JP6780454B2 - 乗物シート用バックフレーム - Google Patents

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Description

本願は、着席者の背部を支持するシートバックを有する乗物用シートに適用され、当該シートバックの骨格を構成するバックフレームに関する。
乗物シート用バックフレームは、例えば、特許文献1に記載されているように、一対のサイドフレームを有して構成されている。各サイドフレームは、シート幅方向両側それぞれに配設されて略上下方向に延びる強度部材である。
特開2016−49801号公報
本願は、例えばシート幅方向から大きな荷重がバックフレームに作用した場合を考慮した新たな乗物シート用バックフレームを提供する。
本願では、第1サイドフレーム(9)側から第2サイドフレーム(11)側に延びる伝達ロッド(17)であって、第1サイドフレーム(9)に作用する荷重を第2サイドフレーム(11)側に伝達するための伝達ロッド(17)と、伝達ロッド(17)の延び方向先端に対向する位置にて第2サイドフレーム(11)に直接的又は間接的に固定された受圧スペーサ(25)であって、当該伝達ロッド(17)を介して伝達される荷重を受ける樹脂製の受圧スペーサ(25)とを備える。
これにより、第1サイドフレーム(9)に作用する荷重は、伝達ロッド(17)及び受圧スペーサ(25)を介して第2サイドフレーム(11)側に伝達される。したがって、シート幅方向から大きな荷重がバックフレームに作用した場合であっても、当該荷重に対抗することが可能な乗物シート用バックフレームを得ることができる。
伝達ロッド(17)を介して受圧スペーサ(25)に伝達された荷重は、受圧スペーサ(25)のうち伝達ロッド(17)の延び方向先端に対向する部位に作用する。このため、当該部位(以下、荷重受部(25B)という。)のうち荷重方向と平行な部位の厚み寸法は、荷重に耐え得る程度の寸法とする必要がある。
しかし、荷重受部(25B)の厚み寸法が他の部位に比べて大きく異なると、樹脂成形時に荷重受部(25B)に成形収縮(「ヒケ」ともいう。)が発生し、十分な機械的強度を確保することが難しい可能性がある。
これに対して、本願では、受圧スペーサ(25)のうち伝達ロッド(17)の延び方向先端に対向する部位、つまり荷重受部(25B)には、第2サイドフレーム(11)側に陥没した複数の穴(26A〜26J)が設けられ、かつ、それら穴(26A〜26J)の少なくとも2つ(26A〜26H)は、荷重受部(25B)に投影された伝達ロッド(17)の内周縁(17B)に略沿うように並んでいる。
これにより、荷重受部(25B)の厚み寸法が他の部位に比べて大きく異なることを抑制できるので、ヒケの発生を抑制でき得る。したがって、樹脂製の荷重受部(25B)において十分な機械的強度を確保することが可能となる。
なお、本願は、以下のように構成してもよい。
すなわち、複数の穴(26A〜26J)のうち内周縁(17B)に略沿うように並んだ複数の穴(26A〜26H)において、並び方向において隣り合う穴の間隔寸法(A1〜A8)が略同一であることが望ましい。これにより、ヒケの発生を確実に抑制できる。
複数の穴(26A〜26J)のうち内周縁(17B)に略沿うように並んだ複数の穴(26A〜26H)を「周縁穴(26A〜26H)」としたとき、複数の穴(26A〜26J)は、(周縁穴26A〜26H)より内周縁(17B)が描く図形の図心側に設けられた少なくとも1つの穴(26J)を更に有している。
そして、内周縁(17B)が描く図形の図心側に設けられた少なくとも1つの穴(26J)を「中心穴(26J)」としたとき、中心穴(26J)と周縁穴(26A〜26H)との間隔寸法(A9〜A12)も含めて隣り合う穴の間隔寸法(A1〜A12)が略同一となっていることが望ましい。これにより、ヒケの発生を確実に抑制できる。「図心」とは、面積モーメントの和が0となる位置をいう。
なお、上記における「間隔寸法が略同一」とは、少なくとも2つの間隔寸法が略同一であれば十分である。全ての間隔寸法が略同一である場合に限定されるものではない。
受圧スペーサ(25)と伝達ロッド(17)の延び方向先端との間には、金属製のプレート(27)が配設され、伝達ロッド(17)は、中空のパイプ状であり、プレート(27)は、棒状の機械的締結具(27A)により受圧スペーサ(25)に固定されている。
