JP2003025891A - 車両用シート - Google Patents

車両用シート

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    • B60N2/888Head-rests with arrangements for protecting against abnormal g-forces, e.g. by displacement of the head-rest

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 サイドフレーム自体にヘッドレストの前方移
動機能を持たせることにより、構造を簡単にしつつ乗員
の着座性能やシート自体の外観性が損なわれるのを防止
できる車両用シートを提供する。 【解決手段】 シートバックフレーム3の幅方向両側間
に布状部材4を張設して車両用シート1を構成し、シー
トバックフレーム3を、上端部を車体10側に上下動可
能に支持するとともに、ヘッドレスト8を一体に形成す
るサイドフレームアッパ3aと、下端部が車体10側に
回動可能に支持されるサイドフレームロア3bと、で構
成する。サイドフレームアッパ3aとサイドフレームロ
ア3bとを、これら両者の車体10側に対する上,下方
支持点7,3cを結ぶ直線Lよりも車両前方に配置され
る屈曲部6を境にして連設し、ヘッドレスト8の前方移
動機能をシートバックフレーム3に持たせる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両用シートに関
する。
【0002】
【従来の技術】シートバックの骨格部材となるシートバ
ックフレームの幅方向両側間に、厚手の布状部材のみを
張架して構成されるようにした車両用シートが特開20
00−52829号公報によって提案されている。
【0003】このように布状部材のみで背もたれ部分が
構成されることにより、その布状部材の背面には従来用
いられてきた発砲ウレタンやバネ等を用いたクッション
体が不要となるため、車体の軽量化に寄与するととも
に、比較的簡単な構造とすることができて車内空間を確
保することができるようになる。
【0004】ところで、近年の車両用シートには乗員の
頭部を受けるヘッドレストが、車両後面衝突時に前方に
移動して、乗員の頭部が大きく後方移動するのを阻止し
て、鞭打ち症になるのを防止できるようにした車両用シ
ートが特開2000−39194号公報によって提案さ
れている。
【0005】この車両用シートは、シートバックフレー
ムの幅方向両側間にヘッドレストの取付部材を前後回動
可能に取付けるとともに、この取付部材の下端部から一
体に延設した受圧部分を、シートバックの上下中央部分
で幅方向に差し渡すようにしてクッション体内に配置
し、後面衝突時に乗員の慣性力がシートバックに作用し
たときに、この受圧部分を後方に押圧して回動し、これ
によって取付部材の上端部に設けたヘッドレストが前方
に移動される構造となっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前者に
示した従来のシートバックが布状部材のみで形成される
車両用シートでは、これに後者に示したヘッドレストの
移動構造を適用しようとした場合、前記受圧部分が布状
部材の背面に配置されることになるが、この受圧部分が
布状部材のみを介して乗員の背中に当たることになる。
このため、乗員はその受圧部分を異物として感じてしま
い、これが違和感となって着座状態での安定性が損なわ
れてしまう。
【0007】また、前記受圧部分は布状部材の背面に露
出されるため、これを覆うためのカバー部材が余分に必
要になるとともに、布状部材が荒いメッシュ編みである
場合には、車両前方からも受圧部分が透けて見えるた
め、シートの外観性が損なわれてしまう。
【0008】そこで、本発明は、サイドフレーム自体に
ヘッドレストの前方移動機能を持たせることにより、構
造を簡単にしつつ乗員の着座性能やシート自体の外観性
