に向かって長く延長されており、その前側延長端部からは、前端のボルト３９１よりリクライニングユニット３３０の中心部（前側の溶接ビード）に向かって延びる第４延出ビード部ｂ４Ｌ，ｂ４Ｒが延出している。更にまた連結ブラケット３２９Ｌ，３２９Ｒの後部には、その後端縁に沿うように第３ビード３８３Ｌ，３８３Ｒが形成されており、その第３ビード３８３Ｌ，３８３Ｒの上部からは、リクライニングユニット３３０の中心を挟んで第４延出ビード部ｂ４Ｌ，ｂ４Ｒとは略対称位置に第５延出ビード部ｂ５Ｌ，ｂ５Ｒが延出している。而して、上記した第１～第５延出ビード部ｂ１Ｌ，ｂ１Ｒ～ｂ５Ｌ，ｂ５Ｒは、それらの少なくとも一部を脆弱部３８０Ｌ，３８０Ｒと組み合わせて用いることで、連結ブラケット３２９Ｌ，３２９Ｒの強度の方向性や強弱等を容易に調整可能となる。

　このように左右の連結ブラケット３２９Ｌ，３２９Ｒの中間部に特設した脆弱部３８０Ｌ，３８０Ｒやこれに連なる延出ビード部ｂ１Ｌ，ｂ１Ｒ～ｂ５Ｌ，ｂ５Ｒの形状・位置を異ならせたり、或いは左右の連結ブラケット３２９Ｌ，３２９Ｒの基部と先部間での上記オフセット量δ，δ′を異ならせたりすることで、左右の脆弱部３８０Ｌ，３８０Ｒの変形のし易さを変えることが可能となるため、後面衝突時において車両用シートに対し衝撃荷重が左右均等に掛からない場合でも、左右の連結ブラケット３２９Ｌ，３２９Ｒの変形態様を調整することが可能となる。

　以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。

＜第４の課題の解決手段の実施形態＞
　以下、添付図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明する。なお、以下の説明では、前後、左右および上下は通常の着座姿勢（運転時の基本姿勢）で車両用シートに着座した乗員から見た方向をいう。

　図３８は本発明の一実施形態に係る車両用シート（乗り物用シート）の全体構成を概略的に示す。車両用シート４１１は、例えば車両のモノコック構造の１構成要素として機能するフロアパネル４１２に結合されるスライドレール４１３と、前後方向に移動可能にスライドレール４１３に支持されて、乗員の臀部および大腿を受け止めるシートクッション４１４と、揺動軸線ＳＸ回りで前後方向に揺動可能にシートクッション４１４に連結されて、乗員の背中を受け止めるシートバック４１５と、シートバック４１５の上端に支持されて、乗員の頭を受け止めるヘッドレスト４１６とを備える。シートクッション４１４、シートバック４１５およびヘッドレスト４１６は個別に内部のパッドを包み込む表皮材４１４ａ、４１５ａ、４１６ａを有する。表皮材４１５ａ、４１６ａは、吊り込み糸４１７の働きでパッドの窪みに倣ってパッドの外面に密着する。パッドの詳細は後述される。車両用シート４１１は左座席用に構成される。車両用シート４１１が右座席用に用いられる場合には、車両用シート４１１で左右が入れ替えられればよい。

　シートクッション４１４はサイドカバー４１８を備える。サイドカバー４１８には第１レバー（操作子）４１９ａおよび第２レバー（操作子）４１９ｂが取り付けられる。第１レバー４１９ａは、回転軸線ＳＸに平行な軸線回りで揺動自在に支持される。第１レバー４１９ａが軸線回りで上方に引き上げられると、シートクッション４１４およびシートバック４１５は上方に移動する。第１レバー４１９ａが軸線回りで下方に押し下げられると、シートクッション４１４およびシートバック４１５は下方に移動する。第２レバー４１９ｂは回転軸線ＳＸ回りで揺動自在に支持される。第２レバー４１９ｂが揺動軸線ＳＸ回りで上方に引き上げられると、シートクッション４１４およびシートバック４１５の間で揺動軸線ＳＸ回りにロックは解除される。揺動軸線ＳＸ回りでシートバック４１５の揺動は許容される。シートバック４１５はばね力の働きで揺動軸線ＳＸ回りに前方に駆動される。ばね力に抗して揺動軸線ＳＸ回りに後方にシートバック４１５に外力が加えられると、シートバック４１５は揺動軸線ＳＸ回りに後方に駆動されることができる。第２レバー４１９ｂが揺動軸線ＳＸ回りの引き上げ力から解放されると、シートクッション４１４およびシートバック４１５の間で揺動軸線ＳＸ回りにロックは確立される。揺動軸線ＳＸ回りにシートバック４１５の角度は固定されることができる。

　シートクッション４１４には第３レバー（操作子）４１９ｃが取り付けられる。第３レバー４１９ｃは、揺動軸線ＳＸに平行な軸線回りで揺動自在に支持される。第３レバー４１９ｃが軸線回りで上方に引き上げられると、シートクッション４１４およびスライドレール４１３の間でロックは解除される。スライドレール４１３上でシートクッション４１４の線形移動は許容される。シートクッション４１４に前向きまたは後向きに外力が加えられると、シートクッション４１４はスライドレール４１３に沿って変位することができる。第３レバー４１９ｃが軸線回りの引き上げ力から解放されると、シートクッション４１４およびスライドレール４１３の間でロックは確立される。スライドレール４１３上で前後方向にシートクッション４１４の位置は固定されることができる。

