WO2019208809A1 - フロー電池、フロー電池システムおよび制御方法 - Google Patents
フロー電池、フロー電池システムおよび制御方法 Download PDFInfo
- Publication number
- WO2019208809A1 WO2019208809A1 PCT/JP2019/018074 JP2019018074W WO2019208809A1 WO 2019208809 A1 WO2019208809 A1 WO 2019208809A1 JP 2019018074 W JP2019018074 W JP 2019018074W WO 2019208809 A1 WO2019208809 A1 WO 2019208809A1
- Authority
- WO
- WIPO (PCT)
- Prior art keywords
- negative electrode
- flow battery
- electrolytic solution
- positive electrode
- zinc
- Prior art date
Links
Images
Classifications
-
- H—ELECTRICITY
- H01—ELECTRIC ELEMENTS
- H01M—PROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
- H01M10/00—Secondary cells; Manufacture thereof
- H01M10/24—Alkaline accumulators
- H01M10/26—Selection of materials as electrolytes
-
- H—ELECTRICITY
- H01—ELECTRIC ELEMENTS
- H01M—PROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
- H01M8/00—Fuel cells; Manufacture thereof
- H01M8/18—Regenerative fuel cells, e.g. redox flow batteries or secondary fuel cells
-
- H—ELECTRICITY
- H01—ELECTRIC ELEMENTS
- H01M—PROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
- H01M10/00—Secondary cells; Manufacture thereof
- H01M10/24—Alkaline accumulators
- H01M10/28—Construction or manufacture
-
- H—ELECTRICITY
- H01—ELECTRIC ELEMENTS
- H01M—PROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
- H01M10/00—Secondary cells; Manufacture thereof
- H01M10/42—Methods or arrangements for servicing or maintenance of secondary cells or secondary half-cells
- H01M10/48—Accumulators combined with arrangements for measuring, testing or indicating the condition of cells, e.g. the level or density of the electrolyte
-
- H—ELECTRICITY
- H01—ELECTRIC ELEMENTS
- H01M—PROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
- H01M4/00—Electrodes
- H01M4/02—Electrodes composed of, or comprising, active material
- H01M4/24—Electrodes for alkaline accumulators
-
- H—ELECTRICITY
- H01—ELECTRIC ELEMENTS
- H01M—PROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
- H01M8/00—Fuel cells; Manufacture thereof
- H01M8/04—Auxiliary arrangements, e.g. for control of pressure or for circulation of fluids
- H01M8/04082—Arrangements for control of reactant parameters, e.g. pressure or concentration
- H01M8/04186—Arrangements for control of reactant parameters, e.g. pressure or concentration of liquid-charged or electrolyte-charged reactants
-
- H—ELECTRICITY
- H01—ELECTRIC ELEMENTS
- H01M—PROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
- H01M8/00—Fuel cells; Manufacture thereof
- H01M8/04—Auxiliary arrangements, e.g. for control of pressure or for circulation of fluids
- H01M8/04276—Arrangements for managing the electrolyte stream, e.g. heat exchange
-
- H—ELECTRICITY
- H01—ELECTRIC ELEMENTS
- H01M—PROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
- H01M8/00—Fuel cells; Manufacture thereof
- H01M8/04—Auxiliary arrangements, e.g. for control of pressure or for circulation of fluids
- H01M8/04298—Processes for controlling fuel cells or fuel cell systems
- H01M8/04694—Processes for controlling fuel cells or fuel cell systems characterised by variables to be controlled
- H01M8/04746—Pressure; Flow
-
- H—ELECTRICITY
- H01—ELECTRIC ELEMENTS
- H01M—PROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
- H01M2300/00—Electrolytes
- H01M2300/0002—Aqueous electrolytes