が損なわれるのを防止できる車両用シートを提供するこ
とを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明にあって
は、シートバックフレームの幅方向両側間に布状部材を
張設した車両用シートにおいて、前記シートバックフレ
ームを、上端部が車体側に上下動可能に支持されるとと
もに、ヘッドレストを一体に形成したサイドフレームア
ッパと、下端部が車体側に回動可能に支持されるサイド
フレームロアと、で構成し、これらサイドフレームアッ
パとサイドフレームロアとを、これら両者の車体側に対
する上,下方支持点を結ぶ直線よりも車両前方に配置さ
れる屈曲部を境にして連設したことを特徴としている。
【0010】請求項2の発明にあっては、請求項1に記
載の車両用シートにおいて、前記屈曲部は、前記サイド
フレームアッパと前記サイドフレームロアとを車両前後
方向に相対回動可能に連結するジョイント部分であるこ
とを特徴としている。
【0011】請求項3の発明にあっては、請求項1,2
に記載の車両用シートおいて、前記サイドフレームアッ
パの車体側への上方支持点には、このサイドフレームア
ッパに設けられる可動レールと、この可動レールを上下
方向に案内する固定レールとからなるスライドガイドを
設けたことを特徴としている。
【0012】請求項4の発明にあっては、請求項1,2
に記載の車両用シートにおいて、前記サイドフレームア
ッパの車体側への上方支持点には、鉛直軸まわりの断面
2次モーメントよりも水平軸まわりの断面2次モーメン
トが小さく形成されて車体側に結合されるシートクロス
メンバを設け、このシートクロスメンバにサイドフレー
ムアッパを前後回動可能に取り付けたことを特徴として
いる。
【0013】
【発明の効果】請求項1に記載の発明によれば、車両の
後面衝突時に着座乗員の慣性力が布状部材に相対的な後
方押力として作用すると、この後方押力は布状部材を介
してシートバックフレームに入力され、サイドフレーム
アッパとサイドフレームロアは後方に押圧されて屈曲部
が伸展方向に変位する。すると、サイドフレームアッパ
の上端部とサイドフレームロアの下端部との間の距離が
拡大されようとするが、サイドフレームロアの下端部は
車体側に回動可能に支持されてその前後移動が阻止され
るため、上端部が車体側に上下動可能に支持されたサイ
ドフレームアッパは、上下方向に起立しつつ上端部が上
方に移動する。このため、このサイドフレームアッパに
一体に形成されたヘッドレストは上方に迫り上がりつつ
車両前方に移動し、後面衝突時に後方に移動する着座乗
員の後頭部をいち早く支持することができる。従って、
ヘッドレストの前方移動機能をシートバックフレームに
持たせることができるため、これによって構造の簡素化
および軽量化を達成できるとともに、乗員の着座性およ
びシート自体の外観性を向上することができる。
【0014】請求項2に記載の発明によれば、請求項1
の発明の効果に加えて、前記屈曲部を、サイドフレーム
アッパとサイドフレームロアとを車両前後方向に相対回
動可能に連結するジョイント部分として構成したので、
着座乗員の慣性力による相対的な後方押圧力が作用した
ときに、サイドフレームアッパとサイドフレームロアと
の連結部分を車両後方に円滑に変位させることができ、
ひいては、車両の後面衝突時にヘッドレストを迅速に前
方移動させることができる。
【0015】請求項3に記載の発明によれば、請求項
1,2の発明の効果に加えて、前記サイドフレームアッ
パの車体側への上方支持点に、このサイドフレームアッ
パに設けられる可動レールと、この可動レールを上下方
向に案内する固定レールとからなるスライドガイドを設
けたので、後面衝突時に屈曲部が後方に押圧されて屈曲
部が変位したときに、前記スライドガイドを介してサイ
ドフレームアッパの上端部を確実に上方に移動させるこ
とができるため、ヘッドレストは斜めになることなく車
両前方に移動して着座乗員の頭部を確実に支持すること
ができる。
【0016】請求項4に記載の発明によれば、請求項