　ヘッドレスト４１６は、シートバック４１５の上端から上方に延びるヘッドレストピラー４２１に固定される。ヘッドレストピラー４２１は、上下方向に軸方向に変位自在にシートバック４１５に支持される。ヘッドレストピラー４２１の変位に応じてヘッドレスト４１６の高さは調整されることができる。

　図３９に示されるように、車両用シート４１１は、パッドを支持するシートフレーム４２３を備える。シートフレーム４２３は、シートクッション４１４のパッドを支持するシートクッションフレーム４２４と、揺動軸線ＳＸ回りに揺動可能にシートクッションフレーム４２４に連結されて、シートバック４１５のパッドを支持するシートバックフレーム４２５と、長手方向に前後移動自在にスライドレール４１３に案内されて、スライドレール４１３上でシートクッションフレーム４２４を支持するベースフレーム４２６とを備える。シートクッションフレーム４２４はリンク機構４２７でベースフレーム４２６に連結される。リンク機構４２７は、揺動軸線ＳＸに平行に左右方向に延びる水平軸線ＦＨ回りで回転自在にベースフレーム４２６に結合される一端と、水平軸線ＦＨに平行に左右方向に延びる水平軸線ＳＨ回りで回転自在にシートクッションフレーム４２４に結合される他端とを有するリンク部材４２８を備える。リンク部材４２８は水平軸線ＦＨ回りでベースフレーム４２６に対してシートクッションフレーム４２４の上下移動を案内する。

　シートクッションフレーム４２４は、個々のスライドレール４１３に並んで延びるクッションサイドフレーム４２４ａと、シートクッション４１４の前端でクッションサイドフレーム４２４ａ同士を接続するパンフレーム４２４ｂと、シートクッション４１４の後端でクッションサイドフレーム４２４ａ同士を連結する連結パイプ４２４ｃとを備える。パンフレーム４２４ｂと連結パイプ４２４ｃとの間には複数のＳばね（図示されず）が配置される。個々のＳばねはジグザグ形状で前後に延びる。ジグザグ形状は、前後方向に延びる線材と、左右方向に延びる線材とが交互に組み合わせられて形成される。

　ベースフレーム４２６にはマニュアル式前後移動装置４２９が取り付けられる。マニュアル式前後移動装置４２９に第３レバー４１９ｃは連結される。マニュアル式前後移動装置４２９は、第３レバー４１９ｃの揺動に応じて、スライドレール４１３上でベースフレーム４２６の移動のロックおよびロック解除を切り替える。

　シートクッションフレーム４２４のクッションサイドフレーム４２４ａにはマニュアル式上下移動装置４３１が取り付けられる。マニュアル式上下移動装置４３１は、クッションサイドフレーム４２４ａに支持されて、リンク機構４２７に連結される伝達機構４３２を備える。伝達機構４３２は、クッションサイドフレーム４２４ａの外側に配置されて、軸線回りに第１レバー４１９ａから伝わる駆動力に応じて、水平軸線ＳＨ回りにクッションサイドフレーム４２４ａに対してリンク部材４２８の回転を引き起こす。伝達機構４３２は、例えば第１レバー４１９ａの揺動軸に固定される駆動ギアと、水平軸線ＳＨ回りでリンク部材４２８に固定される被動ギアとを含めばよい。

　シートバックフレーム４２５は、リクライニングユニット（リクライニング機構）４３４で個々のクッションサイドフレーム４２４ａの内側に連結される左右のサイドフレーム４３５と、リクライニングユニット４３４周りで相互にサイドフレーム４３５の下端を連結するロワーフレーム４３６と、ロワーフレーム４３６の上方で相互にサイドフレーム４３４の上端を連結するアッパーフレーム４３７とを備える。サイドフレーム４３５は、リクライニングユニット４３４周りで揺動軸線ＳＸに直交する鉛直面に沿って広がって、鉛直面に沿って上向きに延びる板状部４３５ａと、板状部４３５ａの前縁から連続し内向きに折り曲げ成形され、リクライニングユニット４３４周りから鉛直方向に延びる湾曲域４３８を形成する前壁４３５ｂと、板状部４３５ａの後縁から連続し内向きに折り曲げ成形され、リクライニングユニット４３４周りから鉛直方向に延びる湾曲域４３９を形成する後壁４３５ｃとを有する。後壁４３５ｃには、後壁４３５ｃの内端から連続し前向きに折り曲げ成形されるサイドフレームフランジ４１１が形成される。個々のサイドフレーム４３５は例えば１枚の金属板から成形される。アッパーフレーム４３７には上下方向にスライド可能にヘッドレストピラー４２１を支持するヘッドレストピラーガイド４４２が固定される。アッパーフレーム４３７の詳細は後述される。