- H01M2300/0014—Alkaline electrolytes
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02E—REDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
- Y02E60/00—Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
- Y02E60/10—Energy storage using batteries
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02E—REDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
- Y02E60/00—Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
- Y02E60/30—Hydrogen technology
- Y02E60/50—Fuel cells
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02P—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
- Y02P70/00—Climate change mitigation technologies in the production process for final industrial or consumer products
- Y02P70/50—Manufacturing or production processes characterised by the final manufactured product
Landscapes
- Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Manufacturing & Machinery (AREA)
- General Chemical & Material Sciences (AREA)
- Electrochemistry (AREA)
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Sustainable Development (AREA)
- Sustainable Energy (AREA)
- Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
- Hybrid Cells (AREA)
- Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)
- Secondary Cells (AREA)
- Filling, Topping-Up Batteries (AREA)
Abstract
実施形態に係るフロー電池は、正極および負極と、電解液と、流動装置とを備える。電解液は、インジウム成分およびハロゲン種を含み、正極および負極に接触する。流動装置は、電解液を流動させる。
Description
開示の実施形態は、フロー電池、フロー電池システムおよび制御方法に関する。
従来、正極と負極との間に、テトラヒドロキシ亜鉛酸イオン([Zn(OH)4]2-)を含有する電解液を循環させるフロー電池が知られている(例えば、非特許文献1参照)。
また、亜鉛種などの活物質を含む負極を、選択的イオン伝導性を有するイオン伝導層で覆うことでデンドライトの成長を抑制する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
Y. Ito. et al.: Zinc morphology in zinc-nickel flow assisted batteries and impact on performance, journal of Power Sources, Vol. 196, pp. 2340-2345, 2011
実施形態の一態様に係るフロー電池は、正極および負極と、電解液と、流動装置とを備える。電解液は、インジウム成分およびハロゲン種を含み、前記正極および前記負極に接触する。流動装置は、前記電解液を流動させる。
以下、添付図面を参照して、本願の開示するフロー電池、フロー電池システムおよび制御方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
<第1の実施形態>
図1は、第1の実施形態に係るフロー電池システムの概略を示す図である。図1に示すフロー電池システム100は、フロー電池1と制御装置40とを備える。フロー電池1は、筐体17に収容された反応部10および発生部9と、供給部14とを備える。反応部10は、正極2と、負極3と、隔膜4,5と、電解液6と、粉末7とを備える。フロー電池1は、発生部9で発生した気泡8を電解液6中で浮上させることにより反応部10内に収容された電解液6を流動させる装置である。発生部9は、流動装置の一例である。
図1は、第1の実施形態に係るフロー電池システムの概略を示す図である。図1に示すフロー電池システム100は、フロー電池1と制御装置40とを備える。フロー電池1は、筐体17に収容された反応部10および発生部9と、供給部14とを備える。反応部10は、正極2と、負極3と、隔膜4,5と、電解液6と、粉末7とを備える。フロー電池1は、発生部9で発生した気泡8を電解液6中で浮上させることにより反応部10内に収容された電解液6を流動させる装置である。発生部9は、流動装置の一例である。
なお、説明を分かりやすくするために、図1には、鉛直上向きを正方向とし、鉛直下向きを負方向とするZ軸を含む3次元の直交座標系を図示している。かかる直交座標系は、後述の説明に用いる他の図面でも示す場合がある。また、図1に示すフロー電池システム100と同様の構成については同じ符号を付し、その説明を省略または簡略化する。
正極2は、例えば、ニッケル化合物、マンガン化合物またはコバルト化合物を正極活物質として含有する導電性の部材である。ニッケル化合物は、例えば、オキシ水酸化ニッケル、水酸化ニッケル、コバルト化合物含有水酸化ニッケル等が使用できる。マンガン化合物は、例えば、二酸化マンガン等が使用できる。コバルト化合物は、例えば、水酸化コバルト、オキシ水酸化コバルト等が使用できる。また、正極2は、黒鉛、カーボンブラック、導電性樹脂等を含んでもよい。また、正極2は、ニッケル金属、コバルト金属またはマンガン金属、あるいはそれらの合金であってもよい。
また、正極2は、例えば、上記した正極活物質や導電体その他の添加剤を複数の粒状体として含む。具体的には、正極2は、例えば、予め定められた割合で配合された粒状の活物質および導電体を、保形性に寄与するバインダとともに含有するペースト状の正極材料を発泡ニッケルなどの導電性を有する発泡金属へ圧入し、所望の形状に成形し、乾燥させたものである。
負極3は、負極活物質を金属として含む。負極3は、例えば、ステンレスや銅などの金属板や、ステンレスや銅板の表面をニッケルやスズ、亜鉛でメッキ処理したものを使用することができる。また、メッキ処理された表面が一部酸化されたものを負極3として使用してもよい。
負極3は、正極2を挟んで互いに向かい合うように配置された負極3aおよび負極3bを含む。正極2および負極3は、負極3aと、正極2と、負極3bとが予め定められた間隔でY軸方向に沿って順に並ぶように配置されている。このように隣り合う正極2と負極3との間隔をそれぞれ設けることにより、正極2と負極3との間における電解液6および気泡8の流通経路が確保される。
