JP2020038754A - フロー電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】性能劣化を低減することができるフロー電池を提供する。【解決手段】フロー電池1は、反応部10と発生部9とを備える。反応部は、正極2および負極3と、電解液6とを収容している。電解液は、正極および負極に接触する。発生部は、電解液中に水蒸気を含有する湿潤気体を供給して気泡8を発生させる。【選択図】図1
Description
開示の実施形態は、フロー電池に関する。
従来、正極と負極との間に、テトラヒドロキシ亜鉛酸イオン([Zn(OH)4]2−)を含有する電解液を循環させるフロー電池が知られている(例えば、非特許文献1参照)。
Y. Ito. et al.: Zinc morphology in zinc-nickel flow assisted batteries and impact on performance, Journal of Power Sources, Vol. 196, pp. 2340-2345, 2011
しかしながら、上記に記載の電池では、電解液の円滑な循環が阻害されることで電池性能が劣化する懸念があった。
実施形態の一態様は、上記に鑑みてなされたものであって、性能劣化を低減することができるフロー電池を提供することを目的とする。
実施形態の一態様に係るフロー電池は、反応部と発生部とを備える。反応部は、正極および負極と、電解液とを収容している。電解液は、前記正極および前記負極に接触する。発生部は、前記電解液中に水蒸気を含有する湿潤気体を供給して気泡を発生させる。
実施形態の一態様のフロー電池によれば、性能劣化を低減することができる。
以下、添付図面を参照して、本願の開示するフロー電池の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
<第1の実施形態>
図1は、第1の実施形態に係るフロー電池の概略を示す図である。図1に示すフロー電池1は、筐体19に収容された反応部10および発生部9と、湿潤容器11と、供給部14とを備える。反応部10は、正極2と、負極3と、隔膜4,5と、電解液6と、粉末7とを備える。フロー電池1は、発生部9で発生した気泡8を電解液6中で浮上させることにより反応部10内に収容された電解液6を流動させる装置である。
図1は、第1の実施形態に係るフロー電池の概略を示す図である。図1に示すフロー電池1は、筐体19に収容された反応部10および発生部9と、湿潤容器11と、供給部14とを備える。反応部10は、正極2と、負極3と、隔膜4,5と、電解液6と、粉末7とを備える。フロー電池1は、発生部9で発生した気泡8を電解液6中で浮上させることにより反応部10内に収容された電解液6を流動させる装置である。
なお、説明を分かりやすくするために、図1には、鉛直上向きを正方向とし、鉛直下向きを負方向とするZ軸を含む3次元の直交座標系を図示している。かかる直交座標系は、後述の説明に用いる他の図面でも示す場合がある。また、図1に示すフロー電池1と同様の構成については同じ符号を付し、その説明を省略または簡略化する。
正極2は、例えば、ニッケル化合物、マンガン化合物またはコバルト化合物を正極活物質として含有する導電性の部材である。ニッケル化合物は、例えば、オキシ水酸化ニッケル、水酸化ニッケル、コバルト化合物含有水酸化ニッケル等が使用できる。マンガン化合物は、例えば、二酸化マンガン等が使用できる。コバルト化合物は、例えば、水酸化コバルト、オキシ水酸化コバルト等が使用できる。また、正極2は、黒鉛、カーボンブラック、導電性樹脂等を含んでもよい。電解液6が分解される酸化還元電位の観点からは、正極2はニッケル化合物を含有してもよい。また、正極2は、ニッケル金属、コバルト金属またはマンガン金属、あるいはそれらの合金であってもよい。
また、正極2は、例えば、上記した正極活物質や導電体その他の添加剤を複数の粒状体として含む。具体的には、正極2は、例えば、予め定められた割合で配合された粒状の活物質および導電体を、保形性に寄与するバインダとともに含有するペースト状の正極材料を発泡ニッケルなどの導電性を有する発泡金属へ圧入し、所望の形状に成形し、乾燥させたものを使用することができる。