そしてさらに、機械的締結具(27A)は、複数の穴(26A〜26J)のうち内周縁(17B)が描く図形の図心側に設けられた穴(26J)に挿入されていることが望ましい。これにより、荷重受部(25B)が金属にて補強された状態となるので、十分な機械的強度を確保することが可能となる。
因みに、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的構成等との対応関係を示す一例であり、本発明は上記括弧内の符号に示された具体的構成等に限定されるものではない。
本発明の実施形態に係る乗物用シートの外観図である。 本発明の実施形態に係るバックフレーム7の外観図である。 本発明の実施形態に係るバックフレーム7の外観図である。 本発明の実施形態に係るバックフレーム7の分解斜視図である。 本発明の実施形態に係る駆動装置20の分解斜視図である。 本発明の実施形態に係る駆動装置20及び伝達ロッド17等の組付状態を示す図である。 本発明の実施形態に係る駆動装置20及び伝達ロッド17等の組付状態を示す図である。 図7のA−A断面図である。 本発明の実施形態に係る第1受圧スペーサ25の荷重受部25Bを示す図である。 本発明の実施形態に係る第1受圧スペーサ25の荷重受部25Bを示す図である。
以下に説明する「発明の実施形態」は、本願発明の技術的範囲に属する実施形態の一例を示すものである。つまり、特許請求の範囲に記載された発明特定事項等は、下記の実施形態に示された具体的構成や構造等に限定されるものではない。
以下、本発明の実施形態を図面と共に説明する。なお、各図に付された方向を示す矢印等は、各図相互の関係を理解し易くするために記載したものである。本発明は、各図に付された方向に限定されるものではない。
少なくとも符号を付して説明した部材又は部位は、「1つの」等の断りをした場合を除き、少なくとも1つ設けられている。つまり、当該部材が2以上設けられていてもよい。
(第1実施形態)
本実施形態は、普通乗用車の前席用シートに本願に係る乗物用シート用バックフレーム及び駆動装置を適用したものである。なお、以下の説明における方向は、本実施形態に係る乗物用シートを車両に組み付けた状態における方向を意味する。
1.乗物用シートの概要
図1に示すように、乗物用シート1は、少なくともシートクッション3及びシートバック5を有する。シートクッション3は着席者の臀部等を支持するための部位である。シートバック5は着席者の背部を支持するための部位である。シートバック5は、シートクッション3に対してシート前後方向に対して揺動(リクラニング)可能である。
図2及び図3に示すバックフレーム7は、シートバック5の骨格を形成するフレームであって、クッションフレーム(図示せず。)に対して揺動可能に連結されている。クッションフレームは、シートクッション3の骨格を構成するフレームである。
バックフレーム7は、一対のサイドフレーム9、11、アッパパネル13及びロアパネル15等を少なくとも有する。各サイドフレーム9、11は、略上下方向に延びるとともに、シート幅方向両側それぞれに配設されたフレームである。
なお、本実施形態に係るシート幅方向は車両の左右方向と一致する。以下、シート幅方向一端側に配設されたサイドフレーム9を第1サイドフレーム9ともいう。シート幅方向他端側に配設されたサイドフレーム11を第2サイドフレーム11ともいう。
アッパパネル13は、シート幅方向に延びて各サイドフレーム9、11の上端側を連結する。当該アッパパネル13は、その延び方向と直交する断面形状が略C字状に構成された開断面形状のパネル状のフレームである。なお、本実施形態に係るアッパパネル13は、シート後方側が開口した開断面形状のパネル部材である。
アッパパネル13には、一対のヘッドレストサポート13A、13Bが固定されている。一対のヘッドレストサポート13A、13Bは、ヘッドレスト4(図1参照)を支持するための筒状(本実施計形態では、角筒状)の部材である。なお、ヘッドレスト4は、着席者の頭部を支持するため部材である。
ロアパネル15は、シート幅方向に延びて各サイドフレーム9、11の下端側を連結する。当該ロアパネル15は、その延び方向と直交する断面形状が略C字状又はJ字状に構成された開断面形状のパネル状部材である。
