JP7470698B2 - 密封型グリッパ - Google Patents
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Description
したがって、上述の構成により、ワークの外周を把持するには、プランジャ40を背面側に移動させる必要がある。
同様に、隔壁21aの内径とロッド部32(30)との間にはシール材S4、ボルトとピストンとの間にはシール材S5が設けられ、これらシール材によって、グリッパ本体20の内部は密封状態が保たれている。
前記グリッパ本体の内部は、その一端側にピストンを軸方向に摺動可能に収容するシリンダ室と、その他端側に各マスタージョウを径方向に摺動可能に案内するガイド部と、を有し、ここで、軸方向は、グリッパ本体の中心軸に沿って延びる方向であり、径方向はその中心軸に直交する方向であり、前記グリッパ本体は、その一端側の前記シリンダ室を閉塞するリアカバーを備え、前記各マスタージョウは、一端にクランプジョウを取付け、他端に係合部を備え、前記ピストンは、軸方向において前記シリンダ室を第1及び第2シリンダ室に区画し、且つ、その先端に前記プランジャを設け、前記プランジャは、中央から放射状に前記係合部に係合する複数の被係合部を有し、前記各係合部及び前記各被係合部は、正面側から背面側に行くにつれて次第に前記中心軸に近づくように夫々傾斜して設けられ、グリッパ本体内とマスタージョウとの摺動部、グリッパ本体内とピストンとの摺動部、グリッパ本体とリアカバーとの嵌合部は、夫々にシール材が設けられ、該シール材によって、グリッパ本体の内部が密封される、密封型グリッパが提供される。
なお、以下、説明で方向を表す際、特に言及しない限り、ワークが把持される側を"正面側"、その反対側を"背面側"とし、グリッパの中心軸Jに沿って延びる方向を"軸方向"、その軸方向に直交する方向を"径方向"という場合がある。
第1節では、密封型グリッパ1の概略構成を説明する。図1~図4に、本発明を適用した密封型グリッパ1を示す。この密封型グリッパ1は、主に、工作機械で加工されるワークの搬送や組み付けを行なうために、産業用ロボットに用いられている。したがって、本実施形態では、産業用ロボットの多関節アーム2に密封型グリッパ1を用いた場合を例にして説明する。
第2節では、マスタージョウ11の構成を説明する。このマスタージョウ11は、薄型軽量化、高い把持力を有するように工夫されていることに留意されたい。
各マスタージョウ11は、略円柱状の部材からなり、その長手方向の一端側(径方向外方)にクランプジョウ12が着脱可能に取り付けられ、他端側(中心軸J側)にプランジャ40が係合されている。
第3節では、グリッパ本体20の構成を説明する。
グリッパ本体20は、円筒状のリアボディ21と、このリアボディ21の正面側(他端側)に配置され、正面視略三角形状をなすフロントボディ22とで構成され、リアボディ21の背面側の開口をリアカバー50で塞ぎ、ボルトB2で締結することで、シリンダ状に構成され、これによって、グリッパ本体20は、密封された状態となっている。
また、フロントボディ22の開口部24側の端面には、中心軸J側に向けて突出する環状の突出部24aが形成されている。この突出部24aによって、リアボディ21の内径より、開口部24の外径は径小となっている。
凹部23に対応するフロントボディ22の径方向外方側の内周面(摺動部の一例)には、シール材S1が取り付けられ、それによって、マスタージョウ11とフロントボディ22との間が密封されている。
ピストン30は、円筒状のリアボディ21の内径と略同一の外径を有する円板状の円盤部31と円盤部31の中心に立設されたロッド部32とで一体に構成されている。
円盤部31がシリンダ室25に収容されることにより、ピストン30は、その中心軸Jに沿ってグリッパ本体20に摺動自在に組み付けられている。
また、リアボディ21とリアカバー50の嵌合部にもシール材S3が取り付けられ、リアボディ21とリアカバー50との間も密封されている。それにより、シリンダ室25は、密封された状態で、円盤部31によって背面側の第1シリンダ室25aと正面側の第2シリンダ室25bとに区画されている。
換言すると、グリッパ本体20には、第1シリンダ室25aにエアを給排するためのエア給排通路R1が形成され、同様に第2シリンダ室25bにエアを給排するためのエア給排通路R2が形成され、各々にはエア配管(図示せず)が接続されている。ここで、エア給排通路R2は、突出部24aの環状の周面に開口している。この環状の周面は、円筒状に形成されており、軸方向に延びている。エア給排通路R2は、突出部24aの環状の周面に開口しているため、ピストン30が突出部24aに接触していても、エア給排通路R2がピストン30によって塞がれることがない。
第4節では、プランジャ40の構成を説明する。このプランジャ40もマスタージョウ11と同様に、薄型軽量化、高い把持力を有するように工夫されていることに留意されたい。