　リクライニングユニット４３４は、シートクッションフレーム４２４およびシートバックフレーム４２５に対して相対回転自在に支持される回転体４４３を備える。一方の回転体（ここでは左の回転体）４３には揺動軸線ＳＸに同軸に軸体４４４が結合される。軸体４４４に第２レバー４１９ｂは固定される。回転体４４３の回転に応じてシートクッションフレーム４２４およびシートバックフレーム４２５の相対回転のロックおよびロック解除は切り替えられる。左右のリクライニングユニット４３４は、連結部材としての連結軸４４５で相互に連結される。連結軸４４５は揺動軸線ＳＸ回りで回転することができる。連結軸４４５は一方の回転体（ここでは左の回転体）４４３の回転を他方の回転体（ここでは右の回転体）４４３に伝達する。こうして第２レバー４１９ｂの操作は一方のリクライニングユニット４３４から他方のリクライニングユニット４３４に伝達される。

　図４０に示されるように、シートクッション４１４は、シートクッションフレーム４２４に支持されて、表皮材４１４ａに包み込まれるシートクッションパッド４４６をさらに備える。シートバック４１５は、シートバックフレーム４２５に支持されて、表皮材４１５ａに包み込まれるシートバックパッド４４７をさらに備える。シートクッションパッド４４６およびシートバックパッド４４７は例えば発泡ウレタンといった弾力性を有する素材から形成される。

　図４１～図４３に示されるように、ロワーフレーム４３６は、揺動軸線ＳＸの後方に配置されてサイドフレーム４３５の後壁４３５ｃに後方から接合され左右のサイドフレーム４３５を相互に連結する背領域４５１と、背領域４５１の下縁から連続して揺動軸線ＳＸよりも前方に向かって広がり前壁４３５ｂに後方から接合される補強域４５２とを有する。補強域４５２は、サイドフレーム４３５の板状部４３５ａに直交する姿勢の母線を有して板状部４３５ａの縁に沿って揺動軸線ＳＸ周りに湾曲する。湾曲する補強域４５２の働きで揺動軸線ＳＸ回りにロワーフレーム４３６のねじれ剛性は高められることができる。ロワーフレーム４３６は例えば１枚の金属板から成形される。

　背領域４５１は、第１平面Ｐｆに沿って広がる平板部４５１ａと、平板部４５１ａの上縁から連続し前向きに折り曲げ成形されるフランジ４５１ｂとを有する。平板部４５１ａの上縁は、左右中央位置から左右方向に揺動軸線ＳＸに平行に延びる第１縁４５３ａと、第１縁４５３ａの左右端からそれぞれ上向きに湾曲しながら延びる第２縁４５３ｂと、第２縁４５３ｂの上端からそれぞれ外側に向かって揺動軸線ＳＸに平行に延びサイドフレーム３５に重ねられる第３縁４５３ｃとを含む。フランジ４５１ｂは、第１縁４５３ａおよび第２縁４５３ｂで連続し第２縁４５３ｂの上端で途切れサイドフレームフランジ４１１に向き合わせられる。

　背領域４５１には左右のサイドフレーム４３５と重なる位置で溶接の溶接痕４５４が確立される。ここでは、溶接痕４５４はサイドフレーム４３５の縁に沿って形成される溶接ビードで構成される。溶接痕４５４で左右のサイドフレーム４３５はロワーフレーム４３６の背領域４５１に接合される。溶接には、その他、スポット溶接やレーザー溶接が用いられることができる。

　背領域４５１には、個々のサイドフレーム４３５から外れた位置で２つの差し込み孔４５５が形成される。差し込み孔４５５は、鉛直方向（重力方向）に起立するピンでロワーフレーム４３６が支持される際にロワーフレーム４３６が安定して支持される距離で揺動軸線ＳＸの軸方向に離れて配置される。差し込み孔４５５は例えば円形の輪郭を有する。

　背領域４５１には、個々のサイドフレーム４３５から外れた位置で、２つの差し込み孔４５５よりも左右方向に中央寄りに２つの開口４５６が形成される。開口４５６は、鉛直方向（重力方向）に起立するジグで連結軸４４５が支持される際に連結軸４４５が安定して支持される距離で揺動軸線ＳＸの軸方向に離れて配置される。開口４５６は例えば円形の輪郭を有する。

　図４２に示されるように、背領域４５１には第１平面Ｐｆ内で広がってシートバックフレーム４２５の組み立て時に後方から支持される第１受け面４５７が形成される。差し込み孔４５５および開口４５６は第１受け面４５７内に穿たれる。ここでは、開口４５６は部分的に補強域４５２で広がってもよい。連結軸４４５には、開口４５６の前方に配置されて、後述されるようにジグに保持される角体４５８が形成される。角体４５８は、第１平面Ｐｆに直交しながら開口４５６に内接する仮想円筒面に囲まれる円柱空間内に配置される。角体４５８は例えば丸管が平坦に押し潰されて断面角形状に形成されることができる。

　図４４に示されるように、サイドフレーム４３５の前壁４３５ｂは、板状部４３５ａから揺動軸線ＳＸの軸方向に第１高さＨｆを有する。前壁４３５ｂはロワーフレーム４３６の縁を含んで揺動軸線ＳＸに直交する仮想平面Ｓｅから揺動軸線ＳＸの軸方向にずれて配置される。サイドフレーム４３５の後壁４３５ｃは、揺動軸線ＳＸ周りで板状部４３５ａの周縁に沿って前壁４３５ｂに空間４５９を挟んで隣接し、板状部４３５ａから揺動軸線ＳＸの軸方向に第１高さＨｆを有する低壁４６１ａと、低壁部４６１ａから連続し、板状部４３５ａから揺動軸線ＳＸの軸方向に第１高さＨｆよりも大きい第２高さＨｓを有する高壁部４６１ｂとを有する。前壁４３５ｂの湾曲域４３８と後壁４３５ｃの湾曲域４３９とは空間４５９で分断される。図４１に示されるように、高壁部４６１ｂは、第１平面Ｐｆに直交して補強域４５２の前縁に上方から接する仮想平面Ｌｅよりも上方に配置される。