隔膜4,5は、正極2の厚み方向、すなわちY軸方向の両側を挟むように配置される。隔膜4,5は、電解液6に含まれるイオンの移動を許容する材料で構成される。具体的には、隔膜4,5の材料として、例えば、隔膜4,5が水酸化物イオン伝導性を有するように、陰イオン伝導性材料が挙げられる。陰イオン伝導性材料としては、例えば、有機ヒドロゲルのような三次元構造を有するゲル状の陰イオン伝導性材料、または固体高分子型陰イオン伝導性材料などが挙げられる。固体高分子型陰イオン伝導性材料は、例えば、ポリマーと、周期表の第1族~第17族より選択された少なくとも一種類の元素を含有する、酸化物、水酸化物、層状複水酸化物、硫酸化合物およびリン酸化合物からなる群より選択された少なくとも一つの化合物とを含む。
隔膜4,5は、好ましくは、水酸化物イオンよりも大きいイオン半径を備えた[Zn(OH)4]2-等の金属イオン錯体の透過を抑制するように緻密な材料で構成されると共に所定の厚さを有する。緻密な材料としては、例えば、アルキメデス法で算出された90%以上、より好ましくは92%以上、さらに好ましくは95%以上の相対密度を有する材料が挙げられる。所定の厚さは、例えば、10μm~1000μm、より好ましくは50μm~500μmである。
この場合には、充電の際に、負極3a,3bにおいて析出する亜鉛がデンドライト(針状結晶)として成長し、隔膜4,5を貫通することを低減することができる。その結果、互いに向かい合う負極3と正極2との間の導通を低減することができる。
電解液6は、6mol・dm-3以上のアルカリ金属を含有するアルカリ水溶液である。アルカリ金属は、例えばカリウムである。具体的には、例えば、6~6.7mol・dm-3の水酸化カリウム水溶液を電解液6として使用することができる。また、酸素発生抑制を目的に、リチウムやナトリウムなどのアルカリ金属を水酸化物(水酸化リチウム、水酸化ナトリウム)として添加してもよい。
また、電解液6は、亜鉛成分を含有する。亜鉛成分は、[Zn(OH)4]2-として電解液6中に溶存している。亜鉛成分としては、例えば酸化亜鉛または水酸化亜鉛を使用することができる。また、1dm3の水酸化カリウム水溶液に対し、0.5molの割合でZnOを添加し、必要に応じて後述する粉末7を追加することにより電解液6を調製することができる。未使用、あるいは放電終了後の電解液6は、例えば1×10-4mol・dm-3以上5×10-2mol・dm-3以下、好ましくは1×10-3mol・dm-3以上2.5×10-2mol・dm-3以下の亜鉛成分を含有することができる。
また、電解液6は、インジウム成分を含む。インジウム成分は、アルカリ水溶液である電解液6中では[In(OH)4]-として溶存する。インジウム成分としては、ハロゲン化インジウム、例えば塩化インジウム(InCl3)またはフッ化インジウム(InF3)を使用することができる。また、電解液6中で溶存できるものであればインジウム成分は上記したものに限らず、例えば塩酸その他の成分に予め溶解させた酸化インジウムまたは水酸化インジウムを使用してもよい。未使用、あるいは放電終了後の電解液6は、例えば1×10-4mol・dm-3以上5×10-2mol・dm-3以下、好ましくは1×10-3mol・dm-3以上2.5×10-2mol・dm-3以下のインジウム成分を含有することができる。このように電解液6がインジウム成分を含むと、充電により負極3に析出する亜鉛がデンドライトとして成長しにくくなり、負極と正極との導通を低減することができる。
また、電解液6は、ハロゲン種を含む。ハロゲン種は、ハロゲン化物イオン(X-)として電解液6中に溶存し、電解液6中に溶存するインジウム成分の安定化に寄与する。ハロゲン種は、例えば、塩素成分またはフッ素成分である。塩素成分としては、例えば塩化カリウムまたは塩酸を使用することができる。フッ素成分としては、例えばフッ化カリウムまたはフッ化水素酸を使用することができる。また、インジウム成分の一例であるハロゲン化インジウムは、電解液6中の[In(OH)4]-を安定化させるハロゲン種としても機能する。
ハロゲン種は、上記したインジウム成分のモル質量MInに対し、ハロゲン種のモル質量MXが例えば3倍~10倍、すなわちMX/MInが3以上10以下となるように未使用、あるいは放電終了後の電解液6中に溶存している。このようにハロゲン種の配合量を規定することにより、ハロゲン種およびインジウム成分を電解液6中に安定的に溶存させることができる。これに対し、MX/MInが3未満の場合にはインジウム成分が電解液6中に析出しやすくなる。また、MX/MInが10を超える場合にはハロゲン種が電解液6中に析出しやすくなる。なお、電解液6がインジウム成分としてハロゲン化インジウム(塩化インジウム(InCl3)またはフッ化インジウム(InF3))のみを含む場合、MX/MInは「3」である。
粉末7は、亜鉛またはインジウムを含む。電解液6に加えられる粉末7は、亜鉛を含む粉末7のみ、インジウムを含む粉末7のみ、亜鉛を含む粉末7およびインジウムを含む粉末7の両方、亜鉛およびインジウムの両方を含む粉末7のいずれでもよい。また、それらの粉末7を組み合わせてもよい。
亜鉛を含む粉末7は、例えば粉末状に加工または生成された酸化亜鉛、水酸化亜鉛等である。粉末7は、アルカリ水溶液中には容易に溶解するが、亜鉛種の飽和した電解液6中には溶解せずに分散または浮遊し、一部が沈降した状態で電解液6中に混在する。電解液6が長時間静置されていた場合、ほとんどの粉末7が、電解液6の中で沈降した状態になることもあるが、電解液6に対流等を生じさせれば、沈降していた粉末7の一部は、電解液6に分散または浮遊した状態になる。つまり、粉末7は、電解液6中に移動可能に存在している。なお、ここで移動可能とは、粉末7が、周囲の他の粉末7の間にできた局所的な空間の中のみを移動できることではなく、電解液6の中を別の位置に粉末7が移動することにより、当初の位置以外の電解液6に粉末7が晒されるようになっていることを表す。さらに、移動可能の範疇には、正極2および負極3の両方の近傍まで粉末7が移動できるようになっていることや、筐体17内に存在する電解液6中の、ほぼどこにでも粉末7が移動できるようになっていることが含まれる。電解液6中に溶存する[Zn(OH)4]2-が消費されると、電解液6中に混在する粉末7は、粉末7および電解液6が互いに平衡状態を維持するよう電解液6中に溶存する[Zn(OH)4]2-が飽和濃度に近づくように溶解する。
インジウムを含む粉末7は、例えば粉末状に加工または生成された酸化インジウム、水酸化インジウム等である。粉末7は、アルカリ水溶液中に一部溶解するが、インジウム種の飽和した電解液6中には溶解せずに分散または浮遊し、一部が沈降した状態で電解液6中に混在する。電解液6が長時間静置されていた場合、ほとんどの粉末7が、電解液6の中で沈降した状態になることもあるが、電解液6に対流等を生じさせれば、沈降していた粉末7の一部は、電解液6に分散または浮遊した状態になる。つまり、粉末7は、電解液6中に移動可能に存在している。なお、ここで移動可能とは、粉末7が、周囲の他の粉末7の間にできた局所的な空間の中のみを移動できることではなく、電解液6の中を別の位置に粉末7が移動することにより、当初の位置以外の電解液6に粉末7が晒されるようになっていることを表す。さらに、移動可能の範疇には、正極2および負極3の両方の近傍まで粉末7が移動できるようになっていることや、筐体17内に存在する電解液6中の、ほぼどこにでも粉末7が移動できるようになっていることが含まれる。電解液6中に溶存する[In(OH)4]-が消費されると、電解液6中に混在する粉末7は、粉末7および電解液6が互いに平衡状態を維持するよう電解液6中に溶存する[In(OH)4]-が飽和濃度に近づくように溶解する。
