以下に、本発明の実施の形態にかかる空気調和機を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1にかかる空気調和機1の構成を模式的に示す構成図である。図2は、本発明の実施の形態1にかかる空気調和機1の冷媒回路図である。図3は、本発明の実施の形態1にかかる空気調和機1の室内機2における室内機ファン16の運転制御に関する機能ブロック図である。
図1に示すように、本実施の形態1にかかる空気調和機1は、筐体2aを備えて室内に設置された室内機2、筐体3aを備えて室外に設置された室外機3、空気調和機1の動作を遠隔操作するリモートコントローラー4、および室内機2と室外機3との間で冷媒を循環させるための冷媒管5を備える。室外機3は、通信線6を介して室内機2と通信可能とされている。以下、リモートコントローラーを、リモコンと呼ぶ場合がある。
図2に示すように、本実施の形態1にかかる空気調和機1は、圧縮機20と、冷媒の流れる方向を切り替える四方弁19と、室外機3に搭載された室外機熱交換器21と、膨張装置である膨張弁25と、室内機2に搭載された室内機熱交換器14とが順次冷媒管5で接続され、冷媒を循環させる冷凍サイクルを備えている。四方弁19は、冷凍サイクル内の冷媒の流れる方向を切り替えることで、暖房運転と冷房運転との切り替えを行う。
室内機2には主要な構成として、電気部品を収納する電気品ボックス13と、室内側の熱交換器であり冷媒管5が接続された室内機熱交換器14と、室内機熱交換器14の温度を測定するための温度計測部15と、室内機熱交換器14を通過する気流を発生させる室内機ファン16と、が筐体2aの中に設置されている。
電気品ボックス13の中には、室内機ファンモータ18、空気調和機1の運転状態を表示する図示しない表示器、リモコン4との間で赤外線通信を行うための図示しない受光基板といった、室内機2に設けられたアクチュエータを駆動して制御するための制御基板30が収納されている。
制御基板30は、空気調和機1の動作を制御する制御部31と、室内機2の内部の構成部を動作させるための専用電源を生成する電源回路32と、空気調和機1の制御に用いられる各種の情報を記憶する記憶部33と、室内機通信部34と、が構成されている。
電源回路32は、室内機2の外部の外部電源7から供給される電力を変換して室内機2の内部の各構成部を動作させるための専用電源を生成する。電源回路32は、室内機2の内部の各構成部と電源線によって接続されている。なお、図3においては、一部の電源線を省略している。
記憶部33には、空気調和機1における空調運転動作において用いられる各種の情報が記憶されている。また、記憶部33は、後述するデータテーブル記憶部36とファン最大回転速度設定記憶部37とを有する。
室内機通信部34は、リモコン4から送信された情報を受信して制御部31に送信し、また制御部31から送信された情報をリモコン4へ送信する。室内機通信部34とリモコン4との通信方法の例としては、赤外線通信が例示される。なお、室内機通信部34とリモコン4との通信方法は、室内機通信部34とリモコン4と互いに通信できるものであればよく、赤外線通信に限定されない。
制御部31は、空気調和機1の動作を制御する制御部であり、室内機2および室外機3の動作を制御することによって空気調和機1の運転を制御する。制御部31は、室内機通信部34を介してリモコン4と情報の伝送を行うことができる。制御部31は、室内機通信部34を介してリモコン4から受信した指示情報、およびあらかじめ制御部31または記憶部33に記憶している情報といった、空気調和機1の運転に関する各種情報に基づいて空気調和機1の動作を制御する。
制御部31は、室内機2から室内に吹き出す気流の温度、室内機2から室内に吹き出す気流の強さおよび方向といった室内機2における空気調和運転の設定を制御し、空気調和機1の動作を制御する。制御部31は、室外機3の内部の各構成部を制御するために指示情報を室外機3に送信する。
また、制御部31は、室内機ファン16の動作を制御する室内機ファン制御部35を有する。室内機ファン制御部35は、室内機ファン16の動作を制御する制御部であり、例えば室内機ファン16をインバータ制御する。室内機ファン制御部35は、室内機ファン制御部35で決定した室内機ファン16の回転速度の上限値であるファン最大回転速度以下の回転速度の範囲で室内機ファン16を動作させる制御を行う。