負極3は、負極活物質を金属として含む。負極3は、例えば、ステンレスや銅などの金属板や、ステンレスや銅板の表面をニッケルやスズ、亜鉛でメッキ処理したものを使用することができる。また、メッキ処理された表面が一部酸化されたものを負極3として使用してもよい。
負極3は、正極2を挟んで互いに向かい合うように配置された負極3aおよび負極3bを含む。正極2および負極3は、負極3aと、正極2と、負極3bとが予め定められた間隔でY軸方向に沿って順に並ぶように配置されている。このように隣り合う正極2と負極3との間隔をそれぞれ設けることにより、正極2と負極3との間における電解液6および気泡8の流通経路が確保される。なお、負極3a,負極3bを区別なく説明する場合、図示にかかわらず単に負極3として説明する場合がある。
隔膜4,5は、正極2の厚み方向、すなわちY軸方向の両側を挟むように配置される。隔膜4,5は、電解液6に含まれるイオンの移動を許容する材料で構成される。具体的には、隔膜4,5の材料として、例えば、隔膜4,5が水酸化物イオン伝導性を有するように、陰イオン伝導性材料が挙げられる。陰イオン伝導性材料としては、例えば、有機ヒドロゲルのような三次元構造を有するゲル状の陰イオン伝導性材料、または固体高分子型陰イオン伝導性材料などが挙げられる。固体高分子型陰イオン伝導性材料は、例えば、ポリマーと、周期表の第1族〜第17族より選択された少なくとも一種類の元素を含有する、酸化物、水酸化物、層状複水酸化物、硫酸化合物およびリン酸化合物からなる群より選択された少なくとも一つの化合物とを含む。
隔膜4,5は、好ましくは、水酸化物イオンよりも大きいイオン半径を備えた[Zn(OH)4]2−等の金属イオン錯体の透過を抑制するように緻密な材料で構成されると共に所定の厚さを有する。緻密な材料としては、例えば、アルキメデス法で算出された90%以上、より好ましくは92%以上、さらに好ましくは95%以上の相対密度を有する材料が挙げられる。所定の厚さは、例えば、10μm〜1000μm、より好ましくは50μm〜500μmである。
この場合には、充電の際に、負極3A,3Bにおいて析出する亜鉛がデンドライト(針状結晶)として成長し、隔膜4,5を貫通することを低減することができる。その結果、互いに向かい合う負極3と正極2との間の導通を低減することができる。
電解液6は、6mol・dm−3以上のアルカリ金属を含有するアルカリ水溶液である。アルカリ金属は、例えばカリウムである。具体的には、例えば、6〜6.7moldm−3の水酸化カリウム水溶液を電解液6として使用することができる。また、酸素発生抑制を目的に、リチウムやナトリウムなどのアルカリ金属を水酸化物(水酸化リチウム、水酸化ナトリウム)として添加してもよい。
また、電解液6は、亜鉛成分を含有する。亜鉛成分は、[Zn(OH)4]2−として電解液6中に溶存している。亜鉛成分としては、例えば酸化亜鉛または水酸化亜鉛を使用することができる。また、1dm−3の水酸化カリウム水溶液に対し、0.5molの割合でZnOを添加し、必要に応じて後述する粉末7を追加することにより電解液6を調製することができる。未使用、あるいは放電終了後の電解液6は、例えば1×10−4mol・dm−3以上5×10−2mol・dm−3以下、好ましくは1×10−3mol・dm−3以上2.5×10−2mol・dm−3以下の亜鉛成分を含有することができる。
粉末7は、亜鉛を含む。具体的には、粉末7は、例えば粉末状に加工または生成された酸化亜鉛、水酸化亜鉛等である。粉末7は、アルカリ水溶液中には容易に溶解するが、亜鉛種の飽和した電解液6中には溶解せずに分散または浮遊し、一部が沈降した状態で電解液6中に混在する。電解液6が長時間静置されていた場合、ほとんどの粉末7が、電解液6の中で沈降した状態になることもあるが、電解液6に対流等を生じさせれば、沈降していた粉末7の一部は、電解液6に分散または浮遊した状態になる。つまり、粉末7は、電解液6中に移動可能に存在している。なお、ここで移動可能とは、粉末7が、周囲の他の粉末7の間にできた局所的な空間の中のみを移動できることではなく、電解液6の中を別の位置に粉末7が移動することにより、当初の位置以外の電解液6に粉末7が晒されるようになっていることを表す。さらに、移動可能の範疇には、正極2および負極3の両方の近傍まで粉末7が移動できるようになっていることや、筐体19内に存在する電解液6中の、ほぼどこにでも粉末7が移動できるようになっていることが含まれる。電解液6中に溶存する[Zn(OH)4]2−が消費されると、電解液6中に混在する粉末7は、粉末7および電解液6が互いに平衡状態を維持するよう電解液6中に溶存する[Zn(OH)4]2−が飽和濃度に近づくように溶解する。粉末7は、電解液6中の亜鉛濃度を調整するとともに、電解液6のイオン伝導度を高く維持することができる。