1,2の発明の効果に加えて、前記サイドフレームアッ
パの車体側への上方支持点に、鉛直軸まわりの断面2次
モーメントよりも水平軸まわりの断面2次モーメントが
小さく形成されたシートクロスメンバを車体側に結合
し、このシートクロスメンバにサイドフレームアッパを
前後回動可能に取り付けたので、後面衝突時に屈曲部が
後方に押圧されて屈曲部が変位したときに、前記シート
クロスメンバは、鉛直軸まわりの断面2次モーメントが
大きいため後方への変形が阻止され、水平軸まわりの断
面2次モーメントが小さいため上方への変形が許容され
る。また、サイドフレームアッパは、このシートクロス
メンバに前後回動可能となっているため、結果的にヘッ
ドレストは上方に迫り上がりつつ前方に移動することに
なる。従って、この屈曲部の変位に伴うヘッドレストの
前方移動機能を、前記シートクロスメンバを設けるとい
う構造の簡素化をもって達成できるため、大きな衝撃を
受けた場合にも、作動不良を生ずることなく確実にヘッ
ドレストを前方に移動させることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面と
共に詳述する。
【0018】(第1実施形態)図1〜図6は本発明にか
かる車両用シートの第1実施形態を示し、図1は車両用
シートのシートバック部分を示す斜視図、図2は図1中
A−A線からの拡大断面図、図3は図1中B−B線から
の拡大断面図、図4は図1中C−C線からの要部拡大断
面図、図5は通常状態における車両用シートの作用説明
図、図6は後面衝突時における車両用シートの作用説明
図である。
【0019】図1に示すように、本実施形態の車両用シ
ート1は、図外のシートクッションと、このシートクッ
ションの後端部から立設するシートバック2とを備えて
構成される。このシートバック2は、これの幅方向(車
両左右方向)両側に配置されるシートバックフレーム3
間に、キャンバス地などで形成される布状部材4が張設
されている。この布状部材4は厚手織布であり、着座乗
員M(図5参照)の荷重に十分に耐え得る素材が選ばれ
る。
【0020】前記シートバックフレーム3は、上端部に
ヘッドレストフレーム5が連続して一体形成され、この
ヘッドレストフレーム5とともに全体的に逆U字状に形
成されたサイドフレームアッパ3aと、上端部がサイド
フレームアッパ3aの下端部に連続する幅をもってU字
状に形成されたサイドフレームロア3bとで構成され
る。
【0021】前記サイドフレームアッパ3aの下端部と
前記サイドフレームロア3bの上端部とは、1対のセン
タージョイント6を介して車両前後方向に相対回動可能
に連結されるとともに、このことによってシートバック
フレーム3は全体的に矩形状として構成される。
【0022】シートバックフレーム3は、幅方向両側が
車両前方に突出するように滑らかに湾曲されると共にこ
の湾曲の略頂部に屈曲部としての前記センタージョイン
ト6が配設され、図1に示すように、サイドフレームロ
ア3bの下端部が略鉛直方向に起立した状態からサイド
フレームアッパ3aの上端部が除々に傾斜される。サイ
ドフレームアッパ3aとサイドフレームロア3bとは、
それぞれの全体的な方向性を捉えた場合に、センタージ
ョイント6に対して所定角度η1(図5参照)が形成さ
れている。
【0023】前記センタージョイント6は、図2に示す
ように、サイドフレームロア3bの上端部に形成された
二股部6aに、サイドフレームアッパ3aの下端部に形
成された回動部6bが嵌合されて、それぞれがボルト6
cおよびナット6dを介して回動自在に連結されること
により構成される。二股部6aと回動部6bとの間に
は、両者のガタ付きやこれによって発生する異音を低減
するために樹脂製のカラー6eが介在される。勿論、二
股部6aと回動部6bとを連結するボルト6cの中心軸
は、幅方向に設けられた1対のセンタージョイント6の
対向方向を指向することになる。
【0024】前記サイドフレームアッパ3aのヘッドレ
ストフレーム5が接続される上端部間には、このサイド
