JP5412053B2 - 空気圧シリンダ - Google Patents

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Description

本発明は圧縮空気によりピストンを駆動する空気圧シリンダに関し、特に、ピストンのストローク端における衝撃を緩衝するようにした空気圧シリンダに関する。
空気圧シリンダは、圧縮空気の流体エネルギーをピストンの運動エネルギーに変換することによりピストンロッドに連結された被加工物や治具等を駆動するために用いられている。空気圧シリンダにはピストンの両側に圧縮室が形成された複動形と、ピストンの一方側に圧縮室が形成された単動形とがある。複動形の空気圧シリンダにおいては、一方の圧力室に圧縮空気を供給してピストンロッドを一方に移動させる際には他方の圧力室は排気側となりこの内部の空気は排気される。ピストンロッドを逆方向に移動させる際には他方の圧力室に圧縮空気が供給され、一方の圧力室は排気側になり内部の空気は排気される。単動形の空気圧シリンダにおいては、ピストンロッドを一方向に駆動するときには圧力室に圧縮空気が供給され、ピストンロッドは自重やばね力により逆方向に駆動される。
このような空気圧シリンダにおいては、圧縮空気によりピストンロッドがストローク端の位置まで駆動されるとピストンがカバー部材に衝突して衝撃が発生する。この衝撃はピストンロッドを介して被加工物や治具等の被駆動側部材にも加えられ、空気圧シリンダのみではなく治具等の被駆動側部材の耐久性を低下させることとなる。ピストンの運動エネルギーをストローク端において吸収するために、空気圧シリンダにはピストンの衝撃を緩衝して停止させる緩衝器つまりクッション機構が設けられている。
クッション機構を有する空気圧シリンダとしては、特許文献1に記載されるように、ピストンがストローク端に接近するとカバー部材に形成された凹部に嵌合するクッションリングをピストンロッドに設け、カバー部材にクッションリングの外周面に接触するクッションパッキンを設けるようにしたものがあり、クッションリングがクッションパッキンに接触すると、排気側となった圧力室は閉じられてクッション室となる。
特開2002−130213号公報
このようにクッション機構をピストンロッドの往復動ストロークが短い小型の空気圧シリンダに適用しても、十分なクッション作用が得られないという問題がある。つまり、特許文献1に示す空気圧シリンダのように、カバー部材の案内孔に形成された環状のパッキン取付溝にクッションパッキンを取り付け、ピストンロッドの外周面にクッションパッキンを接触させてクッション室を形成するようにすると、パッキン取付溝を含めたシール室の容積が大きくなる。ピストンロッドがストローク端の位置まで移動したときにおけるシール室の容積が小さければ小さいほどクッション機能を高めることができるが、往復動ストロークが短い空気圧シリンダにおいては、上述のように、ピストンロッドがストローク端の位置となったときにおけるクッション室の容積が大きくなると、クッション機能を高めることができなくなる。
また、カバー部材にクッションパッキンを装着するようにした空気圧シリンダにおいては、組立時やクッションパッキンの交換に際して、クッションパッキンの取り付け、取り外し作業が容易ではないという問題点がある。
本発明の目的は、ピストンロッドがストローク端の位置まで移動したときにおける空気圧シリンダのクッション作用を向上させることにある。
本発明の空気圧シリンダは、一端部に閉塞端部が設けられ、開口側の他端部にピストンロッドを軸方向に往復動自在に案内するロッドカバーが設けられるシリンダ本体と、前記ピストンロッドに設けられ、前記ロッドカバーの当接面と当該当接面に対向して前記シリンダ本体に設けられた突き当て面との間のシリンダ孔内を往復動するピストンと、前記ピストンの端面と前記シリンダ孔により区画され、外部から供給される圧縮流体により前記ピストンロッドに対して軸方向の推力を加える圧力室と、前記ピストンの外周部に形成された環状溝内に装着され前記シリンダ孔の内周面に接触するピストンシールとを有し、前記ピストンロッドの先端側の小径部を案内する小径の案内孔と、前記ピストンロッドの基端部側に設けられ前記小径部よりも大径の大径部を案内する大径の案内孔とを前記ロッドカバーに設け、前記ピストンロッドの前記大径部に形成された環状溝内に、横断面がV字形のクッションシールを、その開口端部を前記ピストンに向けて装着し、大径の前記案内孔に接触する前記ピストンシールと前記クッションシールとの間でクッション室を形成し、前記ロッドカバーの内側端部に前記ピストンに向けて内径が大きくなるテーパ孔を形成し、前記テーパ孔に接触するテーパ面を前記ピストンロッドに形成し、前記ピストンが前記当接面に向けて移動する際に、前記ピストンロッドとともに移動する前記クッションシールにより前記クッション室を外部から遮断し、前記ピストンロッドが突出限位置に移動したときに前記テーパ面が前記テーパ孔に接触することを特徴とする。