電解液6中のインジウム成分は、充電の際の、亜鉛種とともに、負極3a,3bに析出する。充電によって減った電解液6中の亜鉛種が、亜鉛を含む粉末7から供給されるとともに、充電によって減った電解液6中のインジウム成分がインジウムを含む粉末7から供給されることで、亜鉛がデンドライトとして成長し難い状態が維持されやすくなる。
加えるインジウムを含む粉末7は、電解液6の量に対するインジウム元素の割合で、5×10-3mol・dm-3以上0.1mol・dm-3以下としてもよい。このインジウムの量は、電解液6を作製する際に加えたインジウム成分とは別に加えられる量である。
インジウムを含む粉末7の量を、5×10-3mol・dm-3以上にすることで、上述のように、デンドライトを成長し難くできる。最初に加えるインジウムを含む粉末7の量を、1×10-2mol・dm-3以上、さらに2.5×10-2mol・dm-3以上にすることで充放電を繰り返して、インジウムを含む粉末7の量が少なくなった場合にも、デンドライトを成長し難くできる。
インジウムを含む粉末7は、負極3a,3b等に比較的付着しやすい。付着すると電極間が狭くなるので、ショートする可能性が高くなる。インジウムを含む粉末7の量を5×10-2mol・dm-3以下にすることで、ショートの可能性を低くできる。
気泡8は、例えば正極2、負極3および電解液6に対して不活性な気体で構成される。このような気体としては、例えば、窒素ガス、ヘリウムガス、ネオンガス、またはアルゴンガスなどが挙げられる。電解液6に不活性な気体の気泡8を発生させることにより、電解液6の変性を低減することができる。また、例えば、亜鉛種を含有するアルカリ水溶液である電解液6の劣化を低減し、電解液6のイオン伝導度を高く維持することができる。なお、気体は空気を含有してもよい。
発生部9から電解液6中に供給された気体により発生した気泡8は、所定の間隔で配置された電極間、より具体的には、負極3aと正極2との間、正極2と負極3bとの間において、それぞれ電解液6中を浮上する。電解液6中を気泡8として浮上した気体は、電解液6の液面6aで消滅し、上板18と電解液6の液面6aとの間に気体層13を構成する。
ここで、フロー電池1における電極反応について、正極活物質として水酸化ニッケルを適用したニッケル亜鉛電池を例に挙げて説明する。充電時における正極2および負極3での反応式はそれぞれ、以下のとおりである。
正極:Ni(OH)2 + OH- → NiOOH + H2O + e-
負極:[Zn(OH)4]2- + 2e- → Zn +4OH-
負極:[Zn(OH)4]2- + 2e- → Zn +4OH-
一般的には、この反応に伴って負極3で生成したデンドライトが正極2側へ成長し、正極2と負極3とが導通する懸念がある。反応式から明らかなように、負極3では、充電により亜鉛が析出するのに伴い、負極3の近傍における[Zn(OH)4]2-の濃度が低下する。そして、析出した亜鉛の近傍で[Zn(OH)4]2-の濃度が低下する現象が、デンドライトとして成長する一因である。すなわち、充電時に消費される電解液6中の[Zn(OH)4]2-を補給することにより、電解液6中の亜鉛種である[Zn(OH)4]2-の濃度が高い状態に保持される。これにより、デンドライトの成長が低減され、正極2と負極3とが導通する可能性が低減される。
フロー電池1では、電解液6中に亜鉛を含む粉末7を混在させるとともに、発生部9の吐出口9aから電解液6中に気体を供給して気泡8を発生させる。気泡8は、負極3aと正極2との間、正極2と負極3bとの間のそれぞれにおいて筐体17の下方から上方に向かって電解液6中を浮上する。
また、電極間における上記した気泡8の浮上に伴い、電解液6には上昇液流が発生し、負極3aと正極2との間、正極2と負極3bとの間では反応部10の内底10e側から上方に向かって電解液6が流動する。そして、電解液6の上昇液流に伴い、主に反応部10の内壁10aと負極3aとの間、および内壁10bと負極3bとの間で下降液流が発生し、電解液6が反応部10の内部を上方から下方に向かって流動する。
これにより、充電によって電解液6中の[Zn(OH)4]2-が消費されると、これに追従するように粉末7中の亜鉛が溶解することで高濃度の[Zn(OH)4]2-を含有する電解液6が負極3の近傍に補給される。このため、電解液6中の[Zn(OH)4]2-を濃度が高い状態に保つことができ、デンドライトの成長に伴う正極2と負極3との導通の可能性を低減することができる。
なお、粉末7としては、酸化亜鉛および水酸化亜鉛以外に、金属亜鉛、亜鉛酸カルシウム、炭酸亜鉛、硫酸亜鉛、塩化亜鉛などが挙げられ、酸化亜鉛および水酸化亜鉛が好ましい。
また、負極3では、放電によりZnが消費され、[Zn(OH)4]2-を生成するが、電解液6はすでに飽和状態であるため、電解液6中では、過剰となった[Zn(OH)4]2-からZnOが析出する。このとき負極3で消費される亜鉛は、充電時に負極3の表面に析出した亜鉛である。このため、元来亜鉛種を含有する負極を用いて充放電を繰り返す場合とは異なり、負極3の表面形状が変化するいわゆるシェイプチェンジが生じない。これにより、第1の実施形態に係るフロー電池1によれば、負極3の経時劣化を低減することができる。なお、電解液6の状態によっては、過剰となった[Zn(OH)4]2-から析出するのは、Zn(OH)2や、ZnOとZn(OH)2とが混合したものになる。
上記したように、負極3では、電解液6中の[Zn(OH)4]2-を濃度が高い状態に保つことによりデンドライトの成長が低減される。ただし、充電時に飽和状態または高濃度の[Zn(OH)4]2-を含有する電解液6が負極3の近傍に滞留すると、苔状に析出した亜鉛が負極3の表面に付着する場合がある。苔状に析出した亜鉛は、例えば嵩密度が4120kg・m-3程度である平常時に析出した亜鉛と比較して嵩高いため、正極2と負極3との間隔が狭まることで気泡8や電解液6の流れが阻害され、反応部10内に収容された電解液6が滞留しやすくなる。また、負極3に析出した苔状の亜鉛が正極2にまで到達すると、負極3と正極2とが導通する。
そこで、第1の実施形態に係るフロー電池システム100では、上記したようにインジウム成分およびハロゲン種を含有する電解液6を適用するとともに、制御装置40を備える。かかる制御装置40は、フロー電池1の充電を制御する制御部41と、記憶部42とを有する。
制御部41は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、入出力ポートなどを有するコンピュータや各種回路を含む。かかるコンピュータのCPUは、例えば、ROMに記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、制御部41として機能する。
また、制御部41をASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアで構成することもできる。
また、記憶部42は、例えば、ROMおよびHDDに対応する。ROMおよびHDDは、制御装置40における各種の設定情報を記憶することができる。なお、制御部41は、有線や無線のネットワークで接続された他のコンピュータや可搬型記録媒体を介して各種情報を取得することとしてもよい。
制御装置40は、フロー電池1に対し、電解液6の組成に応じた充電制御を行うことにより、負極と正極との導通をさらに低減する。この点について、図2を参照してさらに説明する。