　図４４に示されるように、サイドフレーム４３５の前壁４３５ｂには、第１高さＨｆの内縁から内方に広がってロワーフレーム４３６の補強域４５２に前方から重ねられる重ね片４６２が形成される。重ね片４６２の縁には補強域４５２と重なる位置で溶接の溶接痕４６３が確立される。ここでは、溶接痕４６３は重ね片４６２の縁に沿って形成される溶接ビードで構成される。溶接痕４６３で左右のサイドフレーム４３５はロワーフレーム４３６の補強域４５２に接合される。溶接には、その他、スポット溶接やレーザー溶接が用いられることができる。図４１に示されるように、重ね片４６３は、第１平面Ｐｆに直交して補強域４５２の前縁に上方から接する仮想平面Ｌｅよりも下方に配置される。

　図４２に示されるように、個々のサイドフレーム４３５には第１平面Ｐｆに対して決められた位置関係で設定される第２平面Ｐｓ内で広がって、シートバックフレーム４２５の組み立て時に後方から支持される第２受け面４６４が形成される。ここでは、第２平面Ｐｓは第１平面Ｐｆに平行に設定される。サイドフレーム４３５の後壁４３５ｃには、ロワーフレーム４３６から外れた位置で第２受け面４６４内に開口する差し込み孔４６５が形成される。差し込み孔４６５は例えば円形の輪郭を有する。

　図３９に示されるように、個々のサイドフレーム４３５の後壁４３５ｃには、差し込み孔４６５よりも上方でアッパーフレーム４３７から外れた位置に補助差し込み孔４６６が形成される。補助差し込み孔４６６は、差し込み孔４６５と同様に鉛直方向（重力方向）に起立するピンでサイドフレーム４３５が支持される際に差し込み孔４６５と協働でサイドフレーム４３５が安定して支持される距離で上下方向に差し込み孔４６５から離れて配置される。補助差し込み孔４６６は例えば円形の輪郭を有する。補助差し込み孔４６６は、第１平面Ｐｆに対して決められた位置関係で設定される補助平面内で広がって、シートバックフレーム４２５の組み立て時に後方から支持される補助受け面で開口する。

　図４５に示されるように、アッパーフレーム４３７は、板材から折り曲げ成形されて、水平方向に延びる上稜線４６７および下稜線４６８で仕切られる正面壁４６９と、上稜線４６７から連続し後方に広がる上壁４７１と、上壁４７１の後端から上向きに折り曲げ成形される上立ち壁４７２と、下稜線４６８から連続し後方に広がる下壁４７３と、下壁４７３の後端から下向きに折り曲げ成形される下立ち壁４７４とを有する。上立ち壁４７２には、上立ち壁４７２の上端から連続し前向きに折り曲げ成形される第１フランジ４７５が接続される。第１フランジ４７５は、上立ち壁４７２の上縁に沿って水平方向に全域にわたって連続する。下立ち壁４７４には、下立ち壁４７４の下端から連続し前向きに折り曲げ成形される第２フランジ４７６が接続される。第２フランジ４７６は、下立ち壁４７４の下縁に沿って水平方向に全域にわたって連続する。

　正面壁４６９は、水平方向に左右２か所で前向きに折り曲げ成形され鉛直方向の谷折り線４７７に沿って窪みを形成しそれぞれ外方に向かって延びる連結片４６９ａを有する。連結片４６９ａは、水平方向にさらに窪みの外側で後向きに折り曲げ成形され鉛直方向の山折り線４７８に沿って稜線を形成する。正面壁４６９の変形に伴って上立ち壁４７２および下立ち壁４７４は同様に変形する。アッパーフレーム４３７は例えば１枚の金属板から成形される。

　水平方向に山折り線４７８よりも外側で正面壁４６９には溶接の溶接痕４７９が確立される。ここでは、溶接痕４７９は左右のサイドフレーム４３５の縁に沿って形成される溶接ビードで構成される。溶接痕４７９の上下に対応して上立ち壁４７２および下立ち壁４７４には溶接の溶接痕４８１、４８２が確立される。ここでは、溶接痕４８１、４８２は左右のサイドフレーム４３５の縁に沿って形成される溶接ビードで構成される。溶接痕４７９、４８１、４８２でアッパーフレーム４３７は左右のサイドフレーム４３５に固着される。溶接には、その他、スポット溶接やレーザー溶接が用いられることができる。

　図４６に示されるように、前壁４３５ｂの内縁は、アッパーフレーム４３７の縁に対応する仮想輪郭線４８３ａから内側に広がって後方からアッパーフレーム４３７の正面壁４６９に重ねられる突片４８３を有する。アッパーフレーム４３７の正面壁４６９は突片４８３との間で溶接痕４７９を形成する。後壁４３５ｃの内縁は、後方からアッパーフレーム４３７の上立ち壁４７２に重ねられる上側重ね域４８４と、上側重ね域４８４の下方で、上側重ね域４８４から間隔を空けて、後方からアッパーフレーム４３７の下立ち壁４７４に重ねられる下側重ね域４８５とを有する。アッパーフレーム４３７の上立ち壁４７２は上側重ね域４８４との間で溶接痕４８１を形成する。同様に、アッパーフレーム４３７の下立ち壁４７４は下側重ね域４８５との間で溶接痕４８２を形成する。