なお、本実施形態に係るロアパネル15は、シート前方上方側が開口したJ字状に構成された開断面形状である。一対のサイドフレーム9、11、アッパパネル13及びロアパネル15は金属製である。それら9〜15は、溶接等の接合手段又はねじ等の機械的締結具により互いに連結固定されている。
一対のサイドフレーム9、11間には、第1サイドフレーム9側から第2サイドフレーム11側に延びる伝達ロッド17が配設されている。伝達ロッド17は、第1サイドフレーム9に作用する荷重(以下、側突荷重という。)を第2サイドフレーム11側に伝達するための柱状部材である。なお、本実施形態に係る伝達ロッド17は中空パイプ状の筒体である。
すなわち、図4に示すように、伝達ロッド17の延び方向一端側にはフレームブラケット19Aが固定されている。フレームブラケット19Aは、上下方向に延びる部分が第1サイドフレーム9に固定される。
伝達ロッド17のうちロアパネル15と対向する部位には、パネルブラケット19B、19Cが固定されている。パネルブラケット19B、19Cは、ロアパネル15に固定される。つまり、伝達ロッド17は、フレームブラケット19A及び一対のパネルブラケット19B、19Cを介してバックフレーム7に固定されている。
なお、本実施形態では、フレームブラケット19A及び一対のパネルブラケット19B、19Cは、ネジ等の機械的締結具(図示せず。)により第1サイドフレーム9及びロアパネル15それぞれに固定されている。
各ブラケット19A〜19Cは溶接にて伝達ロッド17に固定されている。因みに、本実施形態では、第1サイドフレーム9は、車両幅方向端部側、つまり乗降用ドア(図示せず。)側に位置し、かつ、第2サイドフレーム11は、車両幅方向中央側に位置する。
2.リクライニング用駆動装置
2.1 駆動装置の概要
駆動装置20は、図2に示すように、バックフレーム7に装着されて揺動力を発生する。揺動力は、バックフレーム7をクッションフレームに対して揺動させる力である。駆動装置20は、図5に示すように、電動モータ21、減速機構23、第1受圧スペーサ25、プレート27及び第2受圧スペーサ29等を少なくとも有する。
電動モータ21は、揺動力の源泉となる駆動力を発生する。減速機構23は、電動モータ21)の回転出力を減速して駆動力(トルク)を増大させる。なお、本実施形態に係る減速機構23は、電動モータ21で発生した回転出力を略90度転向させて出力する。
減速機構23の出力部には、多角形状の貫通穴23Aが設けられている。貫通穴23Aには、当該貫通穴23Aと合同な断面形状を有する連結ロッド23Bが貫通される(図6参照)。連結ロッド23Bは、電動モータ21で発生した回転出力を一対のサイドフレーム9、11側に伝達する。
第1受圧スペーサ25は、図7に示すように、伝達ロッド17の延び方向先端17Aに対向する位置にて減速機構23に固定された樹脂製の部材である。当該第1受圧スペーサ25は、伝達ロッド17を介して伝達される荷重を受ける受圧部材である。
第1受圧スペーサ25は、第2受圧スペーサ29と協働して減速機構23を挟み込むようにして減速機構23に固定されている。すなわち、第1受圧スペーサ25は、減速機構23に対して伝達ロッド17(第1サイドフレーム9)側に配設されている。
第2受圧スペーサ29は、第1受圧スペーサ25と同一の樹脂製であって、減速機構23に対して伝達ロッド17と反対側(第2サイドフレーム11側)に配設されている。そして、ネジ29A、29B(図5参照)により、第1受圧スペーサ25と第2受圧スペーサ29側とが互いに締結固定されている。
第2受圧スペーサ29は、第2サイドフレーム11と接触又は近接した状態で第2サイドフレーム11と対向している。そして、駆動装置20は、減速機構23のハウジングに設けられたブラケット23B(図5参照)を介して第2サイドフレーム11に固定されている。つまり、第1受圧スペーサ25は、ブラケット23B等を介して間接的に第2サイドフレーム11に固定されている。
プレート27は、第1受圧スペーサ25のうち伝達ロッド17側に配設された金属製の板材であって、伝達ロッド17の延び方向先端17Aに直接的に対向している。換言すれば、プレート27は、第1受圧スペーサ25と伝達ロッド17との間に配設されている。
