WO2019208379A1 - 揺動式チャックのシール構造および揺動式チャック - Google Patents

Abstract

爪開閉部材と支持部材との間に、シール部が設けられている。シール部は、爪開閉部材に当接する第１当接部と、第１当接部とは異なる位置で爪開閉部材に当接する第２当接部と、を含んでいる。

Description

揺動式チャックのシール構造および揺動式チャック

　本発明は、支持部材と爪開閉部材との間の隙間をシールする揺動式チャックのシール構造および揺動式チャックに関する。

　従来より、工作機械で用いられる揺動式チャックのチャック本体には、複数の収容孔が設けられている。各収容孔には、先端に把握爪が設けられた爪開閉部材が揺動可能に設けられている。チャック本体のうち把握爪の側の端部に、支持部材が固着されている。支持部材は、爪開閉部材に対向する内周面を有している。また、チャック本体には、ガイド孔が設けられており、ガイド孔には、チャック軸線方向に移動可能な駆動部材が設けられている。この駆動部材が移動することにより、各爪開閉部材が揺動し、把握爪によってワークをクランプするようになっている。また、支持部材と爪開閉部材との間にシール構造が設けられており、支持部材と爪開閉部材との間の隙間がシールされるようになっている。前記シール構造としては、特許文献１のように、支持部材の内周面側に形成される凹溝にシール部材を装着する構造や、特許文献２のように、支持部材に形成される段付き部と蓋部材によってシール部材を固定する構造が知られている。

特開２００８－７３８０９号公報 特許第５８９２４７１号公報

　上記の揺動式チャックでは、ワークを加工した後、チャックに付着した切粉やスラッジ等を除去するために高圧のエアーやクーラントが吹き付けられる。ところが、前記高圧のエアーやクーラントにより切粉やスラッジ等が支持部材と爪開閉部材との間の隙間に押し込められ、その切粉やスラッジ等によってシール部材の当接面に傷が形成されて、この傷によってリーク通路が形成されるおそれがあった。特許文献１、２のようなシール構造では、このリーク通路が形成されると切粉やスラッジ等がチャック本体の内部に侵入することを防ぐことが困難になり得る。また、チャック本体内にある潤滑剤がチャック本体の外部へ流出することを防ぐことも困難になり得る。そして、上述したリーク通路が形成されることにより、シール部材を交換するタイミングが早まる場合があった。

　そこで本発明の課題は、上記問題点に鑑み、簡単な構成で、支持部材と爪開閉部材との間の隙間のシールを長期間維持することが可能な揺動式チャックのシール構造および揺動式チャックを提供することを目的とする。

　本発明は、
　チャック本体の収容孔に揺動可能に設けられた爪開閉部材であって、先端に把握爪が設けられた爪開閉部材と、前記チャック本体のうち前記把握爪の側の端部に設けられた支持部材であって、前記爪開閉部材に対向する内周面を有する支持部材と、の間の隙間をシールする揺動式チャックのシール構造であって、
　前記爪開閉部材と前記支持部材との間に設けられたシール部を備え、
　前記シール部は、前記爪開閉部材に当接する第１当接部と、前記第１当接部とは異なる位置で前記爪開閉部材に当接する第２当接部と、を含んでいる、揺動式チャックのシール構造、
を提供する。

　上述した揺動式チャックのシール構造において、
　前記シール部は、前記第１当接部を含む第１シール部材と、前記第２当接部を含む、前記第１シール部材とは異なる第２シール部材と、を有している、
ようにしてもよい。

　上述した揺動式チャックのシール構造において、
　前記第１シール部材は、互いに異なる位置で前記爪開閉部材に当接する複数の前記第１当接部を含んでいる、
ようにしてもよい。

　上述した揺動式チャックのシール構造において、
　前記シール部は、前記第１当接部および前記第２当接部を含む単一のシール部材で構成されている、
ようにしてもよい。

　また、本発明は、
　チャック本体の収容孔に揺動可能に設けられた爪開閉部材であって、先端に把握爪が設けられた爪開閉部材と、
　前記チャック本体のうち前記把握爪の側の端部に設けられた支持部材であって、前記爪開閉部材に対向する内周面を有する支持部材と、
　前記爪開閉部材と前記支持部材との間に設けられ、前記爪開閉部材と前記支持部材との間の隙間をシールする、上述した揺動式チャックのシール構造と、を備えた揺動式チャック、
を提供する。