室内機ファン制御部35は、温度計測部15で計測された室内機熱交換器14の温度に基づいて、あらかじめ決められている室内機ファン16の回転速度の上限値の候補から、室内機ファン16の回転速度の上限値を決定する。そして、室内機ファン制御部35は、決定した上限値以下の回転速度で室内機ファン16を動作させて、電気品ボックス13内の空気の温度を電気品ボックス13内に収納された複数の電気部品のうち最も低い温度定格以下の温度に制限する制御を行う。制御基板30と温度計測部15とはリード線で接続されている。これにより、室内機ファン制御部35は、温度計測部15と通信可能であり、温度計測部15で計測された室内機熱交換器14の温度を取得することができ、温度計測部15を介して常に室内機熱交換器14の温度を監視することが可能である。
室内機ファン制御部35は、温度計測部15で計測された室内機熱交換器14の温度が既定の第1温度閾値以上である場合に、室内機ファン16の回転速度の上限値を既定の第1上限値に決定する。また、室内機ファン制御部35は、温度計測部15で計測された室内機熱交換器の温度が第1温度閾値未満である場合に、第1上限値よりも速い既定の第2上限値に、室内機ファン16の回転速度の上限値を決定する。
第1温度閾値は、室内機ファン16の回転速度の上限値であるファン最大回転速度の設定値を決定するための温度閾値である。第1温度閾値は、あらかじめ決定されて記憶部33に記憶されている。
第1上限値は、空気調和機1の暖房運転において室内機熱交換器14の温度が最も上昇して室内機2の室内機熱交換器14の放熱による電気品ボックス13内の空気の温度上昇が最も大きいと想定される場合においても、電気品ボックス13内の空気の温度が電気部品の温度定格以内に収まり、電気品ボックス13内の電気部品の温度が電気部品の温度定格以内に収まるようにあらかじめ決定された、室内機ファン16のファン最大回転速度である。すなわち、第1上限値は、電気部品の温度定格と、室内機熱交換器14の最大温度とによってあらかじめ制限されたファン最大回転速度である。ここでの電気部品の温度定格は、電気品ボックス13内の複数の電気部品の温度定格のうち、最も温度の低い温度定格を用いる。
第2上限値は、第1上限値よりも速い回転速度で室内機ファン16の運転を実施する場合のためにあらかじめ決定された、室内機ファン16のファン最大回転速度である。すなわち、第2上限値は、電気品ボックス13内の空気の温度が電気品ボックス13に収納された電気部品の温度定格を越えない範囲で室内機ファン16の回転速度の制限を緩和した運転を実施するためにあらかじめ決定された、室内機ファン16のファン最大回転速度である。第1温度閾値、第1上限値および第2上限値は、電気部品の温度定格、空気調和機1の仕様および能力といった諸条件を考慮して決定される。
記憶部33におけるデータテーブル記憶部36には、第1温度閾値と第1上限値と第2上限値との関係が設定されたデータテーブル41が記憶されている。室内機ファン制御部35は、温度計測部15で計測された室内機熱交換器14の温度と、データテーブル41に設定された第1温度閾値と第1上限値と第2上限値とに基づいて、室内機ファン16の回転速度の上限値であるファン最大回転速度を決定する。
ここで、第1温度閾値と第1上限値と第2上限値との決定方法の一例について説明する。ファン回転速度の第1上限値は、空気調和機の実機で実施される、電気品ボックス13内の空気の温度の上昇状態を測定する温度上昇試験を複数回実施した結果によって決定される。温度上昇試験は、室内機熱交換器14の温度に基づいた室内機ファン16の回転速度の制限をかけずに実施される。すなわち、温度上昇試験は、本実施の形態1にかかる空気調和機1において室内機ファン制御部35によって実施される室内機熱交換器14の温度に基づいた室内機ファン16の回転速度の制御を行わずに実施される。
第1上限値は、温度上昇試験の結果に基づいて、電気品ボックス13に収納された電気部品の温度定格を超える寸前の室内機ファン16の回転速度に設定される。すなわち、第1上限値は、電気品ボックス13に収納された電気部品の温度定格をぎりぎり超えないレベルの速い回転速度に設定される。ここでの電気部品の温度定格は、電気品ボックス13内の複数の電気部品の温度定格のうち、最も温度の低い温度定格を用いる。なお、電気品ボックス13内の空気の温度が電気品ボックス13に収納された電気部品の温度定格を超える前に、室内機ファン16の騒音の大きさが大きすぎる状態になる空気調和機も存在し得る。このような空気調和機は、室内機ファン16の騒音の大きさによって室内機ファン16の回転速度が制限される。したがって、このような仕様の空気調和機室内機は、空気調和機1の室内機ファン制御部35によって実施される室内機熱交換器14の温度に基づいた室内機ファン16の回転速度の制御の適用の対象外となる。