フレームアッパ3aの後側に溶接された1対のブラケッ
ト7a間に、回転可能に車体10側への上方支持点とな
るアッパピボットバー7が取り付けられる。そして、前
記ヘッドレストフレーム5は、図5に示すように、アッ
パピボットバー7部分から上方に向かって所定角度θを
もって折曲され、その上端部にはクッション材を内蔵し
たヘッドレスト8が取り付けられる。
【0025】前記アッパピボットバー7は、その車両後
方側がスライドガイド9を介して車体10側に上下動自
在に取り付けられる。このスライドガイド9は、図3に
示すように、アッパピボットバー7から車両後方に突出
される可動レール9aと、この可動レール9aを摺動自
在に係合して車体10側に上下方向に指向して取り付け
られた固定レール9bと、を備えて構成される。可動レ
ール9aの係合突起部9cと、固定レール9bの溝部9
dとの間には、これら両者間のガタ付きやこれによって
発生する異音を低減するために樹脂製のカラー9eが介
在される。
【0026】前記サイドフレームロア3bの下端部に
は、車体10側への下方支持点となるロアフレーム3c
が設けられ、このロアフレーム3cの左右両側部分が1
対の取付けブラケット11を介して車体10側に回動自
在に取り付けられる。
【0027】ここで、サイドフレームアッパ3aとサイ
ドフレームロア3bとを連結した前記センタージョイン
ト6は、車両前方に突出するように湾曲された前記シー
トバックフレーム3の中間部分に設けられるが、このセ
ンタージョイント6は、サイドフレームアッパ3aの上
方支持点となるアッパピボットバー7と、サイドフレー
ムロア3bの下方支持点となるロアフレーム3cとを結
ぶ直線L(図5参照)よりも車両前方に配置されるよう
になっている。
【0028】前記布状部材4は、アッパピボットバー7
とロアフレーム3cとの間のシートバックフレーム3の
内側部分を覆い、この布状部材4の上端部両側が第1生
地4aを介してシートバックフレーム3の両側部分に取
り付けられる。また、布状部材4の中間部両側は、セン
タージョイント6を跨いでその上下に設けられる第2生
地4bを介してシートバックフレーム3の両側部分に取
り付けられる。更に、布状部材4の下端部は、第3生地
4cを介してサイドフレームロア3bのロアフレーム3
cの中央部分に取り付けられる。
【0029】前記第1,第2,第3生地4a,4b,4
cは、布状部材4より伸縮率や弾性率に優れた素材で形
成され、布状部材4に適度なクッション性を付与するよ
うになっている。これら第1,第2,第3生地4a,4
b,4cは、図4に示すように、その中間部分4dをシ
ートバックフレーム3に周回させた後、両端部分4e,
4f間に布状部材4の周縁部を挟み込み、それらの重な
り部分を縫製して構成している。
【0030】以上の構成により本実施形態の車両用シー
ト1にあっては、車両が後面衝突された場合、図5に示
したように、シート1に着座した乗員Mには相対的に車
両後方に向かう慣性力が働くことになるが、この慣性力
がシートバック2の布状部材4に相対的な後方押力とし
て作用する。この後方押力は布状部材4および第1,第
2,第3生地4a,4b,4cを介してシートバックフ
レーム3に入力される。
【0031】すると、センタージョイント6は、図6に
示すように、特に第2生地4bを介して入力される後方
押力により、サイドフレームアッパ3aとサイドフレー
ムロア3bとの角度がη1からη2(η1>η2)とな
る方向に回動し、これらサイドフレームアッパ3aとサ
イドフレームロア3bとが伸展する方向に変位される。
【0032】この伸展方向の変位によって、サイドフレ
ームアッパ3aの上端部のアッパピボットバー7とサイ
ドフレームロア3b下端部のロアフレーム3cとの間の
距離Lが拡大されようとするが、サイドフレームロア3
bの下端部はロアフレーム3cが車体側に回動可能に支
持されてその前後移動が阻止されているため、サイドフ
レームアッパ3a上端部のアッパピボットバー7は、図
6に示すように、スライドガイド9を介して上方にスラ