　上述した揺動式チャックのシール構造において、
　チャック軸線方向に移動可能に設けられ、前記爪開閉部材を揺動させる駆動部材を更に備える、
ようにしてもよい。

　本発明によれば、簡単な構成で、支持部材と爪開閉部材との間の隙間のシールを長期間維持することができる。

本実施形態の揺動式チャックを示す図である。 本実施形態の揺動式チャックのシール構造を示す図であって、図１のＩＩ－ＩＩ線断面図である。 図２に示す揺動式チャックのシール構造の変形例を示す図である。 図２に示す揺動式チャックのシール構造の他の変形例を示す図である。

　以下、図面を参照して、本実施形態による揺動式チャックのシール構造および揺動式チャックについて説明する。揺動式チャックは、工作機械でワークを固定するために用いられる装置である。

　図１に示す揺動式チャック１は、チャック本体２を備えている。チャック本体２は、前ボディ３と、後ボディ４と、を備えている。前ボディ３の後端面は、取付ボルト（図示しない）によって後ボディ４で塞がれており、チャック本体２の内側に内部空間５が形成されている。

　図２に示すように、チャック本体２のチャック軸線ＣＬ上には駆動部材６が配置され、図示しない駆動源によりチャック軸線ＣＬに沿う方向、すなわち前方（図２における右側）および後方（図２における左側）へ移動するようになっている。前ボディ３および後ボディ４にはガイド孔７、８が設けられている。各ガイド孔７、８に跨って前記駆動部材６が案内されている。すなわち、駆動部材６は、チャック軸線ＣＬに沿って配置されており、ガイド孔７、８内に移動可能に設けられている。

　駆動部材６には、係止溝６ａが設けられている。爪開閉部材９には、係止部９ａが設けられている。この係止部９ａは、係止溝６ａに係止されている。また、前記ガイド孔７を塞ぐように、前ボディ３には、第１ストッパ部材１０と第２ストッパ部材１１とを含むストッパ部材１２がボルト部材１３によって固着されている。

　前ボディ３には、複数（本実施形態では３つ）の段付きの収容孔１４が円周方向に等間隔に設けられている。チャック本体２の前ボディ３の前端部（後述する把握爪１９の側の端部）には、支持部材１５がボルト部材（図示しない）によって固着されている。支持部材１５は、爪開閉部材９の後述する球面部９ｂの外周面９ｃに対向する内周面１５ａを有している。内周面１５ａは、球面部９ｂの外周面９ｃと同心状に球面状に形成されている。

　チャック本体２の収容孔１４には、爪開閉部材９が揺動可能に設けられている。爪開閉部材９の前端（先端）には、把握爪１９が設けられている。把握爪１９は、収容孔１４には収容されておらず、チャック本体２の前方に配置されている。収容孔１４の外方から把握爪１９は、先端にボルト部材１６によって取り付けられた第１把握爪１７と、ボルト部材３２（図１参照）によって第１把握爪１７に取り付けられた第２把握爪１８と、を有している。

　支持部材１５は、Ｏリング２０を介して前ボディ３の前端部に嵌め込まれている。このＯリング２０によって、前ボディ３と支持部材１５との間の隙間を伝わってチャック本体２の外部から切粉やスラッジ等の侵入を防ぐとともに、チャック本体２の内部から潤滑剤の排出を防ぐようになっている。

　前ボディ３には、収容孔１４を横切るように支持軸２１が設置されている。この支持軸２１に、爪開閉部材９が軸支されている。爪開閉部材９は球面部９ｂを有している。球面部９ｂは、支持部材１５の内周面１５ａに対向する球状の外周面９ｃを含んでいる。外周面９ｃは、支持軸２１を中心とした球面の一部をなしている。

　また、爪開閉部材９の後端部にはボルト部材２２によってブロック２３が取り付けられている。チャック１の回転時にブロック２３に生じる遠心力により、爪開閉部材９の後端部にチャック半径方向外方へ回動させる力が生じるようになっている。このようにして、爪開閉部材９の把握爪１９にはチャック半径方向内方へ回動させる力が生じ、ワークＷを把持し続けるようになっている。

　図２に示すように、支持部材１５と爪開閉部材９との間の隙間にはシール構造２４が設けられている。このシール構造２４により、支持部材１５と爪開閉部材９との間の隙間が、シールされている。

　このシール構造２４は、支持部材１５と爪開閉部材９との間に設けられたシール部２４ａを備えている。本実施形態におけるシール部２４ａは、環状の第１シール部材２５と、環状の第２シール部材２６と、を備えている。第１シール部材２５は、単一の第１当接部２５ａを含み、第２シール部材２６は、単一の第２当接部２６ａを含んでいる。例えば、第１シール部材２５は、切粉やスラッジ等に適応したシール部材としてもよい。第２シール部材２６は、潤滑剤に適応したシール部材としてもよい。この場合、第２シール部材２６には、Ｏリングが用いられてもよい。