本実施形態では、図7に示すように、伝達ロッド17の延び方向先端17Aがプレート27から離間している。このため、側突荷重により伝達ロッド17がプレート27側に変位して先端17Aがプレート27に接触したときに、当該側突荷重が第1受圧スペーサ25及び第2受圧スペーサ29を介して第2サイドフレーム11に伝達される。
なお、本実施形態では、第1受圧スペーサ25と第2受圧スペーサ29とが締結され、かつ、第1受圧スペーサ25及び第2受圧スペーサ29は、減速機構23を挟み込んでいるものの、当該減速機構23に固定されていない。このため、第1受圧スペーサ25に伝達された側突荷重の多くは、減速機構23ではなく、第2受圧スペーサ29を介して第2サイドフレーム11に伝達される。
2.2 プレートの固定構造
図8に示すように、プレート27は、Pネジ(パンヘッドスクリュー)27Aにより第1受圧スペーサ25に固定されている。Pネジ27Aは機械的締結具の一例である。当該Pネジ27Aは、プレート27に投影された伝達ロッド17の内周縁17Bの中に位置している。
具体的には、Pネジ27Aの断面中心位置O1は、内周縁17Bが描く図形の図心と略一致している。図心とは、内周縁17Bが描く図形についての面積モーメントが釣り合う位置をいう。
第1受圧スペーサ25には、図5に示すように、プレート27側に向けて突出した突起部25Aが設けられている。プレート27には、突起部25Aが嵌り込む穴部27Bが設けられている。
そして、突起部25A及び穴部27Bは、図8に示すように、プレート27に投影された伝達ロッド17の外周縁17Cより外側に位置している。本実施形態に係る突起部25A及び穴部27Bの断面形状は長円状である。なお、本願に係る「長円」には、楕円及び紡錘形等も含まれる。
長円の長手方向は不問である。本実施形態に係る「長円の長手方向」は、Pネジ27Aの断面中心位置O1と突起部25Aの断面中心位置O2とを通る仮想線と外周縁17Cとの交点における外周縁17Cの接線方向と略平行である。
2.3 第1受圧スペーサの構造
図9に示すように、第1受圧スペーサ25のうち伝達ロッド17の延び方向先端17Aに対向する部位(以下、荷重受部25Bという。)には、第2サイドフレーム11側、つまり減速機構23側に陥没した複数の穴26A〜26Jが設けられている。なお、複数の穴26A〜26Jは、減速機構23まで貫通した貫通穴、及び貫通していない止まり穴のいずれであってもよい。
荷重受部25Bは、第1受圧スペーサ25のうちプレート27と面する部位に投影された「伝達ロッド17の外周縁17C」により囲まれた範囲を含む領域である。そして、複数の穴26A〜26Jの少なくとも2つ(本実施形態では、穴26A〜26H)は、荷重受部25Bに投影された伝達ロッド17の内周縁17Bに略沿うように並んでいる。
「複数の穴26A〜26Hが内周縁17Bに略沿うように並んでいる」とは、例えば、以下の場合等をいう。
(1)複数の穴26A〜26Hの外形線のうち内周縁17Bに面する部位を結んだ仮想線が概ね内周縁17Bと相似又は合同な形状である場合
(2)各穴26A〜26Hの中心を結ぶ仮想線(以下、中心配置線という。)が、内周縁17Bと概ね一致する場合をいう。なお、上記(2)の場合とは、例えば、以下の(a)〜(c)等の状態をいう。
(a)複数の穴26A〜26Hが全て内周縁17B内に位置して中心配置線が概ね内周縁17Bと一致する状態
(b)複数の穴26A〜26Hの中心が内周縁17B内及び内周縁17B外に散在して中心配置線が概ね内周縁17Bと一致する状態
(c)複数の穴26A〜26Hの中心が内周縁17B外に位置して中心配置線が概ね内周縁17Bと一致する状態
そして、複数の穴26A〜26Jのうち内周縁17Bに略沿うように並んだ複数の穴26A〜26H(以下、周縁穴26A〜26Hという。)においては、図10に示すように、その並び方向において隣り合う穴の間隔寸法A1〜A8が略同一となっている。
複数の穴26A〜26Jのうち周縁穴26A〜26H以外の穴、つまり穴26J(以下、中心穴26Jという。)は、内周縁17Bが描く図形の図心側に設けられている。そして、中心穴26Jと周縁穴26A〜26Hとの間隔寸法A9〜A12も含めて隣り合う穴の間隔寸法A1〜A12が略同一となっている。