イドする。
【0033】これによって、サイドフレームアッパ3a
の上端部に所定角度θをもって一体に形成されたヘッド
レスト8は、図6に示すように、上方に迫り上がりつつ
車両前方に移動し、後面衝突時に後方に移動する着座乗
員Mの後頭部をいち早く支持することができる。
【0034】従って、本実施形態の車両用シート1で
は、ヘッドレスト8の前方移動機能をシートバックフレ
ーム3に持たせることができる。このため、かかる前方
移動機能を達成するために他の機能部材や機構を用いる
必要が無く、これによって構造の簡素化および軽量化を
達成できるとともに、他の機能部材や機構などの障害物
が存在しないことから、乗員Mの着座性およびシート1
自体の外観性を向上することができる。
【0035】また、サイドフレームアッパ3aとサイド
フレームロア3bとの間の屈曲部をセンタージョイント
6として構成したので、着座乗員Mの慣性力による相対
的な後方押圧力が作用したときにこのセンタージョイン
ト6が回動して、サイドフレームアッパ3aとサイドフ
レームロア3bとの連結部分を車両後方に円滑に変位さ
せることができ、ひいては、後面衝突時にヘッドレスト
8を迅速に前方移動させることができる。これによっ
て、乗員Mの頭部が後方移動する初期段階でいち早くヘ
ッドレスト8が前方移動してその頭部を支持することが
できる。
【0036】更に、後面衝突時に上方移動するサイドフ
レームアッパ3aの上端部は、スライドガイド9を介し
て車体10側に取り付けたので、後面衝突時にこのスラ
イドガイド9を介してサイドフレームアッパ3aの上端
部を確実に上方に移動させることができる。このため、
ヘッドレスト8は斜めになることなく車両前方に移動さ
れ、これによって着座乗員Mの頭部を確実に支持するこ
とができる。
【0037】(第2実施形態)図7〜図9は本発明の第
2実施形態を示し、前記実施形態と同一構成部分に同一
符号を付して重複する説明を省略して述べる。図7はシ
ートバックの要部斜視図、図8は通常状態における車両
用シートの作用説明図、図9は後面衝突時における車両
用シートの作用説明図である。
【0038】この実施形態の車両用シート1aは、図7
に示すように、サイドフレームアッパ3aとサイドフレ
ームロア3bとを連続させて車両前方に向けて湾曲形成
するとともに、この湾曲の略頂部をサイドフレームアッ
パ3aとサイドフレームロア3bとの境界部分となる屈
曲部20としている。
【0039】勿論、シートバックフレーム3の屈曲部2
0の形成部分は、後面衝突時に入力される着座乗員Mの
後方押力によって適度に変形される断面構造となってお
り、かつ、湾曲部分によって屈曲部20は、図8に示す
ように、サイドフレームアッパ3aのアッパピボットバ
ー7とサイドフレームロア3bのロアフレーム3cとを
結ぶ直線Lより車両前方に配置されるようになってい
る。
【0040】従って、この実施形態の車両用シート1a
にあっては、前記第1実施形態と同様に、車両の後面衝
突時に着座乗員Mの後方押力がシートバックフレーム3
に入力されると、屈曲部20はサイドフレームアッパ3
aとサイドフレームロア3bとが伸展される方向に変形
される。これによって、サイドフレームアッパ3aのア
ッパピボットバー7は、図9に示すように、スライドガ
イド9を介して上方に移動するため、ヘッドレスト8を
上方に迫り上げつつ前方に移動させることができる。
【0041】ところで、この実施形態ではシートバック
フレーム3自体に屈曲部20を設けて、後面衝突時に着
座乗員Mに作用する後方押力でこの屈曲部20を変形さ
せるようにしたので、屈曲部20にジョイント部を付加
する必要が無くなるため構造を簡素化できるとともに、
部品点数や組付け工数の削減によりシート1aの軽量化
やコストの低減を図ることができる。
【0042】(第3実施形態)図10〜図19は本発明
の第3実施形態を示し、前記実施形態と同一構成部分に
同一符号を付して重複する説明を省略して述べる。図1
0は車両用シートの取付け状態を示す斜視図、図11は