図2は、第1の実施形態に係るフロー電池システムの機能的構成を示すブロック図である。図2に示すように、フロー電池システム100は、上述のフロー電池1と、制御装置40とに加えて、電流検出部26と、流速検出部27とを有する。
電流検出部26は、フロー電池1の充電時に測定される充電電流を検出して、かかる充電電流の情報を制御部41に送信する。流速検出部27は、充電時に正極2と負極3との間に流入する電解液6の流速を検出して、かかる流速の情報を制御部41に送信する。流速検出部27は、例えば負極3aと隔膜4との間、隔膜5と負極3bとの間にそれぞれ流入する電解液6の流速をそれぞれ検知する流速計である。流速計としては、例えば、機械式、音波式、電磁式、光学式などを利用することができる。また、電解液6と同速度で運動するマーカー粒子を予め電解液6中に混入させて撮像するPIV(Particle Image Velocimetry)を電流検出部26として適用してもよい。
そして、制御部41は、電流検出部26および流速検出部27から送られてくる情報と、記憶部42に記憶される設定情報とに基づいて、フロー電池1の充電を制御する。具体的には、制御部41は、電流検出部26から取得した情報に基づいて算出される負極3の電流密度I(単位:〔mA・cm-2〕)および流速検出部27から取得した電解液6の流速R(単位:〔cm・sec-1〕)が、1≦CZn×R1/3×CIn
-1×I-1≦150の関係を満たすようにフロー電池1の充電を制御する。ここで、CZnおよびCInはそれぞれ、未使用、あるいは放電終了後の電解液6中に含まれる亜鉛成分およびインジウム成分のモル濃度(単位:〔mol・dm-3〕)である。また、図1に示す例では、電流密度Iは、負極3a,3bでそれぞれ算出される電流密度の平均値である。同様に、流速Rは、負極3aと隔膜4との間、隔膜5と負極3bとの間にそれぞれ流入する電解液6の流速の平均値である。
上記した関係式(CZn×R1/3×CIn
-1×I-1)は、フロー電池1の充電時に消費される[Zn(OH)4]2-を補給するための指標となる係数であり、以下、亜鉛供給係数(FZn)と表記することとする。例えば、流速Rが大きくなると、FZnは大きくなる。また、電流密度Iが大きくなると、FZnは小さくなる。このような関係を有するFZnは、フロー電池1の充電時における負極3およびその近傍での[Zn(OH)4]2-の消費と補給とのバランスを、流速Rおよび電流密度Iを用いて的確に表現したものである。
FZnが1以上150以下、好ましくは3.5以上50以下、さらに5以上25以下とすることにより、充電時における[Zn(OH)4]2-の消費と補給のバランスが適切に保たれることとなり、負極3の表面における樹状または苔状の亜鉛の析出が低減する。このため、負極3と正極2とが導通する不具合が低減する。これに対し、FZnが1未満だと、負極3の近傍において[Zn(OH)4]2-の補給が不足し、デンドライトが生成することで負極3と正極2とが導通しやすくなる。また、FZnが150を超えると、負極3の近傍において過剰に[Zn(OH)4]2-が補給されることとなり、苔状の亜鉛が負極3の表面に堆積することで負極3と正極2とが導通しやすくなる。なお、電解液6の流速Rは、発生部9の吐出口9aから電解液6中に供給される気体の単位時間当たりの吐出量を調整することで制御することができる。
第1の実施形態に係るフロー電池システム100が備えるフロー電池1についてさらに説明する。発生部9は、反応部10の下方に配置されている。発生部9は、後述する供給部14から供給された気体を一時的に貯留するよう内部が中空となっている。また、反応部10の内底10eは、発生部9の中空部分を覆うように配置されており、発生部9の天板を兼ねている。
また、内底10eは、X軸方向およびY軸方向に沿って並ぶ複数の吐出口9aを有している。発生部9は、供給部14から供給された気体を吐出口9aから吐出することにより、電解液6中に気泡8を発生させる。吐出口9aは、例えば0.05mm以上0.5mm以下の直径を有する。吐出口9aの直径をこのように規定することにより、吐出口9aから発生部9の内部の中空部分に電解液6や粉末7が進入する不具合を低減することができる。また、吐出口9aから吐出される気体に対し、気泡8を発生させるのに適した圧力損失を与えることができる。
また、吐出口9aのX軸方向に沿った間隔(ピッチ)は、例えば、2.5mm以上50mm以下であり、さらに10mm以下にしてもよい。ただし、吐出口9aは、発生した気泡8を互いに向かい合う正極2と負極3との間にそれぞれ適切に流動させることができるように配置されるものであれば、大きさや間隔に制限はない。
筐体17および上板18は、例えば、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ塩化ビニルなど、耐アルカリ性および絶縁性を有する樹脂材料で構成される。筐体17および上板18は、好ましくは互いに同じ材料で構成されるが、異なる材料で構成されてもよい。また、発生部9は、反応部10の内部に配置されてもよい。
供給部14は、配管16を介して筐体17の内部から回収された気体を、配管15を介して発生部9に供給する。供給部14は、例えば気体を移送可能なポンプ(気体ポンプ)、コンプレッサまたはブロワである。供給部14の気密性を高くすれば、気体や電解液6に由来する水蒸気を外部に漏出させることによるフロー電池1の発電性能の低下が起きにくい。また、供給部14と発生部9との間に、吐出口9aから単位時間当たりに吐出される気体の量を調整するための調整弁(不図示)を設けてもよい。かかる調整弁は、例えば、制御部41からの制御信号に基づいて駆動するよう構成することができる。
次に、フロー電池1における電極間の接続について説明する。図3は、第1の実施形態に係るフロー電池システムが備えるフロー電池の電極間の接続の一例について説明する図である。
図3に示すように、負極3aおよび負極3bは並列接続されている。このように負極3を並列に接続することにより、正極2および負極3の総数が異なる場合であってもフロー電池1の各電極間を適切に接続し、使用することができる。
また、上記したように、フロー電池1は正極2を挟んで互いに向かい合うように配置された負極3a,3bを備える。このように1つの正極2に対して2つの負極3a,3bが対応したフロー電池1では、正極2と負極3とが1:1で対応するフロー電池と比較して負極1つ当たりの電流密度が低下する。このため、第1の実施形態に係るフロー電池1によれば、負極3a,3bでのデンドライトの生成がさらに低減されるため、負極3a,3bと正極2との導通をさらに低減することができる。
なお、図1に示すフロー電池1では、合計3枚の電極が、負極3および正極2が交互に配置されるように構成されたが、これに限らず、5枚以上の電極を交互に配置するようにしてもよく、正極2および負極3をそれぞれ1枚ずつ配置させてもよい。また、図1に示すフロー電池1では、両端がともに負極3となるように構成されたが、これに限らず、両端がともに正極2となるように構成してもよい。さらに、一方の端部が正極2、他方の端部が負極3となるように同枚数の負極3および正極2をそれぞれ交互に配置してもよい。
<第2の実施形態>
図4は、第2の実施形態に係るフロー電池システムの概略を示す図である。図4に示すフロー電池システム100Aが備えるフロー電池1Aは、図1に示す発生部9、供給部14、配管15,16に代えて、供給部14a、配管15a,16aを備えることを除き、第1の実施形態に係るフロー電池システム100が備えるフロー電池1と同様の構成を有している。