本実施形態に係る中心穴26Jは、Pネジ27Aのネジ穴を構成している。このため、少なくとも中心穴26Jは円形状の穴である。因みに、Pネジ27Aはタッピングスクリューである。したがって、Pネジ27Aが中心穴26Jに挿入される前においては、当該中心穴26Jの内周面には、雌ねじが形成されていない。
周縁穴26A〜26Hは、概ね矩形状に形成された穴である。これは、周縁穴26A〜26Hの外形線のうち内周縁17Bに面する部位を結んだ仮想線が、概ね内周縁17Bと相似又は合同な形状とするためである。
周縁穴26A〜26Hのうち中心穴26Jと対向する部位は、中心穴26J側を曲率中心とする円弧を描くように湾曲している。これは、中心穴26Jと周縁穴26A〜26Hとの間隔寸法A9〜A12も含めて隣り合う穴の間隔寸法A1〜A12を略同一とするためである。
3.本実施形形態に係るバックフレーム及び駆動装置の特徴
<プレートの固定構造について>
本実施形態では、上述したように、第1サイドフレーム9に作用する側突荷重は、伝達ロッド17、プレート27、第1受圧スペーサ25及び第2受圧スペーサ29を介して第2サイドフレーム11側に伝達される。したがって、シート幅方向から大きな側突荷重がバックフレーム7に作用した場合であっても、当該側突荷重に対抗することが可能なバックフレーム7を得ることができる。
第1受圧スペーサ25には金属製のプレート27が固定されているので、樹脂製の第1受圧スペーサ25に直接的に荷重が作用せず、かつ、第1受圧スペーサ25が金属にて補強された状態となるので、プレート27を含む第1受圧スペーサ25の機械的強度を向上させることが可能となる。
そして、プレート27に投影された伝達ロッド17の内周縁17Bの中にPネジ27Aが位置している。これにより、伝達ロッド17がプレート27に接触しているときに、伝達ロッド17がPネジ27Aと干渉してしまうことを抑制できる。
したがって、伝達ロッド17の延び方向先端17A全体を確実にプレート27に接触させることができるので、第1サイドフレーム9に作用する側突荷重を確実に第2サイドフレーム11に伝達することが可能となる。
そして、本実施形態に係るPネジ27Aは、その断面中心位置が内周縁17Bが描く図形の図心と略一致している。これにより、例えば、伝達ロッド17が傾いた場合であっても、伝達ロッド17の延び方向先端17A全体を確実にプレート27に接触させることができる。
第1受圧スペーサ25には、プレート27側に向けて突出した突起部25Aが設けられ、かつ、プレート27には、突起部25Aが嵌り込む穴部27Bが設けられている。そして、突起部25A及び穴部27Bは、プレート27に投影された伝達ロッド17の外周縁17Cより外側に位置している。これにより、組立作業者は、突起部25A及び穴部27Bによりプレート27を位置決めした状態で、Pネジ27Aにてプレート27を第1受圧スペーサ25に固定できる。
プレート27に突起部25Aが嵌り込む穴部27Bが設けられているので、例えば、伝達ロッド17が大きく傾いた場合であっても、伝達ロッド17の延び方向先端17Aが突起部25Aに干渉することはない。したがって、伝達ロッド17の延び方向先端17A全体を確実にプレート27に接触させることができる。
突起部25A及び穴部27Bの断面形状は長円状である。これにより、突起部25A及び穴部27Bによりプレート27の回転変位が規制される。したがって、組立作業者は、確実にプレート27を位置決めした状態でプレート27を第1受圧スペーサ25に固定できる。
<第1受圧スペーサの構造について>
伝達ロッド17を介して第1受圧スペーサ25に伝達された側突荷重は、第1受圧スペーサ25の荷重受部25Bに作用する。このため、荷重受部25Bのうち荷重方向と平行な部位の厚み寸法は、側突荷重に耐え得る程度の寸法とする必要がある。
しかし、荷重受部25Bの厚み寸法が他の部位に比べて大きく異なると、樹脂成形時に荷重受部25Bに成形収縮(「ヒケ」ともいう。)が発生し、十分な機械的強度を確保することが難しい可能性がある。
これに対して、本実施形態に係る荷重受部25Bには、第2サイドフレーム11側に陥没した複数の穴26A〜26Jが設けられ、かつ、周縁穴26A〜26Hは、荷重受部25Bに投影された伝達ロッド17の内周縁17Bに略沿うように並んでいる。