プランジャ40は、Y形状の部材からなり、3つの張出部41(被係合部の一例)を有している。張出部41は、プランジャ40の中央に対して放射状に配置されている。換言すると、張出部41は、プランジャ40の中央部から放射状に張り出すように設けられている。各張出部41は、マスタージョウ11の係合溝11aに対応すべく、その断面がピストン30側に行くにつれて次第に中心軸Jに近づくように傾斜して延びる形状をしている。
また、プランジャ40は、その背面側がロッド部32の先端(正面側)と一体に加工されている。なお、プランジャ40は、別体で形成され、ロッド部32とボルトなどで締結することにより、ピストン30と一体化するようにしても良い。したがって、プランジャ40は、ピストン30の摺動に伴い、中心軸Jに沿って往復動するようになっている。
第5節では、密封型グリッパ1の動作を説明する。
ワークの外周を把持するときは、外部のエア配管(図示しない)からエア給排通路R1を経由して第1シリンダ室25aにエアを供給する。それに伴って、ピストン30は軸方向正面側に移動する。ここでプランジャ40とピストン30とは一体となっているため、プランジャ40もピストンと一体に軸方向正面側に移動する。
従来の構成(図6参照)では、プランジャ40及びマスタージョウ11の係合部位の傾斜方向が、本実施形態と逆方向となっているため、ワークをクランプするためには、第2シリンダ室25bにエアを供給する必要がある。ここで、密封型グリッパには薄型化の要請があることから、図6の構成から隔壁21aを取り除いて密封型グリッパを薄型化する手段が考えられる。しかし、図6の構成から隔壁21aを取り除いた構成の場合、第2シリンダ室25bにエアを供給すると、ピストン30には、エアによって背面側に移動する力が働くが、その一方で、マスタージョウ11は、エアによって径方向の外方に押される。マスタージョウ11がエアによって押される方向は、ピストン30の移動に伴うマスタージョウ11の移動方向とは逆方向であるため、図6の構成の密封型グリッパが隔壁21aを備えていないと、第2シリンダ室25bにエアが供給されたときに、マスタージョウ11の動作性及びマスタージョウ11と連動するピストン30の動作性が損なわれ、所定の把握力がでない虞がある。
これにより、実施形態の密封型グリッパ1は、ワークをクランプする場合には、第2シリンダ室25bではなく、第1シリンダ室25aにエアを供給する構成が実現されている。その結果、ワークをクランプする場合には、マスタージョウ11はエアに押し出されないため、エアによって動作性に影響を受けない。
Claims (7)
- 密封型グリッパにおいて、
グリッパ本体と複数のマスタージョウとプランジャとピストンとを備え、
前記グリッパ本体の内部には、
前記ピストンを軸方向に摺動可能に収容するシリンダ室と、
前記各マスタージョウを径方向に摺動可能に案内するガイド部と、が形成され、
ここで、前記軸方向は、前記グリッパ本体の中心軸に沿って延びる方向であり、前記径方向は前記中心軸に直交する方向であり、
前記各マスタージョウは、一端側にクランプジョウを取付け可能に構成され、他端側に係合部を備え、
前記ピストンは、
前記軸方向において前記シリンダ室を第1及び第2シリンダ室に区画し、
且つ、その先端に前記プランジャが設けられ、
前記プランジャは、前記係合部に係合する複数の被係合部を有し、
前記各被係合部は、前記プランジャの中央に対して放射状に配置され、
前記各係合部及び前記各被係合部は、正面側から背面側に行くにつれて次第に前記中心軸に近づくように夫々傾斜するように構成されており、
前記第2シリンダ室は、前記第1シリンダ室よりも正面側に配置され、
前記第1シリンダ室にエアを供給することにより前記各マスタージョウが径方向内方に摺動し、
前記第2シリンダ室にエアを供給することにより前記各マスタージョウが径方向外方に摺動し、前記第2シリンダ室に前記各マスタージョウの前記係合部が配置される、
密封型グリッパ。 - 前記係合部が係合溝であり、前記被係合部が張出部である、
請求項1に記載の密封型グリッパ。 - 前記ピストンと前記プランジャとが、一体加工品である、
請求項1又は請求項2に記載の密封型グリッパ。 - 前記グリッパ本体が、一体加工品である、
請求項1~請求項3の何れか1つに記載の密封型グリッパ。 - シール材を更に備え、
前記グリッパ本体は、リアカバーを備え、
前記リアカバーは、前記シリンダ室を閉塞するように、前記グリッパ本体の背面側に設けられ、
前記シール材は、前記グリッパ本体と前記各マスタージョウとの摺動部と、前記グリッパ本体と前記ピストンとの摺動部と、前記グリッパ本体と前記リアカバーとの嵌合部と、にそれぞれ設けられている、
請求項1~請求項4の何れか1つに記載の密封型グリッパ。 - 前記グリッパ本体の内部には、環状の突出部が形成され、
前記突出部には、前記各マスタージョウが摺動するように設けられ、
前記ピストンは、前記軸方向において、前記突出部に接触する位置まで摺動可能に構成されている、
請求項5に記載の密封型グリッパ。 - 第2シリンダ室は、第1シリンダ室よりも正面側に配置され、
前記突出部は、環状の周面を有し、
前記周面には、第2シリンダ室にエアを給排するためのエア給排通路が開口している、
請求項6に記載の密封型グリッパ。
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