発生部9は、反応部10の下方に配置されている。発生部9は、後述する湿潤容器11から供給された気体を一時的に貯留するよう内部が中空となっている。また、反応部10の内底10eは、発生部9の中空部分を覆うように配置されており、発生部9の天板を兼ねている。
また、内底10eは、X軸方向およびY軸方向に沿って並ぶ複数の吐出口9aを有している。発生部9は、供給部14から供給された気体を吐出口9aから吐出することにより、電解液6中に気泡8を発生させる。吐出口9aは、例えば0.05mm以上0.5mm以下の直径を有する。吐出口9aの直径をこのように規定することにより、吐出口9aから発生部9の内部の中空部分に電解液6や粉末7が進入する不具合を低減することができる。また、吐出口9aから吐出される気体に対し、気泡8を発生させるのに適した圧力損失を与えることができる。
また、吐出口9aのX軸方向に沿った間隔(ピッチ)は、例えば、2.5mm以上50mm以下であり、さらに10mm以下にしてもよい。ただし、吐出口9aは、発生した気泡8を互いに向かい合う正極2と負極3との間にそれぞれ適切に流動させることができるように配置されるものであれば、大きさや間隔に制限はない。
発生部9の吐出口9aから電解液6中に供給された気体により発生した気泡8は、所定の間隔で配置された電極間、より具体的には、負極3aと隔膜4との間、隔膜5と負極3bとの間において、それぞれ電解液6中を浮上する。電解液6中を浮上した気泡8は、電解液6の液面6aで消滅して上板20と電解液6の液面6aとの間で一体化され、排気口18から反応室の外部へ排出される。
筐体19および上板20は、例えば、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ塩化ビニルなど、耐アルカリ性および絶縁性を有する樹脂材料で構成される。筐体19および上板20は、好ましくは互いに同じ材料で構成されるが、異なる材料で構成されてもよい。また、発生部9は、反応部10の内部に配置されてもよい。
供給部14は、吸気口15から吸気された環境中の気体を、配管16、湿潤容器11を介して発生部9に供給する。環境中の気体は、例えば、空気、窒素、二酸化炭素である。供給部14は、例えば気体を移送可能なポンプ(気体ポンプ)、コンプレッサまたはブロワである。供給部14の気密性を高くすれば、気体や電解液6に由来する水蒸気を外部に漏出させることによるフロー電池1の発電性能の低下が起きにくい。
ここで、フロー電池1における電極反応について、正極活物質として水酸化ニッケルを適用したニッケル亜鉛電池を例に挙げて説明する。充電時における正極2および負極3での反応式はそれぞれ、以下のとおりである。
正極:Ni(OH)2 + OH− → NiOOH + H2O + e−
負極:[Zn(OH)4]2− + 2e− → Zn +4OH−
負極:[Zn(OH)4]2− + 2e− → Zn +4OH−
一般的には、この反応に伴って負極3で生成したデンドライトが正極2側へ成長し、正極2と負極3とが導通する懸念がある。反応式から明らかなように、負極3では、充電により亜鉛が析出するのに伴い、負極3の近傍における[Zn(OH)4]2−の濃度が低下する。そして、析出した亜鉛の近傍で[Zn(OH)4]2−の濃度が低下する現象が、デンドライトとして成長する一因である。すなわち、充電時に消費される電解液6中の[Zn(OH)4]2−を補給することにより、電解液6中の亜鉛種である[Zn(OH)4]2−の濃度が飽和状態に保持される。これにより、デンドライトの成長が低減され、正極2と負極3との導通が低減される。
フロー電池1では、電解液6中に亜鉛を含む粉末7を混在させるとともに、発生部9の吐出口9aから電解液6中に気体を供給して気泡8を発生させる。気泡8は、負極3aと正極2との間、正極2と負極3bとの間のそれぞれにおいて筐体19の下方から上方に向かって電解液6中を浮上する。