　図４７に示されるように、アッパーフレーム４３７は、上壁４７１に形成されて、ヘッドレストピラーガイド４８６を受け入れる第１貫通孔４８７と、下壁４７３に形成されて、ヘッドレストピラーガイド４８６を受け入れる第２貫通孔４８８とを有する。ヘッドレストピラーガイド４８６は軸線方向に変位自在にヘッドレストピラー４２１を支持する。ヘッドレストピラーガイド４８６には、軸線に直交する方向に広がる位置決めフランジ４８９が形成される。第１貫通孔４８７および第２貫通孔４８８に上方からヘッドレストピラーガイド４８６が差し込まれると、位置決めフランジ４８９は上壁４７１に上方から接触して軸方向にヘッドレストピラーガイド４８６を位置決めする。ヘッドレストピラーガイド４８６は例えば樹脂材から成形されることができる。

　第１貫通孔４８７および第２貫通孔４８８の周縁にはそれぞれ下向きに折り曲げ成形される支持孔フランジ４９１が形成される。ヘッドレストピラーガイド４８６は支持孔フランジ４９１に圧入される。支持孔フランジ４９１はアッパーフレーム４３７に対してヘッドレストピラーガイド４８６を固定する。支持孔フランジ４９１はアッパーフレーム４３７からヘッドレストピラーガイド４８６の抜けを防止することができる。

　図４８に示されるように、第１貫通孔４８７の後方で第１フランジ４７５には、第１フランジ４７５の前縁から下向きに折り曲げ成形される受け片４９２が形成される。受け片４９２は後方からヘッドレストピラーガイド４８６を受け止める。前方からヘッドレストピラーガイド４８６に作用する荷重はアッパーフレーム４３７の上立ち壁４７２で支持される。その他、受け片４９２は第１フランジ４７５の前縁から上向きに折り曲げ成形されてもよい。

　図４５に示されるように、正面壁４６９の窪みには、谷折り線４７７に交差しながら延び曲げ方向に正面壁４６９の剛性を補強するビード（補強形状）４９３が形成される。ビード４９３は左右方向に水平に延びる。同様に、正面壁４６９には、正面視でヘッドレストピラー４２１に交差しながら延び面内方向に正面壁４６９の剛性を補強するビード（補強形状）４９４が形成される。ビード４９４は、中央寄りの最下端から外側に向かうにつれて上側に変位するように傾斜する。

　正面壁４６９には、２つの窪みに挟まれる領域に２つの差し込み孔４９５が形成される。差し込み孔４９５は、鉛直方向（重力方向）に起立するピンでアッパーフレーム４３７が支持される際にアッパーフレーム４３７が安定して支持される距離で揺動軸線ＳＸの軸方向に離れて配置される。差し込み孔４９５は例えば円形の輪郭を有する。差し込み孔４９５は、図４７に示されるように、第１平面Ｐｆ（あるいは補助平面）に対して決められた位置関係で設定される第３平面Ｐｔ内で広がって、シートバックフレーム４２５の組み立て時に後方から支持される第３受け面４９６で開口する。

　次にシートバックフレーム４２５の製造方法を説明する。シートバックフレーム４２５の組み立てにあたってロワーフレーム４３６、左右のサイドフレーム４３５およびアッパーフレーム４３７が用意される。図４９に示されるように、第１平面Ｐｆ上にロワーフレームは設置される。設置にあたって差し込みピン５０１は差し込み孔４５５に差し込まれる。差し込みピン５０１は、例えば鉛直方向（重力方向）に起立する軸心を有する円柱形状に形成される。差し込みピン５０１は、軸心に直交する第１平面Ｐｆを規定する段差５０１ａを有する。差し込みピン５０１の段差５０１ａにロワーフレーム４３６の第１受け面４５７は受け止められる。差し込み孔４５５に差し込みピン５０１が差し込まれることで第１平面Ｐｆに対してロワーフレーム４３６は位置決めされる。

　続いて、図５０に示されるように、ロワーフレーム４３６上に左右のサイドフレーム４３５が配置される。配置にあたってサイドフレーム４３５の差し込み孔４６５に差し込みピン５０２が差し込まれる。差し込みピン５０２は、例えば鉛直方向（重力方向）に起立する軸心を有する円柱形状に形成されており、且つ軸心に直交する第２平面Ｐｓを規定する段差５０２ａを有する。その段差５０２ａにはサイドフレーム４３５の第２受け面４６４が受け止められる。このとき、サイドフレーム４３５の補助差し込み孔４６６にさらに補助差し込みピン（図示されず）は差し込まれる。補助差し込みピンは、例えば鉛直方向（重力方向）に起立する軸心を有する円柱形状に形成される。補助差し込みピンは、補助平面を規定する段差を有する。補助差し込みピンの段差にサイドフレーム４３５の補助受け面は受け止められる。サイドフレーム４３５は第２平面Ｐｓおよび補助平面に支持される。第２平面Ｐｓおよび補助平面は第１平面Ｐｆに対して決められた位置関係で配置されることから、ロワーフレーム４３６に対して左右のサイドフレーム４３５は精度よく位置決めされることができる。差し込みピン５０２の軸方向からサイドフレーム４３５はロワーフレーム４３６に重ねられることができる。サイドフレーム４３５の後壁４３５ｃはロワーフレーム４３６の背領域４５１に重ね合わせられる。サイドフレーム４３５の前壁４３５ｂはロワーフレーム４３６の補強域４５２に差し込みピン５０２の軸方向から重ね合わせられる。こうして位置決めされたサイドフレーム４３５はロワーフレーム４３６に溶接される。溶接痕４５４、４６３は形成される。