車両用シートの取付け状態を示す側面図、図12は図1
0中D−D線からの拡大断面図、図13は図10中E−
E線からの拡大断面図、図14は車両用シートの基本構
造を示す説明図、図15は車両用シートのサイドメンバ
アッパの車体側支持構造を示す説明図、図16はサイド
メンバアッパの車体側への支持点部分を詳細に示す斜視
図、図17は通常状態における車両用シートの作用説明
図、図18は後面衝突時における車両用シートの作用説
明図、図19はシートバックフレームの上端部を支持す
るシートクロスメンバアッパの基本構造を示す説明図で
ある。
【0043】この実施形態の車両用シート1bは、図1
0に示すように、車幅方向に2つのシートバックS1,
S2が並設された2連式シートとして構成され、2つの
シートバックS1,S2は、共通のアッパピボットバー
7およびロアフレームブレース3cに並設されるととも
に、両シートバックS1,S2間に配置されるセンター
フレーム3dが共用化される。
【0044】アッパピボットバー7には1対のヘッドレ
スト8を取付けるためのヘッドレストフレーム5が、図
11に示すように、サイドフレームアッパ3aとの間に
所定の角度θをもって立設される。
【0045】管状に形成された前記アッパピボットバー
7には、車幅方向に水平に延びる中空状のシートクロス
メンバアッパ21が相対回転自在、つまりアッパピボッ
トバー7の前後回動を可能として挿通され、このシート
クロスメンバアッパ21の両端部は車体側であるロック
ピラー22に取り付けられる。このとき、図13に示す
ように、アッパピボットバー7とシートクロスメンバア
ッパ21との間には、両者のガタ付きやこれによって発
生する異音を低減するために樹脂製のカラー23が介在
される。
【0046】また、サイドフレームロア3bのロアフレ
ームブレース3cは、図12に示すように、各シートバ
ックS1,S2に1個づつ設けられるブラケット11を
介して車体側となるシートクロスメンバロア24に回動
可能に取り付けられる。ロアフレームブレース3cとブ
ラケット11との間には、両者のガタ付きやこれによっ
て発生する異音を低減するために樹脂製のカラー25が
介在される。
【0047】この実施形態の車両用シート1bは、前記
第2実施形態と同様に、サイドフレームアッパ3aとサ
イドフレームロア3bとは、車両前方に滑らかに湾曲形
成されるように連続して一体に形成され、その境界部分
に屈曲部20が形成されるようになっている。勿論、図
17に示すように、屈曲部20はアッパピボットバー7
とロアフレームブレース3cとを結ぶ直線Lよりも車両
前方に配置される。
【0048】ところで、前記シートクロスメンバアッパ
21は、図13に示すように上下方向の肉厚t1よりも
前後方向の肉厚t2を十分に大きく形成(t1≪t2)
し、これによって鉛直軸Xまわりの断面2次モーメント
Ixよりも水平軸Yまわりの断面2次モーメントIyを
小さく(Ix≫Iy)形成してある。また、この実施形
態ではシートクロスメンバアッパ21の鉛直軸Xまわり
の断面2次モーメントIxを更に増大するために、前後
方向の対向面は水平方向に配置されるリブ21aで連結
される。
【0049】即ち、前記シートクロスメンバアッパ21
の基本的な構造としては、図19に示すように、考え方
を簡単にするために断面矩形状として捉えると、X軸か
らの距離HがY軸からの距離bよりも大きく(H≫b)
なる位置において、断面の板厚を大きくする。つまり、
X軸方向の板厚をt1とし、Y軸方向の板厚をt2とす
ると、t1≪t2となるように設定することにより、鉛
直軸Xまわりの断面2次モーメントIxよりも水平軸Y
まわりの断面2次モーメントIyを小さく(Ix≫I
y)形成することができる。
【0050】このように、前記シートクロスメンバアッ
パ21が、鉛直軸Xまわりの断面2次モーメントIxよ
りも水平軸Yまわりの断面2次モーメントIyが小さく
形成されたことにより、このシートクロスメンバアッパ
21は、車両前後方向の剛性を高めてY軸近傍断面の座