第2上限値は、空気調和機の所望の能力に基づいて要求される値である。第2上限値は、空気調和機の機能設計において設定された空気調和機の所望の能力を達成するために必要とされる室内機ファン16の回転速度であるため、空気調和機の機種によって異なる値に決定される。
第1温度閾値は、温度上昇試験の結果に基づいて、第2上限値で室内機ファン16を問題なく回転させることが可能な室内機熱交換器14の温度に設定される。
図4は、本発明の実施の形態1にかかるデータテーブル41の一例を示す図である。図4に示すデータテーブル41においては、第1温度閾値が45℃であり、第1上限値が1600rpmであり、第2上限値が1700rpmである。第1温度閾値と第1上限値と第2上限値とは、あらかじめ決定されてデータテーブル41として記憶部33のデータテーブル記憶部36に記憶されている。
また、室内機ファン制御部35は、決定した室内機ファン16の回転速度の上限値であるファン最大回転速度を、記憶部33内のファン最大回転速度設定記憶部37に設定して記憶させる。そして、室内機ファン制御部35は、ファン最大回転速度設定記憶部37に設定したファン最大回転速度以下の範囲で室内機ファン16を動作させる制御を行う。
なお、室内機ファン制御部35から送信される指示信号に従って室内機ファン16をインバータ制御するインバータ制御部を別個に設けた構成とすることも可能である。また、室内機ファン16の動作の制御はインバータ制御に限定されない。
室内機熱交換器14は、室内機熱交換器14内を流れる冷媒と室内空気との熱交換を行い、室内の温度を調整する役割を有する。図5は、本発明の実施の形態1にかかる室内機熱交換器14の一例を示す図である。図5において、室内機熱交換器14は、空気調和装置の蒸発器および凝縮器として広く利用されているフィンチューブ式の熱交換器である。図5においては、室内機熱交換器14の一部を切断した状態の斜視図を示している。室内機熱交換器14は、複数の熱交換器用のフィン51と伝熱管52とで構成されている。室内機熱交換器14は、既定の間隔で並べられた複数のフィン51に対して、各フィン51に設けられた貫通穴を貫通した状態に伝熱管52が設けられている。伝熱管52は、冷媒間5に接続されて内部に冷媒が流れる配管であり、空気調和機1の冷凍サイクルにおける冷媒回路の一部となる。
温度計測部15は、室内機ファン16の回転速度を制御するために室内機熱交換器14の温度を既定の周期で計測する。温度計測部15は、室内機熱交換器14の温度として、室内機熱交換器14の伝熱管52を計測する。温度計測部15は、計測した室内機熱交換器14の温度を、室内機ファン制御部35に送信する。
室内機ファン16は、室内プロペラ17が室内機ファンモータ18によって駆動されることで動作する。室内機ファン16の回転速度は、室内機ファン制御部35によって制御される。室内機ファン16の回転速度は、たとえば室内機ファンモータ18にエンコーダといった回転速度検出装置を設けることで取得できる。
また、制御部31は、例えば、図6に示したハードウェア構成の処理回路として実現される。図6は、本発明の実施の形態1にかかる処理回路のハードウェア構成の一例を示す図である。制御部31が図6に示す処理回路により実現される場合、制御部31は、例えば、図6に示すメモリ102に記憶されたプログラムをプロセッサ101が実行することにより、実現される。また、複数のプロセッサおよび複数のメモリが連携して制御部31の機能を実現してもよい。また、制御部31の機能のうちの一部を電子回路として実装し、他の部分をプロセッサ101およびメモリ102を用いて実現するようにしてもよい。
また、電源回路32、記憶部33および室内機通信部34のうちの1つ以上を、同様にメモリ102に記憶されたプログラムをプロセッサ101が実行することにより、実現されるように構成してもよい。また、電源回路32、記憶部33および室内機通信部34のうちの1つ以上を実現するためのプロセッサおよびメモリは、制御部31を実現するプロセッサおよびメモリと同一であってもよいし、別のプロセッサおよびメモリであってもよい。
室外機3には、冷媒の流れる方向を切り替える四方弁19と、冷媒を圧縮する圧縮機20と、冷媒と室外の空気との熱交換を行う室外側の熱交換器であり冷媒管5が接続された室外機熱交換器21と、室外機熱交換器21を通過する気流を発生させる室外機ファン22と、が筐体3aの中に設置されている。室外機ファン22は、室外プロペラ23が室外機ファンモータ24によって駆動されることで動作する。