　続いて、図５１に示されるように、左右のサイドフレーム４３５上にアッパーフレーム４３７が配置される。その配置にあたってアッパーフレーム４３５の差し込み孔４９５に差し込みピン５０３が差し込まれる。差し込みピン５０３は、例えば鉛直方向（重力方向）に起立する軸心を有する円柱形状に形成されており、且つ軸心に直交する第３平面Ｐｔを規定する段差５０３ａを有する。その段差５０３ａにはアッパーフレーム４３７の第３受け面４９６が受け止められる。第３平面Ｐｔは第１平面Ｐｆおよび補助平面に対して決められた位置関係で配置されることから、左右のサイドフレーム４３５に対してアッパーフレーム４３７は精度よく位置決めされることができる。差し込みピン５０３の軸方向からアッパーフレーム４３７はサイドフレーム４３５に重ねられることができる。アッパーフレーム４３７の正面壁４６９は差し込みピン５０３の軸方向から突片４８３に重ね合わせられる。アッパーフレーム４３７の上立ち壁４７２は差し込みピン５０３の軸方向から後壁４３５ｃの上側重ね域４８４に重ね合わせられる。重ね合わせにあたって上立ち壁４７２と前壁４３５ｂとの干渉は回避されることができる。同様に、アッパーフレーム４３７の下立ち壁４７４は差し込みピン５０３の軸方向から後壁４３５ｃの下側重ね域４８５に重ね合わせられる。重ね合わせにあたって下立ち壁４７４と前壁４３５ｂとの干渉は回避されることができる。こうして位置決めされたアッパーフレーム４３７は左右のサイドフレーム４３５に溶接される。溶接痕４７９、４８１、４８２は形成される。

　図５２に示されるように、ロワーフレーム４３６が差し込みピン５０１に受け止められると、背領域４５１の開口４５６にジグ５０４は進入する。ジグ５０４の先端には揺動軸線ＳＸに同軸に角溝５０４ａが刻まれる。角溝５０４ａには連結軸４４５の角体４５８がはめ込まれることができる。こうして連結軸４４５は個々のサイドフレーム４３５に対して位置決めされることができる。位置決めされた連結軸４４５の両端はそれぞれリクライニングユニット４３４の回転体４４３に溶接される。

　本実施形態に係るシートバックフレーム４２５では、ロワーフレーム４３６は、背領域４５１の下縁から連続して揺動軸線ＳＸよりも前方に向かって広がりサイドフレーム４３５の前壁４３５ｂに後方から接合される補強域４５２を有する。ロワーフレーム４３６は、背領域４５１に加えて、背領域４５１の下縁から揺動軸線ＳＸよりも前方に向かって広がる補強域４５２で個々のサイドフレーム４３５に接合される。シートバックフレーム４２５のねじれ剛性は高められることができる。ロワーフレーム４３６が背領域４５１だけでサイドフレームに接合される場合に比べて、ロワーフレーム４３６およびサイドフレーム４３５の接合強度は軽減されることができる。こうして接合の作業負荷は軽減されることができる。しかも、シートバックフレーム４２５の組み立てにあたってロワーフレーム４３６は後方からサイドフレーム４３５に組み付けられることができる。ロワーフレーム４３６には一方向からサイドフレーム４３５は組み付けられることができる。組み立ての作業性は損なわれない。

　サイドフレーム４３５は、リクライニングユニット４３４周りで板状部４３５ａの周縁に沿って前壁４３５ｂおよび後壁４３５ｃの間に形成される空間４５９を有する。リクライニングユニット４３４周りで板状部４３５ａの周縁に沿って折り曲げ成形される前壁４３５ｂと、リクライニングユニット４３４周りで板状部４３５ａの周縁に沿って折り曲げ成形される後壁４３５ｃとは空間４５９で分離される。サイドフレーム４３５の絞り加工にあたって、前壁４３５ｂおよび後壁４３５ｃがリクライニングユニット４３４周りで連続する場合に比べて前壁４３５ｂおよび後壁４３５ｃの形状精度は高められることができる。したがって、ロワーフレーム４３６に対してサイドフレーム４３５の組み付け性は安定する。

　本実施形態では、ロワーフレーム４３６の背領域４５１に、シートバックフレーム４２５の組み立て時にジグ５０４の通過を許容する開口４５６が形成される。その一方で、連結軸４４５には、開口４５６の前方に配置されてジグ５０４に保持される角体４５８が形成される。シートバックフレーム４２５の組み立てにあたって後方から開口４５６にジグ５０４は挿入されることができる。ジグ５０４には連結軸４４５の角体４５８が保持されることができる。こうして連結軸４４５は左右の回転体４４３に対して位置決めされることができる。連結軸４４５は個々の回転体４４３に対して良好な作業効率で接合可能である。