屈を抑えるとともに、上下方向にはその剛性を低くして
その方向の変形が許容されるようになっている。
【0051】前記シートクロスメンバアッパ21の両端
部は、図14に示すように、上下方向の回動を許容しつ
つ軸方向の移動を可能とするジョイント部26を介して
取り付けられる。即ち、このジョイント部26は、図1
5に示すように、シートクロスメンバアッパ21が上方
に撓むと、ジョイント部26で支持されたその端部は、
傾斜が許容されつつ引き出される機能を備える。
【0052】図16は前記ジョイント部26の詳細構造
を示し、ロックピラー22に固定される1対のブラケッ
ト26aを備え、これらブラケット26a間にシートク
ロスメンバアッパ21の端部21bを挟み込んでボルト
26b結合し、このボルト26bを中心にシートクロス
メンバアッパ21の回動が許容される。
【0053】また、前記ブラケット26aには、ボルト
26bの挿通部分にシートクロスメンバアッパ21の長
さ方向(車幅方向)に延びる長孔26cが形成される。
この長孔26cはボルト26bの取付け位置から車内方
向、つまりシート1b方向に延長され、その先端部に行
くに従って除々に開口幅wが小さくなる。そして、シー
トクロスメンバアッパ21の撓みに伴ってブラケット2
6a間から引き出される際に、長孔26cの開口幅wが
小さくなった部分でボルト26bに移動抵抗を付与する
ようになっている。
【0054】図10中、30はシートバックS1,S2
に対応してそれぞれ設けられるシートクッションであ
る。
【0055】従って、この実施形態の車両用シート1b
では、シートバックS1,S2が2連式として構成され
るが、前記実施形態と同様に、車両の後面衝突時に着座
乗員Mの後方押力によって屈曲部20は、図18に示す
ように、サイドフレームアッパ3aとサイドフレームロ
ア3bとが伸展される方向に変形される。すると、サイ
ドフレームアッパ3aのアッパピボットバー7には、ク
ロスメンバアッパ21を中心にヘッドレスト8が前傾す
る方向に回動しつつ上方への押上げ力が作用する。
【0056】このとき、クロスメンバアッパ21は、鉛
直軸まわりの断面2次モーメントIxが大きいため後方
への変形が阻止されつつ、水平軸まわりの断面2次モー
メントIyが小さいため上方への変形が許容される。こ
のため、シートクロスメンバアッパ21は、車両後方へ
の変形が抑制されつつ、アッパピボットバー7に入力さ
れる上方への押上げ力により、ジョイント部26の回動
機能および引き出し機能によりシートクロスメンバアッ
パ21の中間部分が上方に弓形に変形される。
【0057】これによって、ヘッドレスト8は後面衝突
によって上方に迫り上がりつつ前方に移動し、シートバ
ックS1,S2の両方またはいずれか一方に着座した乗
員Mの頭部を支持することができる。
【0058】従って、この実施形態では、シートバック
フレーム3の変形に伴うヘッドレスト8の上方かつ前方
への迫り上がり案内を、円管状に形成されたシートクロ
スメンバアッパ21によって達成することができるた
め、構造の簡素化を達成できる。また、大きな衝撃を受
けた場合にも、摺動箇所などの複雑な機構が存在しない
ことから、作動不良を生ずることなく確実にヘッドレス
トを上方かつ前方に移動させることができる。
【0059】ところで、本発明の車両用シートは、前記
各実施形態に示した車両用シート1,1a,1bを例に
とって示したが、勿論、これに限ることなく本発明の主
旨を逸脱しない範囲で各種実施形態を採ることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を示すシートバック部分
を示す斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態を示す図1中A−A線か
らの拡大断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態を示す図1中B−B線か
らの拡大断面図である。
【図4】本発明の第1実施形態を示す図1中C−C線か
