JP5412420B2 - 車両用シート - Google Patents
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また、側突時にサイドフレームがクリアランスに倒れ込んでも補強プレートの面で衝撃荷重を受けることができるので、サイドフレームが荷重伝達メンバの端面に食い込むことがない。したがって、荷重伝達メンバに曲げモーメントが作用するのを抑制し、荷重伝達メンバの屈曲変形を防止できる。このように、車両側部から入力された衝撃荷重を確実に受け、効率よく荷重伝達メンバを介してセンタトンネルに伝達できる。
本発明によれば、側突時に車両側部から斜めに衝撃荷重が入力しても、側壁部の面で衝撃荷重を受けることができる。さらに、補強プレートは側壁部と略平行に配置されているので、衝撃荷重を受けた側壁部は、補強プレートの面に対して面直に近い状態で衝撃荷重を伝達することができる。これにより、荷重伝達メンバに対して曲げモーメントが作用するのをさらに抑制できるので、さらに効率よく荷重伝達メンバを介してセンタトンネルに伝達できる。
一般に、駆動モータのモータ部は金属で形成されているのに対し、駆動モータの減速機構部および軸受部は樹脂により形成される。このため、車両側部から入力した衝撃荷重が駆動モータに伝達し、移動して補強プレートと衝突すると、補強プレートにより減速機構部および軸受部は破壊される。すなわち、本発明によれば、減速機構部および軸受部を補強プレートに対向させることで、衝撃荷重を補強プレートで確実に受け、荷重伝達メンバの端面に駆動モータが食い込むのを防止している。これにより、荷重伝達メンバに対して曲げモーメントが作用するのを抑制できるので、効率よく荷重伝達メンバを介してセンタトンネルに伝達できる。
また、前記駆動モータが、モータ部と、前記モータ部に連結された減速機構部と、前記減速機構部に連結されて前記傾動軸を回転させる軸受部と、を備え、前記軸受部が前記傾動軸の後方に設けられると共に、前記補強プレートが前記軸受部に対向して配置されることを特徴としている。
また、前記荷重伝達メンバの前記前壁部の下部は、断面視略S字形状であることを特徴としている。
また、側突時にサイドフレームがクリアランスに倒れ込んでも補強プレートの面で衝撃荷重を受けることができるので、サイドフレームが荷重伝達メンバの端面に食い込むことがない。したがって、荷重伝達メンバに曲げモーメントが作用するのを抑制し、荷重伝達メンバの屈曲変形を防止できる。このように、車両側部から入力された衝撃荷重を確実に受け、効率よく荷重伝達メンバを介してセンタトンネルに伝達できる。
図1は本発明の車両用シート10を備えた車両1の説明図、図2は車両1の前方から見た車両用シートフレーム12の斜視図、図3は車両の後方から見た車両用シートフレーム12の斜視図である。なお、図面において、矢印Fは車両1の前方を指すものとする。
図2および図3に示すように、シートクッションフレーム7は、前後のクロスメンバ5A,5Bと、側部のサイドプレート6A,6Bとによって矩形枠状に形成されている。
クロスメンバ5A,5Bは、パイプ材により形成されており、シート幅方向に沿って延出している。クロスメンバ5A,5Bの端部は、それぞれサイドプレート6A,6Bに溶接等により固定される。
開口部61は、シート幅方向から見て略円形状に形成されている。また、開口部61の内周縁61aには、開口部61の内径側に延出する舌片部63が形成されている。舌片部63は、開口部61の周方向に沿って、例えば90°ピッチで4箇所に形成されている。なお、舌片部63の個数や径方向の長さ、舌片部63の周方向に沿った幅等は、適宜設定される設計事項である。
シートクッションフレーム7の後端部には、後述するシートバックフレーム13を傾動可能に支持するリクライナ機構50を有している。
図2から図4に示すように、リクライナ機構50は、シートクッションフレーム7とシートバックフレーム13とを回動可能に連結する傾動軸15と、傾動軸15を回動させる駆動用モータユニット45(駆動モータ)と、傾動軸15の両端に配置されるリクライナプレート56と、により構成されている。
減速機構部48は、ウォームギヤ、ウォームホイールおよび出力ギヤ(いずれも不図示)等で構成されている。ウォームホイールは出力ギヤを介して傾動軸15に連結されており、軸受部49によって減速機構部48内で回転自在に軸支されている。