　ロワーフレーム４３６の背領域４５１には、第１平面Ｐｆ内で広がって後方から支持される第１受け面４５７が形成される。サイドフレーム４３５の後壁４３５ｃには、第１平面Ｐｆに対して決められた位置関係で設定される第２平面Ｐｓ内で広がって、後方から支持される際にロワーフレーム４３６に対してサイドフレーム４３５を位置決めする第２受け面４６４が形成される。シートバックフレーム４２５の組み立てにあたってロワーフレーム４３６は第１受け面４５７で物理的に支持されることができる。サイドフレーム４３５が第２受け面４６４で物理的に支持されると、第１平面Ｐｆおよび第２平面Ｐｓの位置関係に基づきロワーフレーム４３６に対して左右のサイドフレーム４３５は位置決めされることができる。サイドフレーム４３５はロワーフレーム４３６に対して容易に位置決めされることができる。

　加えて、アッパーフレーム４３７には、第２平面Ｐｓに対して決められた位置関係で設定される第３平面Ｐｔ内で広がって、後方から支持される際にサイドフレーム４３５に対してアッパーフレーム４３７を位置決めする第３受け面４９６が形成される。アッパーフレーム４３７が第３受け面４９６に物理的に支持されると、第２平面Ｐｓおよび第３平面Ｐｔの位置関係に基づきサイドフレーム４３５にアッパーフレーム４３７は位置決めされることができる。アッパーフレーム４３７はサイドフレーム４３５に対して容易に位置決めされることができる。

　本実施形態に係るサイドフレーム４３５では、前壁４３５ｂの内縁に、アッパーフレーム４３７の形状に対応した仮想輪郭線４８３ａから内側に広がって後方からアッパーフレーム４３７の正面壁４６９に重ねられる突片４８３が形成される。アッパーフレーム４３７は、組み立て時の間隔で配置される左右のサイドフレーム４３５に前方から組み付けられることができる。このとき、サイドフレーム４３５の前壁４３５ｂは、アッパーフレーム４３７で正面壁４６９よりも後方に位置する上立ち壁４７２および下立ち壁４７４に干渉しないで済む。こうしてアッパーフレーム４３７の組み付けにあたって作業効率は向上することができる。

　アッパーフレーム４３７の正面壁４６９は、水平方向に左右２か所で前向きに折り曲げ成形され鉛直方向の谷折り線４７７に沿って窪みを形成し突片４８３に向かって延びる連結片４６９ａを有する。正面壁４６９の窪みには、谷折り線４７７に交差しながら延び曲げ方向に剛性を補強するビード４９３が形成される。正面壁４６９では谷折り線４７７に沿った折り曲げに対して剛性は高められることができる。したがって、アッパーフレーム４３７の組み付けにあたってアッパーフレーム４３７の変形は抑制されることができる。組み付けの作業効率は高められることができる。

　アッパーフレーム４３７の正面壁４６９には、正面視でヘッドレストピラー４２１に交差しながら延び面内方向に剛性を補強するビード４９４が形成される。アッパーフレーム４３７では上壁４７１の第１貫通孔４８７および下壁４７３の第２貫通孔４８８に対応して正面壁４６９の剛性は高められることができる。したがって、アッパーフレーム４３７の組み付けにあたってアッパーフレーム４３７の変形は抑制されることができる。組み付けの作業効率は高められることができる。

　本実施形態に係るアッパーフレーム４３７では、第１貫通孔４８７の後方で第１フランジ４７５に、第１フランジ４７５の前縁から連続し下向きに折り曲げ成形される受け片４９２が形成される。上壁４７１の第１貫通孔４８７および下壁４７３の第２貫通孔４８８に対応して正面壁４６９の剛性は高められることができる。したがって、アッパーフレーム４３７の組み付けにあたってアッパーフレーム４３７の変形は抑制されることができる。組み付けの作業効率は高められることができる。

　図５３（Ａ）に示されるように、アッパーフレーム４３７の正面壁４６９には左右のビード４９４の間で抜き開口５０５が形成されてもよい。抜き開口５０５はアッパーフレーム４３７の軽量化に寄与することができる。ビード４９４は抜き開口５０５の形成に基づき生じる剛性の低下を抑制することができる。その他、図５３（Ｂ）に示されるように、アッパーフレーム４３７では、正面壁４６９の抜き開口５０５に加えて、下立ち壁４７４に抜き開口５０６が形成されてもよい。抜き開口５０６はさらなるアッパーフレーム４３７の軽量化に寄与することができる。その他、図５３（Ｃ）に示されるように、下立壁４７４そのものが上下方向に短縮されてもよい。この場合には、ビード４９３は山折り線４７８に向かって延長されてもよい。

　図５４に示されるように、連結軸４４５そのものは角管で形成されてもよい。この場合には、角管は開口４５６の前方で角体４５８を形成する。

　図５５に示されるように、アッパーフレーム４３６の上壁４７１および下壁４７３には、第１貫通孔４８７および第２貫通孔４８８に挿入されてヘッドレストピラーガイド４８６を支持する支持筒５０７が固定される。支持筒５０７は例えば金属材から成形される。ここでは、第１貫通孔４８７および第２貫通孔４８８にはそれぞれ周縁から上向きおよび下向きに小片５０８、５０９が折り曲げ成形される。図５６に示されるように、個々の小片５０８、５０９は支持筒５０７の外面に重ねられる。小片５０８、５０９は支持筒５０７に溶接される。溶接は、アッパーフレーム４３７およびサイドフレーム４３５の溶接と同様に、前方から実施されることができることから、シートフレーム４２３の組み立ての作業効率は向上する。支持筒５０７にヘッドレストピラーガイド４８６は圧入される。