リモコン4は、現在の時刻、空気調和機1による空調における室内温度の目標となる設定温度、運転モードといった、空気調和機1による空調において必要となる情報を設定して空気調和機1の動作を遠隔操作するための操作装置である。リモコン4は、室内機2との間で有線通信または無線通信によって互いに情報の双方向通信が可能である。
リモコン4は、主たる構成として、リモコン4の動作を制御するリモートコントローラー制御部と、空気調和機1おける空調管理に関する各種情報を表示してユーザに視覚的に通知するリモートコントローラー表示部と、ユーザの要求する設定操作を受け付ける指示受け付け部であるリモートコントローラー操作部と、室内機2との間で情報の送受信を行うリモートコントローラー通信部と、を有する。リモコン4内における各構成部は、互いに通信可能である。
ここで、空気調和機1における冷房運転時および暖房運転時の冷媒の流れを説明する。冷房運転時における冷媒は、圧縮機20によって圧縮されて高温高圧のガス冷媒となり、四方弁19を介して室外機熱交換器21へと流れ込む。そして、ガス冷媒は、室外機熱交換器21で室外機ファン22から送風される室外空気と熱交換されて放熱し、高圧の液冷媒となる。その後、液冷媒は、膨張弁25により既定の圧力まで膨張されて低圧の気液二相の冷媒となり、室内機熱交換器14に流入する。室内機熱交換器14に流入した気液二相の冷媒は、室内機ファン16から送風される室内空気と熱交換されて吸熱し、低温低圧のガス冷媒となり、四方弁19を介して圧縮機20へと戻る。
暖房運転時における冷媒は、前記と同様に圧縮機20によって圧縮されて高温高圧のガス冷媒となり、四方弁19を介して室内機熱交換器14へと流れ込む。ガス冷媒は、室内機熱交換器14で室内機ファン16から送風される室内空気と熱交換されて放熱し、高圧の液冷媒となる。その後、液冷媒は、膨張弁25により既定の圧力まで膨張されて低圧の気液二相の冷媒となり、室外機熱交換器21に流入する。室外機熱交換器21に流入した気液二相の冷媒は、室外機ファン22から送風される室外空気と熱交換されて吸熱し、低温低圧のガス冷媒となり、四方弁19を介して圧縮機20へと戻る。
つぎに、空気調和機1の暖房運転時における室内機2の室内機ファン16の回転速度制御動作について説明する。図7は、本発明の実施の形態1にかかる空気調和機1の室内機2における室内機ファン16の回転速度制御動作の手順を示すフローチャートである。以下では、図4に示したデータテーブル41に記憶された条件を用いて室内機ファン16の回転速度を制御する場合について説明する。
まず、空気調和機1の室内機2の制御部31は、空気調和機1の暖房運転の開始を指示する旨の暖房開始指示情報の赤外線信号をリモコン4から受信すると、ステップS10において空気調和機1の空調制御を開始する。すなわち、制御部31は、空気調和機1による空調運転を行うために、空気調和機1の室内機2および室外機3の各構成部の制御を開始する。なお、室内機2に設けられた図示しない運転スイッチが操作されることで、空気調和機1の運転開始を指示する信号が室内機2の制御部31に送信される構成とされてもよい。この場合、制御部31は、運転スイッチが操作されることで制御部31に送信された信号に従って空気調和機1の空調制御を開始する。
そして、室内機ファン制御部35が、室内機熱交換器14の温度計測を開始させる制御を温度計測部15に対して行う。すなわち、室内機ファン制御部35は、室内機熱交換器14の温度計測の開始を指示する温度計測指示情報を温度計測部15に送信する。
温度計測部15は、温度計測指示情報を受信すると、温度計測指示情報に基づいて室内機熱交換器14の温度計測を開始する。すなわち、温度計測部15は、室内機熱交換器14の温度として、室内機2内に配設されている室内機熱交換器14の配管温度である伝熱管52の温度を計測する。温度計測部15は、既定の周期で伝熱管52の温度を計測して、計測した配管温度を室内機熱交換器14の温度として室内機ファン制御部35に送信する。
ステップS20において室内機ファン制御部35は、温度計測部15から送信された室内機熱交換器14の配管温度を受信する。室内機ファン制御部35は、室内機熱交換器14の配管温度を受信すると、ステップS30において、データテーブル記憶部36のデータテーブル41に記憶された第1温度閾値である45℃と、配管温度とを比較して、室内機熱交換器14の配管温度が第1温度閾値である45℃未満であるか否かを判定する。