また、減速機構部48は、シート幅方向に貫通する出力部46を有している。減速機構部48の出力部46には傾動軸15が挿通されており、減速機構部48の出力ギヤとスプライン結合している。なお、減速機構部48および軸受部49は、樹脂により形成されており、衝撃荷重が加わると圧縮変形可能となっている。
リクライナプレート56の略中央には、傾動軸15が挿通される貫通孔56aが形成されている。貫通孔56aの内周面にはスプライン歯が形成されており、傾動軸15を貫通孔56aに挿通することで、リクライナプレート56が傾動軸15に対しスプライン結合される。これにより、リクライナプレート56は傾動軸15に対して周方向に位置決めされる。
位置決め突起57は、周方向に沿って、各舌片部63の間に対応した位置に、90°ピッチで4箇所に形成されている。位置決め突起57の外周縁部57aの直径は、シートクッションフレーム7の開口部61における内周縁61aの直径と略同一か、若干小径に設定される。また、位置決め突起57の周方向に沿った幅は、開口部61の各舌片部63の周方向における離間距離と略同一か、若干狭く設定される。上記のようにリクライナプレート56の位置決め突起57の各寸法を設定することで、リクライナプレート56は、位置決め突起57の周方向端部が隣接する舌片部63の基部間に収まり、各舌片部63の縁部に対して突き当たった状態で、周方向に位置決めされている。
なお、リクライナプレート56の外側には、略円盤状のワッシャ58が、傾動軸15に挿通されて配置される。ワッシャ58は傾動軸15に圧入等により嵌合固定されており、傾動軸15が軸方向に沿って移動するのを規制している。
図2および図3に示すように、シートバックフレーム13は、上部フレーム部13aと、左側フレーム部13bと、右側フレーム部13cと、下方に配置された荷重伝達メンバ54と、により、正面視略矩形状に形成されている。
上部フレーム部13aは、ヘッドレスト40(図1参照)を支持している。ヘッドレスト40は、シートバック30の上部において、近接および離間可能に支持される。
また、左側フレーム部13bと右側フレーム部13cとの間には、支持マット16がワイヤによって弾性力を付与されて張設され、支持マット16の上方には支持ワイヤ17が弾性力を付与されて張設されている。支持マット16および支持ワイヤ17は、シートバック30の図示しないパッドを支持している。
左側サイドフレーム18の側壁18bは前方に延出しており、側壁18bのシート幅方向内側には、駆動用モータユニット45がボルト等により締結固定される。
図5に示すように、荷重伝達メンバ54は、後方に配置される後壁部55aと、上方に配置される上壁部55bと、前方に配置される前壁部55cとにより構成され、下方はシート幅方向に沿って開口している。
荷重伝達メンバ54の前壁部55cの上部55dは、上方から下方にかけて後壁部55aから漸次離間するように形成されている。また、前壁部55cの下部55eは、傾動軸15の外周面に沿うように後方に湾曲して後壁部55aに近接した後、前方に湾曲して後壁部55aから離間するように形成されている。すなわち、前壁部55cの下部55eは、断面視略S字形状となるように形成されており、荷重伝達メンバ54の断面係数を上昇させてシート幅方向の強度を向上させている。
これに対し、荷重伝達メンバ54の左側端部54aは、左側サイドフレーム18の側壁18bから離間して配置されている。なお、左側サイドフレーム18の側壁18bと荷重伝達メンバ54の左側端部54aとで形成されるクリアランスD(図6参照)には、左側サイドフレーム18の側壁18bに取り付けられた駆動用モータユニット45が配置される。そして、荷重伝達メンバ54の左側端部54aには、補強プレート70が取り付けられている。
補強プレート70の上端は、荷重伝達メンバ54の上壁部55bよりも上方に突出しており、荷重伝達メンバ54の上壁部55bとの溶接しろになっている。また、補強プレート70の上端を上方に突出させることで、補強プレート70の面積を広く確保し、補強プレート70が駆動用モータユニット45の減速機構部48および軸受部49と確実に対向するようにしている。
補強プレート70の後方縁部70bは、荷重伝達メンバ54の上壁部55bの上方から下方に延出した後、荷重伝達メンバ54の後壁部55aの下端と、荷重伝達メンバ54の前壁部55cの下部55eにおける下端とを接続するように形成されている。荷重伝達メンバ54の後壁部55a下端と、荷重伝達メンバ54の前壁部55cの下部55eにおける下端とを補強プレート70が接続することで、荷重伝達メンバ54の曲げ剛性を向上させている。
次に、本実施形態の作用について説明する。