図4は、第2の実施形態に係るフロー電池システムの概略を示す図である。図4に示すフロー電池システム100Aが備えるフロー電池1Aは、図1に示す発生部9、供給部14、配管15,16に代えて、供給部14a、配管15a,16aを備えることを除き、第1の実施形態に係るフロー電池システム100が備えるフロー電池1と同様の構成を有している。
供給部14aは、配管16aを介して筐体17の内部から回収された、粉末7が混在する電解液6を、配管15aを介して筐体17の下部に供給する。供給部14aは、流動装置の一例である。
供給部14aは、例えば電解液6を移送可能なポンプである。供給部14aの気密性を高くすれば、粉末7および電解液6を外部に漏出させることによるフロー電池1Aの発電性能の低下が起きにくい。そして、筐体17の内部に送られた電解液6は、第1の実施形態に係るフロー電池1と同様に、各電極間を上方に流動する間に充放電反応に供されることとなる。
このように発生部9を有しないフロー電池1Aを備えるフロー電池システム100Aにおいても、制御部41が電解液6中に含有するインジウム成分および亜鉛成分の量に基づいてフロー電池1Aの充電を制御することにより、充電時における[Zn(OH)4]2-の消費と補給のバランスが適切に保たれることとなり、負極3の表面における樹状または苔状の亜鉛の析出が低減する。このため、第2の実施形態に係るフロー電池1Aによれば、例えば負極3と正極2とが導通する不具合が低減する。
なお、図4に示すフロー電池1Aでは、配管16aに接続された開口が、各電極の主面と向かい合う内壁10b、すなわち反応部10のY軸方向側の端部に設けられているが、これに限らず、X軸方向側の端部に設けられてもよい。
また、図4に示すフロー電池1Aでは、供給部14aは、粉末7が混在する電解液6を供給するとしたが、これに限らず、電解液6のみを供給することとしてもよい。かかる場合、例えば配管16aの途中に、粉末7が混在する電解液6を一時的に貯留するタンクを設け、タンク内部において電解液6中に溶解する[Zn(OH)4]2-の濃度を調整することとしてもよい。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。例えば、上記した各実施形態では、電解液6中に粉末7が混在されているとして説明したが、これに限らず、粉末7を有しなくてもよい。このとき、電解液6中に溶存する亜鉛成分は、飽和状態であってもよく、飽和状態よりも低い濃度であってもよい。さらに、電解液6は、過飽和状態となるように亜鉛成分を溶存させたものであってもよい。また、高濃度の[Zn(OH)4]2-を含有する電解液6を正極2と負極3との間に速やかに供給する観点から、正極2および負極3の上端が、電解液6の液面6aよりも下方に配置されるように電解液6の量を調整してもよい。
また、上記した各実施形態では、隔膜4,5は正極2の厚み方向の両側を挟むように配置されるとして説明したが、これに限らず、正極2と負極3との間に配置されていればよく、また、正極2を被覆していてもよい。
なお、供給部14,14aは、常時動作させてもよいが、電力消費を低減する観点から、放電時には充電時よりも気体または電解液6の供給レートを低下させてもよい。
また、上記した各実施形態では、制御部41は、電流検出部26および流速検出部27から送られてくる情報と、記憶部42に記憶される設定情報とに基づいて、フロー電池1,1Aの充電を制御するとして説明したが、これに限らず、フロー電池1,1Aの充放電を同様に制御することとしてもよい。
以下、上記した各実施形態に係るフロー電池システム100,100Aを作製し、充電により負極3の表面に付着する亜鉛の堆積の様子を評価した。結果を表1に示す。
なお、実験例1~36では、電解液6として、脱イオン水1dm3に対し、KOHを6.5mol、ZnOを0.6molまたは0.8mol、InCl3またはInF3を0.001molまたは0.025mol含有するように調製し、必要に応じてKCl3またはKF3をさらに添加し、溶解させたものを使用した。また、比較実験例1,2では、インジウム成分およびハロゲン種を含まない電解液6として、脱イオン水1dm3に対し、KOHを6.5mol、ZnOを0.6mol含有するように調製したものを使用した。また、表1中、CZn、CInおよびCXはそれぞれ、調製時、すなわち未使用の電解液6中に含まれる亜鉛成分、インジウム成分およびハロゲン種のモル濃度である。また、表1には、ハロゲン種Xの種別(Cl-またはF-)、電解液6中に含まれるハロゲン種およびインジウム成分のモル比(MX/MIn)をあわせて示した。
また、実験例1~36、比較実験例1,2では、電解液6の流速Rを0.2~10cm・sec-1、電流密度Iを25mA・m-2または5mA・m-2とした定速および定電流条件で電池容量が100%となるまで充電させた。関係式(CZn×R1/3×CIn
-1×I-1)および充電完了後の評価結果を、流速Rおよび電流密度Iとともに表1に示す。なお、実験例1~32、比較実験例1,2ではフロー電池1を使用し、実験例33~36ではフロー電池1Aを使用した。
また、表1においては、負極3の表面に樹状または苔状の亜鉛の析出が認められず、特に良好なものを◎とし、樹状または苔状の亜鉛の析出が僅かに確認されたものを○、実使用に不具合ないものの樹状または苔状の亜鉛の析出が確認されたものを△、樹状または苔状の亜鉛の析出が多く確認され、実使用に不具合が生じうるものを×として4段階で評価した。本実施例では、負極3に堆積した亜鉛の、負極3の表面を基準とする最大高さが1μm未満の場合を◎、1μm以上10μm未満の場合を○、10μm以上100μm未満の場合を△、100μm以上の場合を×とした。上記した4段階評価のうち、◎、○および△を、フロー電池システム100,100Aとしての規準を満たしている評価とする。なお、本実施例における正極2と負極3との間隔、より具体的には、負極3aと隔膜4、隔膜5と負極3bとの間隔はいずれも500μmである。
また、樹状または苔状の亜鉛の析出が確認されたものについては、表1の評価の欄において4段階評価とともに具体的な析出形態について(デンドライト)または(苔状析出)のように併記した。
表1に示すように、実施形態に係るフロー電池1,1Aによれば、インジウム成分およびハロゲン種を含む電解液6を使用することにより、インジウム成分およびハロゲン種を含まない電解液6を使用する場合と比較して負極と正極との導通の可能性を低減することができる。特に、実施形態に係るフロー電池システム100,100Aによれば、関係式(CZn×R1/3×CIn
-1×I-1)が所定の範囲となるように充電時の流速Rおよび電流密度Iを制御することにより、負極と正極との導通をさらに低減することができる。
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
1,1A フロー電池
2 正極
3,3a,3b 負極
4,5 隔膜
6 電解液
7 粉末
8 気泡
9 発生部
9a 吐出口
10 反応部
14,14a 供給部
17 筐体
18 上板
40 制御装置
41 制御部
100,100A フロー電池システム
2 正極
3,3a,3b 負極
4,5 隔膜
6 電解液
7 粉末
8 気泡
9 発生部
9a 吐出口
10 反応部
14,14a 供給部
17 筐体
18 上板
40 制御装置
41 制御部
100,100A フロー電池システム
Claims (11)
- 正極および負極と、
インジウム成分およびハロゲン種を含み、前記正極および前記負極に接触する電解液と、
前記電解液を流動させる流動装置と