室内機熱交換器14の配管温度が第1温度閾値である45℃以上である場合、すなわちステップS30においてNoの場合は、ステップS100が実施される。ステップS100において、室内機ファン制御部35は、室内機ファン16のファン最大回転速度の設定値を、データテーブル41に記憶された第1上限値である1600rpmに決定し、記憶部33内のファン最大回転速度設定記憶部37に設定して記憶させる。すなわち、室内機ファン制御部35は、室内機ファン16の回転速度の上限値を1600rpmに設定する。
そして、ステップS110において、室内機ファン制御部35は、リモコン4から送信される指示情報、およびファン最大回転速度設定記憶部37に設定した情報に基づいて、1600rpm以下の回転速度の範囲で室内機ファン16を動作させる制御を行う。そして、室内機ファン制御部35は、ステップS30に戻る。
ここで、1600rpmは、配管温度が第1温度閾値である45℃以上である場合に室内機ファン16の負荷電流による発熱を少なくして、室内機2の室内機熱交換器14の放熱による電気品ボックス13内の空気の温度上昇が大きい場合でも電気品ボックス13内の空気の温度が電気部品の温度定格以内に収まり、電気品ボックス13内の電気部品の温度が電気部品の温度定格以内に収まるようにあらかじめ決定された、室内機ファン16のファン最大回転速度である。すなわち、配管温度が第1温度閾値である45℃以上である場合には、1600rpm以下の回転速度の範囲で室内機ファン16を動作させることで、後述するようにファン最大回転速度が1700rpmのときに比べて室内機ファン16の負荷電流による発熱を少なくすることができる。これにより、室内機2の室内機熱交換器14の放熱による影響が大きくても電気品ボックス13内の空気の温度上昇を抑制することができ、電気品ボックス13内の電気部品の温度を温度定格以内に抑えることができる。これにより、電気品ボックス13内の電気部品が温度定格を超えた温度に上昇することに起因した電気部品の寿命の短寿命化を防止することができる。
したがって、室内機2の室内機熱交換器14の温度が第1温度閾値を超えた場合には、室内機2の電気品ボックス13内の空気の温度および電気部品の温度も上昇していると考えられるため、室内機ファン制御部35は、室内機ファン16のファン回転速度の上限値を低く設定する制御を行う。これにより、電気品ボックス13内の空気の温度上昇に起因した電気品ボックス13内の電気部品の寿命の短寿命化を防止することができる。
一方、室内機熱交換器14の配管温度が第1温度閾値である45℃未満である場合、すなわちステップS30においてYesの場合は、ステップS40が実施される。ステップS40において室内機ファン制御部35は、室内機ファン16のファン最大回転速度の設定値を、データテーブル41に記憶された第2上限値である1700rpmに決定し、ファン最大回転速度設定記憶部37に設定して記憶させる。
そして、ステップS50において、室内機ファン制御部35は、リモコン4から送信される指示情報、およびファン最大回転速度設定記憶部37に設定した情報に基づいて、1700rpm以下の回転速度の範囲で室内機ファン16を動作させる制御を行う。そして、室内機ファン制御部35は、ステップS60に進む。
ここで、1700rpmは、配管温度が第1温度閾値である45℃未満である場合に第1上限値よりも速い回転速度で室内機ファン16の運転を実施する場合のためにあらかじめ決定された、室内機ファン16のファン最大回転速度である。配管温度が第1温度閾値である45℃未満である場合は、配管温度が第1温度閾値である45℃以上である場合に比べて、室内機熱交換器14の放熱による電気品ボックス13内の空気の温度上昇が少ない。すなわち、配管温度が第1温度閾値である45℃未満である場合は、配管温度が第1温度閾値である45℃以上である場合に比べて、室内機熱交換器14の放熱が電気品ボックス13内の電気部品の温度上昇に及ぼす影響が少ない。
このため、室内機ファン16の負荷電流による発熱が増えても、電気品ボックス13内の空気の温度上昇および電気部品の温度上昇を抑制することができ、後述するように室内機熱交換器14の温度を監視することで電気品ボックス13内の電気部品の温度を温度定格以内に抑えることが可能である。すなわち、配管温度が第1温度閾値である45℃未満である場合は、配管温度が第1温度閾値である45℃以上である場合に比べて、ファン最大回転速度の設定を大きな値にしても、室内機熱交換器14の温度を監視することで電気品ボックス13内の電気部品の温度を温度定格以内に抑えることが可能である。