本発明の空気圧シリンダは、前記ピストンロッドの前記小径部と大径の前記案内孔との間により形成される排気通路に連通し、前記クッションシールが大径の前記案内孔に接触するまで前記ピストンロッドが突出移動するときに、前記シリンダ孔内の流体を外部に排出する連通孔を前記シリンダ本体に形成することを特徴とする。本発明の空気圧シリンダは、前記ピストンに後退方向のばね力を付与するばね部材を前記ロッドカバー内に装着することを特徴とする。
本発明によれば、ロッドカバーの案内孔に接触してピストンシールとの間でクッション室を形成するクッションシールがピストンロッドに形成された環状溝に装着されているので、ロッドカバーにクッションシールを装着する場合に比して環状溝の容積を小さくすることができる。これにより、ピストンロッドがストローク端にまで移動したときのクッション室の容積が小さくなり、クッション作用を向上させることができる。また、ピストンロッドにクッションシールを装着することにより、環状溝の加工作業が容易になるとともにクッションシールの着脱作業が容易となる。
本発明によれば、ピストンロッドが前進限位置にまで移動したときにロッドカバーに形成されたテーパ孔に接触するテーパ面をピストンロッドに形成したので、ピストンロッドがストローク端にまで移動したときにおけるクッション室の容積を小さくすることができ、エアクッション作用を向上させることができる。
本発明によれば、ピストンロッドに後退方向のばね力を付与するばね部材をピストンロッドに装着したので、ピストンロッドがストローク端の位置まで移動したときには、エアクッションとスプリングクッションとによりピストンロッドの衝撃を吸収することができる。ピストンロッドにばね部材を装着しても、クッションシールがピストンロッドに装着されているので、ばね部材とクッションシールとの干渉を避けることができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明の一実施の形態である空気圧シリンダの斜視図であり、図2は空気圧シリンダの正面図であり、図3は図2における3−3線に沿う断面図であり、図4および図5は空気圧シリンダの動作を示す断面図である。
この空気圧シリンダ10aは単動形のシリンダであり、図1に示すように、直方体形状のブロック材からなるシリンダ本体11を有している。シリンダ本体11の内部には、図3に示すように、底付きのシリンダ孔12が形成されており、このシリンダ孔12は図3において右側の端部が閉塞されて閉塞端部がヘッドカバーを構成しており、左側の端部は外部に開口している。
シリンダ本体11の開口側の端部にはロッドカバー14がカバー部材として取り付けられており、ロッドカバー14はシリンダ孔12の開口端側に嵌合されるスリーブ14aと、これをシリンダ本体11に固定する樹脂製の固定キャップ14bとを有している。スリーブ14aはシリンダ孔12に嵌合される大径部15と先端側の小径部16とを有しており、大径部15と小径部16の境界部における径方向の突き当て面17を固定キャップ14bに突き当てた状態のもとで、小径部16に形成された溝に止め輪18を嵌め込むことによりスリーブ14aは固定キャップ14bに固定される。固定キャップ14bには、図1および図2に示すように、対角位置に2つの六角穴付きボルト19が取り付けられており、それぞれのボルト19をシリンダ本体11にその端面に開口して形成されたねじ孔にねじ結合することにより、固定キャップ14bはシリンダ本体11に固定される。なお、このシリンダ本体11を、例えば、円筒形状や角筒形状のチューブ材により形成し、その両端部にブロック状のヘッドカバーとロッドカバーとを設けるようにしても良い。
ロッドカバー14のスリーブ14aにはピストンロッド21が軸方向に往復動自在に装着され、ピストンロッド21の先端部に形成された雄ねじにはナット20がねじ止めされるようになっており、ナット20によりピストンロッド21は図示しない被駆動部材に取り付けられる。ピストンロッド21の端部にはシリンダ孔12内を往復動するピストン22が設けられ、ピストン22に形成された環状溝23にはシリンダ孔12に接触するゴム製のピストンシール24が装着されている。