　支持部材１５には、内周面１５ａから延びるように段付き孔１５ｂが設けられている。本実施形態では、段付き孔１５ｂは、大径部１５ｃと、小径部１５ｄと、を含んでいる。大径部１５ｃは、小径部１５ｄよりも、把握爪１９の側に配置されているとともに、小径部１５ｄよりも大きな直径を有している。

　段付き孔１５ｂの大径部１５ｃには第１シール部材２５が嵌合している。支持部材１５には、蓋部材２７が固着されている。第１シール部材２５は、チャック軸線ＣＬに沿う方向において、この蓋部材２７と支持部材１５とによって挟持されている。第１シール部材２５の内周側に設けられた第１当接部２５ａは、爪開閉部材９の球面部９ｂに当接している。この第１シール部材２５によって、支持部材１５と爪開閉部材９との間の隙間を通って、外部から切粉やスラッジ等がチャック本体２の内部に入り込むことを防ぐようになっていてもよい。

　段付き孔１５ｂの小径部１５ｄに、第２シール部材２６が嵌合している。第２シール部材２６は、チャック軸線ＣＬに沿う方向において、第１シール部材２５と支持部材１５とによって挟持されている。すなわち、第２シール部材２６は、第１シール部材２５を介して蓋部材２７と支持部材１５とによって挟持されており、第１シール部材２５と第２シール部材２６とは互いに当接している。第２シール部材２６の内周側に設けられた第２当接部２６ａは、爪開閉部材９の球面部９ｂに当接している。この第２シール部材２６によって支持部材１５と爪開閉部材９との間の隙間を通ってチャック本体２内部から潤滑剤が流出することを防ぐようになっていてもよい。

　上記構成の揺動式チャック１は、チャック本体２に備えた取付ボルト２９により旋盤等の工作機械の主軸部３０の前端に固着され、主軸部３０の回転と共にチャック本体２が回転するようになっている。そして、主軸部３０の後端に設置された回転シリンダ（図示しない）のピストン（図示しない）にコネクチングロッド３１を介して駆動部材６が連結され、ピストンの作動により駆動部材６がチャック軸線ＣＬに沿う方向に前後移動するようになっている。このことから、ピストンを後退させると、爪開閉部材９が支持軸２１を中心にして揺動し、半径方向内方に回動する把握爪１９がワークＷを把持するようになっている。また、ピストンを前進させると、半径方向外方に回動する把握爪１９がワークＷから離れるようになっている。

　このチャック１を用いてワークＷを加工した後、チャック１に付着した切粉やスラッジ等を取るために高圧のエアーやクーラントがチャック１の前方から吹き付けられる。すると、切粉やスラッジ等が支持部材１５と爪開閉部材９との間の隙間に押し込められ、切粉やスラッジ等によってシール箇所（当接部２５ａ、２６ａのうち爪開閉部材９の球面部９ｂに接している箇所）に傷が形成され、この傷によってリーク通路が形成されるおそれがある。本実施形態のシール構造２４では、支持部材１５と爪開閉部材９との間の隙間を、第１当接部２５ａを含む第１シール部材２５および第２当接部２６ａを含む第２シール部材２６によってシールしているため、一方のシール部材に傷による隙間が形成されてもその他のシール部材によって支持部材１５と爪開閉部材９との間の隙間を長期間シールすることが可能となる。

　また、第１シール部材２５の第１当接部２５ａは爪開閉部材９に当接するため、第１シール部材２５と爪開閉部材９との間の隙間をシールすることができる。このことにより、摺動側である爪開閉部材９と第１シール部材２５との間の隙間を効果的にシールすることが可能となる。同様に、第２シール部材２６の第２当接部２６ａが爪開閉部材９に当接するため、第２シール部材２６と爪開閉部材９との間の隙間をシールすることができ、摺動側である爪開閉部材９と第２シール部材２６との間の隙間を効果的にシールすることが可能となる。

　このように本実施形態によれば、支持部材１５と爪開閉部材９との間の隙間をシール部２４ａによってシールすることができ、シール部２４ａが、爪開閉部材９に当接する第１当接部２５ａと、第１当接部２５ａとは異なる位置で爪開閉部材９に当接する第２当接部２６ａと、を含んでいる。このことにより、一方の当接部に傷による隙間が形成されたとしてもその他の当接部によって支持部材１５と爪開閉部材９との間の隙間をシールすることができる。