したがって、配管温度が第1温度閾値である45℃未満である場合には、室内機ファン制御部35は、室内機ファン16の風量を配管温度が第1温度閾値である45℃以上である場合よりも増加させて、1700rpmをファン最大回転速度設定記憶部37に設定して記憶させる。これにより、空気調和機1は、配管温度が第1温度閾値である45℃未満である場合に、室内機ファン16の風量を配管温度が第1温度閾値である45℃以上である場合よりも増加させて、配管温度が45℃以上である場合よりも大風量で、高能力かつ高効率での空調を行うことが可能となる。
つぎに、ファン最大回転速度が1700rpmに設定されている状態で空調動作を続けたときに、ステップS60において室内機ファン制御部35は、温度計測部15から送信される室内機熱交換器14の配管温度と、データテーブル記憶部36のデータテーブル41に記憶された第1温度閾値である45℃と、を比較して、配管温度が第1温度閾値である45℃を30秒以上継続して越えたか否かを判定する。すなわち、室内機ファン制御部35は、温度計測部15から送信される配管温度が第1温度閾値以上である状態が既定の閾値時間である第1閾値時間以上継続されたか否かを判定する。
第1閾値時間は、室内機ファン制御部35がファン最大回転速度を第2上限値から第1上限値に変更するか否かを決定するための閾値である。第1閾値時間は、あらかじめ決定されて室内機ファン制御部35に記憶されている。なお、第1閾値時間は、記憶部33に記憶されていてもよい。
配管温度が第1温度閾値である45℃を30秒以上継続して越えていない場合、すなわちステップS60においてNoの場合は、ステップS120が実施される。ステップS120において室内機ファン制御部35は、室内機ファン16のファン回転速度の上限値を変更せず、また現状のファン回転速度を維持する制御を行う。そして、室内機ファン制御部35は、ステップS60に戻る。
配管温度が第1温度閾値である45℃未満であり、1600rpmを回転速度の上限値として室内機ファン16を運転させた場合には、制御基板30に実装されている電気部品が温度定格を超えることはない。しかしながら、配管温度が第1温度閾値である45℃未満で室内機ファン16のファン回転速度を1600rpmよりも速く回転させた場合、室内機熱交換器14からの放熱と室内機ファン16の回転速度を上げたことによる室内機ファン16の負荷電流の増大との影響で電気品ボックス13内の空気の温度が上昇し、制御基板30に実装されている電気部品の温度定格を超えてしまう可能性がある。
そこで、配管温度が第1温度閾値である45℃を30秒以上継続して越えた場合、すなわちステップS60においてYesの場合は、ステップS70が実施される。ステップS70において室内機ファン制御部35は、室内機ファン16のファン回転速度の上限値の設定を第1上限値である1600rpmに決定し、ファン最大回転速度設定記憶部37に設定して記憶させる。このように、室内機ファン16のファン回転速度の上限値を1600rpmに下げることで室内機ファン16の負荷電流による発熱を少なくして、電気部品の温度定格を超えることを未然に防ぐことができる。
つぎに、ステップS80において室内機ファン制御部35は、室内機ファン16のファン回転速度が1600rpmより高速であるか否かを判定する。
室内機ファン16のファン回転速度が1600rpm以下である場合、すなわちステップS80においてNoの場合は、ステップS130が実施される。ステップS130において室内機ファン制御部35は、現状のファン回転速度を維持する制御を行う。そして、室内機ファン制御部35は、ステップS30に戻る。
一方、室内機ファン16のファン回転速度が1600rpmより大である場合、すなわちステップS80においてYesの場合は、ステップS90が実施される。ステップS90において室内機ファン制御部35は、ファン回転速度を1600rpmまで低減する制御を行う。そして、室内機ファン制御部35は、ステップS30に戻る。そして、空気調和機1の暖房運転の停止を指示する旨の暖房停止指示情報の赤外線信号を制御部31がリモコン4から受信するまで、上記の制御が実施される。制御部31が暖房停止指示情報を受信した場合には、制御部31は、室内機ファン16を含む、室内機2および室外機3の各構成部を停止させる制御を実施する。