スリーブ14aの大径部15と小径部16はそれぞれ案内孔25,26を有しており、ピストンロッド21は案内孔25,26に案内されて軸方向に往復動する。スリーブ14aの内方端面は当接面27となっており、ピストン22はこの当接面27に接触する前進限位置と、当接面27と対向する突き当て面28に接触する後退限位置との間のストロークSの範囲を往復動する。ピストン22が当接面27に接触すると、ピストンロッド21は前進限位置つまり突出限位置となる。
ピストン22の端面とシリンダ本体11の底面との間はシリンダ孔12により圧力室31が区画され、シリンダ本体11には圧力室31に連通する給排ポート32が形成されている。給排ポート32を介して圧力室31内に外部から圧縮空気を供給すると、ピストンロッド21には軸方向の推力が加えられ、ピストンロッド21は前進方向に駆動される。
ピストンロッド21は案内孔26により案内される先端側の小径部21aと案内孔25により案内される基端部側の大径部21bとを有している。この大径部21bには環状溝33が形成され、この環状溝33にはゴム製のクッションシール34が装着されている。このクッションシール34が案内孔25に接触すると、クッションシール34とピストンシール24との間で外部から遮断されたクッション室35が形成される。案内孔2と小径部21aとの間の隙間は排気通路36となっており、この排気通路36はシリンダ本体11に形成された連通孔37に連通している。クッションシール34は、図3に示されるようにピストン22が後退限位置となった状態のもとでは、案内孔25とクッションシール34との接触が解かれることになり、クッション室35は排気通路36と連通状態となってクッション室35内の空気は外部に排出される。
ピストンロッド21が図3に示す後退限位置から図4に示す位置まで所定のストロークLだけ前進移動すると、クッションシール34は案内孔25とピストンロッド21との間をシールし、クッション室35は密閉された状態となる。ピストンロッド21が図4に示す位置から図5に示す前進限位置まで駆動されるときには、クッション室35は外部から遮断された状態となって内部の空気が圧縮されてピストンロッド21にクッション作用を及ぼすことになる。このクッション作用は、クッションシール34がクッション室35を密閉した状態からピストン22が当接面27に接触するまでのクッションストロークTの範囲でピストンロッド21に加えられる。
クッションシール34は、ピストンシール24が内外二重のOリングパッキンにより形成されているのに対し、横断面がV字形のVパッキンにより形成されている。クッションシール34は、開口端側がピストン22に向けて環状溝33内に装着されており、クッションシール34がクッションストロークTの範囲においてピストンロッド21とともに移動する際には、クッション室35内の圧縮空気の圧力が高められると、クッションシール34の案内孔25に対するシール力も高められる。
このように、クッションシール34はピストンロッド21に形成された環状溝33に装着したので、クッションシール34をシリンダ本体11のロッドカバー14に装着する場合に比べ、クッションシール34を収容するための環状溝33の容積が小さくなる。したがって、ストローク端でのクッション室35はクッションシール34をロッドカバー14に装着する場合よりも小さくなり、エアクッション作用を向上させることができる。特に、ピストンロッド21のストロークSが短い場合のように、十分なクッションストロークを確保することができない場合にも十分なクッション作用をピストンロッド21に加えることができる。また、クッションシール34をピストンロッド21の外周面に形成された環状溝33に装着することにより、環状溝33の加工作業およびクッションシール34の着脱作業が容易となる。
ピストンロッド21に対するクッション作用を高めるために、ピストンロッド21の小径部21aの外側には圧縮コイルばね38が装着されている。したがって、ピストン22がストローク端に向けて前進移動すると、ピストンロッド21の大径部21bが圧縮コイルばね38に当接し、ピストンロッド21には圧縮コイルばね38のクッション作用が加えられる。このように、スプリングクッションとエアクッションとによりクッション作用が達成される。