を備えることを特徴とするフロー電池。 - 前記電解液は、6mol・dm-3以上のアルカリ金属を含有するアルカリ水溶液であることを特徴とする請求項1に記載のフロー電池。
- 前記電解液は、前記ハロゲン種のモル質量MXと前記インジウム成分のモル質量MInとの比MX/MInが3以上10以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のフロー電池。
- 前記流動装置は、前記電解液中に気泡を発生させる発生部を含み、
前記気泡は、前記正極と前記負極との間を浮上することを特徴とする請求項1~3のいずれか1つに記載のフロー電池。 - 前記負極は、前記正極を挟んで向かい合う第1負極および第2負極を含むことを特徴とする請求項1~4のいずれか1つに記載のフロー電池。
- 前記電解液に亜鉛成分を含むことを特徴とする請求項1~5のいずれか1つに記載のフロー電池。
- 前記電解液中を移動可能に混在する粉末をさらに備えることを特徴とする請求項6に記載のフロー電池。
- 前記粉末がインジウムを含むことを特徴とする請求項7に記載のフロー電池。
- 請求項1~8のいずれか1つに記載のフロー電池と、
前記フロー電池を制御する制御部と
を備え、
前記電解液は、亜鉛成分を含み、
前記制御部は、前記電解液中に含有する前記インジウム成分および前記亜鉛成分の量に基づいて前記フロー電池の充電を制御することを特徴とするフロー電池システム。 - 前記制御部は、前記電解液中に含まれる前記インジウム成分のモル濃度をCIn〔mol・dm-3〕、前記亜鉛成分のモル濃度をCZn〔mol・dm-3〕としたとき、前記負極の電流密度I〔mA・cm-2〕および前記正極と前記負極との間に流入する前記電解液の流速R〔cm・sec-1〕が1≦CZn×R1/3×CIn -1×I-1≦150の関係を満たすように前記フロー電池の充電を制御することを特徴とする請求項9に記載のフロー電池システム。
- 正極および負極と、
亜鉛成分、インジウム成分およびハロゲン種を含み、前記正極および前記負極に接触する電解液と、
前記電解液を流動させる流動装置と
を備えるフロー電池により実行される制御方法であって、
前記電解液中に含有する前記インジウム成分および前記亜鉛成分の量に基づいて充電時の前記負極の電流密度と、前記正極と前記負極との間に流入させる前記電解液の流速とを制御することを特徴とする制御方法。
Priority Applications (4)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020515625A JP7072643B2 (ja) | 2018-04-27 | 2019-04-26 | フロー電池システムおよび制御方法 |
US17/050,783 US11228058B2 (en) | 2018-04-27 | 2019-04-26 | Flow battery, flow battery system, and control method |
CN201980028765.7A CN112042042A (zh) | 2018-04-27 | 2019-04-26 | 液流电池、液流电池系统和控制方法 |
EP19791749.5A EP3787093A4 (en) | 2018-04-27 | 2019-04-26 | FLOW CELL, FLOW CELL SYSTEM AND CONTROL METHOD |
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018087778 | 2018-04-27 | ||
JP2018-087778 | 2018-04-27 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
WO2019208809A1 true WO2019208809A1 (ja) | 2019-10-31 |
Family
ID=68295585
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
PCT/JP2019/018074 WO2019208809A1 (ja) | 2018-04-27 | 2019-04-26 | フロー電池、フロー電池システムおよび制御方法 |
Country Status (5)
Country | Link |
---|---|
US (1) | US11228058B2 (ja) |
EP (1) | EP3787093A4 (ja) |
JP (1) | JP7072643B2 (ja) |
CN (1) | CN112042042A (ja) |
WO (1) | WO2019208809A1 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP3667796A4 (en) * | 2017-08-10 | 2021-05-12 | Kyocera Corporation | FLOW BATTERY |
Citations (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007214125A (ja) * | 2006-02-01 | 2007-08-23 | Powergenix Systems Inc | ニッケル亜鉛電池の電解質組成 |
JP2012502430A (ja) * | 2008-09-09 | 2012-01-26 | ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ | 組成物、エネルギー貯蔵装置及び方法 |
CN103326055A (zh) * | 2012-11-01 | 2013-09-25 | 周谨平 | 应用于氧化还原电池的锌负极电解液 |
JP2015506079A (ja) * | 2011-12-14 | 2015-02-26 | エオス エナジー ストレージ, エルエルシー | 電気的に再充電可能な金属アノードセルおよびバッテリシステムならびに方法 |
JP2015185259A (ja) | 2014-03-20 | 2015-10-22 | 株式会社日本触媒 | 電極及び電池 |
WO2017172878A1 (en) * | 2014-10-06 | 2017-10-05 | Eos Energy Storage, Llc | Electrolyte for rechargeable electrochemical cell |
WO2017209100A1 (ja) * | 2016-05-31 | 2017-12-07 | 京セラ株式会社 | 亜鉛電池および亜鉛フロー電池 |
JP2018037290A (ja) * | 2016-08-31 | 2018-03-08 | 京セラ株式会社 | フロー電池 |
Family Cites Families (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN100550479C (zh) * | 2006-08-15 | 2009-10-14 | 中国人民解放军63971部队 | 一种锌镍液流电池 |
CN101783429B (zh) * | 2009-01-16 | 2011-11-09 | 北京化工大学 | 一种锌氧单液流电池 |
CN102005583B (zh) * | 2009-09-01 | 2013-03-20 | 比亚迪股份有限公司 | 一种钒电池的胶体电解液及钒电池 |
KR102134055B1 (ko) * | 2013-08-07 | 2020-07-14 | 스미토모덴키고교가부시키가이샤 | 레독스 플로우 전지 |