また、電極間における上記した気泡8の浮上に伴い、電解液6には上昇液流が発生し、負極3aと正極2との間、正極2と負極3bとの間では反応部10の内底10e側から上方に向かって電解液6が流動する。そして、電解液6の上昇液流に伴い、主に反応部10の内壁10aと負極3aとの間、および内壁10bと負極3bとの間で下降液流が発生し、電解液6が反応部10の内部を上方から下方に向かって流動する。
これにより、充電によって電解液6中の[Zn(OH)4]2−が消費されると、これに追従するように粉末7中の亜鉛が溶解することで高濃度の[Zn(OH)4]2−を含有する電解液6が負極3の近傍に補給される。このため、電解液6中の[Zn(OH)4]2−を濃度が高い状態に保つことができ、デンドライトの成長に伴う正極2と負極3との導通の可能性を低減することができる。
なお、粉末7としては、酸化亜鉛および水酸化亜鉛以外に、金属亜鉛、亜鉛酸カルシウム、炭酸亜鉛、硫酸亜鉛、塩化亜鉛などが挙げられ、酸化亜鉛および水酸化亜鉛が好ましい。
また、負極3では、放電によりZnが消費され、[Zn(OH)4]2−を生成するが、電解液6はすでに飽和状態であるため、電解液6中では、過剰となった[Zn(OH)4]2−からZnOが析出する。このとき負極3で消費される亜鉛は、充電時に負極3の表面に析出した亜鉛である。このため、元来亜鉛種を含有する負極を用いて充放電を繰り返す場合とは異なり、負極3の表面形状が変化するいわゆるシェイプチェンジが生じない。これにより、第1の実施形態に係るフロー電池1によれば、負極3の経時劣化を低減することができる。なお、電解液6の状態によっては、過剰となった[Zn(OH)4]2−から析出するのは、Zn(OH)2や、ZnOとZn(OH)2とが混合したものになる。
上記したように、電解液6は反応部10に収容されており、発生部9には容易に進入しないように構成されているが、例えば、供給部14の運転を停止させると、電解液6の一部が吐出口9aを塞ぐことがある。供給部14の運転を再開させると、吐出口9aを塞ぐ電解液6の大半は反応部10に戻されるが、発生部9内の気体が乾燥していると、吐出口9aを塞ぐように電解液6中の溶質が析出する場合がある。このように溶質が吐出口9aを塞ぐと、吐出口9aからの気体の吐出が妨げられる。これにより、電解液6の円滑な循環が阻害されると、例えば充電時にデンドライトが成長しやすくなるなど、性能劣化につながる懸念がある。
そこで、第1の実施形態に係るフロー電池1は、湿潤容器11をさらに備える。湿潤容器11には、液体12が収容されている。液体12は、例えば水またはアルカリ水溶液である。アルカリ水溶液としては、例えば電解液6から負極活物質を除いたもの、すなわち6mol・dm−3以上のアルカリ金属を含有するアルカリ水溶液とすることができる。このように液体12として電解液6に類似した高濃度のアルカリ水溶液を適用すると、例えば反応部10に供給された湿潤気体により電解液6が希釈されて濃度低下を引き起こす不具合や、湿潤気体と電解液6とが不測の反応を引き起こす不具合を低減することができる。
供給部14から配管16を経由して湿潤容器11内の下層部13に供給された気体は、貫通口13aを介して液体12に誘導され、液体12の温度に応じた相対湿度を有する湿潤気体が生成される。ここで、湿潤容器11で生成される湿潤気体は、例えば、相対湿度が20%以上、例えば40%以上80%以下である。なお、供給部14から供給される気体の方よりも湿潤気体の方が低い相対湿度を有する場合も許容される。
湿潤容器11で生成した湿潤気体は、液体12の液面12aよりも上方に接続された配管17を経由して発生部9に供給される。発生部9が湿潤気体で満たされると、電解液6が吐出口9aに進入しても溶質が析出しにくい。このため、第1の実施形態に係るフロー電池1によれば、吐出口9aの閉塞に伴う性能劣化を低減することができる。
なお、湿潤容器11は、図示したものに限らず、例えば供給された気体に水蒸気を混合させるものなど、所定の相対湿度を有する湿潤気体を生成することができるものであればよい。
次に、フロー電池1における電極間の接続について説明する。図2は、第1の実施形態に係るフロー電池1の電極間の接続の一例について説明する図である。