これにより、荷重受部25Bの厚み寸法が他の部位に比べて大きく異なることを抑制できるので、ヒケの発生を抑制でき得る。したがって、樹脂製の荷重受部25Bにおいて十分な機械的強度を確保することが可能となる。
周縁穴26A〜26Hにおいては、並び方向において隣り合う穴の間隔寸法A1〜A8が略同一である。これにより、ヒケの発生を確実に抑制できる。
複数の穴26A〜26Jは、中心穴26Jと周縁穴26A〜26Hとの間隔も含めて隣り合う穴の間隔寸法A1〜A12が略同一である。これにより、ヒケの発生を確実に抑制できる。
(その他の実施形態)
上述の実施形態では、Pネジ27Aの断面中心位置が内周縁17Bが描く図形の図心と略一致していた。しかし、本願明細書に開示された発明はこれに限定されるものではない。すなわち、例えば、Pネジ27Aの断面中心位置が当該図心からずれていてもよい。
上述の実施形態では、外周縁17Cより外側に、位置決め用に突起部25A及び穴部27Bが設けられていた。しかし、本願明細書に開示された発明はこれに限定されるものではない。
すなわち、例えば、(a)突起部25A及び穴部27Bが廃止された構成、(b)突起部25A及び穴部27Bが内周縁17Bの中にある構成、(c)プレート27に突起部25Aが設けられ、第1受圧スペーサ25に穴部27Bが設けられた構成であってもよい。
上述の実施形態に係る突起部25A及び穴部27Bは長円状であった。しかし、本願明細書に開示された発明はこれに限定されるものではない。すなわち、例えば、多角形状等の回転禁止機能が発揮可能な形状であれば十分である。
上述の実施形態では、金属製のプレート27が内周縁17Bが描く図形の中に位置するPネジ27Aにより第1受圧スペーサ25に固定されていた。しかし、本願明細書に開示された発明はこれに限定されるものではない。すなわち、例えば、プレート27が廃止された構成、又は内周縁17Bが描く図形の外にPネジ27Aが配置された構成等であってもよい。
上述の実施形態では、周縁穴26A〜26Hにおいては、並び方向において隣り合う穴の間隔寸法A1〜A8が略同一であった。しかし、本願明細書に開示された発明はこれに限定されるものではない。
上述の実施形態では、複数の穴26A〜26Jは、中心穴26Jと周縁穴26A〜26Hとの間隔も含めて隣り合う穴の間隔寸法A1〜A12が略同一であった。しかし、本願明細書に開示された発明はこれに限定されるものではない。
上述の実施形態に係る荷重受部25Bには、第2サイドフレーム11側に陥没した複数の穴26A〜26Jが設けられ、かつ、周縁穴26A〜26Hは、荷重受部25Bに投影された伝達ロッド17の内周縁17Bに略沿うように並んでいた。
しかし、本願明細書に開示された発明はこれに限定されるものではない。すなわち、例えば、周縁穴26A〜26Hが廃止された構成、又は周縁穴26A〜26Hが内周縁17Bに沿うことなく配置された構成等であってもよい。
上述の実施形態では、周縁穴26A〜26Hの一部が内周縁17Bに重なっていた。しかし、本願明細書に開示された発明はこれに限定されるものではない。すなわち、例えば、複数の穴26A〜26Hの外形線のうち内周縁17Bに面する部位を結んだ仮想線が、内周縁17B内に位置した構成であってもよい。
上述の実施形態に係る第1受圧スペーサ25は間接的に第2サイドフレーム11に固定されていた。しかし、本願明細書に開示された発明はこれに限定されるものではない。すなわち、第1受圧スペーサ25を第2サイドフレーム11に直接固定してもよい。
上述の実施形態に係る第1受圧スペーサ25は、駆動装置20を介して第2サイドフレーム11に固定されていた。しかし、本願明細書に開示された発明はこれに限定されるものではない。すなわち、例えばロアパネル15に第1受圧スペーサ25が固定され、ロアパネル15を介して間接的に第2サイドフレーム11に固定された構成であってもよい。
上述の実施形態に係る伝達ロッド17は、フレームブラケット19A等を介して第1サイドフレーム9に固定されていた。しかし、本願明細書に開示された発明はこれに限定されるものではない。すなわち、例えば伝達ロッド17がロアパネル15のみに固定された構成であってもよい。
上述の実施形態に係るプレート27はPネジ27Aにより第1受圧スペーサ25に固定されていた。しかし、本願明細書に開示された発明はこれに限定されるものではない。すなわち、例えばリベットにより第1受圧スペーサ25に固定されていてもよい。