なお、図7のフローチャートに示した制御方法において、配管温度が第1温度閾値である45℃を既定の閾値時間である第2閾値時間以上下回った場合に、再度、室内機ファン16のファン回転速度の上限値であるファン最大回転速度を第2上限値である1700rpmに設定するステップをステップS90の後およびステップS130の後に実施してもよい。第2閾値時間は、空気調和機1の仕様および能力といった諸条件によって、リモコン4を介して任意の値に設定および変更が可能である。第2閾値時間は、上述した第1閾値時間と同じ時間であってもよく、異なる時間であってもよい。また、この場合の温度閾値は、必ずしも第1温度閾値である45℃である必要はない。
たとえば、ステップS90においてファン回転速度を1600rpmまで低減した後に配管温度が第1温度閾値である45℃を既定の閾値時間である第2閾値時間である30秒間以上下回ったか否かを判定する。そして、配管温度が45℃を30秒間以上下回った場合に、再度、室内機ファン16のファン回転速度の上限値であるファン最大回転速度を1700rpmに決定し、ファン最大回転速度設定記憶部37に設定して記憶させる。そして、室内機ファン制御部35は、リモコン4から送信される指示情報、およびファン最大回転速度設定記憶部37に設定した情報に基づいて、1700rpm以下の回転速度の範囲で室内機ファン16を動作させる制御を行う。そして、室内機ファン制御部35は、ステップS60に戻る。配管温度が45℃を30秒間以上下回っていない場合には、配管温度が45℃を30秒間以上下回ったか否かの判定を繰り返す。
また、上述した制御における温度閾値である第1温度閾値および第2温度閾値にヒステリシス性を持たせることもできる。温度閾値にヒステリシス性を持たせることで、室内機熱交換器14の配管温度が温度閾値付近で上下することに起因して室内機ファン16のファン回転速度が頻繁に変化するようなハンチング現象を防ぐことができる。
上述したように、本実施の形態1にかかる空気調和機1では、室内機熱交換器14の温度が第1温度閾値以上の場合には電気品ボックス13内の空気の温度および電気部品の温度も上昇しているとの推測に基づいて、室内機ファン16のファン回転速度の上限値を決定して室内機ファン16の回転速度の制御を行う。すなわち、室内機ファン制御部35は、室内機熱交換器14の配管温度が第1温度閾値以上の場合には、第1上限値である1600rpm以下の回転速度の範囲で室内機ファン16を動作させる制御を行う。また、室内機ファン制御部35は、室内機熱交換器14の配管温度が第1温度閾値未満の場合には、第1上限値よりも速い回転速度である第2上限値の1700rpm以下の回転速度の範囲で室内機ファン16を動作させる制御を行う。
すなわち、空気調和機1は、室内機熱交換器14の温度に対応して、室内機ファン16の回転速度を制御することで、室内機熱交換器14からの放熱が少なく室内機熱交換器14の温度が第1温度閾値未満の場合には、電気部品の温度定格によって制限される室内機ファン16の回転速度の上限を引き上げることができる。これにより、空気調和機1は、室内機2の室内機熱交換器14の放熱による電気品ボックス13内の空気の温度上昇が小さい場合には、室内機熱交換器14の放熱による電気品ボックス13内の空気の温度上昇が大きい場合よりも速い回転速度で室内機ファン16を動作させて、室内機ファン16の風量を増加させて、高能力かつ高効率での空調を行うことができる。
このような空気調和機1は、室内機熱交換器14の温度が第1温度閾値以上の場合には室内機ファン16の負荷電流による発熱を抑制して電気品ボックス13内の空気の温度上昇を抑制することができ、電気品ボックス13内の電気部品が温度定格を超えることを防止できるという効果が得られる。また、空気調和機1は、室内機熱交換器14の温度が第1温度閾値未満の場合には室内機ファン16の風量を増加させて、高能力かつ高効率での空調を行うことができるという効果が得られる。また、室内機ファン16の風量を増加させた場合も、室内機熱交換器14の温度に基づいて室内機ファン16の回転速度を調整することで電気品ボックス13内の電気部品の温度を温度定格以内に抑えることができる。
したがって、本実施の形態1にかかる空気調和機1は、電気品ボックス13内の電気部品の温度上昇を抑制可能であり電気品ボックス13内の空気の温度上昇に起因した電気部品の短寿命化を起こすことなく、また制御基板30に実装されている電気部品の温度定格を超えない範囲で室内機ファン16の回転速度の制限を緩和した室内機ファン16の運転が可能となる。
実施の形態2.