負極3aおよび負極3bは並列接続されている。このように負極3を並列に接続することにより、正極2および負極3の総数が異なる場合であってもフロー電池1の各電極間を適切に接続し、使用することができる。
また、上記したように、フロー電池1は正極2を挟んで互いに向かい合うように配置された負極3a,3bを備える。このように1つの正極2に対して2つの負極3a,3bが対応したフロー電池1では、正極2と負極3とが1:1で対応するフロー電池と比較して負極1つ当たりの電流密度が低下する。このため、第1の実施形態に係るフロー電池1によれば、負極3a,3bでのデンドライトの生成がさらに低減されるため、負極3a,3bと正極2との導通をさらに低減することができる。
なお、フロー電池1では、合計3枚の電極が、負極3および正極2が交互に配置されるように構成されたが、これに限らず、5枚以上の電極を交互に配置するようにしてもよく、正極2および負極3をそれぞれ1枚ずつ配置させてもよい。また、図1に示すフロー電池1では、両端がともに負極3となるように構成されたが、これに限らず、両端がともに正極2となるように構成してもよい。さらに、一方の端部が正極2、他方の端部が負極3となるように同枚数の負極3および正極2をそれぞれ交互に配置してもよい。
<第2の実施形態>
図3は、第2の実施形態に係るフロー電池の概略を示す図である。図3に示すフロー電池1Aは、図1に示す排気口18、吸気口15に代えて、配管21を備えることを除き、第1の実施形態に係るフロー電池1と同様の構成を有している。
図3は、第2の実施形態に係るフロー電池の概略を示す図である。図3に示すフロー電池1Aは、図1に示す排気口18、吸気口15に代えて、配管21を備えることを除き、第1の実施形態に係るフロー電池1と同様の構成を有している。
配管21は、一端が反応部10の上方に、他端が供給部14に、それぞれ接続されている。配管21は、電解液6の液面6aで消滅した気泡8が合流した気体を反応部10から回収して再利用するための循環流路の一部として機能する。すなわち、反応部10から回収した気体は、供給部14を介して湿潤容器11に送られ、湿潤気体として再び発生部9に供給される。これにより、第2の実施形態に係るフロー電池1Aによれば、吐出口9aの閉塞に伴う性能劣化を低減することができる。
ここで、フロー電池1Aで適用される気体としては、例えば、正極2、負極3および電解液6に対して不活性な気体で構成することができる。このような気体としては、例えば、窒素ガス、ヘリウムガス、ネオンガス、またはアルゴンガスなどが挙げられる。電解液6に不活性な気体により生成された湿潤気体を発生部9に供給することにより、電解液6の変性を低減することができる。また、例えば、亜鉛種を含有するアルカリ水溶液である電解液6の劣化を低減し、電解液6のイオン伝導度を高く維持することができる。なお、気体は第1の実施形態に係るフロー電池1と同じとしてもよい。
<第3の実施形態>
図4は、第3の実施形態に係るフロー電池の概略を示す図である。図4に示すフロー電池1Bは、図3に示す配管21、供給部14、配管16、湿潤容器11、配管17に代えて、配管31、供給部34、配管32を備えることを除き、第2の実施形態に係るフロー電池1Aと同様の構成を有している。
図4は、第3の実施形態に係るフロー電池の概略を示す図である。図4に示すフロー電池1Bは、図3に示す配管21、供給部14、配管16、湿潤容器11、配管17に代えて、配管31、供給部34、配管32を備えることを除き、第2の実施形態に係るフロー電池1Aと同様の構成を有している。
配管31は、一端が反応部10の上方に、他端が供給部34に、それぞれ接続されている。配管31は、電解液6の液面6aで消滅した気泡8が合流した気体を反応部10から回収し、供給部34に供給する。配管31は、第2配管の一例である。また、配管32は、一端が発生部9に、他端が供給部34に、それぞれ接続されている。配管32は、第1配管の一例である。
ここで、フロー電池1Bは、例えば−20℃〜+50℃程度の動作温度で動作しており、電解液6中を浮上した気泡8が合流した液面6a上の気体は、電解液6の温度に応じた相対湿度を有する湿潤気体であるとみなすことができる。すなわち、液面6a上の気体を、湿潤状態を維持したまま発生部9まで送ることができれば、湿潤容器11は不要となる。