WO2017142042A1 (ja) * | 2016-02-16 | 2017-08-24 | 京セラ株式会社 | フロー電池 |
US11233257B2 (en) * | 2017-04-28 | 2022-01-25 | Ess Tech, Inc. | Methods and system for a battery |
-
2019
- 2019-04-26 JP JP2020515625A patent/JP7072643B2/ja active Active
- 2019-04-26 WO PCT/JP2019/018074 patent/WO2019208809A1/ja active Application Filing
- 2019-04-26 CN CN201980028765.7A patent/CN112042042A/zh active Pending
- 2019-04-26 EP EP19791749.5A patent/EP3787093A4/en active Pending
- 2019-04-26 US US17/050,783 patent/US11228058B2/en active Active
Patent Citations (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007214125A (ja) * | 2006-02-01 | 2007-08-23 | Powergenix Systems Inc | ニッケル亜鉛電池の電解質組成 |
JP2012502430A (ja) * | 2008-09-09 | 2012-01-26 | ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ | 組成物、エネルギー貯蔵装置及び方法 |
JP2015506079A (ja) * | 2011-12-14 | 2015-02-26 | エオス エナジー ストレージ, エルエルシー | 電気的に再充電可能な金属アノードセルおよびバッテリシステムならびに方法 |
CN103326055A (zh) * | 2012-11-01 | 2013-09-25 | 周谨平 | 应用于氧化还原电池的锌负极电解液 |
JP2015185259A (ja) | 2014-03-20 | 2015-10-22 | 株式会社日本触媒 | 電極及び電池 |
WO2017172878A1 (en) * | 2014-10-06 | 2017-10-05 | Eos Energy Storage, Llc | Electrolyte for rechargeable electrochemical cell |
WO2017209100A1 (ja) * | 2016-05-31 | 2017-12-07 | 京セラ株式会社 | 亜鉛電池および亜鉛フロー電池 |
JP2018037290A (ja) * | 2016-08-31 | 2018-03-08 | 京セラ株式会社 | フロー電池 |
Non-Patent Citations (2)
Title |
---|
See also references of EP3787093A4 |
Y. ITO. ET AL.: "Zinc morphology in zinc-nickel flow assisted batteries and impact on performance", JOURNAL OF POWER SOURCES, vol. 196, 2011, pages 2340 - 2345, XP027531173 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP7072643B2 (ja) | 2022-05-20 |
US20210098830A1 (en) | 2021-04-01 |
EP3787093A4 (en) | 2022-04-06 |
US11228058B2 (en) | 2022-01-18 |
EP3787093A1 (en) | 2021-03-03 |
JPWO2019208809A1 (ja) | 2021-04-30 |
CN112042042A (zh) | 2020-12-04 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6694955B2 (ja) | 亜鉛電池および亜鉛フロー電池 | |
WO2019208809A1 (ja) | フロー電池、フロー電池システムおよび制御方法 | |
JP7344303B2 (ja) | 亜鉛二次電池、二次電池システムおよび制御方法 | |
JP2019067637A (ja) | フロー電池 | |
JP7248776B2 (ja) | 二次電池 | |
JP7025243B2 (ja) | フロー電池 | |
WO2019151454A1 (ja) | フロー電池 | |
WO2020218594A1 (ja) | 二次電池および二次電池システム | |
JP7000591B2 (ja) | 二次電池 | |
JP2020021561A (ja) | フロー電池およびフロー電池システム | |
JP2019192617A (ja) | フロー電池 | |
JP7109315B2 (ja) | フロー電池 | |
WO2021107151A1 (ja) | 二次電池 | |
WO2021039998A1 (ja) | 二次電池 | |
JP2020004654A (ja) | 正極成形体、電池およびフロー電池 | |
JP6925937B2 (ja) | フロー電池 | |
JP2020021565A (ja) | フロー電池 | |
JP2019067636A (ja) | フロー電池 | |
JP2019079750A (ja) | フロー電池 | |
JP2020140913A (ja) | 正極構造体およびフロー電池 | |
JP2020038754A (ja) | フロー電池 | |
JP2020057475A (ja) | 正極構造体およびフロー電池 | |
JP2019102246A (ja) | フロー電池 | |
JP2019067632A (ja) | フロー電池 | |
JP2019102179A (ja) | フロー電池 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
121 | Ep: the epo has been informed by wipo that ep was designated in this application |
Ref document number: 19791749 Country of ref document: EP Kind code of ref document: A1 |
|
ENP | Entry into the national phase |
Ref document number: 2020515625 Country of ref document: JP Kind code of ref document: A |
|
NENP | Non-entry into the national phase |
Ref country code: DE |
|
WWE | Wipo information: entry into national phase |
Ref document number: 2019791749 Country of ref document: EP |