クッションシール34をロッドカバー14に装着すると、圧縮コイルばね38とクッションシール34とが干渉して耐久性が低下するおそれがあるのに対し、クッションシール34をピストンロッド21に装着することにより、これらの干渉を確実に防止することができる。
ロッドカバー14のスリーブ14aの内側端部にはピストン22に向けて内径が大きくなるテーパ孔41が形成され、ピストンロッド21の大径部21bにはピストンロッド21が前進限位置となったときにテーパ孔41に接触するテーパ面42が形成されている。このように、ロッドカバー14にテーパ孔41を形成することにより、ピストンロッド21がストローク端の位置に向けて前進移動する際にクッションシール34は円滑に案内孔25内に入り込むこととなる。しかも、ストローク端においてはクッション室35の容積が小さくなるので、クッション作用を向上させることができる。
次に、空気圧シリンダ10aの動作について説明する。図3に示すように、ピストン22が後退限位置のもとでは、クッションシール34は案内孔25から離れており、クッション室35は排気通路36と連通している。これにより、クッション室35は排気通路36と連通孔37を介して外部と連通している。
この状態から圧力室31に圧縮空気を供給すると、ピストン22とともにピストンロッド21は前進移動し、クッションシール34は図4に示すようにロッドカバー14のテーパ孔41に接触して径を縮小しながら案内孔25に接触する。このように、クッションシール34が案内孔25に接触してクッション室35はクッションシール34とピストンシール24により密閉された空間となる。
ピストン22が図4に示す位置から更に前進移動すると、クッションシール34はピストンロッド21とともに移動してテーパ孔41に案内されてクッション室35を密閉状態に保持する。クッションストロークTの範囲を移動する際には、クッション室35の容積は徐々に減少してクッション室35内の空気圧が上昇し、ピストンロッド21およびピストン22は減速される。ピストン22が図5に示す前進限位置つまりストローク端となると、ピストンロッド21のテーパ面42がロッドカバー14のテーパ孔41に接触してクッション室35内の容積はほぼ環状溝33とクッションシール34との間の隙間部分の容積となり、エアクッション作用が最大となる。ピストン22がストローク端に接近すると、圧縮コイルばね38によりピストンロッド21に後退方向のばね力が付与される。
図6(A)は本発明の空気圧シリンダの概略断面図であり、図6(B)は比較例として示す空気圧シリンダの概略断面図である。空気圧シリンダ10aの動作の際に被駆動部材からピストンロッド21に径方向の横荷重が加わると、ピストンロッド21は小径部16を軸受としてこれを中心に中心軸Cが傾くことになる。この傾き角度は、ストローク端に向かうに従って大きくなる。
図6(A),(B)はストローク端においてピストンロッド21の中心軸Cがいずれも角度αだけ傾いた状態を誇張して示しており、ピストンロッド21が傾斜した場合のクッションシール34の偏心量が矢印で示されている。図6(B)に示すように、クッションシール34をシリンダ本体11のロッドカバー14に装着した場合には、ストローク端において小径部16とクッションシール34とが離れているため、クッションシール34の径方向の偏心量が大きくなる。したがって、クッションシール34の図における上側では径方向の寸法が小さくなる方向に弾性変形し下側では径方向の寸法が大きくなる方向に弾性変形するので、径方向寸法が大きくなるように弾性変形した部分のシール圧が低下することになり、その部分のシール性が低下する。
一方、図6(A)に示すように、クッションシール34をピストンロッド21に形成された環状溝33に装着した本発明の空気圧シリンダ10aでは、ストローク端においてクッションシール34が小径部分に接近するので、クッションシール34がピストンロッド21の傾斜に起因して径方向に弾性変形する偏心量が図6(B)に示す場合よりも小さくなる。したがって、ピストンロッド21とクッションシール34との接触圧が上下でほとんど差がなく、下側の部分におけるシール性の低下を防止できる。
なお、図示する空気圧シリンダ10aはシリンダ本体11の一端部からピストンロッド21が突出する片ロッドの単動形であり、図5に示す前進限位置から図3に示す後退限位置への後退移動は外力により行われるようになっているが、圧縮コイルばね38の全長を長く設定することにより圧縮コイルばね38によりピストンロッド21を後退移動させるようにしても良い。