らの要部拡大断面図である。
【図5】本発明の第1実施形態を示す通常状態における
車両用シートの作用説明図である。
【図6】本発明の第1実施形態を示す後面衝突時におけ
る車両用シートの作用説明図である。
【図7】本発明の第2実施形態を示すシートバックの要
部斜視図である。
【図8】本発明の第2実施形態を示す通常状態における
車両用シートの作用説明図である。
【図9】本発明の第2実施形態を示す後面衝突時におけ
る車両用シートの作用説明図である。
【図10】本発明の第3実施形態を示す車両用シートの
取付け状態の斜視図である。
【図11】本発明の第3実施形態を示す車両用シートの
取付け状態の側面図である。
【図12】本発明の第3実施形態を示す図10中D−D
線からの拡大断面図である。
【図13】本発明の第3実施形態を示す図10中E−E
線からの拡大断面図である。
【図14】本発明の第3実施形態を示す車両用シートの
基本構造の説明図である。
【図15】本発明の第3実施形態を示す車両用シートの
サイドメンバアッパの車体側支持構造の説明図である。
【図16】本発明の第3実施形態を示すサイドメンバア
ッパの車体側への支持点部分の詳細な斜視図である。
【図17】本発明の第3実施形態を示す通常状態におけ
る車両用シートの作用説明図である。
【図18】本発明の第3実施形態を示す後面衝突時にお
ける車両用シートの作用説明図である。
【図19】本発明の第3実施形態を示すシートバックフ
レームの上端部を支持するシートクロスメンバアッパの
基本構造の説明図である。
【符号の説明】
1,1a,1b 車両用シート 2 シートバック 3 シートバックフレーム 4 布状部材 3a サイドフレームアッパ 3b サイドフレームロア 3c ロアフレーム(車体側への下方支持点) 6 センタージョイント(屈曲部) 7 アッパピボットバー(車体側への上方支持点) 8 ヘッドレスト 9 スライドガイド 9a 可動レール 9b 固定レール 10 車体 20 屈曲部 21 シートクロスメンバアッパ 22 ロックピラー(車体側) 24 シートクロスメンバロア(車体側) M 着座乗員

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シートバックフレームの幅方向両側間に
    布状部材を張設した車両用シートにおいて、 前記シートバックフレームを、上端部が車体側に上下動
    可能に支持されるとともに、ヘッドレストを一体に形成
    したサイドフレームアッパと、 下端部が車体側に回動可能に支持されるサイドフレーム
    ロアと、で構成し、 これらサイドフレームアッパとサイドフレームロアと
    を、これら両者の車体側に対する上,下方支持点を結ぶ
    直線よりも車両前方に配置される屈曲部を境にして連設
    したことを特徴とする車両用シート。
  2. 【請求項2】 前記屈曲部は、前記サイドフレームアッ
    パと前記サイドフレームロアとを車両前後方向に相対回
    動可能に連結するジョイント部分であることを特徴とす
    る請求項1に記載の車両用シート。
  3. 【請求項3】 前記サイドフレームアッパの車体側への
    上方支持点には、このサイドフレームアッパに設けられ
    る可動レールと、この可動レールを上下方向に案内する
    固定レールとからなるスライドガイドを設けたことを特
    徴とする請求項1または2に記載の車両用シート。
  4. 【請求項4】 前記サイドフレームアッパの車体側への
    上方支持点には、鉛直軸まわりの断面2次モーメントよ
    りも水平軸まわりの断面2次モーメントが小さく形成さ
    れて車体側に結合されるシートクロスメンバを設け、こ
    のシートクロスメンバにサイドフレームアッパを前後回
    動可能に取り付けたことを特徴とする請求項1または2
    に記載の車両用シート。
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