上述した実施の形態1では、室内機ファン16のファン回転速度の上限値であるファン最大回転速度が1600rpmおよび1700rpmの2つの値のうちの1つに設定される場合について示したが、3つ以上の候補からファン最大回転速度を選択することも可能である。図8は、本発明の実施の形態2にかかるデータテーブル42の一例を示す図である。データテーブル42は、データテーブル41と同様に空気調和機1において使用可能な第1温度閾値と第1上限値と第2上限値との関係が設定されたデータテーブルである。
図8に示すデータテーブル42においては、異なる複数の温度閾値が記憶されている。すなわち、図8に示すデータテーブル42においては、温度の高い順に、第1温度閾値が45℃であり、第2温度閾値が40℃であり、第3温度閾値が35℃である。また、図8に示すデータテーブル42においては、異なる複数の温度閾値の各々に対応する第1上限値と第2上限値とが設定されている。すなわち、図8に示すデータテーブル42においては、第1温度閾値である45℃に対応する第1上限値が1600rpmであり、第2上限値が1700rpmである。第2温度閾値である40℃に対応する第1上限値が1700rpmであり、第2上限値が1800rpmである。第3温度閾値である35℃に対応する第1上限値が1800rpmであり、第2上限値が1900rpmである。
つぎに、空気調和機1が図8に示したデータテーブル42に記憶された条件を用いて室内機ファン16の回転速度を制御する場合について説明する。図9から図11は、本発明の実施の形態2における室内機ファン16の回転速度制御動作の手順を示すフローチャートである。なお、図9および図11において、上述した図7に示したフローチャートと同じステップには、図7と同じステップ番号を付している。
まず、空気調和機1の室内機2の制御部31が、実施の形態1の場合と同様にステップS10およびステップS20を実施する。
つぎに、室内機ファン制御部35が、第1温度閾値の45℃の代わりに第3温度閾値である35℃を用いること以外はステップS30からステップS90、ステップS120およびステップS130と同様にして、ステップS230からステップS290、ステップS320およびステップS330を実施する。この場合の第1上限値は、1600rpmの代わりに1800rpmとされる。また、第2上限値は、1700rpmの代わりに1900rpmとされる。また、ステップS290の後およびステップS330の後には、ステップS230が実施される。
ここで、ステップS230においてNoの場合は、室内機ファン制御部35は、図10に示すフローチャートの手順で制御を実施する。すなわち、室内機ファン制御部35は、第1温度閾値の45℃の代わりに第2温度閾値である40℃を用いること以外はステップS30からステップS90、ステップS120およびステップS130と同様にして、ステップS430からステップS490、ステップS520およびステップS530を実施する。この場合の第1上限値は、1600rpmの代わりに1700rpmとされる。また、第2上限値は、1700rpmの代わりに1800rpmとされる。また、ステップS490の後およびステップS530の後には、ステップS230が実施される。
ここで、ステップS430においてNoの場合は、室内機ファン制御部35は、図11に示すフローチャートの手順で制御を実施する。すなわち、室内機ファン制御部35は、ステップS30からステップS130を実施する。また、ステップS90の後およびステップS130後には、ステップS230が実施される。
本実施の形態2では、空気調和機1は、上述した制御を行うことによって、決定する第1上限値と第2上限値とを室内機熱交換器14の配管温度の温度帯によって異ならせることができる。これにより、空気調和機1は、制御基板30に実装されている電気部品の温度定格による室内機ファン16の最大回転速度の制限を、室内機熱交換器14の配管温度の温度帯に対応させて、より緩和することができる。したがって、空気調和機1は、電気品ボックス13内の空気および電気部品の温度上昇を抑制可能であり電気品ボックス13内の温度上昇に起因した電気部品の短寿命化を起こすことなく、また制御基板30に実装されている電気部品の温度定格を超えない範囲で室内機ファン16の回転速度の制限をより緩和した室内機ファン16の運転が可能となる。
以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。