図6は、前方から見たときの側突時の衝撃荷重Pの伝達を模式的に示した図である。
車両の側部から衝撃荷重Pが入力され、センターピラー等の側壁90が車室内側に変形すると、その側壁90からの衝撃荷重Pは、左側サイドフレーム18に入力される。
ここで、荷重伝達メンバ54の左側端部54aには、補強プレート70が取り付けられているため、倒れ込んできた左側サイドフレーム18および駆動用モータユニット45は、補強プレート70の面に衝突する。補強プレート70により、衝撃荷重Pは、補強プレート70の全面に均等に分散された後、中心軸Oに沿うように伝達方向が変更される。なお、補強プレート70がサイドフレーム18の側壁18bと略平行に配置されている。したがって、サイドフレーム18の側壁18bは、クリアランスDに倒れ込んでも、補強プレート70の面に対して面直に近い状態で衝突する。また、樹脂で形成された駆動用モータユニット45の減速機構部48および軸受部49は、側壁18bと補強プレート70とに挟まれて破壊され、衝撃荷重Pが補強プレート70に伝達される。
本実施形態によれば、荷重伝達メンバ54の端面に補強プレート70を取り付けることで、荷重伝達メンバ54の曲げ剛性を向上させることができる。
また、側突時にサイドフレーム18がクリアランスDに倒れ込んでも、補強プレート70の面で衝撃荷重Pを受けることができるので、サイドフレーム18が荷重伝達メンバ54の端面に食い込むことがない。したがって、荷重伝達メンバ54に曲げモーメントが作用するのを抑制し、荷重伝達メンバ54の屈曲変形を防止できる。このように、車両側部から入力された衝撃荷重Pを確実に受け、効率よく荷重伝達メンバ54を介してセンタトンネル2に伝達できる。
実施形態のシートクッションフレーム7、シートバックフレーム13、および補強プレート70等の形状は、実施形態の形状に限られず、種々の形状に変更が可能である。
また、本実施形態では、荷重伝達メンバ54は、平板部材に曲げ加工を施し、筒状とすることにより形成されていた。しかし、例えば、シームレス管を切断することにより、荷重伝達メンバ54を形成してもよい。
Claims (5)
- シートクッションフレームと、前記シートクッションフレームに対して傾動可能に支持されたシートバックフレームと、を備え、
前記シートバックフレームの傾動軸上に設けられて、前記シートバックフレームのシート幅方向の両側におけるサイドフレーム間に前記シート幅方向に延びる荷重伝達メンバと、を備えた車両用シートにおいて、
前記左右のサイドフレームのうちいずれかと、前記荷重伝達メンバとの間には、前記シート幅方向に所定のクリアランスを設けると共に、前記クリアランスに前記シートバックフレームを傾動させる駆動モータを配置し、
前記荷重伝達メンバの前記シート幅方向の端面に、前記駆動モータと対向して配置される補強プレートが取り付けられ、
前記荷重伝達メンバは、後方に配置される後壁部と、上方に配置される上壁部と、前方に配置される前壁部とにより構成され、下方が前記シート幅方向に沿って開口し、
前記荷重伝達メンバの前記後壁部の下端と、前記荷重伝達メンバの前記前壁部の下部における下端とを前記補強プレートが接続することを特徴とする車両用シート。 - 前記左右のサイドフレームは、車両前後方向に沿って延びて前記駆動モータが取り付けられる側壁部を備え、前記補強プレートが前記側壁部と略平行に配置されたことを特徴とする請求項1に記載の車両用シート。
- 前記駆動モータが、モータ部と、前記モータ部に連結された減速機構部と、前記減速機構部に連結されて前記傾動軸を回転させる軸受部と、を備え、前記補強プレートが、前記減速機構部および前記軸受部に対向して配置されることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用シート。
- 前記駆動モータが、モータ部と、前記モータ部に連結された減速機構部と、前記減速機構部に連結されて前記傾動軸を回転させる軸受部と、を備え、前記軸受部が前記傾動軸の後方に設けられると共に、前記補強プレートが前記軸受部に対向して配置されることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用シート。
- 前記荷重伝達メンバの前記前壁部の下部は、断面視略S字形状であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の車両用シート。
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