図7は本発明の他の実施形態である空気圧シリンダの断面図であり、上述した単動形の空気圧シリンダ10aと共通する部材には同一の符号が付されている。この空気圧シリンダ10bは複動形のシリンダであり、図7に示すように、単動形の空気圧シリンダ10aとほぼ同様の形状のシリンダ本体11を有している。シリンダ孔12は図7において左側つまり開口端側の大径部12aと、図7において右側つまり閉塞端側の小径部12bとに区画されており、ロッドカバー14のスリーブ14aは、このシリンダ孔12の大径部12aに嵌合される大径スリーブ44と、これの開口端側に突き当てられる小径スリーブ45とを有している。
大径スリーブ44は、シリンダ孔12の大径部12aと小径部12bとの境界部における径方向の突き当て面46に閉塞端側の端面が突き当てられるとともに、開口端側の端面である突き当て面47に小径スリーブ45が突き当てられた状態で大径部12bに嵌合される。小径スリーブ45の大径部と小径部との境界における径方向の突き当て面48と、大径スリーブ44の突き当て面47とに固定キャップ14bが突き当てられて、スリーブ14aはシリンダ本体11に固定される。
スリーブ14aに軸方向に往復動自在に装着されたピストンロッド21およびこれの端部に設けられたピストン22は、単動形の空気圧シリンダ10aと同様の形状となっており、ピストンロッド21は大径スリーブ44と小径スリーブ45とにそれぞれ形成された案内孔25,26に案内されて軸方向に往復動する。ピストン22は当接面27に接触する前進限位置と、突き当て面28に当接する後退限位置との間のストロークSの範囲でシリンダ孔12の小径部12b内を往復動する。
ピストン22のピストンシール24とシリンダ本体11の底面との間はシリンダ孔12の小径部12bにより前進用の圧力室31が区画され、シリンダ本体11には圧力室31に連通する前進用の給排ポート32が形成されている。給排ポート32を介して圧力室31内に外部から圧縮空気を供給すると、ピストンロッド21には軸方向の推力が加えられ、ピストンロッド21は前進方向に駆動される。
ピストンロッド21の大径部21bには環状溝33が形成され、この環状溝33にゴム製のクッションシール34が装着されている。クッションシール34が案内孔25に接触すると、クッションシール34とピストンシール24との間で外部から遮断されたクッション室35が形成され、図7に示されるようにピストン22が後退限位置となった状態のもとでは、クッション室35は排気通路36と連通状態となってクッション室35内の空気は後述する後退用の給排ポートから外部に排出される。ピストンロッド21が後退限位置から図4に対応する位置まで前進移動すると、クッション室35は密閉された状態となる。ピストンロッド21が図4に対応する位置から前進限位置まで駆動されるときには、クッション室35は外部から遮断された状態となって内部の空気が圧縮されてピストンロッド21にクッション作用を及ぼすことになる。
このように、クッションシール34はピストンロッド21に形成された環状溝33に装着したので、クッションシール34をシリンダ本体11のロッドカバー14に装着する場合に比べ、クッションシール34を収容するための環状溝33の容積が小さくなる。したがって、ストローク端でのクッション室35はクッションシール34をロッドカバー14に装着する場合よりも小さくなり、エアクッション作用を向上させることができる。特に、ピストンロッド21のストロークSが短い場合のように、十分なクッションストロークを確保することができない場合にも十分なクッション作用をピストンロッド21に加えることができる。また、クッションシール34をピストンロッド21の外周面に形成された環状溝33に装着することにより、環状溝33の加工作業およびクッションシール34の着脱作業が容易となる。
スリーブ14aには、大径スリーブ44の開口端側に設けられ径方向内方に突出する突起部50と、小径スリーブ45の閉塞端側の端面とにより環状溝51が形成され、この環状溝51に横断面がU字形のUパッキンであるクッションシール52が設けられている。クッションシール52はピストンロッド21の小径部21aに接触し、シリンダ孔12の開口端側つまり案内孔26からの空気漏れが防止されている。ピストン22が前進限位置と図4に対応する位置との間を移動する際には、クッションシール52とクッションシール34との間で排気通路36により後退用の圧力室53が区画され、図4に対応する位置と図7に示す後退限位置との間を移動する際には、クッションシール52とピストンシール24との間で排気通路36およびシリンダ孔12の小径部12bにより圧力室53が区画される。