　また、本実施形態によれば、シール構造２４のシール部２４ａは、第１シール部材２５と、第１シール部材２５とは異なる第２シール部材２６と、を有している。このことにより、第１シール部材２５および第２シール部材２６のうちの一方を、チャック本体２の外部から侵入する切粉やスラッジ等に適応したシール部材とし、他方を、チャック本体２の内部にある潤滑剤に適応したシール部材とすることができる。すなわち、第１シール部材２５と第２シール部材２６とを異なる用途で使い分けることができる。このため、支持部材１５と爪開閉部材９との間の隙間を効果的にシールすることができ、シールを長期間維持することができる。

　なお、上述した本実施形態においては、第１シール部材２５が、単一の第１当接部２５ａを含んでいる例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、図３に示すように、第１シール部材２５は、突起状に形成された複数の第１当接部２５ａを含んでいてもよい。この場合、第１シール部材２５と第２シール部材２６とで、３箇所以上で爪開閉部材９に当接させることができ、爪開閉部材９側におけるシール箇所数を増やすことができ、第１シール部材２５を交換するタイミングを遅らせる（すなわち、シール部材の使用期間を長くする）ことが可能となる。例えば、図３に示すように、第１シール部材２５は、２つの第１当接部２５ａを含んでいてもよい。この場合、２つの第１当接部２５ａは、互いに異なる位置で爪開閉部材９の球面部９ｂの外周面９ｃに当接する。

　また、上述した本実施形態においては、シール構造２４が、第１当接部２５ａを含む第１シール部材２５と、第２当接部２６ａを含む第２シール部材２６と、を有している例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、図４に示すように、シール構造２４のシール部２４ａは、単一のシール部材２８によって構成されて、このシール部材２８が、突起状に形成された複数の当接部２８ａを含み、各々の当接部２８ａが、爪開閉部材９の球面部９ｂに互いに異なる位置で当接するようにしてもよい。この場合においても、シールを長期間維持することができ、シール部材を交換するタイミングを遅らせる（すなわち、シール部材の使用期間を長くする）ことができる。例えば、図４に示すように、シール部材２８が、２つの当接部２８ａを含んでいてもよい。この場合、２つの当接部２８ａは、互いに異なる位置で爪開閉部材９の球面部９ｂに当接する。図４に示すように、シール部２４ａが単一のシール部材２８によって構成される場合には、段付き孔１５ｂは、小径部１５ｄを含んでいなくてもよい。

Claims (6)

1. 　チャック本体の収容孔に揺動可能に設けられた爪開閉部材であって、先端に把握爪が設けられた爪開閉部材と、前記チャック本体のうち前記把握爪の側の端部に設けられた支持部材であって、前記爪開閉部材に対向する内周面を有する支持部材と、の間の隙間をシールする揺動式チャックのシール構造であって、
   　前記爪開閉部材と前記支持部材との間に設けられたシール部を備え、
   　前記シール部は、前記爪開閉部材に当接する第１当接部と、前記第１当接部とは異なる位置で前記爪開閉部材に当接する第２当接部と、を含んでいる、
   　揺動式チャックのシール構造。
2. 　前記シール部は、前記第１当接部を含む第１シール部材と、前記第２当接部を含む、前記第１シール部材とは異なる第２シール部材と、を有している、請求項１記載の揺動式チャックのシール構造。
3. 　前記第１シール部材は、互いに異なる位置で前記爪開閉部材に当接する複数の前記第１当接部を含んでいる、請求項２記載の揺動式チャックのシール構造。
4. 　前記シール部は、前記第１当接部および前記第２当接部を含む単一のシール部材で構成されている、請求項１記載の揺動式チャックのシール構造。
5. 　チャック本体の収容孔に揺動可能に設けられた爪開閉部材であって、先端に把握爪が設けられた爪開閉部材と、
   　前記チャック本体のうち前記把握爪の側の端部に設けられた支持部材であって、前記爪開閉部材に対向する内周面を有する支持部材と、
   　前記爪開閉部材と前記支持部材との間に設けられ、前記爪開閉部材と前記支持部材との間の隙間をシールする、請求項１～４のいずれか一項に記載の揺動式チャックのシール構造と、を備えた、
   　揺動式チャック。
6. 　チャック軸線方向に移動可能に設けられ、前記爪開閉部材を揺動させる駆動部材を更に備えた、請求項５に記載の揺動式チャック。

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