　支持筒５０７は後方から受け片４９２で支持される。支持筒５０７および受け片４９２の協働で正面壁４６９の剛性は高められる。したがって、アッパーフレーム４３７の組み付けにあたってアッパーフレーム４３７の変形を抑制できるから、組み付けの作業効率は高められる。

Claims (10)

1. 　回転軸（３６）周りで回転軸線（ＳＸ）に直交する鉛直面に沿って広がって、前記鉛直面に沿って上向きに延びる板状部（３８ａ）を有する左右のサイドフレーム（３８）と、前記回転軸（３６）の上方で左右のサイドフレーム（３８）を連結するアッパーフレーム（３９；８１；１１１）とを有するシートバックフレーム（２５）を備え、
   　前記アッパーフレーム（３９；８１；１１１）は、板材から折り曲げ成形されて、水平方向に延びる上稜線（５２；８２）および下稜線（５３；８３）で仕切られる正面壁（５４；８４）と、前記上稜線（５２；８２）から連続し後方に広がる上壁（５５；８５）と、前記上壁（５５；８５）の後端から上向きに折り曲げ成形される上立ち壁（５６；８６）と、前記下稜線（５３；８３）から連続し後方に広がる下壁（５７；８７）と、前記下壁（５７；８７）の後端から下向きに折り曲げ成形される下立ち壁（５８；８８）とを有する車両用シート（１１）において、
   　前記サイドフレーム（３８）は、前記板状部（３８ａ）の前縁から連続し内向きに折り曲げ成形され、前記回転軸（３６）周りから鉛直方向に延び前記アッパーフレーム（３９；８１；１１１）に至る湾曲域（４１）を形成する前壁（３８ｂ）と、
   　前記板状部（３８ａ）の後縁から連続し内向きに折り曲げ成形され、前記回転軸（３６）周りから鉛直方向に延び前記アッパーフレーム（３９；８１；１１１）に至る湾曲域を形成する後壁（３８ｃ）とを有し、
   　前記前壁（３８ｂ）の内縁は、前記アッパーフレーム（３９；８１；１１１）の形状に対応した仮想輪郭線（６８）から内側に広がって後方から前記正面壁（５４；８４）に重ねられる突片（６９）を有することを特徴とする車両用シート。
2. 　前記アッパーフレーム（３９；８１；１１１）の前記正面壁（５４；８４）および前記サイドフレーム（３８）の前記突片（６９）は溶接の溶接痕（６５；９５）を有することを特徴とする、請求項１に記載の車両用シート。
3. 　前記後壁（３８ｃ）から連続し後方から前記アッパーフレーム（３９；８１；１１１）の前記上立ち壁（５６；８６）に重ねられる上側重ね片（７１）を備えることを特徴とする、請求項１又は２に記載の車両用シート。
4. 　前記アッパーフレーム（３９；８１；１１１）の前記上立ち壁（５６；８６）および前記サイドフレーム（３８）の前記上側重ね片（７１）は溶接の溶接痕（６６、９６）を有することを特徴とする、請求項３に記載の車両用シート。
5. 　前記後壁（３８ｃ）から連続し後方から前記アッパーフレーム（３９；８１；１１１）の前記下立ち壁（５８；８８）に重ねられる下側重ね片（７２）を備えることを特徴とする、請求項１～４の何れか１項に記載の車両用シート。
6. 　前記アッパーフレーム（３９；８１；１１１）の前記下立ち壁（５８；８８）および前記サイドフレーム（３８）の前記下側重ね片（７２）は溶接の溶接痕（６７；９７）を有することを特徴とする、請求項５に記載の車両用シート。
7. 　前記下側重ね片（７２）は、前記下側重ね片（７２）の下端から前向きに折り曲げ成形される下フランジ（７４）を有することを特徴とする、請求項６に記載の車両用シート。
8. 　前記アッパーフレーム（３９；８１；１１１）は、水平方向に前記下フランジ（７４）に対応する位置で前記下立ち壁（５８；８８）の下端から連続し前向きに折り曲げ成形されるフランジ（６２；９２）を有することを特徴とする、請求項７に記載の車両用シート。
9. 　前記後壁（３８ｃ）の内端から折り曲げ成形され前記下フランジ（７４）から連続するサイドフレームフランジ（４３）を備えることを特徴とする、請求項８に記載の車両用シート。
10. 　前記上壁（５５；８５）に形成されて、軸線方向に変位自在にヘッドレストピラー（２１）を支持するヘッドレストピラーガイド（７５）を受け入れる第１支持孔（７６）と、前記下壁（５７；８７）に形成されて前記ヘッドレストピラーガイド（７５）を受け入れる第２支持孔（７７）とを有し、
    　前記第１支持孔（７６）および前記第２支持孔（７７）の周縁にはそれぞれ下向きに折り曲げ成形される支持孔フランジ（７９）が形成されることを特徴とする、請求項１～９の何れか１項に記載の車両用シート。

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