上述の実施形態に係る伝達ロッド17は角パイプ状であった。しかし、本願明細書に開示された発明はこれに限定されるものではない。すなわち、例えば、丸パイプ状の伝達ロッド17、又は中実丸棒の伝達ロッド17等であってもよい。
上述の実施形態では、内周縁17Bが描く図形が略矩形状であるので、例えば中心穴26Jと周縁穴26A、26C、26E、26Gとの間隔寸法(以下、対角位置間隔寸法という。)は、他の間隔寸法A1〜A12より大きくならざるを得なかった。
しかし、本願明細書に開示された発明はこれに限定されるものではない。すなわち、全ての間隔寸法のうち少なくとも2つが略同一である構成、及び対角位置間隔寸法も含めて全ての間隔寸法が略同一であってもよい。
具体的には、(a)内周縁17Bが描く図形が円として全ての間隔寸法を略同一とした構成、又は(b)中心穴26Jの穴形状及び周縁穴26A、26C、26E、26Gの穴形状を全ての間隔寸法を略同一とすることが可能な形状とした構成であってもよい。
上述の実施形態では、普通乗用車の前席用シートに本発明を適用した。しかし、本発明の適用はこれに限定されるものではなく、その他の自動車用シート、又は鉄道車両、船舶及び航空機等の乗物に用いられるシートにも適用できる。
さらに、本発明は、特許請求の範囲に記載された発明の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されるものではない。したがって、上述した複数の実施形態のうち少なくとも2つの実施形態を組み合わせてもよい。
1… 乗物用シート 3… シートクッション 4… ヘッドレスト
5… シートバック 7… バックフレーム 9… 第1サイドフレーム
11… 第2サイドフレーム 17… 伝達ロッド 20… 駆動装置
21… 電動モータ 23… 減速機構 25… 第1受圧スペーサ
25A… 突起部 25B… 荷重受部 26A〜26J… 穴
27… プレート 27A… Pネジ 29… 第2受圧スペーサ

Claims (3)

  1. 着席者の背部を支持するシートバックを有する乗物用シートに適用され、当該シートバックの骨格を構成するバックフレームにおいて、
    シート幅方向一端側に配設され、略上下方向に延びる第1サイドフレームと、
    シート幅方向他端側に配設され、略上下方向に延びる第2サイドフレームと、
    前記第1サイドフレーム側から前記第2サイドフレーム側に延びる伝達ロッドであって、前記第1サイドフレームに作用する荷重を前記第2サイドフレーム側に伝達するための伝達ロッドと、
    前記伝達ロッドの延び方向先端に対向する位置にて前記第2サイドフレームに直接的又は間接的に固定された受圧スペーサであって、当該伝達ロッドを介して伝達される荷重を受ける樹脂製の受圧スペーサとを備え、
    前記受圧スペーサのうち前記伝達ロッドの延び方向先端に対向する部位には、前記第2サイドフレーム側に陥没した複数の穴が設けられ、かつ、それら穴の少なくとも2つは、当該部位に投影された前記伝達ロッドの内周縁に略沿うように並んでおり、
    さらに、前記複数の穴のうち前記内周縁に略沿うように並んだ複数の穴において、並び方向において隣り合う穴の間隔寸法が略同一である乗物シート用バックフレーム。
  2. 前記複数の穴のうち前記内周縁に略沿うように並んだ複数の穴を「周縁穴」としたとき、前記複数の穴は、前記より前記内周縁が描く図形の図心側に設けられた少なくとも1つの穴を更に有し、
    前記内周縁が描く図形の図心側に設けられた少なくとも1つの穴を「中心穴」としたとき、前記中心穴と前記周縁穴との間隔寸法も含めて隣り合う穴の間隔寸法が略同一となっている請求項に記載の乗物シート用バックフレーム。
  3. 前記受圧スペーサと前記伝達ロッドの延び方向先端との間には、金属製のプレートが配設され、
    前記伝達ロッドは、中空のパイプ状であり、
    前記プレートは、棒状の機械的締結具により前記受圧スペーサに固定されており、
    さらに、前記機械的締結具は、前記複数の穴のうち前記内周縁が描く図形の図心側に設けられた穴に挿入されている請求項に記載の乗物シート用バックフレーム。
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