複動形の空気圧シリンダ10bのシリンダ本体11には、単動形の空気圧シリンダ10aにおける連通孔37の形成位置に、圧力室53に連通する後退用の給排ポート54が形成されており、給排ポート54を介して圧力室53内に外部から圧縮空気を供給すると、ピストンロッド21には軸方向の推力が加えられ、ピストンロッド21は後退方向に駆動される。
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、ロッドカバー14としては、スリーブ14aと固定キャップ14bとが一体となった部材を用いるようにしても良く、図7において大径スリーブ44と小径スリーブ45とが一体となったスリーブ14bを用いるようにしても良い。
本発明の一実施の形態である空気圧シリンダの斜視図である。 空気圧シリンダの正面図である。 図2における3−3線に沿う断面図である。 空気圧シリンダの動作を示す断面図である。 空気圧シリンダの動作を示す断面図である。 (A)は本発明の空気圧シリンダの概略断面図であり、(B)は従来技術の空気圧シリンダの概略断面図である。 本発明の他の実施形態である空気圧シリンダの断面図である。
符号の説明
10 空気圧シリンダ
11 シリンダ本体
12 シリンダ孔
12a 大径部
12b 小径部
14 ロッドカバー
14a スリーブ
14b 固定キャップ
15 大径部
16 小径部
17 突き当て面
18 止め輪
19 ボルト
20 ナット
21 ピストンロッド
21a 小径部
21b 大径部
22 ピストン
23 環状溝
24 ピストンシール
25,26 案内孔
27 当接面
28 突き当て面
31 圧力室
32 給排ポート
33 環状溝
34 クッションシール
35 クッション室
36 排気通路
37 連通孔
38 圧縮コイルばね
41 テーパ孔
42 テーパ面
44 大径スリーブ
45 小径スリーブ
46〜48 突き当て面
50 突起部
51 環状溝
52 クッションシール
53 圧力室
54 給排ポート

Claims (3)

  1. 一端部に閉塞端部が設けられ、開口側の他端部にピストンロッドを軸方向に往復動自在に案内するロッドカバーが設けられるシリンダ本体と、
    前記ピストンロッドに設けられ、前記ロッドカバーの当接面と当該当接面に対向して前記シリンダ本体に設けられた突き当て面との間のシリンダ孔内を往復動するピストンと、
    前記ピストンの端面と前記シリンダ孔により区画され、外部から供給される圧縮流体により前記ピストンロッドに対して軸方向の推力を加える圧力室と、
    前記ピストンの外周部に形成された環状溝内に装着され前記シリンダ孔の内周面に接触するピストンシールとを有し、
    前記ピストンロッドの先端側の小径部を案内する小径の案内孔と、前記ピストンロッドの基端部側に設けられ前記小径部よりも大径の大径部を案内する大径の案内孔とを前記ロッドカバーに設け、
    前記ピストンロッドの前記大径部に形成された環状溝内に、横断面がV字形のクッションシールを、その開口端部を前記ピストンに向けて装着し、大径の前記案内孔に接触する前記ピストンシールと前記クッションシールとの間でクッション室を形成し、
    前記ロッドカバーの内側端部に前記ピストンに向けて内径が大きくなるテーパ孔を形成し、前記テーパ孔に接触するテーパ面を前記ピストンロッドに形成し、
    前記ピストンが前記当接面に向けて移動する際に、前記ピストンロッドとともに移動する前記クッションシールにより前記クッション室を外部から遮断し、前記ピストンロッドが突出限位置に移動したときに前記テーパ面が前記テーパ孔に接触することを特徴とする空気圧シリンダ。
  2. 請求項記載の空気圧シリンダにおいて、前記ピストンロッドの前記小径部と大径の前記案内孔との間により形成される排気通路に連通し、前記クッションシールが大径の前記案内孔に接触するまで前記ピストンロッドが突出移動するときに、前記シリンダ孔内の流体を外部に排出する連通孔を前記シリンダ本体に形成することを特徴とする空気圧シリンダ。
  3. 請求項1または2記載の空気圧シリンダにおいて、前記ピストンに後退方向のばね力を付与するばね部材を前記ロッドカバー内に装着することを特徴とする空気圧シリンダ。
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