ここで、配管31,32は、例えば外周面に断熱材を配置させた多層構造の保温配管である。これにより、配管31,32内を通る気体の温度を保持することで水分の揮発を低減することができる。また、配管31,32は、配管長および内径を小さくすることができれば、揮発による水分量の低下がさらに低減される。具体的には、配管31,32の内径を例えば10mm以上500mm以下とすることができるが、これに限らない。なお、配管31,32は、内部温度を保持することができれば構造に制限はない。
また、供給部34は、例えば図3に示す供給部14と同じとすることができる。揮発による水分量の低下を低減する観点から、例えば図示しないヒータを設置して所定温度、例えば10℃以上に保持させてもよい。
このように湿潤容器11を有しないフロー電池1Bにおいても、配管31,32を配置することにより、吐出口9aに電解液6が進入した場合であっても、溶質の析出により吐出口9aが閉塞する可能性を低減することができる。このため、第3の実施形態に係るフロー電池1Bによれば、性能劣化を低減することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。例えば、図3に示す配管21,16,17を、図4に示す配管31,32と同じ材料で構成してもよい。また、図3に示す供給部14に代えて図4に示す供給部34を適用してもよい。
また、上記した各実施形態では、電解液6中に粉末7が混在されているとして説明したが、これに限らず、粉末7を有しなくてもよい。このとき、電解液6中に溶存する亜鉛成分は、飽和状態であってもよく、飽和状態よりも低い濃度であってもよい。さらに、電解液6は、過飽和状態となるように亜鉛成分を溶存させたものであってもよい。
また、上記した各実施形態では、隔膜4,5は正極2の厚み方向の両側を挟むように配置されるとして説明したが、これに限らず、正極2を被覆していてもよい。また、隔膜4,5は、必ずしも配置されなくともよい。
なお、供給部14は、常時動作させてもよいが、電力消費を低減する観点から、放電時には充電時よりも気体または電解液6の供給レートを低下させてもよい。
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
1,1A,1B フロー電池
2 正極
3,3a,3b 負極
4,5 隔膜
6 電解液
7 粉末
8 気泡
9 発生部
9a 吐出口
10 反応部
11 湿潤容器
14,34 供給部
19 筐体
20 上板
2 正極
3,3a,3b 負極
4,5 隔膜
6 電解液
7 粉末
8 気泡
9 発生部
9a 吐出口
10 反応部
11 湿潤容器
14,34 供給部
19 筐体
20 上板
Claims (8)
- 正極および負極と、前記正極および前記負極に接触する電解液とを収容している反応部と、
前記電解液中に水蒸気を含有する湿潤気体を供給して気泡を発生させる発生部と
を備えることを特徴とするフロー電池。 - 前記湿潤気体は、相対湿度が20%以上であることを特徴とする請求項1に記載のフロー電池。
- 前記発生部に前記湿潤気体を供給する湿潤容器
を備えることを特徴とする請求項1または2に記載のフロー電池。 - 前記湿潤容器は、水またはアルカリ水溶液を収容することを特徴とする請求項3に記載のフロー電池。
- 前記湿潤気体を供給する供給部と、
前記発生部と前記供給部とを接続する第1配管と、
前記気泡が合流した気体を前記反応部の上方から回収し、前記供給部に供給する第2配管と
を備え、
前記第1配管および前記第2配管は、内部温度を保持する保温配管であることを特徴とする請求項1または2に記載のフロー電池。 - 前記発生部は、前記湿潤気体を吐出する複数の吐出口を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載のフロー電池。
- 前記電解液に亜鉛成分を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載のフロー電池。
- 前記電解液中を移動可能に混在する粉末をさらに備えることを特徴とする請求項7に記載のフロー電池。
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